JP5553917B2 - Mtj素子及びその製法、並びにmramデバイス - Google Patents
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Description
これは、強磁性体のサイズが小さくなると、その保磁力は逆に大きくなり、従って、その磁化反転に要する磁場強度の増大、即ち、この磁場を誘導発生する書込み電流の増大を招くからである。
即ち、MTJでは記憶層と固定層の磁化方向の違いにより情報を記憶しているので、外部からの強磁界により、記憶層、又は記憶層・固定層の磁化方向が変動すると正常な記憶、書込み、読出しができなくなる。
なお、ヨーク型MTJのヨークには磁気遮蔽効果があるので、第2、第3の問題についての対策となる。
また他の目的は、このようなMTJ素子を用いて、高速書込み・高速読出しが可能な、且つ集積回路化に適したMRAMデバイスを提供することにある。
前記MTJ接合は、強磁性固定層、非磁性障壁層、及び強磁性記憶層(以下、各々、単に固定層、障壁層、記憶層ともいう)の3層をこの順に積層してなり、且つ、前記第2金属層に被覆されない延伸部を含み、前記MTJ接合は前記強磁性固定層及び前記強磁性記憶層の磁化状態が平行か反平行かにより各々、Z方向に小抵抗か大抵抗かを呈し、これを各々、「0」状態、「1」状態とし、前記ヨークは、強磁性体又は高透磁率磁性体からなり、そのX方向の両端部は、前記強磁性記憶層の前記第2金属層に被覆されない延伸部のうちの前記記憶層に直接、又は非磁性絶縁層を介して接するMTJ素子であって、
前記ヨークが個々のMTJ素子を覆い、且つ隣接するMTJ素子のヨークから互いに離隔され、
前記ヨークの平面形状、及び前記強磁性記憶層の平面形状は各々、そのサイズが1μm以下の長軸を有し、該長軸は形状磁気異方性により磁化容易軸をなし(以下、これを量子性容易軸という)、
前記MTJ接合の強磁性記憶層のXY平面形状はX方向に量子性容易軸を有し、前記ヨークのXY平面形状はY方向に量子性容易軸を有し、
前記強磁性記憶層は前記第2金属層に被覆されない延伸部において、前記ヨークと、前記第2金属層のY方向に印加された書込み電流により誘導された磁束の変化に際して、前記互いに直交する量子性容易軸を保ちながら、直接、又は非磁性絶縁層を介して前記磁束の還流連続性を実質的に満足する緩和的結合を有し、
前記ヨークのYZ断面積は、前記強磁性記憶層のYZ断面積より大きい、ことを特徴とする。
また好ましくは、前記記憶層と前記ヨークの各々の量子性容易軸形成を互いに独立に反強磁性薄膜を堆積することにより形成する。
前記MTJ接合は、強磁性固定層、非磁性障壁層、及び強磁性記憶層(以下、各々、単に固定層、障壁層、記憶層ともいう)の3層をこの順に積層してなり、且つ、前記第2金属層に被覆されない延伸部を含み、前記MTJ接合は前記強磁性固定層及び前記強磁性記憶層の磁化状態が平行か反平行かにより各々、Z方向に小抵抗か大抵抗かを呈し、これを各々、「0」状態、「1」状態とし、前記ヨークは、強磁性体又は高透磁率磁性体からなり、そのX方向の両端部は、前記強磁性記憶層の前記第2金属層に被覆されない延伸部のうちの前記記憶層に直接、又は非磁性絶縁層を介して接するMTJ素子であって、
前記MTJ接合の強磁性記憶層のXY平面形状はX方向に量子性容易軸を有し、前記ヨークのXY平面形状はX方向に量子性容易軸を有し、前記強磁性記憶層は前記第2金属層に被覆されない延伸部において、前記ヨークと、互いに直交する量子性容易軸を保ちながら、直接、又は非磁性絶縁層を介して磁束の還流連続性を実質的に満足する緩和的結合を有し、前記ヨークのYZ断面積は、前記強磁性記憶層のYZ断面積より大きく、 前記第3金属層書込みバイアス線に印加した書込みバイアス電流による誘起磁界により前記ヨークのY方向量子異方性を得ることを特徴とする
また好ましくは、前記第2金属層及び前記非磁性絶縁層と、前記ヨークとの間に介在する非磁性体からなる第3絶縁層をさらに備える。
請求項1に記載のMTJ素子と、前記MTJ素子のWp端子にソースが接続されたトランジスタQwと、前記MTJ素子のR端子にドレーンが接続されたトランジスタQrと、を含むMRAMセルを複数個備えて前記XY平面上に配列し、トランジスタQw、Qrのゲートは第i番目のワード線Wi(i=1、2、・・・)に接続され、トランジスタQwのドレーンは第j番目の第1書込みビット線Bpj(j=1、2、・・・)に接続され、トランジスタQrのソースは前記第j番目の読出しビット線Bjに接続され、前記MTJ素子のWn端子は前記第j番目の第2書込みビット線Bnjに接続されてなり、
前記第i番目のワード線Wiを1本のみ高レベルに駆動することにより、前記第i番目のワード線に接続されたMRAMセルのトランジスタQw、Qrを導通させて前記第i番目のワード線に接続されたMRAMセルを選択し、
書込みは、各列(第j列)について、前記第1書込みビット線Bpjから前記トランジスタQwを介して前記第2書込みビット線Bnjに向かう書込み電流Iwを印加して、その誘導磁場により交点(i、j)のMRAMセルのMTJ接合の前記強磁性記憶層の磁化容易軸の方向を前記強磁性固定層の磁化容易軸の方向に変更して「0」を書込み、又は、逆向きに書込み電流Iwを印加して、その誘導磁場により交点(i、j)のMTJ接合の前記強磁性記憶層の磁化容易軸の方向を前記強磁性固定層の磁化容易軸の逆方向に変更して「1」を書込み、
一方、読出しは、各列(第j列)について、少なくとも前記第2書込みビット線Bnjに読出し電圧Vrを印加して、選択した交点(i、j)のMRAMセルのトランジスタQw、Wp端子を介して、前記MTJ接合を流れるトンネル電流を、前記R端子を介して前記読出しビット線Bjに導き、前記読出しビット線Bjの一端に備えたセンスアンプにより上記トンネル電流の大、小を、即ち、「0」、「1」を検出する、ことを特徴とする。
前記第i番目のワード線Wiを1本のみ高レベルに駆動することにより、前記第i番目のワード線に接続されたMRAMセルのトランジスタQw、Qrを導通させて前記第i番目のワード線に接続されたMRAMセルを選択し、
書込みは、各列(第j列)について、前記第1書込みビット線Bpjから前記トランジスタQwを介して前記第2書込みビット線Bnjに向かう書込み電流Iwを印加して、その誘導磁場により交点(i、j)のMRAMセルのMTJ接合の前記強磁性記憶層の磁化容易軸の方向を前記強磁性固定層の磁化容易軸の方向に変更して「0」を書込み、又は、逆向きに書込み電流Iwを印加して、その誘導磁場により交点(i、j)のMTJ接合の前記強磁性記憶層の磁化容易軸の方向を前記強磁性固定層の磁化容易軸の逆方向に変更して「1」を書込み、
一方、読出しは、各列(第j列)について、前記第1書込みビット線Bpj及び前記第2書込みビット線Bnjのいずれかの一端にセンスアンプを備え、少なくとも前記第2書込みビット線Bnjに読出し電圧Vrを印加して、選択した交点(i、j)のMRAMセルのトランジスタQw、Wp端子を介して、又は直接、前記MTJ接合を流れるトンネル電流を、トランジスタQrを介して接地線GNDに導き、前記センスアンプにより前記トンネル電流の大、小を、即ち、「0」、「1」を検出する、ことを特徴とする。
書込みは、選択したi番目の書込みバイアス線Wpi〜Wniのみに所定の書込みバイアス電流を印加すると共に、各列(第j列)について書込みビット線Bpj〜Bnjに、前記Bpj端子側から前記Bnj端子側に向けて書込み電流Iwを印加して、その誘導磁場により交点(i、j)のMRAMセルのMTJ接合の前記強磁性記憶層の磁化容易軸の方向を前記強磁性固定層の磁化容易軸の方向に変更して「0」を書込み、又は、逆向きに書込み電流Iwを印加して、その誘導磁場により交点のMTJ接合の前記強磁性記憶層の磁化容易軸の方向を前記強磁性固定層の磁化容易軸の逆方向に変更して「1」を書込み、
一方、読出しは、選択したi番目のワード線Wiのみを高レベルに駆動することにより、その行のMRAMセルのトランジスタQrを全て導通させ、各列(第j列)について、書込みビット線Bpj〜Bnjに読出し電圧Vrを印加して、交点(i、j)のMRAMセルのMTJ接合を流れるトンネル電流を、トランジスタQrを介して読出しビット線Bjに導き、読出しビット線Bjの一端に備えたセンスアンプにより前記トンネル電流の大、小を、即ち、「0」、「1」を検出する、ことを特徴とする。
書込みは、選択したi番目の書込みバイアス線Wpi〜Wniのみに所定の書込みバイアス電流を印加すると共に、各列(第j列)について書込みビット線Bpj〜Bnjに、前記Bpj端子側から前記Bnj端子側に向けて書込み電流Iwを印加して、その誘導磁場により交点(i、j)のMRAMセルのMTJ接合の前記強磁性記憶層の磁化容易軸の方向を前記強磁性固定層の磁化容易軸の方向に変更して「0」を書込み、又は、逆向きに書込み電流Iwを印加して、その誘導磁場により交点のMTJ接合の前記強磁性記憶層の磁化容易軸の方向を前記強磁性固定層の磁化容易軸の逆方向に変更して「1」を書込み、
