JP2006312180A - 還元鋳造方法および還元鋳造装置 - Google Patents

還元鋳造方法および還元鋳造装置 Download PDF

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Hirofumi Kobayashi
弘文 小林
Keisuke Ban
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Abstract

【課題】 給湯筒を用いた鋳造方法において、還元性物質の供給、溶湯の供給等の鋳造操作を効率的に行うことを可能とし、容易に還元鋳造することができる還元鋳造方法を提供する。
【解決手段】 給湯槽30に設けられた給湯筒32と成形型20との間に、前記給湯筒と前記成形型のキャビティ20aに連通するとともに還元性物質の供給路52が接続されたスリーブ42を備えるプランジャー装置40を介装し、前記給湯筒32から前記キャビティ20aに給湯する際に、前記供給路から前記スリーブに導入された還元性物質により溶湯の表面に生じる酸化被膜を還元して鋳造する還元鋳造方法であって、前記プランジャー装置40に設けられた駆動機構45を駆動し、前記スリーブ42内に摺動可能に設けられたプランジャーピストン44の移動位置を制御して、前記還元性物質を前記スリーブ42に導入する操作と、前記給湯槽30からキャビティ20aへ給湯する操作を切り替えて鋳造する。
【選択図】 図1

Description

本発明は還元鋳造方法および還元鋳造装置に関し、より詳細には給湯筒を備えたLPD(Low Pressure Die Casting)方式による還元鋳造方法および還元鋳造装置に関する。
還元鋳造方法は、還元性物質を溶湯に作用させることによって、溶湯の表面に生じる酸化被膜を還元して鋳造する方法であり、たとえば、アルミニウムあるいはアルミニウム合金のように、溶湯の表面に酸化被膜が形成されやすい金属による鋳造に好適に利用することができる。還元性物質としてマグネシウム窒素化合物(Mg32)を用いたアルミニウムの還元鋳造においては、アルミニウムの溶湯の表面に形成される酸化被膜(Al23)がマグネシウム窒素化合物によって還元され、溶湯表面が純粋なアルミニウム金属となる。この還元鋳造方法によれば、溶湯の流動性がきわめて高くなり、湯周り性が良好となって、湯じわ等のない高品質の鋳造品を得ることができる(特許文献1参照)。
還元鋳造方法はいろいろな鋳造装置に適用可能であるが、本出願人は、先に、LPD方式の鋳造装置に還元鋳造方法を適用する方法について提案した(特許文献2参照)。特許文献2において提案した鋳造方法は、給湯槽に設けた給湯筒内に還元性物質を供給することによって、給湯筒内で還元性物質を活性化し、給湯槽からキャビティへ溶湯を供給する際に、給湯筒内および給湯筒を介してキャビティ内に導入された還元性物質によって、溶湯表面に形成された酸化被膜を効果的に還元して鋳造できるようにする方法である。
特開2001−321918号公報 特開2005−34858号公報
LPD方式の鋳造装置において、給湯筒内に還元性物質を供給して還元鋳造する方法は、還元性物質が溶湯の熱によって加熱され、活性化された状態で溶湯に作用することから、効果的な還元作用がなされて鋳造できるという利点がある。
しかしながら、LPD方式による鋳造方法では、給湯筒を介して成形型のキャビティに溶湯を充填し、キャビティ内で溶湯が凝固するまで溶湯槽内の液面の加圧を保持するといった比較的緩慢な操作によって鋳造する。これに対して、還元鋳造方法による場合は溶湯の流動性が高まるからキャビティへの溶湯の急速充填が可能であり、LPD方式の鋳造方法を利用する場合であっても、短時間での鋳造が可能である。
本発明は、LPD方式の鋳造方法を利用する鋳造方法において、還元性物質の供給、溶湯の供給等の鋳造操作を有機的に関連させて行うことを可能とし、これによって効率的な還元鋳造を可能にする還元鋳造方法および還元鋳造装置を提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
