JP2011167729A - 振動凝固鋳造装置及び振動凝固鋳造法 - Google Patents

振動凝固鋳造装置及び振動凝固鋳造法 Download PDF

Info

Publication number
JP2011167729A
JP2011167729A JP2010034424A JP2010034424A JP2011167729A JP 2011167729 A JP2011167729 A JP 2011167729A JP 2010034424 A JP2010034424 A JP 2010034424A JP 2010034424 A JP2010034424 A JP 2010034424A JP 2011167729 A JP2011167729 A JP 2011167729A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vibration
mold
molten metal
vibrator
filling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2010034424A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenji Miwa
謙治 三輪
Naoki Omura
直紀 尾村
Takuya Tamura
卓也 田村
Tadatsugu Kubo
忠継 久保
Masayuki Harada
雅行 原田
Hideki Furukawa
秀樹 古川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KOTOBUKI KINZOKU KOGYO KK
KOTOBUKI METAL
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
KOTOBUKI KINZOKU KOGYO KK
KOTOBUKI METAL
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by KOTOBUKI KINZOKU KOGYO KK, KOTOBUKI METAL, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical KOTOBUKI KINZOKU KOGYO KK
Priority to JP2010034424A priority Critical patent/JP2011167729A/ja
Publication of JP2011167729A publication Critical patent/JP2011167729A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Continuous Casting (AREA)

Abstract

【課題】振動凝固鋳造技術において、鋳型を振動させる振動子による振動開始のタイミングを制御し、凝固過程での金属組織の不均一化を図るとともに、偏析部位を特定箇所に限定的に発生させるように制御可能な振動凝固鋳造装置の提供を課題とする。
【解決手段】振動凝固鋳造装置1は、互いに分離可能に形成された固定型4及び可動型5を有し、高温で溶解された溶湯の充填されるキャビティ3を内部に備える鋳型7と、鋳型7に取設され、キャビティ3充填された溶湯の凝固過程で溶湯に振動を付与する振動子3と、キャビティ3に溶湯を充填する注湯工程及び傾斜工程と、振動子2による振動を制御する振動制御部とを具備し、振動子2による鋳型及び溶湯への振動ピークは、溶湯の充填完了と同時、又は充填完了から時間差を有して到達するように設定され、複数の振動子2の振動タイミングを互いに相違して制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、振動凝固鋳造装置及び振動凝固鋳造法に関するものであり、特に、鋳物製品を鋳造際に鋳型のキャビティに充填された高温の溶湯に振動を付与し、鋳物製品の金属組織の均一化及び鋳造欠陥等の不良発生を抑制することの可能な振動凝固鋳造装置及び振動凝固鋳造法に関するものである。
従来から、高温で溶解させたアルミニウム合金等の溶湯を鋳型の内部に型彫りされたキャビティに充填し、その状態で当該溶湯を冷却することにより、液状の溶湯から固相の鋳物製品への相転移を図り、各種鋳物製品を鋳造することが行われている。このとき、相転移の過程(液相から固相への凝固)において、外部から振動を付与することによって、鋳巣欠陥等の不良発生を抑制することが可能な振動凝固鋳造技術が知られている。本願出願人等は、上記技術に係る鋭意研究の結果、凝固後の金属組織の均一化を図ることが可能な優れた作用効果を奏する振動凝固鋳造鋳型及びその鋳造法についての技術を確立し、既に特許出願を行っている(特許文献1参照)。
