JP2000042707A - 鋳造方法及びその装置 - Google Patents

鋳造方法及びその装置

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JP2000042707A
JP2000042707A JP10216167A JP21616798A JP2000042707A JP 2000042707 A JP2000042707 A JP 2000042707A JP 10216167 A JP10216167 A JP 10216167A JP 21616798 A JP21616798 A JP 21616798A JP 2000042707 A JP2000042707 A JP 2000042707A
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cooling
casting
vibration
pin
molten metal
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Isamu Furukawa
勇 古川
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋳造装置の小型化、低コスト化を図る。 【解決手段】 本発明に係る鋳造方法は、鋳型内を貫通
する鋳抜きピン12を用いた鋳造方法において、前記鋳
型4内の溶湯を凝固させる際に、鋳抜きピン12を冷却
しながら振動させる。このため、振動体である鋳抜きピ
ン12が溶湯の熱による影響を受け難くなり、鋳抜きピ
ン12の材料としてアルミや鋼等の安価な材料を使用す
ることができる。また、冷却と振動との相乗効果により
振動周波数を低く設定しても金属組織の微細化効果が大
きくなるため、振動機器16として構造が簡単で小型の
低周波用機器を使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】鋳物の金属組織を微細化する
鋳造方法及びその方法に使用される装置に関する。
【0002】
【従来の技術】鋳造において溶湯に振動を加えることに
より鋳物の金属組織の微細化が図れ、鋳物の強度や靭性
が向上することが一般的に知られている(図6(A)
(B)参照)。特に、1KHz以上の高周波振動を溶湯
に加えると金属組織の微細化の効果が大きくなる。な
お、図6中の2次DASとは金属組織の微細化の程度を
表すデンドライト2次アームスぺーシングのことであ
り、樹木状に成長した結晶の幹の部分から分岐した枝の
長さを表している。
【0003】ここで、溶湯に振動を加える方法としては
鋳型を振動させて間接的に溶湯を振動させる方法と振動
体を溶湯に浸漬して直接的に溶湯を振動させる方法とが
ある。鋳型により間接的に溶湯を振動させる方法ではそ
の鋳型の製品成形面から離れた位置にある内部の溶湯を
効率的に振動させることは難しい。このため、内部の溶
湯に対して適正な振動を加える必要がある場合には振動
体を溶湯に浸漬して直接溶湯を振動させる方法が使用さ
れる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら溶湯を直
接振動させる方法では振動体を溶湯に浸漬する必要があ
るため、振動体を溶湯の熱影響を受けない材料で製作す
る必要がある。このため、前記振動体の製作コストが高
くなるという問題がある。また、金属組織の微細化効果
を向上させるため振動体を1KHz以上の高周波で振動
させようとすれば、高周波用の振動機器が必要となる。
高周波用の振動機器は一般的に電気的手段により得られ
た高周波振動をアンプで増幅する構造のため、振動源と
アンプとが必要になり機器が大型化する。このため、複
数の振動体を備える鋳造装置では振動機器の配置が制限
されるとともに鋳造装置も大型化する。
【0005】そこで、本発明のうち請求項1、請求項5
に記載の発明は、振動体のコスト低減を図るとともに、
振動機器を小型化して振動機器の配置の自由度向上を図
