JP2506115B2 - シャ−切断性の良い高強度・耐摩耗性アルミニウム合金とその製造法 - Google Patents

シャ−切断性の良い高強度・耐摩耗性アルミニウム合金とその製造法

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JP2506115B2 JP62173463A JP17346387A JP2506115B2 JP 2506115 B2 JP2506115 B2 JP 2506115B2 JP 62173463 A JP62173463 A JP 62173463A JP 17346387 A JP17346387 A JP 17346387A JP 2506115 B2 JP2506115 B2 JP 2506115B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、エンジンのピストンやシリンダスリー
ブ、あるいはVTRにおいて磁気テープをガイドするリン
ダなどの材質として好適なシャー切断性の良い高強度・
耐摩耗性アルミニウム合金及びその製造法に関する。
[従来の技術] エンジンのピストンやVTRの磁気テープガイド用ロー
ラなどの素材としては、Siを適当量含有させたAl−Si系
の合金が採用されている。
従来、この種の合金としては、金型鋳物ではAC8A、AC
8B、AC8C、ダイカスト用ではADC12、展伸、鍛造材では4
032などの合金が知られている。一般にAl−Si系合金
は、Si及びその他の元素の添加量を調整し、また適当な
加工や熱処理を組み合わせることにより、高温強度、耐
摩耗性、耐応力腐食性など、使用目的に合わせた性能を
発揮させることができるという利点を備えている。例え
ば、4032合金は、高温強度及び高温耐摩耗性に優れ、熱
膨張係数が小さい等の特性があるが、一般には直径100m
m以下のものは押し出しを行って素材として用いられ
る。本来、この合金は鍛造用であるため切断して用いら
れるが、その際には鋸刃による切断が採用されていた。
[発明が解決しようとする問題点] ところで、素材に求められる性能のうち、上記のよう
な使用時に必要とされるものの他に、塑性加工性、切削
性など製造時に必要とされる特性が良好であることが望
ましい。そのような製造時に必要な特性の一つにシャー
切断性が挙げられる。これは、素材から材料取りをする
ときに、旋盤、鋸による切断などを採用するより、シャ
ーにより剪断することができれば製造工程が非常に簡単
になり、能率も向上するからで、特に大量生産の場合に
はよりその点が顕著になる。しかしながら、通常、シャ
ーによる切断性と素材の靭性や強度等の特性とは相反す
る関係にあり、特に、上記のようなAl−Si系の合金は延
性や靭性の高いもので、シャー切断性の良い素材を得る
のは難しく、例えば4032合金をシャー切断を行うと、切
断面に割れが入ったり、該切断面の凹凸が大きくなり、
鍛造材としては供しえないものとなる。また、4032合金
は疲労強度に難点があり、高負荷で連続的な荷重が作用
するような部品、例えばピストンあるいはコンロッドな
どの素材としては適用が限定されていた。従って、高温
強度、耐摩耗性、耐応力腐食性に優れ、かつ疲労強度が
高く、切削性がよく、シャー切断性のよい合金は従来な
かった。
[問題点を解決するための手段] 上記のような問題点を解決するために、発明者らは研
究及び実験を行った。まず、良好なシャー切断とは次の
ような2条件が満足されることと考えた。
(イ)剪断面が平坦になり凹凸がないこと。
剪断破壊の前に素材が剪断方向に塑性変形すると、変
形部分の特性が局部的に変化してしまい、また、切断後
の素材から機械加工などにより材料取りを行う際の歩留
りも低下してしまうことになる。これを防ぐには、剪断
面が剪断の方向に沿って平滑になり、表面が直線的にな
ること、塑性変形を伴わずに破断すること、及び、剪断
