JP2008234246A - 非接触式icカード - Google Patents

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孝志 佐藤
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Abstract


【課題】 実使用環境に耐え得る機械的強度を有する非接触式ICカードを提供する。
【解決手段】 非接触式ICカード11は、ICチップ3を貫通する大きさの穴部を有する複数の中間層プラスチックシート6を該穴部が重なり合う様に積層し、更に該穴部の開口部を覆う様に補強板8を載置して構成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、IDカード、会員証、プリペイドカード、キャッシュカード、定期券などに好適な情報記録媒体を有する非接触式ICカードに関するものである。
従来、身分証明用のIDカード、クレジットカード等の各種カードは、名刺サイズに形成されたプラスチックシートに情報記録用の磁気ストライプを貼り付けた磁気カードと呼ばれるものが一般的であった。磁気カードは、情報を磁気で記録することから、記録可能な情報量が少ないという欠点や、第三者によって解読され易く、データの改ざんや、偽造カードの作製が容易であるという問題点を有していた。
そこで、近年、メモリやCPU等の機能を有する半導体チップ(以下、「ICチップ」と呼ぶ)を搭載したICカードが開発され、暗号化データを記憶させることで個人情報のセキュリティー向上が可能となった。初期のICカードは、ICカードとカードリーダ間のデータの授受を、双方を接触させて行う、いわゆる接触型が主流であったが、この方式は、ICカードとカードリーダが機械的且つ電気的に接続することからICチップのIC回路内部の静電気破壊や接続端子の接触不良が生じるという問題があった。従って、ICカードとカードリーダを接触させずにデータの授受を行う、いわゆる非接触型式普及している。
非接触式ICカードは、次のような工程で作製される。ICチップは、例えばガラスエポキシ基板上にワイヤボンディング実装法やフリップチップ実装法によって実装される。その後、温度や湿度などの外部環境の変化からの保護、電気的絶縁性の確保、動作中の発熱の放散などを目的に、必要に応じて樹脂で封止を行う。この状態までのものを一般にICモジュールと呼ぶ。
更に前記ICモジュールにアンテナ回路を形成・接続して、非接触式ICカードとしての機能を有する状態にしたものを、特にインレットまたはインレイと呼び、シート状に形成したものを、インレットシートまたはインレイシートと呼ぶ。
上述のインレットをカード内部に埋め込む様々な方法が開発されているが、カード基材としてプラスチックシートを用い該シートでインレットを挟み込み、熱プレス機により加温、加圧して熱融着により一体化するという熱ラミネート方式が多く用いられている。その他にも、接着剤やホットメルト中にインレットを埋め込み、その上下面からプラスチックシートによって挟み込む方法、また、吹きつけ(インジェクション)技術を用いたり、UV硬化技術を用いてカードに熱的負担をかけないで製造する方法もある。
図4は従来の非接触式ICカードの構成を説明する断面図である。ICカード11は、ICチップ3の直上に補強板として厚さ20μm程度のステンレス製の補強板8を接着し、該ICチップ3を中間層プラスチックシート6内に埋め込み、該中間層プラスチックシート6の表裏両側に最外層のプラスチックシート9を接着剤10で接着して構成している。
しかしながら、補強手段として機能するのは、ステンレス製の補強板8のみであり、例えばズボンのポケットにICカードを入れたままで着席した際に瞬間的に生じる「曲げストレス」や「ねじれストレス」によって、ステンレス製の補強板8が剥離すると他の補強手段がないために簡単に破損してしまう。また、ICチップは熱硬化性の硬い封止樹脂16で覆われているので、特に衝撃ストレスが加わった際はICチップ3にストレスが伝達し易くなるため、ICチップを瞬時に破損するおそれがある。このようなICカードは、例えば特許文献1に開示されている。
特開平9−263082号公報
ICカードの実使用環境に於いては、例えば上述のようなズボンのポケットに入れたままで椅子等に腰掛けた場合にかかる「曲げストレス」及び「ねじれストレス」、ボールペンの先端のような比較的鋭い突起物で押圧された場合にかかる「点圧ストレス」、何か品物が落下した際に受ける「衝撃ストレス」など、様々なケースが想定される。また、前記各ストレスを受ける方向もICカードの表面、裏面と様々である。
ICチップを用いたカードは、ICチップが機械的に破壊されると全てのデータが失われてしまうことから、衝撃や点圧、折り曲げなどに対して充分な機械的強度を有するICカードの需要が高まっている。