り、鋳造装置の小型化、低コスト化を目的とする。ま
た、請求項2、請求項6に記載の発明は、溶湯を冷却す
る際に過冷却による鋳物の凝固割れ防止を目的とする。
また、請求項3、請求項4、請求項7に記載の発明は、
請求項1に記載の発明の目的に加えて、強度の低い砂型
等においても振動鋳造を可能にすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記した課題は、以下の
特徴を有する鋳造方法及びその装置によって解決され
る。即ち、請求項1に記載の鋳造方法は、鋳型内を貫通
する鋳抜きピンを用いた鋳造方法において、前記鋳型内
の溶湯を凝固させる際に、鋳抜きピンを冷却しながら振
動させる。
【0007】本発明によると、振動体である鋳抜きピン
が冷却されるため溶湯の熱による影響を受け難くなり、
鋳抜きピンを特殊な材料で製作する必要がなくなる。こ
のため、鋳抜きピンの材料としてアルミや鋼等の安価な
材料を使用することができコスト低減を図ることができ
る。また、溶湯を冷却しながら振動させることができる
ため、冷却と振動との相乗効果により振動周波数を低く
設定しても金属組織の微細化効果が大きくなる。このた
め、振動機器として構造が簡単で小型の低周波用機器を
使用でき、複数の振動機器を設置する際の配置の自由度
が向上するとともに鋳造装置を小型化できる。
【0008】請求項2に記載の鋳造方法は、請求項1に
記載された鋳造方法において、鋳抜きピンの内部を流れ
る冷却用流体の流量を調整してその鋳抜きピンを冷却す
る。
【0009】このため、鋳抜きピンの温度制御が可能に
なり、過冷却による鋳物の凝固割れ等を防止することが
できる。
【0010】請求項3に記載の鋳造方法は、請求項1に
記載された鋳造方法において、鋳型に振動が直接加わら
ないように、鋳抜きピンを振動させる。
【0011】このため、強度が低い砂型においても振動
鋳造を実施することができる。
【0012】請求項4に記載の鋳造方法は、請求項3に
記載された鋳造方法において、鋳抜きピンを軸心回りに
回転させて振動させる。
【0013】このため、振動機器にモータ等を使用でき
るようになり、振動機器のコスト低減を図ることができ
る。
【0014】請求項5に記載の鋳造装置は、請求項1に
記載された鋳造方法を実施するための鋳造装置におい
て、鋳抜きピンと、鋳抜きピンを振動させる振動機器
と、鋳抜きピンの内部に冷却用流体を流す冷却手段とを
有する。
【0015】本発明により、請求項1の鋳造方法と同様
の作用効果を得ることができる。なお、冷却用流体には
気体あるいは液体の双方を含む。
【0016】請求項6に記載の鋳造装置は、請求項5に
記載された鋳造装置において、冷却手段は冷却用流体の
流量を調節する流量調節手段を備えている。
【0017】このため、前記流量調節手段で冷却用流体
の流量を調節することに鋳抜きピンの温度制御が可能に
なり、過冷却による鋳物の凝固割れ等を防止することが
できる。即ち、本発明により請求項2に記載の鋳造方法
を実施することができる。また、金属組織の微細化にお
ける冷却と振動との相乗効果を変えることが可能とな
る。
【0018】請求項7に記載の鋳造装置は、請求項5に
記載された鋳造装置において、鋳抜きピンは、鋳型に対
して相対移動可能な状態でその鋳型とは別体の支持部材
に支持されている。
【0019】このため、鋳抜きピンが振動してもその鋳
抜きピンの振動が鋳型に対して直接加わることがない。
即ち、本発明により請求項3の鋳造方法を実施すること
ができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図1から図5に基づいて本
発明の一の実施の形態に係る鋳造方法及びその装置の説
明を行う。本実施の形態に係る鋳造方法は砂型鋳造にお
いて製造されたアルミ製品の金属組織を微細化する方法
に関するものであり、図1に前記鋳造方法に使用される
鋳造装置の縦断面図が示されている。また、図2は砂型
鋳造において製造されたアルミ製品の平面図及び縦断面
図であり、図3から図4は前記アルミ製品の要部におけ
