以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、従来の発振器100の構成例を示す。発振器100は、発振部10、近似n次関数生成回路20及びゲイン可変回路30を備える。
発振部10は、近似n次関数生成回路20及びゲイン可変回路30から入力された第1制御信号V1及び第2制御信号V2に応じた周波数で発振する。発振部10は、水晶振動子SS、帰還抵抗R、増幅器A、第1制御素子11、第2制御素子12、第1制御端子13及び第2制御端子14を有する。
近似n次関数生成回路20は、発振部10の温度特性を一定にするために、第1制御信号V1を第1制御端子13に出力する。一般的に、水晶振動子SSの周波数は、環境温度の変化に応じて変動する。例えば、水晶振動子SSの周波数は、環境温度の変化により、予め定められた基準周波数から第1周波数オフセットだけずれる。この場合、第1制御信号V1は、第1周波数オフセットを補償するように決定される。
例えば、近似n次関数生成回路20は、第1制御信号V1として、環境温度に応じた第1補正値を決定する。ここで、第1補正値とは、第1周波数オフセットで動作すべく、第2制御信号V2が入力された発振部10の温度特性を一定とするような補正値である。第1補正値は、予め定められた温度毎に測定されてよい。なお、本例の環境温度は、近似n次関数生成回路20の温度であるが、発振器100の内部のいずれかの環境温度、もしくは、発振器100の外部の温度であってもよい。
本明細書において、「温度特性」とは、温度の変化に対する発振部10の発振周波数特性を示す。また、「温度特性が一定」とは、温度の変化によらず発振周波数が略一定となることを示す。また、「略一定」とは、近似n次関数生成回路20による補正前に比べて、発振部10の発振周波数の変動が90%程度減少することを指してよい。
第1ゲイン可変回路30は、入力された周波数制御信号に応じて発振部10の発振周波数を調整する。周波数制御信号は、発振部10の目標とする発振周波数に応じた信号である。例えば、本例の周波数制御信号は、外部より入力された入力電圧Vinである。第1ゲイン可変回路30は、入力電圧Vinを増幅した第2制御信号V2を生成する。第2制御信号V2は、第2制御端子14を介して第2制御素子12に入力され、発振部10の発振周波数を制御する。
水晶振動子SSは、水晶パラメータ及び発振器パラメータに応じた発振周波数で振動する。水晶振動子SSの入力端子Va及び出力端子Vbは、第1制御素子11及び第2制御素子12にそれぞれ接続される。
帰還抵抗Rは、水晶振動子SSと並列に接続される抵抗である。帰還抵抗Rは、水晶振動子SSの出力端子Vb側から、信号を水晶振動子SSの入力端子Vaに帰還させて、水晶振動子SSの入力と出力のDC動作点を定める。
増幅器Aは、水晶振動子SSと並列に接続されて、負性抵抗を発生し、水晶振動子SSの振動を継続させる。例えば、増幅器Aは、CMOSインバータにより構成される。
第1制御素子11は、近似n次関数生成回路20の出力する第1制御信号V1に基づいて、水晶振動子SSの発振周波数を制御する。第1制御素子11は、入力された電圧に応じて容量が変化する第1可変容量素子MA1及び第1可変容量素子MB1を備える。
第1可変容量素子(MA1、MB1)は、それぞれMOSトランジスタで構成される。第1可変容量素子MA1において、ゲート端子が第1制御端子13を介して近似n次関数生成回路20に、ソース端子が水晶振動子SSの入力端子Vaに接続される。第1可変容量素子MB1において、ゲート端子が第1制御端子13を介して近似n次関数生成回路20に、ソース端子が水晶振動子SSの出力端子Vbに接続される。第1可変容量素子(MA1、MB1)のゲート端子には、近似n次関数生成回路20から第1制御信号V1が入力される。
第2制御素子12は、第1ゲイン可変回路30の出力する第2制御信号V2に基づいて水晶振動子SSの発振周波数を制御する。第2制御素子12は、入力された電圧に応じて容量が変化する第2可変容量素子MA2及び第2可変容量素子MB2を備える。
