JP4290630B2 - 還元鋳造方法およびこれに用いる還元剤 - Google Patents

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Description

本発明は還元鋳造方法およびこれに用いる還元剤に関し、より詳細には還元性物質を用いた還元鋳造を容易に行うことができる還元鋳造方法およびこれに用いる還元剤に関する。
還元鋳造方法は、還元性物質を溶湯に作用させることによって、溶湯の表面に生じる酸化被膜を還元して鋳造する方法であり、たとえば、アルミニウムあるいはアルミニウム合金のように、溶湯の表面に酸化被膜が形成されやすい金属の鋳造に好適に利用することができる。還元性物質としてマグネシウム窒素化合物(Mg32)を用いたアルミニウムの還元鋳造においては、以下のような化学反応によってアルミニウムの溶湯の表面に形成される酸化被膜(Al23)が還元されて鋳造される。
Mg32+Al23→2Al+3MgO+N2
MgOは溶湯中に残留するが、微量であるため、鋳造品の特性に影響を与えることはなく、N2ガスはキャビティ外へ排出される。
還元鋳造方法によれば、溶湯の流動性がきわめて高くなり、湯周り性が良好となって、湯じわ等のない高品質の鋳造品を得ることが可能である。
還元鋳造方法においては、キャビティ内で還元性物質を生成してキャビティ内で還元性物質を溶湯に作用させる方法と、キャビティ外で還元性物質を生成し、キャビティ内に還元性物質を導入して鋳造する方法がある(特許文献1参照)。いずれの方法の場合も、還元性物質を溶湯に効果的に作用させることが重要であり、還元性物質を活性化した状態で溶湯に作用させることが重要となる。
特開2001−321918号公報
しかしながら、従来の還元鋳造方法において、成形型のキャビティ内で還元性物質を生成して還元鋳造する場合には、キャビティにマグネシウムガスと窒素ガスとを別個に導入し、キャビティ内でマグネシウム窒素化合物を析出させた後、キャビティに溶湯を充填して鋳造する。また、キャビティの外部で還元性物質を生成して還元鋳造する場合は、たとえば、加熱炉内でマグネシウムガスと窒素ガスとを反応させてマグネシウム窒素化合物を生成し、キャリアガスとともに還元性物質をキャビティに導入して、還元鋳造する。
いずれの場合も、還元性物質を生成するための金属ガスと反応性ガスとを別個に生成し、あるいは用意して、還元鋳造操作に合わせて還元性物質を生成することによって還元鋳造している。このため、金属ガスを生成する加熱炉が必要であったり、反応性ガスを供給するための配管が必要になったりして、装置の構成が複雑になるという問題があった。
本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、還元性物質を用いた還元鋳造を容易に行うことができ、また還元性物質を活性化させて好適な還元鋳造を行うことができる還元鋳造方法およびこれに用いる還元剤を提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
すなわち、溶湯の表面に形成される酸化被膜を還元性物質により還元して鋳造する還元鋳造方法において、前記還元性物質が封入された還元剤を溶湯内に投入し、該還元剤の前記還元性物質を封入する前記溶湯と同一の金属からなる封入体を、溶湯の熱により溶融させて前記還元性物質を拡散させ、該還元性物質を溶湯の熱により活性化して溶湯に作用させて鋳造することを特徴とする。なお、ここで還元剤の封入体を溶湯の熱により溶融させるとは、封入体を溶融させ、あるいは封入体を昇華させ、あるいは燃焼させて散逸させる場合を含む概念として用いている。
なお、還元剤を構成する封入体は、カプセル状あるいはタブレット状として還元性物質を外部に露出させることなく密封するものであり、還元性物質を封入体内に封入することによって、給湯槽に投入するといった操作が容易に可能となるものである。還元剤から溶湯に拡散された還元性物質は溶湯の熱によって加熱されることにより活性化され、溶湯に対し効果的な還元作用を作用させることが可能となる。