ここで、振動凝固鋳造の過程では、金型内のキャビティに充填された高温の溶湯から熱が奪われるステップで、金型に対して振動を付与することで、キャビティ内の液状の溶湯に当該振動が伝達されることになる。その結果、キャビティの形状や重力等に起因する凝固の進行の不均衡を是正することができ、鋳造された鋳物製品の外観形状及び内部品質を安定化させることができる。
鋳物(鋳物製品)は、各種工業製品に利用され、例えば、自動車等の油圧関連部品等に使用されることもある。これらの油圧関連部品で、鋳巣欠陥等の不良が発生した場合、内部に注入された油に所定の圧力が加えられると、鋳物製品の当該油が浸出し、設計時の油圧性能を十分に発揮することができない。すなわち、所謂「圧漏れ」等の不具合が発生することによって製品としての使用ができなくなった。そこで、上述の振動凝固技術を採用することにより、圧漏れ等の不具合の発生を解消することができた。
しかしながら、圧漏れ等の不具合の発生を抑制し、鋳物製品の鋳造品質の安定化を図ろうとした場合、高温の溶湯が凝固する過程で付与される振動の振動条件を厳密に設定する必要があった。すなわち、大きな振動であれば、溶湯がキャビティ内で大きく揺れることになり、製品の外観形状に多大な影響を及ぼす可能性があった。一方、小さな振動であれば、振動凝固による鋳造の効果を十分に享受することができなかった。
ここで、付与される振動条件には、例えば、鋳型(若しくは鋳造機)に取設する振動子の種類、取設位置、取設個数、振動付与のタイミング、及び振動量(変位量)等の振動子による振動に直接影響を受けるパラメータと、一方、振動子の取設される鋳型のキャビティの形状、充填される溶湯の種類、溶湯温度、凝固完了までに要する時間、及び鋳物製品のサイズ及び重量等の振動に間接的に影響を及ぼすパラメータとが挙げられる。特に、キャビティに充填後は、急速に熱を喪失して凝固する溶湯に対する振動開始のタイミングが鋳造品質に大きな影響を及ぼすことが知られている。さらに、上記振動開始のタイミングは、振動子を取付けたキャビティにおける位置関係にも大きな影響を有している。
さらに、鋳物製品の鋳造では、凝固のタイミングで金属組織の不均一化(偏析)が生じることがあった。そこで、上述の振動子による振動開始のタイミングを制御することで、偏析の発生を抑える、或いは偏析部位を非製品部分やそれほど高い強度を要求されることのない低強度部分に発生させるように制御する試みも行われている。
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、振動凝固鋳造技術において、鋳型を振動させる振動子による振動開始のタイミングを制御し、凝固過程での金属組織の均一化を図るとともに、偏析部位を特定箇所に限定的に発生させるように制御可能な振動凝固鋳造装置及び振動凝固鋳造法の提供を課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明の振動凝固鋳造装置は、「互いに分離可能に形成された固定型及び可動型を有し、高温で溶解された溶湯の充填されるキャビティを内部に備える鋳型と、前記鋳型に取設され、前記キャビティに充填された前記溶湯の凝固過程で前記溶湯に振動を付与する振動子と、前記キャビティに前記溶湯を充填する溶湯充填機構部と、前記振動子による振動を制御する振動制御部とを具備し、前記振動子による前記鋳型及び前記溶湯への振動ピークは、前記溶湯の充填完了と同時、又は充填完了から時間差を有して到達するように設定される」ものから主に構成されている。
したがって、本発明の振動凝固鋳造装置によれば、振動子の取設された鋳型を用い、キャビティへの溶湯の充填が完了したと同時、或いは所定の時間差(タイムラグ)を有して振動子による振動ピークが最大に到達するように設定される。ここで、振動ピークとは、振動子による振動の変位量が最大になる位置であり、振動子の種類や特性によって振動開始のタイミングから所定時間ずれて当該振動ピークに到達することが一般的である。係る振動ピークのタイミングを制御することにより、溶湯の凝固過程での振動付与による優れた作用を奏させることが可能となる。ここで、本明細書において、鋳型は、鋳型単体及び鋳型を一部に含む鋳造機を示すものとする。
さらに、本発明の振動凝固鋳造装置は、上記構成に加え、「前記振動子は、前記鋳型の前記固定型及び前記可動型のそれぞれに少なくとも一つが取設され、前記振動制御部は、複数の前記振動子の振動タイミングを互いに相違して制御する」ものであっても構わない。
