JP5556928B2 - 温度補償電圧発生回路、温度補償型発振回路 - Google Patents

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本発明は、圧電振動子の発振周波数の温度補償を行う温度補償電圧発生回路、及びこれを接続した温度補償型発振回路に関する。
圧電振動子を用いた発振回路は、安定した発振周波数を得ることができることから、数々の電子機において、時間、或いは周波数の基準として広く用いられている。しかし、圧電振動子は温度変化によってその発振周波数が変化するという温度特性を有しており、ATカット圧電振動子の周波数の温度特性は、ほぼ3次曲線を示し、25℃前後の変曲点温度T0を境に温度による周波数変化Δfを生じることは周知の事実である。
図8はATカット圧電振動子の周波数偏差の温度特性の一例を示す特性図であり、A〜Dは各々カット角度の異なるATカット圧電振動子の周波数偏差の温度特性を示している。
一般にATカット圧電振動子の周波数偏差(Δf/f)[ppm]は以下の式で表される。
Figure 0005556928
ここで、fは基準周波数、αはカットのばらつきに依存する3次係数であって、その値は9×10−5〜10×10−5となる。またβはカットの角度に依存する1次係数であり、その値は−2×10−1〜−4×10−1となる。なお、Tは温度「℃」を表す。
ところで、GPS(全地球測位システム)の機能を搭載した携帯電話端末などの高精度の電子機器の分野においては、[数1]の式に示す周波数偏差(Δf/f)の許容範囲が非常に狭く、例えば、−30℃〜85℃の温度範囲では周波数偏差(Δf/f)は0.5ppm以内であることが要求される。したがって図8に示したA〜Dの特性の圧電振動子はいずれも許容範囲外となる。
そこで、高精度の電子機器の分野においては、通常ATカット圧電振動子を含む発振回路に温度補償電圧発生回路を設けて温度補償型水晶発振器を構成し周波数偏差の変動が許容範囲に収まるように制御している。
図9は従来の温度補償型発振回路を示すブロック図であり、105はバラクターダイオード、106はATカット水晶振動子、107は発振回路、108は発振回路107の出力端子、109は1次電圧発生回路、110は3次電圧発生回路であって、1次電圧発生回路109と3次電圧発生回路110により温度補償電圧発生回路111を構成している。さらに112は記憶デバイス、113はAFC(Automatic Frequency Control)回路、114はAFC回路の入力端子である。
バラクターダイオード105は、そのアノード端子とカソード端子間に逆電圧を印加し、かつその印加電圧を変えることによりアノード端子とカソード端子間の等価容量値が変化する性質を有している。
温度補償型水晶発振器においては、1次電圧発生回路109と3次電圧発生回路110とで構成される温度補償電圧発生回路111により発生した補償電圧をバラクターダイオード105に印加して等価容量値を変化させ、等価容量値の変化によって生じる発振ループの周波数変化をATカット水晶振動子106の周波数の温度特性を相殺するように作用させている。温度補償電圧発生回路111にはPROMやEEPROMなどの記憶デバイス112が備えられており、ATカット圧電振動子106の種類ごとに、多数の温度点についてその温度特性を測定し、それぞれの温度点においてその発振周波数が最も基準周波数fに近づくような補償電圧を出力するように、3次係数αと1次係数βの値を算出して、記憶デバイス112に格納してある。
このようにして温度補償型水晶発振器は、電子機器が使用される温度範囲、例えば−30℃〜85℃といった温度範囲においてATカット圧電振動子の周波数偏差(Δf/f)を0.5ppm以内に収めるように温度補償が行われている。なお、基準周波数f、変曲点温度Tの調整値も記憶デバイス12に格納させて、さらに発振周波数の高精度化を図る手法もよく用いられている。
図9におけるAFC回路113は、入力端子114に印加される制御電圧値に応じてバラクターダイオード105のアノード端子への印加電圧を変化させてその等価容量値を変化させ、等価容量値の変化によって生じる発振ループの周波数変化によって、温度補償型水晶発振器の発振周波数を変化させている。
温度補償に関しては、通常、AFC回路113の可変可能範囲のほぼセンタ値の電圧を出力している状態において行われ、温度補償後は入力端子114への印加電圧値に対して周波数を可変することのできるVCTCXO(電圧制御型温度補償水晶発振器)として機能する。VCTCXOは、使用される電子機器においてPLL(Phase Locked Loop)を構成する場合に、精度の高い基準発振源としてよく使用される。
特開2002−217643号公報
ところで温度補償電圧は、AFC回路113に入力される制御電圧値が圧電振動子において基本周波数fで発振する基準電圧値である場合に、最も温度補償が有効に行われるように(発振周波数が温度によらず一定になるように)調整されている。しかし、AFC回路113に入力される制御電圧値が基準電圧値と異なる値が入力された場合、すなわち基本周波数f以外の周波数で発振回路を発振させる場合は、発振回路側の等価容量値が変化するため、必要とされる温度補償電圧は基本周波数fを基準とする温度補償電圧とは異なった値となる。よって、この状態で温度変化が起きた場合に発振回路側に印加される基本周波数fを基準とした温度補償電圧が入力されると、温度補償が不足したり、あるいは温度補償となるが効きすぎてしまうといった現象が起こり、精度の高い温度補償が実現できないという問題を有していた。
