JP4331038B2 - 摩擦攪拌点接合装置 - Google Patents

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Description

本発明は、摩擦攪拌点接合装置に係り、特に、複数の部材の板状部を重ね合わせ、かかる重合せ部分を点接合する際に、接合すべき複数の部材の板状部の厚みが変更されても、回転せしめられる摩擦攪拌接合工具を取り替えることなく、重合せ部分の厚みに応じて、その接合を確実に行なうことの出来る、摩擦攪拌点接合装置に関するものである。
近年、地球環境の保護や省エネルギーの観点から、自動車の排出する有害ガスや二酸化炭素の発生の抑止、燃費の向上等が、要求されている。そして、このような要求を満たすためには、自動車の軽量化が最も有効であり、ボディ部材や各種部品において、鋼材からアルミニウム合金材への転換が盛んに検討されている。そして、アルミニウム合金材を用いる場合、自動車ボディの構造としては、板プレス品を、点接合である抵抗スポット溶接にて接合する、モノコック構造が、主流となってきている。
このように、自動車の製造においては、アルミニウム合金材の接合方式として、点接合である抵抗スポット溶接が用いられてきているのであるが、かかる点接合は、自動車の他に、鉄道車両や航空機等の輸送機分野、家電製品、建材等の構造物等にも広く用いられてきており、更には、マグネシウム合金や銅合金等の接合においても、利用されている。
ところで、アルミニウム合金板を抵抗スポット溶接にて点接合する場合には、電極として、一般に、鋼板の抵抗スポット溶接において用いられているクロム銅電極やジルコニウムクロム銅電極が流用されているが、アルミニウム合金は、鋼に比べて、導電率及び熱伝導度が高いところから、スポット溶接において、大電流での短時間通電が必要となり、このため、鋼板を溶接する場合に比して、電極の損耗が激しく、長期に亘って正常なナゲットを形成することが困難である。また、抵抗スポット溶接では、接合材を引張破断せしめた際に、一方の母材に他方の母材が円盤状に剥離される、所謂栓抜け破断となることが、強度的に有利であるとされているのであるが、アルミニウム合金等を抵抗スポット溶接した場合には、電極の損耗や電流の不安定さに起因して、栓抜け破断ではなく、シアー破断となることが往々にしてあり、このため、強度にばらつきが生じて、信頼性に欠けるといった問題もあった。更に、抵抗スポット溶接においては、溶接後の歪みが大きくなったり、接合部の両面に圧痕が残るといった問題も内在している。
このため、近年においては、セルフピアシングリベットによる接合が行なわれるようになっている。かかる接合は、重ね合わされた板材に、鋼製のリベットを打ち込む機械的接合の一種であり、抵抗スポット溶接による接合よりも継手の品質が幾分安定しているが、リベットが必要となって、接合コストが高くなる。また、工具の摩耗状態によっては、接合不良が生じる恐れもある。
一方、特許文献1等においては、接合時の入熱が少なく、軟化や歪みの程度が少ない接合手法として、摩擦熱を利用してアルミニウム合金材を突合せ接合する、摩擦攪拌接合法が、明らかにされている。かかる接合法は、硬質の裏当て部材の上に、接合対象であるアルミニウム合金材等の軟質素材を突き合わせて拘束し、該突合せ部に、ロッド形状の工具本体の先端にピン状の硬質プローブを固定した構造のピン型工具を、高速回転させながら差し込み、該突合せ部に沿ってピンを相対的に移動せしめることにより、摩擦熱を発生せしめ、そしてその摩擦熱を利用して接合を実現する固相接合法であって、接合部が溶融しないところに大きな特徴を有している。そして、かかる接合法によれば、優れた接合強度を実現する突合せ継手を、安定して得ることが出来るのである。
そして、昨今においては、安定した接合状態を維持、確保し得る摩擦攪拌接合法を、突き合わせ接合だけでなく、点接合に採用することが検討されてきており(例えば、特許文献2〜5等参照)、摩擦攪拌接合法を利用した点接合を行なうことで、歪みが小さな接合部が得られることが、明らかとなっている。
しかしながら、このような摩擦攪拌接合を応用した点接合方法では、回転させられる工具本体のショルダ面の中央部に突出するプローブの突出量によって、接合できる板厚が制限されてしまうところから、板厚の異なる複数の被接合部に対して、連続して点接合を実施する場合には、接合すべき部位の板厚に応じて、そのような摩擦攪拌接合工具を一々交換しなければならず、接合操作が、非効率的で、煩雑なものとなっている。
なお、本発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある。
特許第2712838号公報 特開2001−259863号公報 特開2001−321967号公報 特開2000−141066号公報 特開2001−314983号公報 米国特許第5893507号明細書 米国特許第6199745号明細書
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、複数の部材の板状部を重ね合わせ、その重合せ部分を摩擦攪拌接合法にて点接合するに際して、接合すべき複数の部材の板状部の厚みが変更されても、摩擦攪拌接合工具を取り替えることなく、重合せ部分の厚みに応じて、重合せ部分の点接合を確実に行なうことの出来る装置を提供することにある。
