JP3592196B2 - 還元鋳造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は還元鋳造方法に関し、更に詳細には溶湯表面の酸化被膜を還元性化合物によって還元しつつ鋳造する還元鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋳造方法のうち、アルミニウムの鋳造方法には、重力鋳造法(GDC)、低圧鋳造法(LPDC)、ダイキャスト(DC)、スクイズ(SC)、チクソモールド等がある。これらのアルミニウムの鋳造方法は、いずれも成形型のキャビティ内にアルミニウム溶湯を注湯して鋳造するものである。
一般に、アルミニウム又はその合金は、酸化被膜を形成し易い性質があるため、アルミニウム鋳造過程では、アルミニウムの溶湯表面に簡単に酸化被膜が形成される。その結果、アルミニウム溶湯の表面張力が大きくなって、アルミニウム溶湯の流動性、溶融、溶着性が低下し、種々の鋳物欠陥が生じる。このため、成形型塗型剤の使用、成形型への溶湯の注入方法、溶湯を注入する注入速度や圧力等について様々な改良及び手法が検討されてきた。
【0003】
例えば、溶湯表面に生成された酸化被膜の生長に起因する湯周り不良、湯ジワ、湯境等に対応する対応策として、GDCやLPDCの領域では、断熱離型剤の塗布、ゲートの配置方法やオーバーフローの取り方等の手法によって、アルミニウム溶湯の温度低下を遅延させたり、DCの領域では、アルミニウム溶湯の充填速度、圧力、ゲートの配置やオーバーフローの取り方等による高圧短時間充填が行われている。また、SC等の領域では、GDCの領域で高圧に加圧することによって、アルミニウムの溶湯表面の酸化皮膜を強制的に破壊、融合させることが行われている。
【0004】
しかし、従来のアルミニウムの鋳造方法は一長一短があり、特に、アルミニウムの溶湯表面の酸化被膜に起因して鋳造品に発生する湯ジワ、湯境や微少な未充填を解消することは至難のことであった。このため、アルミニウム鋳造物のうち、表面応力、切欠等が問題となるアルミニウム製品、特に、航空機、自動車等に使用されるアルミニウム製の構造物については、その信頼性にバラツキが存在するため、蛍光探傷等による全数検査、或いは鋳造して得られたアルミニウム鋳造品に表面加工を施して最終製品とすることが行われており、アルミニウム製品のコストアップを招いていた。
かかる従来のアルミニウム鋳造方法では解消することが至難であった、アルミニウムの溶湯表面の酸化被膜に起因して発生する鋳造品の湯ジワ等を解消すべく、本発明者は、先に特願平11−91445号明細書において、成形型のキャビティ内に注入したアルミニウムの溶湯表面の酸化被膜を、金属ガスと反応性ガスとが反応して生成された還元性化合物によって還元しつつ鋳造する還元鋳造方法を提案した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者が先に提案した還元鋳造方法によれば、成形型のキャビティ内に存在する還元性化合物が、アルミニウムの溶湯表面の酸化皮膜から酸素を奪いとって純粋なアルミニウムとし、或いはアルミニウム溶湯中の酸素と反応して酸化物等を生成して溶湯中に取り込まれる結果、アルミニウム溶湯の表面張力を低減させて、その流動性、湯周り性、キャビティの内壁面との濡れ性の向上を図ることができ、酸化皮膜に起因して発生する湯ジワ等の解消を図ることができる。
ところで、本発明で用いる還元性化合物は、酸素との反応性が強いため、還元性化合物が存在するキャビティ内に空気がリークする事態を防止することが必要である。
しかし、鋳造用に用いられる通常の成形型では、アルミニウムの溶湯をキャビティ内に注入するまでの間に、キャビティ内への空気のリークを完全に防止することは至難のことである。