すなわち、給湯槽に設けられた給湯筒と成形型との間に、前記給湯筒と前記成形型のキャビティに連通するとともに還元性物質の供給路が接続されたスリーブを備えるプランジャー装置を介装し、前記給湯筒から前記キャビティに給湯する際に、前記供給路から前記スリーブに導入された還元性物質により溶湯の表面に生じる酸化被膜を還元して鋳造する還元鋳造方法であって、前記プランジャー装置に設けられた駆動機構を駆動し、前記スリーブ内に摺動可能に設けられたプランジャーピストンの移動位置を制御して、前記還元性物質を前記スリーブに導入する操作と、前記給湯槽からキャビティへ給湯する操作を切り替えて鋳造することを特徴とする。
また、前記還元鋳造方法において、前記スリーブに、前記還元性物質を供給する供給路にかえて、還元性物質を生成する金属ガスを供給する供給路と、該金属ガスと反応して前記還元性物質を生成する反応性ガスを供給する管路とを接続し、前記供給路から供給された金属ガスと、前記管路から供給された還元性物質とにより、前記スリーブ内で還元性物質を生成して鋳造することを特徴とする。
また、前記成形型は前記スリーブの開口部側に接続され、該開口部側を前部とした際に、該成形型とスリーブとの接続部よりも後部側で前記給湯筒が前記スリーブに接続され、該スリーブのさらに後部側で前記供給路がスリーブに接続され、前記プランジャーピストンを前記スリーブと供給路との接続位置よりも後方に位置させて前記スリーブ内に還元性物質を導入し、前記給湯筒および前記キャビティ側に還元性物質を拡散させた後、前記プランジャーピストンを前記供給路を閉止し前記スリーブと給湯筒との接続部分が開口する位置に移動させて前記還元性物質の導入を停止し、前記給湯筒から前記キャビティに溶湯を給湯することを特徴とする。
また、前記キャビティに溶湯を充填した後、前記プランジャーピストンを前記スリーブと給湯筒との接続部を閉止する位置に移動させ、給湯筒から前記キャビティへの給湯を停止することを特徴とする。
また、前記プランジャーピストンを、前記スリーブと給湯筒の接続部を閉止する位置からさらにスリーブの前部側に前進させ、溶湯の押湯および補給操作を行うことを特徴とする。
また、前記還元鋳造方法において、前記キャビティを減圧した後に、前記スリーブ内に還元性物質あるいは金属ガスおよび反応性ガスを導入することを特徴とする。
また、給湯槽に設けられた給湯筒と成形型との間に、前記給湯筒と前記成形型のキャビティに連通するとともに還元性物質の供給路が接続されたスリーブを備えるプランジャー装置が介装され、前記給湯筒から前記キャビティに給湯する際に、前記供給路から前記スリーブに導入された還元性物質により溶湯の表面に生じる酸化被膜を還元して鋳造する還元鋳造装置であって、前記プランジャー装置に、前記スリーブ内で摺動可能に設けられたプランジャーピストンを進退動させる駆動機構と、前記プランジャーピストンを、前記鋳造の工程に合わせて前記スリーブ内に前記還元性物質を導入する位置、前記供給路を閉止して前記給湯槽から前記キャビティへ給湯する位置に切り替えて移動させる前記駆動機構の制御部を備えることを特徴とする。
また、給湯槽に設けられた給湯筒と成形型との間に、前記給湯筒と前記成形型のキャビティに連通するとともに、還元性物質を生成する金属ガスを供給する供給路と、該金属ガスと反応して前記還元性物質を生成する反応性ガスを供給する管路が接続されたスリーブを備えるプランジャー装置が介装され、前記給湯筒から前記キャビティに給湯する際に、前記スリーブ内で生成された還元性物質により溶湯の表面に生じる酸化被膜を還元して鋳造する還元鋳造装置であって、前記プランジャー装置に、前記スリーブ内で摺動可能に設けられたプランジャーピストンを進退動させる駆動機構と、前記プランジャーピストンを、前記鋳造の工程に合わせて前記スリーブ内に前記還元性物質を導入する位置、前記供給路を閉止して前記給湯槽から前記キャビティへ給湯する位置に切り替えて移動させることを可能とする前記駆動機構の制御部を備えることを特徴とする。