る金属組織の顕微鏡写真である。
【0021】図1に示されるように、鋳造装置1は下定
板2を備えており、その下定板2の上に砂型4が載置さ
れる。前記砂型4は上型4uと下型4dとから構成され
ており、その砂型4が型締めされることにより内部には
製品成形部であるキャビティ5が形成される。また、キ
ャビティ5の内部にはアルミ製品Wの内側に空洞部Wj
(図2(B)、(C)参照)を形成するための砂中子5
mが位置決めされる。さらに、前記砂型4にはその砂型
4を上下に貫通する貫通孔4kがキャビティ5の左右端
の位置で前後方向(図1において紙面垂直方向)にそれ
ぞれ五個づつ形成されている。さらに、上型4uにはキ
ャビティ5内に溶湯を注入するとともに押湯を行うため
の湯道5yが形成されている。
【0022】前記下定板2には砂型4の貫通孔4kに対
応する位置に冷却水通路2kが形成されている。前記冷
却水通路2kは砂型4の貫通孔4kとほぼ等しい径の上
通路2uと小径の下通路2sとを備えており、前記上通
路2uと下通路2sとの間に後記する第二バネ3bを受
ける段差2dが形成されている。
【0023】また、前記下定板2の左右両側には複数の
支柱2hが立設されており、その支柱2hによって上定
板8の支柱8hが支持されている。上定板8は砂型4の
上で振動装置10を支持する厚板であり、砂型4のそれ
ぞれの貫通孔4kに対応する位置にその貫通孔4kより
若干小径の開孔8kが形成されている。そして、それら
の開孔8kの位置に振動装置10が装着されている。前
記振動装置10は振動体であるとともに鋳抜きピンとし
て機能する冷却パイプ12と、冷却パイプ12を支持す
るハウジング14と、前記冷却パイプ12を軸方向に振
動させる振動機器16とから構成されている。
【0024】前記冷却パイプ12は前述のようにアルミ
合金溶湯(以下、溶湯という)を振動させる振動体とし
て機能するとともに、アルミ製品Wに貫通孔Wk(図2
参照)を成形する鋳抜きピンとして機能する部材であ
り、パイプ本体12mとそのパイプ本体12mの上端に
連結されているピストン部12pとから構成されてい
る。
【0025】前記冷却パイプ12のパイプ本体12mは
上定板8の開孔8kとほぼ等しい径で製作されており、
その開孔8kから砂型4の貫通孔4kに上下動可能な状
態で挿入される。また、前記冷却パイプ12のピストン
部12pはパイプ本体12mと等しい径で製作されてお
り、そのパイプ本体12mの上部と共に軸方向に摺動可
能な状態でシリンダ状のハウジング14に収納されてい
る。即ち、前記冷却パイプ12は上定板8の開孔8kと
ハウジング14とによって軸方向の移動を許容された状
態で半径方向から拘束されている。
【0026】前記ハウジング14の奥には前記冷却パイ
プ12を押し下げる方向に付勢された第一バネ14bが
収納されており、また前記冷却パイプ12と下定板2の
段差2dとの間にはその冷却パイプ12を押し上げる方
向に付勢された第二バネ3bが設置されている。即ち、
前記冷却パイプ12は第一バネ14bと第二バネ3bと
によって上下から挟まれた状態で上下振動可能に支持さ
れている。なお、第一バネ14bと第二バネ3bのバネ
定数は等しい値に設定されている。
【0027】ここで、前述のように上定板8の開孔8k
等は砂型4の貫通孔4kよりも若干小径であるため、前
記冷却パイプ12が砂型4の貫通孔4k内を上下に振動
してもその振動が砂型4に対して直接伝わることがな
い。このため、前記冷却パイプ12の振動によって砂型
4に割れ等が生じることがない。即ち、前記上定板8が
本発明の支持部材として機能する。
【0028】前記冷却パイプ12の内部にはピストン部
12pの中央からパイプ本体12mの下端面にかけて冷
却水通路12wが形成されており、その冷却水通路12
wと連通してピストン部12pの側面に冷却水入口部1
2eが設けられている。前記冷却水入口部12eはハウ
ジング14の側面開口14xから外部に突出しており、
その冷却水入口部12eに冷却水配管17が接続され
る。なお、ハウジング14の側面開口14xは冷却パイ
