JP3592195B2 - 還元鋳造方法及びこれを用いたアルミニウム鋳造方法 - Google Patents

還元鋳造方法及びこれを用いたアルミニウム鋳造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は溶湯表面に形成される酸化被膜を還元して鋳造する還元鋳造方法及びこの還元鋳造方法を利用したアルミニウム鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋳造方法には、重力鋳造法(GDC)、低圧鋳造法(LPDC)、ダイキャスト(DC)、スクイズ(SC)、チクソモールドなど様々な方法がある。これらはいずれも成形型のキャビティ内に溶湯を注入して所定形状に成形するものである。これらの鋳造方法のうち、溶湯の表面に酸化被膜が形成されやすいもの、たとえばアルミニウム鋳造などでは、溶湯の表面に形成された酸化被膜によって表面張力が大きくなり、溶湯の流動性、湯周り性、溶着性が低下し、溶湯の未充填、湯じわ等の鋳造欠陥が生じることが問題となっている。
【0003】
これらの問題を解決する方法として、本出願人は溶湯の表面に形成される酸化被膜を還元して鋳造する方法を開発した。この還元鋳造方法では、たとえば窒素ガスとマグネシウムガスとを用いて強い還元性を有するマグネシウム窒素化合物(Mg)を生成し、このマグネシウム窒素化合物をアルミニウムの溶湯に作用させることによって溶湯の表面に形成される酸化被膜を還元して鋳造する。マグネシウム窒素化合物等の還元性化合物を溶湯に作用させることにより、溶湯の表面に形成される酸化被膜を還元して溶湯の表面張力を低減させ、溶湯の流動性と濡れ性が向上することによって、鋳造欠陥がなく、湯じわ等のないすぐれた外観の鋳造製品を容易に製造することが可能になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
還元鋳造方法では、マグネシウム窒素化合物といった還元性化合物を溶湯に作用させ溶湯の表面に形成される酸化被膜を還元して鋳造する。したがって、成形型を用いた成形時に溶湯に還元性化合物を作用させるには、成形型のキャビティ内で還元性化合物を作用させる必要がある。しかしながら、成形型のキャビティにマグネシウム窒素化合物といった還元性化合物を的確に供給することは困難である。たとえば、加熱炉内でマグネシウムを昇華してマグネシウムガスとし、これに窒素ガスを反応させてマグネシウム窒素化合物を生成した後、窒素ガスをキャリアとしてマグネシウム窒素化合物をキャビティに送入するといった方法では、マグネシウム窒素化合物が徐々に配管内に堆積して配管が詰まってしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、このような還元鋳造方法において生じる問題点を解消すべくなされたものであり、成形型のキャビティ内で還元性化合物と溶湯とを効果的に作用させることができ、溶湯表面の酸化被膜を確実に還元することができて高品質の鋳造製品を得ることができる還元鋳造方法及びこれを用いたアルミニウム鋳造方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため次の構成を備える。
すなわち、成形型に金属ガスと反応性ガスとを導入し、成形型内で還元性化合物を生成した後、成形型に溶湯を注入し、溶湯表面酸化被膜を前記還元性化合物により還元して鋳造する還元鋳造方法において前記成形型に前記金属ガスを導入開始した後、成形型に金属ガスを導入しつつキャビティ内を減圧し、減圧停止後、キャビティに反応性ガスを導入し、キャビティ内で前記還元性化合物を生成させた後、成形型に溶湯を注入して鋳造することを特徴とする。
【0007】
また、成形型に金属ガスと反応性ガスとを導入し、成形型内で還元性化合物を生成した後、成形型に溶湯を注入し、溶湯表面の酸化被膜を前記還元性化合物により還元して鋳造する還元鋳造方法において、キャビティに反応性ガスを導入開始し、次いで前記成形型に前記金属ガスを導入開始した後、成形型に金属ガスと反応性ガスを導入しつつキャビティ内を減圧し、減圧停止後、成形型に溶湯を注入して鋳造することを特徴とする。また、前記反応性ガスを溶湯の注湯開始時点までキャビティに導入し、金属ガスを溶湯の注湯完了時点までキャビティに導入する。
【0008】