従って、本発明は上述の「曲げ」、「ねじれ」、「点圧」、「衝撃」等の実使用環境に耐え得る機械的強度を有する非接触式ICカードの提供を目的とする。
本発明の要点は、プラスチックシートを積層して中間層を形成することにあり、積層することで、曲げやねじれの外部ストレスに対して柔軟性や可とう性を持たせると同時に、点圧や衝撃のストレスに対しては積層プラスチックシートが衝撃吸収体として作用させることができる。これに対し、単層プラスチックの場合は、上記ストレスに対して脆く、容易に破損し易い。
本発明によれば、基材上にアンテナ回路を形成し、該アンテナ回路にICチップを実装してなるインレットシートと、複数のプラスチックシートを積層してなる非接触式ICカードであって、該プラスチックシートは、少なくとも複数の中間層プラスチックシートを含み、該中間層プラスチックシートは該ICチップを貫通する大きさの穴部を有し、該穴部が重なり合う様に、該中間層プラスチックシートを該基材上に連続積層することによって生じた空隙内部に該ICチップが位置してなり、該空隙の開口部を覆う様に補強板が配されてなることを特徴とする非接触式ICカードが得られる。
本発明によれば、前記補強板が金属材料からなることを特徴とする請求項1記載の非接触式ICカードが得られる。
本発明により、非接触式ICカードの積層された中間層プラスチックシートが、曲げやねじれの外部ストレスに対する柔軟性や可とう性を向上させると共に、該中間層プラスティックシートの上部補強板の支え、いわゆるストレス吸収体としても作用し、機械的強度、特に衝撃強度が増し、曲げ、ひねり特性においても強度を向上させることができる。
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は本発明の非接触式ICカードの断面図である。基材1の上にアンテナ回路2を形成し、該アンテナ回路2上の図示しない電極パットとバンプ5、およびICチップ接合用接着剤4を介して、ICチップ3を実装する。更に、ICチップ3の周囲に空隙を形成する様、穴部を設けた複数の中間層プラスチックシー卜6を該穴部が重なり合う様に積層し、該空隙部の上部を覆う様に補強板8を載置し、接着剤10を介して表裏面をプラスチックシート9で挟み込んでICカードを構成する。なお、前記穴部はICチップが充分に入る大きさの空隙とする。
基材1は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)などの熱可塑性樹脂のシートが好ましい。また、形状は板状であれば良いが、薄型化のためにはフィルム状が望ましい。
アンテナ回路2は、ICチップ3を接合する面、もしくは両方に、アルミニウム箔、銅箔などの金属シートを基材1に接着し貼り付けた後、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等の一般的な印刷方法でレジスト印刷を施し、エッチング処理にて形成する。上記方法に限らず、導電性ペーストを印刷してもよい。
ICチップ3は、例えば、チップ表面及びダイシングカット面におけるマイクロクラックのような外部ストレスによる影響を最小限に抑えるために、エッチング処理を施した物の使用が好適である。
ICチップ接合用接着剤4は、ペースト状態でアンテナ回路2上にディスペンサーで塗布、もしくは印刷方式で印刷し、ICチップ3はバンプ5を介してフリップチップ工法を用いて実装するのが良い。
中間層プラスチックシート6は、PET−G材を使用するのが好ましいが、塩化ビニル、PVC、ABS、ポリカーボネート等、他の熱可塑性樹脂およびそのアロイ化したものを使用してもよい。また、積層枚数は柔軟性、可とう性向上のため多い方が好ましいが、加工性の観点から2〜10枚程度の範囲内が好適で、その総厚みは、ICチップの実装高さ以上とする。また、多層構造であるため、各層間に接着剤を使用しても良い。
接着剤7は、少なくともICチップ3、中間層プラスチックシート6、および補強板8を各々接着できるものであればどんな樹脂でも良いが、ストレス吸収の観点から硬化後に軟性を示す、例えば弾性率が1GPa以下の封止用樹脂を用いるのが好ましい。
補強板8は、衝撃ストレスに対して充分に耐えられるように、剛性の高い材料が望ましく、エポキシ系などの熱硬化性樹脂、ステンレス板、銅板、アルミ板などの金属材料を用いるのが良い。強度の点では金属材料を用いるのが好ましく、硬度400〜600Hv値のものが特に好ましい。厚みは数10〜100μm程度以下の範囲で用いる材料によって調整するのが好ましい。また、少なくとも前記空隙の開口部を覆うのに足りる大きさと形状を有するのが良く、中間層プラスチックと同等の大きさでも良いが、材料コスト面から該空隙の開口部の1.5〜5倍程度のものが望ましい。
以下、実施例を用いて詳述する。