プ12が上下に振動しても冷却水入口部12eがハウジ
ング14に当接しないサイズで製作されている。
【0029】前記冷却水配管17には流量調節弁17v
が設置されており、冷却パイプ12を流れる冷却水の流
量を調節できるようになっている。このため、冷却パイ
プ12を流れる冷却水の流量を適正流量に保持できるよ
うになり、溶湯の過冷却に起因したアルミ製品Wの凝固
割れ等を防止できる。また、冷却パイプ12が溶湯の熱
の影響を受け難くなり、冷却パイプ12の材料として安
価なアルミや鋼等を使用することができる。即ち、前記
冷却水通路12w、冷却水配管17等が本発明の冷却手
段として機能し、流量調節弁17v等が本発明の流量調
節手段として機能する。
【0030】前記ハウジング14の上面には冷却パイプ
12を振動させる振動機器16が取付けられている。前
記振動機器16は加圧空気によって作動される低周波用
の振動機器であり100Hz程度の振動を発生させる。
なお、前記振動機器16は空気流量を調整することによ
り0〜100Hz程度まで振動を変化させることができ
る。前記振動機器16は軸方向に振動する振動ピン16
pを備えており、その振動ピン16pがハウジング14
の貫通孔14kを通って冷却パイプ12と同軸に接続さ
れている。この構造により、振動機器16が駆動される
と振動ピン16pを介して冷却パイプ12に振動が伝わ
り、冷却パイプ12は第一バネ14bと第二バネ3bに
挟まれた状態で上下方向に100Hz程度で振動する。
【0031】次に、図1から図5に基づいて本実施の形
態に係る鋳造方法について説明する。先ず、図1に示さ
れるように砂型4が型締めされると、砂型4のキャビテ
ィ5内に湯道5yから溶湯が注入される。そして、注湯
が終了すると、冷却水配管17から冷却水が各々の冷却
パイプ12に通される。冷却水は冷却水入口部12eか
ら冷却パイプ12の内部を通って下定板2の冷却水通路
2kから外部に排出される。このとき、冷却パイプ12
を流れる冷却水の流量は流量調節弁17vによって適正
流量に保持される。
【0032】このようにして冷却パイプ12に冷却水が
通されると、同時に振動機器16が駆動され、前記冷却
パイプ12は100Hz程度の低周波数で上下に振動す
る。これによって、キャビティ5に充填された溶湯は冷
却パイプ12によって直接的に冷却されるとともに、そ
の溶湯には冷却パイプ12によって振動が直接加えられ
る。このように、冷却パイプ12によって溶湯に直接振
動を加えることができるため、キャビティ5内の溶湯を
内部まで効率的に振動させることができる。また、溶湯
と接触している冷却パイプ12を振動させるため、その
冷却パイプ12と溶湯との接触圧力が増し、さらに密着
性が向上するため溶湯に対する冷却効率も高くなる。
【0033】このようにキャビティ5内の溶湯が凝固す
る際にその溶湯を冷却し、さらに振動を加えるため、冷
却と振動との相乗効果によりアルミ製品Wの金属組織が
微細化する。特に、前記冷却パイプ12の周辺の溶湯は
冷却速度が速く、また振動が効率的に加わるため金属組
織の微細化効果が大きい。
【0034】上記鋳造方法による金属組織の微細化効果
を確認するため前記鋳造装置1により次の実験を行っ
た。先ず、アルミ製品WのNo.1貫通孔Wk(図2参
照)を成形する冷却パイプ12には冷却水を流さず、ま
た振動を加えないようにした(冷却×、振動×)。N
o.2貫通孔Wkを成形する冷却パイプ12には適正流
量の冷却水を流し、振動は加えないようにした(冷却
○、振動×)。No.3貫通孔Wkを成形する冷却パイ
プ12には冷却水を流さず、100Hzの振動を加えた
(冷却×、振動○)。No.4貫通孔Wkを形成する冷
却パイプ12には上記鋳造方法で説明したように適正流
量の冷却水を流し、かつ100Hzの振動を加えた(冷
却○、振動○)。
【0035】このようにしてアルミ製品Wを製造し、N
o.1貫通孔Wkの近傍の上下三個所(I−I、I−I
I、I−III)、No.2貫通孔Wkの近傍の上下三
個所(II−I、II−II、II−III)、No.
