JP2004066278A - 真空ダイカスト方法および真空ダイカスト装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】キャビティ内を減圧して保持炉内の溶湯を射出スリーブ内に給湯管を介して装填する真空ダイカスト方法で、射出スリーブや給湯管内の溶湯の酸化を防止して、ダイカスト品に酸化物の巻き込みやガス欠陥などの発生を少なくし、また射出スリーブの給湯口付近への凝固片の付着を防止して、ダイカスト品に介在物欠陥の発生を少なくする。また、簡単な構造の真空ダイカスト装置でこれを達成する。
【解決手段】真空ダイカスト方法は、プランジャチップの前進途中および後退途中の何れか1以上の状態で給湯管内に不活性ガスを供給する。真空ダイカスト装置は、プランジャチップの中間に凹状部を形成し、射出スリーブに第1の不活性ガス供給孔を形成し、この第1の不活性ガス供給孔をプランジャチップの前進中および後退中の何れか1の状態でプランジャチップの凹状部および給湯管と相互に連通する位置に設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】真空ダイカスト方法は、プランジャチップの前進途中および後退途中の何れか1以上の状態で給湯管内に不活性ガスを供給する。真空ダイカスト装置は、プランジャチップの中間に凹状部を形成し、射出スリーブに第1の不活性ガス供給孔を形成し、この第1の不活性ガス供給孔をプランジャチップの前進中および後退中の何れか1の状態でプランジャチップの凹状部および給湯管と相互に連通する位置に設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空ダイカスト方法および真空ダイカスト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
キャビティ内を減圧して保持炉内の溶湯を射出スリーブ内に給湯管を介して装填する真空ダイカスト装置として、例えば図5の特開平6−126415号公報に開示のものがある。図5の真空ダイカスト装置20は、固定プラテン26aに取り付けられた固定型26cおよび可動型(図示せず)で形成するキャビティ(図示せず)と、このキャビティに連通する射出スリーブ21と、この射出スリーブ21内で嵌合して前後進できるプランジャチップ22と、射出スリーブ21の下方にあって溶湯Mを収容する保持炉23と、一端を射出スリーブ21に形成した給湯口21aに連結しかつ他端を保持炉23内の溶湯Mに没入する給湯管24と、キャビティ内を真空状態に減圧して保持炉23内の溶湯を射出スリーブ21内に給湯管24を介して装填する減圧手段(図示せず)を有する。
【0003】
次に、図5の真空ダイカスト装置20を用いた真空ダイカスト方法について、図6をもとに説明する。図6は、図5での射出スリーブ21、プランジャチップ22、給湯管24および溶湯Mとその近傍を抜き出した、(a)給湯、(b)射出途中の各状態の横断面図である。
【0004】
先ず(a)給湯では、キャビティ内を真空状態に減圧Vしてこの減圧Vを射出スリーブ21内に伝え、保持炉(図1の符号23)内の溶湯Mを射出スリーブ21内に給湯管24を介して給湯口21aから装填している。
【0005】
次に(b)射出途中では、射出スリーブ21の減圧Vを小さくしつつプランジャチップ22が前進され、溶湯Mをキャビティ内に次第に充填されている。一方、湯切りした溶湯Mは給湯口21aから給湯管24を経て保持炉23に戻している。そして、射出後は、プランジャチップ22を後退させて待機位置に戻すと共にキャビティ内で冷却凝固したダイカスト品を取り出している。
上記公報に開示のような真空ダイカスト装置20によれば、溶湯Mが大気と接触する機会が少ないので、溶湯Mへの酸化膜やガスの混入が低減され、ダイカスト品の機械的性質を向上することが可能になると言われている。
【0006】
さて、図5および図6に示すような真空ダイカスト装置20においては、プランジャチップ22が溶湯Mと接触して膨張しても円滑に前後進できるように、射出スリーブ21とこれに嵌合するプランジャチップ22間に100〜300μmのクリアランスが形成されている。また、プランジャチップ22の溶湯と接触した際の膨張量を小さくし、射出スリーブ21とプランジャチップ22間でいわゆる「かじり」が発生しないように、プランジャチップ22の内部には冷却水を循環している。一方、クリアランスから空気が射出スリーブ21内に侵入しないように、射出スリーブ21の後端にシール部材21cを設けている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、射出スリーブ21の後端にシール部材21cを設けても、(a)給湯は、射出スリーブ21内を真空状態に減圧Vして行うので、射出スリーブ21とプランジャチップ22との微少なクリアランスから空気が侵入しやすい。そして、射出スリーブ21内や給湯管24内に空気が侵入すると、溶湯Mが酸化してダイカスト品に酸化物の巻き込みやガス欠陥などを発生させることがある。
【0008】
一方(b)射出においては、プランジャチップ22が前進すると、プランジャチップ22により射出スリーブ21の給湯口21aが塞がれて給湯管24内が真空状態になるので、給湯口21a付近にある溶湯Mは保持炉(図5の符号23)に直ちには戻ることができない。そして、水冷されているプランジャチップ22によって給湯口21b付近にある溶湯Mが冷却されると、一部が凝固片となって給湯口21a付近に付着し、この凝固片が射出スリーブ21内の溶湯Mに混入した場合には、ダイカスト品に介在物欠陥を発生させることがある。