面に介在物や偏析によるラミネーションが残留しないこ
となどが必要条件となる。
(ロ)剪断によるクラック等が残留しないこと。
この条件を満たすには、素材自体の靭性がある程度以
上であることが必要である。
このように、上記の2つの条件は、(イ)は脆性的な
破断を、(ロ)は靭性を必要とするというある程度相反
するものであり、これらを同時に満たすのに、発明者ら
は、Al−Si−Cu−Mg−Fe−Mn系合金の優れた高温強度、
耐摩耗性などの特性に着目し、これを基本として鋭意研
究を行った結果、前述した種々の目的に適う合金の成分
と組織、及びその製造法を発明するに至った。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、高温強
度、耐摩耗性、耐応力腐食性、疲労強度などの特性が良
好で、かつ、塑性加工性、切削性などに加えシャー切断
性に優れたアルミニウム合金を提供すること、および、
そのような優れたアルミニウム合金を容易に、かつ、低
コストで確実に製造できる製造法の提供を目的とする。
本発明は前記目的を達成するために、シリコンを8〜
13重量%、銅を2.5〜6.0重量%、マグネシウムを0.3〜
1.2重量%、鉄および/またはマンガンをそれぞれ0.25
〜1.0重量%、チタンとボロンをその総計で0.005〜0.25
重量%含有し、残部がアルミニウムおよびその他の不純
物からなり、マクロ組織において等軸晶が面積率で80%
以上を占め、ミクロ組織においてアルミニウム−シリコ
ン共晶組織中のシリコン晶のサイズが8μm以下であ
り、表面硬度が、ロックウェル硬度Fスケールで、HRF
=67〜75であるようにしたものである。
本発明の製造法は前記目的を達成するために、シリコ
ンを8〜13重量%、銅を2.5〜6.0重量%、マグネシウム
を0.3〜1.2重量%、鉄および/またはマンガンをそれぞ
れ0.25〜1.0重量%、チタンとボロンをその総計で0.005
〜0.25重量%含有し、残部がアルミニウムおよびその他
の不純物からなる合金の溶湯を、凝固時の冷却速度が4
℃/sec以上で連続鋳造して、得られた鋳塊がマクロ組織
において等軸晶が面積率で80%以上を占めるとともにミ
クロ組織においてアルミニウム−シリコン共晶組織中の
シリコン晶サイズが8μm以下とし、さらにその鋳塊を
加熱するとともに加熱後60℃/hr未満の初期冷却速度を
含む冷却条件で冷却する均質化焼鈍処理を施して、前記
鋳塊の表面硬度をロックウェルFスケールでHRF=67〜7
5とするものである。
以下、更に具体的に考察する。
(1)成分系 従来この分野の素材として使用され、上述した種々の
利点を有するAl−Si系合金をベースとして、種々の成分
系を検討した結果、シリコンを8〜13重量%、銅を2.5
〜6.0重量%、マグネシウムを0.3〜1.2重量%、鉄およ
び/またはマンガンをそれぞれ0.25〜1.0重量%、チタ
ンとボロンをその総計で0.005〜0.25重量%含有し、残
部がアルミニウム及びその他の不純物からなるものが最
適であった。
以下、主要な化学成分元素について述べる。
シリコンは、合金の熱膨張係数を低下させ、また、耐
摩耗性を向上させるが、多すぎると切削性、鍛造性、押
出性を低下させる。また、Al−Si系塑性加工用合金で
は、8〜13重量%のSi含有量において、強度、特に疲労
強度特性が最も良くなる。
銅は、合金の基地に固溶してその強度を向上させる
が、2.5重量%未満では強度、耐摩耗性、切削性におい
て所定の特性が発揮されず、また、6.0重量%以上では
割れが発生したり鍛造時に湯流れ不良が起こり易くなり
鍛造が困難になる。
マグネシウムは、0.3重量%未満では時効硬化性に乏
しく本合金の特性が得られず、1.2重量%以上では、酸
化ロスが増え、また割れが起こり易く材料の特性が劣化
する。
鉄及びマンガンは、合金の再結晶温度を上昇させ、高
温特性を良好にする。0.25重量%未満では効果が乏し