この問題を解決するため特許文献1において、3次電圧発生回路と1次電圧発生回路とで構成される温度補償電圧発生回路より発生した補償電圧をバラクターダイオードに印加して等価容量値を変化させ、等価容量の変化によって生じる発振ループの周波数変化を水晶発振子の周波数の温度特性と相殺させる構成の水晶発振器の温度補償電圧発生回路において、前記3次電圧発生回路の3次係数と前記1次電圧発生回路の1次係数の値を、それぞれ周波数制御回路の出力電圧値に応じて変化させる制御手段を備え、前記制御手段は前記3次電圧発生回路と前記1次電圧発生回路との出力電圧を制御するゲインコントロールアンプを備えた構成が開示されている。このような構成とすることにより、出力電圧値に応じて3次電圧及び1次電圧の値を変化させることができるので、上述の温度補償不足及び温度過補償を低減することができる。しかし、この場合3次電圧発生回路の3次係数αと、1次電圧発生回路の1次係数βを個々に調整するためにはゲインコントロールアンプが複数個必要であり、さらに高次の係数を調整するためには、高次の係数の調整用のゲインコントロールアンプが必要となる。そしてそれぞれのゲインコントロールアンプで発生した雑音が合成されるため、発振回路の低位相雑音化が困難となる。
そこで本発明は上記問題点に着目し、低位相雑音化が容易で周波数調整可能な温度補償電圧発生装置、温度補償型発振回路を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の 形態、または適用例として実現することが可能である。
第1の形態に係る温度補償型発振回路は、温度補償された発振周波数を可変制御し、前 記可変制御の状態と前記温度補償の制御状態とから、前記可変制御状態の変化に応じて生 じる前記温度補償の補償量の変化を補償する手段を備えている温度補償型発振回路におい て、振動子、発振周波数の温度補償をする電圧制御型の第1可変容量素子、前記発振周波 数を可変制御する周波数制御回路、及び前記周波数制御回路に接続され前記発振周波数を 調整する電圧制御型の第2可変容量素子を有し、前記第1可変容量素子の一端に前記第1 可変容量素子の容量を制御する前記温度補償のための温度補償電圧を出力する第1温度補 償電圧発生回路と、前記温度補償電圧と前記周波数制御回路の出力とによって生成された 前記補償量を調整する補助温度補償電圧を前記第1可変容量素子の他端に出力する第2温 度補償電圧発生回路と、を有していることを特徴とする。
第2の形態に係る温度補償型発振回路は、第1の形態に係る温度補償型発振回路におい て、前記第1温度補償電圧発生回路は、前記振動子の発振周波数の温度特性に対応して温 度変化により3次関数的に変化する3次電圧を生成する3次電圧生成回路を有するととも に前記3次電圧に基づいて前記温度補償電圧を出力することにより、前記補助温度補償電 圧が温度変化により3次関数的に変化することを特徴とする。
[適用例1]発振周波数の温度補償をする電圧制御型の可変容量素子の一端に、前記可変容量素子の容量を制御する温度補償電圧を出力する第1温度補償電圧発生回路と、前記発振周波数を制御する周波数制御回路の出力と前記温度補償電圧とによって生成された補助温度補償電圧を前記可変容量素子の他端に出力する第2温度補償電圧発生回路と、を有することを特徴とする温度補償電圧発生回路。
[適用例2]適用例1に記載の温度補償電圧発生回路において、前記第1温度補償電圧発生回路は、振動子の発振周波数の温度特性に対応して温度変化により3次関数的に変化する3次電圧を生成する3次電圧生成回路を有するとともに前記3次電圧に基づいて前記温度補償電圧を出力することにより、前記補助温度補償電圧が温度変化により3次関数的に変化することを特徴とする温度補償電圧発生回路。
[適用例3]温度補償された発振周波数を可変制御し、前記可変制御の状態と前記温度補償の制御状態とから、前記可変制御状態の変化に応じて生じる前記温度補償の補償量の変化を補償する手段を備えていることを特徴とする温度補償型発振回路。
[適用例4]適用例3に記載の温度補償型発振回路において、振動子、発振周波数の温度補償をする電圧制御型の第1可変容量素子、前記発振周波数を可変制御する周波数制御回路、及び前記周波数制御回路に接続され前記発振周波数を調整する電圧制御型の第2可変容量素子を有し、前記第1可変容量素子の一端に前記第1可変容量素子の容量を制御する前記温度補償のための温度補償電圧を出力する第1温度補償電圧発生回路と、前記温度補償電圧と前記周波数制御回路の出力とによって生成された前記補償量を調整する補助温度補償電圧を前記第1可変容量素子の他端に出力する第2温度補償電圧発生回路と、を有していることを特徴とする温度補償型発振回路。
[適用例5]適用例4に記載の温度補償型発振回路において、前記第1温度補償電圧発生回路は、前記振動子の発振周波数の温度特性に対応して温度変化により3次関数的に変化する3次電圧を生成する3次電圧生成回路を有するとともに前記3次電圧に基づいて前記温度補償電圧を出力することにより、前記補助温度補償電圧が温度変化により3次関数的に変化することを特徴とする温度補償型発振回路。
温度補償電圧には1次電圧、3次電圧のみならず、より高次の温度特性を示す電圧を加えることが可能である。さらに、第1可変容量素子には温度補償電圧と補助温度補償電圧との差分の電圧が印加されることになる。温度補償電圧のゲインとAFC回路の出力電圧によって補助温度補償電圧を出力することができるので、増幅回路は1つでまかなうことができ、低位相雑音化が容易な温度補償電圧発生回路となる、また第1温度補償電圧発生装置から第1可変容量素子に印加される温度補償電圧を変動させることなく、出力電圧に応じて変動する補助温度補償電圧により第1可変容量素子に掛かる電圧を調整することができ、AFC回路からの出力電圧が変化した場合も良好な温度特性を維持することができる。また温度補償に用いる第1可変容量素子の印加電圧範囲を広くとることができ、第1可変容量素子の線形応答領域を従来よりもさらに有効に利用することができる。さらには第1可変容量とそのC−V特性を広く利用することができるので、補償電圧の範囲を広げて発振器側の温度補償の感度を落とすことができ、低位相雑音化を図ることが可能となる。