他方、キャビティ内への空気のリークを完全に防止し得るような成形型は、その製造コストが極めて高価となる。
そこで、本発明の課題は、鋳造用に用いられる通常の成形型を使用し、還元性化合物が存在するキャビティ内に空気のリークを防止しつつ金属の溶湯を注入し得る還元鋳造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は前記課題を解決すべく検討を重ねた結果、還元性化合物と非反応性の気体によってキャビティを加圧とした後、加圧状態のキャビティにアルミニウムの溶湯を注入することによって、還元性化合物が存在するキャビティ内に、空気のリークを防止しつつアルミニウムの溶湯を注入できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、金属の溶湯を成形型のキャビティ内に注入して鋳造品を鋳造する際に、金属ガスと反応性ガスとが反応して生成された還元性化合物が存在する前記キャビティ内を、前記還元性化合物に対して非反応性の加圧気体によって加圧した後、加圧状態の前記キャビティ内に溶湯を注入し、注入された溶湯表面の酸化被膜を還元性化合物によって還元しつつ鋳造することを特徴とする還元鋳造方法にある。
【0007】
かかる本発明において、金属ガスと反応性ガスとの各々をキャビティ内に注入し、前記キャビティ内で還元性化合物を生成することによって、キャビティ内への供給配管の閉塞を容易に防止できる。
ここで、キャビティ内に金属ガス又は反応性ガスを注入する際に、前記キャビティ内を実質的に非酸素雰囲気とすることにより、生成した還元性化合物等とキャビティ内に存在する酸素との反応を防止できる。
このキャビティ内を実質的に非酸素雰囲気とする際に、真空発生装置を駆動して前記キャビティを減圧状態とすることが好ましい。
また、キャビティ内を加圧する加圧気体として、金属ガスを前記キャビティに搬送する搬送ガス及び/又は反応性ガスを用いることができ、キャビティ内を加圧する加圧気体の供給配管に、前記加圧気体の供給量を制御する制御手段を設け、前記キャビティ内の加圧状態を調整することによって、加圧されたキャビティを所定の圧力に調整できる。
この様に、加圧された加圧状態のキャビティ内に溶湯を注入する際に、前記キャビティを加圧する加圧気体を溶湯の注入量に応じて徐々に成形型外に排出することによって、溶湯の注入を容易に行うことができる。
更に、本発明では、金属ガス及び反応性ガスとして、金属の溶湯として、アルミニウムの溶湯を用いた場合、マグネシウムガス及び窒素ガスを用い、還元性化合物としてマグネシウム窒素化合物を生成することによって、供給配管の閉塞を効果的に防止できる。
尚、本発明において「アルミニウム」と言う場合は、純粋なアルミニウムは勿論のこと、アルミニウムを基材に、例えば、シリコン、マグネシウム、銅、ニッケル、錫等を含有するアルミニウム合金も含む。
【0008】
本発明において用いる金属ガスと反応性ガスとの反応生成物である還元性化合物は、通常、酸素との反応性が強いため、還元性化合物が存在するキャビティ内に空気がリークする事態を防止することが必要である。
しかし、鋳造用として通常に用いる成形型では、溶湯をキャビティ内に注入するまでの間に、キャビティ内への空気のリークを完全に防止することは至難のことである。
この点、本発明では、還元性化合物が存在するキャビティ内を、この還元性化合物と非反応性の加圧気体により加圧した後、加圧状態のキャビティ内に溶湯を注入することによって、キャビティ内への空気のリークを防止しつつ還元鋳造を行うことができる。
このため、キャビティ内に溶湯を注入するまでに、キャビティ内の還元性化合物がリークした空気中の酸素によって酸化されることを防止でき、還元性能を充分に有する還元性化合物が存在するキャビティに注入された溶湯表面に形成された酸化皮膜等は、還元性化合物によって酸素が奪い取られて消滅する。