また、前記成形型は前記スリーブの開口部側に接続され、該開口部側を前部とした際に、該成形型とスリーブとの接続部よりも後部側で前記給湯筒が前記スリーブに接続され、該スリーブのさらに後部側で前記供給路がスリーブに接続されていることを特徴とする。
また、前記プランジャーピストンの長さおよび前記給湯筒のスリーブへの接続部の開口径が、前記プランジャーピストンを前進させた際に、前記プランジャーピストンの後部側で前記給湯筒が開口して前記給湯筒を満たしていた溶湯が給湯槽に逆流するように設けられていることを特徴とする。
また、前記成形型に、前記キャビティ内を減圧する減圧装置が接続されていることを特徴とする。
また、前記スリーブに接続される供給路が、前記給湯槽に少なくとも一部を浸漬して設けられた、前記還元性物質を活性化しあるいは還元性物質としての金属ガスを生成し活性化させる活性化室に連通して設けられていることにより、還元性物質が活性化され還元性物質を生成する金属がガス化された状態でスリーブに送入される。
本発明に係る還元鋳造方法および還元鋳造装置によれば、給湯筒と成形型との間にプランジャー装置を設け、プランジャー装置に設けられたプランジャーピストンのスリーブ内における位置を制御することによって、還元性物質あるいは還元性物質を生成する金属ガスをスリーブ内に導入する操作と、給湯筒からキャビティに溶湯を供給する操作を切り替えて制御することが可能となり、還元性物質を溶湯に作用させて還元鋳造する操作を容易に行うことが可能になる。
(還元鋳造装置)
以下、本発明に係る還元鋳造方法および還元鋳造装置の実施の形態について、図面とともに詳細に説明する。
図1は、還元鋳造装置の一実施形態の全体構成を示す。この還元鋳造装置10は、成形型20と、成形型20の下方に設置された給湯槽30とを備え、成形型20に設けられたキャビティ20aと給湯槽30とが、給湯槽30に設けられた給湯筒(ストークス)32を介して連通する配置に設けられている。
給湯筒32は給湯槽30の上部に、軸線方向を鉛直方向に向け、下端部を給湯槽30内で底部側に延出させるようにして取り付けられている。給湯槽30の上部から延出する給湯筒32の上端部は、給湯槽30の上方に配置されるプランジャー装置40の筒体状に形成されたスリーブ42に連結される。スリーブ42は軸線方向を水平向きに配置され、給湯筒32の上端はスリーブ42の下側の側面に連結して、給湯筒32とスリーブ42内とが連通する。
給湯槽30内には給湯筒32と並んで活性化室50が設けられている。活性化室50は給湯槽30に貯溜されている溶湯34の熱を利用して、還元性物質を加熱して活性化し、あるいは還元性物質としての金属ガスを生成して活性化させるためのものであり、給湯槽30に貯溜されている溶湯34に底部が浸漬するように、給湯槽30の底部側に底部を延出させて設けられている。
活性化室50の上部には、活性化室50内に連通する還元性物質の供給路としての接続管52が接続され、接続管52の上部がスリーブ42の下側の側面に連結して、活性化室50とスリーブ42とが連通する。
本実施形態では、活性化室50に還元性物質の供給部54を接続し、適時に活性化室50に還元性物質(たとえば、マグネシウム窒素化合物)を供給可能としている。活性化室50に還元性物質を供給するかわりに、還元性物質を生成するための金属(たとえば、マグネシウム金属)を供給するための供給部を活性化室50に接続することもできる。
活性化室50内にバッファ板を設けて、活性化室50に供給された還元性物質が十分に活性化される前に活性化室50から排出されたり、活性化室50に供給された金属がガス化されずに排出されたりすることを防止することも有効である。
前述したプランジャー装置40のスリーブ42は、後端部が閉止されて形成され、スリーブ42の開口側にゲート部22を位置合わせして成形型20が連結される。これによって、ゲート部22を介して成形型20のキャビティ20aがスリーブ42の内部空間に連通し、給湯筒32とキャビティ20aとがスリーブ42の内部空間を介して連通する。
こうして、スリーブ42の前端部に成形型20が接続し、スリーブ42と成形型20との接続部の後部側に給湯筒32が接続し、さらに後部側に接続管52が接続する配置となる。