一方、読出しは、各列(第j列)について、前記書込みビット線Bpj〜Bnjの一端にセンスアンプを備え、選択したi番目のワード線Wiのみを高レベルに駆動することにより、その行のMRAMセルのトランジスタQrを全て導通させ、各列(第j列)について、書込みビット線Bpj〜Bnjに読出し電圧Vrを印加して、交点(i、j)のMRAMセルのMTJ接合を流れ、トランジスタQrを介して前記接地線に導かれる前記MTJ接合のトンネル電流の大、小を、即ち、「0」、「1」を、前記センスアンプにより検出する、ことを特徴とする。
書込みは、前記ブロック選択/書込みイネーブル(BS/WE)高レベルに駆動することにより選択したブロックの、選択した第i番目の書込みバイアス線Wpi〜Wniのみに所定の書込みバイアス電流を印加すると共に、各列(第j列)について書込みビット線に、前記第j番目の第1書込みビット線Bpjから前記ブロック選択/書込みイネーブル(BS/WE)により選択したトランジスタQeを介して前記第j番目の第2書込みビット線Bnjに向けて書込み電流Iwを印加して、その誘導磁場により交点(i、j)のMRAMセルのMTJ接合の前記強磁性記憶層の磁化容易軸の方向を前記強磁性固定層の磁化容易軸の方向に変更して「0」を書込み、又は、逆向きに書込み電流Iwを印加して、その誘導磁場により交点のMTJ接合の前記強磁性記憶層の磁化容易軸の方向を前記強磁性固定層の磁化容易軸の逆方向に変更して「1」を書込み、
一方、読出しは、各列(第j列)について、前記第1、第2書込みビット線Bpj、Bnjのいずれかの一端にセンスアンプを備え、選択したブロックの選択した第i番目のワード線Wiのみを高レベルに駆動することにより、その行のMRAMセルのトランジスタQrを全て導通させ、各列(第j列)について、前記第1、第2書込みビット線Bpj、Bnjに読出し電圧Vrを印加して、交点(i、j)のMRAMセルのMTJ接合を流れ、トランジスタQrを介して前記接地線に導かれる前記MTJ接合のトンネル電流の大、小を、即ち、「0」、「1」を、前記センスアンプにより検出する、ことを特徴とする。
また、請求項5に係る発明によれば、ヨークアスペクト比の広い範囲に亘って安定且つ低い書込み電流が得られる。
また請求項8に係る発明によれば、書込みバイアス電流値の広い範囲に亘って安定且つ低い書込み電流が得られる。
また請求項7〜9に係る発明によれば、同一シリコンリソグラフィルールでDRAMと同等以上の集積密度を有するMRAMデバイスが得られる。
以下の図面では、互いに直交するX、Y軸を基板9の平面上に設定し、このXY面に垂直にZ軸を設定し、Z軸に沿って基板9から離隔する方向を「上方」とする。
なお、「MTJ」は、狭義には、磁気トンネル接合を構成する部分のみを意味し、広義には、狭義のMTJとその周辺を含む素子を意味するので、以下の説明では、前者を「MTJ接合」、後者を「MTJ素子」として区別する。
図1は、本実施形態に係るヨーク型磁気トンネル接合(以下、単にMTJ接合という)を用いた第1のヨーク型MTJ素子の例示的概念図であって、(a)はXZ面によるY方向断面図、(b)はZ方向から見た透視XY平面図、(c)は、第1のヨーク型MTJ素子であるMTJ1の略記回路図である。
ここでMTJ接合2は、強磁性固定層3、非磁性障壁層4、及び強磁性記憶層5の3層を積層してなり、第2金属層6に被覆されない延伸部を含む。
また、ヨーク7は、強磁性体又は高透磁率磁性体からなり、そのX方向の両端部は、強磁性記憶層5の第2金属層6に被覆されない延伸部の上面に直接、又は非磁性層を介して接する。
本図において、第1金属層1、MTJ接合2、第2金属層6、及びヨーク7の輪郭は、各々の外形とその重畳関係を明確にするために意図的に重ならないようにずらしてあるが、必ずしも実際の正確な輪郭を表わすものではない。
図1(c)は、この端子名R、Wp、Wnを用いて表わした(ヨーク型)MTJ素子であるMTJ1の略記回路図である。
本MTJ素子の書込みは、端子WpからWnへ、又は端子WnからWpへ所定の大きさの書込み電流を印加し、その誘導磁場により、MTJ接合2の強磁性記憶層5の磁化方向を各々、+X方向又は−X方向に変更することにより行なう。
一方、本MTJ素子の読出しは、端子Wp又はWnと端子Rとの間に所定の電圧を印加して、MTJ接合のトンネル抵抗の小(Rs)、大(Rb)で決まる電流の大、小により、各々を「0」、「1」として検出する。
図3を参照すると、従来のヨークが無いMTJ素子の場合、強磁性記憶層5は、(a)に示すように、±Φaを飽和磁束量とする角型履歴特性を示し、磁化反転に要する電流値、即ち、書込み電流値Iaは数mAである。
書込み電流を半減できる理由は、上述の通り、ヨーク7が無い場合、強磁性記憶層5は第2金属層6を高々180度囲む開磁路を形成するのに対して、ヨーク7がある場合、ヨーク7が強磁性記憶層5と合わせて第2金属層6を実質的に360度囲む閉磁路を形成するからである。
第1の構造的特徴として、MTJ接合のXY平面形状、従って、強磁性固定層及び強磁性記憶層のXY平面形状は、X方向に磁化容易軸(以下、容易軸、又は、異方性、又は、異方性軸、ともいう)を有し、一方、ヨークのXY平面形状は、Y方向に容易軸を有する。
本発明に係るMTJ素子の強磁性固定層、強磁性記憶層、及びヨークの最長寸法は、1μm以下であり、
本発明に係るMTJ素子の書込み電流の著しい低電流化は、以下に詳しく述べるように、この磁化量子性と、上記の実質的に360度の閉磁路による磁束の還流に由来する。
ここでいう長方形とは優位的長軸を有する形状であり、厳密な90度内角と厳密な平行対辺を有する4角形に限定されるものではなく、例えば、擬楕円、又は角の丸い長方形であってもよい。
上述の磁化量子性の発現により記憶層5にはX方向の容易軸のみが、ヨークにはY方向の容易軸のみが形成される。
即ちX方向の磁界Hに対して、記憶層は単独では図3(a)に示すヒステリシス性の磁化特性を、ヨークは図3(c)の原点を通る斜線と飽和磁界強度±Hkで飽和する破線で示すような非ヒステリシス性磁化特性を一層強固に持つことになる。
即ち、強磁性層の形状効果によれば、強磁性固定層3及び強磁性記憶層5の磁化容易軸はX方向になり、ヨーク7の磁化容易軸は、単独ではY方向になる。
具体的には、図2(c)及び後述する図5に示すように、MTJ接合2の第2金属層6に被覆されない延伸部の上面は、記憶層5の傾斜面57cとそれに続く固定層3の傾斜面37cをなしており、且つ、その上に、ヨーク7と少なくとも固定層の傾斜面37cとが直接接触しないように、非磁性体のバーズビーク型絶縁層8及び非磁性体の第3絶縁層85が介在している。その結果、ヨーク7の磁化容易軸は記憶層5、固定層3の磁化容易軸と同じX方向に転換されることなく、形状異方性によるY方向を維持する。
バーズビーク型絶縁層8は非磁性体の第1絶縁層82とその上の非磁性体の第2絶縁層84からなり、第1絶縁層82の第1バーズビーク822の先端は記憶層5の傾斜面57cに到達し、一方、第2絶縁層84の第2バーズビーク842の先端は記憶層5の傾斜面57cの上方に到達しないように形成され、第3絶縁層85と第1絶縁層82は、記憶層5の傾斜面57cのうち第2絶縁層で被覆されていない部分57bにおいて、記憶層5とヨーク7の結合を緩和しながら実現し、第2絶縁層84は固定層3によるヨーク7の容易軸転換を防止する。
この緩和結合により、記憶層、ヨーク双方の量子性を損なうことなく、実質的に360度の閉磁路による磁束の還流連続性を実現する。
結合が過度に弱いと、記憶層とヨーク内の閉磁路形成が不完全で磁束が還流連続せず、書込み電流が十分低減できない。一方、結合が過度に強いとヨークの量子性容易軸が直交する記憶層の容易軸に引っ張られて傾きを生じ、著しいヨーク効果が消失する場合がある。
その場合、ヨーク7の磁化特性は、図3(c)において、±Φcを飽和磁束量とする線形特性を示す。
強磁性記憶層5とヨーク7との飽和磁束量の比、Φa/Φcは、強磁性記憶層5とヨーク7とのYZ断面積の比に等しく、従って強磁性記憶層5とヨーク7との厚さ(Z方向の寸法)の比に概略等しい。(強磁性記憶層5とヨーク7との幅(Y方向の寸法)は、図1(b)に示すように概略等しい、から)
結局、Ic/Iaは、強磁性記憶層5の断面積/ヨークの断面積、に等しい。
従って、ここで第3の構造的特徴として、ヨーク7の断面積(厚さ)を強磁性記憶層5の断面積(厚さ)より飛躍的に大きくするならば、その比率分だけ、書込み電流を飛躍的に低減できる。
第2の特徴の具現化において、最もクリティカルなのは、ヨーク7の下面を、強磁性固定層3に接触させることなく、強磁性記憶層5の傾斜面57cのみに、しかもある限定されたX方向の長さの範囲で、適切な非磁性体の絶縁層を介して接触させ、緩和結合を実現することである。
従来技術では、接触部のX方向の幅は、第2金属層6に対するヨーク7のマスク目合わせ精度と関連する最小値、最大値を有するので、接触部のX方向の幅を図で左右共に上述の上・下限内におさめることは製造上困難であった。
製膜時のヨークが異方性を持たず等方性の場合、1を僅かに越えるアスペクト比ArでHkの小さいY方向異方性が得られる。
このようなY方向異方性は、上述の形状効果による外、磁場中成膜又は反強磁性膜の付与でも行なえる。
図4を用いて、そのような正確な長方形を得るための記憶層を含む製造工程を詳しく説明する。