【0009】
本発明の課題は、キャビティ内を減圧して保持内の溶湯を射出スリーブ内に給湯管を介して装填した後、射出スリーブに嵌合するプランジャチップを前進して射出スリーブ内の溶湯をキャビティ内に充填する真空ダイカスト方法であって、射出スリーブや給湯管内の溶湯の酸化を防止して、ダイカスト品に酸化物の巻き込みやガス欠陥などの発生を少なくし、また射出スリーブの給湯口付近への凝固片の付着を防止して、ダイカスト品に介在物欠陥の発生を少なくする真空ダイカスト方法を得ることにある。また、本発明の別の課題は、上記真空ダイカスト方法を簡単な構造で達成できる真空ダイカスト装置を得ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究の結果、プランジャチップの前進途中および後退途中の何れか1以上の状態で給湯管内に不活性ガスを供給する真空ダイカスト方法とすることで、このためには、プランジャチップの中間に凹状部を形成し、射出スリーブに第1の不活性ガス供給孔を形成し、この第1の不活性ガス供給孔をプランジャチップの前進中および後退中の何れか1の状態でプランジャチップの凹状部および給湯管と相互に連通する位置に設けている真空ダイカスト装置とすることで、上記課題が解決できるとの知見を得、本発明に想到した。
【0011】
すなわち、第1発明は、キャビティ内を減圧して保持炉内の溶湯を射出スリーブ内に給湯管を介して装填した後、前記射出スリーブに嵌合するプランジャチップを前進して前記射出スリーブ内の溶湯を前記キャビティ内に充填する真空ダイカスト方法であって、前記プランジャチップが前進途中および後退途中の何れか1つの状態で前記給湯管内に不活性ガスを供給することを特徴とする。
プランジャチップが前進途中および後退途中の何れか1つの状態で給湯管内に不活性ガスを供給することで、給湯管内を不活性ガスで置換して溶湯の酸化を防止し、ダイカスト品に酸化物の巻き込みやガス欠陥などの発生を少なくする。また、給湯管内に不活性ガスを供給すると、その供給圧で湯切りされた溶湯を積極的に給湯管から保持炉に戻し、射出スリーブの給湯口付近への凝固片の付着を防止して、ダイカスト品に介在物欠陥の発生を少なくする。
【0012】
また第1発明においては、前記プランジャチップの待機中に前記射出スリーブ内に不活性ガスを供給することが好ましい。
プランジャチップの待機中にも射出スリーブ内に不活性ガスを供給することで、射出スリーブ内を不活性ガスで置換して溶湯の酸化を防止し、ダイカスト品に酸化物の巻き込みやガス欠陥などの発生をより少なくする。
【0013】
次に、第2発明の真空ダイカスト装置は、固定型および可動型で形成するキャビティと、該キャビティに連通する射出スリーブと、該射出スリーブ内で嵌合して前後進できるプランジャチップと、前記射出スリーブの下方にあって溶湯を収容する保持炉と、一端を前記射出スリーブに形成した給湯口に連通しかつ他端を前記保持炉内の溶湯に没入する給湯管と、前記キャビティ内を真空状態に減圧して前記保持炉内の溶湯を前記射出スリーブ内に給湯管を介して装填する減圧手段とを有する真空ダイカスト装置であって、前記プランジャチップの中間に凹状部を形成し、前記射出スリーブに第1の不活性ガス供給孔を形成し、該第1の不活性ガス供給孔を前記プランジャチップの前進および後退の何れか1の状態で前記プランジャチップの凹状部および給湯管と相互に連通する位置に設けていることを特徴とする。
従来の真空ダイカスト装置に、プランジャチップの中間部の凹状部、射出スリーブの第1の不活性ガス供給孔などを付加した簡単な構造によって、前記した真空ダイカスト方法を達成することができる。
【0014】
第2発明の真空ダイカスト装置においては、前記射出スリーブに第2の不活性ガス供給孔を形成し、該第2の不活性ガス供給孔は、前記プランジャチップの待機中の状態で前記射出スリーブおよび給湯管と相互に連通する位置に設けていることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。なお本発明は、以下に示す実施の形態1〜3にとらわれず、技術思想の範囲内で変形したり組み合わせたりすることが可能である。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1での真空ダイカスト装置10の横断面図である。図1の真空ダイカスト装置10は、固定型16cおよび可動型16dで形成するキャビティ16と、このキャビティ16に連通する射出スリーブ11と、この射出スリーブ11内で嵌合して前後進できるプランジャチップ12と、射出スリーブ11の下方にあって溶湯Mを収容する保持炉13と、一端を射出スリーブ11に形成した給湯口11aに連通しかつ他端を保持炉13内の溶湯Mに没入する給湯管14と、キャビティ16内を真空状態に減圧して保持炉13内の溶湯Mを射出スリーブ11内に給湯管14を介して装填するカットオフバルブ18aや真空ポンプ18などの減圧手段を有する。また、プランジャチップ12の中間の底部には彫り込んだ凹状部12aを形成し、また射出スリーブ11に第1の不活性ガス供給孔17aを形成している。この第1の不活性ガス供給孔17aは、プランジャチップ12の前進および後退の何れか1の状態で、プランジャチップ12の凹状部12aおよび給湯管14と連通する位置に設けている。また、第1の不活性ガス供給孔17aは、電磁弁17bを介して不活性ガスNの貯留タンク17に接続している。
【0016】
