JP2003053514A - 還元鋳造方法 - Google Patents

還元鋳造方法

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JP2003053514A
JP2003053514A JP2001252041A JP2001252041A JP2003053514A JP 2003053514 A JP2003053514 A JP 2003053514A JP 2001252041 A JP2001252041 A JP 2001252041A JP 2001252041 A JP2001252041 A JP 2001252041A JP 2003053514 A JP2003053514 A JP 2003053514A
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cavity
molten metal
metal
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Koichi Ogiwara
晃一 荻原
Keisuke Ban
恵介 伴
Yasuhiro Sasaki
泰弘 笹木
Akira Haruhara
昭 春原
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Nissin Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Nissin Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エネルギー、労力を削減できてコストの低減
化が図れ、さらには成形型の寿命を長くできる還元鋳造
方法を提供する。 【解決手段】 本発明に係る還元鋳造方法では、金属ガ
スと反応性ガスとを反応させて生成した還元性化合物を
成形型12のキャビティ12b内に導入して、該還元性
化合物により溶湯表面の酸化皮膜を還元して鋳物製品を
鋳造する還元鋳造方法であって、前記キャビティ12b
内に離型用塗型処理を行わず、かつ前記成形型12を冷
却して、該成形型12のキャビティ12b内に溶湯を充
填して鋳造を行うと共に、離型後、塗型焼結を含む塗型
のためのメンテナンスを行わないことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は還元鋳造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】アルミニウムの鋳造方法には、重力鋳造
法(GDC)、低圧鋳造法(LPDC)、ダイキャスト
(DC)、スクイズ(SC)、チクソモールド等があ
る。これらの鋳造方法は、いずれも成形型のキャビティ
内にアルミニウム溶湯を注湯して鋳造するものである。
ところで、一般に、アルミニウム又はその合金は、酸化
被膜をつくり易い性質があるため、アルミニウム鋳造過
程では、アルミニウムの溶湯表面に簡単に酸化被膜が生
成される。その結果、アルミニウム溶湯の表面張力が大
きくなって、アルミニウム溶湯の流動性が低下し、湯周
り不良による湯ジワ、湯境等種々の鋳物欠陥が生じる。
そのために、成形型の温度を320℃程度の高温に維持
すると共に、キャビティ内面に断熱性を有する塗型剤に
より塗型層を形成し、成形型側に急激に熱を奪われない
ようにして、溶湯の流動性を高めるようにしている。こ
のことは逆に溶湯の凝固速度が遅くなり、特にGDCや
LPDCの場合、指向性凝固、すなわち、断面積の大き
な所と小さな所とで大きな温度差が生じ、凝固速度が一
様でなくなるので、各所に引けを防止するための押し湯
を持たせるのが一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の鋳
造方法では、上記のような手段を講じても、アルミニウ
ムの溶湯表面の酸化被膜に起因して鋳物製品に発生する
湯ジワ、湯境、微少な未充填や引けを解消することは至
難のことであった。特に、GDCやLPDCの場合に