第2可変容量素子(MA2、MB2)は、それぞれMOSトランジスタで構成される。第2可変容量素子MA2において、ゲート端子が第2制御端子14を介して第1ゲイン可変回路30に、ソース端子が水晶振動子SSの入力端子Vaに接続される。第2可変容量素子MB2において、ゲート端子が第2制御端子14を介して第1ゲイン可変回路30に、ソース端子が水晶振動子SSの出力端子Vbに接続される。第2可変容量素子(MA2、MB2)のゲート端子には、第1ゲイン可変回路30から第2制御信号V2が入力される。
可変容量素子(MA1、MA2、MB1、MB2)を構成するMOSトランジスタのバルクには基準電圧(例えば接地電位)が印加される。本例の可変容量素子(MA1、MA2、MB1、MB2)を構成するMOSトランジスタのドレイン端子は接続対象を持たないが、ドレイン端子をソース端子と接続してよい。
なお、本例の発振部10は、4つの可変容量素子(MA1、MA2、MB1、MB2)を備えることにより、水晶振動子SSの発振周波数を調整した。しかしながら、発振部10は、少なくとも1つの可変容量素子を有すれば、水晶振動子SSの発振周波数を調整できる。例えば、発振部10は、入力端子Vaに接続された2つの可変容量素子(MA1、MA2)を有するが、出力端子Vbに接続された2つの可変容量素子(MB1、MB2)を有さない構成であってよい。更には、2つの可変容量素子(MA1、MA2)、(MB1、MB2)を共通化し、第1制御信号V1と第2制御信号V2を加算した制御信号を入力とする構成をとってもよい。
図2は、近似n次関数生成回路20の構成例を示す。近似n次関数生成回路20は、第1温度検出回路50及び温度補償信号生成部40を備える。
第1温度検出回路50は、発振器100において予め定められた部分の環境温度を検出する。本例の環境温度は、近似n次関数生成回路20の温度である。例えば、第1温度検出回路50は、第1温度信号として、第1温度センサ電圧Vtsensを生成する。第1温度センサ電圧Vtsensは、温度補償信号生成部40に入力される。
温度補償信号生成部40は、入力された第1温度センサ電圧Vtsensに基づいて、第1制御信号V1を生成する。温度補償信号生成部40は、関数生成部41及び電圧加算器42を備える。
関数生成部41は、発振部10が予め定められた発振周波数で発振するような第1制御信号V1を生成するために、複数次の関数を生成する。関数生成部41は、1次成分発生回路41a、2次成分発生回路41b、3次成分発生回路41c、4次成分発生回路41d及び5次成分発生回路41eを備える。関数生成部41は、1次成分発生回路41a〜5次成分発生回路41eの全てを備える必要はなく、少なくとも1次成分発生回路41a〜5次成分発生回路41eのいずれか一つを備えていればよい。
1次成分発生回路41a〜5次成分発生回路41eには、それぞれ第1温度センサ電圧Vtsensが入力される。1次成分発生回路41a〜5次成分発生回路41eは、第1温度センサ電圧Vtsensを次数に応じてべき乗し、且つ、正または負の値の予め定められた係数を乗算した電圧を生成する。1次成分発生回路41a〜5次成分発生回路41eにおける各係数は、温度毎に生成すべき第1補正値により定められる。なお、1次成分発生回路41a〜5次成分発生回路41eにおける各係数は可変に設定される。これにより、第1温度検出回路50が検出した環境温度と、第1制御信号V1との関係が可変に設定できる。
電圧加算器42は、関数生成部41が生成した各次数の信号を加算する。これにより、電圧加算器42が出力する信号は、1次から5次までの任意の次数を有する温度依存の第1制御信号V1となる。
図3は、第1ゲイン可変回路30の構成例を示す。第1ゲイン可変回路30は、オペアンプ31、抵抗32及び可変帰還抵抗33を備えることにより、反転増幅回路を構成する。即ち、オペアンプ31の反転入力端子は、抵抗32の一端に接続され、オペアンプ31の反転入力端子と出力端子には、オペアンプ31と並列に可変帰還抵抗33が接続される。第1ゲイン可変回路30は、入力電圧Vinを任意のゲインで増幅した第2制御信号V2を、第2制御端子14に出力する。