その結果、本発明では、酸化皮膜が形成された溶湯に比較して、溶湯の表面張力を著しく低減できるため、その流動性、湯周り性、キャビティの内壁面との濡れ性の向上を図ることができ、酸化皮膜に起因して発生する鋳造品に生じる湯ジワ等の解消を図ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に係る還元鋳造方法について、アルミニウム鋳造方法に適用した例について説明する。かかるアルミニウム鋳造方法を実施するための鋳造装置の一例を図1に示す。図1に示す鋳造装置10に設けられた成形型12には、アルミニウム溶湯18が貯められた注湯槽14に接続され、アルミニウム溶湯18がキャビティ12a内に注湯される溶湯注入孔11が形成されている。
この溶湯注入孔11内には、ほぞ16が上下方向に移動可能に挿入されており、ほぞ16を引き上げることによって、注湯槽14から所要量のアルミニウム溶湯18がキャビティ12a内に注湯される。
図1に示す成形型12は、キャビティ12aの内壁面が、成形型12を形成する金属の金属面が露出して形成されたものである。
【0010】
かかる成形型12には、配管22によって窒素ガスボンベ20と接続され、配管22のバルブ24を開放することにより、キャビティ12a内に窒素ガスを注入し、キャビティ12a内を窒素ガス雰囲気として実質的に非酸素雰囲気とすることができる。バルブ24と窒素ガスボンベ20との間には、キャビティ12aに注入される窒素ガスの流量を計量する流量計21が設けられており、流量計21によって計量される流量が所定流量となるように、バルブ24によってキャビティ12aに注入される窒素ガス量を調整する。
また、アルゴンガスボンベ25は、配管26によって気体状金属を発生する発生器としての加熱炉28に接続されており、配管26に設けられたバルブ30を開放することによって加熱炉28内にアルゴンガスを注入できる。この加熱炉28内は、ヒータ32によって加熱可能に形成されており、炉内温度は、後述する金属ガスとしてマグネシウムガスを発生させるべく、マグネシウム粉末が昇華する800℃以上とされている。
この配管26のバルブ30と加熱炉28との間にも、流量計31が設けられており、流量計31によって計量される流量が所定流量となるように、バルブ30によって加熱炉28に注入されるアルゴンガス量を調整できる。
【0011】
かかるアルゴンガスボンベ25は、バルブ33が介装された配管34によって、マグネシウム粉末が収容されているタンク36に接続され、タンク36は配管38によって、バルブ30よりも下流側の配管26に接続されている。この配管38にもバルブ40が介装されている。加熱炉28は、配管42及びほぞ16を貫通して成形型12のキャビティ内に通じるパイプ44を介して成形型12のキャビティ12aに接続している。配管42にはバルブ45が介装されている。
このアルゴンガスボンベ25から加熱炉28を経由してアルゴンガスをキャビティ12aに注入する場合には、流量計31によって計量される流量が所定流量となるように、バルブ45によってキャビティ12aに注入されるアルゴンガス量を調整できる。
更に、成形型12のキャビティ12aには、キャビティ12a内を減圧状態とすべく、真空ポンプ等の真空発生装置(図示せず)に接続された減圧配管17が接続されている。この減圧配管17にも、バルブ19が設けられている。
【0012】
