JP5556752B2 - 射出成形用組成物およびその製造方法 - Google Patents

射出成形用組成物およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、射出成形用組成物およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、流動性が高く、しかも成形体の強度を高めることができ、焼結体の磁気配向性の高い射出成形用組成物およびその製造方法に関する。
粉末射出成形法は、金属や金属酸化物の原料粉末にバインダを調合して混練された混練物を得て、これを金型中に射出して成形充填する手法である。この射出成形法によれば、複雑な形状の成形体を短時間で効率よく得ることができる。
特許文献1および2には、フェライト系磁性粉末等の磁性材料と複数のバインダと添加物とをニーダー等により混練し、得られた混練物を射出成形することが記載されている。
しかしながら、特許文献1および2に記載された方法で得られる混練物は流動性が低く、該混練物を成形して得られる成形体の強度が低いという問題があった。このような問題に対し、バインダ量を増加させることが考えられるが、焼成後の焼結体の密度の低下を招き、その結果、焼結体強度も低下してしまうという問題があった。
特開昭62−41759号公報 特開平5−33006号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、流動性が高く、しかも成形体の強度を高めることができ、焼結体の磁気配向性の高い射出成形用組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る射出成形用組成物は、
フェライト粒子の集合であるフェライト粉末と、第1バインダと、第2バインダと、を有する射出成形用組成物であって、
前記射出成形用組成物中には、前記フェライト粒子の外周を前記第1バインダが覆い、前記第1バインダの外周を前記第2バインダが覆っている被覆フェライト粒子が存在しており、
前記第1バインダは親水性であり、
前記第2バインダは疎水性であって、前記第2バインダの軟化点が、前記第1バインダの軟化点よりも低いことを特徴とする。
本発明では、第1バインダは親水性であるため、金属酸化物と吸着しやすい。そのため、第1バインダは、フェライト粒子の表面に吸着することで、フェライト粒子の外周を覆っている。第1バインダは、フェライト粒子の表面に安定的に固定されているため、混練時においても、フェライト粒子の表面は露出しない。したがって、フェライト粒子同士が接触し、凝集することはなく、組成物の流動性が良好となる。
さらに、第1バインダの外周を、第1バインダよりも軟化点が低く、疎水性の第2バインダで覆っている。このようにすることで、第2バインダの混練時に第2バインダが流動している状態であっても、第1バインダはフェライト粒子表面に固定され、粒子表面を覆った状態を維持することができる。したがって、第2バインダの混練時においても、フェライト粒子の表面は露出しない。さらに、その他の疎水性の添加材料との混練状態を良好にでき、流動性の変動を抑制することができる。そのため、フェライト粒子同士が凝集することなく、良好に分散されるため、良好な流動性を有する射出成形用組成物を得ることができる。
このような組成物を成形して得られる成形体は、フェライト粒子間にバインダが十分存在しているため、成形体の強度が高くなる。しかも、フェライト粒子の凝集が抑制されているため、磁場を印加することにより、フェライト粒子を容易に配向させることができる。したがって、このような成形体を焼成して得られる焼結体は、磁気配向性が高い。
好ましくは、前記射出成形用組成物が、さらにワックスを有しており、前記ワックスが、前記第2バインダ中に浸透している。
ワックスが第2バインダに浸透することで、流動性をさらに高めることができ、成形後の離型性も良好となる。
また、本発明に係る射出成形用組成物の製造方法は、
フェライト粒子と第1バインダとを混練して混練物を得る第1混練工程と、
前記第1混練工程後の混練物と、第2バインダと、を混練して射出成形用組成物を得る第2混練工程と、を有し、
前記第1バインダは親水性であり、
前記第2バインダは疎水性であって、前記第2バインダの軟化点が、前記第1バインダの軟化点よりも低いことを特徴とする。