したがって、本発明の振動凝固鋳造装置によれば、複数の振動子のそれぞれの振動タイミングを互いに相違するように制御することが行われる。これにより、振動ピークに到達する時間がキャビティの各部位によって異なることになる。その結果、鋳巣欠陥等の不良発生を抑えることができる。ここで、鋳型に対して複数の振動子を取設した場合、固定型側のみ或いは可動型のみを振動させる、或いは固定型及び可動型を併せて振動させるような制御を行うことも可能である。すなわち、振動タイミングを互いに相違するように制御するとは、取設された少なくとも一つの振動子を全く振動させない制御も含むものとする。
一方、本発明の振動凝固鋳造法は、「上記記載の振動凝固鋳造装置を利用した振動凝固鋳造法であって、互いに分離可能に形成された固定型及び可動型を有し、高温で溶解された溶湯の充填されるキャビティを内部に備える鋳型を型締めする型締工程と、型締めされた前記鋳型の前記キャビティに前記溶湯を充填する溶湯充填工程と、前記キャビティへの前記溶湯の充填完了に応じ、振動子による振動の開始を制御する振動制御工程とを具備し、前記振動制御工程による前記振動子の前記鋳型及び前記溶湯への振動ピークは、前記溶湯の充填完了と同時、又は充填完了から時間差を有して到達するように設定される」ものから主に構成されている。また、上記構成に加え、「前記振動子は、前記鋳型の前記固定型及び前記可動型のそれぞれに少なくとも一つが取設され、前記振動制御工程は、複数の前記振動子の振動タイミングを互いに相違して制御する」、或いは「前記振動制御工程は、前記鋳型に取設された複数の前記振動子の振動タイミングを制御することにより、前記溶湯の凝固過程で生ずる金属組織の偏析を、前記鋳型で鋳造される鋳物製品の非製品部分若しくは前記鋳物製品の低強度部分に限定的に発生させる偏析部位制御工程」を具備するものであっても構わない。
したがって、本発明の振動凝固鋳造法によれば、上述した優れた作用を奏する振動凝固鋳造装置を利用して鋳造品質の安定した鋳物製品の鋳造を行うことが可能となる。
本発明の効果として、振動子によって溶湯に付与される振動の変位量が最大値になる振動ピークに到達するタイミングを、キャビティへの溶湯の充填完了直後、または所定の時間差を有するように設定することで、振動凝固鋳造技術を採用した優れた鋳物製品の鋳造を行うことができる。
本実施形態の振動凝固鋳造装置の概略構成を示す模式図である。 振動凝固鋳造装置の鋳造機の傾斜による溶湯の充填を示す模式図である。 振動凝固法の流れを示すフローチャートである。 複数の振動子の振動条件の違いによる鋳造品質を示す表である。 ボールバイブレータを使用した振動の時間−変位量を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態である振動凝固鋳造装置1(以下、単に「振動装置1」と称す)及び振動凝固鋳造法20(以下、単に「鋳造法20」と称す)について、図1乃至図5に基づいて説明する。ここで、図1は本実施形態の鋳造装置1の概略構成を示す模式図であり、図2は振動凝固鋳造装置の鋳造機の傾斜による溶湯の充填を示す模式図であり、図3は振動凝固法20の流れを示すフローチャートであり、図4は複数振動子2の振動条件の違いによる鋳造品質を示す表であり、図5はボールバイブレータを使用した振動の時間−変位量を示すグラフである。ここで、本実施形態の鋳造装置1は、金属製の鋳型7を一部に有する鋳造機を用いた金型鋳造方式を採用し、キャビティ3への溶湯の充填は、鋳型7を含む鋳造機自体を傾斜させて充填を完了する重力鋳造方式を採用したものについて例示する。
本実施形態の鋳造装置は、図1等に示すように、高温で溶解された溶湯(図示しない)が充填されるキャビティ3が、内部に形成された固定型4及び可動型5を有する金属製の鋳型7と、キャビティ3に充填された溶湯に振動を付与するための振動子2とを主に具備して構成されている。
さらに具体的に説明すると、鋳型7は、互いに型面同士を密着させた型締め状態及び型面同士を離間させた型開き状態に固定型4及び可動型5を稼働させるために、それぞれ鋳造機(図示しない)のプラテン6に取付けられている。ここで、固定型4は、鋳造機の一方のプラテン6に取設された主型8aと、主型8aに固定され、鋳造対象の鋳物製品に併せて型彫りされたキャビティ3の形状の一部を有する固定入子9とから構成されている。一方、可動型5は、鋳造機の他方のプラテン6に取設された主型8bと、主型8bに固定され、鋳造対象の鋳物製品に併せて型彫りされたキャビティ3の形状の一部を有する可動入子10とから構成されている。この構成により、鋳造装置1を作動させると、鋳型7の可動型5が固定型4に対して進退自在に可動することとなり、型締め状態及び型開き状態の二つの状態に変位することができる。これにより、キャビティ3への溶湯の充填及び鋳造、さらには鋳造後の鋳物製品を鋳型7から取出す型抜きを行うことができる。なお、本実施形態の鋳造装置1は、鋳造機に対して固定入子9及び可動入子10を取外し可能な鋳型7を例示したが、これに限定されるものではなく、鋳造機及び鋳型7を一体的に構成したものであっても構わない。