一方、射出スリーブ11の上方には、第2の不活性ガス供給孔17cを形成している。この第2の不活性ガス供給孔17cは、プランジャチップ12の待機中に、射出スリーブ11および給湯管14と相互に連通する位置に設けている。そして第2の不活性ガス供給口17cは、電磁弁17dを介して不活性ガスNの貯留タンク17に接続している。
【0017】
なお、固定型16cは固定プラテン16aに取り付け、可動型16dは可動プラテン16bに取り付けている。保持炉13は、昇降台15上に置き、昇降台15を上下することで溶湯Mの湯面が一定になるようにしている。給湯管14は、内面にB−Nコーティングを施したセラミック製として溶湯Mとの反応を防止し、下端にはオリフィス14aを形成している。給湯管14の外周はヒーター(図示せず)で包囲して給湯管14を溶湯Mの温度近くに保持している。
【0018】
次に、図1の真空ダイカスト装置10を用いた真空ダイカスト方法について、図2もとに説明する。図2は、図1での射出スリーブ11、プランジャチップ12、給湯管14および溶湯Mとその近傍を抜き出した、(a)給湯、(b)射出途中、(c)後退途中の各状態の横断面図である。
先ず(a)給湯で、プランジャチップ12を後退位置とし、また電磁弁17b、17dを閉じる。そして、真空ポンプ(図1の符号18)を運転すると共に真空弁(図1の符号18a)を開き、キャビティ(図1の符号16)内を真空状態に減圧Vしてこの減圧Vを射出スリーブ11内に伝え、保持炉(図1の符号13)内の溶湯Mを射出スリーブ11内に給湯管14を介して給湯口11aから装填する。
【0019】
次に(b)射出で、射出スリーブ11内の減圧Vを小さくしつつプランジャチップ12を前進して射出スリーブ11内の溶湯Mをキャビティ16内に充填する。この射出でのプランジャチップ12の前進途中に、射出スリーブ11に形成した第1の不活性ガス供給口17aを、プランジャチップ12の中間に形成した凹状部12aおよび給湯管14と相互に連通させ、かつ電磁弁17bを開いて、給湯管14内に不活性ガスN1を供給する。
【0020】
次に(c)後退で、プランジャチップ12の後退途中に、再び、射出スリーブ11に形成した第1の不活性ガス供給口17aを、プランジャチップ12の凹状部12aおよび給湯管14と相互に連通させ、かつ電磁弁17bを開き、給湯管14内に不活性ガスN1を供給する。また、プランジャチップ12の後退から待機位置では、電磁弁17dを開き、射出スリーブ11内に不活性ガスN2を供給する。
【0021】
これにより、給湯管14内および射出スリーブ11内を不活性ガスN1で置換して溶湯Mの酸化を防止し、ダイカスト品に酸化物の巻き込みやガス欠陥などの発生を少なくする。また、給湯管内14への不活性ガスN1の供給圧で、湯切りされた溶湯Mを積極的に給湯管14から保持炉に戻し、射出スリーブ11の給湯口11a付近への凝固片の付着を防止して、ダイカスト品に介在物欠陥の発生を少なくする。
【0022】
(実施の形態2)
図3は、実施の形態2での真空ダイカスト装置の射出スリーブ11、プランジャチップ12、給湯管14および溶湯Mとその近傍を抜き出した、射出途中の状態の横断面図である。実施の形態2の真空ダイカスト装置は、前述した実施の形態1の真空ダイカスト装置10とは主にプランジャチップ12とその周辺のみ相違し、その他は略同じにしている。なお、実施の形態2で実施の形態1と同じ作用を有するものは同符号で示している。
【0023】
プランジャチップ12の中間には円筒状の径小部12bを形成し、射出スリーブ11の上部には第1の不活性ガス供給孔17aを形成している。この第1の不活性ガス供給孔17aは、プランジャチップ12の前進途中および後退途中の何れか1の状態で、プランジャチップ12の径小部12bおよび給湯管14と連通する位置に設けている。また、第1の不活性ガス供給孔17aは、電磁弁17bを介して不活性ガスの貯留タンクに接続している。
【0024】
一方、射出スリーブ11の上方には、第2の不活性ガス供給孔17cを形成している。この第2の不活性ガス供給孔17cは、プランジャチップ12の待機中に、射出スリーブ11および給湯管14と相互に連通する位置に設けている。そして第2の不活性ガス供給口17cは、電磁弁17dを介して不活性ガスの貯留タンクに接続している。
【0025】
実施の形態2の真空ダイカスト装置は、プランジャチップ12を前進させての射出途中に、射出スリーブ11に形成した第1の不活性ガス供給口17cを、給湯管14およびプランジャチップ12の中間に形成した径小部17bと相互に連通させ、かつ電磁弁17bを開き、給湯管14内に不活性ガスN1を供給する。
【0026】
また、プランジャチップ12の後退途中においても、射出スリーブ11に形成した第1の不活性ガス供給口17cを、給湯管14およびプランジャチップ12の径小部17bと相互に連通させ、かつ電磁弁17bを開き、給湯管14内に不活性ガスN1を供給する。また、プランジャチップ12の後退から待機位置では、電磁弁17dを開き、射出スリーブ11内に不活性ガスN2を供給する。
【0027】
これにより、給湯管14内および射出スリーブ11内を不活性ガスN1で置換して溶湯Mの酸化を防止し、ダイカスト品に酸化物の巻き込みやガス欠陥などの発生を少なくする。また、給湯管内14への不活性ガスN1の供給圧で、湯切りされた溶湯Mを積極的に給湯管14から保持炉に戻し、射出スリーブ11の給湯口11a付近への凝固片の付着を防止して、ダイカスト品に介在物欠陥の発生を少なくする。
【0028】
(実施の形態3)