は、歩留まりが50%以下となることも稀ではない。そ
のため、鋳造後、上記製品面に切削加工を施して、酸化
皮膜と共に、微小な凹凸を除去し、外観を改善している
ものが多い。しかし、このような表面加工はコストアッ
プの要因ともなり、また傷が深い場合には、表面加工を
しても欠陥が除去できないという課題がある。また、厚
い断熱層からなる塗型層がすぐにボロボロになるため、
この塗型層のメンテナンスが極めて厄介な作業であり、
成形型の寿命が短いだけでなく、多大の工数を要する。
すなわち、ある一定の回数鋳造が行われた場合、塗型層
がボロボロになるため(通常1日フル稼動すれば、1日
で塗型の修理が必要となる)、この塗型層をショットニ
ングやホーニングによって除去した後、成形型を200
〜300℃に昇温し、スプレーガン等によって塗型剤を
塗布し、焼結させるといったメンテナンスが必要とな
る。通常1日フル稼動すれば、1日で塗型の修理が必要
となる。ショットニングやホーニングといった負担を成
形型に加えることになるので、成形型の寿命が短くなる
だけでなく、多くの人員、労力を要し、また莫大なエネ
ルギーが消費されるという課題があるのである。そこ
で、本発明は、上記課題を解決すべくなされ、その目的
とするところは、溶湯の流動性、成形型との濡れ性が向
上し、湯周り不良による湯ジワ、湯境等種々の鋳物欠陥
が解消し、高品質の鋳物製品を歩留まりよく生産できる
と共に、成形型を高温にすることも、断熱性塗型層を設
けなくともよく、メンテナンスフリーとなって作業性が
大幅に向上し、エネルギー、労力を削減できてコストの
低減化が図れ、さらには成形型の寿命を長くできる還元
鋳造方法を提供するにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明に係る還元鋳造方
法では、金属ガスと反応性ガスとを反応させて生成した
還元性化合物を成形型のキャビティ内に導入して、該還
元性化合物により溶湯表面の酸化皮膜を還元して鋳物製
品を鋳造する還元鋳造方法であって、前記キャビティ内
に離型用塗型処理を行わず、かつ前記成形型を冷却し
て、該成形型のキャビティ内に溶湯を充填して鋳造を行
うと共に、離型後、塗型焼結を含む塗型のためのメンテ
ナンスを行わないことを特徴とする。また本発明に係る
還元鋳造方法では、少なくとも溶湯の金属よりも還元性
の強い金属ガスをキャビティ内に導入し、溶湯表面の酸
化皮膜を前記金属ガスにより還元して鋳造する還元鋳造
方法であって、前記キャビティ内に離型用塗型処理を行
わず、かつ前記成形型を冷却して、該成形型のキャビテ
ィ内に溶湯を充填して鋳造を行うと共に、離型後、塗型
焼結を含む塗型のためのメンテナンスを行わないことを
特徴とする。前記成形型に押湯部を有する成形型を用
い、キャビティ内の溶湯と前記押湯部内の溶湯との間
で、キャビティ内の溶湯の方が早く凝固するように、キ
ャビティと押湯部との間に凝固速度落差を設けると好適
である。前記成形型は常温近傍の温度まで冷却して溶湯
をキャビティ内に注湯すると好適である。なお、本発明
において「アルミニウム」と言う場合は、純粋なアルミ
ニウムは勿論のこと、アルミニウムを基材に、例えば、
シリコン、マグネシウム、銅、ニッケル、錫等を含有す
るアルミニウム合金も含む。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明方法に用いる鋳造装置の一
例を図1に示す。図1に示す鋳造装置10には、成形型
12が設けられており、この成形型12には、アルミニ
ウム又はその合金の溶湯が注湯される注湯口12aに接
続されたキャビティ12bが形成されている。かかるキ
ャビティ12bの内壁面は、金属製の下型14aと上型
14bとを形成する金属の金属面が露出している。成形
型12には、配管22によって窒素ガスボンベ20と接
続され、配管22のバルブ24を開放することにより、
窒素ガス導入口12dからキャビティ12b内に窒素ガ
スを注入し、キャビティ12b内を窒素ガス雰囲気とし
て実質的に非酸素雰囲気とすることができる。
【0006】また、アルゴンガスボンベ25は、配管2