図4及び図5は、オフセット周波数調整時における周波数の温度特性の理想的な値(図4)と実際の値(図5)を示す。横軸は温度を、縦軸は周波数fを示す。本例では、基準周波数をf0として、第1周波数オフセットのオフセット量を0とする。また、第2周波数オフセットによってオフセットされた周波数をf1とする。つまり、f0は、オフセットの調整がされていない状態(VAFCセンター時)の周波数を示す。オフセットとは、VAFCセンター時の基準周波数からの変化量を指す。VAFCとは、AFC用の電圧を指す。例えば、VAFCは、第1ゲイン可変回路30に入力される入力電圧Vinである。
図4は、オフセット調整後の理想的な周波数の温度特性を示す。発振器100は、近似n次関数生成回路20が出力する第1制御信号V1により、発振部10の発振周波数が温度によらずf0で一定となるように調整する。つまり、発振部10の温度特性が一定となるような第1制御信号V1を検出する。そして、第1ゲイン可変回路30からの第2制御信号V2によって発振周波数fをf0からf1に変更した場合も、上述した第1制御信号V1により発振部10を制御する。理想的には、発振周波数がf1に変化した場合であっても、図4に示すように、温度(Ta、T0、Tb)のいずれにおいても、周波数の変化量(ΔfLa、ΔfL0、ΔfLb)がそれぞれ等しくなり、発振部10の発振周波数の温度特性がf1で一定となることが好ましい。
図5は、オフセット調整後の実際の周波数の温度特性を示す。実際には、発振周波数fをf0からf1に変更した場合に、発振周波数の変更前と同一の第1制御信号V1を用いると、温度(Ta、T0、Tb)における、周波数の変化量(ΔfLa、ΔfL0、ΔfLb)は互いに異なる値となる。そのため、オフセット調整後の周波数fが一定の周波数f1とならない。つまり、VAFCセンター時に周波数fの温度特性を調整しても、オフセット調整後は、温度特性が劣化して、発振器100の温度特性を精度よく補償できない。
図6は、発振器100の発振周波数f(縦軸)と等価容量CCL(横軸)との関係を示す。図6より、発振器100の等価容量CCLが増加するに伴い、発振器100の発振周波数fが減少するが、減少の傾きは一定でないことが分かる。
異なる周波数オフセットを有する各周波数(fa、f0、fb)において、発振器100の等価容量CCLをΔCLだけ小さくした場合、各周波数(fa、f0、fb)の発振周波数fの変化量(ΔfLa、ΔfL0、ΔfLb)は互いに異なる値となる。このため、周波数オフセットを変更すると、第1制御信号V1で補償される周波数の大きさが変動してしまい、温度特性を過大または過小に補償することになる。即ち、オフセット調整後の温度特性が劣化する原因は、第1制御信号V1の温度特性により、発振器100の等価容量CCLが異なるため第2制御端子から見た発振器感度が変化することである。また、そもそもの発振器100の感度に温度特性を有することも原因の一つである。
上記のような温度特性の劣化は、数ppm程度の周波数安定度を要求される温度補償型発振器においては影響が少ない。しかしながら、例えば、0.5ppm以下のような、高い周波数安定度が要求される携帯電話の基地局又はStratum3規格の伝送装置等の温度補償型発振器においては好ましくない。一例として、Stratum3では±0.28ppm以内の周波数安定度が要求される。更に近年では、OCXOと同程度の周波数安定度が要求される場合もある。
図7は、発振器200の構成例を示す。発振器200は、第1ゲイン可変回路30の代わりにゲイン温度特性調整用の第2ゲイン可変回路60を備える点で発振器100と異なる。
第2ゲイン可変回路60は、発振部10が第2制御信号V2の感度に温度特性を有する場合に生じる温度特性の劣化を補償する。第2ゲイン可変回路60は、検出した環境温度に基づいて、第2制御信号V2を生成する。例えば、第2ゲイン可変回路60は、第2制御信号V2として、第2補正値を生成し、第2制御端子14に出力する。
第2補正値は、第1制御信号V1が入力された発振部10の温度特性を一定とするような補正値である。即ち、第2補正値は、第1補正値に対応する第1制御信号V1を第1制御端子13に入力している状態で、発振部10の温度特性を一定にする第2制御信号V2である。つまり、第2補正値の各温度における測定時において、第1制御端子13には、各温度における第1補正値に応じた第1制御信号V1が入力される。具体的には、入力電圧Vinとバイアス電圧Vbiasの差をゲイン可変回路によって決定されるゲインだけ増幅して第2制御信号V2を発生する。