図4は、実施の形態3での真空ダイカスト装置の射出スリーブ11、プランジャチップ12、給湯管14、射出スリーブ11の後方に固定したアダプタ19および溶湯Mとその近傍を抜き出した、射出途中の状態の横断面図である。実施の形態3の真空ダイカスト装置は、前述した実施の形態1とは主にプランジャチップ12、射出スリーブの後方とその周辺のみ相違し、その他は略同じにしている。なお、実施の形態3で実施の形態1と同じ作用を有するものは同符号で示している。
【0029】
プランジャチップ12の中間には円筒状の径小部12bを形成し、プランジャチップ12の内部には一端をプランジャチップ12の径小部12bに開口しかつ他端を後述するアダプタ19のポケット19a開口して連通する第1の不活性ガス供給孔17a−1を形成し、アダプタ19には一端をポケット19aに開口しかつ他端を電磁弁17bから不活性ガス貯留タンク(図示せず)に接続する別の第1の不活性ガス供給孔17a−2を形成する。そして、第1の不活性ガス供給孔17a−1は、プランジャチップ12の前進途中および後退途中の何れか1の状態で、給湯管14およびプランジャチップ12の径小部12bと連通する位置に設ける。また、第1の不活性ガス供給孔17a−2は、電磁弁17bを介して不活性ガスの貯留タンクに接続する。
【0030】
一方、射出スリーブ11の上方には、第2の不活性ガス供給孔17cを形成している。この第2の不活性ガス供給孔17cは、プランジャチップ12の待機中に、射出スリーブ11および給湯管14と相互に連通する位置に設けている。そして第2の不活性ガス供給口17cは、電磁弁17dを介して不活性ガスの貯留タンクに接続している。
【0031】
実施の形態2の真空ダイカスト装置は、プランジャチップ12を前進させての射出途中に、射出スリーブ11に形成した第1の不活性ガス供給口17a−1を、給湯管14およびプランジャチップ12の中間に形成した径小部12bと相互に連通させ、かつ電磁弁17bを開き、給湯管14内に不活性ガスN1を供給する。
【0032】
また、プランジャチップ12の後退途中においても、射出スリーブ11に形成した第1の不活性ガス供給口17a−1を、給湯管14およびプランジャチップ12の中間に形成した径小部17bと相互に連通させ、かつ電磁弁17bを開き、給湯管14内に不活性ガスN1を供給する。また、プランジャチップ12の後退から待機位置では、電磁弁17dを開き、射出スリーブ11内に不活性ガスN2を供給する。
【0033】
これにより、給湯管14内および射出スリーブ11内を不活性ガスN1で置換して溶湯Mの酸化を防止し、ダイカスト品に酸化物の巻き込みやガス欠陥などの発生を少なくする。また、給湯管内14への不活性ガスN1の供給圧で、湯切りされた溶湯Mを積極的に給湯管14から保持炉に戻し、射出スリーブ11の給湯口11a付近への凝固片の付着を防止して、ダイカスト品に介在物欠陥の発生を少なくする。
【0034】
【発明の効果】
以上詳細に説明のとおり、第1発明は、キャビティ内を減圧して保持内の溶湯を射出スリーブ内に給湯管を介して装填した後、射出スリーブに嵌合するプランジャチップを前進して射出スリーブ内の溶湯をキャビティ内に充填する真空ダイカスト方法であって、射出スリーブや給湯管内の溶湯の酸化を防止して、ダイカスト品に酸化物の巻き込みやガス欠陥などの発生を少なくし、また射出スリーブの給湯口付近への凝固片の付着を防止して、ダイカスト品に介在物欠陥の発生を少なくする。また、第2発明の真空ダイカスト装置は、上記真空ダイカスト方法を簡単な構造で達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1での真空ダイカスト装置10の横断面図である。
【図2】図1での射出スリーブ11、プランジャチップ12、給湯管14および溶湯Mとその近傍を抜き出した、(a)給湯、(b)射出途中、(c)後退途中の各状態の横断面図である。
【図3】実施の形態2での真空ダイカスト装置の射出スリーブ11、プランジャチップ12、給湯管14および溶湯Mとその近傍を抜き出した、射出途中の状態の横断面図である。
【図4】実施の形態3での真空ダイカスト装置の射出スリーブ11、プランジャチップ12、給湯管14、射出スリーブ11の後方に固定したアダプタ19および溶湯Mとその近傍を抜き出した、射出途中の状態の横断面図である。
【図5】特開平6−126415号公報に開示の真空ダイカスト装置20の断面図である。
【図6】図5の真空ダイカスト装置20での、射出スリーブ21、プランジャチップ22、給湯管24および溶湯Mとその近傍を抜き出した、(a)給湯、(b)射出途中の各状態の横断面図である。
【符号の説明】
10、20:真空ダイカスト装置
11、21:射出スリーブ
11a、21a:給湯口
12、22:プランジャチップ
12a:凹状部
12b:径小部
13、23:保持炉
14、24:給湯管
14a:オリフィス
15:昇降台
16:金型キャビティ
16a、26a:固定プラテン
16b:可動プラテン
16c:固定型
16d:可動型
17:貯留タンク
17a、17a−1、17a−2:第1の不活性ガス供給口
17c:第2の不活性ガス供給口
17b、17d:電磁弁
18:真空ポンプ
19:アダプタ
19a:ポケット
22a:湾曲面
M:溶湯
N、N1、N2:不活性ガス
V:減圧
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空ダイカスト方法および真空ダイカスト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