6によって金属ガスを発生する発生器としての加熱炉2
8に接続されており、配管26に設けられたバルブ30
を開放することによって加熱炉28内にアルゴンガスを
注入できる。この加熱炉28内は、ヒータ32によって
加熱可能に形成されており、炉内温度は、後述する金属
ガスとしてマグネシウムガスを発生させるべく、マグネ
シウム粉末が昇華する800℃以上とされている。この
配管26のバルブ30と加熱炉28との間にも、アルゴ
ンガスの流量が所定流量となるように、バルブ30によ
って加熱炉28に注入されるアルゴンガス量を調整でき
る。
【0007】かかるアルゴンガスボンベ25は、バルブ
33が介装された配管34によって、マグネシウム粉末
が収容されているタンク36に接続され、タンク36は
配管38によって、バルブ30よりも下流側の配管26
に接続されている。この配管38にもバルブ40が介装
されている。加熱炉28は、配管42を介して成形型1
2の金属ガス導入口12cに接続されており、加熱炉2
8でガス化された金属ガスは金属ガス導入口12cを介
してキャビティ12b内に導入される。この配管42に
も、バルブ45が介装されている。アルゴンガスボンベ
25から加熱炉28を経由してアルゴンガスを成形型1
2のキャビティ12bに注入する際に、バルブ45によ
ってキャビティ12bに注入されるアルゴンガス量を調
整できる。
【0008】図1に示す鋳造装置に用いられている成形
型12は、図2Aに示す様に、金属製の下型14a、上
型14b、及び硫酸カルシウムを焼成して形成したアダ
プター18とに分割できる分割型である。かかる下型1
4aと上型14bとによって、所望形状の成形品が鋳造
されるキャビティ12bが形成される。このアダプター
18に形成されたアルミニウム又はその合金の溶湯を注
湯する注湯口12aとキャビティ12bとの間には、注
湯口12aに注湯された溶湯をキャビティ12bに案内
する湯路21と押湯部16とが形成されている。押湯部
16は、その横断面の面積が湯路21の横断面の面積積
よりも大きく、押湯部16の体積をキャビティ12bの
体積に対して5〜20%とすることが好ましい。かかる
湯路21には、加熱炉28にガス化された金属ガスが導
入される金属ガス導入口12cからの金属ガス導入路2
3が繋ぎ込まれている。
【0009】また、アダプター18と上型14bとに
は、キャビティ12b内の気体を排気する排気孔25,
25・・が形成され、下型14aには、窒素ガス導入口
12dから導入された窒素ガスをキャビティ内に導入す
る導入路27,27・・が形成されている。かかる排気
孔25又は導入路27は、図2Bに示す様に、横断面形
状が円形の孔であって、孔内に横断面形状が四角形の柱
状挿入体31が挿入され、蒲鉾形の通路29,29・・
を通じてキャビティ12b内に通じている。
【0010】図1、図2A及び図2B示す成形型12で
は、硫酸カルシウムを焼成して形成したアダプター18
に、注湯口12a、湯路21、金属ガス導入口12c、
金属ガス導入路23、及び排気孔25の一部を形成して
いる。かかる湯路21等は、キャビティ12bの形状や
成形品を押出す押出ピン(図示せず)等の配置に応じて
形成することを要するが、アダプター18に成形予定の
成形品に適合する湯路21等を形成することによって容
易に対応することができる。更に、かかるアダプター1
8を、下型14a及び上型14bと同様に、金属製とし
てもよいが、硫酸カルシウムを焼成して形成したアダプ
ター18を用いることによって、湯路21等の形成を容
易とすることができる。
【0011】また、図1、図2A及び図2Bに示す成形
型12では、押湯部16がキャビティ12bよりも高断
熱性に形成されている。すなわち、押湯部16の内壁面
には、断熱性塗型剤の塗布等の断熱処理が施されている
が、キャビティ12bの内壁面は、金属製の下型14a
と上型14bとを形成する金属の金属面が露出している
状態である。ここで、断熱性塗型剤としては、塗型を形
成する際に、キャビティの内壁面等に塗布される塗型剤
