JP5555435B2 - Al合金鋳造品及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、Al合金の溶湯を冷却固化することで得られるAl合金鋳造品及びその製造方法に関する。
多くの内燃機関においては、シリンダブロックに形成された穴内に円柱形状をなすスリーブを挿入し、このスリーブ内でピストンを往復動作させるようにしている。シリンダブロックの前記穴の内壁にピストンが直接摺接することに起因して、前記内壁が摩耗することを防止するためである。
このスリーブは、前記シリンダブロックを鋳造によって作製する際、予めキャビティの所定位置に配され、該キャビティに対してシリンダブロックとなる溶湯が注湯されることに伴い、該溶湯によって囲繞される。すなわち、いわゆる鋳ぐるみが行われ、これにより、スリーブを具備するシリンダブロックが得られる。
この種のスリーブとしては、一般的には、軽量でありながら耐摩耗性に優れ、且つ高強度であるということから、ハイシリコン合金とも呼称されるSi含有率が高いAl−Si系合金からなるものが選定されている。しかしながら、ハイシリコン合金からなるスリーブは、シリンダブロックとなる溶湯に対して鋳ぐるみ性が良好ではなく、このため、シリンダブロックに対するスリーブの接合強度を十分に確保することが容易ではないという不具合が指摘されている。
この不具合を解消するべく、シリンダブロックをハイシリコン合金の溶湯から作製することが想起される。しかしながら、ハイシリコン合金は概して高価であるため、この場合、コストが高騰してしまう。
そこで、シリンダブロックに対する鋳ぐるみ性が良好であり、しかも、耐摩耗性に優れるAl合金、例えば、Al−Fe−Mn−Si合金を採用することが考えられる。
しかしながら、この場合、スリーブを作製するべくAl−Fe−Mn−Si合金の溶湯を用いて鋳造を行うと、得られた鋳造品(スリーブ)の組織中に、針状で且つ粗大なFe系金属間化合物の晶出物が存在するようになる。この晶出物は破壊の起点となるため、得られたスリーブは、強度や靭性が十分なものであるとは言い難い。
この観点から、晶出物を微細化する試みがなされている。例えば、特許文献1においては、溶湯が液相線温度(凝固開始点)を下回る前に超音波振動を付与し、その後に該溶湯を凝固させる技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1記載の従来技術のように超音波振動(周波数が20kHz以上の振動)を付与する場合、エンブリオを多量に発生させることが可能とはなるものの、エンブリオを結晶核に成長させ得る程度のエネルギを付与することが困難である。このため、エンブリオの大半が再溶融してしまうので、該特許文献1の図9に示されるように、針状のFe系金属間化合物が晶出する原因となる。このことから諒解されるように、特許文献1記載の従来技術には、破壊の起点となる針状晶出物が晶出することを回避することが容易ではないという不具合が顕在化している。
そこで、本出願人は、特許文献2において、溶湯の温度が凝固開始点よりも10℃高〜凝固開始点超の範囲内となったときに、周波数が1000Hz以下である振動を付与することを提案している。
特開2007−216239号公報 特開2008−155271号公報
特許文献2記載の技術は、晶出物を微細化することが可能であり、且つ針状晶出物が晶出することを可及的に回避し得るものではあるが、今なお、一層の微細化が希求されている。
本発明は特許文献2記載の技術に関連してなされたものであり、晶出物が十分に微細化し、しかも、針状晶出物が晶出することが回避されたAl合金鋳造品及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、Fe:2.02〜4.0重量%、Mn:1.10〜2.0重量%を含むAl合金の溶湯が冷却されて得られたAl合金鋳造品であって、
少なくとも一面の金属組織に、前記FeがFe−Mn系金属間化合物の粒状物として含まれ、
且つ前記金属組織に含まれる共晶Si及び前記Fe−Mn系金属間化合物の各々の2次元平面の最大径が10μm以下であることを特徴とする。ここで、本発明において、「粒状物」とは、短径と長径との比であるアスペクト比が0.5以下のものを指称する。