スリーブ42には、スリーブ42の内周面に外周面が摺接するプランジャーピストン44が、スリーブ42の軸線方向に進退動可能に装着されている。
スリーブ42の後部側にはスリーブ42と同軸にプランジャーピストン44を進退動させる駆動機構45が設けられている。駆動機構45としてはプランジャーピストン44の移動位置を規制するストッパ付きのエアシリンダや、サーボモータによりボールねじを回動してプランジャーピストン44を移動制御する機構等が用いられる。
なお、スリーブ42について、その前部とは成形型20に接続される開口側であり、後部とはプランジャーピストン44を駆動する駆動機構45が設けられた閉止側をいう。
還元性物質を生成するための窒素ガス等の反応性ガスの供給部47、あるいは成形型20のキャビティ20a内のエアをパージするためのパージ用のガスを供給する供給部47をプランジャー装置40に設置する場合は、供給部47の配管のスリーブ42への取り付け位置が、スリーブ42に取り付けられている接続管52の取り付け位置とスリーブ42の軸線方向での位置が略一致するように設定する。
なお、給湯槽30には給湯槽30内に貯溜されている溶湯34の液面上の空間に連通する窒素ガス等の加圧ガスボンベ36を接続する。また、成形型20には、キャビティ20aに連通して減圧装置である真空ポンプ24を接続する。
真空ポンプ24によるキャビティ20a内の減圧をON-OFF制御する開閉バルブ、加圧ガスボンベ36からの加圧ガスの供給をON-OFF制御するバルブ、供給部54からの還元性物質の供給を制御するバルブ、プランジャーピストン44を押動する駆動機構45は、各々これらのバルブの開閉、駆動を電気的に制御する制御部60に接続する。
(還元鋳造方法)
続いて、上述した還元鋳造装置10を用いて還元鋳造する例として、アルミニウムの還元鋳造方法について説明する。
まず、図1に示すように成形型20をプランジャー装置40にセットする。これによって、成形型20のキャビティ20aと給湯槽30に設けられた給湯筒32とがプランジャー装置40を介して連通した状態になる。
なお、給湯槽30には所定の液面高さとなるようにアルミニウムの溶湯34が供給されている。給湯槽30にはアルミニウムの給湯炉が連通して設けられ、鋳造操作にともないアルミニウムの溶湯が給湯炉から補給される。
活性化室50には、供給部54から還元性物質としてのマグネシウム窒素化合物があらかじめ供給されている。給湯槽30内においてはアルミニウムの溶湯は740℃程度に加熱されている。活性化室50に供給されたマグネシウム窒素化合物は、溶湯34の熱によって加熱され活性化される。
なお、マグネシウム窒素化合物を活性化室50に供給するかわりに、活性化室50にマグネシウム粉末を供給し、装置内で窒素ガスとマグネシウムガスとを反応させてマグネシウム窒素化合物を生成する方法を利用して還元鋳造することもできる。この場合も、活性化室50内でアルミニウムの溶湯の熱によってマグネシウム金属(融点651℃)は容易にガス化される。
制御部60により駆動機構45を制御してプランジャーピストン44を図1の位置、すなわち、プランジャーピストン44によって接続管52と供給部47の配管47aの開口部を閉止する位置に移動させる。接続管52と配管47aの接続部をスリーブ42の軸線方向で略一致する位置に設けているから、接続管52と供給部47からの配管47aの開口部を同時に閉止することができる。
この状態で、真空ポンプ24を作動させ、成形型20のキャビティ20a内を減圧する。キャビティ20a内を真空排気することによってキャビティ20a内が非酸化性雰囲気になるとともに、キャビティ20aに連通するスリーブ42の内部(スリーブ42でプランジャーピストン44よりも前方の領域)、および給湯筒32の溶湯34の液面よりも上方の領域が減圧されて非酸化性雰囲気となる。
キャビティ20aを減圧した後、駆動機構45によりプランジャーピストン44を後退させ、スリーブ42の内周面で接続管52を開口させる。このとき配管47aも開口する。図2が、接続管52、配管47aが開口する位置までプランジャーピストン44を後退させた状態を示す。