図1に示す様に、成形型12には、アルミニウム溶湯18が注湯される溶湯注入孔11の他に、マグネシウムガスをキャビティ12a内に注入する金属ガス注入孔44a、窒素ガスをキャビティ12a内に注入する窒素ガス注入孔22a及びキャビティ12a内を減圧する減圧孔17aが形成されている。かかる孔のうちの一孔を、アルミニウム溶湯18をキャビティ12a内に注湯する際に、キャビティ12内の気体を排気する排気孔とすることによって、アルミニウム溶湯18の注湯をスムーズに行うことができる。この排気孔としての役割を兼務させる孔としては、金属ガス注入孔44aと窒素ガス注入孔22aとの一方とすることが好ましく、特に窒素ガス注入孔22aに排気孔の役割を兼務させることが好ましい。
この窒素ガス注入孔22aと減圧孔17aの構造を図2(a)(b)に示す。これらの孔の接続口13は、図2(a)に示すように、成形型12の外壁に外側に向けて広がるテーパ孔に形成され、このテーパ孔に配管22先端に取り付けられた接続プラグ(図示せず)が着脱自在に当接される。接続口13は、図2(b)に示す通路15,15・・を通じてキャビティ12a内に通じている。
【0013】
本発明においては、図1に示す成形型12に代えて図3(a)に示す成形型12を用いることができる。図3(a)に示す成形型12は、アルミニウム溶湯18がキャビティ12a内に注湯される溶湯注入孔11を構成する湯注入口11a内に、ほぞ16が上下方向に移動可能に挿入される。この湯注入口11aとキャビティ12aとは湯注入路11bによって連通されており、ほぞ(栓)16を引き上げることによって、注湯槽14中のアルミニウム溶湯18は、湯注入口11aから湯注入路11bを通過してキャビティ12a内に注入される。かかる湯注入路11bの途中には、金属ガス注入孔44aが接続されている。
更に、成形型12には、キャビティ12aを挟んでヘッダ23a,23bが形成されており、窒素ガスをキャビティ12aに注入する窒素ガス注入孔22a及び/又は減圧孔17aがヘッダ23a,23bに接続されている。かかるヘッダ23a,23bとキャビティ12aとは、図3(b)に示す通路15,15・・によって連結されている。
この様な、図3(a)に示す成形型12においても、金属ガス注入孔44a、窒素ガス注入孔22a及び減圧孔17aの一孔を、アルミニウム溶湯18をキャビティ12a内に注湯する際に、キャビティ12内の気体を排気する排気孔の役割を兼務させることが好ましく、特に、窒素ガス注入孔22aに排気孔の役割を兼務させることが好ましい。
尚、アルミニウム溶湯18をキャビティ12a内に注湯する際に、キャビティ12内の気体を排気する排気孔を、成形型12に新たに形成してもよい。
【0014】
図1に示す鋳造装置10によってアルミニウム鋳造を行う際には、先ず、バルブ24を開放し、窒素ガスボンベ20から配管22を経て成形型12のキャビティ12a内に窒素ガスを注入し、キャビティ12a内の空気を窒素ガスによってパージする。キャビティ12a内の空気は成形型上部の空気抜き孔(図示せず)から排出され、キャビティ12a内を窒素ガス雰囲気とし、実質的に非酸素雰囲気とすることができる。その後、バルブ24を一端閉じる。
【0015】
成形型12のキャビティ12a内の空気をパージしている際に、バルブ30を開放して加熱炉28内に、アルゴンガスボンベ20からアルゴンガスを注入し、加熱炉28内を無酸素状態とする。
次いで、バルブ30を閉じ且つバルブ40を開放し、アルゴンガス圧によりタンク36内のマグネシウム粉末をアルゴンガスと共に加熱炉28内に送り込む。加熱炉28は、ヒータ32によりマグネシウム粉末が昇華する800℃以上になるように加熱されている。このため、加熱炉28に送り込まれたマグネシウム粉末は昇華してマグネシウムガスとなる。
【0016】
次に、バルブ40を閉じてバルブ30及びバルブ45を開放し、アルゴンガス圧力、流量を調節しつつ配管42及びパイプ44を経てマグネシウムガスをキャビティ12a内に注入する。