また、成形型にマグネシウムガスと窒素ガスとを導入し、成形型内で還元性化合物を生成した後、成形型にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる溶湯を注入し、溶湯表面の酸化被膜を前記還元性化合物により還元して鋳造するアルミニウム鋳造方法において、前記成形型に前記マグネシウムガスを導入開始した後、成形型にマグネシウムガスを導入しつつキャビティ内を減圧し、減圧停止後、キャビティに前記窒素ガスを導入し、キャビティ内で前記還元性化合物を生成させた後、成形型に溶湯を注入して鋳造することを特徴とし、また、前記アルミニウム鋳造方法において、キャビティに窒素ガスを導入開始し、次いで前記成形型に前記マグネシウムガスを導入開始した後、成形型にマグネシウムガスと窒素ガスとを導入しつつキャビティ内を減圧し、減圧停止後、成形型に溶湯を注入して鋳造することを特徴とする。
【0009】
【発明の概要】
本発明に係る還元鋳造方法及びこれを用いたアルミニウム鋳造方法は、成形型のキャビティ内で、溶湯とマグネシウム窒素化合物(Mg)等の還元性化合物とを的確に作用させ、溶湯の表面に形成される酸化被膜を還元することによって好適な還元鋳造を可能にするものである。そのための構成として、本発明ではマグネシウムガス等の金属ガスと窒素等の反応性ガスとを成形型のキャビティ内において反応させ、キャビティ内で還元性化合物を生成するようにした。
【0010】
このようにキャビティ内で還元性化合物を生成する場合は、マグネシウムガス等の金属ガスを的確に成形型のキャビティ内に導入でき、キャビティ内で還元性化合物を的確に生成できることが必要となる。本発明に係る還元鋳造方法においては、成形型に金属ガスを導入しつつキャビティ内を減圧し、あるいは、成形型に金属ガスを導入開始した後、成形型に金属ガスと反応性ガスを導入しつつキャビティ内を減圧することにより、キャビティ内にむらなく金属ガスを拡散させ、キャビティ内で還元性化合物をむらなく生成させることが可能になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について添付図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る還元鋳造方法によって鋳造する鋳造装置の一実施形態を示す説明図である。
同図で100は溶湯が注入されて成形される成形型、110はマグネシウム等の金属を気化させるための加熱炉、120は金属ガスを生成するマグネシウム等の金属を収容するタンク、130は金属ガスを成形型100に導入等するためのアルゴンガスボンベ、140は窒素ガスボンベ、150は減圧ポンプである。本実施形態において、アルゴンガスは不活性ガス、窒素ガスは反応性ガスに相当する。
【0012】
成形型100と加熱炉110とはバルブ102が介装された配管104により接続される。加熱炉110とアルゴンガスボンベ130とはバルブ106が介装された配管108により接続され、加熱炉110とタンク120とはバルブ106の下流側で配管108から分岐する配管122により接続される。配管122の中途にはバルブ124、126が介装され、バルブ124とバルブ126の中間に定量収納部128が介装されている。
【0013】
定量収納部128はタンク120から供給される金属ガスを生成するための金属(マグネシウム粉末)を一定量収納するためのもので、所定長さの管体によって形成されている。定量収納部128は、バルブ124を閉じバルブ126を開放した状態でタンク120から一定量の金属(粉末)を落とし込んだ後、バルブ126を閉じて定量収納部128に一定量の金属(粉末)を収納し、次いでバルブ124を開いて定量収納部128から加熱炉110に金属(粉末)を供給するといった用い方をする。したがって、定量収納部128の管体の径、長さを調節することによって定量収納部128に収納される金属(粉末)の量を調節することができる。
【0014】
アルゴンガスボンベ130とタンク120は、バルブ106の上流側で配管108から分岐しバルブ134を介装した配管132によって接続される。配管132はタンク120の上部に接続し、アルゴンガスボンベ130によるアルゴンガス圧によってタンク120から金属(粉末)を定量収納部128に落とし込むように送出できるように構成される。
窒素ガスボンベ104と成形型100とはバルブ142を介装した配管144を介して接続され、減圧ポンプ150と成形型100とはバルブ152を介装した配管154を介して接続される。これらの成形型100に接続する配管108、配管144及び配管154は互いに独立の配管となっている。131、141は各々アルゴンガスボンベ130と窒素ガスボンベ140に装着した流量計である。
