JP5554431B2 - 空調機能付外調機 - Google Patents
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Description
熱源機には、ヒートポンプ式チラー、ターボ冷凍機および吸収式冷凍機などがあり、空調機及び外調機の熱交換コイルで吸熱または放熱して還ってきた水を冷却または加熱し、所定温度に調整する。
なお、所定の延べ面積以上のビルに対しては、室内の二酸化炭素(CO2)濃度が1000ppm以下になるように外気を取入れることが定められており、外調機等のファンで外気を取り入れている。
これらのエネルギー消費量を、いかに削減するかが省エネのポイントとなる。この熱源機、ファンおよび送水ポンプのエネルギー消費量には次のような関係があることがわかっている。
(1)熱源機のエネルギー消費量は、空調機及び外調機の熱交換コイル冷温水入口温度(熱源機冷温水出口温度)の変化にともなって増減する。
(2)送水ポンプのエネルギー消費量は、空調機及び外調機の熱交換コイル冷温水出入口温度差(熱源機冷温水出入口水温度差)の変化にともなって増減する。
(3)ファンのエネルギー消費量は、空調機及び外調機の給気温度(給気風量)の変化にともなって増減する。
ところが、従来では、これらを考慮せずに空調機、外調機等を設計、運転制御しており、無駄なエネルギー消費量が増加する状況にあった。
また、天井裏の一部に、壁部、床部、天井板、仕切部にて構成した閉空間を、簡易の機械室として設け、この閉空間に、風量調整自在な外気ダンパ及び還気ダンパにて屋外からの外気と室内からの還気を空調用空気として混合比率調整自在に導入する風量調整機構を、設け、前記閉空間内の前記空調用空気を取入れる空気取入口を有すると共に給気ダクトを連通連結した横長のケーシングを、前記閉空間内に設置し、前記ケーシング内に、前記空調用空気が通る熱交換コイルと、前記空調用空気を前記熱交換コイルに通過させて前記給気ダクトから前記室内へ送風するファンと、を設けたことを最も主要な特徴とする。
(1)室内又は天井裏の一部にパーティションなどで閉空間を作って空調機能付外調機を設置すればよく、風量調整機構とケーシングとを連結するダクトが不要なので、施工が容易で、工期短縮、コストダウンを図れる。閉空間を空気取入チャンバに兼用できるので送風ダクトの部材が不要となり、コスト低減を図れる。
(2)ダクトが給気用だけで済むのでケーシング周りに障害物が少なくメンテナンスが容易で、余分な送風ダクトがない分、圧力損失が少なく、省エネとなる。
(3)閉空間内で外気と還気が混ざるので混合ムラがなく均一な熱交換ができる。
(4)外気と還気を混合して熱交換するので中間期など空調負荷が少ない場合、外気処理と還気処理を空調機能付外調機単独で行うことができ、空調機能付外調機以外の空調機を停止または間欠運転できるため省エネとなる。
(5)空調負荷が少ない場合などに、室内還気温度が設定還気温度よりも下がりすぎてしまうのを、給気風量を少なくすることで防止でき快適性が向上する。
(1)蒸気加湿なので室内の温湿度制御の精度向上を図れる。
(2)熱交換コイル通過空気が低温の場合や短い蒸発吸収距離の場合でも結露を防止しながら加湿ができ、結露水除去のエリミネータなどが不要となり、コストダウンとコンパクト化を図れる。
(3)還気絶対湿度で加湿するので、加湿量が成り行きとならず高精度な室内温湿度制御ができる。
(1)CO2制御手段では、外気負荷が大きい場合、在室人数減少等により二酸化炭素濃度が低くなると外気量を減らして空調エネルギー消費量の低減を図ることができる。