キャビティ12a内にマグネシウムガスを注入した後、バルブ45を閉じ且つバルブ24を開放して成形型内に反応性ガスとしての窒素ガスを注入する。この様に、成形型12内に窒素ガスを注入することによって、マグネシウムガスと窒素ガスとがキャビティ12a内で反応してマグネシウム窒素化合物(Mg)が生成される。このマグネシウム窒素化合物は、キャビティ12a内壁面に粉体として析出する。
窒素ガスをキャビティ12a内に注入する際には、窒素ガスの圧力及び流量を適宜調節して行う。窒素ガスとマグネシウムガスとが反応し易いように窒素ガスを予熱して成形型12の温度が低下しないようにして注入することも好ましい。反応時間は5秒〜90秒程度(好ましくは15秒〜60秒程度)でよい。反応時間を90秒よりも長くしても、成形型12の型温が低下し反応性が低下する傾向にある。
【0017】
ここで、マグネシウム窒素化合物は、還元性化合物であり、キャビティ12a内に酸素が存在していると、酸化されて酸化マグネシウム(MgO)となるため、キャビティ12a内の酸素を極力排出することが肝心である。
このため、キャビティ12a内の空気をパージする際に、真空ポンプ等の真空発生装置を駆動してバルブ19を開放し、減圧配管17を介してキャビティ12a内を減圧状態とした後、バルブ19を閉じてからバルブ24を開放して成形型12のキャビティ12a内に窒素ガスを注入することが好ましい。
また、キャビティ12a内で生成したマグネシウム窒素化合物は、微粒子状でキャビティ12a内に浮遊しているものも多い。このため、再度、真空発生装置を駆動しバルブ19を開放して減圧配管17を介してキャビティ12a内を減圧とすることによって、マグネシウム窒素化合物をキャビティ12aの内壁面に積極的に付着させることも好ましい。
尚、マグネシウム窒素化合物を生成させた後のキャビティ12a内の減圧程度は、マグネシウムガスをキャビティ12aに注入する際の減圧程度よりも軽いものである。
【0018】
この様に、キャビティ12a内にマグネシウム窒素化合物を生成させる際は、マグネシウムガスをキャビティ12aに注入したアルゴンガス及びマグネシウムガスと反応させるべく注入した窒素ガスによって、キャビティ12aは加圧状態となっている。
しかし、成形型12には、前述した様に、上部に空気抜き孔等が形成されており、キャビティ12aを加圧状態とするアルゴンガス及び窒素ガスは空気抜き孔等から排出されつつ、窒素ガスとマグネシウムガスとが反応するため、キャビティ12aの内圧は次第に低下する。かかるキャビティ12aの内圧が低下するに従って、キャビティ12a内に空気がリークし易くなる。
このため、本発明では、バルブ24を開放し、窒素ガスボンベ20から窒素ガスをキャビティ12a内に補給し、キャビティ12a内を所定圧力に維持する。この際、キャビティ12aに補給する窒素ガスの補給量は、キャビティ12aからの気体の排出量と反応によって減少する窒素ガスの減少量を補給する程度の量でよい。かかる補給量のうち、マグネシウムガスとの反応による窒素ガスの減少量に相当する補給量は、マグネシウムガスのキャビティ12aへの補給量から計算によって推定できる。また、キャビティ12aから排出される排出量に相当する補給量は、キャビティ12aに窒素ガスを充填したときの圧力変化から推定可能である。この様にして求めた窒素ガスの補給量の調整は、配管22に設けた流量計21とバルブ24とによって行うことができる。
【0019】
次いで、キャビティ12aの内壁面にマグネシウム窒素化合物が付着した状態で、ほぞ16を引き上げ、注湯槽14中のアルミニウム溶湯18をキャビティ12a内に注入する。この際、アルミニウム溶湯18のキャビティ12aへの注入を容易にすべく、バルブ24を閉じてキャビティ12aへの窒素ガスの補給を停止し、且つキャビティ12aを加圧する窒素ガスをアルミニウム溶湯18の注入量に応じて徐々に成形型外に排出する。この様に、窒素ガスを成形型12外に排出しても、キャビティ12a内へのアルミニウム溶湯18の注入によって、キャビティ12aの空間部は窒素ガスによって加圧状態となっているため、キャビティ12aの空間部に空気がリークすることはない。