記第2温度補償電圧発生回路が、入力電圧と、基準温度において前記発振回路を基準周波数で発振させる基準電圧と、が入力され、前記入力電圧と前記基準電圧との差分の正負をエンコードしたバイナリデータを出力するエンコーダーと、前記温度補償電圧を反転増幅して出力する第1増幅回路と、前記第1増幅回路の出力を反転増幅して前記補助温度補償電圧を前記第1可変容量素子の他端に出力する第2増幅回路と、前記第1増幅回路に並列に接続され、前記入力電圧に応じて前記第1増幅回路の増幅度を調整する調整回路と、前記第1増幅回路の出力側、及び前記第2増幅回路の出力側にそれぞれ接続された複数の第1入力端子、前記第1可変容量素子に接続した第1出力端子を備え、入力される前記バイナリデータによって前記複数の第1入力端子のうちの1つを選択して前記第1出力端子に接続可能な第1マルチプレクサーと、を有しており、前記自動周波数制御回路が、前記入力電圧を反転増幅して出力する第3増幅回路と、前記第3増幅回路の出力を反転増幅して得られる出力電圧を前記第2可変容量素子に出力する第4増幅回路と、前記第3増幅回路の出力側、及び前記第4増幅回路の出力側にそれぞれ接続した複数の第2入力端子、前記調整回路に接続した第2出力端子を備え、入力される前記バイナリデータによって前記複数の第2入力端子のうちの1つを選択して前記第2出力端子に接続可能な第2マルチプレクサーと、を有していることを特徴とする度補償型発振回路。
これにより、補助温度補償電圧は入力電圧の値と基準電圧の値との大小関係によりその温度特性を反転させることができる。さらに入力電圧の値が基準電圧の値から離れるほど、補助温度補償電圧の増幅度は高くなる。よって補助温度補償電圧を入力電圧に追従して変化させることにより、第1可変容量素子の発振回路に対する温度補償の感度を安定化させ、第1可変容量素子を用いた温度補償を効果的に行うことができる温度補償型発振回路となる。
記第1可変容量素子と、前記第2可変容量素子は前記振動子に対して並列に接続されており、前記バイナリデータは、前記入力電圧の値が前記基準電圧の値より高い場合、前記第1マルチプレクサーが、前記第2増幅回路の出力側と接続した第1入力端子と前記第1出力端子とを接続するデータであり、前記第2マルチプレクサーが、前記第3増幅回路の出力側と接続した第2入力端子と前記第2出力端子とを接続するデータであることを特徴とする度補償型発振回路。
第1可変容量素子と第2可変容量素子が振動子に対して並列に接続された発振回路において、入力電圧が基準電圧より高く制御した場合、第2可変容量素子の容量が小さくなるため、第1可変容量素子に印加される温度補償電圧の発振回路全体に対する温度補償の感度が高くなり、過補償の状態となる。しかしこの場合、第2温度補償電圧発生回路が温度補償電圧と同相の補助温度補償電圧を第1可変容量素子に出力するため、第1可変容量素子に印加される電位差の温度特性の振幅を少なくして過補償の状態を抑制することができる。
記第1可変容量素子と、前記第2可変容量素子は前記振動子に対して並列に接続されており、前記バイナリデータは、前記入力電圧の値が前記基準電圧の値より低い場合、前記第1マルチプレクサーが、前記第1増幅回路の出力側と接続した第1入力端子と前記第1出力端子とを接続するデータであり、前記第2マルチプレクサーが、前記第4増幅回路の出力側と接続した第2入力端子と前記第2出力端子とを接続するデータであることを特徴とする度補償型発振回路。
第1可変容量素子と第2可変容量素子が振動子に対して並列に接続された発振回路において、入力電圧を基準電圧より低く制御した場合、第2可変容量素子の容量が大きくなるため、第1可変容量素子に印加される温度補償電圧の発振回路全体に対する温度補償の感度が低くなり、補償不足の状態となる。しかしこの場合、第2温度補償電圧発生回路が温度補償電圧と逆相の補助温度補償電圧を第1可変容量素子に出力するため、第1可変容量素子に印加される電位差の温度特性の振幅を大きくして補償不足の状態を抑制することができる。
記第1可変容量素子と、前記第2可変容量素子は前記振動子に対して直列に接続され、前記第2温度補償電圧発生回路と前記エンコーダーとの間にはインバーターが介装されており、前記バイナリデータは、前記入力電圧の値が前記基準電圧の値より高い場合、前記第1マルチプレクサーが、前記第1増幅回路の出力側と接続した第1入力端子と前記第1出力端子とを接続するデータであり、前記第2マルチプレクサーが、前記第3増幅回路の出力側と接続した第2入力端子と前記第2出力端子とを接続するデータであることを特徴とする度補償型発振回路。
第1可変容量素子と第2可変容量素子が直列に接続された発振回路において、入力電圧を基準電圧より高く制御した場合、第2可変容量素子の容量が小さくなるため、第1可変容量素子に印加される温度補償電圧の発振回路全体に対する温度補償の感度が低くなり、補償不足の状態となる。しかしこの場合、第2温度補償電圧発生回路が温度補償電圧と逆相の補助温度補償電圧を第1可変容量素子に出力するため、第1可変容量素子に印加される電位差の温度特性の振幅を大きくして補償不足の状態を抑制することができる。
記第1可変容量素子と、前記第2可変容量素子は前記振動子に対して直列に接続され、前記第2温度補償電圧発生回路と前記エンコーダーとの間にはインバーターが介装されており、前記バイナリデータは、前記入力電圧の値が前記基準電圧の値より低い場合、前記第1マルチプレクサーが、前記第2増幅回路の出力側と接続した第1入力端子と前記第1出力端子とを接続するデータであり、前記第2マルチプレクサーが、前記第4増幅回路の出力側と接続した第2入力端子と前記第2出力端子とを接続するデータであることを特徴とする度補償型発振回路。