であって、高断熱性の塗型剤、例えばセラミックが配合
された塗型剤を使用できる。
【0012】成形型12を用いてアルミニウム鋳造する
際には、キャビティ12bの内壁面温度を、従来のアル
ミニウム鋳造のキャビティの内壁面温度である320℃
よりも低温である300℃未満、好ましくは230℃以
下の温度、更に好ましくは200℃以下の温度の低温に
保持して行うことが好ましい。特に25℃前後の常温に
保持すると、凝固速度が速くなり、また取り扱い性や環
境の点からも好ましい。この様に、成形型12のキャビ
ティ12bの内壁面温度を低温にすることによって、溶
湯の凝固速度が極めて速くなり、各部の凝固速度差も少
なく、押湯量も大幅に低減できると共に、緻密で強度の
大きな鋳造品を得ることができ、更には、鋳造のサイク
ルタイムが短くなり、生産性が向上し、また成形型の寿
命も伸びるなど多くの利点がある。
【0013】成形型12を強制的に冷却する強制的冷却
手段としては、図3に示す冷却装置47を採用できる。
この冷却装置47は、成形型12に設けたウォータージ
ャケット12eに水、油等の冷却液を循環させるもので
ある。この冷却装置47としては、成形型12のキャビ
ティ12bの内壁面温度は熱電対等の公知の温度検出手
段によって検出し、設定温度を超えた場合に冷却装置4
7を作動し、成形型12の温度を所定温度範囲内となる
ように制御する。
【0014】成形型12を強制冷却する場合には、キャ
ビティ12bの内壁面温度は、その下限は特に限定され
ず、常温程度の低温であってもよいが、冷却装置47に
よる冷却コストが最も安価となる温度範囲に設定するの
が好ましい。図3に示す冷却装置47でも、成形型12
のキャビティ12bの内壁面温度が上昇する場合には、
図4に示す様に、強制冷却機64により冷却した冷却水
を成形型12のウォータージャケット12eに循環させ
るようにしてもよい。この図4に示す冷却装置47で
は、冷却水を一旦水槽60に貯留し、ポンプ62でウォ
ータージャケット12eに循環させるようにしている。
この水槽60内の冷却水は、公知の強制冷却機64によ
って冷却するようにしている。水槽60内の冷却水は、
冷却機64によって−25℃程度まで冷却され得るた
め、冷却水としては、不凍液を用いる。
【0015】図4に示す冷却装置47を用いることによ
って、成形型12のキャビティ12bの内壁面温度を室
温以下程度の低温に保持でき、溶湯の凝固速度をより速
めることができる。このため、金属の結晶粒が微細とな
り、且つ急激に冷却することによって、微細な結晶粒に
よる組織が緻密となるため、強度的に優れる鋳造品を得
ることができる。
【0016】鋳造装置10を用いてアルミニウム鋳造す
る際には、先ず、バルブ24を開放し、窒素ガスボンベ
20から配管22を経て成形型12のキャビティ12b
内に窒素ガスを注入し、キャビティ12b内の空気を窒
素ガスによってパージする。キャビティ12b内の空気
は成形型12の排気孔25,25・・から排出され、キ
ャビティ12b内を窒素ガス雰囲気とし、実質的に非酸
素雰囲気とすることができる。その後、バルブ24を一
端閉じる。なお、成形型12は冷却装置47により冷却
しておく。
【0017】成形型12のキャビティ12b内の空気を
パージしている際に、バルブ30を開放して加熱炉28
内に、アルゴンガスボンベ20からアルゴンガスを注入
し、加熱炉28内を無酸素状態とする。次いで、バルブ
30を閉じ、バルブ40を開放し、アルゴンガス圧によ
りタンク36内のマグネシウム粉末をアルゴンガスと共
に加熱炉28内に送り込む。加熱炉28は、ヒータ32
によりマグネシウム粉末が昇華する800℃以上の炉内
温度になるように加熱されている。このため、加熱炉2
8に送り込まれたマグネシウム粉末は昇華してマグネシ
ウムガスとなる。
【0018】次に、バルブ40を閉じてバルブ30及び
バルブ45を開放し、アルゴンガスの圧力、流量を調節
しつつ、配管42、成形型12の金属ガス導入口12
c、金属ガス導入路23、湯路21及び押湯部16を経
てマグネシウムガスをキャビティ12b内に注入する。