(1)空調負荷が変動しても熱交換コイル通過空気の給気温度と熱交換コイル冷温水出入口水温度差が共に設定値になるように制御するので、空調用空気の少風量化によるファンエネルギー消費量削減と、冷温水の少水量化による送水ポンプエネルギー消費量削減と、冷温水の大温度差化による熱源機エネルギー消費量削減と、を同時に(設計屋内・屋外条件だけでなく)広範囲の空気条件で行うことができ大幅な省エネを図れる。
たとえば、熱交換コイルの冷却・加熱によって空調用空気がもつ熱エネルギーは、熱交換コイル入口空気と熱交換コイル出口空気のエンタルピ差と熱交換コイル通過風量の積なので、熱エネルギーが不変であるとエンタルピ差が大きくなるにつれて室内へ送る風量は少なくなる。
したがって、熱交換コイル出入口空気エンタルピ差を大きく、すなわち空調用空気冷却時は設定給気温度を低く、空調用空気加熱時は設定給気温度を高くすればファンエネルギー消費量を削減できる。
また、熱交換コイルによる冷温水の熱交換量(貫流熱量)は、熱交換コイル冷温水流量と熱交換コイル冷温水出入口水温度差の積なので、熱交換コイル貫流熱量が不変であると熱交換コイル冷温水出入口水温度差が大きくなるにつれて熱交換コイル冷温水出入口水温度差すなわち熱源機と空調機能付外調機との間で循環する冷温水量が少なくなる。
したがって、熱交換コイル冷温水出入口の設定水温度差を大きくすれば冷温水の送水ポンプエネルギー消費量を削減できる。
さらに、熱源機冷温水出口温度が不変であるとコイル冷温水出入口の設定水温度差が大きくなるにつれて冷却運転時に平均冷水温度が上がり、加熱運転時に平均温水温度が下がるため、熱源機エネルギー消費量を削減できる。
(2)空調機能付外調機側だけで冷温水温度差と冷温水流量を制御でき、空調機能付外調機側以外の熱源機側等での制御が不要となり設備の簡略化を図れる。
(3)従来と同能力で大幅なエネルギー消費量削減が図れるので、快適性と省エネ性を両立できる。
(4)ヒートポンプ式チラー等の熱源機は、冷却運転時に冷水出口温度が高くなるとエネルギー消費量が減り、加熱運時に温水出口温度が低くなるとエネルギー消費量が減る。
そのため、空調用空気冷却時の熱交換コイルの設定冷温水入口温度(熱源機の設定冷温水出口温度)は10〜12℃(従来7℃)、空調用空気冷却時の熱交換コイル冷温水入口温度は、バイパス空気などによる熱交換コイルの熱貫流能力の上限から給気温度より3℃以上低い冷水が必要となるので熱源機のエネルギー消費量削減のために10℃に設定するのが最適となる。
空調用空気加熱時の熱交換コイルの設定冷温水入口温度は35〜40℃(従来45℃)が望ましいが、空調用空気加熱時のコイル冷温水入口温度は、熱交換コイルの熱貫流能力の上限から給気温度より3℃以上高い温水が必要となるので熱源機のエネルギー消費量削減のために40℃に設定するのが最適となる。
また、空調用空気冷却時の設定給気温度は、室内で人体などから発生する潜熱除去も考慮すると12〜14℃(従来16℃)が望ましいが、ファンエネルギー消費量削減と、室内吹出口の結露とコールドドラフトを最小限に抑えるために13℃に設定するのが最適となる。
空調用空気加熱時の設定給気温度は30〜35℃(従来28℃)が望ましいが、熱交換コイル入口冷温水温度と給気温度の差を小さくすれば熱源機エネルギー消費量が減少することを考慮すると30℃に設定するのが最適となる。
熱交換コイル冷温水出入口の設定水温度差は送水ポンプ及び熱源機のエネルギー消費量削減のため8〜12℃(従来5℃)が望ましいが、一般的な熱源機で対応可能なコイル冷温水出入口水温度差から10℃に設定するのが最適となる。
(1)送風制御手段では、外気を熱交換せずに室内に送風するだけで空調できるので熱源機のエネルギー消費量を削減でき省エネとなる。