第1バインダおよび第2バインダの混練順序を上記のようにすることで、フェライト粒子の外周に第1バインダが被覆され、第1バインダの外周に第2バインダが被覆されたフェライト粒子を得ることができる。
好ましくは、前記第2混練工程後の混練物と、ワックスと、混練して、射出成形用組成物を得る第3混練工程をさらに有する。
第2混練工程後に、さらに、ワックスを投入して混練することで、本発明の効果をさらに高めることができる。
図1(A)は、本発明の一実施形態に係る射出成形用組成物中の被覆フェライト粒子の断面模式図であり、図1(B)は、図1(A)中のIB部分の拡大図である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
(射出成形用組成物)
本実施形態に係る射出成形用組成物は、フェライト粒子の集合であるフェライト粉末、第1バインダおよび第2バインダを有している。図1に示すように、第1バインダは、フェライト粒子の外周を覆っており、第2バインダは、第1バインダの外周を覆っている。
(フェライト粉末)
フェライト粉末の組成は、特に制限されず、所望の特性に応じて決定すればよい。また、フェライト粉末の含有量は、本実施形態では、組成物100重量%中、50.0〜70.0重量%であることが好ましい。
(第1バインダ)
第1バインダは親水性であり、後述する第2バインダの軟化点よりも高い軟化点を有していれば特に制限されない。第1バインダは極性基を有しており、この極性基がフェライト粒子表面に存在する酸化膜もしくは極性官能基と結びつきやすいため、第1バインダはフェライト粒子の表面に吸着しやすい。
そのため、第1バインダがフェライト粒子の外周を覆うことが容易となる。その結果、フェライト粒子間には第1バインダが介在することになり、フェライト粒子同士が接触せず、フェライト粒子の凝集を防止することができる。したがって、組成物の流動性が向上し、射出成形性も向上させる。しかも、フェライト粒子が均一に分散されているため、成形体の密度が向上し、強度も高くなる。また、フェライト粒子が凝集していないため、粒子の配向性を向上させることができる。
第1バインダの軟化点は、好ましくは150〜250℃である。
本実施形態では、軟化点とは、バインダが軟化し、フェライト粒子間を容易に移動できる温度である。なお、軟化点は、バインダの融点とほぼ同じ概念であるが、ガラス転移点などであってもよい。
本実施形態では、具体的な第1バインダとしては、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ナイロン6、アクリル樹脂などの高分子材料が挙げられる。
第1バインダの含有量は、本実施形態では、組成物100重量%中、0.5〜5.0重量%であることが好ましい。
(第2バインダ)
第2バインダは、疎水性であり、第1バインダの軟化点よりも低い軟化点を有していれば特に制限されない。第1バインダおよび第2バインダ以外の材料(ワックスなど)が組成物に添加される場合、該材料は、一般的に、第2バインダの外側に存在することになる。そのため、第2バインダが親水性であると、該材料との混練状態が悪化する傾向にある。
また、親水性材料は吸湿しやすいため、第2バインダが存在しない場合あるいは第2バインダが親水性である場合には、組成物の流動性が経時変化することがある。そこで、疎水性の第2バインダで親水性の第1バインダを覆うことで、第1バインダを外部の水分から保護することができる。その結果、フェライト粒子間の流動性を高めることができる。
第2バインダの軟化点は、好ましくは70〜200℃である。
本実施形態では、具体的な第2バインダとしては、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリスチレンなどの高分子材料が挙げられる。
第2バインダの含有量は、本実施形態では、組成物100重量%中、3.0〜10.0重量%であることが好ましい。
なお、実際の射出成形用組成物中では、図1(A)の被覆フェライト粒子のように、第1バインダと第2バインダとの境界が明確に分かるような状態で存在しているわけではなく、その厚みも一定ではない。また、射出成形用組成物中の全てのフェライト粒子が、第1バインダおよび第2バインダに覆われていなくてもよく、上述した効果が損なわれない程度であれば、第1バインダのみに覆われているフェライト粒子や第2バインダのみに覆われているフェライト粒子などが存在していてもよい。すなわち、各バインダがフェライト粒子を層状に覆っていればよく、従来のように、第1バインダおよび第2バインダが互いに混じり合った状態でフェライト粒子の外周に存在していなければよい。