第1可変容量素子と第2可変容量素子が動子に対して直列に接続された発振回路において、入力電圧を基準電圧より低く制御した場合、第2可変容量素子の容量が大きくなるため、第1可変容量素子に印加される温度補償電圧の発振回路全体に対する温度補償の感度が高くなり、過補償の状態となる。しかしこの場合、第2温度補償電圧発生回路が温度補償電圧と同相の補助温度補償電圧を第1可変容量素子に出力するため、第1可変容量素子に印加される電位差の温度特性の振幅を小さくして過補償の状態を抑制することができる。
第1実施形態に係る温度補償型発振回路の模式図である。 第1実施形態を構成する発振回路を構成する可変容量素子の模式図である。 第1実施形態を構成する第2温度補償電圧発生回路の回路図である。 第1実施形態を構成するAFC回路の回路図である。 第1実施形態に係る温度補償型発振回路の温度補償の模式図である。 第2実施形態に係る温度補償型発振回路の模式図である。 補助温度補償電圧を印加した場合の温度補償の状態を示す実験データである。 ATカット圧電振動子の周波数偏差の温度特性の一例を示す特性図である。 従来の温度補償型発振回路を示すブロック図である。
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
第1実施形態に係る温度補償型発振回路10を図1に示す。温度補償型発振回路10は、発振回路12、温度補償電圧発生回路29(第1温度補償電圧発生回路30、第2温度補償電圧発生回路44)、AFC回路54、エンコーダー38を有する。
発振回路12は、圧電振動子14としてATカット振動子(厚みすべり振動子)を用い、これと増幅回路とを組み合わせた例えばインバーター型発振回路であり、圧電振動子14に両端それぞれに第1可変容量素子16、第2可変容量素子18が並列に接続されている。また各可変容量素子の両端には直流成分を遮断するためのキャパシタ20、22が接続されている。第1可変容量素子16及び第2可変容量素子18は、MOSトランジスタをバラクターダイオードとして用いている。本実施形態において用いられる各可変容量素子は例えば図2に示すような2つの形態がある。
図2(a)はキャパシタ24と直列にN型のMOSトランジスタ26を接続した構成であり、A端子16a、18aはキャパシタ20に接続され、B端子16b、18bはキャパシタ22と接続される。B端子16bはさらに第2温度補償電圧発生回路44と接続され、B端子18bはさらにAFC回路54に接続される。
MOSトランジスタ26のドレイン(D)端子26aはキャパシタ24と接続され、ソース(S)端子26bはキャパシタ22に接続され、バックゲート(B)端子26cはソース(S)端子26bと接続され、ゲート(G)端子16cは、第1温度補償電圧発生回路30に接続されて温度補償電圧が印加され、ゲート(G)端子18cにはバックゲート(B)端子26cよりも高い電圧であって所定の一定バイアスが印加される。このときゲート(G)端子16c、18cに掛かる電圧を上昇させるとA端子16a、18a−B端子16b、18b間のC−V(容量−印加電圧)曲線は、MOSトランジスタ26のオン抵抗が小さくなって容量が線形に上昇し、その後キャパシタ24の容量値付近まで上昇させるとC−V特性は飽和状態(非線形)となる。
図2(b)はP型のMOSトランジスタ28のみを用いた構成であり、A端子16a、18aはキャパシタ20に接続され、B端子16b、18bはキャパシタ22に接続される。図2(b)において、MOSトランジスタ28のドレイン(D)端子28a、ソース(S)端子28bを接続して接地し、バックゲート(B)端子28cをキャパシタ22に接続し、ゲート(G)端子16cをキャパシタ20及び第1温度補償電圧発生回路の出力側にそれぞれ接続し、ゲート(G)端子18cにはバックゲート(B)端子28cよりも高い電圧であって所定の一定バイアスが印加される。ゲート(G)端子16c、18cに電圧を印加して上昇させていくとサブストレート(基板)上に形成されたNウェル領域に形成される空乏層が次第に拡大し、A端子16a、18a−B端子16b、18b間の容量が次第に大きくなる。そしてある程度電圧を上げていくと帯電する電荷の量が飽和し、容量が飽和する。MOSトランジスタ28の容量は、MOSトランジスタ28のゲート長Lやゲート幅W、酸化膜の厚み等に依存する。
第1温度補償電圧発生回路30は、温度センサ32、前記温度センサ32に並列に接続された1次電圧生成回路34及び3次電圧生成回路36、前記1次電圧生成回路34から出力される1次電圧と前記3次電圧生成回路36から出力される3次電圧とを加算して得られる温度補償電圧を第1可変容量素子16及び第2温度補償電圧発生回路44に出力する加算回路を有する。1次電圧生成回路34及び3次電圧生成回路36は、基準温度(25℃)において発振回路12が基準周波数fで発振し、温度変化による圧電振動子14の発振周波数の温度依存性を相殺する温度特性を有する1次電圧、3次電圧を示すデータを格納した記憶領域(不図示)をそれぞれ有し、温度センサ32から得た温度データをもとに、圧電振動子14の温度特性を相殺するためのデータを記憶領域から読み出して1次電圧、3次電圧を生成して出力する。このような温度補償を行うことにより発振回路12の発振周波数は温度変化が起きてもほぼ一定の周波数で発振することができる。なお、本実施形態においては、1次電圧と3次電圧を用いているが、より高次の電圧を生成させる回路を、1次電圧生成回路34及び3次電圧生成回路36に並列に接続してもよい。