3貫通孔Wkの近傍の上下三個所(III−I、III
−II、III−III)、及びNo.4貫通孔Wkの
近傍の上下三個所(IV−I、IV−II、IV−II
I)で金属組織を採取し、その微細化の様子を確認し
た。ここで、各貫通孔Wkから採取個所(測定ポイン
ト)までの距離はL0であり、アルミ製品Wの底面から
下部測定ポイントまでの距離はL3、中部測定ポイント
までの距離はL2、上部測定ポイントまでの距離はL1
である。
【0036】図3はNo.1〜No.4貫通孔Wkの上
部測定ポイントにおける金属組織の顕微鏡写真である。
測定ポイントI−IはNo.1貫通孔Wk(冷却×、振
動×)の近傍における上部測定ポイントを表しており、
その金属組織の2次DAS値は約43〜45μmであ
る。
【0037】測定ポイントII−IはNo.2貫通孔W
k(冷却○、振動×)の近傍における上部測定ポイント
を表しており、その金属組織の2次DAS値は約29〜
30μmである。写真から明らかなように冷却パイプ1
2を冷却しない場合よりも金属組織は微細化している。
【0038】測定ポイントIII−IはNo.3貫通孔
Wk(冷却×、振動○)の近傍における上部測定ポイン
トを表しており、その金属組織の2次DAS値は約29
〜30μmである。写真から明らかなように冷却パイプ
12を振動させない場合よりも金属組織は微細化してい
る。
【0039】測定ポイントIV−IはNo.4貫通孔W
k(冷却○、振動○)の近傍における上部測定ポイント
を表しており、その金属組織の2次DAS値は約20μ
mである。写真から明らかなように冷却パイプ12を冷
却だけした場合、あるいは冷却パイプ12を振動だけさ
せた場合よりも金属組織はさらに微細化している。
【0040】図4はNo.1〜No.4貫通孔Wkの中
部測定ポイントにおける金属組織の顕微鏡写真である。
測定ポイントI−IIはNo.1貫通孔Wk(冷却×、
振動×)の近傍における中部測定ポイントを表してお
り、その金属組織の2次DAS値は約43〜45μmで
ある。測定ポイントII−IIはNo.2貫通孔Wk
(冷却○、振動×)の近傍における中部測定ポイントを
表しており、その金属組織の2次DAS値は約29〜3
0μmである。
【0041】測定ポイントIII−IIはNo.3貫通
孔Wk(冷却×、振動○)の近傍における中部測定ポイ
ントを表しており、その金属組織の2次DAS値は約2
9〜30μmである。測定ポイントIV−IIはNo.
4貫通孔Wk(冷却○、振動○)の近傍における中部測
定ポイントを表しており、その金属組織の2次DAS値
は約20μmである。
【0042】図5はNo.1〜No.4貫通孔Wkの下
部測定ポイントにおける金属組織の顕微鏡写真である。
測定ポイントI−IIIはNo.1貫通孔Wk(冷却
×、振動×)の近傍における下部測定ポイントを表して
おり、その金属組織の2次DAS値は約43〜45μm
である。測定ポイントII−IIIはNo.2貫通孔W
k(冷却○、振動×)の近傍における下部測定ポイント
を表しており、その金属組織の2次DAS値は約29〜
30μmである。
【0043】測定ポイントIII−IIIはNo.3貫
通孔Wk(冷却×、振動○)の近傍における下部測定ポ
イントを表しており、その金属組織の2次DAS値は約
29〜30μmである。測定ポイントIV−IIIはN
o.4貫通孔Wk(冷却○、振動○)の近傍における下
部測定ポイントを表しており、その金属組織の2次DA
S値は約20μmである。
【0044】このように、本実施の形態に係る鋳造方法
によると、溶湯が凝固する際にその溶湯を冷却パイプ1
2で冷却し、さらに振動を直接加えるため、冷却と振動
との相乗効果でアルミ製品Wの金属組織をより一層微細
化することができる。また、振動体である冷却パイプ1
2を冷却水で冷却するため、冷却パイプ12が溶湯の熱
による影響を受け難くなり、その冷却パイプ12を鉄等
の安価な材料で製作することができる。このため振動鋳
造装置1のコスト低減を図ることができる。また、冷却
と振動との相乗効果により振動周波数を低く設定しても
金属組織の微細化の効果が大きくなるため、振動機器1
6として構造が簡単で小型の低周波用機器を使用でき、
複数の振動機器16(本実施の形態では10台)を設置
する際の配置の自由度が向上するとともに鋳造装置1を
小型化できる。
【0045】また、冷却パイプ12を流れる冷却水の流
量は流量調節弁17vによって適正流量に保持されるた
め、溶湯の過冷却を防止することができアルミ製品Wに
凝固割れ等が発生することがない。さらに、前記流量調
節手段により鋳抜きピンの温度を調整することができ、
その鋳抜きピン周辺の溶湯の冷却速度をコントロールで