本実施形態では、射出成形用組成物は、さらにワックスを有していることが好ましい。
ワックスは疎水性であり、分子量が小さいため、疎水性である第2バインダの隙間に入り込みやすく、本実施形態では、図1(B)に示すように、第2バインダ表面に浸透して存在している。そのため、組成物の流動性を高めることができ、さらに成形時の離型性も向上させることができる。具体的なワックスとしては、カルナバワックス、モンタンワックス、蜜蝋などの天然ワックス以外に、パラフィンワックス、ウレタン化ワックス、ポリエチレングリコールなどの合成ワックスが用いられる。
ワックスの含有量は、本実施形態では、組成物100重量%中、3.0〜9.0重量%であることが好ましい。
本実施形態では、射出成形用組成物は可塑剤を有していてもよい。
該組成物において、可塑剤は、第2バインダを構成する高分子材料の分子間に存在している。このようにすることで、フェライト粒子間の距離をより適度に保つことができ、組成物の可塑性をさらに高めることができる。具体的な可塑剤としては、たとえばフタル酸エステルが用いられ、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジラウリル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸ジノルマルオクチル、DOPなどが好ましい。
可塑剤の含有量は、本実施形態では、組成物100重量%中、0.1〜2.0重量%であることが好ましい。
(射出成形用組成物の製造方法)
まず、原料粉末としてフェライト粉末と、第1バインダと、第2バインダと、を準備する。必要に応じて、ワックスと、可塑剤と、を準備してもよい。
フェライト粉末としては、酸化物を用いてもよいし、焼成により酸化物となる化合物を用いてもよいが、粒子表面に第1バインダの極性基と結びつきやすい酸化膜や極性官能基等が存在していることが好ましい。フェライト粉末は必要に応じて仮焼を行ってもよい。また、フェライト粉末の平均粒子径も特に制限されず、焼結体の特性等に応じて適宜決定すればよい。
本実施形態では、ニーダーを用いて、射出成形用組成物を製造する。まず、準備したフェライト粉末および第1バインダをニーダー内に投入して、混練する(第1混練工程)。この混練工程では、第1バインダの極性基がフェライト粒子表面の酸素と結び付き、第1バインダがフェライト粒子の表面を被覆することとなる。回転数、混練時間、混練温度等の条件は、第1バインダがフェライト粒子を十分に被覆するように適宜決定すればよい。
第1バインダがフェライト粒子の表面を十分被覆した後、第2バインダをニーダー内に投入してさらに混練する(第2混練工程)。この第2混練工程では、第2バインダが第1バインダの外周を被覆することとなる。第1バインダおよび第2バインダが高分子材料である場合には、互いの直鎖部分が絡み合いながら、第2バインダが第1バインダ上に固定される。
上述したように、フェライト粒子は、第2バインダよりも高い軟化点を有する第1バインダにより被覆されているため、第2バインダの軟化点付近で混練されても、フェライト粒子の表面は露出せず、フェライト粒子同士が接触することはない。回転数、混練時間、混練温度等の条件は、第2バインダが被覆フェライト粒子を十分に被覆するように適宜決定すればよい。
第2バインダが、第1バインダの周りを十分に被覆した後、射出成形用組成物を得てもよいが、本実施形態では、ワックスをニーダー内に投入してさらに混練する(第3混練工程)。ワックスは、分子量が小さいため、第2バインダが高分子材料である場合には、混練時に第2バインダの隙間に浸透していく。その結果、第1バインダおよび第2バインダにより被覆されたフェライト粒子の表面にワックスが存在することになり、組成物の流動性をさらに高めることができると共に、成形時の離型性も十分に確保されることとなる。回転数、混練時間、混練温度等の条件は、ワックスが第2バインダに十分浸透するように適宜決定すればよい。
なお、上述したように、第1バインダは親水性であるため、疎水性である第2バインダよりも、フェライト粒子表面に吸着しやすい。したがって、上述効果に悪影響を与えない程度であれば、第1混練工程において、上記の第1バインダだけではなく、第2バインダが少量添加されてもよい。また、第2混練工程において、上記の第2バインダだけではなく、第1バインダが添加されてもよい。