エンコーダー38は、ユーザー側が発振回路12の発振周波数を所定の値に調整する第2可変容量素子18の容量を調整するAFC回路の入力電圧40と、基準電圧42との大小関係を1ビットのバイナリデータに変換するものであり、いわばコンパレータ(比較器)である。エンコーダー38は入力電圧40と基準電圧42とを入力し、入力電圧40が基準電圧42より高い場合は電圧L(0)のバイナリデータを出力し、逆に低い場合は電圧H(1)のバイナリデータを出力する。このバイナリデータは後述の第1マルチプレクサー52、及び第2マルチプレクサー60に入力される。なお、入力電圧40と基準電圧42とが一致する場合は、電圧H(1)、電圧L(0)のどちらかの信号を出力するように設計すればよい。本実施形態おいて、基準温度(25℃)において発振回路12を基準周波数fで発振させる場合には、後述の第2温度補償電圧発生回路44、及びAFC回路には基準電圧42(例えばVDD/2)の値とほぼ同じ値の入力電圧40が入力されるものとする。
図3に第2温度補償電圧発生回路44の回路図を示す。図3に示すように、第2温度補償電圧発生回路44は、第1温度補償電圧発生回路30から出力される温度補償電圧を反転増幅して出力する第1増幅回路46と、前記第1増幅回路46の後段に接続され、前記第1増幅回路46の出力を電圧利得1で反転増幅して得られる補助温度補償電圧を前記第1可変容量素子16の一端(B端子16b)に出力する第2増幅回路48と、前記第1増幅回路46に並列に接続され、前記入力電圧40に応じて前記第1増幅回路46の増幅度を調整する調整回路50と、前記第1増幅回路46の出力側、及び前記第2増幅回路48の出力側にそれぞれ接続された複数の第1入力端子52aと、前記第1可変容量素子16のB端子16bに接続した第1出力端子52bと、を有し、入力される前記バイナリデータによって前記第1出力端子52bと接続する前記複数の第1入力端子52aのうちの1つを選択可能な第1マルチプレクサー52と、を有している。
第1増幅回路46及び第2増幅回路48は、それぞれ参照電圧(ref.)を中心として入力電圧40と参照電圧(ref.)との差分を反転増幅するものである。よって第1増幅回路46に入力される温度補償電圧は、第1増幅回路46から出力すると温度特性が反転して逆相となり、第2増幅回路48から出力すると温度特性が再び反転して同相となる。
第1増幅回路46と並列に接続された調整回路50は、N型のMOSトランジスタ50aによって形成され、ドレイン(D)端子50bは第1増幅回路46を構成する抵抗R1、抵抗R2との間に接続され、ソース(S)端子50cは第2増幅回路48を構成する抵抗R3の前段に接続され、バックゲート端子(不図示)はソース(S)端子50cに接続されている。またゲート(G)端子50dは後述のAFC回路54の第2マルチプレクサー60の第2出力端子60bに接続されている。例えば、ゲート(G)端子50dに印加する電圧が低下させていくと、N型のMOSトランジスタ50aのVGS(ゲート・ソース間電圧)が下がっていきトランジスタのオン抵抗が大きくなるため、第1増幅回路46の増幅度が増加する。よって、調整回路50は入力電圧40に応じて第1増幅回路46の増幅度を調整するのものとなり、第1増幅回路46の増幅度は、調整回路50のゲート(G)端子50dに掛かる電圧(増幅度補正信号)により調整することができる。
第1マルチプレクサー52は、エンコーダー38から電圧L(0)の信号が入力されると第2増幅回路48の出力側に接続した第1入力端子52a(SW1)と第1出力端子52bとを接続し、電圧H(1)の信号が入力されると第1増幅回路46の出力側に接続した第1入力端子52a(SW2)と第1出力端子52bとを接続する。
第1可変容量素子16のゲート(G)端子16c及びB端子16bにそれぞれ、温度補償電圧及び補助温度補償電圧が印加された場合、第1可変容量素子16には近似的に温度補償電圧と補助温度補償電圧との差分の電圧が印加されることになる。よって補助温度補償電圧が温度補償電圧と同様の(同相の)温度特性を有する場合は、第1可変容量素子16による温度補償特性の振幅は小さくなり、第1可変容量素子16の温度補償を抑制する方向に作用させることになる。一方、補助温度補償電圧が温度補償電圧の温度特性を反転させた(逆相にした)温度特性を有する場合には、第1可変容量素子16による温度補償特性の振幅は大きくなり、第1可変容量素子16の温度補償を増大させる方向に作用させることになる。
ここで、入力電圧40が基準電圧42より低い場合は、発振回路12全体の等価容量に対する第1温度補償温度発生回路30の感度が低下して補償不足となるが、第2温度補償回路発生回路44は温度補償電圧と逆相となる補助温度補償電圧を第1可変容量素子16のB端子16bに出力することになるため、第1可変容量素子16において温度補償特性の振幅を大きくする方向に作用させて補償不足を補うことができる。一方、入力電圧40が基準電圧42より高い場合は、発振回路12全体の等価容量に対する第1温度補償電圧発生回路30の感度が増大して過補償となるが、第2温度補償電圧発生回路44は温度補償電圧が同相となる補助温度補償電圧を第1可変容量素子16のB端子16bに出力することになるため、第1可変容量素子16において温度補償特性の振幅を小さくする方向に作用させて過補償を抑制することができる。
図4にAFC回路54の回路図(図4(a))、及び増幅度補正信号64の入力電圧依存性(図4(b))を示す。図4(a)に示すように、AFC回路54は、発振回路12の発振周波数を所定の値に調整する出力電圧62を第2可変容量素子18のB端子18bに出力するとともに、第2温度補償電圧発生回路44中の第1増幅回路46の増幅度を補正する増幅度補正信号64を調整回路50のゲート(G)端子50dに出力するものである。
AFC回路54は、入力電圧を反転増幅して出力する第3増幅回路56と、前記第3増幅回路56の後段に接続され、前記第3増幅回路56の出力を電圧増幅1で反転増幅して得られる前記出力電圧を前記第2可変容量素子18のB端子18bに出力する第4増幅回路58と、前記第3増幅回路56の出力側、及び前記第4増幅回路58の出力側にそれぞれ接続した複数の第2入力端子60aと、前記調整回路50に接続した第2出力端子60bとを有し、入力される前記バイナリデータによって前記第2出力端子60bと接続する前記複数の第2入力端子60aのうちの1つを選択可能な第2マルチプレクサー60と、を有している。
