JP5556550B2 - 高強度icカード - Google Patents

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Description

本発明は、身分証明書や定期券などに用いられる電子情報記録カードに関するものである。
近年、非接触ICカードは使用事例が増大しており、今後更に増えると考えられる。日常的に使用されるため、状況に応じた信頼性の確保が求められている。非接触ICカードはICチップとアンテナの役割をなす配線からなる。通常は樹脂シート(アンテナシート)上に導電性物質でアンテナパターンを形成し、ICチップと電気的に接合する。このような機能部品をカード状樹脂体に包埋して使用される。ICチップとアンテナシート間接合は半田、異方性導電フィルム等が使用される。以上の構成物質において脆性体はICチップのみである。情報はICチップに保持され、且つICチップは脆性破壊を起こし易い。よって信頼性に関しては、ICチップの保護機構が重要な役割を果たす。上記の理由から、硬い補強板によってICチップを包み込む方法によるICチップ保護機構が考案、実施されてきている。
このようなICチップ保護機構では、ICチップを含む領域だけが硬くなる。このため、その他のカード部分との剛性の差が大きくなり、カードが曲げられたとき、或いはカードに突起物が押し付けられたとき、ICチップは破壊には至らないがカード基材の破壊や補強板端での層間剥離がみられる場合があった。
カードが曲げられたとき、補強板を用いたICチップ保護機構の縁近傍で生じるカード基材の破壊、補強板端での層間剥離を回避するために幾つかの補強板が考案されている。外周縁近傍が薄い補強板(引用文献1参照)、凹凸外周縁を持つ補強板(引用文献2参照)、外周縁に切込みを入れた補強板(引用文献3参照)である。
しかしながら、これらの改良には以下に記す難点がある。
考慮すべき内容は三項目である。第一点は、補強板の大きさである。カードが曲げられたとき、或いはカードに突起物が押し付けられたとき、補強板端でカード基材の歪みは最大になる。歪みは補強板の大きさに比例する。即ち、カード基材が破断しないためには、歪みはある値以下でなければならない。また、補強板とチップとの間は封止樹脂を充填し硬化させるので、補強板が大きいということはカードにおいて硬く振舞う領域が大きくなるということであり、カード基材以外の強度上の問題が生じる。このことから、補強板の大きさは限定される。
第二点は、補強板外周縁形状である。角があったり、曲率の大きい形状があることは、カード基材の歪みを大きくするので滑らかさが必要である。
第三点は低剛性領域では、ICチップ保護機能が低下することである。
特許文献1、特許文献2、特許文献3に共通するのは、補強板外周縁近傍で剛性を低くしている点である。ICチップ保護のためにはICチップを覆う必要があり、その外側に低剛性領域を附加している。このため、補強板面積は均一厚の場合よりも増大する。
また、特許文献2および特許文献3は、前述した三項目全てが該当する。また、特許文献1は、第一点、第三点が該当する。
特許第2660222号公報 特許第2603952号公報 特開平11−296642号公報
以上から、本発明の課題は、カード基材の破壊や補強板端での層間剥離が発生し難く、ICチップ保護機能低下がない補強板を提供することである。
請求項1に記載の発明は、アンテナ基材上に設けたICチップを封止樹脂を介して挟持する補強板を有するICカードであって、該補強板は円形状であり、かつ該補強板は該補強板中の他の領域よりも剛性が低い帯状の低剛性領域を有していることを特徴とするICカードである。
請求項2に記載の発明は、前記帯状の低剛性領域の外周形は円形でICチップよりも1mm〜3mm大きく、かつ厚みは50μm〜150μmであり、さらに、該帯状の低剛性領域はICチップより0.5mm〜1.5mm外側にあり、かつ前記帯状の低剛性領域の幅は前記厚みの2倍〜5倍であることを特徴とする請求項1に記載のICカードである。
請求項3に記載の発明は、前記帯状の低剛性領域の縦弾性係数が、前記補強板中の他の領域の0.3倍〜0.7倍であることを特徴とする請求項1に記載のICカードである。
本発明のICカードは、曲げに対して高耐性であり、信頼性の高いICカードである。
本発明の補強板の説明図 従来の補強板の説明図 外周に低剛性領域を持つ補強板の説明図 本発明の補強板を組み込んだカード構造の説明図 本発明の補強板とカード変形の説明図 従来の補強板とカード変形の説明図
以下に本発明を詳しく説明する。