ワックスが第2バインダ表面に十分に浸透した後、射出成形用組成物が得られるが、本実施形態では、さらに可塑剤をニーダー内に投入して混練する(第4混練工程)。可塑剤は、第2バインダを構成する材料の分子間に存在することとなり、バインダ同士の吸着を阻害して、粒子間の距離を適度に保つことで、組成物に可塑性を与える。回転数、混練時間、混練温度等の条件は、可塑剤がフェライト粒子間の距離が適度に保たれるように適宜決定すればよい。
以上の工程を経ることで、フェライト粒子に、第1バインダ、第2バインダの順序で被覆されたフェライト粒子が得られ、さらに、第2バインダ中にワックスが浸透し、フェライト粒子間の距離が適度に保たれている射出成形用組成物が得られる。得られた射出成形用組成物は、ペレタイザなどを用いてペレット状にすることが好ましい。
上述のペレットは、射出成形装置に投入されて成形される。本実施形態では、金型装置に磁場を印加して、CIM(ceramic injection molding)成形を行う。
射出成形装置に投入されたペレットは、押出機の内部で、たとえば160〜230℃に加熱溶融・混練され、成形用原料となり、スクリューにより金型装置のキャビティ内に射出され、成形体とされる。金型装置の温度は、20〜80℃である。金型装置に印加する磁場は適宜決定すればよい。
その後、得られた成形体に対し脱脂処理を行う。脱脂条件は、特に制限されず、公知の条件で行えばよい。
脱脂後の成形体は、焼成され、焼結体とされる。焼成条件は特に制限されず、公知の条件で行えばよい。たとえば、焼成温度は1200℃程度が好ましい。
上記の工程を経て得られた焼結体は、必要に応じて加工され、たとえばフェライト磁石とされる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
(実験例1)
原料粉末として、フェライト粉末を準備した。第1バインダおよび第2バインダとして、表1に示すバインダを準備し、ワックスとしてパラフィンワックスを準備し、可塑剤としてジオクチルフタレート(DOP)を準備した。
試料番号1では、87.1重量%のフェライト粉末と、0.7重量%の第1バインダと、5.2重量%の第2バインダと、5.2重量%のワックスと、1.8重量%のDOPと、を同時にニーダーに投入し、回転数8rpm、混練時間3時間、混練温度195℃の条件で混練して、射出成形用組成物を得た。得られた射出成形用組成物について、流動性(MVR)を190℃、5kg荷重の条件で測定し、この組成物をさらにペレタイザを用いてペレットに成形した。流動性の測定結果を表1に示す。
なお、表1〜3では、MVRが測定不可であった場合を「×」、MVRが0(cm/10min)より大きく1(cm/10min)未満である場合を「△」とし、MVRが1(cm/10min)以上10(cm/10min)未満である場合を「○」とし、MVRが10〜1000(cm/10min)以下である場合を「◎」とした。
試料番号2〜5では、まず、87.1重量%のフェライト粉末と、0.7重量%の第1バインダと、を回転数8rpm、混練時間0.5時間、混練温度195℃の条件で混練して、混練物を得た(第1混練工程)。第1混練工程後の混練物に、第2バインダを5.2重量%投入して、混練時間を1時間とした以外は、第1混練工程と同じ条件で混練し、混練物を得た(第2混練工程)。次に、第2混練工程後の混練物に、ワックスを5.2重量%投入して、第2混練工程と同じ条件で混練して、混練物を得た(第3混練工程)。さらに、第3混練工程後の混練物に、DOPを1.8重量%投入し、第1混練工程と同じ条件で混練し、射出成形用組成物を得た(第4混練工程)。得られた射出成形用組成物について、流動性(MVR)を190℃、5kg荷重の条件で測定し、この組成物をさらにペレタイザを用いてペレットに成形した。流動性の測定結果を表1に示す。
次に、磁場を利用する射出成形装置を用いて、ペレットを射出成形装置に投入し、加熱溶融・混練してから、磁場が印加されている金型装置内に射出成形した。磁場射出成形工程後の成形体の厚みは、2mmであり、円弧形状の平板を成形した。
得られた成形体について、下記に示す破壊加重を測定することで、成形体の強度を評価した。
破壊荷重は、成形体の両端部のみを支持し、成形体中央に集中荷重を0Nから徐々に増加させていき、成形体が破断した荷重により算出し、これを成形体強度とした。結果を表1に示す。