【0015】
本鋳造装置による鋳造方法は以下のようになされる。
まず、加熱炉110にマグネシウム粉末等の金属ガスを生成するための金属(粉末)を導入する前に、加熱炉110が金属(粉末)を気化させるに十分な温度以上に昇温したところで、バルブ106とバルブ102を開きアルゴンガスボンベ130からアルゴンガスを流して配管108、加熱炉110、配管104から空気を排出する。このとき成形型100においてもキャビティ100aにアルゴンガスを流入させキャビティ100a内の空気を排出するようにする。
アルゴンガスによって配管108、加熱炉110、配管104の空気を追い出した後、バルブ106とバルブ102を閉じる。
【0016】
次に、バルブ134、バルブ126を開き、アルゴンガスボンベ130からアルゴンガスをタンク120に流入させ、定量収納部128に一定量の金属(粉末)を送り出す。
次に、バルブ134及びバルブ126を閉じた後、バルブ106及びバルブ124を開き、定量収納部128に収納されている金属(粉末)を加熱炉110内に導入する。これらの操作では、アルゴンガスボンベ130から送出されるアルゴンガスの流量及び圧力を流量計131によって監視し、バルブ調整等によって所定の流量及び圧力に調節して操作する。
【0017】
加熱炉110に導入された金属(粉末)は、加熱炉110内で加熱されて気化される。マグネシウムは700〜850℃程度に加熱することによって昇華してマグネシウムガスとなる。加熱炉110は金属ガスを生成するための金属に応じて適宜温度に加熱すればよい。
金属(粉末)を気化させた後、バルブ106とバルブ102を開き、アルゴンガスボンベ130から加熱炉110にアルゴンガスを送り込み、成形型100に金属ガスを導入する。実施形態の成形型100は、注湯口に栓101を装着した状態で、キャビティ100a内に金属ガス(マグネシウムガス)をアルゴンガスによって導入する。キャビティ100aの容積にもよるがこのときのアルゴンガスの流量は1〜5(リットル/分)程度である。
【0018】
金属ガスをキャビティ100aに導入しはじめたところで、減圧ポンプ150を作動させてキャビティ100a内を減圧する。この減圧操作によって、キャビティ100a内の気体とキャビティ100aに導入された金属ガス及びアルゴンガスとが置換され、キャビティ100a内にむらなく金属ガスを拡散させることができる。いったん減圧した後はバルブ152を閉じ、次に、バルブ142を開いて窒素ガスボンベ140から窒素ガスをキャビティ100a内に導入する。
窒素ガスはキャビティ100a内のマグネシウムガス等の金属ガスと反応し、キャビティ100a内に還元性化合物が生成される。金属ガスをキャビティ100a内でむらなく拡散させることは、キャビティ100a内で還元性化合物をむらなく生成させ、キャビティ100aの入り組んだ部分にも還元性化合物を生成させるようにする点で重要である。
【0019】
金属ガスをキャビティ100aに導入し、キャビティ100a内で拡散させ、窒素ガス等の反応性ガスを導入することによってキャビティ100aの表面に還元性化合物が析出するようになる。溶湯と還元性化合物とはキャビティ100aの表面でじかに接触するから、還元性化合物をキャビティ100aの表面で析出させて溶湯に作用するようにすることは、溶湯の表面に形成される酸化被膜に還元作用が確実にかつ効果的に作用する点できわめて有効である。
【0020】
還元性化合物が生成されたところでバルブ142とバルブ102を閉じ、栓101を開いて注湯口から溶湯をキャビティ100a内に注入する。上述したように、還元性化合物が溶湯に作用することによって目的とする還元鋳造を行うことができる。
図2は、上述したキャビティ100a内で還元性化合物を生成する工程をグラフに示したものである。グラフは横軸が経過時間、縦軸が流量を示す。T(A)は成形型を型締めした時点、T(B)は注湯開始した時点、T(C)は注湯終了した時点を示す。グラフAは、キャビティ100aにアルゴンガスをキャリアとして金属ガスを導入する制御を示す。金属ガスは型締め後、わずか遅れて導入開始され注湯完了まで略一定流量で導入される。
【0021】