このように、本発明に係るAl合金鋳造品の金属組織において存在する晶出物は、大多数が粒状晶出物である。すなわち、クラックの起点となる針状晶出物がほとんど含まれない。また、共晶Siの粒径も小さい。このため、クラックが発生し難いので強度や靭性に優れ、しかも、耐摩耗性に優れる面を有するAl合金鋳造品を構成することができる。
なお、この種のAl合金鋳造品の好適な例としては、内壁と外壁を有するスリーブが挙げられる。この場合において、前記一面は内壁に相当する。
また、本発明は、少なくとも一面の金属組織に、Feが純Fe、又はその他の金属とのFe金属間化合物の粒状物として含まれ、且つ前記金属組織に含まれる共晶Siの2次元平面の最大径が10μm以下であるAl合金鋳造品を得るためのAl合金鋳造品の製造方法であって、
Feを含むAl合金の溶湯を成形型に注湯する工程と、
完全液相状態にある前記溶湯に対し、該溶湯の凝固点に到達するまで、振動子を介して周波数が20〜1000Hzの振動を付与する工程と、
凝固点に到達した前記溶湯に対する振動付与を停止するとともに、凝固点に到達するまでの降温速度に比して大きな降温速度で冷却して固化させ、Al合金鋳造品を得る工程と、
を有することを特徴とする。
完全液相状態にある溶湯に対して振動を付与した場合、微細な結晶核や晶出相核が多量に形成される。しかも、結晶核が十分に成長し得るエネルギも付与される。このため、針状晶出物が形成されることを抑制することができる。その結果、上記したように、クラックの起点となる針状晶出物がほとんど含まれず、且つ共晶Siの粒径が小さいAl合金鋳造品を容易に得ることができる。
なお、凝固開始点に到達した溶湯に対し、該溶湯に比して低温の中子を挿入することで降温速度を大きくするとともに、前記中子の形状に対応する形状の空間部を形成するようにしてもよい。この場合、中子によって溶湯の熱が奪取される。従って、溶湯における中子に接触した部位の降温速度が大きくなる。
このように降温速度が大きい場合、上記のようにして形成された微細な結晶核や晶出相核が、微細なまま固化する。すなわち、微細な晶出物が存在する金属組織を容易に得ることができる。
中子を用いた場合、溶湯の中子に接触した部位の降温速度を30℃/秒以上とする一方で、該溶湯の前記中子から最も離間する部位の降温速度を10℃/秒以下とすることもできる。この場合、金属組織が相違するので、各々の部位に、必要とされる特性が得られる金属組織を形成することが可能となる。
従って、例えば、Al合金鋳造品として、内壁と外壁を有するスリーブを得る場合、内壁を耐摩耗性に優れる金属組織(上記した金属組織)とする一方で、外壁をシリンダブロックに容易に鋳ぐるまれる金属組織とすることもできる。
本発明によれば、Al合金鋳造品の少なくとも一面の金属組織を、Feが純Fe、又はその他の金属とのFe金属間化合物の粒状物として含まれ、且つ共晶Siの2次元平面の最大径が10μm以下となるようにしている。このため、クラックの起点となる針状晶出物が金属組織中に存在することが回避され、結局、クラックが発生し難くなるので、強度及び靭性等の諸特性が向上する。
また、共晶Siの最大径が小さいので、この点でも、耐摩耗性等の諸特性の向上に寄与する。
本実施の形態に係るAl合金鋳造品としてのスリーブの全体概略斜視図である。 前記スリーブにおける内壁の金属組織を示す光学顕微鏡写真である。 前記スリーブにおける外壁の金属組織を示す光学顕微鏡写真である。 前記スリーブを得るために成形型に注湯された溶湯に対し、振動子を浸漬した状態を示す要部縦断面図である。 溶湯に対して振動を付与することなく冷却固化して得られたAl合金鋳造品の金属組織を示す光学顕微鏡写真である。 図4に示す状態から前記振動子を離脱させた状態を示す要部縦断面図である。 前記溶湯に対して中子の挿入を開始した状態を示す要部縦断面図である。 前記溶湯に対して中子の挿入を終了した状態を示す要部縦断面図である。 前記溶湯が冷却固化して得られたスリーブの仕上げ加工前の全体概略斜視図である。 本実施の形態によって得られたスリーブと、一般的な重力鋳造によって得られたスリーブの耐摩耗試験結果である。
以下、本発明に係るAl合金鋳造品につき、その製造方法との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