図4(a)(b)は、MTJ接合の3層膜とその上に第2金属層6を形成した時点における図であり、図4(c)(d)は、第2金属層6をマスクとしてMTJ接合2の3層構造を形成し、ヨーク7を形成する以前の時点における図であり、(a)、(c)はXZ面によるY方向断面図、(b)、(d)はZ方向から見た透視XY平面図である。
一方、このような正確な長方形形成は、寸法微細化により一層必須となっている。
この、残存固定層がヨークの異方性に及ぼす影響はヨーク7と残存固定層の距離を隔てることにより激減する。
かくして、ヨーク7の下面を強磁性固定層3から離隔するためには、図2(c)に示したように、両者の間に非磁性体のバーズビーク型の第2絶縁層84を介在する必要がある。
図5を参照すると、バーズビーク型絶縁層8は第1絶縁層82と第2絶縁層84と第3絶縁層85とが積層されてなる。第1絶縁層82のバーズビーク822に強磁性固定層3の傾斜面37cを確実に被覆させるため、実際の製造上、バーズビーク822の先端が強磁性記憶部5の傾斜面57cに到達することがある。
本実施例の記憶層の諸元では約10nm厚の第3絶縁層の付加が許容できる。
本変形例では、上記図5の場合と比較して第3絶縁層85が削除されている。
その目的は、MTJ素子の更なる微細化による量子性の増大に対して結合緩和も減少させることにあり、この結合強化により書込み電流の更なる低下が見られる。
即ち、縮小則に従った今後のMTJ素子を最大限活用できる。
本実施例は、上記第1の実施形態の具体例であり、再び図5(断面図)及び図1(平面図)を参照して説明する。
基板9は、シリコンウェファを用い、その上面はシリコン酸化膜で覆われている。
第1金属層1のパターニングは、図1(b)において、X方向にマージンをもって延びる長方形状に形成し、一端を端子Rの引出し配線とする。
強磁性固定層3はPIN層とも呼ばれ、反強磁性層32と、Co・Fe膜、Ru膜、Co・Fe膜の3層からなる強磁性層34とを含み、シンセティックPINを構成する。
非磁性障壁層4はバリア層又はトンネル層とも呼ばれ、MgO膜をスパッタして形成する。
強磁性記憶層5はフリー層とも呼ばれ、例えば5nm厚のパ−マロイ(Permalloy)膜で構成され、記憶層キャップ52を含む。
第2金属層6はパターニングして図1(b)において、Y方向にマージンをもって延びる長方形状に形成し、両端を端子Wp、Wnの引出し配線とする。
なお、記憶層キャップ52、金属層下部キャップ64、金属層上部キャップ68の目的は各々、主材料の原子の他層への拡散を防止するためである。
この結果、MTJ接合2のX方向の辺長とY方向の辺長は図1(b)に示すように、各々、第2金属層6の幅(X方向の長さ)と第1金属層1の幅(Y方向の長さ)で決定される。
従って、第2金属層6の幅を第1金属層1の幅より大きく設定することにより、MTJ接合2の平面形状は、上述のようにX方向に長辺を有する長方形になる。
本実施例ではスパッタ法により形成したが、CVD法等他の成膜方法によって成膜してもよい。
ヨーク7は、第2金属層6を跨いでMTJ接合を被覆するようにパターニングする。
その際本実施形態では、ヨーク7の平面形状が、Y方向の辺長がX方向の変長より大きい長方形になるように設定する。
更にヨークのY方向を量子性容易軸とする代わりに、反強磁性膜をヨーク上に設け、ヨークのY方向に磁化容易軸を向けることもできる。また、ハードマグネット等の硬磁性膜をX−Y平面上において、ヨークの両側に設けることでも、ヨークのY方向に磁化容易軸を向けることができる。
以上に述べた第1の実施形態の具体的実験結果を以下に述べる。
本実験例では、ヨーク7のアスペクト比、即ち、Y方向辺長/X方向辺長を変数として、書込み電流の変化を実測する。
その際、特に、第2絶縁層84の有無を比較して、その有効性を検証する。
各々の場合の書込み電流Iwの実測結果を図7に示す。ここで図7(a)は第2絶縁層84が無い場合、図7(b)は第2絶縁層84が有る場合、である。
さらに、上記図6に示す変形例では、シミュレーション結果から、50μAが得られている。
図8は、上述の第1の実施形態に係るMTJ素子MTJ1を複数個用いた、集積回路化に適した第1のMRAMデバイスの等価ブロック回路図である。
図8を参照すると、各々のMRAMセルは、MTJ1と、そのWp端子及びR端子に各々そのソース及びドレーンが接続されたトランジスタQw、Qrからなり、トランジスタQw、Qrのゲートはワード線Wi(i=1、2、・・・)に、Qwのドレーン及びQrのソースは各々、第1書込みビット線Bpj及び読出しビット線Bj(j=1、2、・・・)に、MTJ1のWn端子は第2書込みビット線Bnj(j=1、2、・・・)に接続されて、行(以下、ワードともいう)・列(以下、ビットともいう)をなしてアレイ状に配置されている。
なお選択的には、第1、第2書込みビット線Bpj、Bnj、読出しビット線Bj、ワード線Wiの全部、又は一部は、シリコン基板本体内にではなく、MTJ1のアレイの上方に適宜絶縁膜を介して形成する。
書込みは、選択した列(第j列)について、第1書込みビット線Bpjから第2書込みビット線Bnjに向かう書込み電流Iwを印加して、その誘導磁場により交点(i、j)のMRAMセルのMTJ接合に「0」を書込み、又は、逆向きにIwを印加して、その誘導磁場により交点(i、j)のMTJ接合に「1」を書込む。
図9は、上述の第1の実施形態に係るMTJ素子であるMTJ1を複数個用いた、集積回路化に適した第2のMRAMデバイスの等価ブロック回路図である。
図9を参照すると、各々のMRAMセルは、MTJ1と、そのWp端子及びR端子に各々そのソース及びドレーンが接続されたトランジスタQw、Qrからなり、トランジスタQw、Qrのゲートはワード線Wi(i=1、2、・・・)に、Qwのドレーン及びQrのソースは各々、第1書込みビット線Bpj(j=1、2、・・・)及び接地線GNDに、MTJ1のWn端子は第2書込みビット線Bnj(j=1、2、・・・)に接続されている。
なお接地線GNDは、全MRAMセルに共通であり行方向及び/又は列方向に選択できるようにする必要はないが、配線配置の都合上、本実施形態では2行ごとに1本配置した。
なお選択的には、第1、第2書込みビット線Bpj、Bnj、接地線GND、ワード線Wiの全部、又は一部は、シリコン基板本体内にではなく、MTJ1のアレイの上方に適宜絶縁膜を介して形成する。
書込みは、選択した列(第j列)について、第1書込みビット線Bpjから第2書込みビット線Bnjに向かう書込み電流Iwを印加して、その誘導磁場により交点(i、j)のMRAMセルのMTJ接合に「0」を書込み、又は、逆向きにIwを印加して、その誘導磁場により交点(i、j)のMTJ接合に「1」を書込む。
本図では、センスアンプSAHjは第2書込みビット線Bnjに備えたが、これに限定されず、第1書込みビット線Bpjに備えてもよく、第1、第2書込みビット線Bpj、Bnjに交互に備えてもよい。
さらに、接地線は選択の必要が無いので、周辺回路も削減できる。
「定電流書込み方式」では、第1書込みビット線Bpjの一端に備えたドライバDRpjを定電流源として定電流+Iw、又は−Iwを供給し、第2書込みビット線Bnjの一端に備えたドライバDRnjを定電圧源として中間電圧を供給する。該中間電圧は、読出し電圧Vrと同一であることが好ましい。
書込み完了後は、DRpj、DRnjの出力をともに読出し電圧Vrに戻す。
電圧VH、Vr、VLは、VL ≦ Vr ≦ VH、を満たす。
対称性のため、Vr=(VH+VL)/2 とすると、第1書込みビット線の振幅を上記の「定電圧書込み方式」の半分に抑えることができる。
また、第1のMRAMデバイスの読出し時には、第1、第2の書込みビット線に各々備えたドライバDRpj、DRnjの出力のうち一方が読出し電位Vrを与え、他方はオフしなければならない。
また、第2のMRAMデバイスの読出し時には、第1、第2の書込みビット線Bpj、Bnjに各々備えたドライバDRpj、DRnjの双方の出力をオフし、センスアンプSAHjが読出し電位Vrを与えなければならない。
図10は、本実施形態に係るヨーク型磁気トンネル接合を用いた第2のヨーク型MTJ素子であるMTJ2の一般的概念図であって、(a)はXZ面によるY方向断面図、(b)はZ方向から見た透視XY平面図、(c)は、第2のヨーク型MTJ素子であるMTJ2の略記回路図である。
以下、第1の実施形態と同一部分には同一の符番を付け、重複する説明を省く。
なお、第3金属層10の幅(Y方向の長さ)を第1金属層1の幅及びMTJ接合の幅より少し大きく表示したが、これに限定するものでは無い。
また後述するように、第3金属層10は選択的に、シリコン基板9の内部にではなく、ヨーク7の上方に設けられる。
ここで、第3金属層10の両端には端子名Pp、Pnを付ける。
ヨーク7のXY平面形状が第1の実施形態と異なりX方向に長辺を有する長方形であるという形状効果により、ヨーク7の磁化容易軸は強磁性記憶層5の磁化容易軸と同じX方向である。
この容易軸は反強磁性膜をヨーク上に設けることにより形成することもできる。