く、1.0重量%以上になるとAl−Mn−Fe、Al−Fe−Siな
どの金属間化合物が針状に著しく発生し、このため、合
金の靭性を損なうことになる。
チタン及びボロンは結晶粒の微細化に役立ち、理想的
には総計0.10重量%を、チタンとボロンの比率を4:1と
して添加すると効果が大きい。結晶粒を微細化すると、
強度特性を向上するとともに、シャー切断性を向上す
る。両者の総計が0.005重量%未満では効果がなく、0.2
5重量%以上添加しても効果は漸減すると同時に、Al−T
i系の針状組織が発生し、靭性を損なうことになる。
上述の各成分以外に、本発明は必要に応じて他の成分
元素を添加することが可能であり、例えば、クロム、ニ
ッケルを少量添加すると高温度領域における機械的強度
が高められることを確認している。しかし、これらの金
属の添加は本発明の合金の靭性、疲労強度を損なうの
で、これらを問題にする場合には、添加量を0.5重量%
未満とすることが望ましい。
亜鉛はマグネシウムと金属間化合物を構成し、強度特
性を著しく向上させる。また、この程度の亜鉛添加量は
切削性(切粉の分断性)を向上させるので、0.5%以下
を添加してもよい。
ストロンチウム、ナトリウム、カルシウム、カリウ
ム、リンなどの各種接種剤を溶湯中にそれぞれ10〜30pp
m添加すると、共晶組織のシリコン結晶あるいはシリコ
ンの初晶の成長を抑えることができ、鋳造素材の結晶粒
を微細化して機械的性質の改善とシャー切断性の向上に
寄与する。特に、過共晶合金を遅い冷却速度で凝固させ
るような場合には、適当な接種剤を加えることが有効で
ある。
(2)組織 上記のような成分系を有する本発明の合金において
は、上述のシャー切断性を向上するための2条件
(イ)、(ロ)を満たすためには、鋳造素材におけるシ
リコン結晶の大きさ及び分散状態が、次の工程で加えら
れる熱処理とともに重要な点である。本発明は、鋳塊の
結晶組織を次のように規定した。
マクロ組織において、等軸晶を面積率で80%以上とし
(望ましくは羽毛状晶が実質的に存在しない)、ミクロ
組織においてAl−Si共晶組織におけるシリコン晶の平均
サイズを8μm以下(望ましくは5μm以下)とした。
これは、等軸晶においては、シャー切断において剪断面
が平滑になるからであり、また、羽毛状晶が存在すると
剪断面の状況が等軸晶の場合と異なり、凹凸が大きくな
って割れが生じるためである。
上記の組織を得るために種々の製造方法が採用されて
よいが、一つの方法として、連続鋳造時の冷却条件を、
鋳塊を各部において4℃/sec以上とするようにすること
を骨子とする製造法を発明した。具体的には、例えば、
連続鋳造法あるいは半連続鋳造法において、鋳型のサイ
ズを限定し、鋳型の冷却、及び鋳型から出た鋳塊の冷却
を強化し、さらに鋳造速度を調整して上記の冷却速度を
得るものである。発明者らの実機での経験によれば、直
径68mmの棒状鋳塊をこの方法で鋳造して、上記のような
組織条件の鋳塊を製造できた。なお、このように急冷す
ることにより、鋳塊内部の偏析も押さえられる。
勿論、製造方法は上記のものに限られず、例えば、金
型による通常の鋳造法において、鋳型サイズを限定して
上記の冷却速度を得るようにしてもよく、また、上述し
たように、接種剤を使用して組織条件を満たす鋳塊を得
てもよい。
なお、過共晶領域においては初晶シリコンが晶出し、
そのサイズが30μm以上になるとシャー切断性が悪くな
るので、30μm未満にすることが望ましい。
(3)硬度 熱処理後の表面硬度をHRF=67〜75、好ましくはHRF
69〜73とすること。この表面硬度が67未満であると、シ
ャー切断において剪断面の凹凸が大きくなり、これが鍛
造時にきずとして残ってしまい、75を越えると剪断面に
割れが残り、鍛造時においてこの割れが成長してしまう
ことになる。従って、硬度がこの条件を満たすように熱
処理を行う。