キャビティ12a内に注湯されたアルミニウム溶湯は、キャビティ12aの内壁面に付着しているマグネシウム窒素化合物と接触し、マグネシウム窒素化合物がアルミニウムの溶湯表面の酸化被膜から酸素を奪うことによって、アルミニウムの溶湯表面が純粋なアルミニウムに還元される。
また、キャビティ12a内に残存する酸素は、マグネシウム窒素化合物と反応して酸化マグネシウム又は水酸化マグネシウムとなって溶湯中に取り込まれる。この様にして生成される酸化マグネシウム等は少量であり、且つ安定な化合物であるため、得られるアルミニウム鋳造品の品質に悪影響は与えない。
この様に、マグネシウム窒素化合物がアルミニウムの溶湯表面の酸化皮膜から酸素を奪いとって純粋なアルミニウムを形成するため、溶湯表面に酸化皮膜を形成することなく鋳造できる。このため、鋳造工程中にアルミニウム溶湯の表面張力が酸化皮膜によって増大することを防止でき、アルミニウム溶湯の濡れ性、流動性、湯周り性を良好にできる。その結果、キャビティ12aの内壁面との決めの転写性(平滑性)に優れ、且つ湯ジワ等が生じない良好なアルミニウム鋳造品を得ることができる。
【0020】
本発明においては、成形型12のキャビティ12aの表面に付着したマグネシウム窒素化合物が還元性を有していることが必要である。このため、図1及び図3に示す成形型12のキャビティ12aの内壁面には、成形型12を形成する金属材が露出している。通常、成形型12を形成する金属材は、キャビティ12a内で生成されるマグネシウム窒素化合物に対し、アルミニウム鋳造工程の温度範囲では非反応性である。
ここで、キャビティ12aの内壁面に、アルミニウム鋳造の際に、キャビティの内壁面の処理として一般に用いられている酸化物系の断熱剤又は離型剤を、キャビティ12aの内壁面に塗布すると、マグネシウム窒素化合物は断熱剤等の酸素基と反応して還元機能を喪失する。このため、キャビティ12aの内壁面を、マグネシウム窒素化合物等の還元性化合物に対して非反応性の材料で形成する。
したがって、成形型12のキャビティ12aの内壁面を被覆する場合には、黒鉛等の非酸化物系の材料によって被覆することが好ましい。また、キャビティ12の内壁面に熱処理(四酸化鉄の形成処理)又は窒化処理等の処理を施したものであっても使用できる。
【0021】
これまでの説明では、成形型12のキャビティ12a内の空気をパージするため、窒素ガスボンベ20から窒素ガスをキャビティ12aに注入していたが、窒素ガスに代えてアルゴンガス等の不活性ガスによってパージしてもよい。
この場合、加熱炉28にアルゴンガスを注入し、加熱炉28内を無酸素状態とする際に、バルブ45を開放し、加熱炉28に注入されたアルゴンガスを成形型12のキャビティ12a内に注入することによって行うことができる。
また、キャビティ12aを加圧状態に保持すべく補給する補給ガスとして窒素ガスに代えてアルゴン等の不活性ガスを用いてもよい。この場合、図1に示すアルゴンガスボンベ25からのアルゴンガスを、配管26、加熱炉28、配管42及びバルブ45を経由してキャビティ12aに補給する。この際のアルゴンガスの補給量は、流量計31及びバルブ45によって調整する。
更に、キャビティ12aを加圧状態に保持すべく、窒素ガス及びアルゴンガスの両ガスを補給ガスに用いてもよい。この場合、窒素ガスの流量調整は流量計21とバルブ24によって行うと共に、アルゴンガスの流量調整は流量計31とバルブ45によって行う。
一方、補給ガスとして用いる窒素ガス及び/又はアルゴンガスの流量調整をバルブ24,45で行わず、減圧配管17に接続された真空ポンプ等の真空発生装置を駆動し、減圧配管17に設けられたバルブ19によって、キャビティ12aの内圧を調整してもよい。