キャビティ12b内にマグネシウムガスを注入した後、
バルブ45を閉じ且つバルブ24を開放し、窒素ガス導
入口12dから導入路27,27・・を経由してキャビ
ティ12b内に窒素ガスを注入する。この様に、成形型
12内に窒素ガスを注入することによって、マグネシウ
ムガスと窒素ガスとをキャビティ12b内で反応させて
マグネシウム窒素化合物(Mg32)を生成する。この
マグネシウム窒素化合物は、キャビティ12b内壁面に
粉体として析出する。
【0019】窒素ガスをキャビティ12b内に注入する
際には、窒素ガスの圧力及び流量を適宜調節して行う。
窒素ガスとマグネシウムガスとが反応し易いように窒素
ガスを予熱して成形型12の温度が低下しないようにし
て注入することも好ましい。反応時間は5秒〜90秒程
度(好ましくは15秒〜60秒程度)でよい。キャビテ
ィ12bの内壁面にマグネシウム窒素化合物が付着した
状態で、注湯口12aからアルミニウムの溶湯を注湯
し、湯路21及び押湯部16を経由してキャビティ12
b内に溶湯を注入する。溶湯の注入は、キャビティ12
b、押湯部16及び注湯口12aが溶湯で充填されるま
で続行する。
【0020】かかる溶湯の注入の際に、キャビティ12
b内に注湯された溶湯は、キャビティ12bの内壁面に
付着しているマグネシウム窒素化合物と接触し、マグネ
シウム窒素化合物が溶湯表面の酸化被膜から酸素を奪う
ことによって、溶湯表面が純粋なアルミニウムに還元さ
れる。更に、キャビティ12b内に残存する酸素は、マ
グネシウム窒素化合物と反応し酸化マグネシウム又は水
酸化マグネシウムとなって溶湯中に取り込まれる。この
様にして生成される酸化マグネシウム等は少量であり、
且つ安定な化合物であるため、得られるアルミニウム鋳
造品の品質に悪影響は与えることはない。
【0021】この様に、マグネシウム窒素化合物がアル
ミニウムの溶湯表面の酸化皮膜から酸素を奪いとって純
粋なアルミニウムを形成するため、溶湯表面に酸化皮膜
を形成することなく鋳造できる。このため、鋳造工程中
に溶湯の表面張力が酸化皮膜によって増大することを防
止でき、溶湯の濡れ性、流動性、湯周り性を良好にでき
る。その結果、キャビティ12bの内壁面との決めの転
写性(平滑性)に優れ、且つ湯ジワ等が生じない良好な
鋳造品を得ることができる。
【0022】ところで、押湯部16の内壁面には、断熱
性塗型剤が塗布されて断熱処理が施されている。一方、
キャビティ12bの内壁面は、金属製の下型14aと上
型14bとを形成する金属の金属面が露出していると共
に、成形型12は冷却装置47によって強制的に冷却さ
れている。このため、キャビティ12bに充填された溶
湯の冷却速度は、押湯部16に充填された溶湯よりも速
い。従って、キャビティ12bに充填された溶湯は、押
湯部16に充填された溶湯よりも早く凝固される。
【0023】かかるキャビティ12bの溶湯が凝固する
際に、溶湯の凝固に伴なう収縮によってキャビティ12
bの押湯部16側に隙間が形成される。一方、キャビテ
ィ12bよりも冷却速度の遅い押湯部16には依然とし
て溶湯が残留しているため、押湯部16の残留溶湯がキ
ャビティ12bの押湯部16側に隙間に流入し、ヒケ等
のない良好な成形品を鋳造することができる。更に、キ
ャビティ12bの内壁面には、酸化皮膜が表面に形成さ
れた溶湯の流動性等を向上し得る塗型剤が塗布されてな
いため、表面が極めて平滑な成形品を得ることができ
る。
【0024】この様に、その内壁面に断熱性塗型剤を塗
布すること、および/または、キャビティ12b内壁面
に断熱性塗型剤を塗布せず、また成形型を冷却装置47
によって強制的に冷却することによって、押湯部16の
放冷速度をキャビティ12bの冷却速度よりも遅くで
き、押湯部16とキャビティ12bとに充填された溶湯
に充分な凝固時間差を付与できるため、押湯部16の体
積の減少を図ることができる。このため、成形品から突
出して切り離される柱状部を可及的に小さくできる結
果、成形型12に注湯した溶湯の歩留率を向上でき、作
業的及びエネルギー的な損失を可及的に少なくできる。