基材1として、大きさ100mm×100mm角、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートを、中間層プラスチックシート6として、大きさ100mm×100mm角、厚さ150μmのPET−Gシートに、ICチップ3の実装面の外周よりやや大きくICチップ3が貫通する、大きさ2mm×2mm角の穴部を形成したものを3枚用意し、上記基材1に中間層プラスチックシート6を該穴部が重なり合う様に3枚積層した。
次に、補強板8を、前記中間層プラスチックシート6によって形成された空隙、すなわちICチップ収納部の開口部を覆う様に、シアノアクリレート系の接着剤7にて仮固定した。この補強板8は点圧による集中荷重に耐えられるように、ここでは、大きさ4mm×4mm角、厚さ25μmのステンレス板を用いた。
最外層となるプラスチックシート9は、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体接着剤10を5μm厚であらかじめ塗布された、大きさ100mm×100mm角、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートで表裏面を挟み込み、接着剤10を流動化させ、厚さが均一になるように真空、加圧、加熱により接着させた。その後、冷却し接着剤10の固化後、金型で打ち抜き、図1に示した構造のICカード11を得た。比較例として、上述した本発明の実施例と同様の材料を用いて、図4に示した従来のICチップ直上に補強板を載せた構造のICカードを用意した。
上記の要領で作製した、本発明による非接触式ICカードおよび比較例の機械的強度を測定した。以下にその試験内容と結果を説明する。
実施した試験項目は、落下衝撃試験、点圧荷重試験、曲げ試験、ひねり試験の4種類で下記の試験方法とした。
図2は落下衝撃試験を説明する図である。金属板15上の固定台13に載せたICカード11の表面からICチップ3中央部に向けて、重量50g、φ20mmの剛球12を落下させ、ICチップ3が破損しない落下高さを測定した。
図3は点圧荷重試験を説明する図である。平面状の金属板15に載せたICカード11の表面からICチップ3中央部に向けて、先端が球面径φ1.0mmの剛材14を点圧荷重した状態で3秒間保持し、ICチップ3が破損しない点圧荷重を測定した。
曲げ試験、ひねり試験は、JIS X 6305、5−8、5−9に基づいて実施し、ICチップ3が破損して動作不能となるかどうかを各々20ヶの試料を準備し確認した。
上記試験結果について、本発明によるICカードと、比較例との比較結果を表1に示す。
Figure 2008234246
表1に示す通り、本発明によるICカードでは、比較例に比べ、落下衝撃強度は3倍、点圧荷重強度は約2倍に向上し、更に曲げ強度、ひねり強度も約30%改善されており大幅に機械的強度が向上していることがわかる。
以上、実施例を用いて、この発明の実施の形態を説明したが、この発明は、これらの実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。すなわち、当業者であれば、当然なしえるであろう各種変形、修正もまた本発明に含まれる。
本発明の非接触式ICカードにより、実使用環境に耐え得る、高品質のICカードの提供が可能となり、IDカード、会員証、プリペイドカード、キャッシュカード、定期券などを用いたセキュリティ向上に寄与できるICカードシステムの構築が可能となる。
本発明による非接触式ICカードの断面図。 ICカードの落下衝撃試験を説明する図。 ICカードの点圧荷重試験を説明する図。 従来の非接触式ICカードの構成を説明する図。
符号の説明
1 基材
2 アンテナ回路
3 ICチップ
4 ICチップ接合用接着剤
5 バンプ
6 中間層プラスチックシート
7 接着剤
8 補強板
9 プラスチックシート
10 接着剤
11 ICカード
12 剛球
13 固定台
14 剛材
15 金属板
16 封止樹脂

Claims (2)

  1. 基材上にアンテナ回路を形成し、該アンテナ回路にICチップを実装してなるインレットシートと、複数のプラスチックシートを積層してなる非接触式ICカードであって、該プラスチックシートは、少なくとも複数の中間層プラスチックシートを含み、該中間層プラスチックシートは該ICチップを貫通する大きさの穴部を有し、該穴部が重なり合う様に、該中間層プラスチックシートを該基材上に連続積層することによって生じた空隙内部に該ICチップが位置してなり、該空隙の開口部を覆う様に補強板が配されてなることを特徴とする非接触式ICカード。
  2. 前記補強板は金属材料からなることを特徴とする請求項1記載の非接触式ICカード。
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