グラフBは、反応性ガスとしての窒素ガスの制御を示す。B1は、キャビティ内の空気を排出するため型締め前から窒素ガスを導入してもよいことを示している。グラフCは、キャビティ内に金属ガス(マグネシウムガス)を導入した後、やや遅れて減圧する操作を示す。前述したように、減圧操作によってキャビティに導入された金属ガスがキャビティ内で拡散する。窒素ガスはグラフB2に示すように、減圧後、キャビティ内に導入し、金属ガスと反応して還元性化合物を生成する。
窒素ガスの導入は注湯開始時点で終えるが、金属ガスの導入操作は、注湯が終了するまで継続している。これは、注湯時に溶湯とともにキャビティ内に外気が入り込む可能性があることから注湯完了まで金属ガスを導入して、還元作用が溶湯に確実に作用するようにするためである。
【0022】
図3は、還元鋳造方法をアルミニウムの鋳造に適用した鋳造装置10の実施形態を示す。
12は成形型であり、注湯槽14に接続され、ほぞ16が引き上げられることにより、注湯槽14から所要量のアルミニウムの溶湯18が注湯される。成形型12はキャビティの内面が金属面が露出して形成されたものである。
20は窒素ガスボンベであり、成形型12に配管22を介して接続され、バルブ24を開くことにより、成形型12内に窒素ガスを導入し、成形型12内の空気を排出することができる。
25はアルゴンガスボンベであり、配管26を通じて加熱炉28に接続されており、バルブ30を開くことにより加熱炉28内にアルゴンガスが導入される。32は加熱炉28内を加熱するヒータであり、炉内温度は、後述するマグネシウム粉末が昇華する800℃以上にされている。
【0023】
アルゴンガスボンベ25はまたバルブ33が介装された配管34により、マグネシウム粉末が収容されているタンク36に接続され、タンク36は配管38により、バルブ30よりも下流側の配管26に接続されている。配管38にはバルブ40が介装されている。加熱炉28は、配管42及び、ほぞ16を貫通して成形型12内に通じるパイプ44を介して成形型12に接続している。配管42にはバルブ45が介装されている。
【0024】
本鋳造装置10による鋳造は以下のようになされる。
まずバルブ24を開放し、窒素ガスボンベ20から配管22を経て成形型12内に窒素ガスを導入し、成形型12内の空気を窒素ガスによって排出する。成形型12内の空気は成形型上部の空気抜き孔(図示せず)から排出され、成形型12内が非酸素雰囲気となる。成形型12内を排気した後、バルブ24をいったん閉じる。
【0025】
成形型12内の空気を排出している際に、バルブ30を開放して加熱炉28内にアルゴンガスを導入し、加熱炉28内を非酸素雰囲気にしておく。
次いで、バルブ30を閉じ、バルブ40を開放し、アルゴンガス圧によりタンク36内のマグネシウム粉末をアルゴンガスと共に加熱炉28内に送り込む。加熱炉28は、ヒータ32によりマグネシウム粉末が昇華する800℃以上の炉内温度になるように加熱されているから、加熱炉28に送り込まれたマグネシウム粉末は昇華してマグネシウムガスとなる。
【0026】
次に、バルブ40を閉じ、バルブ30及びバルブ45を開放し、アルゴンガス圧力、流量を調節して配管42、パイプ44を経てマグネシウムガスを成形型12内に導入する。
成形型12内にマグネシウムガスを導入した後、バルブ45を閉じ、バルブ24を開放して成形型内に窒素ガスを導入する。成形型12内に窒素ガスを導入することにより、マグネシウムガスと窒素ガスとが成形型12のキャビティ内で反応しマグネシウム窒素化合物(Mg)が生成される。このマグネシウム窒素化合物はキャビティの表面に粉体として析出する。
【0027】
この状態で、次にほぞ16を引き上げ、注湯槽14中のアルミニウムの溶湯を成形型12内に供給する。
成形型12内に注湯されたアルミニウムの溶湯は、キャビティの表面上に析出しているマグネシウム窒素化合物とキャビティの表面上にて反応し、マグネシウム窒素化合物がアルミニウムの溶湯の表面に形成された酸化被膜から酸素を奪うことによって、アルミニウムの溶湯の表面が純粋なアルミニウムに還元される。成形型12内に残存する酸素、あるいはアルミニウムの溶湯内に混入している酸素は酸化マグネシウムあるいは水酸化マグネシウムとなり、溶湯中に取り込まれる。これら酸化マグネシウム等は少量であり、また安定な化合物であるので、アルミニウム鋳造製品の品質に悪影響は与えない。
【0028】