この状態で、活性化室50からマグネシウム窒素化合物をスリーブ42内に吐出させる。マグネシウム窒素化合物を吐出させる操作は、スリーブ42の内部が減圧されていることによる圧力差によって吐出させる方法、供給部47から噴出させる窒素ガスとともにマグネシウム窒素化合物を吐出させる方法、活性化室50に窒素ガスを送入して吐出させる方法等が利用できる。接続管52の中途に開閉バルブを設けて、活性化室50から吐出されるマグネシウム窒素化合物の吐出量を制御することも可能である。
なお、活性化室50でマグネシウム粉末をガス化させ、活性化室50からスリーブ42にマグネシウムガスを吐出させる方法で還元鋳造する場合には、供給部47から窒素ガスを吐出させ、スリーブ42内でマグネシウムガスと窒素ガスとを反応させてマグネシウム窒素化合物を生成させる。
本実施形態ではキャビティ20a内を事前に減圧してキャビティ20a内を非酸化性雰囲気とした後にマグネシウム窒素化合物を活性化室50からスリーブ42に導入しているが、キャビティ20a内を減圧しない場合には、供給部47からスリーブ42に窒素ガスを送入し、スリーブ42およびキャビティ20aおよび給湯筒32内を窒素ガスによって置換してキャビティ20a内等を非酸化性雰囲気とすればよい。
このようにキャビティ20a内等を窒素ガスにより置換した後、活性化室50からマグネシウムガスをスリーブ42に導入することによって、スリーブ42、キャビティ20a等の内部でマグネシウム窒素化合物を生成することができる。
スリーブ42に導入されたマグネシウム窒素化合物の一部は、スリーブ42からゲート部22を介して成形型20のキャビティ20aに向けて拡散し、また一部はスリーブ42から給湯筒32内に拡散する。キャビティ20a内を減圧した場合には、このようなマグネシウム窒素化合物の拡散を効果的に起こさせることができる。
マグネシウム窒素化合物は活性化室50で加熱されて活性化された状態にあるが、給湯筒32に拡散したマグネシウム窒素化合物は給湯筒32内で加熱されてさらに活性化する。
次に、プランジャーピストン44を、接続管52の開口部を閉止し、給湯筒32の開口部とは干渉しない位置まで移動させる。図3は、プランジャーピストン44をこの位置まで移動させた状態を示す。図2に示す状態からプランジャーピストン44を前進させることにより、接続管52の開口部がプランジャーピストン44によって閉止され、活性化室50から還元性物質(マグネシウム窒素化合物)をスリーブ42側に導入する操作が停止される。
プランジャーピストン44を図3に示す位置まで前進させたところで、加圧ガスボンベ36から給湯槽30に加圧ガス(窒素ガス)を送入し、給湯筒32、ゲート部22を経由してキャビティ20aに溶湯34を注入する。図3はキャビティ20aの中途まで溶湯34を注入した状態を示す。
給湯筒32からキャビティ20aに溶湯34が流入する際に、給湯筒32内に拡散しているマグネシウム窒素化合物によってアルミニウムの溶湯34の表面に形成された酸化被膜が還元され、アルミニウムの溶湯34はきわめて流動性が高い状態でキャビティ20aに流入する。
また、キャビティ20a内においてもマグネシウム窒素化合物が拡散して存在しているから、アルミニウムの溶湯34の表面に形成された酸化被膜が還元され、きわめて湯周り性の良い状態で溶湯34が充填される。
このように、還元鋳造方法による場合は、溶湯34の湯周り性がきわめて良好であることから、短時間のうちにキャビティ20aに溶湯34を充填させることができる(クイック充填)。溶湯34の流動性が良好であることから、キャビティ20aに急速に溶湯34を充填しても溶湯34の未充填といった問題が生じない。
キャビティ20aに、より短時間のうちに溶湯34を充填できるようにする方法として、給湯槽30の容積を小さくすることにより、給湯槽30に貯溜されている溶湯34の液面に加圧ガスの加圧力が短時間のうちに作用するようにする方法も有効である。
キャビティ20aに溶湯34が完全に充填されるタイミングをみながら駆動機構45を駆動してプランジャーピストン44を給湯筒32の開口部を閉止する位置まで移動させる。図4は、プランジャーピストン44を給湯筒32の開口部を閉止する位置まで前進させた状態を示す。