【0025】そして、本発明では、キャビティ12b側
には断熱性塗型剤を塗布する塗型処理を行わない。鋳
造、離型後は、成形型12(キャビティ12b内)のク
リーニング程度の作業が必要であるのみであって、従来
のような塗型剤の焼結を含む塗型のためのメンテナンス
は行わない。すなわち、従来のような、塗型層をショッ
トニングやホーニングによって除去した後、成形型を2
00〜300℃に昇温し、スプレーガン等によって塗型
剤を塗布し、焼結させるといったメンテナンスが不必要
となる。したがって、ショットニングやホーニングとい
った負担を成形型に加えることがないので成形型の寿命
を長くでき、また多くの人員や労力を軽減でき、さらに
はエネルギー消費を大幅に削減できるというメリットは
多大である。
【0026】図5は、溶湯の冷却曲線を示す。図5にお
いて、A点は成形型12に注湯する溶湯温度であり、B
点は溶湯が完全に凝固する温度である。従って、押湯部
16に充填された溶湯が、キャビティ12bに流入し有
功な押湯効果を奏し得る領域は、図5に示す斜線の領域
である。図5に示す様に、押湯部16に充填された溶湯
とキャビティ12bに充填された溶湯との凝固時間差を
充分に確保するには、キャビティ12bに注湯された溶
湯の冷却速度を、500℃/分以上(更に好ましくは7
00℃/分以上)とすると共に、押湯部16に注湯され
た溶湯の冷却速度を、500℃/分未満(更に好ましく
は300℃/分以下)とすることによって達成できる。
特に、両者の冷却速度差を200℃/分以上とするよう
に調整することが好ましい。
【0027】ここで、溶湯として、アルミニウムの溶湯
を用い、キャビティ12bに注湯された溶湯の冷却速度
及び押湯部16に注湯された溶湯の冷却速度を種々変更
することによって、キャビティ12b及び押湯部16に
充填されて凝固されたアルミニウムの一部分を採取し、
電子顕微鏡によって樹枝状結晶(デンドライト)の間隔
を測定した。その結果を図6に示す。図6は、横軸に冷
却速度を示し、縦軸に凝固されたアルミニウム又はその
合金の樹枝状結晶(デンドライト)の間隔を「DASI
I値」として示した。
【0028】図6から明らかな様に、冷却速度が500
℃/分以上に調整されたキャビティ12bに充填されて
凝固されたアルミニウムの樹枝状結晶(デンドライト)
の間隔は平均で25μm未満となり、冷却速度が500
℃/分未満に調整された押湯部16に充填されて凝固さ
れたアルミニウムの樹枝状結晶(デンドライト)の間隔
は平均で25μm未満となる。
【0029】かかるアルミニウムの樹枝状結晶(デンド
ライト)の間隔が小さくなることは、アルミニウムの結
晶構造が緻密となり、得られたアルミニウム鋳物の機械
的強度等を向上でき有利である。このため、キャビティ
12bに充填されて凝固されたアルミニウムの樹枝状結
晶(デンドライト)の間隔を23μm以下、特に20μ
m以下とすることが好ましい。尚、押湯部16に充填さ
れて凝固されたアルミニウムの部分は、その樹枝状結晶
(デンドライト)の間隔がキャビティ12bに充填され
て凝固されたアルミニウムよりも大きく、機械的強度等
も劣るが、キャビティ12bに充填されて凝固された製
品となる部分から切り離されるため、何等問題とならな
い。
【0030】なお、上記実施の形態では、冷却装置47
に水を冷却媒体に用いたがこれに限られないことはもち
ろんである。例えば、冷却媒体に液体窒素を用いること
ができる。そしてこの場合、冷却媒体として用いてガス
化した窒素を、反応性ガスとして用いるようにしてもよ
い。
【0031】また上記実施の形態では、溶湯表面の酸化
皮膜を還元する物質として、金属ガスと反応性ガスとを
反応させて生成した還元性化合物を用い、キャビティ内
に導入したが、還元性物質として、溶湯の金属よりも還
元性の強い金属ガスをキャビティ内に導入してもよい。
このような金属ガスとしてはマグネシウムガスが好適で
あり、上記と同様にして発生させたマグネシウムガスを
アルゴンガス等の不活性ガスをキャリアガスとしてキャ
ビティ内に導入する。マグネシウムガスが還元性物質と