還元鋳造方法によれば、アルミニウムの溶湯が凝固する際に、キャビティの表面に析出していたマグネシウム窒素化合物が、アルミニウムの溶湯の表面の酸化被膜から酸素を奪いとって純粋なアルミニウムを形成するので、表面にアルミニウムの酸化被膜が形成されない状態で鋳造される。キャビティの表面で金属面がそのまま露出するように成形型12を製作したことによって、キャビティの表面に生成されるマグネシウム窒素化合物が消失したりすることなく、キャビティの表面に保持され、アルミニウムの溶湯に対して確実に還元作用を作用させることができる。鋳造製品の仕上がりはキャビティの表面での作用がもっとも大きく影響を与えるから、キャビティの表面にマグネシウム窒素化合物が確実に生成されて保持されるようにすることは良品の鋳造製品を得る上できわめて重要である。
【0029】
キャビティの表面に生成されたマグネシウム窒素化合物の作用によってアルミニウムの溶湯の表面に酸化被膜が形成されないことから、アルミニウムの溶湯の表面張力を低減させることができ、これによって溶湯の濡れ性、流動性、湯周り性が良好となり、転写性(平滑性)が向上し、湯ジワ等のない高品質のアルミニウム鋳造製品を得ることができる。
【0030】
なお、本実施の形態では成形型12内の空気を排出するため、窒素ガスボンベ20から窒素ガスをキャビティ内に導入したが、窒素ガスのかわりにアルゴンガス等の不活性ガスを使用して排気してもよい。キャビティ内の空気を排出するのは、キャビティ内に生成されるマグネシウム窒素化合物ができるだけ酸素と反応しないようにさせるためである。
【0031】
図4は、アルミニウム鋳造方法の他の実施形態を示す鋳造装置であり、成形型12を、上型50と、押圧型51で構成した加圧鋳造による鋳造方法を示す。成形型12は、図3に示した重力鋳造法に用いる成形型とくらべて気密性が高いものとなっている。
この鋳造装置は、窒素ガスボンベ20と成形型12とを接続する配管22の中途に配管53を分岐させて真空ポンプ52を接続し、配管22の中途にバルブ54を設け、成形型12の内外を配管55にて接続し、配管55にバルブ56を設けている。
【0032】
本実施形態の鋳造装置を使用して鋳造する場合は、まず、バルブ24、56を閉じ、バルブ54を開放して真空ポンプ52を作動させることにより成形型12内を真空として成形型12のキャビティ内を非酸素雰囲気にするとともに、アルゴンガスボンベ25から加熱炉28にアルゴンガスを導入し、さらにバルブ33を開放してタンク36にアルゴンガスを導入し、タンク36からマグネシウム粉末を加熱炉28に送り込んでマグネシウム粉末を昇華させてマグネシウムガスとし、バルブ54、56を閉じた状態で、バルブ45を開いてアルゴンガスによってマグネシウムガスを成形型12内に導入する。
次いで、バルブ45を閉じ、バルブ24、54を開いて窒素ガスボンベ20から成形型12内に窒素ガスを導入する。成形型12内に窒素ガスが導入されることによってマグネシウムガスと窒素ガスとが反応し、キャビティの内面にマグネシウム窒素化合物の粉体が生成する。
【0033】
この状態で、押圧型51を押し上げることによってアルミニウムの溶湯が所定のキャビティ形状に鋳造される。鋳造時に、上型50と押圧型51の内面によって形成されているキャビティの表面にはマグネシウム窒素化合物が析出しているから、前述した実施の形態とまったく同様の作用によってアルミニウムの溶湯の表面に酸化被膜が形成されることを防止して鋳造することができる。
【0034】
本実施の形態の成形型12は、キャビティの表面を熱処理して成形型の表面を四酸化鉄としたものである。図で12aは成形型の処理膜を示す。四酸化鉄はキャビティの表面に生成されるマグネシウム窒素化合物とまったく反応せず、したがって、マグネシウム窒素化合物の還元作用が損なわれず、アルミニウムの溶湯の表面に形成される酸化被膜を還元する作用が好適に作用する。成形型の処理としては熱処理の他、窒化処理によって処理することも有効である。この場合、アルミニウムの溶湯導入時および加圧鋳造時には、バルブ56を開弁することによって、アルミニウムの溶湯を導入しやすくする。
【0035】