プランジャーピストン44を給湯筒32の開口部を閉止する位置まで前進させたところで、加圧ガスボンベ36による溶湯34の供給操作を停止させる。
加圧ガスボンベ36による溶湯34の供給操作を停止した後は、駆動機構45によってプランジャーピストン44を押圧する作用は、プランジャーピストン44による押湯作用、溶湯34の補給作用となる。
図5は、プランジャーピストン44によって溶湯34を加圧して、プランジャーピストン44の前端面を給湯筒32の開口部の縁部よりもさらに前進させた状態を示す。プランジャーピストン44によって溶湯34に圧力を加えながらプランジャーピストン44を前進させることにより、キャビティ20a内で溶湯34が凝固する際の体積縮小が補充される。鋳造完了までプランジャーピストン44による押湯作用が作用することにより、溶湯34の未充填のない良品が得られる。
なお、アルミニウムの還元鋳造において、キャビティ20aに溶湯34を充填した後の、溶湯34の冷却速度は、800℃/分〜2000℃/分のレベルである。したがって、実際の鋳造工程において、キャビティ20aに溶湯34を充填した後に溶湯34が凝固するまでの時間はきわめて短時間である。このため、キャビティ20aに溶湯34を充填した後にプランジャーピストン44によって押圧する操作も、溶湯34を補充する程度の作用となり、プランジャー装置40としてそれほど強力な荷重を発生させる装置構成とする必要はない。したがって、成形型20の型締め力もそれほど大きくする必要がないという利点がある。
本実施形態では、プランジャーピストン44が最前部まで移動した際に、プランジャーピストン44の後部でプランジャーピストン44の外周面と給湯筒32の開口部との間に隙間が生じるように、プランジャーピストン44の長さおよび給湯筒32の径が設定されている。これによって、給湯筒32に充填されていた溶湯34が給湯槽30に戻る。
給湯筒32から給湯槽30に溶湯34が戻る際に、供給部47からスリーブ42内に窒素ガスを送入すれば溶湯34の表面に酸化被膜が形成されることを防止することができる。活性化室50からスリーブ42にマグネシウム窒素化合物が排出されないように接続管52に開閉バルブを設けてもよい。
成形型20内で鋳造品が凝固したところで成形型20を型割りし、鋳造品を取り出しする。成形型20を型割りする際にプランジャーピストン44をスリーブ42の前部に位置させておけば、給湯槽30およびスリーブ42にできるだけエアを侵入させないようにすることができる。
なお、給湯筒32内から溶湯34を給湯槽30に戻す別の方法として、プランジャーピストン44を給湯筒32の開口部を閉止する位置から、図1に示す後退位置に移動させ、型割時に、スリーブ42の開口側から給湯筒32にエアを導入する方法も可能である。
成形型20から鋳造品を取り出した後、成形型20を再度プランジャー装置40にセットし、図1に示す状態として次回の鋳造操作に移る。こうして、連続的に還元鋳造することができる。
図6は上述した還元鋳造方法の1サイクルの鋳造工程について、スリーブ42内におけるプランジャーピストン44の移動位置と、そのときのキャビティ20a内の圧力を説明的に示したグラフである。図中でA〜Eは、スリーブ42の軸線方向におけるプランジャーピストン44の前端面の位置を示す。
すなわち、位置Aはプランジャーピストン44が最も後退した位置にある状態で、この状態でプランジャーピストン44は接続管52の開口部よりも後方に位置している。位置Bはプランジャーピストン44が位置Aから接続管52を閉止する位置にまで前進した位置を示す。位置Cは、さらに給湯筒32の開口部近傍までプランジャーピストン44が前進した状態を示し、位置Dは給湯筒32の開口部を閉止する位置にまでプランジャーピストン44が前進した位置、位置Eはさらにプランジャーピストン44がスリーブ42の前端まで前進した位置を示す。