一方、溶湯に対して振動を付与する振動子2は、固定側及び可動側のそれぞれのプラテン6に一つずつ設けられている。ここで、プラテン6のプラテン外面6a及び振動子2の間には、振動子取付板11が設置されている。各プラテン6には、プラテン外面6a及びプラテン内面6bを貫通する貫通孔12が穿設され、プラテン内面6b側の振動板13と振動伝達軸14を介して接続している。これにより、プラテン外面6aに取付けられた振動子2を作動させて発生させた振動を、プラテン内面6b側の鋳型7に伝達することができる。なお、振動子2は固定側及び可動側の片側に設けられているものでもよく、さらに複数であっても構わない。
さらに、プラテン内面6b側の振動板13には、振動ロッド15が設けられている。なお、振動板13及び振動ロッド15を設置するためのスペースが、固定型4及び可動型5のそれぞれの主型8a,8bには設けられている。さらに、振動ロッド15の先には、振動中子16が設けられ、キャビティ3に充填された溶湯に振動子2による振動を直接伝達することができる。ここで、本実施形態の鋳造装置1の場合、固定型4には、振動板13に対し、一対の振動ロッド15及び振動中子16が設置され、一方、可動型5には、振動板13に対し、一本の振動ロッド15及び振動中子16が設置されている。なお、振動ロッド15及び振動中子16に固定型4及び可動型5への設置数や配置位置等については、鋳物製品の形状、サイズ、及び重量等の各種条件に応じて任意に設定することができる。さらに、振動中子16の構成を省略し、主型8a,8b或いは固定入子9及び可動入子10を直接振動させるものであっても構わない。しかしながら、振動中子16を採用することにより、キャビティ3内の溶湯の振動を特定部位に限定することが可能となり、マクロ組織の微細化を効率的に行うことができる。ここで、振動板13は、上記のように振動子取付板11と一体的に構成されるものであっても、或いは分離構成することも可能である。
本実施形態の鋳造装置1は、上記構成に加え、鋳型7のキャビティ3へ連通する注湯口17及び高温の溶湯を一時的に貯留する注湯受部18をさらに有している。これにより、注湯受部18に注がれた高温の溶湯を、鋳型7の取付けられた鋳造機全体を傾斜させながら90°回転させることにより(図2参照)、注湯口17を通じて溶湯をキャビティ3内に導くことが可能となる。なお、鋳造機を傾斜させるための傾斜制御構(図示しない)及び振動子2による振動タイミングを制御する振動制御部(図示しない)等は、既存の振動凝固鋳造技術において利用するものを流用することができ、ここでは詳細な説明は省略するものとする。さらに、本実施形態において、振動子2は振動子取付板11に対して着脱自在となっている。そのため、振動子2の種類を適宜変更することができる。
上記構成の鋳型装置1を用い、振動凝固鋳造技術を用いた鋳物製品の鋳造(本実施形態の鋳造法20に相当)を行うことができる。具体的に説明すると、図3のフローチャートに示すように、始めに鋳型7の固定型4及び可動型5の型面同士を互いに密着させ、鋳型7を型締め状態に設定する(型締工程S1)。これにより、鋳型7の内部に所定形状のキャビティ3が形成される。このとき、鋳型7は加熱機構によって300℃以上に加熱されている。さらに、鋳型7を含む鋳造機を傾斜させる傾斜制御部によって、キャビティ3及び注湯受部18が水平方向に並ぶように設置されている。
その後、注湯受部18に対し、高温(例えば、700〜800℃)で溶解した金属(アルミニウム合金等)を規定された量だけ流込む(注湯工程S2)。そして、傾斜制御部によって鋳型7を含む鋳造機全体を90°回転させる(傾斜工程S3:図2参照)。係る操作によって、注湯受部18の溶湯は、注湯口17を通り、鋳型7のキャビティ3の中に流込むことになる。そして、鋳造機の90°の傾斜(回転)が完了すると、注湯受部18に投入された溶湯の全量がキャビティ3に移動し、充填が完了する。ここで、注湯工程S2及び傾斜工程S3が本発明の溶湯充填工程に相当する。なお、鋳型7のみを回転させる機構を採用したものであっても構わない。また、本実施形態において、傾斜鋳造の例を示したが、鋳型等を回転させない定置鋳造に適用するものであっても構わない。
そして、振動制御機構を操作し、固定側及び可動側にそれぞれ設置された各振動子2による振動を開始するように制御する(振動制御工程S4)。ここで、鋳型7に取設された複数の振動子2に対し、本実施形態の鋳型装置1における振動制御部は、それぞれの振動子2による振動の変位量が最大値となる振動ピークに到達するまでの時間を互いに創意するように制御する。