して作用し、アルミニウムの溶湯表面に形成された酸化
皮膜から酸素を奪い、アルミニウムの溶湯表面が純粋な
アルミニウムとなって鋳造される。
【0032】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、溶湯の流
動性、成形型との濡れ性が向上し、湯周り不良による湯
ジワ、湯境等種々の鋳物欠陥が解消し、高品質の鋳物製
品を歩留まりよく、かつ生産性よく生産できる。また、
塗型のためのメンテナンスを行わないから、ショットニ
ングやホーニングといった負担を成形型に加えることが
ないので成形型の寿命を長くでき、また多くの人員や労
力を軽減でき、さらにはエネルギー消費を大幅に削減で
きるというメリットは多大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋳造装置の一例を示す概略図である。
【図2】図1に示す鋳造装置に用いられている成形型の
断面図および部分断面図である。
【図3】冷却装置の一例を示す模式図である。
【図4】冷却装置の他の例を示す説明図である。
【図5】押湯部およびキャビティに充填された溶湯の冷
却速度を示すグラフである。
【図6】アルミニウム溶湯の冷却速度と凝固されたアル
ミニウムの樹脂状結晶の間隔との関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
10 鋳造装置 12 成形型 12a 注湯口 12b キャビティ 12c 金属ガス導入口 12d 窒素ガス導入口 12e ウォータージャケット 16 押湯部 18 アダプター 20 窒素ガスボンベ 21 湯路 23 金属ガス導入路 25 アルゴンガスボンベ 28 加熱炉 36 タンク 47 冷却装置 100 水槽 104 冷却機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22B 9/05 C22B 9/05 (72)発明者 笹木 泰弘 長野県上田市大字国分840番地 日信工業 株式会社内 (72)発明者 春原 昭 長野県上田市大字国分840番地 日信工業 株式会社内 Fターム(参考) 4K001 EA03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属ガスと反応性ガスとを反応させて生
    成した還元性化合物を成形型のキャビティ内に導入し
    て、該還元性化合物により溶湯表面の酸化皮膜を還元し
    て鋳物製品を鋳造する還元鋳造方法であって、 前記キャビティ内に離型用塗型処理を行わず、かつ前記
    成形型を冷却して、該成形型のキャビティ内に溶湯を充
    填して鋳造を行うと共に、離型後、塗型焼結を含む塗型
    のためのメンテナンスを行わないことを特徴とする還元
    鋳造方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも溶湯の金属よりも還元性の強
    い金属ガスをキャビティ内に導入し、溶湯表面の酸化皮
    膜を前記金属ガスにより還元して鋳造する還元鋳造方法
    であって、 前記キャビティ内に離型用塗型処理を行わず、かつ前記
    成形型を冷却して、該成形型のキャビティ内に溶湯を充
    填して鋳造を行うと共に、離型後、塗型焼結を含む塗型
    のためのメンテナンスを行わないことを特徴とする還元
    鋳造方法。
  3. 【請求項3】 前記成形型に押湯部を有する成形型を用
    い、キャビティ内の溶湯と前記押湯部内の溶湯との間
    で、キャビティ内の溶湯の方が早く凝固するように、キ
    ャビティと押湯部との間に凝固速度落差を設けたことを
    特徴とする請求項1または2記載の還元鋳造方法。
  4. 【請求項4】 前記成形型を常温近傍の温度まで冷却し
    て溶湯をキャビティ内に注湯することを特徴とする請求
    項1、2または3記載の還元鋳造方法。
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