図2に示す従来の補強板を組み込んだICカードが突起物に押付けられたときの変形の様子を模式的にあらわした図が、図6である。ICカード変形に対して、補強板領域は緩やかな変形となり、ICチップの歪みを軽減する。他方、柔らかいカード基材は突起物に沿って変形しようとするが、補強板領域のみ硬く振舞う。このために、補強板端部近傍のカード基材に大きな歪みが発生する。
図3は外周近傍を低剛性領域とした補強板である。高剛性領域が小さく、ICチップ保護機能が劣るため、点圧試験や点衝撃試験でのチップ破壊状況に差が現れる。
本発明の補強板を図1に示す。また、図4は本発明の補強板を組み込んだICカード構造の説明図である。帯状の低剛性領域の内側は通常の補強板と同様にICカード変形を緩和し、ICチップの歪みを軽減する。帯状の低剛性領域は補強板の他の領域よりも変形が大きい。このために、補強板端部近傍のカード基材歪み増大を減少させる。
図5はICカードが突起物に押付けられたときの変形の様子を示す。ICカードが突起物に押付けられる状況は静圧的と衝撃的とが考えられるが、衝撃的であれば高弾性率の補強板は更に高弾性的挙動を示す。補強板端部近傍カード基材の歪みは強調される。
帯状の低剛性領域の外周形は、円形でICチップよりも1mm〜3mm大きく、その厚みは均一であり50μm〜150μmである。また帯状の低剛性領域は、ICチップより0.5mm〜1.5mm外側にあり、前記厚みの2〜5倍の幅の領域である。
本発明で円形とは、一般的な定幅図形である円に限らず、楕円等の円形に近い形状のものも含める。
また、帯状の低剛性領域は、面積比で0.3〜0.7の適当な密度の孔を開けることにより低剛性とするものである。膜厚を薄くすることで低剛性としても良い。帯状の低剛性領域の縦弾性係数が前記補強板中の他の領域の0.3倍〜0.7倍であることが好ましい。
補強板はICチップに同心状に重ねて設置する。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明の技術範囲はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
(実施例)
半径4.5ミリ厚さ100ミクロンのSUS板(ステンレス板)の半径3.3ミリの外側に0.2ミリ四方の孔を放射状に一列0.2ミリ間隔で開け本発明の補強板(図1)を作成した。PEN製アンテナシート上に形成したアルミ薄膜アンテナパターンとICチップとを異方性導電フィルムを用いて電気的に接合させる。ICチップの上に封止樹脂を滴下し複合補強板を重ね、180℃30分間で熱硬化させる。ICチップ反対側も同様にして複合補強板を封止樹脂で固定する。表裏からPETーG製樹脂シートで挟む。その外側にPET製外装シートを重ねて150℃30分間の条件でラミネート成型した。模式図を図4に示す。
(比較例1、比較例2)
点衝撃強度を比較するために、比較例1として孔の無い従来型補強板(図2)、比較例2として半径3.3ミリの外側全領域に0.2ミリ四方の孔を0.2ミリ間隔で放射状に開けた補強板(図3)についても、実施例と同じラミネート条件で成型した。
先に記したように、カードが突起物に押付けられる状況は静圧的と衝撃的とが考えられる。ここでは強度差がより明確な衝撃試験を採用した。点衝撃試験はJIS K5600−5−3に準拠した。落下錘は50gで落下高さを10cm、20cm、30cmの3通り実施した。チップ割れに関する結果を表1に、カード割れに関する結果を表2に示す。本発明を実施した試料(実施例)が最も高い耐性を示した。
1 ICチップ
2 アンテナシート
3 補強板
4 封止樹脂
5 カード基材
6 従来型の補強板
7 低剛性領域
8 突起物
9 歪の大きい領域
10 アンテナパターン
11 異方性導電フィルム

Claims (3)

  1. アンテナ基材上に設けたICチップを封止樹脂を介して挟持する補強板を有するICカードであって、該補強板は円形状であり、かつ該補強板は該補強板中の他の領域よりも剛性が低い帯状の低剛性領域を有していることを特徴とするICカード。
  2. 前記帯状の低剛性領域の外周形は円形でICチップよりも1mm〜3mm大きく、かつ厚みは50μm〜150μmであり、さらに、該帯状の低剛性領域はICチップより0.5mm〜1.5mm外側にあり、かつ前記帯状の低剛性領域の幅は前記厚みの2倍〜5倍であることを特徴とする請求項1に記載のICカード。
  3. 前記帯状の低剛性領域の縦弾性係数が、前記補強板中の他の領域の0.3倍〜0.7倍であることを特徴とする請求項1に記載のICカード。
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