ヨーク7の磁化方向がY方向に変更されているので、その書込み電流は上述の第1の実施形態の場合と同じように飛躍的に低減できる。
一方、MTJ2の読出しは上述の第1の実施形態の場合と同じく、端子Wp又はWnと端子Rとの間に所定の電圧を印加して、MTJ接合2のトンネル抵抗の小(Rs)、大(Rb)で決まる流れる電流の大、小により、各々を「0」、「1」として検出する。
特に、ヨーク7と強磁性記憶層5の接触面に係るMTJ接合2の側部の傾斜面構造は、上記第1の実施形態のMTJ1の側部の傾斜面構造と同様である。
第3金属層10は、通常の半導体技術により、シリコン基板9の上面に近接し絶縁された位置に、又は、ヨーク7の上方に近接し絶縁された位置に、金属配線、例えば、幅200nm、厚さ300nmのAl配線を設けることにより形成できる。
第3金属層10はクラッドされることが好ましい。即ち、ヨーク7に対向する面を除いて該金属配線を覆う強磁性膜、例えばパーマロイ膜、を設けることにより、第3金属層10に流す書込みバイアス電流により強磁性膜内に誘導された強い磁場がヨーク7をY方向に通過する。従って、ヨーク7に所定の磁場を印加するのに必要な書込みバイアス電流を低減できることは言うまでもない。
以上に述べた第2の実施形態の具体的実験結果を以下に述べる。
本実験例では、第3金属層10に流す書込みバイアス電流値、従ってその電流がヨーク7に及ぼす誘導磁場強度(Oe、エルステッド単位)を変数として、書込み電流の変化を実測する。
その際、特に、第2絶縁層84の有無を比較して、その有効性を検証する。
誘導磁場が透磁率の極めて高いヨークに集中するので、書込みバイアス電流Iwによる誘導磁場強度Hyの値は、書込みバイアス線の断面積、書込みバイアス線とヨークとの距離、ヨークの平面・断面形状などの寸法に敏感には依存しないと考えられる。
各々の場合の書込み電流Iwの実測結果を図11に示す。ここで図11(a)は第2絶縁層84が無い場合、図11(b)は第2絶縁層84が有る場合、である。
半選択電流比、即ち、バイアス電流の通電時/非通電時の書込み電流比としてこの場合、36という大きい値が得られる特長を持つ。
図12は、上述の第2の実施形態に係るMTJ素子であるMTJ2を複数個用いた、集積回路化に適した第3のMRAMデバイスの等価ブロック回路図である。
図12を参照すると、各々のMRAMセルは、MTJ2と、そのR端子にそのドレーンが接続されたトランジスタQrからなり、トランジスタQrのゲートはワード線Wi(i=1、2、・・・)に、Qrのソースは読出しビット線Bj(j=1、2、・・・)に、MTJ2のWp、Wn端子は隣接するMRAMセルのMTJ2のWn、Wp端子と順次接続されて書込みビット線Bpj〜Bnjを形成している。
また、第3金属層10は、実際にはMRAMセルごとに物理的に端子Pp、Pnを必ずしも形成することなく、ワード線Wiに平行してセルのアレイをX方向に貫通する書込みバイアス線Wpi〜Wniを形成する。
なお選択的には、書込みビット線Bpj〜Bnj、読出しビット線Bj、書込みバイアス線Wpi〜Wniの全部、又は一部は、シリコン基板内にではなく、MTJ2のアレイの上方に適宜絶縁膜を介して形成する。
上記のように、選択したi番目の書込みバイアス線上のMTJ素子のヨークの磁化容易軸は書込みバイアス電流による誘導磁界によりY方向に転換されているので、書込み電流Iwは、上記第1の実施形態の場合と同様、100μA程度に削減できる。
一方、非選択の書込みバイアス線、即ち、i番目以外の書込みバイアス線には書込みバイアス電流を印加しないので、非選択のMTJ素子のヨーク量子異方性はX方向のままであり、ヨークによる書込み電流Iwの削減効果は発現しない。
即ち、非選択のMTJ素子に強制的に書込むには、数mAの書込み電流Iwを要することになり、X方向の書込みバイアス電流とY方向の書込み電流Iwの交叉点に位置するMTJ素子に対する選択的書込みが、極めて高い選択比(数mA対100μA)をもって可能になる。
なお、当該i番目の行が選択されたか非選択かを問わず全てのワード線Wiの電位はトランジスタQrをオフする低レベルにする。この場合、MTJ接合に電流が流れないので消費電力を抑制できる。
また、非選択の書込みビット線Bpj〜Bnjは全て、読出し電圧Vrに維持しておき、ライトリカバリ時間(書込みサイクル直後の読出しサイクルにおける読出しアクセス時間の増大)を最小化する。
さらに、接地線は選択の必要が無いので、周辺回路も削減できる。
図13は、上述の第2の実施形態に係るMTJ素子であるMTJ2を複数個用いた、集積回路化に適した第4のMRAMデバイスの等価ブロック回路図である。
図13を参照すると、各々のMRAMセルは、MTJ2と、そのR端子にそのドレーンが接続されたトランジスタQrからなり、トランジスタQrのゲートはワード線Wi(i=1、2、・・・)に、Qrのソースは接地線GNDに、MTJ2のWp、Wn端子は隣接するMRAMセルのMTJ2のWn、Wp端子と順次接続されて書込みビット線Bpj〜Bnjを形成している。
また、第3金属層10は、実際にはMRAMセルごとに物理的に端子Pp、Pnを必ずしも形成することなく、ワード線Wiに平行してセルのアレイをX方向に貫通する書込みバイアス線Wpi〜Wniを形成する。
なお接地線GNDは、全MRAMセルに共通であり行方向及び/又は列方向に選択できるようにする必要はないが、配線配置の都合上、本実施形態では2行ごとに1本配置した。
なお選択的には、書込みビット線Bpj〜Bnj、接地線GND、書込みバイアス線Wpi〜Wniの全部、又は一部は、シリコン基板内にではなく、MTJ2のアレイの上方に適宜絶縁膜を介して形成する。
上記のように、選択したi番目の書込みバイアス線上のMTJ素子のヨークの磁化容易軸は、書込みバイアス電流による誘導磁界によりY方向に転換されているので、書込み電流Iwは、上記第1の実施形態の場合と同様、100μA程度に削減できる。
一方、非選択の書込みバイアス線、即ち、i番目以外の書込みバイアス線には書込みバイアス電流を印加しないので、非選択のMTJ素子のヨーク量子異方性はX方向のままであり、ヨークによる書込み電流Iwの削減効果は発現しない。
即ち、非選択のMTJ素子に強制的に書込むには、数mAの書込み電流Iwを要することになり、X方向の書込みバイアス電流とY方向の書込み電流Iwの交叉点に位置するMTJ素子に対する選択的書込みが、極めて高い選択比(数mA対100μA)をもって可能になる。
なお、当該i番目の行が選択されたか非選択かを問わず全てのワード線Wiの電位はトランジスタQrをオフする低レベルにする。この場合、MTJ接合に電流が流れないので消費電力を抑制できる。
また、非選択の書込みビット線Bpj〜Bnjは全て、読出し電圧Vrに維持しておき、書込みリカバリ時間(書き込みサイクル直後の読出しサイクルにおける読出しアクセス時間の増大)を最小化する。
本図では、センスアンプSAHjは書込みビット線Bpj〜BnjのBnj端に備えたが、これに限定されず、Bpj端に備えてもよく、Bpj、Bnj端に交互に備えてもよい。
さらに、接地線は選択の必要が無いので、周辺回路も削減できる。
即ち、第3、第4のMRAMデバイスでは、書込みビット線Bpj〜Bnjの一端、例えばBpj端に備えたドライバDRpjをスイッチング定電流源として定電流+Iw、又は−Iwを供給し、書込みビット線Bpj〜Bnjの他端、Bnj端に備えたドライバDRnjを定電圧源として中間電圧を供給する。該中間電圧は、読出し電圧Vrと同一であることが好ましい。
ただし、第4のMRAMデバイスの書込みの場合、センスアンプSAHjの飽和を避けるため、その入力はオフすることが好ましい。
この方式によれば、列(j=1、2、・・・)デコーダをセルアレイの両側に設ける必要が無いので、列デコーダを節約できる。ここで、書込みデータの「1」「0」に応じて、定電流ドライバDRpjの電流を、+Iw、又は、−Iwに切り替えると同時に、定電圧ドライバDRnjのドライブ形態を、シンク、又は、ソースに切り替える。
図14は、上述の第2の実施形態に係るMTJ素子であるMTJ2を複数個用いた、集積回路化に適した第5のMRAMデバイスの等価ブロック回路図である。
図14を参照すると、上記第4のMRAMデバイス(図13)と同様に、各々のMRAMセルは、MTJ2と、そのR端子にそのドレーンが接続されたトランジスタQrからなり、トランジスタQrのゲートはワード線Wi(i=1、2、・・・)に、Qrのソースは接地線GNDに接続され、MTJ2のWp、Wn端子は隣接するMRAMセルのMTJ2のWn、Wp端子と、セル間書込みビット線を介して順次接続されて書込みビット線WpWn〜WpWnを形成している。
なお接地線GNDは、全MRAMセルに共通であり行方向及び/又は列方向に選択できるようにする必要はないが、配線配置の都合上、本実施形態では2行ごとに1本配置した。
また、上述のようにシリコン基板9上にMTJ接合2を形成した場合、端子R、Wp、Wnは各々シリコン基板に設けたコンタクトビアを介して各々、基板内に設けたトランジスタQr、セル間書込みビット線に接続され、接地線GND、書込みバイアス線Wpi〜Wni、及びこれらに接続される周辺回路を含む残りの回路は全てシリコン基板本体内に例えば標準CMOSプロセスを用いて作りこむことができる。