キャビティ内を減圧して保持炉内の溶湯を射出スリーブ内に給湯管を介して装填する真空ダイカスト装置として、例えば図5の特開平6−126415号公報に開示のものがある。図5の真空ダイカスト装置20は、固定プラテン26aに取り付けられた固定型26cおよび可動型(図示せず)で形成するキャビティ(図示せず)と、このキャビティに連通する射出スリーブ21と、この射出スリーブ21内で嵌合して前後進できるプランジャチップ22と、射出スリーブ21の下方にあって溶湯Mを収容する保持炉23と、一端を射出スリーブ21に形成した給湯口21aに連結しかつ他端を保持炉23内の溶湯Mに没入する給湯管24と、キャビティ内を真空状態に減圧して保持炉23内の溶湯を射出スリーブ21内に給湯管24を介して装填する減圧手段(図示せず)を有する。
【0003】
次に、図5の真空ダイカスト装置20を用いた真空ダイカスト方法について、図6をもとに説明する。図6は、図5での射出スリーブ21、プランジャチップ22、給湯管24および溶湯Mとその近傍を抜き出した、(a)給湯、(b)射出途中の各状態の横断面図である。
【0004】
先ず(a)給湯では、キャビティ内を真空状態に減圧Vしてこの減圧Vを射出スリーブ21内に伝え、保持炉(図1の符号23)内の溶湯Mを射出スリーブ21内に給湯管24を介して給湯口21aから装填している。
【0005】
次に(b)射出途中では、射出スリーブ21の減圧Vを小さくしつつプランジャチップ22が前進され、溶湯Mをキャビティ内に次第に充填されている。一方、湯切りした溶湯Mは給湯口21aから給湯管24を経て保持炉23に戻している。そして、射出後は、プランジャチップ22を後退させて待機位置に戻すと共にキャビティ内で冷却凝固したダイカスト品を取り出している。
上記公報に開示のような真空ダイカスト装置20によれば、溶湯Mが大気と接触する機会が少ないので、溶湯Mへの酸化膜やガスの混入が低減され、ダイカスト品の機械的性質を向上することが可能になると言われている。
【0006】
さて、図5および図6に示すような真空ダイカスト装置20においては、プランジャチップ22が溶湯Mと接触して膨張しても円滑に前後進できるように、射出スリーブ21とこれに嵌合するプランジャチップ22間に100〜300μmのクリアランスが形成されている。また、プランジャチップ22の溶湯と接触した際の膨張量を小さくし、射出スリーブ21とプランジャチップ22間でいわゆる「かじり」が発生しないように、プランジャチップ22の内部には冷却水を循環している。一方、クリアランスから空気が射出スリーブ21内に侵入しないように、射出スリーブ21の後端にシール部材21cを設けている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、射出スリーブ21の後端にシール部材21cを設けても、(a)給湯は、射出スリーブ21内を真空状態に減圧Vして行うので、射出スリーブ21とプランジャチップ22との微少なクリアランスから空気が侵入しやすい。そして、射出スリーブ21内や給湯管24内に空気が侵入すると、溶湯Mが酸化してダイカスト品に酸化物の巻き込みやガス欠陥などを発生させることがある。
【0008】
一方(b)射出においては、プランジャチップ22が前進すると、プランジャチップ22により射出スリーブ21の給湯口21aが塞がれて給湯管24内が真空状態になるので、給湯口21a付近にある溶湯Mは保持炉(図5の符号23)に直ちには戻ることができない。そして、水冷されているプランジャチップ22によって給湯口21b付近にある溶湯Mが冷却されると、一部が凝固片となって給湯口21a付近に付着し、この凝固片が射出スリーブ21内の溶湯Mに混入した場合には、ダイカスト品に介在物欠陥を発生させることがある。
【0009】
本発明の課題は、キャビティ内を減圧して保持内の溶湯を射出スリーブ内に給湯管を介して装填した後、射出スリーブに嵌合するプランジャチップを前進して射出スリーブ内の溶湯をキャビティ内に充填する真空ダイカスト方法であって、射出スリーブや給湯管内の溶湯の酸化を防止して、ダイカスト品に酸化物の巻き込みやガス欠陥などの発生を少なくし、また射出スリーブの給湯口付近への凝固片の付着を防止して、ダイカスト品に介在物欠陥の発生を少なくする真空ダイカスト方法を得ることにある。また、本発明の別の課題は、上記真空ダイカスト方法を簡単な構造で達成できる真空ダイカスト装置を得ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究の結果、プランジャチップの前進途中および後退途中の何れか1以上の状態で給湯管内に不活性ガスを供給する真空ダイカスト方法とすることで、このためには、プランジャチップの中間に凹状部を形成し、射出スリーブに第1の不活性ガス供給孔を形成し、この第1の不活性ガス供給孔をプランジャチップの前進中および後退中の何れか1の状態でプランジャチップの凹状部および給湯管と相互に連通する位置に設けている真空ダイカスト装置とすることで、上記課題が解決できるとの知見を得、本発明に想到した。
【0011】
すなわち、第1発明は、キャビティ内を減圧して保持炉内の溶湯を射出スリーブ内に給湯管を介して装填した後、前記射出スリーブに嵌合するプランジャチップを前進して前記射出スリーブ内の溶湯を前記キャビティ内に充填する真空ダイカスト方法であって、前記プランジャチップが前進途中および後退途中の何れか1つの状態で前記給湯管内に不活性ガスを供給することを特徴とする。