そして、本発明にあっては、上記した課題の解決のために、接合すべき複数の部材の板状部を重ね合わせ、該重合せ部の一方の側の板状部表面に対して、回転せしめられる摩擦攪拌接合工具のショルダ面を押し当てるようにする一方、該ショルダ面から突出するプローブを差し込み、摩擦攪拌接合を行なうことにより、該プローブの差し込まれた部位において、かかる複数の部材の板状部同士を点接合する装置であって、前記重合せ部の一方の側の板状部表面を、回転しつつ、押圧するショルダ面を有する工具本体と、かかる工具本体のショルダ面の中央部から外方に突出し、該工具本体に対して、突出方向に独立して移動せしめられることにより、突出長さ(X)を変えることが出来るように構成されたプローブと、該プローブの突出長さ(X)を、前記重合せ部の厚み(T)と該重合せ部の他方の側の最外側に位置する板状部の厚み(tn )に基づいて、前記重合せ部の厚み(T)よりも短く、且つ、該重合せ部の厚みから該重合せ部の他方の側の板状部の厚みを差し引いた値(T−tn )よりも長くなるように制御する制御手段と、該制御手段からの制御信号に基づいて、前記プローブを、前記ショルダ面を有する工具本体に対して独立して移動せしめるプローブ移動手段とを、含むことを特徴とする摩擦攪拌点接合装置を、その第一の態様とするものである。
また、この本発明に従う摩擦攪拌点接合装置の第一の態様においては、前記重合せ部の厚み(T)及び/又は前記重合せ部の他方の側の最外側に位置する板状部の厚み(tn )を測定するためのセンサを更に有し、該センサにて測定された測定データが、前記制御手段に入力されるように構成される。
さらに、本発明に従う摩擦攪拌点接合装置の更に望ましい第の態様にあっては、前記重合せ部の厚み(T)データ及び/又は前記重合せ部の他方の側の最外側に位置する板状部の厚み(tn )データを前記制御手段に入力するための入力手段を、更に有して、構成される。
また、本発明に従う摩擦攪拌点接合装置の望ましい第の態様においては、前記プローブとして、その突出部が、円柱形状を呈しているものが採用されることとなる。
加えて、本発明に従う摩擦攪拌点接合装置の望ましい第の態様では、前記プローブの先端部の直径(d)と前記工具本体のショルダ面の直径(D)とが、次式:0.25≦(d/D)≦0.50を満たすように構成される。
そして、本発明に従う摩擦攪拌点接合装置における、前記した第一の態様においては、回転せしめられる摩擦攪拌接合工具の先端面(ショルダ面)の中央部から外方に、所定の長さにおいて突出せしめられたプローブが、接合すべき部材の板状部の重合せ部の一方の側の表面に対して、該工具本体のショルダ面が接触するまで押入され、それら回転せしめられるプローブや工具本体のショルダ面と板状部の接触部表面との間で生ずる摩擦熱により、プローブの差し込まれた部位を、塑性流動可能な状態と為し、更にプローブの高速回転による撹拌作用にて、重ね合わされた板状部の組織を入り交わらせて、各板状部を溶融させることなく、それらを、点接合するようになっているのである。そして、本発明に従う摩擦攪拌点接合装置においては、プローブが、工具本体に対して、突出方向に独立して移動せしめられるように構成されており、これにて、工具本体のショルダ面から外方に突出するプローブの突出長さ(X)を、任意に変更することが出来るようになっているのである。しかも、かかる突出長さ(X)が、前述せる如く、次式:(T−tn )<X<Tを満足するように制御手段で制御され、その制御信号に基づいて、プローブ移動手段が作動するようになっている。
それ故、本発明に従う摩擦攪拌点接合装置にあっては、前述せる如き優れた特徴を有する摩擦攪拌点接合方法を有利に実現することが出来るのである。従って、かくの如き本発明に従う摩擦攪拌点接合装置を用いれば、接合すべき複数の部材の板状部の厚みが変更されても、摩擦攪拌接合工具を取り替えることなく、重合せ部分の厚みに応じて、重合せ部分の点接合を確実に行なうことが出来、厚みの異なる被接合材を、良好なる接合品質をもって、効率的に且つ連続的に接合することが出来るのである。
また、本発明に従う摩擦攪拌点接合装置における前記第の態様によれば、プローブの突出長さ(X)を設定するために必要とされる重合せ部の厚み(T)及び/又はプローブが差し込まれる側とは反対側の最外側に位置する板状部の厚み(tn )が、厚み測定用のセンサによって実測され、その測定データに基づいて制御が行なわれるところから、一層確実に且つ正確にプローブの突出長さ(X)を設定することが出来、以て、接合不良の発生が確実に防止され得て、良好な接合が行なわれ得ることとなる。
さらに、本発明に従う摩擦攪拌点接合装置における前記した第の態様によれば、重合せ部の厚み(T)及び/又はプローブが差し込まれる側とは反対側の最外側に位置する板状部の厚み(tn )が、入力手段を介して制御装置に入力されるようになっているところから、センサ等の厚み測定装置を用いなくても、必要な厚みデータを、手入力で、制御装置に容易に入力することが出来る。