第3増幅回路56及び第4増幅回路58は、それぞれ所定のバイアス電圧(ref.)を基準とし、入力電圧40との差分を反転増幅するものである。よって第3増幅回路56に入力される入力電圧40において、第3増幅回路56からの出力は入力電圧40を増加させると減少し、第4増幅回路58からの出力は入力電圧40を増加させると増加する。なお、第3増幅回路56の増幅度は可変抵抗VRにより調整可能で、これによりAFC回路54の入力感度を調整している。
第2マルチプレクサー60は、エンコーダー38から電圧L(0)の信号が入力されると第3増幅回路56の出力側に接続した第2入力端子60a(SW1)と第2出力端子60bとを接続し、電圧H(1)の信号が入力されると第4増幅回路58の出力側に接続した第2入力端子60a(SW2)と第2出力端子60bとを接続する。
よって、第2マルチプレクサー60から出力され調整回路50のゲート端子50dに入力される増幅度補正信号64は、図4(b)に示すように、入力電圧40をゼロから上昇させていくとそれに従い上昇するが、入力電圧40の値が基準電圧の値を超えると第2マルチプレクサー60の接続が切り替わるため逆に減少することになる。したがって入力電圧40をゼロから上昇させると増幅度補正信号64が大きくなるため調整回路50のN型MOSトランジスタ50aのVGSは大きくなってオン抵抗が次第に減少していき、入力電圧40の値が基準電圧42の値と一致するとそのVGSは最大となり、入力電圧40の値が基準電圧42の値を超えると増幅度補正信号64が小さくなって調整回路50のN型MOSトランジスタ50aのVGSは再び小さくなってオン抵抗が増加していくため、第1増幅回路46の増幅度は入力電圧40の値が基準電圧42の値と同じときが最も小さく、入力電圧40の値が基準電圧42の値より離れるほど大きくなる。
よって、第2温度補償電圧発生回路44から出力される補助温度補償電圧は、入力電圧40の値が基準電圧42の値と同じ場合が最も振幅の小さい状態となり、入力電圧40の値を基準電圧42の値より小さくしていくと、補助温度補償電圧は温度補償電圧と同相でその振幅を大きくしていき、入力電圧40の値を基準電圧42の値より大きくしていくと、補助温度補償電圧は温度補償電圧と逆相でその振幅を大きくしていくことになる。
したがって、本実施形態に係る温度補償型発振回路10を構成する温度補償電圧発生回路29を端的にみると、圧電振動子14と、前記圧電振動子14の発振周波数の温度補償を行う第1可変容量素子16と、前記発振周波数を所定の値に調整する第2可変容量素子18と、を有する発振回路12と、前記第2可変容量素子18に接続され、前記第2可変容量素子18の容量を制御するAFC回路54と、に接続される温度補償電圧発生回路29であって、前記温度補償電圧発生回路29は、前記第1可変容量素子16の一端(ゲート(G)端子16c)に接続され、前記第1可変容量素子16の容量を制御する温度補償電圧を出力する第1温度補償電圧発生回路30と、入力側が、前記第1温度補償電圧発生回路30及び前記AFC回路54に接続され、出力側が前記第1可変容量素子16の一端の反対側の他端(B端子16b)に接続され、入力された前記温度補償電圧と前記AFC回路54の出力とによって生成された補助温度補償電圧を前記第1可変容量素子16に出力する第2温度補償電圧発生回路44と、を有する構成となる。
図5に本実施形態に係る温度補償型発振回路10の温度補償の模式図を示す。図5(a)は入力電圧の値と基準電圧の値が同じ場合、図5(b)が補償不足を抑制する場合、図5(c)が過補償を抑制する場合の模式図である。本実施形態において、図5(a)に示すように、入力電圧40の値を基準電圧42の値と同じとした場合、温度補償電圧による温度補償は最も効率よく行われているため、補助温度補償電圧は温度補償電圧と同相であるか逆相であるかを問わず、その温度特性の振幅は最小となっている。なお、上述のように入力電圧40の値を基準温度の値と同じとした場合に補助温度補償電圧が温度補償電圧と同相となるか逆相となるかはエンコーダー38の設計による。
入力電圧40の値を基準電圧42の値より下げていくと、第2可変容量回路18のバックゲート側のB端子(18b)の電圧が下がり、第2可変容量素子18の電位差としては増える方向となるので容量は増加する。したがって、第1可変容量素子16に印加される温度補償電圧の発振回路全体に対する温度補償の感度が低くなって温度補償が不足する状態となり、入力電圧40の値が基準電圧42の値からはなれるほど顕著となる。
しかし、このとき第1マルチプレクサー52において第1増幅回路46からの出力が選択され補助温度補償電圧は温度補償電圧と逆相の出力となるため、第1可変容量素子16に係る電位差において、温度補償による振幅を増大させる形となる。よって温度補償電圧の発振回路12に対する温度補償の感度を増大させて温度補償を効果的に行うことができる。さらに補助温度補償電圧は入力電圧40の値が基準電圧42の値より離れるほど、その温度特性の振幅を大きくすることになるので、補助温度補償電圧を入力電圧40に追従して変化させて第1可変容量素子16の発振回路12に対する温度補償の感度を安定化させ、第1可変容量素子16による発振回路12の温度補償を効果的に行うことができる。
一方、入力電圧40の値を基準電圧の値より上げていくと、第2可変容量回路18のバックゲート側のB端子(18b)の電圧が上がり、第2可変容量素子18の電位差としては減る方向となるので容量は減少する。したがって、第1可変容量素子16に印加される温度補償電圧の発振回路全体に対する温度補償の感度が高くなって温度補償が効き過ぎる状態となり、入力電圧40の値が基準電圧42の値からはなれるほど顕著となる。