なお選択的には、セル間書込みビット線、接地線GND、書込みバイアス線Wpi〜Wniの全部、又は一部は、シリコン基板本体内にではなく、MTJ2のアレイの上方に適宜絶縁膜を介して形成する。
特に第2の実施形態(第3、第4のMRAMデバイス)の場合、書込みビット線は、MTJ素子MTJ2の第2金属層Wp−Wnを順次直列接続して形成するので、その配線抵抗が大容量化に伴い増大し、動作速度と動作マージンの劣化を招くという問題がある。
ブロック選択機能は、セルアレイを、図14で一点鎖線で示したように、列(Y)方向にブロックBlk1、Blk2、…、に分割し、書込みビット線WpWn〜WpWnをブロック単位で切断し、別途用意した、配線抵抗の低い第1、第2書込みビット線Bpj、Bnjにブロックごとに接続することによりこの問題を解決する。
具体的には、書込みビット線WpWn〜WpWnの例えばWp端を第1書込みビット線Bpjに接続し、書込みビット線WpWn〜WpWnのWn端を、トランジスタQeのソース、ドレーンを介して第2書込みビット線Bnjに接続する。トランジスタQeのゲートはブロックごとにブロック選択/書込みイネーブル(BS/WE)に接続する。
上記のように、選択したi番目の書込みバイアス線上のMTJ素子のヨークの磁化容易軸は書込みバイアス電流による誘導磁界によりY方向に転換されているので、書込み電流Iwは、上記第3、第4のMRAMデバイスの場合と同様、100μA程度に削減できる。
一方、非選択の書込みバイアス線、即ち、i番目以外の書込みバイアス線には書込みバイアス電流を印加しないので、非選択のMTJ素子のヨーク量子異方性はX方向のままであり、ヨークによる書込み電流Iwの削減効果は発現しない。
即ち、非選択のMTJ素子に強制的に書込むには、数mAの書込み電流Iwを要することになり、X方向の書込みバイアス電流とY方向の書込み電流Iwの交叉点に位置するMTJ素子に対する選択的書込みが、極めて高い選択比(数mA対100μA)をもって可能になる。
なお、当該i番目の行が選択されたか非選択かを問わず全てのワード線Wiの電位はトランジスタQrをオフする低レベルにする。この場合、MTJ接合に電流が流れないので消費電力を抑制できる。
また、非選択の第1、第2書込みビット線Bpj、Bnjは全て、読出し電圧Vrに維持しておき、書込みリカバリ時間(書き込みサイクル直後の読出しサイクルにおける読出しアクセス時間の増大)を最小化する。
本図では、センスアンプSAHjは第2書込みビット線Bnjに備えたが、これに限定されず、第1書込みビット線Bpjに備えてもよく、Bpj、Bnjに交互に備えてもよい。
例えば、第1書込みビット線Bpjの一端に備えたドライバDRpjと、第2書込みビット線Bnjの一端に備えたドライバDRnjを各々スイッチング定電圧源とし、DRpj、DRnjが各々、高レベル電圧VH、低レベル電圧VLを供給して書込み電流+Iwを印加し、DRpj、DRnjが各々、低レベル電圧VL、高レベル電圧VHを供給して書込み電流−Iwを印加する。
書込み完了後は、DRpj、DRnjの出力をともに読出し電圧Vrに戻す。
電圧VH、Vr、VLは、VL ≦ Vr ≦ VH、を満たす。
ここで、トランジスタQeのサイズとゲート電圧(ブロック選択/書込みイネーブル(BS/WE)の高レベル電圧)を適切に設計し、トランジスタQeの飽和電流を所望の書込み定電流値Iwに設定する。即ち、トランジスタQeを定電流源として動作させるので、上記「定電流書込み方式」のような、一般に定電圧源回路よりも複雑な(スイッチング)定電流源回路を要しない。
また、第3のMRAMデバイスの読出し時には、書込みビット線Bpj〜Bnjの両端に各々備えたドライバDRpj、DRnjの出力のうち一方に読出し電位Vrを与え、他方はオフしなければならない。
また、第4のMRAMデバイスの読出し時には、書込みビット線Bpj〜Bnjの両端に各々備えたドライバDRpj、DRnjの双方の出力をオフし、センスアンプSAHjが読出し電位Vrを与えなければならない。
また、第5のMRAMデバイスの読出し時には、第1、第2書込みビット線Bpj、Bnjの一端に各々備えたドライバDRpj、DRnjの双方の出力をオフし、センスアンプSAHjが読出し電位Vrを与えなければならない。
上述の第1、第2の実施形態を通じて、GND側センスアンプSALj(第1、第3のMRAMデバイスの場合)、電源(VDD)側センスアンプSAHj(第2、第4、第5のMRAMデバイスの場合)を設けてあるが、ここでは特に、これらのセンスアンプに用いる、本願発明に係る抵抗器の構成について述べる。
以下、「j」は第j番目(j=1、2、…)の列を意味する。
図15の(a)は電源側センスアンプSAHjの模式図であり、(b)は参照抵抗器Rf、Rfoの抵抗値表である。
GND側センスアンプSALjの場合も、図15の(a)において例えば、VDDとGNDを逆転し、トランジスタQo、Qfoの極性をNチャネルからPチャネルに変更することにより同様に実現できる。
上述のように読出し時には、書込み用ドライバDRpj、DRnjは第1書込みビット線Bpjを読出し電圧Vrに設定した後オフされ、センスアンプの動作を妨げないからである。
トランジスタQo、Qfoのゲートには、定電圧Vr+Vth(VthはQo、Qfoの共通の閾値電圧)が印加されているので、書き込みビット線Bnjの電位は読出し電位Vrに維持され、高速読出しを可能にする。
それは、参照側の抵抗器Rf、Rfoの抵抗値を、例えば図15(b)に示すような例1〜例3のいずれかに設定することにより実現できる。
なお、MTJトンネル抵抗器Rmの小抵抗値Rs、大抵抗値Rbは典型的には各々、10KΩ、20KΩであり、これらに比べて配線抵抗値及びトランジスタQrの導通抵抗値は無視できるくらい小さい。
例えば、全ての抵抗器を半導体で具現する場合は、例えば上記「例1」において、RfoとしてRoと同一の半導体抵抗器を用い、Rfとして、その抵抗値の設計中心値を、MTJトンネル抵抗器Rmの小抵抗値Rs、大抵抗値Rbの設計中心値を用いて決定する。
この方法は簡明であるが、半導体・MTJ接合双方の特性が独立にばらつくので、差動動作マージンが狭くなる場合がある。
例えば、固定層と記憶層の磁化方向が製膜工程により、各々、Y方向、X方向であるMTJ接合、
及び、固定層と記憶層の磁化方向が平面形状により、各々、Y方向、X方向であるMTJ接合、は共に一般に記憶層の磁化状態に関わらず小抵抗値Rsと大抵抗値Rbの中間の値Rmidを有するMTJトンネル抵抗器Rmを与える。
また、MRAMデバイスに対する電源投入の直後に「0」を書込んだMTJ素子、又は「1」を書込んだMTJ素子は当然、小抵抗値Rs又は大抵抗値Rbを有するMTJトンネル抵抗器Rmを与える。
さらに、書込みバイアス線を備える場合(即ち、第2の実施形態、第3、第4、第5のMRAMデバイス)、MRAMデバイスの製造工程中に、X方向に量子性容易軸を有するヨークに磁場印加又は着磁することにより、「0」を書込んだMTJ素子及び/又は「1」を書込んだMTJ素子を形成できる。
本図の回路手法は、他の第1〜第4のMRAMデバイスに対しても容易に適用できる。
本図では簡略化のため、メモリセルは2行(i=1、2)1列(j=1)の2個のみを明示する。
本図において第1書込みビット線Bpjの一端に備えたドライバDRpjと、第2書込みビット線Bnjの一端に備えたドライバDRnjは各々、トランジスタQ1・Q2及びQ3・Q4からなるトーテムポール型のスイッチング定電圧源であり、書込みデータDj−in(図示せず)により制御される入力信号DG1〜DG4により相補的にスイッチングされる。両ドライバDRPj、DRnjは列選択信号Yjにより制御されるトランジスタQ5を介して選択的に活性化される。
選択された(第i行第j列の)セルのMTJ抵抗器Rmを流れるMTJトンネル電流は読出し電流として、本図の場合、第1書込みビット線Bpj、チップ選択入力CS/PSをゲート入力とするトランジスタQ7、及び列選択入力Yjをゲート入力とする列選択トランジスタQ6を介して、電源側抵抗器Roにセル記憶内容の「0」「1」に応じて異なる電圧降下を生じる。
また、電源側抵抗器Rfoの抵抗値は、参照セルに書込んだ「0」又は「1」に応じて上記のように変更し、常に一定の、「0」「1」の中間の電圧降下を生じるようにする。
本図では、各列の差動アンプの出力はワイアドORを取って全列共通の抵抗器R1に電圧降下を生じるようにしたが、高速化のためには、各列にバッファ出力回路を設け、その出力の論理OR(又は、NOR)を取ることが望ましい。
Q11は飽和領域で動作するので定電流シンク出力を与え、その定電流量はトランジスタQ11とQ12のサイズ比により自由に設計できる。
例えば、この比を20に設定すると、抵抗Rcsで規定できる参照電流を100μAとしても、2mAの書込みバイアス電流が得られ、しかもこれらの電流は選択した第i行にのみ流れるので、低電力で具現できる。
図17は、上述の第4のMRAMデバイスをシリコン基板上で具現する第2のMRAMセル構造図である。