(2)全外気冷却制御手段では、室内空気よりもエンタルピーが低い外気のみを冷却して空調するので還気や外気・還気混合空気を冷却するよりも熱源機のエネルギー消費量を削減でき省エネとなる。
(3)冬期冷却制御手段では、冬期に室内が暑くなった場合に外気を熱交換せずに風量調整機構で低温外気に高温還気を混ぜて設定給気温度に調整しながら空調できるので熱源機のエネルギー消費量を削減でき省エネとなる。しかも、空調用空気の冷却用冷水と再熱用温水を同時に流す4管式配管が不要となる。
(4)多機能で冷却運転・加熱運転・送風運転・全外気冷却運転・冬期冷却運転ができて幅広い空調ニーズに対応し得る。
(5)風量調整機構を、CO2制御、送風運転・全外気冷却運転・冬期冷却運転に共用でき、コストダウンを図れる。
(1)楕円管で圧力損失が少ないので、熱交換コイルの列数(熱貫流量)を増やし、熱交換コイルの設定冷温水入口温度(熱源機の設定冷温水出口温度)を冷却時は上げ、加熱時は下げることで熱源機のエネルギー消費量を(ファンのエネルギー消費量を増やさずに)減らすことができる。
さらに、熱交換コイル通過風速を下げて熱交換コイル通風断面積を増やして、給気風量と冷却・加熱能力を維持しつつ、コイル内の冷温水の流れ方(フロー)を変更することで送水距離を長くして水速低下を防止し、水速低下に伴う貫流熱量減少(能力低下)を防止し、コイル冷温水出入口温度差を大きくし送水ポンプ及び熱源機のエネルギー消費量が減らすことができる。
なお、熱交換コイルの伝熱管が丸管の場合、上記設定温度とするためにコイルの列数を増やすとファンのエネルギー消費量が大幅に増え、省エネとならない。
2 蒸気式加湿器
3 制御装置
6 空気取入口
8 給気ダクト
9 熱交換コイル
10 ファン
15 伝熱管
22 CO2制御手段
23 水量制御手段
24 送風制御手段
25 全外気冷却制御手段
26 冬期冷却制御手段
27 過冷却防止制御手段
28 飽和防止加湿制御手段
D 風量調整機構
E 変風量機構
V 水量調整機構
Claims (7)
- 室内の一部に、壁部、床部、パーティションの仕切部にて構成した閉空間を、簡易の機械室として設け、この閉空間に、風量調整自在な外気ダンパ(4)及び還気ダンパ(5)にて屋外からの外気と室内からの還気を空調用空気として混合比率調整自在に導入する風量調整機構(D)を、設け、前記閉空間内の前記空調用空気を取入れる空気取入口(6)を有すると共に給気ダクト(8)を連通連結した縦長のケーシング(1)を、前記閉空間内に設置し、前記ケーシング(1)内に、前記空調用空気が通る熱交換コイル(9)と、前記空調用空気を前記熱交換コイル(9)に通過させて前記給気ダクト(8)から前記室内へ送風するファン(10)と、を設け、前記ファン(10)により室内へ送られる熱交換コイル通過空気の給気風量を調整自在な変風量機構(E)と、前記還気の温湿度を検出する還気温湿度検出器(19)と、前記還気の二酸化炭素濃度を検出するCO2検出器(21)と、前記還気温湿度検出器(19)で検出した還気温度が設定還気温度未満で前記CO2検出器(21)で検出した前記二酸化炭素濃度が設定濃度未満の場合に設定還気温度になるように前記変風量機構(E)で前記給気風量を制御する過冷却防止制御手段(27)と、を備えたことを特徴とする空調機能付外調機。