しかし、このとき第1マルチプレクサー52において第2増幅回路48からの出力が選択され補助温度補償電圧は温度補償電圧と同相の出力となるため、第1可変容量素子16に係る電位差において、温度補償による振幅を抑制させる形となる。よって温度補償電圧の発振回路12に対する温度補償の感度を抑えて温度補償を効果的に行うことができる。さらに補助温度補償電圧は入力電圧40の値が基準電圧42の値より離れるほど、その温度特性の振幅を小さくすることになるので、補助温度補償電圧を入力電圧40に追従して変化させて第1可変容量素子16の発振回路12に対する温度補償の感度を安定化させ、第1可変容量素子16による温度補償を効果的に行うことができる。
第2実施形態に係る温度補償型発振回路70を図6に示す。第2実施形態に係る温度補償型発振回路70は基本的には第1実施形態と共通するが、発振回路72中の第1可変容量素子74と第2可変容量素子76が直列に接続され、第2温度補正電圧発生回路44とエンコーダー38との間にインバーター76が介装されている。
第2実施形態のように第1可変容量素子74と第2可変容量素子76を直列とした構成において、入力電圧40の値を基準電圧42の値から小さくしていくと、第2可変容量素子76の容量が大きくなる。したがって第1可変容量素子16に印加される温度補償電圧の発振回路全体に対する温度補償の感度が高くなって温度補償が効き過ぎる状態となり、入力電圧40の値が基準電圧42の値からはなれるほど顕著となる。
しかし、インバーター76を第2温度補償電圧発生回路44とエンコーダー38との間に介装することにより、第1マルチプレクサー52(第1実施形態参照)において第2増幅回路48(第1実施形態参照)からの出力が選択され補助温度補償電圧は温度補償電圧と同相の出力となるため、第1可変容量素子74に係る電位差において、温度補償による振幅を抑える形となる。よって温度補償電圧の発振回路72に対する温度補償の感度を抑制させて温度補償を効果的に行うことができる。さらに補助温度補償電圧は入力電圧40の値が基準電圧42の値から離れるほど、その温度特性の振幅を小さくすることになるので、補助温度補償電圧を入力電圧40に追従して変化させて第1可変容量素子74の発振回路72に対する温度補償の感度を安定化させ、第1可変容量素子による温度補償を効果的に行うことができる。
一方、入力電圧40の値を基準電圧42の値から大きくしていくと、第2可変容量素子76の容量が小さくなる。したがって第1可変容量素子16に印加される温度補償電圧の発振回路全体に対する温度補償の感度が低くなって温度補償が不足する状態となり、入力電圧40の値が基準電圧72の値からはなれるほど顕著となる。しかし、このときは上述の構成により、第1マルチプレクサー52(第1実施形態参照)において第1増幅回路46(第1実施形態参照)からの出力が選択され補助温度補償電圧は温度補償電圧と逆相の出力となるため、第1可変容量素子74に係る電位差において、温度補償による振幅を増大させる形となる。よって温度補償電圧の発振回路72に対する温度補償の感度を増大させて温度補償を効果的に行うことができる。さらに補助温度補償電圧は入力電圧40の値が基準電圧42の値より離れるほど、その温度特性の振幅を大きくすることになるので、補助温度補償電圧を入力電圧に追従して変化させて第1可変容量素子74の発振回路72に対する温度補償の感度を安定化させ、第1可変容量素子74による温度補償を効果的に行うことができる。
本願発明者は本発明の第1実施形態に係る温度補償型発振回路10の第1可変容量素子16に補助温度補償電圧を印加した場合の温度補償の効果について調査した。図7にその調査結果を示す。いずれの場合も入力電圧40を0.1V、0.9V、1.7Vに設定した場合の発振回路12の温度依存性についてプロットしている。なお、温度補償の際の入力電圧40は0.9Vで、このときに温度補償が最適になるようにしている。図7(a)に示すように第1可変容量素子16に補助温度補償電圧を印加しない場合は、入力電圧40を0.1Vに下げた場合においては補償不足の状態であり、逆に入力電圧40を1.7Vに上げた場合では過補償の状態になっており、−30℃〜85℃の温度範囲において周波数偏差が0.5ppm以上有することが分かる。一方、図7(b)に示すように、補助温度補償電圧を印加した場合は、入力電圧40をいずれの値にしたときも、補償不足、及び過補償の状態が抑制され、−30℃〜85℃の温度範囲において周波数偏差が0.5ppm以内に収まっていることが分かる。
以上説明したように本発明に係る温度補償電圧発生回路29及び温度補償型発振回路10、70によれば、温度補償電圧には1次電圧、3次電圧のみならず、より高次の温度特性を示す電圧を加えることが可能である。さらに、第1可変容量素子16、74には近似的に温度補償電圧と補助温度補償電圧との差分の電圧が印加されることになる。温度補償電圧をAFC回路54の出力(増幅度補正信号64)により補正して増幅することにより補助温度補償電圧を出力することができるので、増幅回路は1つでまかなうことができ、低位相雑音化が容易な温度補償電圧発生回路10、70となる、また第1温度補償電圧発生回路44から第1可変容量素子16、74に印加される温度補償電圧を変動させることなく、AFC回路54の出力に応じて変動する補助温度補償電圧により第1可変容量素子16、74に掛かる電圧を調整することができ、AFC回路54からの出力電圧62が変化した場合も良好な温度特性を維持することができる。また温度補償に用いる第1可変容量素子16、74の印加電圧範囲を広くとることができ、第1可変容量素子16の線形応答領域を従来よりもさらに有効に利用することができる。さらには第1可変容量素子16、74のC−V特性を広く利用するこ補正をする者とができるので、補償電圧の範囲を広げて発振器側の温度補償の感度を落とすことができ、低位相雑音化を図ることが可能となる。