きる。このため、金属組織の微細化における冷却と振動
との相乗効果を変えることが可能となる。また、砂型4
に振動が直接加わらないように冷却パイプ12を振動さ
せることができるため、強度が低い砂型4においても湯
漏れ等が発生せず、振動鋳造を良好に実施することがで
きる。
【0046】ここで、本実施の形態では低周波振動機器
16及び第一バネ14b、第二バネ3bを使用して冷却
パイプ12を軸方向に振動させたが、モータ等を使用す
ることにより冷却パイプ12を軸回りに回転させて振動
を加えても良い。これによって、振動機器のコスト低減
を図ることができる。また、冷却パイプ12の振動数を
100Hzに設定して鋳造を行ったが振動数を約100
Hzから約300Hzの間に設定しても良い。また、冷
却パイプ12を冷却するために冷却水を使用したが、ガ
ス等を使用することも可能である。
【0047】
【発明の効果】本発明によると、振動体である鋳抜きピ
ンが溶湯の熱による影響を受け難くなるため、鉄等の安
価な材料で製作することができ振動鋳造装置のコスト低
減を図ることができる。また、振動周波数を低く設定で
きるため振動機器に小型のものを使用でき、振動機器を
配置する際の配置の自由度が向上するとともに鋳造装置
を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る鋳造方法に使用される鋳造
装置の縦断面図である。
【図2】本実施の形態に係る鋳造方法によって製造され
たアルミ製品の平面図(A図)、A図のB−B断面図
(B図)、A図のC−C断面図(C図)である。
【図3】アルミ製品のNo.1〜No.4貫通孔の近傍
の上部測定ポイントにおける金属組織の顕微鏡写真であ
る。
【図4】アルミ製品のNo.1〜No.4貫通孔の近傍
の中部測定ポイントにおける金属組織の顕微鏡写真であ
る。
【図5】アルミ製品のNo.1〜No.4貫通孔の近傍
の下部測定ポイントにおける金属組織の顕微鏡写真であ
る。
【図6】溶湯に加える振動と金属組織の微細化との関係
を表す図面(A図)、及び金属組織の微細化とその金属
の引張強度との関係を表す図面(B図)である。
【符号の説明】
2 下定板 2k 冷却水通路(冷却手段) 4 砂型 5 キャビティ 8 上定板(支持部材) 12 冷却パイプ(鋳抜きピン) 12w 冷却水通路(冷却手段) 16 振動機器 17 冷却水配管(冷却手段) 17v 流量調節弁(冷却手段、流量調節手段)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳型内を貫通する鋳抜きピンを用いた鋳
    造方法において、 前記鋳型内の溶湯を凝固させる際に、鋳抜きピンを冷却
    しながら振動させる鋳造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された鋳造方法におい
    て、 鋳抜きピンの内部を流れる冷却用流体の流量を調整して
    その鋳抜きピンを冷却する鋳造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載された鋳造方法におい
    て、 鋳型に振動が直接加わらないように、鋳抜きピンを振動
    させる鋳造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載された鋳造方法におい
    て、 鋳抜きピンを軸心回りに回転させて振動させる鋳造方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載された鋳造方法を実施す
    るための鋳造装置において、 鋳抜きピンと、 鋳抜きピンを振動させる振動機器と、 鋳抜きピンの内部に冷却用流体を流す冷却手段と、を有
    する鋳造装置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載された鋳造装置におい
    て、 冷却手段は冷却用流体の流量を調節する流量調節手段を
    備えている鋳造装置。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載された鋳造装置におい
    て、 鋳抜きピンは、鋳型に対して相対移動可能な状態でその
    鋳型とは別体の支持部材に支持されている鋳造装置。
JP10216167A 1998-07-30 1998-07-30 鋳造方法及びその装置 Pending JP2000042707A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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