また、給湯筒を備えた給湯槽と、給湯筒を介してキャビティに溶湯が充填される成形型を備えた鋳造装置を使用し、前記還元剤を前記給湯筒内に投入し、給湯筒内で前記還元剤の封入体を溶湯の熱により溶融させて給湯筒内に前記還元性物質を拡散させ、該還元性物質を溶湯の熱により活性化して溶湯に作用させて鋳造することを特徴とする。なお、この場合においても、還元剤の封入体を溶湯の熱により溶融させるとは、封入体を溶融させる場合の他に、封入体を昇華させ、あるいは燃焼させて散逸させる場合を含む概念として用いている。給湯筒内に拡散した還元性物質は給湯筒内で加熱され、活性化されることにより、溶湯筒内の溶湯に効果的な還元作用をなす。
また、前記溶湯を加圧しながら前記キャビティに充填して鋳造することにより、好適な還元鋳造が可能となる。
また、記給湯筒内に拡散された還元性物質を、給湯筒と連通するキャビティ内にも拡散させ、キャビティ内においても前記還元性物質を溶湯に作用させて鋳造することを特徴とする。給湯筒内に拡散した還元性物質は溶湯の熱によって加熱され、活性化されることによってキャビティ内に容易に拡散し、キャビティ内においても還元作用が奏される。
また、前記溶湯としてアルミニウムまたはアルミニウム合金を使用し、前記還元剤に封入する還元性物質としてマグネシウム窒素化合物を使用して鋳造することにより、アルミニウムまたはアルミニウム合金の還元鋳造に好適に利用することができる。また、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる封入体に、還元性物質としてマグネシウム窒素化合物を封入した還元剤を使用して鋳造することが有効である。
また、前記還元鋳造方法において使用される還元剤であって、溶湯の熱によって溶融あるいは昇華する、前記溶湯と同一の金属からなる封入体に還元性物質が封入されてなることを特徴とする。前記還元剤としては、カプセル状に形成された封入体に、還元性物質が封入されたもの、あるいは前記金属を封入体としてタブレット状に成形したものが使用できる。また、アルミニウムまたはアルミニウム合金の還元鋳造方法においては、アルミニウムあるいはアルミニウム合金の溶湯の熱によって溶融あるいは昇華する材料からなる封入体に、還元性物質としてマグネシウム窒素化合物が封入されてなる還元剤、前記封入体が、アルミニウムあるいはアルミニウム合金からなる還元剤が好適に使用できる。
また、溶湯の表面に形成される酸化被膜を還元する還元剤において、前記還元剤は、前記溶湯の熱によって溶融あるいは昇華する、前記溶湯と同一の金属からなる封入体に、還元性物質が封入されてなることを特徴とする。
また、前記還元剤としては、カプセル状に形成された封入体に、還元性物質が封入されたもの、あるいは前記還元剤が、前記金属を封入体として還元性物質をタブレット状に成形したものが有効に使用できる。また、前記溶湯としてアルミニウムまたはアルミニウム合金を使用する還元鋳造においては、前記還元性物質としてマグネシウム窒素化合物を封入し、かつ前記封入体がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなるものが有効に使用できる。
本発明に係る還元鋳造方法および還元剤によれば、溶湯の熱により溶融する封入体に封入された還元剤を、鋳造時に溶湯に作用させることにより、溶湯の表面に形成される酸化被膜を容易に還元して還元鋳造することができる。還元性物質が封入された還元剤を使用することで、還元性物質の扱いが容易になるとともに、還元鋳造装置として鋳造操作に合わせて還元性物質を生成するといった操作が不要となり、還元鋳造装置の構成を簡素化することが可能になる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面とともに詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明に係る還元鋳造方法を用いて鋳造品を製造する還元鋳造装置10の第1の実施の形態を示す。この還元鋳造装置10はLPD(低圧ダイキャスティング)による鋳造装置として構成されたものであり、還元鋳造装置10の鋳造部は、成形型20と、成形型20の下方に配置された給湯槽30とからなる。