プランジャチップが前進途中および後退途中の何れか1つの状態で給湯管内に不活性ガスを供給することで、給湯管内を不活性ガスで置換して溶湯の酸化を防止し、ダイカスト品に酸化物の巻き込みやガス欠陥などの発生を少なくする。また、給湯管内に不活性ガスを供給すると、その供給圧で湯切りされた溶湯を積極的に給湯管から保持炉に戻し、射出スリーブの給湯口付近への凝固片の付着を防止して、ダイカスト品に介在物欠陥の発生を少なくする。
【0012】
また第1発明においては、前記プランジャチップの待機中に前記射出スリーブ内に不活性ガスを供給することが好ましい。
プランジャチップの待機中にも射出スリーブ内に不活性ガスを供給することで、射出スリーブ内を不活性ガスで置換して溶湯の酸化を防止し、ダイカスト品に酸化物の巻き込みやガス欠陥などの発生をより少なくする。
【0013】
次に、第2発明の真空ダイカスト装置は、固定型および可動型で形成するキャビティと、該キャビティに連通する射出スリーブと、該射出スリーブ内で嵌合して前後進できるプランジャチップと、前記射出スリーブの下方にあって溶湯を収容する保持炉と、一端を前記射出スリーブに形成した給湯口に連通しかつ他端を前記保持炉内の溶湯に没入する給湯管と、前記キャビティ内を真空状態に減圧して前記保持炉内の溶湯を前記射出スリーブ内に給湯管を介して装填する減圧手段とを有する真空ダイカスト装置であって、前記プランジャチップの中間に凹状部を形成し、前記射出スリーブに第1の不活性ガス供給孔を形成し、該第1の不活性ガス供給孔を前記プランジャチップの前進および後退の何れか1の状態で前記プランジャチップの凹状部および給湯管と相互に連通する位置に設けていることを特徴とする。
従来の真空ダイカスト装置に、プランジャチップの中間部の凹状部、射出スリーブの第1の不活性ガス供給孔などを付加した簡単な構造によって、前記した真空ダイカスト方法を達成することができる。
【0014】
第2発明の真空ダイカスト装置においては、前記射出スリーブに第2の不活性ガス供給孔を形成し、該第2の不活性ガス供給孔は、前記プランジャチップの待機中の状態で前記射出スリーブおよび給湯管と相互に連通する位置に設けていることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。なお本発明は、以下に示す実施の形態1〜3にとらわれず、技術思想の範囲内で変形したり組み合わせたりすることが可能である。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1での真空ダイカスト装置10の横断面図である。図1の真空ダイカスト装置10は、固定型16cおよび可動型16dで形成するキャビティ16と、このキャビティ16に連通する射出スリーブ11と、この射出スリーブ11内で嵌合して前後進できるプランジャチップ12と、射出スリーブ11の下方にあって溶湯Mを収容する保持炉13と、一端を射出スリーブ11に形成した給湯口11aに連通しかつ他端を保持炉13内の溶湯Mに没入する給湯管14と、キャビティ16内を真空状態に減圧して保持炉13内の溶湯Mを射出スリーブ11内に給湯管14を介して装填するカットオフバルブ18aや真空ポンプ18などの減圧手段を有する。また、プランジャチップ12の中間の底部には彫り込んだ凹状部12aを形成し、また射出スリーブ11に第1の不活性ガス供給孔17aを形成している。この第1の不活性ガス供給孔17aは、プランジャチップ12の前進および後退の何れか1の状態で、プランジャチップ12の凹状部12aおよび給湯管14と連通する位置に設けている。また、第1の不活性ガス供給孔17aは、電磁弁17bを介して不活性ガスNの貯留タンク17に接続している。
【0016】
一方、射出スリーブ11の上方には、第2の不活性ガス供給孔17cを形成している。この第2の不活性ガス供給孔17cは、プランジャチップ12の待機中に、射出スリーブ11および給湯管14と相互に連通する位置に設けている。そして第2の不活性ガス供給口17cは、電磁弁17dを介して不活性ガスNの貯留タンク17に接続している。
【0017】
なお、固定型16cは固定プラテン16aに取り付け、可動型16dは可動プラテン16bに取り付けている。保持炉13は、昇降台15上に置き、昇降台15を上下することで溶湯Mの湯面が一定になるようにしている。給湯管14は、内面にB−Nコーティングを施したセラミック製として溶湯Mとの反応を防止し、下端にはオリフィス14aを形成している。給湯管14の外周はヒーター(図示せず)で包囲して給湯管14を溶湯Mの温度近くに保持している。
【0018】
次に、図1の真空ダイカスト装置10を用いた真空ダイカスト方法について、図2もとに説明する。図2は、図1での射出スリーブ11、プランジャチップ12、給湯管14および溶湯Mとその近傍を抜き出した、(a)給湯、(b)射出途中、(c)後退途中の各状態の横断面図である。
先ず(a)給湯で、プランジャチップ12を後退位置とし、また電磁弁17b、17dを閉じる。そして、真空ポンプ(図1の符号18)を運転すると共に真空弁(図1の符号18a)を開き、キャビティ(図1の符号16)内を真空状態に減圧Vしてこの減圧Vを射出スリーブ11内に伝え、保持炉(図1の符号13)内の溶湯Mを射出スリーブ11内に給湯管14を介して給湯口11aから装填する。
【0019】
次に(b)射出で、射出スリーブ11内の減圧Vを小さくしつつプランジャチップ12を前進して射出スリーブ11内の溶湯Mをキャビティ16内に充填する。この射出でのプランジャチップ12の前進途中に、射出スリーブ11に形成した第1の不活性ガス供給口17aを、プランジャチップ12の中間に形成した凹状部12aおよび給湯管14と相互に連通させ、かつ電磁弁17bを開いて、給湯管14内に不活性ガスN1を供給する。