図8は、発振器200の具体的な構成例を示す。本例の第2ゲイン可変回路60は、可変ゲイン増幅器(VGA)70、ゲイン調整信号生成部80及び第2温度検出回路90を備える。
第2温度検出回路90は、発振器200において予め定められた部分の環境温度を検出する。本例の第2温度検出回路90が検出する環境温度は、第2ゲイン可変回路60の温度である。第2温度検出回路90が検出する環境温度は、第1温度検出回路50が検出する環境温度と同一の部分であっても異なる部分であってもよい。例えば、第2温度検出回路90は、第2温度信号として、第2温度センサ電圧Vtsensを生成する。第2温度センサ電圧Vtsensは、ゲイン調整信号生成部80に入力される。後述するように第1オフセット周波数を発生する入力電圧Vinとバイアス電圧Vbiasを同じにすることで、第2ゲイン可変回路60のゲインを調整してゲインが変わったとしても、第2ゲイン可変回路60によって、増幅された信号が0であるため、第2制御信号V2の電位は変わらない。これにより、第2ゲイン可変回路60は、近似n次関数生成回路20とは独立して温度特性を補償する。独立して温度特性を補償することにより、近似n次関数生成回路20が温度補償をした後に、第2ゲイン可変回路60がAFCを行っても、温度補償精度が劣化しにくくなる。
ゲイン調整信号生成部80は、第2温度センサ電圧Vtsensに基づいて、ゲイン調整信号を生成する。また、ゲイン調整信号生成部80は、生成した温度依存電流を可変ゲイン増幅器70に出力する。例えば、ゲイン調整信号は、環境温度を変数とする5次関数によって定められた温度依存電流である。
可変ゲイン増幅器70は、ゲイン調整信号生成部80からの温度依存電流に応じたゲインで、入力電圧Vinを増幅する。可変ゲイン増幅器70は、増幅した信号を第2制御信号V2として第2制御端子14に出力する。
図9は、第2ゲイン可変回路60の構成例を示す。本例の可変ゲイン増幅器70は、シングルで入力された入力電圧Vinを、シングルのまま(差動信号を生成しないで)増幅して出力する。可変ゲイン増幅器70は、ミラー回路73、オペアンプ71及び抵抗72を備える。
ミラー回路73は、第1MOSトランジスタMOS1、第2MOSトランジスタMOS2、第1トランジスタTr1、第2トランジスタTr2を備える。第1トランジスタTr1のベース端子には入力電圧Vinが、第2トランジスタTr2のベース端子にはバイアス1がそれぞれ入力される。本例のバイアス1は、可変バイアスであり、入力電圧Vinが基準電圧時にゲイン可変回路の差動入力が0となるように設定される。
第1トランジスタTr1のコレクタ端子及びエミッタ端子は、第1MOSトランジスタMOS1のドレイン端子及びゲイン調整信号生成部80にそれぞれ接続される。第1MOSトランジスタMOS1及び第2MOSトランジスタMOS2のドレイン端子は基準電圧Vrefとなる。第1MOSトランジスタMOS1及び第2MOSトランジスタMOS2のゲート端子は、第1MOSトランジスタMOS1のドレイン端子に接続される。これによりカレントミラー回路が構成される。
第2MOSトランジスタMOS2のドレイン端子は、第2トランジスタTr2のコレクタ端子及びオペアンプ71の反転入力端子が接続される。第2トランジスタTr2のエミッタ端子は、ゲイン調整信号生成部80に接続される。
第1MOSトランジスタMOS1及び第1トランジスタTr1には、入力電圧Vinに応じた電流I1が流れる。第2MOSトランジスタMOS2には、電流I1をミラーした電流I2が流れる。第1MOSトランジスタMOS1及び第2MOSトランジスタMOS2の特性が同じ場合、電流I1及び電流I2は等しくなる。
ゲイン調整信号生成部80は、入力電圧Vinに対する出力電流Ioutのゲインを、環境温度に応じて調整する。具体的には、ゲイン調整信号生成部80は、ミラー回路73に出力するテール電流を環境温度に応じて微調して、ミラー回路73のゲインを制御する。