また、本発明に従う摩擦攪拌点接合装置における前記第の態様によれば、プローブの突出部が円柱形状を呈しているところから、プローブの径が先端に行くに従って先細りする円錐形状のものを用いる場合に比して、板状部と板状部の界面の組織がより多く攪拌されるようになって、接合強度が向上するようになる。
加えて、本発明に従う摩擦攪拌点接合装置における前記した第の態様によれば、ショルダ面の直径(D)に対するプローブの突出部の直径(d)の値が、所定の範囲となるようにされているところから、良好な接合品質が確保され得ると共に、板状部とショルダ面との接触部位の両側に、バリが突出して形成されるようなことが、有利に抑制され得るのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1には、本発明に従う構造を有する、摩擦攪拌点接合装置の一実施形態が、概略的に示されている。そこにおいて、10は、摩擦攪拌接合工具であって、ロッド形状の工具本体12と、かかる工具本体12に同心的に挿入配置され、且つ工具本体12に対して独立して軸方向に移動させ得るプローブ14とを有して、構成されている。
より具体的には、工具本体12は、一般的な摩擦攪拌接合操作に用いられる従来品と同様に、全体としてロッド形状を呈しており、その先端面(図1中、下端面)が、接合すべき部材(被接合材13)の表面に接触せしめられる円形状のショルダ面16とされている。なお、かかるショルダ面16を含む工具本体12の先端部は、被接合材13よりも硬質の材料を用いて、形成されており、工具本体12が高速回転せしめられて、ショルダ面16が被接合材13に接触せしめられても、その損耗が阻止され得るようになっている。また、ショルダ面16の形状は、特に限定されるものではなく、平坦面であっても、或いは、中央に向かって湾曲する凹面形状であっても良く、従来から公知の形状が適宜に採用されることとなる。
そして、かかる工具本体12には、図1に示されるように、工具移動手段たる工具移動装置18、プローブ移動手段たるプローブ移動装置20及び回転駆動手段たる回転駆動装置22が、それぞれ、取り付けられている。
ここにおいて、かかる工具移動装置18は、公知の摩擦攪拌接合工具と同様に、摩擦攪拌接合工具10(工具本体12、プローブ14)を、被接合材13に向かって(図1中、下方に向かって)、移動せしめるようになっていると共に、その先端のショルダ面16が被接合材13の表面に接触すると、被接合材13に対して適度な荷重を加えて、かかる被接合材13を押圧せしめ得るように構成されている。
また、プローブ移動装置20は、プローブ14を、工具本体12に対して、軸方向(図1中、上下方向)に、独立して移動せしめ得るように構成されており、これによって、工具本体12のショルダ面16の中央部から外方(図1中、下方)に向かって突出する、プローブ14の突出長さ(X)が、任意に変更され得るようになっている。なお、かかるプローブ移動装置20において、プローブ14を、軸方向に独立して移動せしめる機構としては、下記回転駆動装置22の機構をも含めて、米国特許第5893507号明細書(特許文献6)や米国特許第6199745号明細書(特許文献7)等に開示される如き機構等、従来から公知の機構が、何れも、採用され得るのであり、特に限定されるものではない。
さらに、回転駆動装置22は、工具本体12を、その軸心回りに高速回転せしめるように構成されている。具体的には、回転駆動装置22内のモータの駆動力にて、工具本体12の回転軸24が、回転せしめられることによって、工具本体12が回転されるようになっている。また、ここでは、工具本体12の回転に連動して、工具本体12に同心的に配設されたプローブ14も、工具本体12と同一の回転数で一体的に回転し得るように構成されている(特許文献6,7参照)。
そして、本実施形態に係るプローブ14は、上述せるように、工具本体12に固定的に設けられておらず、工具本体12の内孔26内において、軸方向に移動可能に設置されており、その突出長さ(X)を、任意に変えることが出来るようになっているところに、大きな特徴を有している。これによって、被接合材13の厚みに応じて、プローブ14の突出長さ(X)を適宜に調整することが出来、被接合材13の厚みが変更されても、摩擦攪拌接合工具の煩雑な取り替え操作を行なう必要が無いといった利点が享受され得るのである。
加えて、そのようなプローブ14は、その一端側の部位、つまり工具本体12のショルダ面16から外方に突出した部位(突出部28)が、ここでは、円柱形状とされていると共に、工具本体12の先端部と同様に、被接合材13よりも硬質の材料を用いて、形成されている。このように、被接合材13に差し込まれる突出部28が、円柱形状とされることによって、図3に示される如きプローブ15の径が先端に向かって先細りする円錐形状のものを用いる場合等に比べて、重ね合わされた板材38a,38bの界面の組織がより効率的に攪拌されるようになり、更に優れた接合強度が得られるようになるのである。