[作用] このようなアルミニウム合金においては、化学成分を
上述した理由により限定し、また、その結晶組織を、合
金の生地の結晶粒及びシリコンの析出物(共晶粒)を均
一に微細化させ、また、熱処理によって適度な微小析出
物を均一に析出させており、所定の強度以上の剪断力が
かかると、微細な粒界に沿う凹凸のない平坦な剪断面に
沿って破断される。しかも、組織を微細化したことによ
って靭性が向上されているので、剪断に伴うクラックの
発生が防がれ、また、高温強度、耐食性、耐応力腐食
性、切削加工性、及び塑性加工性などの特性が充分確保
されている。
[実施例] 以下、この発明の実施例を比較例と比較して説明す
る。
(製造法) 第1表(次頁)に、本発明の実施例及び比較例の 化学成分及び製造法を、また第1図に標準的な実施例の
製造工程の概略を示す。実施例は、サンプルNo.1〜28で
あり、その化学成分は、シリコンを3段階に、その他の
成分を適宜分布させている。そして、溶製した溶湯を、
凝固時において鋳塊の各部で4℃/sec以上の冷却速度を
確保するようにした気体加圧式ホットトップ連続鋳造法
(特公昭54−42847号公報記載の方法)により、直径68m
mの棒状鋳塊に製造し、この鋳塊を、ピーリング機によ
り表面鋳皮を削除し、ついで硬度がHRF=67〜75になる
ように均質化焼鈍処理(以下、H01処理と呼ぶ)を施し
て製造した。このH01処理は、第2図に示すように、通
常の均質化焼鈍処理(H02処理と呼ぶ)が490℃で4時間
加熱後、これを60〜80℃/hrの冷却速度で常温まで冷却
する(図中破線で示す)のに対し、490℃で4時間加熱
後、上記冷却速度より小さな冷却速度(例えば40℃/hr
以下)で所定の温度(例えば335℃)まで冷却し、その
後、通常の冷却速度で常温まで冷却することにより硬度
を所定の値に制御するものである。なお、硬度試験、シ
ャー切断性試験、鍛造性試験以外の機械的性質の試験
は、実際に使用される場合と同様に、T6熱処理(505℃
×4時間加熱、温水焼き入れ、170℃×8時間人工時効
処理)を施した後に行った。
第1グループの比較材(サンプルNo.29〜31)は、成
分の異なるものであり、Al−Cu−Mg系の型打鍛造用合金
の2218(サンプルNo.29)、鍛造用合金であるAC8B(サ
ンプルNo.30)、本願の成分系に近い成分を持つ型打鍛
造用合金の4032(サンプルNo.31)が選ばれており、サ
ンプルNo.29は、上記の実施例と同様な製造法で製造さ
れている。また、サンプルNo.30は、金型により上記と
同じ直径68mmの円柱状鋳塊に鋳造したものであり、この
場合の冷却速度は0.4℃/secであった。一方、サンプルN
o.31は、直径250mmのビレットに(連続)鋳造したもの
で、この時の冷却速度は平均で2℃/secであり、このビ
レットを直径61mmの棒状片に押し出した。これらの第1
グループの比較材をそれぞれ上述したH01熱処理を施し
て供試材とした。
第2グループの比較材(サンプルNo.32,33,34)は、
それぞれ実施例(サンプルNo.6,12,18)と同一の成分で
あるが、鋳造方法を上述したサンプルNo.31と同様のビ
レット連続鋳造としたもので、同様に直径61mmに押し出
し、同様のH01熱処理を行っている。
第3グループの比較材(サンプルNo.35,36,37)は、
それぞれ実施例(サンプルNo.6,12,18)と成分及び鋳造
方法が同一で、均質化焼鈍処理を通常の方法、すなわち
H02処理により行ったものである。
このように、供試材の製造方法を変えたのは、本発明
の有意性を明確に示すためであり、合金組成のみでは本
発明の特徴を発揮することができず、組織及び硬度のコ
ントロールが必須条件であることを明示するためであ
る。
(試験方法) これらの実施例及び比較例の供試材から試験片を切削
成形して、次のような各種の試験を行った。
(1)断面組織及び粒度:鋳造された鋳塊を機械加工し