本実施の形態に係るAl合金鋳造品としてのスリーブ10を図1に示す。このスリーブ10は、内壁12と外壁14を有する円柱体形状をなし、図示しないシリンダブロックの穴の内壁を保護するため、該穴内に挿入される。すなわち、このスリーブ10の内部空間16は、図示しないピストンが往復動作するシリンダボアとなる。
後述するように、このスリーブ10は、溶湯に対して中子が挿入されることで形成されたものである。すなわち、スリーブ10の内部空間16は、中子によって成形された内壁12に対して若干の切削加工が施されることで形成される。
この場合、スリーブ10は、Feを含むAl合金からなる。この種のAl合金としては、例えば、2.0〜4.0%(数字は重量%、以下同じ)のCu、9.0〜11.0%のSi、0.3〜0.8%のMg、1.0%以下のZn、4.0%以下のFe、2.0%以下のMn、0.1%以下のNi、0.5%以下のTi、0.1%以下のCrを含み残部がAlであるAl合金が挙げられ、好適な例としては、2.58%Cu−11.0%Si−0.55%Mg−0.014%Zn−2.02%Fe−1.10%Mn−0.003%Ni−0.007%Ti−0.002%Cr−Al合金が挙げられる。
図2は、このスリーブ10における内壁12の金属組織を示す光学顕微鏡写真である。この図2から諒解されるように、内壁12の金属組織は、アスペクト比が0.5以下である粒状の晶出物が基地に分散した状態となっている。なお、図2中の白抜きはスケールであり、長手方向の長さ(1目盛)が10μmに相当することを表す。後述する図3及び図5における白抜きもスケールであるが、これらでは、1目盛は100μmである。
晶出物は、上記した組成のAl合金の場合、Fe−Mn系金属間化合物及び共晶Siである。すなわち、本実施の形態においては、Fe−Mn系金属間化合物の晶出物、及び共晶Siの双方が微細な粒状物として存在する。なお、Fe−Mn系金属間化合物の晶出物、及び共晶Siは、いずれも、2次元平面の最大径が10μm以下である。
このように、スリーブ10の内壁12における金属組織では、晶出物の粒径が極めて小さい。また、クラックの起点となり易い針状晶出物が存在しないので、クラックが発生することを回避し得る。従って、耐摩耗性や強度、靭性等の諸特性が向上する。
一方、外壁14の金属組織は、内壁12と同様であってもよいが、シリンダブロックとなる溶湯に鋳ぐるまれることが容易な組織であることが好ましい。この種の金属組織の光学顕微鏡写真を、図3に示す。
このスリーブ10は、以下のようにして作製することができる。
先ず、図4に示すように、上記したような組成のAl合金の溶湯20を、成形型22に注湯する。さらに、完全液相状態である溶湯20に対し、振動器24を構成する複数の振動子26が浸漬される。なお、振動子26は、前記特許文献2に記載されるように、冷媒用チューブを含む冷却機構(ともに図示せず)が設けられたものであってもよい。
ここで、成形型22内の溶湯20を完全液相状態とするには、例えば、完全液相状態の溶湯20を成形型22に注湯すればよいが、固液共存状態にある溶湯20を成形型22に注湯した後、成形型22を加熱することで溶湯20を昇温させ、これにより該溶湯20を完全液相状態としてもよいことは勿論である。
溶湯20に振動子26が浸漬された直後に、振動器24が付勢される。すなわち、振動子26が発振され、これにより溶湯20に対して振動が付与される。前記特許文献2においては、溶湯20の温度が凝固開始点まで10℃以内となった時点、換言すれば、固液共存温度域で振動子26を発振させるようにしているが、本願発明においては、溶湯20が完全液相状態にある時点で振動子26を発振させる。
振動子26の発振周波数は、20〜1000Hzに設定される。20Hz未満であると、振動を付与しない通常凝固で得られた鋳造品の金属組織である光学顕微鏡写真である図5に示すように、著しく粗大なFe−Mn系金属間化合物の針状晶出物が存在するようになる。このため、クラックが発生する懸念がある。また、周波数が1000Hzを超える振動を溶湯20に付与すると、周波数が大きいためにエンブリオが再溶融を起こすようになり、その結果、通常凝固において晶出が認められるFe−Mn系金属間化合物が針状の晶出物として存在する確率が大きくなる。従って、この場合もクラックが発生する懸念を払拭し得ない。