さらに、本実施形態のプローブ14は、良好な接合品質を確保し、且つバリの発生を有利に抑制すべく、図2に示される如く、その突出部28の先端部30の直径(d)が、工具本体12のショルダ面16の直径(D)の25〜50%、つまり、次式:0.25≦(d/D)≦0.50を満たす大きさとされている。なお、かかる先端部30直径(d)が、上記した範囲よりも小さくなると、攪拌領域が小さくなり過ぎ、接合後において、充分な接合強度を得ることが出来なくなって、良好な接合品質を確保することが出来なくなる恐れがある一方、上記した範囲を超えるようになると、図2において二点鎖線で示すように、被接合材13とショルダ面16との接触部位の両側に突出するバリ39が形成される恐れが生じる。
ところで、上述のような工具本体12とプローブ14とを含んで構成される摩擦回転接合工具10には、更に、制御手段として、コンピュータ等からなる制御装置32が接続されており、この制御装置32から出力される制御信号によって、工具移動装置18やプローブ移動装置20、回転駆動装置22が、それぞれ作動せしめられるようになっている。
また、本実施形態においては、上記した制御装置32に、被接合材13の厚みを測定するための装置であるセンサ34や、各種のデータを入力するための入力手段たる入力装置36が、接続されており、センサ34にて測定された測定データや、入力装置36にて入力されたデータが、制御装置32に入力されるようになっている。
より具体的には、図1に示されるセンサ34は、公知の加圧接触型の位置センサであって、その2つの端子が、それぞれ、押え治具40と裏当て治具42とに内蔵されている。そして、被接合材13、ここでは、2枚の板材38a,38bの重合せ部が、押え治具40と裏当て治具42との間で挟持されると、重合せ部の厚み(T)が、押え治具40と裏当て治具42に内蔵されたセンサ34にて、検出・測定されるようになっている。なお、厚み測定用装置であるセンサ34としては、加圧接触型の位置センサ以外にも、レーザ光等を利用した光学式センサ、X線を利用したセンサ、超音波式位置センサ等、従来から厚み測定用に用いられている公知の各種のセンサを用いることが可能である。そして、センサ34にて重合せ部の厚み(T)が検出・測定されると、その測定データが、上記の制御装置32に入力されるようになっているのである。また一方、上記入力装置36においては、プローブ14が差し込まれる側の板材(図1中、上板38a)とは反対側の最外側に位置する板材(図1中、下板38b)の厚み(tn )が、手入力されて、その厚みデータが、制御装置32に入力されるようになっている。
そして、制御装置32においては、センサ34や入力装置36から入力された各厚みのデータに基づいて、前記したプローブ14の突出長さ(X)が、重合せ部の厚み(T)、つまり、上板38aの厚み(t1 )と下板38bの厚み(t2 )を足した厚み(T=t1 +t2 )よりも短く、且つ、該重合せ部の厚みから該重合せ部のプローブ14が差し込まれる側とは反対側の最外側に位置する板材の厚みを差し引いた値(T−tn )、つまり、上下板38a,38bの合計厚み(T=t1+t2)から下板38b(t2 )の厚みを差し引いた値(T−t2=t1)よりも長くなるように、即ち、t1<X<t1+t2 となるように、所定の演算処理が行なわれて、プローブ14の突出長さ(X)の目標値が設定されることとなる。そして、それに基づいて、プローブ移動装置20に対して、プローブ移動制御信号が出力されるようになっている。
なお、プローブ14の突出長さ(X)が、(T−tn )、つまりここではt1 に満たない場合には、接合時に、プローブ14の先端部30が、プローブ14が差し込まれる側とは反対側の最外側に位置する板材(図1中、下板38b)まで到達することが困難となり、接合不良が惹起される恐れがある一方、かかるプローブ14の突出長さ(X)が、Tを超えるようになると、接合時に、プローブ14の先端部30が、プローブ14が差し込まれる側とは反対側の最外側に位置する板材(図1中、下板38b)を突き抜けて、硬質の裏当て治具42に当接し、かかる裏当て治具42も一緒に接合されてしまったり、或いは、裏当て治具42によって、プローブ14が損傷する等といった問題が惹起される恐れがある。
このような理由から、重合せ部の一方の側から差し込まれたプローブ14の先端が、プローブ14が差し込まれる側とは反対側の最外側に位置する板材(図1中、下板38b)内に位置せしめられるように、プローブ14の突出長さ(X)が調整されることが望ましいのである。
そして、上述せる如き範囲の中でも、特に、優れた接合強度を確保するために、かかるプローブ14の先端30が、好ましくは、プローブ14が差し込まれる側とは反対側の最外側に位置する板材の厚みの1〜75%の深さまで達するように、更に好ましくは、5〜30%の深さまで達するように、プローブ14の突出長さ(X)が設定されることが、望ましい。つまり、2枚の板材38a,38bを重ね合わせた場合には、図2に示されるように、差し込み方向2枚目の下板38bに差し込まれるプローブ14の深さ(a)が、好ましくは、0.01≦(a/t2 )≦0.75、更に好ましくは、0.05≦(a/t2 )≦0.30となるように、プローブ14の突出長さ(X)が設定されることが、望ましいのである。