上述した実施の形態では、まずプランジャーピストン44が位置B−C間にある状態でキャビティ20aを減圧し(1)減圧工程)、次いで、位置A−B間にある状態で還元性ガスを導入し(2)ガスチャージ工程)、プランジャーピストン44が位置Cに移動することによりガスチャージを停止させて給湯槽からキャビティに溶湯を供給開始し(3)溶湯供給)、キャビティに溶湯が充填されたところで位置Dに移動することにより給湯筒を閉止して溶湯の供給を停止し、位置Dから位置Eへ移動する工程で溶湯を加圧する(4)加圧工程)操作を行って鋳造を完了する。
このように、本実施形態の還元鋳造装置では、プランジャー装置40のスリーブ42におけるプランジャーピストン44の軸線方向の位置に対応して鋳造工程が設定されており、駆動機構45によりプランジャーピストン44を所定位置に移動することによって一連の鋳造操作を切り替えて操作することが可能となる。こうして、本実施形態の還元鋳造装置によれば、プランジャーピストン44をスリーブ42内で段階的に移動させる操作と鋳造操作とを連動させることにより、還元性物質を用いて溶湯表面の酸化被膜を還元しつつ鋳造するという鋳造作業の効率化を可能としている。
なお、上記実施形態においては、還元鋳造装置10をアルミニウム鋳造に使用する例について説明したが、本発明に係る還元鋳造装置はアルミニウムあるいはアルミニウム合金の還元鋳造に限らず、アルミニウム以外の金属による還元鋳造にも同様に適用することが可能である。
本発明に係る還元鋳造装置の一実施形態の構成を示す説明図である。 スリーブにガスチャージする状態を示す説明図である。 給湯槽からキャビティに溶湯を供給する状態を示す説明図である。 キャビティに溶湯を充填した状態を示す説明図である。 プランジャーピストンにより溶湯を加圧している状態を示す説明図である。 スリーブ内におけるプランジャーピストンの移動位置と、そのときのキャビティ内の圧力を示すグラフである。
符号の説明
10 還元鋳造装置
20 成形型
20a キャビティ
22 ゲート部
24 真空ポンプ
30 給湯槽
32 給湯筒
34 溶湯
36 加圧ガスボンベ
40 プランジャー装置
42 スリーブ
44 プランジャーピストン
45 駆動機構
47 供給部
50 活性化室
52 接続管
54 還元性物質の供給部
60 制御部

Claims (12)

  1. 給湯槽に設けられた給湯筒と成形型との間に、前記給湯筒と前記成形型のキャビティに連通するとともに還元性物質の供給路が接続されたスリーブを備えるプランジャー装置を介装し、前記給湯筒から前記キャビティに給湯する際に、前記供給路から前記スリーブに導入された還元性物質により溶湯の表面に生じる酸化被膜を還元して鋳造する還元鋳造方法であって、
    前記プランジャー装置に設けられた駆動機構を駆動し、前記スリーブ内に摺動可能に設けられたプランジャーピストンの移動位置を制御して、前記還元性物質を前記スリーブに導入する操作と、前記給湯槽からキャビティへ給湯する操作を切り替えて鋳造することを特徴とする還元鋳造方法。
  2. 請求項1記載の還元鋳造方法において、前記スリーブに、前記還元性物質を供給する供給路にかえて、還元性物質を生成する金属ガスを供給する供給路と、該金属ガスと反応して前記還元性物質を生成する反応性ガスを供給する管路とを接続し、
    前記供給路から供給された金属ガスと、前記管路から供給された還元性物質とにより、前記スリーブ内で還元性物質を生成して鋳造することを特徴とする還元鋳造方法。
  3. 前記成形型は前記スリーブの開口部側に接続され、該開口部側を前部とした際に、該成形型とスリーブとの接続部よりも後部側で前記給湯筒が前記スリーブに接続され、該スリーブのさらに後部側で前記供給路がスリーブに接続され、
    前記プランジャーピストンを前記スリーブと供給路との接続位置よりも後方に位置させて前記スリーブ内に還元性物質を導入し、前記給湯筒および前記キャビティ側に還元性物質を拡散させた後、
    前記プランジャーピストンを前記供給路を閉止し前記スリーブと給湯筒との接続部分が開口する位置に移動させて前記還元性物質の導入を停止し、前記給湯筒から前記キャビティに溶湯を給湯することを特徴とする請求項1または2記載の還元鋳造方法。