なお、表1〜3では、成形体強度が0Nより大きく5N未満であった場合を「×」、成形体強度が5N以上10N未満である場合を「△」とし、成形体強度が10N以上20N未満である場合を「○」とし、成形体強度が20N以上である場合を「◎」とした。
次に、この成形体を脱脂し、その後、1200℃まで昇温して、その温度で1時間保持してフェライト磁石の焼結体を得た(焼成工程)。
得られたフェライト磁石の焼結体について、焼結体密度、残留磁束密度および磁気配向度を評価した。結果を表1に示す。
なお、表1〜3では、磁気配向度が95%未満であった場合を「×」、磁気配向度が95%以上97%未満である場合を「△」とし、磁気配向度が97%以上98%未満である場合を「○」とし、磁気配向度が98%以上である場合を「◎」とした。
Figure 0005556752
表1より、フェライト粉末と、第1バインダ、第2バインダ、ワックスおよび可塑剤と、を同時に混練した場合(試料番号1)、流動性、成形体強度および磁気配向度のいずれもが劣っていることが確認できた。
これに対し、フェライト粉末に、第1バインダ、第2バインダ、ワックスおよび可塑剤の順序で添加して混練し、図1に示すような構成を有する被覆フェライト粒子を作製することで(試料番号2〜5)、流動性、成形体強度および磁気配向度のいずれもが、試料番号1よりも大幅に向上していることが確認できた。
(実験例2)
第1混練工程および第2混練工程において添加するバインダの組み合わせを表2に示す組み合わせとした以外は、実験例1の試料番号2と同様にして、射出成形用組成物を作製した。そして、この組成物を用いてフェライト磁石を作製し、実験例1の試料番号2と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0005556752
表2より、第1混練工程および第2混練工程において、第1バインダのみを添加した場合、あるいは、第2バインダのみを添加した場合、流動性、成形体強度および磁気配向度の少なくとも1つが劣っていることが確認できた。
(実験例3)
ワックスを投入する順序を表3に示す順序とした以外は、実験例1の試料番号2と同様にして、射出成形用組成物を作製した。そして、この組成物を用いてフェライト磁石を作製し、実験例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 0005556752
表3より、ワックスを投入する順序は、第1混練工程および第2混練工程の後が好ましいことが確認できた。
また、試料番号14において、可塑剤を添加せずに第1バインダ、第2バインダおよびワックスを添加した射出成形用組成物(第3混練工程後の混練物)を用いて、フェライト磁石を作製し、実験例1と同様の評価を行うと、試料番号14と同様の結果が得られた。
本実施例では、磁石の材料として、ハードフェライトを用いた例を示したが、ソフトフェライトを用いた場合であっても、磁気配向度の向上を含め上述した効果と同様の効果を得ることができる。
20… 被覆フェライト粒子
10… フェライト粒子
1… 第1バインダ
2… 第2バインダ
3… ワックス
4… 可塑剤

Claims (2)

  1. フェライト粒子の集合であるフェライト粉末と、第1バインダと、第2バインダと、ワックスと、を有する射出成形用組成物であって、
    前記射出成形用組成物中には、前記フェライト粒子の外周を前記第1バインダが覆い、前記第1バインダの外周を前記第2バインダが覆っている被覆フェライト粒子が存在しており、
    前記第1バインダは親水性であり、
    前記第2バインダは疎水性であって、前記第2バインダの軟化点が、前記第1バインダの軟化点よりも低く、
    前記ワックスが、前記第2バインダ表面に浸透して存在していることを特徴とする射出成形用組成物。
  2. フェライト粒子と第1バインダとを混練して混練物を得る第1混練工程と、
    前記第1混練工程後の混練物と、第2バインダと、を混練して射出成形用組成物を得る第2混練工程と、
    前記第2混練工程後の混練物と、ワックスと、混練して、射出成形用組成物を得る第3混練工程と、を有し、
    前記第1バインダは親水性であり、
    前記第2バインダは疎水性であって、前記第2バインダの軟化点が、前記第1バインダの軟化点よりも低いことを特徴とする射出成形用組成物の製造方法。
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