また、補助温度補償電圧は入力電圧40の値と基準電圧42の値との大小関係によりその温度特性を反転させることができる。さらに入力電圧40の値が基準電圧42の値から離れるほど、補助温度補償電圧の増幅度は高くなる。よって補助温度補償電圧を入力電圧に追従して変化させることにより、第1可変容量素子16、74の発振回路12、72に対する温度補償の感度を安定化させ、第1可変容量素子16を用いた温度補償を効果的に行うことができる温度補償型発振回路10、70となる。
第1実施形態に示すように、第1可変容量素子16と第2可変容量素子18が圧電振動子に対して並列に接続された発振回路において、入力電圧40が基準電圧42より高く制御した場合、第2可変容量素子の容量が小さくなるため、第1可変容量素子16に印加される温度補償電圧の発振回路12全体に対する温度補償の感度が高くなり、過補償の状態となる。しかしこの場合、第2温度補償電圧発生回路44が温度補償電圧と同相の補助温度補償電圧を第1可変容量素子16のB端子16bに出力するため、第1可変容量素子16に印加される電位差の温度特性の振幅を少なくして過補償の状態を抑制することができる。
一方、入力電圧40を基準電圧42より低く制御した場合、第2可変容量素子18の容量が大きくなるため、第1可変容量素子16に印加される温度補償電圧の発振回路12全体に対する温度補償の感度が低くなり、補償不足の状態となる。しかしこの場合、第2温度補償電圧発生回路44が温度補償電圧と逆相の補助温度補償電圧を第1可変容量素子16のB端子16bに出力するため、第1可変容量素子16に印加される電位差の温度特性の振幅を大きくして補償不足の状態を抑制することができる。
第2実施形態に示すように、第1可変容量素子74と第2可変容量素子76が直列に接続された発振回路72において、入力電圧40を基準電圧42より高く制御した場合、第2可変容量素子76の容量が小さくなるため、第1可変容量素子74に印加される温度補償電圧の発振回路12全体に対する温度補償の感度が低くなり、補償不足の状態となる。しかしこの場合、第2温度補償電圧発生回路44が温度補償電圧と逆相の補助温度補償電圧を第1可変容量素子16のB端子16bに出力するため、第1可変容量素子16に印加される電位差の温度特性の振幅を大きくして補償不足の状態を抑制することができる。
一方、入力電圧40を基準電圧42より低く制御した場合、第2可変容量素子18の容量が大きくなるため、第1可変容量素子74に印加される温度補償電圧の発振回路72全体に対する温度補償の感度が高くなり、過補償の状態となる。しかしこの場合、第2温度補償電圧発生回路44が温度補償電圧と同相の補助温度補償電圧を第1可変容量素子16のB端子16bに出力するため、第1可変容量素子16に印加される電位差の温度特性の振幅を小さくして過補償の状態を抑制することができる。
10………温度補償型発振回路、12………発振回路、14………圧電振動子、16………第1可変容量素子、18………第2可変容量素子、20………キャパシタ、22………キャパシタ、24………キャパシタ、26………MOSトランジスタ、28………MOSトランジスタ、29………温度補償電圧発生回路、30………第1温度電圧発生回路、32………温度センサ、34………1次電圧生成回路、36………3次電圧生成回路、38………エンコーダー、40………入力電圧、42………基準電圧、44………第2温度補償電圧発生回路、46………第1増幅回路、48………第2増幅回路、50………調整回路、52………第1マルチプレクサー、54………AFC回路、56………第3増幅回路、58………第4増幅回路、60………第2マルチプレクサー、62………出力電圧、64………増幅度補正信号、70………温度補償型発振回路、72………発振回路、74………第1可変容量素子、76………第2可変容量素子、78………インバーター、105………バラクターダイオード、106………ATカット水晶振動子、107………発振回路、108………出力端子、109………1次電圧発生回路、110………3次電圧発生回路、111………温度補償電圧発生回路、112………記憶デバイス、113………AFC回路、114………入力端子。

Claims (2)

  1. 温度補償された発振周波数を可変制御し、前記可変制御の状態と前記温度補償の制御状態とから、前記可変制御状態の変化に応じて生じる前記温度補償の補償量の変化を補償する手段を備えている温度補償型発振回路において、
    振動子、発振周波数の温度補償をする電圧制御型の第1可変容量素子、前記発振周波数 を可変制御する周波数制御回路、及び前記周波数制御回路に接続され前記発振周波数を調 整する電圧制御型の第2可変容量素子を有し、
    前記第1可変容量素子の一端に前記第1可変容量素子の容量を制御する前記温度補償の ための温度補償電圧を出力する第1温度補償電圧発生回路と、
    前記温度補償電圧と前記周波数制御回路の出力とによって生成された前記補償量を調整 する補助温度補償電圧を前記第1可変容量素子の他端に出力する第2温度補償電圧発生回 路と、を有していることを特徴とする温度補償型発振回路。
  2. 請求項に記載の温度補償型発振回路において、
    前記第1温度補償電圧発生回路は、前記振動子の発振周波数の温度特性に対応して温度変化により3次関数的に変化する3次電圧を生成する3次電圧生成回路を有するとともに前記3次電圧に基づいて前記温度補償電圧を出力することにより、前記補助温度補償電圧が温度変化により3次関数的に変化することを特徴とする温度補償型発振回路。
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