けだし、接合時に、プローブ14の先端30が、下板38bの厚みの1%の深さにまで到達していないと、上板38aと下板38bとの界面の組織が充分に攪拌されず、有効な接合強度を得ることが困難となる。特に、アルミニウム合金材を用いて接合する場合には、表面に酸化皮膜が形成されているところから、そのような酸化皮膜を破ることによって、より一層有効な接合強度を得ることが出来る。また、プローブ14の先端30が、下板38bの厚みの75%を超えるようになると、攪拌領域が下板38bの下面まで達して、下板38bと裏当て治具42が凝着して、製品たる接合材が歪んだり、装置を傷める等の問題を生じる恐れがある。
ところで、かくの如き摩擦攪拌点接合装置を用いて、複数の部材の板状部を点接合するには、例えば、以下の手順に従って、その操作が進められることとなる。
すなわち、先ず、図1に示されるように、接合すべき複数の部材として、ここでは、肉厚の異なる2枚の板材38a,38bを用い、それら板材38a,38bを、上下に重ね合わせる一方、それらの重合せ部を、工具本体12を挿通し得る大きさの貫通孔44を有する押え治具40と、板材38a,38bよりも硬質の材料からなる裏当て治具42とにより、それぞれ、上方向及び下方向から挟持し、2枚の板材38a,38bが上下方向や水平方向に相対的に移動することがないように、拘束せしめる。
なお、ここでは、接合すべき部材の材質としては、特に限定されるものではなく、例えば、アルミニウム若しくはアルミニウム合金からなるアルミニウム部材、銅若しくは銅合金からなる銅部材、マグネシウム若しくはマグネシウム合金からなるマグネシウム部材等の金属部材等の、摩擦攪拌接合可能な公知の材料が、適宜に選択されて、用いられることとなる。そして、その中でも、アルミニウム合金を採用する場合には、時効処理によって強度を高めることが可能な、Al−Cu−Mg系(2000系)、Al−Mg−Si系(6000系)、Al−Zn−Mg系(7000系)の熱処理型Al合金が、特に好適に用いられ得る。
そして、接合すべき板材38a,38bが押え治具40と裏当て治具42とで挟持されると、それらに内蔵されたセンサ34にて、重合せ部の厚み(T=t1+t2)が検出・測定されて、その測定データが、制御装置32に入力される。
次いで、センサ34から重合せ部の厚みが制御装置32に入力されると、制御装置32内の演算処理部で、かかる測定データと、予め、キーボード等の入力装置36によって入力された下板38bの厚みデータとに基づいて、摩擦攪拌接合工具10のプローブ14の突出長さ(X)が、上述せる如き条件を満たすように、つまり、少なくともt1<X<t1+t2 を満たすように、より好ましくは、プローブ14の先端部30が、差し込み方向2枚目の板材38bの厚みの1〜75%、更に好ましくは5〜30%の深さにまで差し込まれるように、演算処理が行なわれ、プローブ14の突出長さ(X)の目標値が、設定されるのである。そして、設定されたプローブ14の突出長さ(X)となるように、プローブ移動装置20に対して、プローブ移動制御信号が出力されるようになっている。
そして、かかるプローブ移動制御信号に基づいて、プローブ移動装置20が、プローブ14を移動せしめることにより、プローブ14の突出長さ(X)が、上述せる如き設定値に調整されるのである。
このようにして、被接合材13の厚みに応じて、プローブ14の突出長さ(X)が調整されると、制御装置32からの回転駆動制御信号によって、回転駆動装置22が作動して、工具本体12及びプローブ14が一体的に高速回転せしめられる一方、制御装置32からの工具移動制御信号によって、工具移動装置18が作動して、工具本体12及びプローブ14が、所望とするプローブ14の突出長さ(X)を維持した状態で、被接合材13に向かって、下方に移動せしめられる。
その後、板材38a,38bを重ね合わせた重合せ部の点接合すべき部位に、摩擦攪拌接合工具10のプローブ14の突出部28を押し付けて、工具本体12のショルダ面16が被接合材13の表面、つまり上板38aの上面に当接するまで、プローブ14の突出部28を差し込むようにするのである。これにより、プローブ14の先端部30が、図2に示されるように、1枚目の上板38aを貫通して、2枚目の下板38b内に差し込まれるようになる。そして、高速回転せしめられるプローブ14と上下板38a,38bとの接触部、及び、高速回転せしめられる工具本体12のショルダ面16とかかるショルダ面16によって押圧される上板38aとの接触部において摩擦熱を発生せしめ、その周りを可塑化して、塑性流動せしめる一方、プローブ14の高速回転に伴う攪拌作用にて、重ね合わされた板材38a,38bの組織を入り交じり合わせることにより、かかるプローブ14の差し込まれた部位において、2枚の板材38a,38bを点接合するのである。なお、かかる点接合の間、プローブ14は、工具本体12に対して相対的に移動せしめられることなく、差し込む前に調整された突出長さ(X)を保持することとなる。