図17の(d)は、図13に例示した第4のMRAMデバイスのMRAMセル1個の回路図であり、(a)(b)(c)は、該MRAMセルの構造を示す図である。そのうち、(c)はZ方向から見た透視XY平面図、(a)(b)は各々、(c)におけるA−A断面図、B−B断面図である。
図17(c)は透視図であるが、理解を容易にするため、シリコン基板内の部材は一部を除いて破線で表示してある。
また、各部材のサイズは、その輪郭線が透視XY平面図(c)において重ならないようにするため、意図的に互いに相違させてあるが、これに限定されないことはいうまでもない。
第1に、書込みバイアス線10は、クラッド11を備える。クラッド11は強磁性体、例えばパーマロイ膜からなり、書込みバイアス線10の下面及び両側面はクラッド11により被覆されるが、ヨーク7に対向する書込みバイアス線の上面はクラッド11により被覆されない。クラッド11の効用は上述したとおり、第3金属層10に流す書込みバイアス電流により強磁性膜内に誘導された強い磁場がヨーク7をY方向に通過し、ヨーク7に所定の磁場を印加するのに必要な書込みバイアス電流を低減できることである。
緩和的結合62は、ヨーク7と記憶層5が、磁束の還流連続性を実質的に満足できる程度の結合であって、且つ、ヨーク7の磁化方向が記憶層5の磁化方向に対して平行及び直交状態の何れも維持できる程度の結合を呈するものである。
本願は、緩和的結合62について本願は下記の2種の構造を提供する。図面では第2種の構造を代表的に示してあるが、これに限られない。
クラッド11を含む第3金属層10は、トランジスタQrのゲート15の上方のスペースに設けられるので、コンパクトな構造が具現でき、このMRAMセルのサイズは、最小特徴寸法(minimal_feature_size)をFとして概略、2F×3F=6F2 が可能になる。
図18は、上述の第4のMRAMデバイスをシリコン基板上で具現する第2のMRAMセル構造図である。
本例は、図17を参照して説明した上述の具現例1と殆どの点で共通するので、これを繰り返さない。相違点は、第1にトランジスタQrとして「縦型」を用いたことであり、第2に、これに伴い、クラッド11を含む第3金属層(書込みバイアス線)10を、ヨーク7の上方に配置したことである。
この結果、本例のMRAMセルを構成する部材は全て縦(Z)方向に集積されるので、さらにコンパクトな構造が具現でき、このMRAMセルのサイズは、最小寸法をFとして概略、2F×2F=4F2 が可能になる。
以上、第1の実施形態(MRAMセルSTJ1)における第1、第2のMRAMデバイス、及び第2の実施形態(MRAMセルSTJ2)における第3、第4、第5のMRAMデバイスを通じて、書込みビット線Bpj及びBnj、又はBpj〜Bnjには、選択されていない場合も常に、所定の読出し電圧Vrが印加されている。その結果、選択された行(ワード線Wi、i=1、2、・・・)に属する全てのMRAMセルには各々、読出し電流Irが流れる。例えばIr=5μAとしても1ワード当たり1Kビットの場合、その総量は5mAにのぼり、無視できない静止(スタンバイ)電力増加を引き起こす。
ただし、そのためには、少なくとも、1行当たりのワード線が2本(全体ワード線とブロック別ワード線)必要になるが、ワード方向の配線余地は上部メタルレイヤー(配線体92)にもあるので、MRAMセルピッチ2Fを維持する配線が可能である。
ただし、その結果として読出し時には、選択した書込みビット線の電位を読出し電圧Vr(GNDとは異なる電位)に回復しなければならず、その際、定電圧(Vr)ドライバを活性化するとしても、読出しアクセスの悪化を招く。
2 MTJ接合
3 強磁性固定層、固定層
4 非磁性障壁層、障壁層
5 強磁性記憶層、記憶層
6 第2金属層(書込みビット線)
7 ヨーク
8 バーズビーク型絶縁層
9 基板、シリコン基板
10 第3金属層(書込みバイアス線)
11 クラッド
13 ヴィア
14 ゲート絶縁膜
15 ゲート(ワード線)
16 チャネル領域
17 (GND)コンタクト
18 ドレーン
19 ソース
32 反強磁性層
34 強磁性層
37c 強磁性固定層の傾斜面
39 残存固定層
52 記憶層キャップ
57a 強磁性記憶層の接触面
57b 第1絶縁層のうちの、強磁性記憶層の傾斜面上の部分
57c 強磁性記憶層の傾斜面
62 緩和的結合
64 金属層下部キャップ
66 主金属層
68 金属層上部キャップ
82 第1絶縁層
84 第2絶縁層
85 第3絶縁層
91 基板本体
92 配線体
822 第1バーズビーク
842 第2バーズビーク
Claims (24)
- 基板のXY平面上に設けられた、X方向に延伸する第1金属層(一方の延伸部の端子名をRとする)と、前記第1金属層のZ方向(以下、上方という)に離隔してX方向に直交するY方向に延伸する第2金属層(両方の延伸部の端子名を各々Wp、Wnとする)と、前記第1、第2金属層の重畳部に介在する磁気トンネル接合(以下、MTJ接合という)と、前記第2金属層を跨いでその一部を被覆するヨークと、を含み、
前記MTJ接合は、強磁性固定層、非磁性障壁層、及び強磁性記憶層(以下、各々、単に固定層、障壁層、記憶層ともいう)の3層をこの順に積層してなり、且つ、前記第2金属層に被覆されない延伸部を含み、
前記MTJ接合は前記強磁性固定層及び前記強磁性記憶層の磁化状態が平行か反平行かにより各々、Z方向に小抵抗か大抵抗かを呈し、これを各々、「0」状態、「1」状態とし、
前記ヨークは、強磁性体又は高透磁率磁性体からなり、そのX方向の両端部は、前記強磁性記憶層の前記第2金属層に被覆されない延伸部のうちの前記記憶層に直接、又は非磁性絶縁層を介して接するMTJ素子であって、
前記ヨークが個々のMTJ素子を覆い、且つ隣接するMTJ素子のヨークから互いに離隔され、
前記ヨークの平面形状、及び前記強磁性記憶層の平面形状は各々、そのサイズが1μm以下の長軸を有し、該長軸は形状磁気異方性により磁化容易軸をなし(以下、これを量子性容易軸という)、
前記MTJ接合の強磁性記憶層のXY平面形状はX方向に量子性容易軸を有し、前記ヨークのXY平面形状はY方向に量子性容易軸を有し、
前記強磁性記憶層は前記第2金属層に被覆されない延伸部において、前記ヨークと、前記第2金属層のY方向に印加された書込み電流により誘導された磁束の変化に際して、前記互いに直交する量子性容易軸を保ちながら、直接、又は非磁性絶縁層を介して前記磁束の還流連続性を実質的に満足する緩和的結合を有し、
前記ヨークのYZ断面積は、前記強磁性記憶層のYZ断面積より大きい、
ことを特徴とするMTJ素子。 - 前記記憶層と前記ヨークの各々の量子性容易軸形成を薄膜磁性の形状異方性により形成するために、
前記MTJ接合のXY平面形状はX方向に長辺を有する長方形であり、前記ヨークのXY平面形状はY方向に長辺を有する長方形である、
ことを特徴とする請求項1に記載のMTJ素子。 - 前記記憶層と前記ヨークの各々の量子性容易軸形成を互いに独立に反強磁性薄膜を堆積することにより形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載のMTJ素子。 - 基板のXY平面上に設けられた、X方向に延伸する第1金属層(一方の延伸部の端子名をRとする)と、前記第1金属層のZ方向(以下、上方という)に離隔してX方向に直交するY方向に延伸する第2金属層(両方の延伸部の端子名を各々Wp、Wnとする)と、前記第1、第2金属層の重畳部に介在する磁気トンネル接合(以下、MTJ接合という)と、前記第2金属層を跨いでその一部を被覆するヨークと、X方向に設けられた第3金属層と、を含み、
前記MTJ接合は、強磁性固定層、非磁性障壁層、及び強磁性記憶層(以下、各々、単に固定層、障壁層、記憶層ともいう)の3層をこの順に積層してなり、且つ、前記第2金属層に被覆されない延伸部を含み、
前記MTJ接合は前記強磁性固定層及び前記強磁性記憶層の磁化状態が平行か反平行かにより各々、Z方向に小抵抗か大抵抗かを呈し、これを各々、「0」状態、「1」状態とし、
前記ヨークは、強磁性体又は高透磁率磁性体からなり、そのX方向の両端部は、前記強磁性記憶層の前記第2金属層に被覆されない延伸部のうちの前記記憶層に直接、又は非磁性絶縁層を介して接するMTJ素子であって、
前記MTJ接合の強磁性記憶層のXY平面形状はX方向に量子性容易軸を有し、前記ヨークのXY平面形状はX方向に量子性容易軸を有し、
前記強磁性記憶層は前記第2金属層に被覆されない延伸部において、前記ヨークと、互いに直交する量子性容易軸を保ちながら、直接、又は非磁性絶縁層を介して磁束の還流連続性を実質的に満足する緩和的結合を有し、
前記ヨークのYZ断面積は、前記強磁性記憶層のYZ断面積より大きく、
前記第3金属層に印加した書込みバイアス電流による誘起磁界により前記ヨークのY方向量子異方性を得ることを特徴とするMTJ素子。 - 前記ヨークのX方向の両端部が前記強磁性記憶層の前記第2金属層に被覆されない延伸部のうちの前記記憶層に非磁性絶縁層を介して接する場合、前記非磁性絶縁層は、バーズビークの先端が前記強磁性記憶層の傾斜面に到達する第1絶縁層と、その上に積層された、バーズビークの先端が前記強磁性記憶層の傾斜面の上方に到達しない第2絶縁層と、を含む、ことを特徴とする請求項2又は4に記載のMTJ素子。