ここで、固定型4及び可動型5にそれぞれ取設された複数の振動子2を同じタイミングで一斉に稼働させると、それぞれの振動子2による振動によって溶湯に付与される振動が打ち消されたり、或いは増幅される可能性がある。そのため、当初に予定した以下、若しくは以上の振動が溶湯に付与されることになり、振動凝固鋳造による十分な作用効果を享受することができない可能性がある。すなわち、振動の変位量が小さな場合、溶湯を十分に振動させることができず、振動付与がない場合とほとんど同じ条件になる可能性がある。一方、複数の振動子2による振動が増幅された場合、溶湯に強い振動が加わり、必要以上に変位量が大きくなる。その結果、いずれにしても安定した鋳造を行うことができない。そこで、個々の振動子2の振動開始タイミングを違いにずらし、調整することにより、上記不具合を解消することができる。
なお、一例を挙げると、図5に示すように、振動開始から振動ピークに到達するまでの時間は、ボールバイブレータを使用した場合、約1.3sを要するとのデータもある。そのため、この振動開始から振動ピークに至るまでのタイムラグを利用することで、複数の振動子2の振動タイミングを制御することができる。なお、図示しないが、高周波モータを振動子2として使用した場合、振動ピークへの到達に要する時間が約6.8sであるとのデータもある。
鋳造機の傾斜が完了し、キャビティ3への溶湯の充填が完了した直後は、溶湯はまだ高温の状態にあり、液状の性質を有している。そのため、振動制御工程S4によって各振動子2を通じて振動中子16による振動が付与されると、当該溶湯は係る影響を大きく受けることになり、溶湯自らが揺動することになる。一方、溶湯の充填完了直後から、高温の溶湯は大量の熱を外気に放出し、自らは熱を奪われてその温度は低下している。そのため、充填完了直後から上記振動制御機構によって溶湯に振動を付与しつづけても、温度が低下している溶湯は、液相から固相への相転移が進行するため、徐々に振動による影響を受けなくなる。そのため、所定時間を経過した後は、振動子2による振動付与を停止する(振動停止工程S5)。そして、キャビティ3内の鋳物製品の温度が十分に冷め、取出すことが可能となった状態で、鋳造機を逆方向に90°回転させ、再び元の状態に戻す。その後、固定型4及び可動型5の型面を離間させ、型開き状態にする(型開工程S6)。これにより、キャビティ3から鋳物製品を型抜きし、取出すことができ、鋳物製品の金型鋳造が完了する。
上記鋳造装置1及び鋳造法20を利用し、鋳物製品の鋳造を行った結果を示す。ここで、複数の振動子2を使用した場合の鋳物製品の鋳造品質の違いを示すため、固定型4及び可動型5にそれぞれ取設した振動子2を(1)固定型+可動型、(2)固定型のみ、(3)可動型のみ、の条件でそれぞれ可動し、鋳巣欠陥等の不良の発生を確認した結果を図4に示す。ここで、振動条件の異なる2種類のボールバイブレータをそれぞれ振動子2として使用した結果を示す。ここで、振動子Aは、振動数が210Hz、遠心力が0.9kNの振動条件に設定され、一方、振動子Bは、振動数が190Hz、遠心力が0.7kNの振動条件に設定されたものが利用される。
図4等に示すように、固定型4及び可動型5に取設された振動子2を同じタイミングで振動させる、固定型4のみ、若しくは可動型5のみを振動させるそれぞれの振動条件により、外引けの発生、鋳巣欠陥の発生、圧漏れの発生、引張り強さ等の低下等が確認された。特に、固定型4及び可動型5を同じタイミングで振動させることにより、鋳巣欠陥等の不良が特に増加することが確認された。一方、固定型4のみを振動させた場合、外引けの発生がない、若しくはほとんどなく、また鋳巣の発生も確認されない等の良好な鋳造品質の鋳物製品の鋳造が可能となる。X線CT観察によっても鋳巣の存在が減少していることが確認された。そのため、基本的な条件であれば、固定型4及び可動型5をそれぞれ単独で振動させることが望ましく、固定型4及び可動型5の同一タイミングでの振動は鋳造品質を著しく低下させることが確認された。
上記結果から、複数の振動子2が取設されている場合、振動開始を制御するタイミングを制御することにより、鋳巣欠陥の発生を抑えることが可能となる。ここで、図5に示すように、充填完了と同時に振動開始の制御を行ったとしても、振動の幅(変位量)が最大となる振動ピークに到達するまでには、所定の時間が要することが知られているそのため、係る振動ピークに到達するまでの時間差(タイムラグ)を考慮し、振動制御部で各振動子2の振動開始のタイミングを制御することにより、上述した固定型4及び可動型5を一緒に振動させたとしても上記のような欠陥が発生することが少なくなる。