要するに、振動子26の発振周波数を20〜1000Hzに設定することにより、Fe−Mn系金属間化合物を粒状物として晶出させることができるようになるとともに、共晶Siを、その2次元平面の最大径が10μm以下の微細なものとすることができる。この理由は、振動子26の発振周波数が20〜1000Hzである場合、エンブリオを多量に発生させることができ、しかも、発生した前記エンブリオを結晶核に成長させ、且つ固化し得る程度のエネルギを付与することができるためであるとともに、溶湯20が完全液相状態にあるときから振動を付与するので、晶出相が他の核を取り込みながら成長することが抑制されるためであると推察される。
振動周波数は、具体的には90Hz、200Hz、450Hz等に設定すればよいが、特にこれらに限定されるものではない。
この場合、振動の付与は、溶湯20が凝固開始点に到達して固液共存状態となる直前まで行われる。換言すれば、本実施の形態においては、溶湯20が完全液相温度域にあるときから固液共存温度域の上限となるに至るまで、振動が付与される。
なお、溶湯20が2.58%Cu−11.0%Si−0.55%Mg−0.014%Zn−2.02%Fe−1.10%Mn−0.003%Ni−0.007%Ti−0.002%Cr−Al合金である場合、その凝固開始点は681℃であり、注湯温度は850℃である。従って、この場合、溶湯20が注湯された後から凝固開始点に到達する直前まで、振動の付与が行われる。
次に、図6に示すように、凝固開始点に到達した溶湯20から振動子26を離脱させる。成形型22に残留した溶湯20には、微細な結晶核と晶出相核(いずれも図示せず)とが混在している。
次に、図7に示すように、この溶湯20に対して逆円錐台形状の中子30を挿入する。この中子30は、例えば、Cu−Cr系合金等の熱伝導度が良好な材質からなり、その温度は常温〜200℃に設定されている。
勿論、中子30は、図示しない駆動機構に付設されている。すなわち、中子30は、この駆動機構の作用下に、溶湯20に対して挿入・離脱される。
中子30が挿入された溶湯20は、中子30と成形型22との間に介在するように流動する。その結果、図8に示す状態となり、この状態で溶湯20の凝固が進行する。なお、溶湯20における中子30に接触する部位がスリーブ10の内壁12に相当し、一方、成形型22に接触する部位が外壁14に相当する。従って、以下においては、中子30に接触する部位を「内壁12」、成形型22に接触する部位を「外壁14」と表記することもある。
溶湯20が前述の2.58%Cu−11.0%Si−0.55%Mg−0.014%Zn−2.02%Fe−1.10%Mn−0.003%Ni−0.007%Ti−0.002%Cr−Al合金である場合、上記から諒解されるように、中子30が挿入された時点での溶湯20の温度は、凝固開始点である681℃の近傍である。これに対し、中子30の温度は常温〜200℃である。しかも、上記したように、中子30は熱伝導度が良好な材質からなる。従って、溶湯20における内壁12の熱は速やかに中子30に伝達され、これにより奪取される。この熱奪取により、内壁12は、外壁14に比して急激に冷却される。一方、成形型22は通常は加熱されており、従って、外壁14側の降温速度は自然冷却時の降温速度と略同等となる。
このため、内壁12の降温速度は、外壁14に比して大きくなる。例えば、溶湯20に対する中子30の接触面積や温度、溶湯20の注湯量を調整することにより、内壁12の降温速度を30℃/秒以上とするとともに、外壁14(中子30から最も離間する部位)の降温速度を10℃/秒以下とすることも可能である。典型的には、内壁12の降温速度は30〜50℃/秒の範囲内であり、外壁14の降温速度は1℃以下である。なお、前記図2は降温速度が37℃/秒であったときの内壁12の金属組織であり、前記図3は降温速度が0.4℃/秒であったときの外壁14の金属組織である。
降温速度がこのように大きな内壁12側では、結晶核や晶出相が成長し難く、微細な状態のままで固化する。これにより、Fe−Mn系金属間化合物の晶出物が粒状で存在するとともに、共晶Siの2次元平面の最大径が10μm以下である金属組織が形成される。