- 前記第2金属層及び前記非磁性絶縁層と、前記ヨークとの間に介在する非磁性体からなる第3絶縁層をさらに備える、ことを特徴とする請求項5に記載のMTJ素子。
- 請求項5に記載のMTJ素子の製法であって、
成膜時の入射角制御により、第1の入射角を用いて前記第1絶縁層を形成し、前記第1の入射角と相異なる第2の入射角を用いて前記第2絶縁層を形成する、
ことを特徴とするMTJ素子の製法。
- 請求項1に記載のMTJ素子と、前記MTJ素子のWp端子にソースが接続されたトランジスタQwと、前記MTJ素子のR端子にドレーンが接続されたトランジスタQrと、を含むMRAMセルを複数個備えて前記XY平面上に配列し、トランジスタQw、Qrのゲートは第i番目のワード線Wi(i=1、2、・・・)に接続され、トランジスタQwのドレーンは第j番目の第1書込みビット線Bpj(j=1、2、・・・)に接続され、トランジスタQrのソースは前記第j番目の読出しビット線Bjに接続され、前記MTJ素子のWn端子は前記第j番目の第2書込みビット線Bnjに接続されてなり、
前記第i番目のワード線Wiを1本のみ高レベルに駆動することにより、前記第i番目のワード線に接続されたMRAMセルのトランジスタQw、Qrを導通させて前記第i番目のワード線に接続されたMRAMセルを選択し、
書込みは、選択した列(第j列)について、前記第1書込みビット線Bpjから前記トランジスタQwを介して前記第2書込みビット線Bnjに向かう書込み電流Iwを印加して、その誘導磁場により交点(i、j)のMRAMセルのMTJ接合の前記強磁性記憶層の磁化容易軸の方向を前記強磁性固定層の磁化容易軸の方向に変更して「0」を書込み、又は、逆向きに書込み電流Iwを印加して、その誘導磁場により交点(i、j)のMTJ接合の前記強磁性記憶層の磁化容易軸の方向を前記強磁性固定層の磁化容易軸の逆方向に変更して「1」を書込み、
一方、読出しは、各列(第j列)について、少なくとも前記第2書込みビット線Bnjに読出し電圧Vrを印加して、選択した交点(i、j)のMRAMセルのトランジスタQw、Wp端子を介して、前記MTJ接合を流れるトンネル電流を、前記R端子を介して前記読出しビット線Bjに導き、前記読出しビット線Bjの一端に備えたセンスアンプにより上記トンネル電流の大、小を、即ち、「0」、「1」を検出する、
ことを特徴とするMRAMデバイス。 - 請求項1に記載のMTJ素子と、前記MTJ素子のWp端子にソースが接続されたトランジスタQwと、前記MTJ素子のR端子にドレーンが接続されたトランジスタQrと、を含むMRAMセルを複数個備えて前記XY平面上に配列し、トランジスタQw、Qrのゲートは第i番目のワード線Wi(i=1、2、・・・)に接続され、トランジスタQwのドレーンは第j番目の第1書込みビット線Bpj(j=1、2、・・・)に接続され、トランジスタQrのソースは接地線GNDに接続され、前記MTJ素子のWn端子は前記第j番目の第2書込みビット線Bnjに接続されてなり、
前記第i番目のワード線Wiを1本のみ高レベルに駆動することにより、前記第i番目のワード線に接続されたMRAMセルのトランジスタQw、Qrを導通させて前記第i番目のワード線に接続されたMRAMセルを選択し、
書込みは、選択した列(第j列)について、前記第1書込みビット線Bpjから前記トランジスタQwを介して前記第2書込みビット線Bnjに向かう書込み電流Iwを印加して、その誘導磁場により交点(i、j)のMRAMセルのMTJ接合の前記強磁性記憶層の磁化容易軸の方向を前記強磁性固定層の磁化容易軸の方向に変更して「0」を書込み、又は、逆向きに書込み電流Iwを印加して、その誘導磁場により交点(i、j)のMTJ接合の前記強磁性記憶層の磁化容易軸の方向を前記強磁性固定層の磁化容易軸の逆方向に変更して「1」を書込み、
一方、読出しは、各列(第j列)について、前記第1書込みビット線Bpj及び前記第2書込みビット線Bnjのいずれかの一端にセンスアンプを備え、少なくとも前記第2書込みビット線Bnjに読出し電圧Vrを印加して、選択した交点(i、j)のMRAMセルのトランジスタQw、Wp端子を介して、又は直接、前記MTJ接合を流れるトンネル電流を、トランジスタQrを介して接地線GNDに導き、前記センスアンプにより前記トンネル電流の大、小を、即ち、「0」、「1」を検出する、
ことを特徴とするMRAMデバイス。 - 請求項4に記載のMTJ素子と、前記MTJ素子のR端子にドレーンが接続されたトランジスタQrと、を含むMRAMセルを複数個備えて前記XY平面上に配列し、
トランジスタQrのゲートは第i番目のワード線Wi(i=1、2、・・・)に接続され、
トランジスタQrのソースは第j番目の読出しビット線Bj(j=1、2、・・・)に接続され、
前記MTJ素子のWp、Wn端子は順次隣接するMRAMセルのMTJ素子のWn、Wp端子と接続されて書込みビット線Bpj〜Bnjを形成し(その両端をBpj、Bnjとする)、
前記MTJ素子の第3金属層の両端Pp、Pnは、順次隣接するMRAMセルのMTJ素子の第3金属層の両端Pp、Pnと接続されて、前記第i番目のワード線Wiに平行する第i番目の書込みバイアス線Wpi〜Wniを形成してなり、
書込みは、選択したi番目の書込みバイアス線Wpi〜Wniのみに所定の書込みバイアス電流を印加すると共に、選択した列(第j列)について書込みビット線Bpj〜Bnjに、前記Bpj端子側から前記Bnj端子側に向けて書込み電流Iwを印加して、その誘導磁場により交点(i、j)のMRAMセルのMTJ接合の前記強磁性記憶層の磁化容易軸の方向を前記強磁性固定層の磁化容易軸の方向に変更して「0」を書込み、
又は、逆向きに書込み電流Iwを印加して、その誘導磁場により交点のMTJ接合の前記強磁性記憶層の磁化容易軸の方向を前記強磁性固定層の磁化容易軸の逆方向に変更して「1」を書込み、
一方、読出しは、選択したi番目のワード線Wiのみを高レベルに駆動することにより、その行のMRAMセルのトランジスタQrを全て導通させ、各列(第j列)について、書込みビット線Bpj〜Bnjに読出し電圧Vrを印加して、交点(i、j)のMRAMセルのMTJ接合を流れるトンネル電流を、トランジスタQrを介して読出しビット線Bjに導き、読出しビット線Bjの一端に備えたセンスアンプにより前記トンネル電流の大、小を、即ち、「0」、「1」を検出する、
ことを特徴とするMRAMデバイス。 - 請求項4に記載のMTJ素子と、前記MTJ素子のR端子にドレーンが接続されたトランジスタQrと、を含むMRAMセルを複数個備えて前記XY平面上に配列し、
トランジスタQrのゲートは第i番目のワード線Wi(i=1、2、・・・)に接続され、
トランジスタQrのソースは接地線GNDに接続され、
前記MTJ素子のWp、Wn端子は順次隣接するMRAMセルのMTJ素子のWn、Wp端子と接続されて書込みビット線Bpj〜Bnjを形成し(その両端をBpj、Bnjとする)、
前記MTJ素子の第3金属層の両端Pp、Pnは、順次隣接するMRAMセルのMTJ素子の第3金属層の両端Pp、Pnと接続されて、前記第i番目のワード線Wiに平行する第i番目の書込みバイアス線Wpi〜Wniを形成してなり、
書込みは、選択したi番目の書込みバイアス線Wpi〜Wniのみに所定の書込みバイアス電流を印加すると共に、選択した列(第j列)について書込みビット線Bpj〜Bnjに、前記Bpj端子側から前記Bnj端子側に向けて書込み電流Iwを印加して、その誘導磁場により交点(i、j)のMRAMセルのMTJ接合の前記強磁性記憶層の磁化容易軸の方向を前記強磁性固定層の磁化容易軸の方向に変更して「0」を書込み、
又は、逆向きに書込み電流Iwを印加して、その誘導磁場により交点のMTJ接合の前記強磁性記憶層の磁化容易軸の方向を前記強磁性固定層の磁化容易軸の逆方向に変更して「1」を書込み、
一方、読出しは、各列(第j列)について、前記書込みビット線Bpj〜Bnjの一端にセンスアンプを備え、選択したi番目のワード線Wiのみを高レベルに駆動することにより、その行のMRAMセルのトランジスタQrを全て導通させ、各列(第j列)について、書込みビット線Bpj〜Bnjに読出し電圧Vrを印加して、交点(i、j)のMRAMセルのMTJ接合を流れ、トランジスタQrを介して前記接地線に導かれる前記MTJ接合のトンネル電流の大、小を、即ち、「0」、「1」を、前記センスアンプにより検出する、
ことを特徴とするMRAMデバイス。 - 請求項4に記載のMTJ素子と、前記MTJ素子のR端子にドレーンが接続されたトランジスタQrと、を含むMRAMセルを複数個備えて前記XY平面上に配列した複数個のブロックを有し、前記複数個のブロックはY方向に配列され、
トランジスタQrのゲートは第i番目のワード線Wi(i=1、2、・・・)に接続され、
トランジスタQrのソースは接地線GNDに接続され、
前記MTJ素子のWp、Wn端子は順次隣接するMRAMセルのMTJ素子のWn、Wp端子と接続されて書込みビット線を形成し、
前記書込みビット線の一端にドレーンが接続され、ブロック選択/書込みイネーブル(BS/WE)にゲートが接続されたトランジスタQeをさらに含み、
