JP4290631B2 - 還元鋳造方法 - Google Patents
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Description
Mg3N2+Al2O3→2Al+3MgO+N2
MgOは溶湯中に残留するが、微量であるため、鋳造品の特性に影響を与えることはなく、N2ガスはキャビティ外へ排出される。
この還元鋳造方法によれば、溶湯の流動性がきわめて高くなり、湯周り性が良好となって、湯じわ等のない高品質の鋳造品を得ることが可能である。
また、還元鋳造による場合は、溶湯の流動性が良好になることから、型温を室温程度まで下げて鋳造することが可能になるが、型温を下げるとキャビティ内で還元性物質の温度が低下し還元作用が劣化するという問題があり、型温を下げた状態で還元性物質の活性を維持して還元鋳造を行うことが難しいという問題もある。
すなわち、真空装置により成形型のキャビティを減圧して成形型のキャビティに溶湯の表面の酸化被膜を還元する還元性物質を導入し、還元性物質により溶湯の表面の酸化被膜を還元しつつ前記キャビティに溶湯を充填して鋳造する還元鋳造方法において、前記キャビティに還元性物質を導入する操作と、前記キャビティを減圧する操作とを同時に開始し、前記キャビティに還元性物質を導入する操作と、前記キャビティを減圧する操作とを、時間的に重複させて行い、前記キャビティを減圧する操作と時間的に重複して、前記溶湯を加圧しながら前記キャビティに溶湯を充填開始することを特徴とする。
また、前記給湯槽内に、該給湯槽に貯溜されている溶湯の熱により加熱される活性化室を設け、該活性化室内で還元性物質を加熱し活性化した状態で、前記給湯筒に還元性物質を送入すること、また、前記給湯槽内に、該給湯槽に貯溜されている溶湯の熱により加熱される活性化室を設け、該活性化室内で金属ガスを生成し、金属ガスを加熱した状態で前記給湯筒に送入することにより、還元性物質を活性化させた状態にすることができ、効果的な還元鋳造を行うことが可能になる。
また、前記キャビティに還元性物質を導入する操作を終了した後、前記キャビティを減圧する操作を終了することにより、キャビティ内にさらに確実に還元性物質を導入して還元鋳造することが可能になる。
図1は本発明に係る還元鋳造方法によって鋳造品を製造する還元鋳造装置10の全体構成を示す。この還元鋳造装置10はLPD(低圧ダイキャスティング)による鋳造装置として構成されたものであり、還元鋳造装置10の鋳造部は、成形型20と成形型20の下方に設置された給湯槽30とからなり、成形型20に設けられたキャビティ20aと、給湯槽30とが給湯筒(ストークス)32を介して連通する配置に設けられている。給湯筒32は給湯槽30の上部に鉛直向きに取り付けられ、上部に成形型20が設置され、下部が給湯槽30内で底部近傍まで延出するように設けられている。
また、反応性ガスボンベ68はバルブ69および配管36を介して給湯槽30の内部空間部分に連通する。
なお、シリンダ61における連通配管65と配管66の軸線方向の取り付け位置を異なる配置とし、シールプランジャ62のシリンダ61内における移動位置によって、連通配管65とシリンダ61との連通と、配管66とシリンダ61との連通を個別にONーOFF制御できるようにすることも可能である。
バルブ24、45、48、51、67、69およびシール機構60の駆動手段64は制御部70に接続され、制御部70によってバルブ24〜69が開閉制御され、駆動手段64が駆動制御される。
給湯槽30にはアルミニウムの溶湯34が貯溜される。給湯槽30にはアルミニウムの給湯炉(不図示)が連通して設けられ、鋳造操作にともない給湯炉から給湯槽30にアルミニウムの溶湯34が補給される。
この状態で、バルブ45およびバルブ48を開放し、不活性ガスボンベ50から金属供給部46にアルゴンガスを供給し、アルゴンガスとともに金属供給部46に貯蔵されているマグネシウム粉末を活性化室40に送入する。
活性化室40内でガス化されたマグネシウムガスは、鋳造操作に合わせて活性化室40から給湯筒32に供給される。金属供給部46からは適宜タイミングで、活性化室40にマグネシウム粉末を補給し、活性化室40であらかじめマグネシウム粉末を加熱して、マグネシウムガスが常時生成されている状態にする。
図1に示す状態は、成形型20が型閉じされ、給湯筒32の上部に配置された状態である。この状態で、まず、シール機構60の駆動手段64が駆動され、シールプランジャ62がシリンダ61内での後退位置、すなわち連通配管65と配管66がシリンダ61の内部に連通する位置に移動する。図5のグラフのA1点がシールプランジャ62が開放位置に移動した時点を示す。