て所定寸法の試験片を得、これを490℃において均質化
熱処理を実施し、さらに鋳塊の横断面を研摩してエッチ
ングし、断面組織写真を撮影し(第3図及び第4図参
照)、粒度の測定を行った。
(2)表面硬度試験:上記のような熱処理、すなわち、
実施例及びグループ1,2の比較例はH01処理、第3グルー
プの比較例はH02処理を行った後、ロックウェル硬度試
験(Fスケール)により行った。
(3)シャー切断性試験:上記熱処理後、40mmφの丸棒
状試験片を、能力160ton、毎分65回のストローク、ラム
ストローク140mmの仕様を持つシャー切断機により、刃
具とのクリアランス0.2mmで剪断し、その剪断面の状況
を目視判定した。第5図に示すように、表面の凹凸及び
割れの有無により評価した。
(4)鍛造性試験:上記と同様の熱処理後、第6図に示
すように、試験片1を楔形に成形し、360℃×1時間の
焼鈍処理を施した後、金敷2に置いてハンマー3により
鍛圧し、鍛圧後の試験片の割れ4により限界加工率を測
定して行った。
(5)引張試験:上述のT6処理を施し(以下の試験も同
様)、10Tonオルゼン式万能引張試験機により行った。
(6)疲労試験:小野式疲労試験機にて、1×107の繰
り返し時の破断荷重で評価した。
(7)高温引張強度試験:200℃の温度に30分保持し、高
温引張試験機により行った。
(8)表面粗度:試験片をダイヤモンド切削刃を有する
切削工具により切削したのち、鏡面仕上げ加工を施し、
その仕上げ面を表面粗さ計により測定した。
(9)耐摩耗性試験:大越式摩耗試験機により、摩耗速
度3.1m/sec、荷重18.9kg.摩擦距離600m、相手材として
鋳鉄(FC30)を用いて行った。
(10)切削性試験:切削性は切粉(屑)の処理性で判定
した。すなわち、超硬工具刃物で、切削速度200m/min、
切り込み0.15mmで実施し、第7図に示すような切粉の状
態で処理性の良否を判定した。
(試験結果) (1)断面組織:断面の組織写真を、第3図に実施例
(サンプルNo.18のもの)を、第4図には比較例(サン
プルNo.34のもの)をそれぞれ示す。
実施例においては、第3図に見られるように、等軸晶
が面積率で80%以上を占め、また、アルミニウム−シリ
コンの共晶サイズが8μm以下であり、均一な微細な組
織を呈していることが判る。一方、比較例においては、
グループ1,2では第4図に見られるように粗大な柱状晶
となっており、その結晶粒度も粗い。一方、グループ3
は図示していないが、この時点では製法が同じであり、
実施例と同様に粒度が小さくなっている。
(2)その他の試験結果を第2表(次頁)にまとめて示
す。
硬度は、実施例はいずれもロックウェル硬度(Fスケ
ール)で66〜73となっている。また、比較例もH01熱処
理を行ったものは同様の値を示し、H02処理を行ったグ
ループ3は範囲を外れている。
シャー切断性は、いずれも比較材より良好であり、本
発明の有意性を示している。
鍛造性は比較材より良好であり、また、粗度及び伸び
の値が小さい方が良好であるという傾向が見られた。
引張試験については、Si,Cuの含有量が多い程、引張
強さ、耐力の向上が見られる。
疲労試験、高温引張試験、耐摩耗性試験、鍛造性試験
についてはいずれも比較材より良好であり、これは微細
化による靭性及び強度の向上によるものと思われる。
表面粗度については、本願のものはほぼ同成分系のAC
8Bや4032と比較して粗度が小さく、これは結晶組織が均
一で、かつ粒度が小さいことを示していると思われる。
[発明の効果] 以上詳述したように、本願の第1発明は、アルミニウ
ム合金において、シリコン、銅、マグネシウム、鉄、マ
ンガン、チタン、ボロンの含有量を調整し、マクロ組織
における等軸晶を面積率で80%以上とし、ミクロ組織に
おけるアルミニウム−シリコン共晶組織中のシリコン晶
のサイズを8μm以下とし、更にその表面硬度をHRF=6