さらに、本実施形態の鋳造装置1の場合、鋳型7に取設された複数の振動子2を利用することにより、不具合を生じる箇所、すなわち、偏析部位を予め規定した場所に出現させるようなコントロールをすることもできる。すなわち、複数の振動子2による振動開始のタイミングを制御することで、鋳物製品中の特定部位に偏析を生じさせることができる。ここで、鋳物製品の鋳造の場合、型抜きした後に不要部分を除去するトリミング作業を行う場合がある。そのため、当該偏析部位を除去する部位に発生させることにより、鋳物製品の鋳造品質を低下させることがない。加えて、鋳物製品の一部位であったとしても、特に強い強度を必要としない箇所(低強度部位)に限定的に偏析部位を生じさせるものであっても構わない。これにより、当初の設計強度を維持した安定した品質の鋳物製品を鋳造することができ、鋳造過程における歩留まりを低く抑えることができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、本実施形態の鋳造装置1において、金型鋳造で、かつ重力鋳造方式を採用したものについて例示したが、これに限定されるものではなく、キャビティ3に対する溶湯の充填を他の方式(低圧鋳造或いは高圧鋳造等)を採用するものであっても構わない。加えて、振動子2として、ボールバイブレータ及び高周波モータをそれぞれ使用するものを示したがこれに限定されるものではなく、鋳型7を振動させ、その振動を凝固過程の溶湯に伝達可能なものであれば構わない。さらに、鋳型7に取設された振動子2をそれぞれ振動ピークを相違するように制御するものを示したが、一部の振動子2を全く作動させないように制御するものであっても構わない。
1 鋳造装置(振動凝固鋳造装置)
2 振動子
3 キャビティ
4 固定型
5 可動型
6 プラテン
7 鋳型
8a,8b 主型
9 固定入子
10 可動入子
11 振動子取付板
12 貫通孔
13 振動板
14 振動伝達軸
15 振動ロッド
16 振動中子
17 注湯口
18 注湯受部
20 鋳造法(振動凝固鋳造法)
S1 型締工程
S2 注湯工程(溶湯充填工程)
S3 傾斜工程(溶湯充填工程)
S4 振動制御工程
S5 振動停止工程
S6 型開工程
特開2006−315046号公報

Claims (5)

  1. 互いに分離可能に形成された固定型及び可動型を有し、高温で溶解された溶湯の充填されるキャビティを内部に備える鋳型と、
    前記鋳型に取設され、前記キャビティに充填された前記溶湯の凝固過程で前記溶湯に振動を付与する振動子と、
    前記キャビティに前記溶湯を充填する溶湯充填機構部と、
    前記振動子による振動を制御する振動制御部と
    を具備し、
    前記振動子による振動の変位が最大となる振動ピークは、
    前記溶湯の充填完了と同時、若しくは充填完了から時間差を有して到達するように設定されていることを特徴とする振動凝固鋳造装置。
  2. 前記振動子は、
    前記鋳型の前記固定型及び前記可動型にそれぞれ少なくとも一つが取設され、
    前記振動制御部は、
    取設された複数の前記振動子による振動条件を互いに相違するように制御することを特徴とする請求項1に記載の振動凝固鋳造装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の振動凝固鋳造装置を利用した振動凝固鋳造法であって、
    互いに分離可能に形成された固定型及び可動型を有し、高温で溶解された溶湯の充填されるキャビティを内部に備える鋳型を型締めする型締工程と、
    型締めされた前記鋳型の前記キャビティに前記溶湯を充填する溶湯充填工程と、
    前記キャビティへの前記溶湯の充填完了に応じ、振動子による振動の開始を制御する振動制御工程と
    を具備し、
    前記振動子による振動の変位が最大となる振動ピークは、
    前記溶湯の充填完了と同時、若しくは充填完了から時間差を有して到達するように設定されていることを特徴とする振動凝固鋳造法。
  4. 前記振動子は、
    前記鋳型の前記固定型及び前記可動型のそれぞれに少なくとも一つが取設され、
    前記振動制御工程は、
    複数の前記振動子の振動タイミングを互いに相違して制御することを特徴とする請求項3に記載の振動凝固鋳造法。
  5. 前記振動制御工程は、
    前記鋳型で鋳造される鋳物製品の非製品部分若しくは前記鋳物製品の低強度部分に前記溶湯の凝固過程で生ずる金属組織の偏析を限定的に発生させることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の振動凝固鋳造法。
JP2010034424A 2010-02-19 2010-02-19 振動凝固鋳造装置及び振動凝固鋳造法 Pending JP2011167729A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010034424A JP2011167729A (ja) 2010-02-19 2010-02-19 振動凝固鋳造装置及び振動凝固鋳造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010034424A JP2011167729A (ja) 2010-02-19 2010-02-19 振動凝固鋳造装置及び振動凝固鋳造法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011167729A true JP2011167729A (ja) 2011-09-01