【0020】
次に(c)後退で、プランジャチップ12の後退途中に、再び、射出スリーブ11に形成した第1の不活性ガス供給口17aを、プランジャチップ12の凹状部12aおよび給湯管14と相互に連通させ、かつ電磁弁17bを開き、給湯管14内に不活性ガスN1を供給する。また、プランジャチップ12の後退から待機位置では、電磁弁17dを開き、射出スリーブ11内に不活性ガスN2を供給する。
【0021】
これにより、給湯管14内および射出スリーブ11内を不活性ガスN1で置換して溶湯Mの酸化を防止し、ダイカスト品に酸化物の巻き込みやガス欠陥などの発生を少なくする。また、給湯管内14への不活性ガスN1の供給圧で、湯切りされた溶湯Mを積極的に給湯管14から保持炉に戻し、射出スリーブ11の給湯口11a付近への凝固片の付着を防止して、ダイカスト品に介在物欠陥の発生を少なくする。
【0022】
(実施の形態2)
図3は、実施の形態2での真空ダイカスト装置の射出スリーブ11、プランジャチップ12、給湯管14および溶湯Mとその近傍を抜き出した、射出途中の状態の横断面図である。実施の形態2の真空ダイカスト装置は、前述した実施の形態1の真空ダイカスト装置10とは主にプランジャチップ12とその周辺のみ相違し、その他は略同じにしている。なお、実施の形態2で実施の形態1と同じ作用を有するものは同符号で示している。
【0023】
プランジャチップ12の中間には円筒状の径小部12bを形成し、射出スリーブ11の上部には第1の不活性ガス供給孔17aを形成している。この第1の不活性ガス供給孔17aは、プランジャチップ12の前進途中および後退途中の何れか1の状態で、プランジャチップ12の径小部12bおよび給湯管14と連通する位置に設けている。また、第1の不活性ガス供給孔17aは、電磁弁17bを介して不活性ガスの貯留タンクに接続している。
【0024】
一方、射出スリーブ11の上方には、第2の不活性ガス供給孔17cを形成している。この第2の不活性ガス供給孔17cは、プランジャチップ12の待機中に、射出スリーブ11および給湯管14と相互に連通する位置に設けている。そして第2の不活性ガス供給口17cは、電磁弁17dを介して不活性ガスの貯留タンクに接続している。
【0025】
実施の形態2の真空ダイカスト装置は、プランジャチップ12を前進させての射出途中に、射出スリーブ11に形成した第1の不活性ガス供給口17cを、給湯管14およびプランジャチップ12の中間に形成した径小部17bと相互に連通させ、かつ電磁弁17bを開き、給湯管14内に不活性ガスN1を供給する。
【0026】
また、プランジャチップ12の後退途中においても、射出スリーブ11に形成した第1の不活性ガス供給口17cを、給湯管14およびプランジャチップ12の径小部17bと相互に連通させ、かつ電磁弁17bを開き、給湯管14内に不活性ガスN1を供給する。また、プランジャチップ12の後退から待機位置では、電磁弁17dを開き、射出スリーブ11内に不活性ガスN2を供給する。
【0027】
これにより、給湯管14内および射出スリーブ11内を不活性ガスN1で置換して溶湯Mの酸化を防止し、ダイカスト品に酸化物の巻き込みやガス欠陥などの発生を少なくする。また、給湯管内14への不活性ガスN1の供給圧で、湯切りされた溶湯Mを積極的に給湯管14から保持炉に戻し、射出スリーブ11の給湯口11a付近への凝固片の付着を防止して、ダイカスト品に介在物欠陥の発生を少なくする。
【0028】
(実施の形態3)
図4は、実施の形態3での真空ダイカスト装置の射出スリーブ11、プランジャチップ12、給湯管14、射出スリーブ11の後方に固定したアダプタ19および溶湯Mとその近傍を抜き出した、射出途中の状態の横断面図である。実施の形態3の真空ダイカスト装置は、前述した実施の形態1とは主にプランジャチップ12、射出スリーブの後方とその周辺のみ相違し、その他は略同じにしている。なお、実施の形態3で実施の形態1と同じ作用を有するものは同符号で示している。
【0029】
プランジャチップ12の中間には円筒状の径小部12bを形成し、プランジャチップ12の内部には一端をプランジャチップ12の径小部12bに開口しかつ他端を後述するアダプタ19のポケット19a開口して連通する第1の不活性ガス供給孔17a−1を形成し、アダプタ19には一端をポケット19aに開口しかつ他端を電磁弁17bから不活性ガス貯留タンク(図示せず)に接続する別の第1の不活性ガス供給孔17a−2を形成する。そして、第1の不活性ガス供給孔17a−1は、プランジャチップ12の前進途中および後退途中の何れか1の状態で、給湯管14およびプランジャチップ12の径小部12bと連通する位置に設ける。また、第1の不活性ガス供給孔17a−2は、電磁弁17bを介して不活性ガスの貯留タンクに接続する。
【0030】
一方、射出スリーブ11の上方には、第2の不活性ガス供給孔17cを形成している。この第2の不活性ガス供給孔17cは、プランジャチップ12の待機中に、射出スリーブ11および給湯管14と相互に連通する位置に設けている。そして第2の不活性ガス供給口17cは、電磁弁17dを介して不活性ガスの貯留タンクに接続している。
【0031】
実施の形態2の真空ダイカスト装置は、プランジャチップ12を前進させての射出途中に、射出スリーブ11に形成した第1の不活性ガス供給口17a−1を、給湯管14およびプランジャチップ12の中間に形成した径小部12bと相互に連通させ、かつ電磁弁17bを開き、給湯管14内に不活性ガスN1を供給する。