ミラー回路73は、ゲイン調整信号生成部80が生成したテール電流に応じたゲインで出力電流Ioutを生成する。出力電流Ioutは、第2MOSトランジスタMOS2に流れる電流I2と、第2トランジスタTr2に流れる電流I2'の差分となる。また、ゲイン調整信号生成部80は、電流I1と電流I2'の和の大きさを規定するテール電流を、環境温度に応じて微調して出力電流Ioutを調整する。出力電流Ioutは、入力電圧Vinとバイアス電圧Vbiasの差及びテール電流の積に比例する。
オペアンプ71は、出力電流Ioutを増幅して第2制御端子14に出力する。オペアンプ71の反転入力端子には、ミラー回路73からの出力電流Ioutが入力される。オペアンプ71は、オペアンプ71と並列となるように、出力端子と反転入力端子に接続された抵抗72と、増幅回路を構成する。
図10は、ゲイン調整信号生成部80の構成例を示す。本例のゲイン調整信号生成部80は、関数生成部81、電圧加算器82及びV−I変換回路83を備える。
関数生成部81は、発振部10を予め定められた発振周波数で発振させる第2制御信号V2を生成するために、複数次の関数を生成する。関数生成部81は、1次成分発生回路81a、2次成分発生回路81b、3次成分発生回路81c、4次成分発生回路81d及び5次成分発生回路81eを備える。関数生成部81は、1次成分発生回路81a〜5次成分発生回路81eの全てを備える必要はなく、少なくとも1次成分発生回路81a〜5次成分発生回路81eのいずれか一つを備えていればよい。
1次成分発生回路81a〜5次成分発生回路81eには、第2温度検出回路90が検出した第2温度センサ電圧Vtsensが入力される。1次成分発生回路81a〜5次成分発生回路81eは、入力された第2温度センサ電圧Vtsensを、次数に応じてべき乗し、且つ、正または負の値の予め定められた係数を乗算した電圧を生成する。1次成分発生回路81a〜5次成分発生回路81eにおける各係数は、温度毎に生成すべき第2補正値に応じて定められる。なお、1次成分発生回路81a〜5次成分発生回路81eにおける各係数は可変に設定される。これにより、第2温度検出回路90が検出した環境温度と、可変ゲイン増幅器70のゲインとの関係が可変に設定できる。
電圧加算器82は、関数生成部81が生成した各次数の信号を加算した信号を生成する。これにより、電圧加算器82が出力する信号は、1次から5次までの任意の次数を有する温度依存の信号となる。
V−I変換回路83は、電圧加算器82で加算された電圧を電流に変換して、温度依存電流を生成する。V−I変換回路83は、変換した温度依存電流をミラー回路73のテール電流として可変ゲイン増幅器70に出力する。可変ゲイン増幅器70に入力されたテール電流は、環境温度に依存しており、温度補償後のAFC動作時に生じる周波数温度特性のずれを補償するために用いられる。
図11は、ゲイン調整信号生成部80のより具体的な構成例を示す。本例のゲイン調整信号生成部80は、関数可変部84及び記憶部89を有する点で図10に記載のゲイン調整信号生成部80と異なる。
関数可変部84は、関数生成部81が出力した各電圧を調整する複数のボリューム1〜5(84a〜84e)を備える。ボリューム1〜5(84a〜84e)は、関数生成部81の1次成分発生回路81a〜5次成分発生回路81eのそれぞれと接続される。ボリューム1〜5(84a〜84e)は、関数生成部81が出力した電圧値をそれぞれ調整することにより、関数生成部81が生成する関数における各次数の係数を調整する。各ボリューム1〜5(84a〜84e)は、EEPROM(Electrical Programmable Read−Only Memory)で調整されてよい。
記憶部89は、可変ゲイン増幅器70のゲインを調整する調整値を保存する。記憶部89は、関数可変部84に接続される。例えば、記憶部89が記憶した調整値は、複数のボリューム1〜5(84a〜84e)のそれぞれに入力される。これにより、関数可変部84は、関数生成部81が出力した各電圧を、記憶部89に記憶された調整値に基づく係数で調整できる。
電圧加算器82は、関数可変部84からの出力を加算して、1次〜5次の関数電圧を生成する。電圧加算器82は、オペアンプ85、抵抗(86a、86b、86c、86d、86e)及び帰還抵抗86fを備えて、加算増幅回路を形成する。