図5で、B1点は給湯筒32内へマグネシウムガスを送出開始した時点を示す。シールプランジャ62を開放するタイミングと給湯筒32にマグネシウムガスを送出開始するタイミングとの間に特に時間を空ける必要はない。
本実施形態では、給湯筒32内で生成されたマグネシウム窒素化合物は溶湯34の熱によって加熱されるから、活性化された状態で給湯筒32内に存在し、キャビティ20aに拡散したマグネシウム窒素化合物も活性化された状態を維持することができる。
なお、キャビティ20aを減圧して給湯筒32内の溶湯34の液面が徐々に上昇した場合は、シールプランジャ62を閉止位置に移動する操作は、給湯筒32内の溶湯34の液面がシリンダ61の位置にまで達しない前に行うようにする。
このようにキャビティ20aの減圧操作と溶湯34の加圧操作とを時間的に重複させるようにして制御しているのは、キャビティ20aにマグネシウム窒素化合物を送り込む操作と溶湯34をキャビティ20aに充填する操作を連続的に行うことによって、鋳造時間を短縮する目的と、マグネシウム窒素化合物が活性状態にある状態でキャビティ20aに溶湯34を充填することによって溶湯34に効率的な還元作用を作用させて鋳造できるようにするためである。
このように、本実施形態の還元鋳造方法では、給湯筒32からキャビティ20aに注入される場合と、キャビティ20a内に充填される場合にともに溶湯34に還元性物質が作用することから、きわめて好適な還元鋳造が可能となる。
この実施形態の還元鋳造装置11における活性化室40を除く成形型20、シール機構60等の他の構成は前述した図1に示す還元鋳造装置10と同様である。
20 成形型
20a キャビティ
26 真空装置
30 給湯槽
32 給湯筒
34 溶湯
40 活性化室
42 供給口
46 金属供給部
50 不活性ガスボンベ
60 シール機構
61 シリンダ
62 シールプランジャ
64 駆動手段
65 連通配管
68 反応性ガスボンベ
70 制御部
Claims (7)
- 真空装置により成形型のキャビティを減圧して成形型のキャビティに溶湯の表面の酸化被膜を還元する還元性物質を導入し、還元性物質により溶湯の表面の酸化被膜を還元しつつ前記キャビティに溶湯を充填して鋳造する還元鋳造方法において、
前記キャビティに還元性物質を導入する操作と、前記キャビティを減圧する操作とを同時に開始し、前記キャビティに還元性物質を導入する操作と、前記キャビティを減圧する操作とを、時間的に重複させて行い、
前記キャビティを減圧する操作と時間的に重複して、前記溶湯を加圧しながら前記キャビティに溶湯を充填開始することを特徴とする還元鋳造方法。 - 真空装置により成形型のキャビティを減圧して成形型のキャビティに溶湯の表面の酸化被膜を還元する還元性物質を導入し、還元性物質により溶湯の表面の酸化被膜を還元しつつ前記キャビティに溶湯を充填して鋳造する還元鋳造方法において、
前記キャビティに還元性物質を導入する操作に先行して前記キャビティを減圧する操作を開始し、前記キャビティに還元性物質を導入する操作と、前記キャビティを減圧する操作とを、時間的に重複させて行い、
前記キャビティを減圧する操作と時間的に重複して、前記溶湯を加圧しながら前記キャビティに溶湯を充填開始することを特徴とする還元鋳造方法。 - 前記成形型を、給湯槽に設けられた給湯筒に連通させて配置し、
前記キャビティに還元性物質を導入する操作として、前記給湯筒に還元性物質を送入し、あるいは金属ガスおよびこれと反応して前記還元性物質を生成する反応性ガスを前記給湯筒内に送入する操作を行うことを特徴とする請求項1または2記載の還元鋳造方法。 - 前記給湯槽内に、該給湯槽に貯溜されている溶湯の熱により加熱される活性化室を設け、該活性化室内で還元性物質を加熱し活性化した状態で、前記給湯筒に還元性物質を送入することを特徴とする請求項3記載の還元鋳造方法。
- 前記給湯槽内に、該給湯槽に貯溜されている溶湯の熱により加熱される活性化室を設け、該活性化室内で金属ガスを生成し、金属ガスを加熱した状態で前記給湯筒に送入することを特徴とする請求項3記載の還元鋳造方法。
- 前記キャビティに還元性物質を導入する操作を終了した後、前記キャビティを減圧する操作を終了することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の還元鋳造方法。
- 前記溶湯としてアルミニウムあるいはアルミニウム合金の溶湯を使用し、還元性物質としてマグネシウム窒素化合物を使用して鋳造することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の還元鋳造方法。
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