成形型20には溶湯が充填されるキャビティ20aが設けられ、給湯槽30には、給湯槽30の上部で開口し、下端部が給湯槽30の底部近傍まで延出する給湯筒(ストークス)32が設けられている。給湯筒32の下部側は、給湯槽30に貯溜されている溶湯34に浸漬している。
給湯槽30は溶湯34を供給する溶湯の供給槽(不図示)に連通して設けられ、給湯槽30内での溶湯34の液面が一定の高さとなるよう供給槽から溶湯34が補給される。
給湯槽30は、給湯槽30内の空間部分と外部とを連通する連通管35、および配管36、バルブ37を介して窒素ガスボンベ38に接続される。また、窒素ガスボンベ38は配管40、バルブ42を介して、給湯筒32の開口部から給湯筒32内に窒素ガスを送入する送入管44に接続する。
成形型20には、キャビティ20aに連通して設けた配管46およびバルブ48を介して真空装置50が接続されている。
また、制御部52は、バルブ37およびバルブ42を開閉制御して窒素ガスボンベ38からの窒素ガスの供給を制御し、バルブ48を開閉制御してキャビティ20aからの減圧操作を制御するように設けられている。
本実施形態の還元鋳造方法において、もっとも特徴とする構成は、溶湯34に還元性物質による還元作用を作用させる方法として、封入体としてのカプセルに還元性物質を封入した還元剤60を使用し、カプセルごと還元性物質を給湯筒32の開口部から給湯筒32内に投入して溶湯34に還元性物質を作用させるようにしたことである。図1では、カプセル61に還元性物質62を封入した還元剤60を説明的に示している。
還元剤60として、カプセル61に還元性物質62を封入したもの使用する場合は、給湯筒32内に還元剤60を投入した際に、溶湯34の熱によって封入体であるカプセル61が溶融し、カプセル61に収納されていた還元性物質62が給湯筒32内に拡散されるようにする必要がある。このため、カプセル61は溶湯34の熱によって溶融する材料によって形成する他、溶湯34の熱によって昇華したり、燃焼したりして散逸する材料によって形成することも可能である。また、カプセル61は、溶融して溶湯34に入り込んだり、昇華等した場合でも、還元性物質による還元作用を阻害せず、溶湯34や鋳造品の特性に悪影響を及ぼさないものである必要がある。
還元剤60に使用するカプセル61の材料としては、鋳造に使用する金属によって、アルミニウム箔、銅箔、マグネシウム箔等の適宜材料が使用できる。また、カプセル61は溶湯34に投入した後、溶融するまでの時間を制御する作用を考慮して使用する材料や厚さ等を選択することができる。すなわち、還元剤60を溶湯34に投入することにより、カプセル61とともにカプセル61に収納されている還元性物質62も溶湯34の熱によって加熱される。還元性物質62は加熱されることによって活性化され、溶湯34に対する還元作用が良好に作用するようになるから、十分に活性化された状態で溶湯34に作用する状態まで還元性物質62が加熱されたところでカプセル61が溶融するようにすることも有効である。
以下では、図1〜3とともに、本発明をアルミニウムの還元鋳造に利用する例について説明する。
まず、図1に示すように、給湯槽30にアルミニウムの溶湯34を貯溜し、給湯筒32の開口部32aと成形型20の注湯口22とを離間させて給湯槽30の上方に成形型20を支持した状態で、給湯筒32にカプセル状に形成された還元剤60を投入する。還元剤60は投入用ハンドあるいは投入用のシュータを利用して給湯筒32内に投入することができる。
アルミニウムの還元鋳造では、アルミニウム箔からなるカプセル61に還元性物質としてマグネシウム窒素化合物(Mg32)を封入した還元剤60を使用して鋳造することができる。マグネシウム窒素化合物は常温で粉体であり、大気中では酸素と反応してきわめて不安定であるが、アルミニウム箔からなるカプセル61に封入することにより、カプセル体として容易に取り扱うことができる。カプセル61には1回の鋳造に必要な分量のマグネシウム窒素化合物を封入する。