抵抗(86a〜86e)は、それぞれ、ボリューム1〜5(84a〜84e)に直列に接続される。抵抗(86a〜86e)は、互いに並列に配置されてオペアンプ85の反転入力端子に接続される。
オペアンプ85の正転入力端子は、アナロググラウンドに接続される。また、オペアンプ85の出力端子及び反転入力端子間には、オペアンプ85と並列に帰還抵抗86fが配置される。これにより、電圧加算器82は、関数可変部84の出力した各電圧を加算して、V−I変換回路83に出力する。
V−I変換回路83は、電圧加算器82が加算した電圧を電流に変換して、ミラー回路73のテール電流として可変ゲイン増幅器70に出力する。V−I変換回路83は、オペアンプ87、抵抗88、第3トランジスタTr3及び第4トランジスタTr4を備える。
オペアンプ87の反転入力端子には、電圧加算器82が加算した電圧が入力される。オペアンプ87の出力端子は、第3トランジスタTr3及び第4トランジスタTr4のベース端子に接続される。また、オペアンプ87の正転入力端子には、第3トランジスタTr3のコレクタ端子の電圧が入力される。第3トランジスタTr3及び第4トランジスタTr4のエミッタ端子は、グラウンドに接続される。
第3トランジスタTr3のコレクタ端子は、抵抗88を介して基準電圧Vrefに接続される。つまり、オペアンプ87、第3トランジスタTr3及び抵抗88は、電圧加算器82から入力された電圧を電流に変換する回路である。一方、第3トランジスタTr3及び第4トランジスタTr4は、変換された電流をミラーしたミラー電流を生成して、可変ゲイン増幅器70に出力する。
図12は、発振器300の構成例を示す。本例の発振器300は、第1ゲイン可変回路30及びゲイン増幅回路110を更に備える点で発振器200と異なる。
ゲイン増幅回路110は、入力電圧Vinを増幅して、第1ゲイン可変回路30に出力する。また、ゲイン増幅回路110は、第2ゲイン可変回路60と並列に設けられる。つまり、第1ゲイン可変回路30には、第2ゲイン可変回路60及びゲイン増幅回路110から、それぞれ増幅された信号が入力される。第1ゲイン可変回路30には、第2ゲイン可変回路60もしくはゲイン増幅回路110から選択的に信号が入力されてよい。
図13は、図12に示した第1ゲイン可変回路30、第2ゲイン可変回路60及びゲイン増幅回路110の構成例を示す。本例の第2ゲイン可変回路60は、図9に示した第2ゲイン可変回路60と同一の構成である。
本例のゲイン増幅回路110は、オペアンプ111、抵抗112及び帰還抵抗113を備え、反転増幅回路として動作する。入力電圧Vinは、抵抗112を介して、オペアンプ111の反転入力端子に入力される。オペアンプ111の正転入力端子は、アナロググラウンドに接続される。オペアンプ111の出力端子と反転入力端子の間には、オペアンプ111と並列に帰還抵抗113が設けられる。
第1ゲイン可変回路30は、第2ゲイン可変回路60の出力とゲイン増幅回路110の出力とを加算する加算回路である。第1ゲイン可変回路30は、第2ゲイン可変回路60及びゲイン増幅回路110の出力がそれぞれ入力される、抵抗32及び抵抗34を並列に備える。オペアンプ31の反転入力端子には、抵抗を介して合成された、第2ゲイン可変回路60及びゲイン増幅回路110の出力が入力される。
図14は、発振器400の構成例を示す。本例の発振器400は、ゲイン調整信号生成部80の代わりにゲイン調整信号生成部120を備える点で、図8に示した発振器200と異なる。図8に示した発振器200と同様の符号を有する構成は、発振器200の場合と同様に機能する。
ゲイン調整信号生成部120は、第2温度検出回路90が生成した第2温度センサ電圧Vtsensに基づいて、温度依存電流を生成する。また、ゲイン調整信号生成部120は、生成した温度依存電流を可変ゲイン増幅器70に出力する。本例のゲイン調整信号生成部120は、可変ゲイン増幅器70が出力した第2制御信号V2にさらに基づいて温度依存電流を生成する。これにより、ゲイン調整信号生成部120は、第2ゲイン可変回路60の温度補償精度を上げることができる。