7〜75にすることにより、高温強度、耐摩耗性、耐応力
腐食性、疲労強度などの特性が良好で、かつ、塑性加工
性、切削性などに加えシャー切断性が良好であるような
素材を提供することができ、これをエンジンのピストン
やシリンダスリーブ、あるいはVTRにおいて磁気テープ
をガイドするシリンダなどの材質に用いれば、機械的特
性が充分良好であるとともに、材料取りの作業が大幅に
軽減され、製造能率を向上させることができるという優
れた効果を奏するものである。また、本願の第2発明の
製造法によれば、上記のような組成の合金を、凝固時に
冷却速度4℃/sec以上で連続鋳造することにより前記面
積率の等軸晶と前記サイズのシリコン晶を確実に得るこ
とができ、更に鋳塊を加熱するとともに加熱後60℃/hr
未満の初期冷却速度を含む条件で冷却する均質化焼鈍処
理を施すことにより、上記の条件を満たしたアルミニウ
ム合金を容易に、かつ低コストで製造できるという優れ
た効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明のアルミニウム合金の製造法を示す工
程図、第2図はこの発明の熱処理の方法を示す図、第3
図はこの発明の実施例のアルミニウム合金(サンプルN
o.18)の金属組織を示す写真であり、第4図は比較例
(サンプルNo.34)の金属組織を示す写真であり、第5
図はシャー切断性試験の方法を示す図、第6図は鍛造性
試験の方法を示す図、第7図は切削性試験の方法を示す
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 関口 常久 東京都港区芝大門2丁目10番12号 昭和 電工株式会社内 (72)発明者 横井 克己 福島県喜多方市長内7840番地 株式会社 ショウティック内 (72)発明者 鈴木 健司 福島県喜多方市長内7840番地 株式会社 ショウティック内 (56)参考文献 特開 昭63−219545(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリコンを8〜13重量%、銅を2.5〜6.0重
    量%、マグネシウムを0.3〜1.2重量%、鉄および/また
    はマンガンをそれぞれ0.25〜1.0重量%、チタンとボロ
    ンをその総計で0.005〜0.25重量%含有し、残部がアル
    ミニウムおよびその他の不純物からなり、 マクロ組織において等軸晶が面積率で80%以上を占め、 ミクロ組織においてアルミニウム−シリコン共晶組織中
    のシリコン晶のサイズが8μm以下であり、 表面硬度が、ロックウェル硬度Fスケールで、HRF=67
    〜75であることを特徴とするシャー切断性の良い高強度
    ・耐摩耗性アルミニウム合金。
  2. 【請求項2】シリコンを8〜13重量%、銅を2.5〜6.0重
    量%、マグネシウムを0.3〜1.2重量%、鉄および/また
    はマンガンをそれぞれ0.25〜1.0重量%、チタンとボロ
    ンをその総計で0.005〜0.25重量%含有し、残部がアル
    ミニウムおよびその他の不純物からなる合金の溶湯を、
    凝固時の冷却速度が4℃/sec以上で連続鋳造して、得ら
    れた鋳塊がマクロ組織において等軸晶が面積率で80%以
    上を占めるとともにミクロ組織においてアルミニウム−
    シリコン共晶組織中のシリコン晶サイズが8μm以下と
    し、さらにその鋳塊を加熱するとともに加熱後60℃/hr
    未満の初期冷却速度を含む冷却条件で冷却する均質化焼
    鈍処理を施して、前記鋳塊の表面硬度をロックウェルF
    スケールでHRF=67〜75とすることを特徴とするシャー
    切断性の良い高強度・耐摩耗性アルミニウム合金の製造
    法。
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