給湯筒32に還元剤60を投入する際に、制御部52によりバルブ42を開放して、送入管44から給湯筒32内に向けて窒素ガスを送入する。窒素ガスを給湯筒32に送入する目的は、給湯筒32内の空間部分からエアをパージして、給湯筒32内を非酸化性雰囲気とし、還元性物質による溶湯34に対する還元作用が残留エアによって阻害されないようにするためである。
還元剤60を給湯筒32に投入した後、カプセル61が溶融するまでの間に窒素ガスによるエアのパージが可能であれば、給湯筒32に還元剤60を投入した後、給湯筒32に窒素ガスを送入して給湯筒32内のエアをパージしてもよい。給湯筒32内をエアパージした後、バルブ42を閉める。
なお、給湯筒32内のエアを窒素ガスを用いてパージするかわりにアルゴンガス等の不活性ガスを使用することも可能である。
給湯筒32に還元剤60を投入した後、給湯筒32の開口部32aに成形型20の注湯口22を位置合わせして、給湯槽30と成形型20とを連結する。図2が成形型20と給湯槽30とを給湯筒32を介して連結した状態を示す。
成形型20では制御部52によりバルブ48を開放し、真空装置50によりキャビティ20a内を減圧開始する。これによってキャビティ20a内が非酸化性雰囲気になり、キャビティ20aに溶湯34が注入される際に、還元性物質の還元作用が阻害されることを防止する。
給湯筒32に投入された還元剤60は給湯筒32内の溶湯34に接触し、溶湯34の熱によって加熱される。給湯槽30内においてはアルミニウムの溶湯34は740℃程度に加熱されている。アルミニウムの融点は660℃であり、アルミニウム製のカプセル61は溶湯34の熱によって簡単に溶融し、カプセル61に封入されていた還元性物質62であるマグネシウム窒素化合物が外部に拡散しはじめる。マグネシウム窒素化合物は溶湯34に還元剤60が投入された時点からカプセル61内で加熱され、またカプセル61から拡散しはじめた後も、給湯筒32内で加熱され、ガス化してきわめて活性化された状態になる。これによってマグネシウム窒素化合物は給湯筒32内の溶湯34に対して効果的な還元作用を奏することになる。
カプセル61が溶融した時点で、バルブ37を開放し、給湯槽30に窒素ガスを送入し、給湯槽30内の溶湯34を加圧することにより、給湯筒32内から成形型20のキャビティ20aに向けて溶湯34を充填開始する。
キャビティ20aを減圧することによって、給湯筒32内で加熱されて活性化されたマグネシウム窒素化合物がキャビティ20a側にも部分的に拡散するようになる。こうして、給湯筒32からキャビティ20aに溶湯34が充填される際には、給湯筒32内においてマグネシウム窒素化合物が溶湯34の表面に形成される酸化被膜を還元し、キャビティ20a内においてもマグネシウム窒素化合物が溶湯34の表面に形成される酸化被膜を還元して鋳造されることになる。
図3は、窒素ガスボンベ38から給湯槽30に窒素ガスを送入して、給湯筒32からキャビティ20aにアルミニウムの溶湯34を注入している状態を示す。真空装置50によってキャビティ20aを減圧する操作は、給湯槽30からキャビティ20aに溶湯34を充填開始する際に停止してもよいし、キャビティ20aに溶湯34が充填完了するまでキャビティ20aを減圧する操作を続けてもよい。
成形型20のキャビティ20aに溶湯34が充填され、成形型20内で溶湯が凝固した後、バルブ37を閉じて給湯槽30への窒素ガス加圧を停止し、成形型20を型開きして鋳造品を取り出しする。鋳造品を取り出した後、成形型20を型閉じすることによって、図1の状態になる。
こうして、給湯筒32にカプセル状の還元剤60を投入することにより、還元性物質を溶湯34に作用させて繰り返し、還元鋳造することが可能になる。
本実施形態の還元鋳造方法では、給湯筒32からキャビティ20aに注入される溶湯34に対して還元作用を作用させることができるとともに、キャビティ20a内においても溶湯34に還元作用を作用させつつ鋳造するから、きわめて効果的な還元鋳造を行うことが可能となる。また、給湯筒32に還元剤60を投入して鋳造することで、給湯筒32内で還元性物質(マグネシウム窒素化合物)が加熱されて活性化され、さらに効果的な還元鋳造が可能になり、溶湯34の湯周り性を良好とし、溶湯34の未充填等の不良発生を防止し、湯じわ等のない良品を得ることができる。また、還元性物質62による還元作用が有効に作用することから、キャビティ20aに高速で溶湯34を充填することが可能となり、これによって鋳造サイクルタイムを短縮することが可能になる。