溶湯20の凝固が終了して鋳造品32(図9参照)が得られた後、該鋳造品32から中子30を離脱させ、図9に示すように、成形型22から該鋳造品32を露呈させる。この鋳造品32においては、中子30の逆円錐台形状に対応し、下端部から上端部になるにつれて内壁12がテーパー状に拡径する。
次いで、内壁12及び外壁14に所定の研削加工等の仕上げ加工を施すことにより、図1に示すスリーブ10が得られるに至る。
このようにして得られたスリーブ10に対して耐摩耗試験を行った結果を、Al合金の溶湯を用いて一般的な重力鋳造を行うことによって得られたスリーブ(比較例)の結果とともに図10に示す。なお、この耐摩耗試験では、摺接面の算術平均粗さ(JIS B 0601(2001年)におけるRa)を3μmに統一し、該摺接面に摺接する部材のストロークを45mm、摺動速度を200mm/秒として1500回往復させ、その際の摩耗量を測定した。図10は、荷重に対する摩耗量をグラフとして表したものである。
図10中、白抜きの正方形(□)が本実施の形態に係るスリーブ10の測定結果であり、白抜きの菱形(◇)が比較例のスリーブの測定結果である。この図10から、本実施の形態に係るスリーブ10では、荷重が大きくなっても摩耗量が少ないこと、換言すれば、耐摩耗性に優れるものであることが明らかである。
なお、上記した実施の形態においては、Al合金鋳造品としてスリーブ10を作製するようにしているが、本発明におけるAl合金鋳造品が特にこれ限定されるものではないことはいうまでもない。例えば、Al合金鋳造品は、板材等であってもよい。
そして、板材を作製する場合、溶湯20を凝固させる際に中子30を用いる必要は特にない。なお、この場合において、降温速度を大きくするためには、例えば、いわゆる冷やし金(チラー)を用いるようにすればよい。
また、例として挙げた上記Al合金にはMnが含まれ、このために晶出物がFe−Mn系金属間化合物として晶出しているが、Mnを含まないAl合金であってもよい。この場合、晶出物は、純Fe、又はその他の金属との金属間化合物として晶出する。
10…スリーブ 12…内壁
14…外壁 16…内部空間
20…溶湯 22…成形型
24…振動器 26…振動子
30…中子

Claims (6)

  1. Fe:2.02〜4.0重量%、Mn:1.10〜2.0重量%を含むAl合金の溶湯が冷却されて得られたAl合金鋳造品であって、
    少なくとも一面の金属組織に、前記FeがFe−Mn系金属間化合物の粒状物として含まれ、
    且つ前記金属組織に含まれる共晶Si及び前記Fe−Mn系金属間化合物の各々の2次元平面の最大径が10μm以下であることを特徴とするAl合金鋳造品。
  2. 請求項1記載の鋳造品において、当該Al合金鋳造品は内壁と外壁を有するスリーブであり、前記一面は前記内壁であることを特徴とするAl合金鋳造品。
  3. 少なくとも一面の金属組織に、FeがFe−Mn系金属間化合物の粒状物として含まれ、且つ前記金属組織に含まれる共晶Siの2次元平面の最大径が10μm以下であるAl合金鋳造品を得るためのAl合金鋳造品の製造方法であって、
    Fe及びMnを含むAl合金の溶湯を成形型に注湯する工程と、
    完全液相状態にある前記溶湯に対し、該溶湯の凝固点に到達するまで、振動子を介して周波数が20〜1000Hzの振動を付与する工程と、
    凝固点に到達した前記溶湯に対する振動付与を停止するとともに、凝固点に到達するまでの降温速度に比して大きな降温速度で冷却して固化させ、Al合金鋳造品を得る工程と、
    を有することを特徴とするAl合金鋳造品の製造方法。
  4. 請求項3記載の製造方法において、凝固開始点に到達した前記溶湯に対し、該溶湯に比して低温の中子を挿入することで降温速度を大きくするとともに、前記中子の形状に対応する形状の空間部を形成することを特徴とするAl合金鋳造品の製造方法。
  5. 請求項4記載の製造方法において、前記溶湯の前記中子に接触した部位の降温速度を30℃/秒以上とする一方、前記溶湯の前記中子から最も離間する部位の降温速度を10℃/秒以下とすることを特徴とするAl合金鋳造品の製造方法。
  6. 請求項4又は5記載の製造方法において、Al合金鋳造品として、内壁と外壁を有し、前記一面が前記内壁であるスリーブを得ることを特徴とするAl合金鋳造品の製造方法。
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