図15は、ゲイン調整信号生成部120の構成例を示す。本例のゲイン調整信号生成部120は、図11に示したゲイン調整信号生成部80の構成に加えて、更に、判定回路121及びマルチプレクサ124を備える。
判定回路121は、ゲイン調整信号生成部120に入力された第2制御信号V2と予め定められた基準値との関係を比較する。判定回路121は、第2制御信号V2と基準値との比較結果に基づいて、AFCゲインを+側にすべきか−側にすべきかを判定し、判定信号を生成する。また、生成された判定信号は、マルチプレクサ124の制御端子に入力される。AFCゲインとは、周波数制御信号に対する第2制御信号V2の比を示す。なお、判定回路121は、周波数制御信号と基準値との関係を比較してもよい。例えば、基準値は、アナロググラウンドを示す。
記憶部89は、AFC+側ROM122及びAFC−側ROM123を備える。記憶部89は、判定回路121の判定結果に対応する複数の調整値を記憶する。AFC+側ROM122は、AFC+側のゲイン調整信号をマルチプレクサ124の入力端子に出力する。また、AFC−側ROM123は、AFC−側のゲイン調整信号をマルチプレクサ124の入力端子に出力する。なお、本例では、ROMの切り替えで説明したが、電圧発生部(図15の関数生成部81、電圧加算器82、関数可変部84)を複数持ち、電圧をスイッチなどで切り替えることによっても同様の効果が得られる。
マルチプレクサ124は、入力された判定信号に基づいて出力する信号を選択する。マルチプレクサ124は、判定回路121からの判定信号により、選択されたゲイン調整信号の何れかの信号を関数可変部84に出力する。ゲイン調整信号は、ボリューム1〜5(84a〜84e)のそれぞれに入力されてよい。これにより、ボリューム1〜5(84a〜84e)のゲインを+側と−側で調整できる。また、設定されたボリューム1〜5(84a〜84e)のゲインは、記憶部89に記憶されてよい。
本例のゲイン調整信号生成部120は、AFCゲインが、周波数制御信号0を境に、+側と−側でずれている場合であっても、+側と−側で別々にAFCゲインを調整できる。したがって、ゲイン調整信号生成部120は、AFCゲイン調整の精度を上げることができ、AFC起動時の温度補償精度の劣化をより小さくできる。
図16は、第1補正値を測定する温度補償調整シーケンスの一例を示す。本例では、発振器200を例に説明する。
ステップS101において、第2ゲイン可変回路60に周波数制御信号として予め定められた一定値を入力する。本例の周波数制御信号を入力電圧Vinとすると、第2ゲイン可変回路60に入力される入力電圧Vinは0に設定される。入力電圧Vinが0の場合、発振部10の発振周波数が、オフセットの調整がされていない状態(VAFCセンター時)の基準周波数に設定される。
ステップS102において、発振器200の温度を任意の温度に設定する。ステップS102において設定された温度は、当該温度における近似n次関数生成回路20の温度特性の測定(ステップS104)が終わるまで一定に維持される。
ステップS103では、IC外部から第1制御端子13に入力された第1外部制御信号を測定する。第1外部制御信号は、発振器200の発振周波数の温度特性を補償する。例えば、IC外部から電圧を入力するモードでは、各温度における第1補正値の測定時に、IC外部から、第1制御端子13に任意の外部電圧を入力する。ステップS103では、発振部10の発振周波数が基準周波数となる第1外部制御信号を測定する。
ステップS104では、近似n次関数生成回路20が出力する第1制御信号V1をモニタし、温度特性を測定する。例えば、IC内部の電圧をモニタするモードでは、設定された温度における、近似n次関数生成回路20の設定値と、近似n次関数生成回路20が出力する第1制御信号V1との関係をモニタする。近似n次関数生成回路20の設定値とは、近似n次関数生成回路20が生成する関数の各次数における係数を指す。
ステップS105において、温度スイープが終了したか否かを判断する。温度スイープが終了していれば、ステップS106に進む。また、温度スイープが終了していなければ、ステップS102に戻り、次の温度を設定してステップS103からステップS105を繰り返す。例えば、温度スイープの範囲は、発振器200において検出され得る温度域に応じて決定される。また、温度スイープの間隔が短いほど、温度補償精度は向上するが、発振器200の使用環境もしくは必要な精度に応じてユーザーが任意に決定してよい。