【0032】
また、プランジャチップ12の後退途中においても、射出スリーブ11に形成した第1の不活性ガス供給口17a−1を、給湯管14およびプランジャチップ12の中間に形成した径小部17bと相互に連通させ、かつ電磁弁17bを開き、給湯管14内に不活性ガスN1を供給する。また、プランジャチップ12の後退から待機位置では、電磁弁17dを開き、射出スリーブ11内に不活性ガスN2を供給する。
【0033】
これにより、給湯管14内および射出スリーブ11内を不活性ガスN1で置換して溶湯Mの酸化を防止し、ダイカスト品に酸化物の巻き込みやガス欠陥などの発生を少なくする。また、給湯管内14への不活性ガスN1の供給圧で、湯切りされた溶湯Mを積極的に給湯管14から保持炉に戻し、射出スリーブ11の給湯口11a付近への凝固片の付着を防止して、ダイカスト品に介在物欠陥の発生を少なくする。
【0034】
【発明の効果】
以上詳細に説明のとおり、第1発明は、キャビティ内を減圧して保持内の溶湯を射出スリーブ内に給湯管を介して装填した後、射出スリーブに嵌合するプランジャチップを前進して射出スリーブ内の溶湯をキャビティ内に充填する真空ダイカスト方法であって、射出スリーブや給湯管内の溶湯の酸化を防止して、ダイカスト品に酸化物の巻き込みやガス欠陥などの発生を少なくし、また射出スリーブの給湯口付近への凝固片の付着を防止して、ダイカスト品に介在物欠陥の発生を少なくする。また、第2発明の真空ダイカスト装置は、上記真空ダイカスト方法を簡単な構造で達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1での真空ダイカスト装置10の横断面図である。
【図2】図1での射出スリーブ11、プランジャチップ12、給湯管14および溶湯Mとその近傍を抜き出した、(a)給湯、(b)射出途中、(c)後退途中の各状態の横断面図である。
【図3】実施の形態2での真空ダイカスト装置の射出スリーブ11、プランジャチップ12、給湯管14および溶湯Mとその近傍を抜き出した、射出途中の状態の横断面図である。
【図4】実施の形態3での真空ダイカスト装置の射出スリーブ11、プランジャチップ12、給湯管14、射出スリーブ11の後方に固定したアダプタ19および溶湯Mとその近傍を抜き出した、射出途中の状態の横断面図である。
【図5】特開平6−126415号公報に開示の真空ダイカスト装置20の断面図である。
【図6】図5の真空ダイカスト装置20での、射出スリーブ21、プランジャチップ22、給湯管24および溶湯Mとその近傍を抜き出した、(a)給湯、(b)射出途中の各状態の横断面図である。
【符号の説明】
10、20:真空ダイカスト装置
11、21:射出スリーブ
11a、21a:給湯口
12、22:プランジャチップ
12a:凹状部
12b:径小部
13、23:保持炉
14、24:給湯管
14a:オリフィス
15:昇降台
16:金型キャビティ
16a、26a:固定プラテン
16b:可動プラテン
16c:固定型
16d:可動型
17:貯留タンク
17a、17a−1、17a−2:第1の不活性ガス供給口
17c:第2の不活性ガス供給口
17b、17d:電磁弁
18:真空ポンプ
19:アダプタ
19a:ポケット
22a:湾曲面
M:溶湯
N、N1、N2:不活性ガス
V:減圧
Claims (4)
- キャビティ内を減圧して保持炉内の溶湯を射出スリーブ内に給湯管を介して装填した後、前記射出スリーブに嵌合するプランジャチップを前進して前記射出スリーブ内の溶湯を前記キャビティ内に充填する真空ダイカスト方法であって、前記プランジャチップが前進途中および後退途中の何れか1の状態で前記給湯管内に不活性ガスを供給することを特徴とする真空ダイカスト方法。
- 前記プランジャチップの待機中に前記射出スリーブ内に不活性ガスを供給することを特徴とする請求項1に記載の真空ダイカスト方法。
- 固定型および可動型で形成するキャビティと、該キャビティに連通する射出スリーブと、該射出スリーブ内で嵌合して前後進できるプランジャチップと、前記射出スリーブの下方にあって溶湯を収容する保持炉と、一端を前記射出スリーブに形成した給湯口に連通しかつ他端を前記保持炉内の溶湯に没入する給湯管と、前記キャビティ内を真空状態に減圧して前記保持炉内の溶湯を前記射出スリーブ内に給湯管を介して装填する減圧手段とを有する真空ダイカスト装置であって、前記プランジャチップの中間に凹状部を形成し、前記射出スリーブに第1の不活性ガス供給孔を形成し、該第1の不活性ガス供給孔を前記プランジャチップの前進途中および後退途中の何れか1の状態で前記プランジャチップの凹状部および給湯管と相互に連通する位置に設けていることを特徴とする真空ダイカスト装置。
- 前記射出スリーブに第2の不活性ガス供給孔を形成し、該第2の不活性ガス供給孔は、前記プランジャチップの待機中の状態で前記射出スリーブおよび給湯管と相互に連通する位置に設けていることを特徴とする請求項3に記載の真空ダイカスト装置。
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CN111872355A (zh) * | 2020-09-01 | 2020-11-03 | 包头市金为达稀土材料有限公司 | 一种真空吸注液态稀土金属用台包 |
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2002
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