そして、かかる点接合の後、工具本体12とプローブ14を回転させたまま、工具移動装置18にて、工具本体12とプローブ14を、上方に移動せしめることによって、板材38a,38bの重合せ部からプローブ14が引き抜かれ、一回の点接合操作が終了するのである。なお、ここでは、工具本体12とプローブ14を回転させた状態で引き抜いているところから、差込穴の内面が、無回転状態で引き抜く場合に比べて滑らかな面とされるのであるが、工具本体12とプローブ14を、無回転状態で引き抜くことも出来る。
なお、かかる摩擦攪拌点接合装置を用いて、図4に示される如き、肉厚の異なる3枚の板材46a,46b,46cを点接合するには、上述せる如き2枚の板材38a,38bを点接合する場合と同様に、先ず、それらの板材46a,46b,46cを重ね合わせる一方、それらの重合せ部を、押え治具40と裏当て治具42とで挟持し、それらが相対的に移動することがないように拘束せしめる。
そして、接合すべき板材46a,46b,46cが、押え治具40と裏当て治具42にて挟持されると、それらに内蔵されたセンサ34にて、重合せ部の厚み(T=t1+t2+t3 )が検出・測定されて、その測定データが、制御装置32に入力される。そして、制御装置32において、かかる重合せ部の厚み(T=t1+t2+t3 )と、予め、キーボード等の入力装置36によって入力された下板46cの厚み(t3 )に基づいて、摩擦攪拌接合工具10のプローブ14の突出長さ(X)が、少なくとも、t1+t2<X<t1+t2+t3 を満たすように、より好ましくは、プローブ14の先端部30が、差し込み方向3枚目の板材46cの厚みの1〜75%、更に好ましくは5〜30%の深さまで差し込まれるように、プローブ14の突出長さ(X)の目標値が設定され、その設定されたプローブ14の突出長さ(X)となるように、プローブ移動装置20に対して、プローブ移動制御信号が送られる。かくして、制御装置32から送られたプローブ移動制御信号に基づいて、プローブ移動装置20が、プローブ14を移動せしめることにより、プローブ14の突出長さ(X)が、目的とする長さに調整されるのである。
その後、上述せる如き2枚の板材38a,38bを点接合する場合と同様に、板材46a,46b,46cの重合せ部に、上方より、高速回転するプローブ14を差し込む一方、高速回転する工具本体12のショルダ面16にて、重合せ部の表面を押圧するようにすれば、プローブ14の先端部30が、図4に示されるように、1枚目の上板46a及び2枚目の中板46bを貫通して、3枚目の下板46c内に差し込まれ、この差し込まれた部位において、3枚の板材46a,46b,46cが点接合されるのである。その後、工具本体12とプローブ14を引き抜くことによって、3枚の板材46a,46b,46cの点接合操作が終了する。
このようにして点接合された板材38a,38b及び46a,46b,46cにあっては、入熱の少ない摩擦攪拌接合法にて点接合されたものであるところから、熱歪みによる変形や接合不良が惹起されるようなことが、効果的に解消乃至は抑制され、良好な接合品質が安定的に確保され得ているのである。また、抵抗スポット溶接においては、接合部の両側の面に圧痕が残るといった欠点が内在するものの、本実施形態によれば、裏当て部材42に接触せしめられる、下板38b,46cの下面の接合部は、接合部であることが分からない程平坦となって、外観も向上することとなるのである。なお、他方の面(上板38a,46aの上面)の接合部には、プローブ14の差込穴が残るものの、かかる差込穴は、上記特許文献2等に開示されている方法等、公知の手法で、埋めることが出来る。
しかも、本実施形態によれば、摩擦攪拌接合工具として、プローブ14が、工具本体12に対して、独立して突出せしめられるように構成されたものが採用されているところから、工具本体12のショルダ面16から突出するプローブ14の突出長さ(X)を、変えることが出来るようになっている。そして、接合時において、プローブ14の先端部30が、プローブの進行方向(図中、下方)の最前方側に位置する板材38b,46c内に到達するように、且つ、かかる板材38b,46cを貫通しないように、被接合部の厚みに応じて、プローブ14の突出長さ(X)が、制御されるように構成されているところから、接合すべき板材の厚みが変更されても、煩雑な摩擦攪拌接合工具の取り替え操作を行なうことなく、重合せ部分の厚みに応じて、重合せ部分の点接合を確実に、優れた接合強度をもって、行なうことが出来るのである。
従って、これまでの抵抗スポット溶接と同様に、被接合部の厚みに拘わらず、点接合を一つの工具で連続的に実施することが可能となり、摩擦攪拌接合法を利用した点接合においても、良好な作業性をもって、迅速に且つ効率的に、板材同士の重ね合せ接合を行なうことが出来るのである。それ故、本実施形態にあっては、輸送機、建材、家電機器等の、板厚の異なるワークを接合する製造ライン等において、有利に用いられ得ることとなる。
また、本実施形態においては、押え治具40及び裏当て治具42に内蔵されたセンサ34によって、重合せ部の厚みが実測され、その実測値を用いて、プローブ14の突出長さ(X)が設定されるように構成されているところから、より一層確実に且つ正確にプローブ14の突出長さを設定することが出来、これによって、接合時に、プローブ14が重合せ部を貫通してしまうようなことが、極めて効果的に防止され得ることとなる。一方、下板38b,46cの厚みは、キーボード等の入力装置36を介して、制御装置32に入力されるようになっているところから、センサ等の厚み測定装置を用いなくても、下板38b,46cの厚みを、制御装置32に簡単に入力することができるのである。