還元鋳造においては、溶湯34の流動性がきわめて良好になることから、成形型20を室温程度にまで冷却して鋳造サイクルタイムを短縮するといったことが可能である。この場合は、成形型20の温度が低くなることによって、型内で還元性物質62の還元作用が阻害されるおそれがあるが、本実施形態の場合は、給湯筒32内で還元性物質62が加熱されることで還元性物質62を好適に活性化することができ、これによって成形型20の型温を低くした場合でも、好適な還元鋳造ができるという利点もある。
(第2の実施の形態)
上述した第1の実施の形態における還元鋳造装置10は、成形型20と給湯槽30とを分離可能とし、成形型20と給湯槽30とを離間させた状態で給湯筒32に還元剤60を投入する構成としたものである。これに対して、図4、5に示す、第2の実施の形態としての還元鋳造装置11は、成形型20と給湯槽30を常時、連結状態(クローズ状態)として還元鋳造可能としたものである。なお、第2の実施の形態で使用している還元剤63は、金属あるいは樹脂等を封入体としてタブレット状に成形したものである。
還元鋳造装置11における成形型20および給湯槽30の構成は第1の実施の形態における還元鋳造装置10と同様である。還元鋳造装置11において特徴的な構成は、成形型20の注湯口22と給湯槽30に設けた給湯筒32とを連通させて成形型20と給湯槽30とを連結して設けたことと、注湯口22と給湯筒32との連結部の近傍の給湯筒32の側方に還元剤60を給湯筒32に供給する供給機構を設けたことにある。還元剤63の供給機構は、タブレット状に形成された還元剤63を収納する内径に形成されたシリンダ70と、シリンダ70内を摺動するシールプランジャ71とからなる。
以下に、本実施形態の還元鋳造装置11をアルミニウムの還元鋳造に使用する例について説明する。
まず、シリンダ70にタブレット状に成形された還元剤63を装填する。還元剤63はシリンダ70の側面に設けた開口部からシリンダ70内に挿入し、シールプランジャ71を開口部よりも前進させた位置で停止させることにより、還元剤63を外部からシールした状態でシリンダ70内に収容することができる。
この状態で、給湯筒32の内部と成形型20のキャビティ20aの内部のエアを排出して給湯筒32とキャビティ20aの内部を非酸化性雰囲気とする。給湯筒32とキャビティ20a内からエアを排出する方法としては、バルブ42を開放し、窒素ガスボンベ38から給湯筒32の側面に設けた送入口43から給湯筒32に窒素ガスを送入して給湯筒32の内部のエアを窒素ガスに置換する方法、真空装置50を作動させ、バルブ48を開放して成形型20のキャビティ20aを減圧することによってキャビティ20a内のエアを排出する方法が利用できる。
給湯筒32の内部およびキャビティ20a内のエアを排出して給湯筒32およびキャビティ20a内を非酸化性雰囲気とした後、シールプランジャ71により還元剤63を突き出すようにしてシリンダ70から給湯筒32内に還元剤63を落下させる。シールプランジャ71は前進位置で停止させシリンダ70内に溶湯34が入り込まないようにする。
図5は、給湯筒32内に落下した還元剤63が溶湯34の熱によって部分的に溶融した状態を示す。還元剤63が溶融することによって、還元剤63に封入されていたマグネシウム窒素化合物が給湯筒32内に拡散する。マグネシウム窒素化合物は給湯筒32内で加熱されてガス化し、成形型20のキャビティ20a側にも拡散していく。
還元剤63が完全に溶融した後、バルブ37を開放し窒素ガスボンベ38から連通管35を介して給湯槽30に窒素ガスを送入し、給湯槽30に貯溜されている溶湯34を加圧し、給湯筒32からキャビティ20aに溶湯34を充填開始する。
このとき、給湯筒32の内部では還元性物質62であるマグネシウム窒素化合物の還元作用によってアルミニウムの溶湯34の表面に形成される酸化被膜が還元されながら成形型20に溶湯34が充填されていく。成形型20ではキャビティ20aに拡散したマグネシウム窒素化合物の作用により溶湯34の表面に形成される酸化被膜が還元されて溶湯34がキャビティ20aに充填される。