- 天井裏の一部に、壁部、床部、天井板、仕切部にて構成した閉空間を、簡易の機械室として設け、この閉空間に、風量調整自在な外気ダンパ(4)及び還気ダンパ(5)にて屋外からの外気と室内からの還気を空調用空気として混合比率調整自在に導入する風量調整機構(D)を、設け、前記閉空間内の前記空調用空気を取入れる空気取入口(6)を有すると共に給気ダクト(8)を連通連結した横長のケーシング(1)を、前記閉空間内に設置し、前記ケーシング(1)内に、前記空調用空気が通る熱交換コイル(9)と、前記空調用空気を前記熱交換コイル(9)に通過させて前記給気ダクト(8)から前記室内へ送風するファン(10)と、を設け、前記ファン(10)により室内へ送られる熱交換コイル通過空気の給気風量を調整自在な変風量機構(E)と、前記還気の温湿度を検出する還気温湿度検出器(19)と、前記還気の二酸化炭素濃度を検出するCO2検出器(21)と、前記還気温湿度検出器(19)で検出した還気温度が設定還気温度未満で前記CO2検出器(21)で検出した前記二酸化炭素濃度が設定濃度未満の場合に設定還気温度になるように前記変風量機構(E)で前記給気風量を制御する過冷却防止制御手段(27)と、を備えたことを特徴とする空調機能付外調機。
- 熱交換コイル通過空気に加湿用の蒸気を放出する蒸気式加湿器(2)と、前記還気の温湿度を検出する還気温湿度検出器(19)と、前記還気温湿度検出器(19)で検出した還気絶対湿度が設定還気絶対湿度未満の場合に前記還気絶対湿度が前記熱交換コイル通過空気の給気上限絶対湿度を超えないように蒸気式加湿器(2)の蒸気放出量を制御する飽和防止加湿制御手段(28)と、を備えた請求項1又は2記載の空調機能付外調機。
- 前記還気の二酸化炭素濃度を検出するCO2検出器(21)と、前記CO2検出器(21)で検出した前記二酸化炭素濃度が設定濃度になるように風量調整機構(D)で空調用空気の混合比率を制御するCO2制御手段(22)と、を備えた請求項1、2又は3記載の空調機能付外調機。
- 空調用空気を冷却・加熱するための熱交換用冷温水が流れる熱交換コイル(9)と、前記熱交換コイル(9)の冷温水流量を調整自在な水量調整機構(V)と、熱交換コイル通過空気の給気温度が設定給気温度になるように前記水量調整機構(V)で前記冷温水流量を制御すると共に熱交換コイル冷温水出入口水温度差が設定水温度差になるように前記水量調整機構(V)で前記冷温水流量を制御する水量制御手段(23)と、を備え、前記空調用空気を前記熱交換コイル(9)で冷却する場合は熱交換コイル冷温水入口水温度を10〜12℃、前記熱交換コイル冷温水出入口水温度差を8〜12℃、前記熱交換コイル通過空気の前記給気温度を12〜14℃に設定すると共に、前記空調用空気を前記熱交換コイル(9)で加熱する場合は前記熱交換コイル冷温水入口水温度を35〜40℃、前記熱交換コイル冷温水出入口水温度差を8〜12℃、前記熱交換コイル通過空気の前記給気温度を30〜35℃に設定した請求項1、2、3又は4記載の空調機能付外調機。
- 外気温度が熱交換コイル通過空気の設定給気温度になった場合に水量調整機構(V)で熱交換コイル(9)に冷温水が流れるのを停止しかつ風量調整機構(D)で空調用空気を全て外気にする送風制御手段(24)と、前記外気温度が前記設定給気温度を超えかつ外気エンタルピーが還気エンタルピー未満の場合に前記風量調整機構(D)で前記空調用空気を全て外気にすると共に前記熱交換コイル通過空気の給気温度が前記設定給気温度になるように前記水量調整機構(V)で冷温水流量を制御する全外気冷却制御手段(25)と、前記外気温度が前記設定給気温度未満でかつ還気温度が設定還気温度を超える場合に前記熱交換コイル通過空気の前記給気温度が前記設定給気温度になるように前記風量調整機構(D)で前記空調用空気の還気比率を制御する冬期冷却制御手段(26)と、を備えた請求項5記載の空調機能付外調機。
- 熱交換コイル(9)の伝熱管(15)を楕円管にした請求項1、2、3、4、5又は6記載の空調機能付外調機。
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