以上、本発明の代表的な実施形態について詳述してきたが、それは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
例えば、上記の実施形態では、被接合材13として、板材38a,38b,46a,46b,46cが用いられていたが、被接合材の形状としては、板材に何等限定されるものではなく、点接合が施される重合せ部が、それぞれ、板状乃至は面板状である限りにおいて、何れも採用可能である。
また、接合すべき部材の点数、つまり、重ね合わされる板状部の個数(n)にあっても、上例の2枚や3枚に何等限定されるものではない。更に、重ね合わされる複数の板状部の材質としても、それぞれ、硬質のプローブ14とショルダ面16とによって塑性流動し得るものであれば良く、互いに重ね合わされる板状部同士の材質が必ずしも同じである必要はない。
なお、上例では、肉厚の異なる板材同士が重ね合わされ、重合せ部の厚み(T)がセンサ34で実測される一方で、プローブ14の差込方向最前方側のn番目の板状部の厚み(tn )が入力装置36にて入力されていたが、重合せ部の厚み(T)と差込方向n番目の板状部の厚み(tn)の両方をセンサで実測することも、或いはそれら両方を入力装置で入力することも可能である。また、同一厚みの板状部同士を重ね合わせて、その重合せ部を点接合する場合には、入力装置36を用いて、差込方向n番目の板状部の厚み(tn )を入力しなくとも、センサ34で重合せ部の厚み(T)を測定するだけで、差込方向n番目の板状部の厚み(tn =T/n)を得ることが出来る。また逆に、入力装置36を用いて、プローブ14の差込方向最前方側のn番目の板状部の厚み(tn )を入力すれば、センサ34で重合せ部の厚み(T)を測定しなくとも、重合せ部の厚み(T=ntn )を得ることが出来ることは、勿論、言うまでもないところである。このことからも明らかなように、本発明において、上記したセンサ34や入力装置36は、必ずしも必要とされるものではない。また、製造ライン等において、接合すべき部材の板厚が、予め、設定されているような場合には、制御装置32内の記憶部に、被接合材の板厚を予め記憶せしめる構成を採ることも、勿論可能である。
さらに、上記実施形態においては、重合せ部の厚み(T)と下板38b,46cの厚み(tn )とを用いて、プローブ14の突出長さ(X)を設定し、その設定値となるように、制御装置32から出力されるプローブ移動制御信号に従って、プローブ14の突出長さ(X)が変更せしめられるようになっていたが、これに加えて、更に、プローブ14の突出長さ(X)を、従来から公知のセンサ等を用いて実測して、フィードバック制御を行なうようにしても良い。このようにフィードバック制御を行なうようにすれば、重合せ部の厚み(T)と下板38b,46cの厚み(tn )とに基づいて設定されるプローブ14の突出長さ(X)の目標値と、実際に測定されるプローブ14の突出長さ(X)の実測値との間でズレが生ずるようなことが、効果的に防止され得るようになり、接合品質が極めて高度に確保されることとなる。
また、上例においては、板材38a,38bが上下方向に重ね合わされ、そのような重合せ部の上面に対して、工具本体12及びプローブ14が下方に向かって垂直方向に移動せしめられていたが、かかる重合せ部の下面に向かって、工具本体12及びプローブ14を上方に移動せしめることも、可能であり、更には、接合すべき板材を水平方向に重ね合わせて、水平方向に工具本体12及びプローブ14を移動せしめることも、可能である。
さらに、前記実施形態では、プローブ14の突出部28が、円柱形状とされ、これにて、接合時に、重ね合わされた板材38a,38bの界面の組織がより効率的に攪拌されるようになっていたが、本発明において、プローブ14の突出部28の形状は、上例の形状に何等限定されるものではなく、図3に示される如きプローブ15の径が先端に向かって先細りする円錐形状等、公知の各種の形状が何れも採用され得る。
加えて、前記実施形態においては、プローブ14が工具本体12と一体的に回転するように構成されていたが、プローブ14を、工具本体12を回転せしめる回転駆動装置22とは別の回転駆動装置に接続せしめて、別駆動で、回転せしめるようにしても良い。この場合、プローブ14と工具本体12は、逆方向に回転されても、或いは、同一方向に異なる回転速度で回転せしめられても良い。
その他、一々列挙はしないが、本発明が、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
以下に、本発明の代表的な実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。