キャビティ20aに充填された溶湯34が凝固した後、窒素ガスによる溶湯34に対する加圧を停止し、成形型20を型開きして鋳造品を取り出しする。次いで、成形型20を型閉じし、シリンダ70に次の還元剤63を装填して、次回の還元鋳造操作の準備が整う。こうして、成形型20と給湯槽30とを連結した状態で、還元剤63を用いた還元鋳造を行うことができる。
本実施形態の還元鋳造方法の場合は、成形型20と給湯槽30の内部領域を外部から遮断して鋳造することができるから、給湯筒32の内部やキャビティ20aをできるだけ外気にさらさずに鋳造でき、還元性物質の還元作用を損なわずに還元鋳造することができるという利点がある。
本実施形態の還元鋳造方法においても、第1の実施の形態におけると同様に、給湯筒32とキャビティ20aの双方で還元性物質62による還元作用を溶湯34に作用させて鋳造することができるから、キャビティ20aに溶湯34を充填する際の流動性が良好になり、溶湯34の未充填や湯じわ等のない高品質の鋳造品を得ることができる。
また、給湯筒32内においてマグネシウム窒素化合物が加熱されて活性化されることにより、還元性物質62の還元作用が有効に溶湯34に作用し、さらに効果的な還元鋳造がなされる。
なお、上述した実施の形態においては、給湯筒32を備えたLPD型の鋳造装置に本発明を適用した例について説明したが、本発明はLPD型の鋳造装置に限らず、重力鋳造(GDC)に適用することも可能であり、LPDとGDC、LPDとDC(ダイキャスティング)とを組み合わせた鋳造装置等についても適用することができる。
たとえば、重力鋳造の場合は、給湯槽からキャビティに溶湯を供給する流路の中途にキャビティを充填するに必要な1回分の分量の溶湯を溜める貯溜部を設け、この貯溜部に還元剤を投入して溶湯を供給することにより、この貯溜部内で還元性物質を溶湯に作用させて溶湯表面の酸化被膜を還元しつつキャビティに溶湯を注入させるようにすることができる。
また、上記実施形態では還元鋳造装置の適用例としてアルミニウム鋳造に適用した例について説明したが、アルミニウムあるいはアルミニウム合金の鋳造に使用する他、アルミニウム以外の金属の還元鋳造にも適用することができる。
また、上述した各実施形態では、カプセル61に還元性物質62を封入した還元剤60およびタブレット状に成形した還元剤63を使用して還元鋳造する例について説明した。これらの還元剤60、63に使用する還元性物質は、常温で固体であるものに限らず、液体状、気体状のものであっても使用することが可能である。還元性物質が液体状あるいは気体状である場合も、溶湯の熱によって溶融するかあるは昇華等によって散逸する封入体を用いて封入することにより、溶湯に投入して使用する還元剤60、63として形成することができる。また、1回の鋳造操作で使用する還元剤60、63の個数は1個に限らず、必要量に応じて適宜数、投入して使用することができる。
上述したように、カプセル状あるいはタブレット状に形成した還元剤を使用して還元鋳造する方法は、従来の還元鋳造方法においては、溶湯に還元性物質を作用させるために、マグネシウムガス等の金属ガスを生成する加熱炉や、金属ガスと反応して還元性物質を生成する窒素ガス等の反応性ガスの供給部を設けた構成としていることと比較して、還元性物質を生成させる機構が不要になるという利点がある。
また、カプセル状あるいはタブレット状に形成した還元剤を使用することにより還元性物質を容易に取り扱うことが可能となり、生産コストを低減させることが可能になる。
本発明に係る還元鋳造方法を適用する還元鋳造装置の第1の実施の形態の構成を示す説明図である。 還元鋳造装置による還元鋳造方法を示す説明図である。 還元鋳造装置による還元鋳造方法を示す説明図である。 本発明に係る還元鋳造方法を適用する還元鋳造装置の第2の実施の形態の構成を示す説明図である。 還元鋳造装置による還元鋳造方法を示す説明図である。
符号の説明
10、11 還元鋳造装置
20 成形型