以上の説明では、重力鋳造法(GDC)について説明してきたが、本発明は低圧鋳造法(LPDC)、ダイキャスト(DC)、スクイズ(SC)、チクソモールド等にも適用できる。
尚、上述した説明では、アルミニウム及び/又はその合金の鋳造方法を例示したが、本発明はマグネシウムや鉄及び/又はそれらの合金等の鋳造方法にも適用可能である。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、還元性化合物が存在するキャビティ内への空気のリークを防止しつつ還元鋳造を行うことができ、溶湯の酸化皮膜に起因して発生する鋳造品に生じる湯ジワ等の解消を図ることができる。
その結果、鋳造品の信頼性を高めることができ、航空機、自動車等に使用される鋳造品を用いた構造物についても、その検査等を解消乃至簡単なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る鋳造方法で採用する鋳造装置の一例を示す概略図である。
【図2】図1に示す成形型に設けられた接続口の構造を示す部分断面図である。
【図3】図1に示す成形型についての他の例を示す断面図及び部分断面図である。
【符号の説明】
10 鋳造装置
12 成形型
12a キャビティ
12b 処理膜
14 注湯槽
17a 減圧孔
18 アルミニウム溶湯
20 窒素ガスボンベ
21,31 流量計
22a 窒素ガス注入孔
25 アルゴンガスボンベ
28 加熱炉
32 ヒータ
36 タンク
44 パイプ
44a 金属ガス注入孔

Claims (9)

  1. 金属の溶湯を成形型のキャビティ内に注入して鋳造品を鋳造する際に、
    金属ガスと反応性ガスとが反応して生成された還元性化合物が存在する前記キャビティ内を、前記還元性化合物に対して非反応性の加圧気体によって加圧した後、
    加圧状態の前記キャビティ内に溶湯を注入し、注入された溶湯表面の酸化被膜を還元性化合物によって還元しつつ鋳造することを特徴とする還元鋳造方法。
  2. 金属ガスと反応性ガスとの各々をキャビティ内に注入し、前記キャビティ内で還元性化合物を生成する請求項1記載の還元鋳造方法。
  3. キャビティ内に金属ガス又は反応性ガスを注入する際に、前記キャビティ内を実質的に非酸素雰囲気とする請求項1又は請求項2記載の還元鋳造方法。
  4. キャビティ内を実質的に非酸素雰囲気とする際に、真空発生装置を駆動して前記キャビティを減圧状態とする請求項3記載の還元鋳造方法。
  5. キャビティ内を加圧する加圧気体として、金属ガスを前記キャビティに搬送する搬送ガス及び/又は反応性ガスを用いる請求項1〜のいずれか一項記載の還元鋳造方法。
  6. キャビティ内を加圧する加圧気体の供給配管に、前記加圧気体の供給量を制御する制御手段を設け、前記キャビティ内の加圧状態を調整する請求項1〜のいずれか一項記載の還元鋳造方法。
  7. 加圧状態のキャビティ内に溶湯を注入する際に、前記キャビティを加圧する加圧気体を溶湯の注入量に応じて徐々に成形型外に排出する請求項1〜6のいずれか一項記載の還元鋳造方法。
  8. キャビティ内で還元性化合物を生成した後、前記キャビティ内で浮遊している還元性化合物をキャビティの内壁面に付着させるべく、前記キャビティ内を減圧する請求項1〜7のいずれか一項記載の還元鋳造方法。
  9. 金属の溶湯として、アルミニウムの溶湯を用い、且つ金属ガス及び反応性ガスとして、マグネシウムガス及び窒素ガスを用いて還元性化合物としてのマグネシウム窒素化合物を生成する請求項1〜8のいずれか一項記載の還元鋳造方法。
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