  4. 前記キャビティに溶湯を充填した後、前記プランジャーピストンを前記スリーブと給湯筒との接続部を閉止する位置に移動させ、給湯筒から前記キャビティへの給湯を停止することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の還元鋳造方法。
  5. 前記プランジャーピストンを、前記スリーブと給湯筒の接続部を閉止する位置からさらにスリーブの前部側に前進させ、溶湯の押湯および補給操作を行うことを特徴とする請求項4記載の還元鋳造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項記載の還元鋳造方法において、前記キャビティを減圧した後に、前記スリーブ内に還元性物質あるいは金属ガスおよび反応性ガスを導入することを特徴とする還元鋳造方法。
  7. 給湯槽に設けられた給湯筒と成形型との間に、前記給湯筒と前記成形型のキャビティに連通するとともに還元性物質の供給路が接続されたスリーブを備えるプランジャー装置が介装され、前記給湯筒から前記キャビティに給湯する際に、前記供給路から前記スリーブに導入された還元性物質により溶湯の表面に生じる酸化被膜を還元して鋳造する還元鋳造装置であって、
    前記プランジャー装置に、前記スリーブ内で摺動可能に設けられたプランジャーピストンを進退動させる駆動機構と、
    前記プランジャーピストンを、前記鋳造の工程に合わせて前記スリーブ内に前記還元性物質を導入する位置、前記供給路を閉止して前記給湯槽から前記キャビティへ給湯する位置に切り替えて移動させることを可能とする前記駆動機構の制御部を備えることを特徴とする還元鋳造装置。
  8. 給湯槽に設けられた給湯筒と成形型との間に、前記給湯筒と前記成形型のキャビティに連通するとともに、還元性物質を生成する金属ガスを供給する供給路と、該金属ガスと反応して前記還元性物質を生成する反応性ガスを供給する管路が接続されたスリーブを備えるプランジャー装置が介装され、前記給湯筒から前記キャビティに給湯する際に、前記スリーブ内で生成された還元性物質により溶湯の表面に生じる酸化被膜を還元して鋳造する還元鋳造装置であって、
    前記プランジャー装置に、前記スリーブ内で摺動可能に設けられたプランジャーピストンを進退動させる駆動機構と、
    前記プランジャーピストンを、前記鋳造の工程に合わせて前記スリーブ内に前記還元性物質を導入する位置、前記供給路を閉止して前記給湯槽から前記キャビティへ給湯する位置に切り替えて移動させることを可能とする前記駆動機構の制御部を備えることを特徴とする還元鋳造装置。
  9. 前記成形型は前記スリーブの開口部側に接続され、該開口部側を前部とした際に、該成形型とスリーブとの接続部よりも後部側で前記給湯筒が前記スリーブに接続され、該スリーブのさらに後部側で前記供給路がスリーブに接続されていることを特徴とする請求項7または8記載の還元鋳造装置。
  10. 前記プランジャーピストンの長さおよび前記給湯筒のスリーブへの接続部の開口径が、前記プランジャーピストンを前進させた際に、前記プランジャーピストンの後部側で前記給湯筒が開口して前記給湯筒を満たしていた溶湯が給湯槽に逆流するように設けられていることを特徴とする請求項9記載の還元鋳造装置。
  11. 前記成形型に、前記キャビティ内を減圧する減圧装置が接続されていることを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項記載の還元鋳造装置。
  12. 前記スリーブに接続される供給路が、前記給湯槽に少なくとも一部を浸漬して設けられた、前記還元性物質を活性化しあるいは還元性物質としての金属ガスを生成し活性化させる活性化室に連通して設けられていることを特徴とする請求項7〜11のいずれか一項記載の還元鋳造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113811407A (zh) * 2019-05-17 2021-12-17 芝浦机械株式会社 模铸机

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