ステップS106において、各温度における、誤差が最小となるような近似n次関数生成回路20の設定値を算出する。より具体的には、近似n次関数生成回路20の設定値は、ステップS103の第1外部制御信号と、ステップS104で近似n次関数生成回路20が出力する信号が等しくなるように設定される。なお、「信号が等しく」とは、比較された信号が略等しいことを意味する。また、「略等しい」とは、例えば、ユーザーが必要とする精度を満たす範囲であればよく、信号の値にずれが生じていてもよい。
図17は、第2補正値を測定するゲイン温度特性調整シーケンスの一例を示す。ステップS201において、図16で示した温度補償シーケンスに従い、近似n次関数生成回路20の最適コードを設定する。ここで、近似n次関数生成回路20の最適コードを設定するとは、第2ゲイン可変回路60に入力電圧Vinとして0が入力された状態において、各温度において、第1補正値を設定することを指す。
ステップS202では、発振器200を予め定められた温度に設定する。例えば、予め定められた温度は室温であるが、室温以外の任意の温度に設定してよい。
ステップS203では、室温における入力電圧Vinに対する発振周波数のゲイン特性(Gref)を測定する。ステップS202において、室温以外の温度を選択した場合は、選択した任意の温度において、入力電圧Vinに対する発振部10の発振周波数のゲイン特性を測定する。
ステップS204では、発振器200の温度を任意の温度に設定する。発振器200は、ステップS204において設定された温度は、当該温度におけるゲイン調整信号生成部80の温度特性の測定(ステップS206)が終わるまで一定に維持される。
ステップS205では、IC外部から可変ゲイン増幅器70に入力された電圧を測定する。例えば、IC外部から電圧を入力するモードでは、入力電圧Vinに対する発振周波数のゲイン特性がGrefとなるように、ゲイン調整信号生成部80から可変ゲイン増幅器70にゲイン調整信号を入力する。ゲイン特性がGrefとなった場合のゲイン調整信号が、ゲイン調整信号の補償値となる。
ステップS206では、IC内部の電圧をモニタするモードにおいて、補償する温度特性を測定する。例えば、IC内部の電圧をモニタするモードでは、ゲイン調整信号生成部80が出力するゲイン調整信号を測定する。
ステップS207では、温度スイープが終了したか否かを判断する。温度スイープが終了していれば、ステップS208に進み、温度スイープが終了していなければステップS203に戻り、次の温度を設定してステップS203からステップS207を繰り返す。
ステップS208では、ゲイン調整信号生成部80が出力したゲイン調整信号と、ゲイン調整信号の補償値とが、各温度において一致するように、第2ゲイン可変回路60の設定値を調整する。より具体的には、ゲイン調整信号生成部80が出力したゲイン調整信号と、ゲイン調整信号の補償値との誤差が最小となるような第2ゲイン可変回路60の設定値を算出する。ここで、第2ゲイン可変回路60の設定値とは、第2ゲイン可変回路60が生成する関数の各次数における係数を指す。
本例のゲイン温度特性調整シーケンスでは、温度補償調整シーケンスの温度スイープが終了した後に実行される場合について説明した。しかしながら、温度特性調整シーケンスは、温度補償調整シーケンスの温度スイープが終了していなくとも、ステップS102で設定した各温度において、温度補償調整シーケンス及びゲイン温度特性調整シーケンスをそれぞれ実行してもよい。つまり、温度補償調整シーケンスの温度スイープとゲイン温度特性調整シーケンスの温度スイープとを共通にできるので、測定時間を短縮できる。なお、本例では、発振器200を例に説明したが、発振器300又は発振器400を用いても同様にゲイン温度特性調整シーケンスを実行できる。この場合、ゲイン調整信号生成部80をゲイン調整信号生成部120に適宜読み替えてよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。