なお、上述した実施の形態では、アルミニウム鋳造方法として純粋なアルミニウムを溶湯材料とした例を示したが、アルミニウムを基材として、例えば、シリコン、マグネシウム、銅、ニッケル、錫等を含んだアルミニウム合金であっても同様に適用することができる。本発明でアルミニウムというときは、アルミニウム合金を含むものとする。また、アルミニウムまたはアルミニウム合金に限らず、マグネシウム、鉄等の金属及び/またはこれらの合金からなる溶湯を用いて同様に鋳造することができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明に係る還元鋳造方法及びアルミニウム鋳造方法によれば、上述したように、成形型内に金属ガスを的確に導入することができ、成形型内で還元性化合物を好適に生成することができて、成形型内で溶湯表面の酸化被膜を確実にかつ効果的に還元して鋳造することが可能になる。溶湯表面の酸化被膜を還元することができることから、溶湯の表面張力が低減し、溶湯の流動性、湯周り性が良好になり、鋳造欠陥がなく、湯じわ等の外観上の問題のない高品質の鋳造製品を容易に得ることができる。また、溶湯の流動性、湯周り性が良好になることから、塗型や離型剤を使用する必要がなくなり、製造作業を効率化して製造コストの削減を効果的に図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る還元鋳造方法による鋳造装置の構成を示す説明図である。
【図2】成形型のキャビティ内で還元性化合物を生成する工程を示すグラフである。
【図3】本発明に係るアルミニウム鋳造方法による鋳造装置の構成を示す説明図である。
【図4】アルミニウム鋳造方法の他の鋳造装置の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
10 鋳造装置
12 成形型
14 注湯槽
16 ほぞ
18 溶湯
20 窒素ガスボンベ
25 アルゴンガスボンベ
28 加熱炉
32 ヒータ
36 タンク
50 上型
51 押圧型
52 真空ポンプ
100 成形型
100a キャビティ
104 窒素ガスボンベ
110 加熱炉
120 タンク
128 定量収納部
130 アルゴンガスボンベ
131 流量計
140 窒素ガスボンベ
150 減圧ポンプ

Claims (5)

  1. 成形型に金属ガスと反応性ガスとを導入し、成形型内で還元性化合物を生成した後、成形型に溶湯を注入し、溶湯表面酸化被膜を前記還元性化合物により還元して鋳造する還元鋳造方法において
    前記成形型に前記金属ガスを導入開始した後、成形型に金属ガスを導入しつつキャビティ内を減圧し、
    減圧停止後、キャビティに反応性ガスを導入し、キャビティ内で前記還元性化合物を生成させた後、成形型に溶湯を注入して鋳造することを特徴とする還元鋳造方法。
  2. 成形型に金属ガスと反応性ガスとを導入し、成形型内で還元性化合物を生成した後、成形型に溶湯を注入し、溶湯表面の酸化被膜を前記還元性化合物により還元して鋳造する還元鋳造方法において、
    キャビティに反応性ガスを導入開始し、次いで前記成形型に前記金属ガスを導入開始した後、成形型に金属ガスと反応性ガスを導入しつつキャビティ内を減圧し、
    減圧停止後、成形型に溶湯を注入して鋳造することを特徴とする還元鋳造方法。
  3. 反応性ガスを溶湯の注湯開始時点までキャビティに導入し、金属ガスを溶湯の注湯完了時点までキャビティに導入することを特徴とする請求項1または2記載の還元鋳造方法。
  4. 成形型にマグネシウムガスと窒素ガスとを導入し、成形型内で還元性化合物を生成した後、成形型にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる溶湯を注入し、溶湯表面の酸化被膜を前記還元性化合物により還元して鋳造するアルミニウム鋳造方法において、
    前記成形型に前記マグネシウムガスを導入開始した後、成形型にマグネシウムガスを導入しつつキャビティ内を減圧し、
    減圧停止後、キャビティに前記窒素ガスを導入し、キャビティ内で前記還元性化合物を生成させた後、成形型に溶湯を注入して鋳造することを特徴とするアルミニウム鋳造方法。
  5. 成形型にマグネシウムガスと窒素ガスとを導入し、成形型内で還元性化合物を生成した後、成形型にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる溶湯を注入し、溶湯表面の酸化被膜を前記還元性化合物により還元して鋳造するアルミニウム鋳造方法において、
    キャビティに窒素ガスを導入開始し、次いで前記成形型に前記マグネシウムガスを導入開始した後、成形型にマグネシウムガスと窒素ガスとを導入しつつキャビティ内を減圧し、
    減圧停止後、成形型に溶湯を注入して鋳造することを特徴とするアルミニウム鋳造方法。
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