先ず、図1に示される如き構造を有する摩擦攪拌点接合装置を準備した。但し、工具本体としては、図5に示されるように、ショルダ面48が段付面とされたものを使用した。一方、接合すべき部材として、厚さ:1mmのアルミニウム合金板材(6111−T4材)の2枚を準備し、それらを、図1に示されるように、上下方向に重ね合わせた。そして、重合せ部を、上下方向から、それぞれ、鋼製の押え治具及び裏当て治具で挟み込んだところ、内蔵される加圧接触型の位置センサーにて、重合せ部の厚みが測定され、2.02mmであった。
次いで、かかる厚みデータが、制御装置に入力され、プローブ14の突出長さの目標値が、自動的に、1.01mm+0.30mmに設定され、そしてそのような長さとなるように、プローブの突出量が調整された。
その後、工具本体とプローブとが、一体的に高速回転せしめられると共に、重ね合わされた上板表面に向かって、下方に移動せしめられ、工具本体のショルダ面が、上板表面に達するまで、プローブが差し込まれ、摩擦攪拌点接合が実施された。なお、回転数:1500rpm、工具本体のショルダ面の外径(D):10mm、プローブの径(d):3mmであり、プローブの差し込みから抜くまでの時間は、1秒であった。
そして、得られた接合板材の接合部断面を観察したところ、接合部には何等の欠陥も無く、直径5mmのナゲット(攪拌部)が形成されていた。また、継手部分の引張剪断試験を行なった結果、同一径のナゲットを有する抵抗スポット溶接継手の150%の強度があった。また、上記と同様に、摩擦攪拌点接合を100回行なって、100個の試験片を作製し、引張剪断試験を行なったところ、継手強度のバラツキは、±5%以内であった。
本発明に従う構造を有する摩擦攪拌点接合装置の一例を示す、一部ブロック図を含む、部分断面説明図であって、接合すべき板材が重ね合わされた状態(点接合前の状態)を示している。 図1に示される摩擦攪拌点接合装置を用いて、板材の重合せ部を摩擦攪拌点接合する工程の一例を示す断面説明図であって、2枚の板材にプローブが差し込まれた状態を示している。 本発明に従って、板材の重合せ部を摩擦攪拌点接合する工程の他の一例を示す断面説明図であって、図2に示されるプローブとは異なる形状のプローブが差し込まれた状態を示している。 図1に示される摩擦攪拌点接合装置を用いて、板材の重合せ部を摩擦攪拌点接合する工程の別の一例を示す断面説明図であって、3枚の板材にプローブが差し込まれた状態を示している。 実施例において採用した摩擦攪拌接合工具の工具本体のショルダ面の形状を説明するための部分断面説明図である。
符号の説明
10 摩擦攪拌接合工具 12 工具本体
13 被接合材 14 プローブ
16 ショルダ面 18 工具移動装置
20 プローブ移動装置 22 回転駆動装置
24 回転軸 26 内孔
28 突出部 30 先端部
32 制御装置 34 センサ
36 入力装置
38a,38b,46a,46b,46c 板材
39 バリ 40 押え治具
42 裏当て治具 44 貫通孔

Claims (4)

  1. 接合すべき複数の部材の板状部を重ね合わせ、該重合せ部の一方の側の板状部表面に対して、回転せしめられる摩擦攪拌接合工具のショルダ面を押し当てるようにする一方、該ショルダ面から突出するプローブを差し込み、摩擦攪拌接合を行なうことにより、該プローブの差し込まれた部位において、かかる複数の部材の板状部同士を点接合する装置であって、
    前記重合せ部の一方の側の板状部表面を、回転しつつ、押圧するショルダ面を有する工具本体と、
    かかる工具本体のショルダ面の中央部から外方に突出し、該工具本体に対して、突出方向に独立して移動せしめられることにより、突出長さ(X)を変えることが出来るように構成されたプローブと、
    該プローブの突出長さ(X)を、前記重合せ部の厚み(T)と該重合せ部の他方の側の最外側に位置する板状部の厚み(tn )に基づいて、前記重合せ部の厚み(T)よりも短く、且つ、該重合せ部の厚みから該重合せ部の他方の側の板状部の厚みを差し引いた値(T−tn )よりも長くなるように制御する制御手段と、
    該制御手段からの制御信号に基づいて、前記プローブを、前記ショルダ面を有する工具本体に対して独立して移動せしめるプローブ移動手段と、
    前記重合せ部の厚み(T)及び/又は前記重合せ部の他方の側の最外側に位置する板状部の厚み(t n )を測定するためのセンサとを
    有し、該センサにて測定された測定データが、前記制御手段に入力されるように構成されていることを特徴とする摩擦攪拌点接合装置。
  2. 前記重合せ部の厚み(T)データ及び/又は前記重合せ部の他方の側の最外側に位置する板状部の厚み(tn )データを前記制御手段に入力するための入力手段を、更に有している請求項に記載の摩擦攪拌点接合装置。
  3. 前記プローブの突出部が、円柱形状を呈している請求項1又は請求項に記載の摩擦攪拌点接合装置。
  4. 前記プローブの先端部の直径(d)と前記工具本体のショルダ面の直径(D)とが、次式:0.25≦(d/D)≦0.50を満たすように構成されている請求項乃至請求項の何れかに記載の摩擦攪拌点接合装置。
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