Family

ID=44682389

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010034424A Pending JP2011167729A (ja) 2010-02-19 2010-02-19 振動凝固鋳造装置及び振動凝固鋳造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2011167729A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102005012023B4 (de) * 2005-03-16 2013-12-19 Indutherm Gießtechnologie GmbH Vakuum-Druckgießanlage
CN114888262A (zh) * 2022-05-09 2022-08-12 苏州市捷澄精密压铸有限公司 一种基于金属铸件的成型装置及成型工艺
CN115055662A (zh) * 2022-07-06 2022-09-16 广东鸿特精密技术(台山)有限公司 一种挤压振动压铸装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102005012023B4 (de) * 2005-03-16 2013-12-19 Indutherm Gießtechnologie GmbH Vakuum-Druckgießanlage
CN114888262A (zh) * 2022-05-09 2022-08-12 苏州市捷澄精密压铸有限公司 一种基于金属铸件的成型装置及成型工艺
CN115055662A (zh) * 2022-07-06 2022-09-16 广东鸿特精密技术(台山)有限公司 一种挤压振动压铸装置
CN115055662B (zh) * 2022-07-06 2024-05-14 广东鸿特精密技术(台山)有限公司 一种挤压振动压铸装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN105458264A (zh) 一种振动条件下增材制造方法
MX2007011395A (es) Metodo y aparato para mejorar la extraccion de calor para direccionar la solidificacion de piezas de aluminio.
JP2012509767A (ja) 金属溶融体から鋳造部品を鋳造する方法および装置
CN101234420A (zh) 超声波压缩成型铸造法及其专用设备
JP4789241B2 (ja) タイヤ金型の鋳造方法
US10005124B2 (en) Multiple pressure casting mold and molded product manufacturing method using same
JP2010069514A (ja) 振動凝固鋳造法及びその鋳造金型、振動凝固鋳造装置
JP2011167729A (ja) 振動凝固鋳造装置及び振動凝固鋳造法
JP4350135B2 (ja) 鋳造装置
JP4601489B2 (ja) 振動凝固鋳造鋳型及びその鋳造法
CN104439202B (zh) 一种用于铸造合金的系统及加工铸件的方法
JP2011167728A (ja) 振動凝固鋳造装置
ITMI20111767A1 (it) Metodo e apparato di rheocasting
JP2009195911A (ja) アルミニウム合金鋳物の鋳造方法およびその装置
JP5114641B2 (ja) 振動凝固鋳造法及び振動凝固鋳造装置
JPH0138590B2 (ja)
KR20170100221A (ko) 미세조직 미세화를 위한 직접 냉각 주조 장치
KR102186138B1 (ko) 탄성부재를 이용한 가압 원심 주조 장치 및 그의 용탕가압방법
JP2000140999A (ja) 半凝固ビレットの製造方法
JP2014034040A (ja) 鋳造方法
JP2008221312A (ja) 遠心鋳造装置
JPH0299260A (ja) 鋳造方法
JP2005305466A (ja) 溶湯鍛造装置および溶湯鍛造法
CN115106500B (zh) 一种真空离心铸造设备用可移动感应加热装置
JP2005144461A (ja) 鋳造品の冷却方法