20a キャビティ
22 注湯口
30 給湯槽
32 給湯筒
34 溶湯
38 窒素ガスボンベ
50 真空装置
52 制御部
60、63 還元剤
61 カプセル
62 還元性物質
70 シリンダ
71 シールプランジャ

Claims (15)

  1. 溶湯の表面に形成される酸化被膜を還元性物質により還元して鋳造する還元鋳造方法において、
    前記還元性物質が封入された還元剤を溶湯内に投入し、
    該還元剤の前記還元性物質を封入する前記溶湯と同一の金属からなる封入体を、溶湯の熱により溶融させて前記還元性物質を拡散させ、該還元性物質を溶湯の熱により活性化して溶湯に作用させて鋳造することを特徴とする還元鋳造方法。
  2. 給湯筒を備えた給湯槽と、給湯筒を介してキャビティに溶湯が充填される成形型を備えた鋳造装置を使用し、
    前記還元剤を前記給湯筒内に投入し、給湯筒内で前記還元剤の封入体を溶湯の熱により溶融させて給湯筒内に前記還元性物質を拡散させ、該還元性物質を活性化して溶湯に作用させて鋳造することを特徴とする請求項1記載の還元鋳造方法。
  3. 前記溶湯を加圧しながら前記キャビティに充填して鋳造する方法であることを特徴とする請求項2記載の還元鋳造方法。
  4. 前記給湯筒内に拡散された還元性物質を、給湯筒と連通するキャビティ内に拡散させ、キャビティ内においても前記還元性物質を溶湯に作用させて鋳造することを特徴とする請求項2または3記載の還元鋳造方法。
  5. 前記溶湯としてアルミニウムまたはアルミニウム合金を使用し、前記還元剤に封入する還元性物質としてマグネシウム窒素化合物を使用して鋳造することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の還元鋳造方法。
  6. アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる封入体に、還元性物質としてマグネシウム窒素化合物を封入した還元剤を使用して鋳造することを特徴とする請求項5記載の還元鋳造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれか一項記載の還元鋳造方法において使用される還元剤であって、溶湯の熱によって溶融あるいは昇華する、前記溶湯と同一の金属からなる封入体に、還元性物質が封入されてなることを特徴とする還元剤。
  8. 前記還元剤が、カプセル状に形成された封入体に、還元性物質が封入されたものであることを特徴とする請求項7記載の還元剤。
  9. 前記還元剤が、前記金属を封入体としてタブレット状に成形したものであることを特徴とする請求項7記載の還元剤。
  10. 請求項5記載の還元鋳造方法において使用される還元剤であって、
    アルミニウムまたはアルミニウム合金の溶湯の熱によって溶融あるいは昇華する材料からなる封入体に、還元性物質としてマグネシウム窒素化合物が封入されてなることを特徴とする還元剤。
  11. 前記封入体が、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項10記載の還元剤。
  12. 溶湯の表面に形成される酸化被膜を還元する還元剤において、
    前記還元剤は、前記溶湯の熱によって溶融あるいは昇華する、前記溶湯と同一の金属からなる封入体に、還元性物質が封入されてなることを特徴とする還元剤。
  13. 前記還元剤が、カプセル状に形成された封入体に、還元性物質が封入されたものであることを特徴とする請求項12記載の還元剤。
  14. 前記還元剤が、前記金属を封入体としてタブレット状に成形したものであることを特徴とする請求項12記載の還元剤。
  15. 前記溶湯としてアルミニウムまたはアルミニウム合金を使用し、前記還元性物質としてマグネシウム窒素化合物を封入し、かつ前記封入体が前記アルミニウムまたはアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項12〜14記載の還元剤。
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