前記書込みビット線の他端は、前記複数個のブロックを跨いでY方向に延びる第j番目の第1書込みビット線Bpj(j=1、2、・・・)に接続され、
トランジスタQeのソースは、前記複数個のブロックを跨いでY方向に延びる第j番目の第2書込みビット線Bnjに接続されてなり、
前記MTJ素子の第3金属層の両端Pp、Pnは、順次隣接するMRAMセルのMTJ素子の第3金属層の両端Pp、Pnと接続されて、前記第i番目のワード線Wiに平行する第i番目の書込みバイアス線Wpi〜Wniを形成してなり、
書込みは、前記ブロック選択/書込みイネーブル(BS/WE)高レベルに駆動することにより選択したブロックの、選択した第i番目の書込みバイアス線Wpi〜Wniのみに所定の書込みバイアス電流を印加すると共に、選択した列(第j列)について書込みビット線に、前記第j番目の第1書込みビット線Bpjから前記ブロック選択/書込みイネーブル(BS/WE)により選択したトランジスタQeを介して前記第j番目の第2書込みビット線Bnjに向けて書込み電流Iwを印加して、その誘導磁場により交点(i、j)のMRAMセルのMTJ接合の前記強磁性記憶層の磁化容易軸の方向を前記強磁性固定層の磁化容易軸の方向に変更して「0」を書込み、
又は、逆向きに書込み電流Iwを印加して、その誘導磁場により交点のMTJ接合の前記強磁性記憶層の磁化容易軸の方向を前記強磁性固定層の磁化容易軸の逆方向に変更して「1」を書込み、
一方、読出しは、各列(第j列)について、前記第1、第2書込みビット線Bpj、Bnjのいずれかの一端にセンスアンプを備え、選択したブロックの選択した第i番目のワード線Wiのみを高レベルに駆動することにより、その行のMRAMセルのトランジスタQrを全て導通させ、各列(第j列)について、前記第1、第2書込みビット線Bpj、Bnjに読出し電圧Vrを印加して、交点(i、j)のMRAMセルのMTJ接合を流れ、トランジスタQrを介して前記接地線に導かれる前記MTJ接合のトンネル電流の大、小を、即ち、「0」、「1」を、前記センスアンプにより検出する、
ことを特徴とするMRAMデバイス。 - 前記センスアンプが前記「0」(大)の場合と前記「1」(小)の場合のトンネル電流の中間値に対応する参照電圧を発生する回路を備え、前記参照電圧の値を決定する抵抗器を提供する抵抗性素子が、
(1)半導体抵抗器、
(2)固定層と記憶層の磁化方向が製膜工程により、各々、Y方向、X方向であるMTJ接合、
(3)固定層と記憶層の磁化方向が平面形状により、各々、Y方向、X方向であるMTJ接合、
(4)前記MRAMデバイスに対する電源投入の直後に「0」を書込んだMTJ素子と「1」を書込んだMTJ素子とを含む複合素子、
(5)前記MRAMデバイスに対する電源投入の直後に「0」又は「1」のいずれか一方を書込んだMTJ素子、
のいずれか一つである、ことを特徴とする請求項8乃至請求項12の何れか1項に記載のMRAMデバイス。 - 前記センスアンプが前記「0」(大)の場合と前記「1」(小)の場合のトンネル電流の中間値に対応する参照電圧を発生する回路を備え、前記参照電圧の値を決定する抵抗器を提供する抵抗性素子が、
前記MRAMデバイスの製造工程中に、前記X方向に量子性容易軸を有するヨークに磁場印加又は着磁することにより形成した、「0」を書込んだMTJ素子と「1」を書込んだMTJ素子とを含む複合素子、
であることを特徴とする請求項10乃至請求項12の何れか1項に記載のMRAMデバイス。 - 前記抵抗性素子が複数個、前記Y方向に沿って少なくとも1列分配置されている、ことを特徴とする請求項13又は14に記載のMRAMデバイス。
- 前記第1書込みビット線Bpjと前記第2書込みビット線Bnjに各々接続された、第1ドライバDRpjと第2ドライバDRnjを備え、
書込みは、前記第1ドライバDRpjと前記第2ドライバDRnjが各々、高電圧VHと低電圧VLを供給して前記トランジスタQwにより設定される書込み電流Iwを生成し、又は、前記第1ドライバDRpjと前記第2ドライバDRnjが各々、前記低電圧VLと前記高電圧VHを供給して前記トランジスタQwにより設定される逆向きの書込み電流Iwを生成し、
前記読出し電圧Vrは、前記低電圧VLより大きく、前記高電圧VHより小さい、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載のMRAMデバイス。 - 前記第1書込みビット線Bpjと前記第2書込みビット線Bnjに各々接続された、第1ドライバDRpjと第2ドライバDRnjを備え、
書込みは、前記第2ドライバDRnjが常に前記読出し電圧Vrを供給し、前記第1ドライバDRpjが高電圧VHを供給して前記トランジスタQwにより設定される書込み電流Iwを生成し、又は、前記第1ドライバDRpjが低電圧VLを供給して前記トランジスタQwにより設定される逆向きの書込み電流Iwを生成し、
前記読出し電圧Vrは、前記低電圧VLより大きく、前記高電圧VHより小さい、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載のMRAMデバイス。 - 前記書込みビット線Bpj〜Bnjの両端に各々接続された、第1ドライバDRpjと第2ドライバDRnjを備え、
書込みは、前記第2ドライバDRnjが常に前記読出し電圧Vrを供給し、前記第1ドライバDRpjが、書込みデータの「1」「0」に応じて、書込み電流Iwを供給し、又は、逆向きの書込み電流Iwを供給する、ことを特徴とする請求項10又は11に記載のMRAMデバイス。 - 前記トランジスタQeのソースに接続された第1ドライバDRpjと、前記書込みビット線Bpj〜Bnjの他端Bnjに接続された第2ドライバDRnjを備え、
書込みは、前記第1ドライバDRpjと前記第2ドライバDRnjが各々、高電圧VHと低電圧VLを供給して前記トランジスタQeにより設定される書込み電流Iwを生成し、又は、前記第1ドライバDRpjと前記第2ドライバDRnjが各々、前記低電圧VLと前記高電圧VHを供給して前記トランジスタQeにより設定される逆向きの書込み電流Iwを生成し、
前記読出し電圧Vrは、前記低電圧VLより大きく、前記高電圧VHより小さい、
ことを特徴とする請求項12に記載のMRAMデバイス。 - 前記第3金属層は、前記MTJ素子のヨークに対向している面を除いて磁性膜でクラッドされている、ことを特徴とする請求項4に記載のMTJ素子。
- 前記ソース、ドレーン、及びゲートを備えるトランジスタQrは、重畳する、単数又は複数の絶縁層と単数又は複数の配線層からなる配線体で被覆されたシリコン基板内に形成され、前記ソースは前記配線体内の接地線GNDに接続され、前記ゲートは前記配線体内のX方向に設けられたワード線Wi(i=1、2、・・・)に接続され、
前記MTJ素子を形成するMTJ接合の強磁性固定層、非磁性障壁層、及び強磁性記憶層(以下、各々、単に固定層、障壁層、記憶層ともいう)は、この順に前記配線体の上部に積層して前記ドレーンの上方に設けられ、
前記強磁性固定層の下面は、前記配線体内に設けたヴィアを介して前記ドレーンに接続され、
前記書込みビット線Bpj〜Bnjは、前記複数の第j列のMTJ接合の強磁性記憶層の各々の上方に接するようにY方向に設けられ、
前記ヨークは、前記書込みビット線Bpj〜Bnjの内、前記複数の第j列のMTJ接合の強磁性記憶層の各々の上方に接する部分を跨いで被覆するように設けられ、
前記書込みバイアス線Wpi〜Wniは、前記書込みビット線Bpj〜Bnj及び前記ヨークの上方に絶縁層を介してX方向に設けられる、ことを特徴とする請求項11に記載のMRAMデバイス。 - 前記トランジスタQrは縦型トランジスタである、即ち、前記シリコン基板内に形成されたn+型シリコン領域をソースとし、前記シリコン基板上にX方向に設けられたポリシリコン領域をゲート電極とし、前記ポリシリコン領域に設けた貫通孔の内壁に設けた円筒状の絶縁膜をゲート絶縁膜とし、前記ゲート絶縁膜で囲まれた空間を満たし且つ前記n+型シリコン領域に下方で接するp型シリコン領域をチャネル領域とし、前記p型シリコンに上方で接するn+型シリコン領域をドレーンとする、ことを特徴とする請求項21に記載のMRAMデバイス。
- 前記ソース、ドレーン、及びゲートを備えるトランジスタQrは、重畳する、単数又は複数の絶縁層と単数又は複数の配線層とからなる配線体で被覆されたシリコン基板内に形成され、前記ソースは前記配線体内の接地線GNDに接続され、前記ゲートは前記配線体内のX方向に設けられたワード線Wi(i=1、2、・・・)に接続され、
前記書込みバイアス線Wpi〜Wniは、前記ワード線Wi及び/又は前記接地線GNDの上方に絶縁層を介してX方向に設けられ、
前記MTJ素子を形成するMTJ接合の強磁性記憶層、非磁性障壁層、及び強磁性固定層(以下、各々、単に記憶層、障壁層、固定層ともいう)は、この順に前記配線体の上部に積層して前記書込みバイアス線Wpi〜Wniの上方に設けられ、
前記強磁性固定層の延伸部は、前記配線体内に設けたヴィアを介して前記ドレーンに接続され、
前記書込みビット線Bpj〜Bnjは、前記複数の第j列のMTJ接合の強磁性記憶層の各々の上方に接してY方向に設けられ、
前記ヨークは、前記書込みビット線Bpj〜Bnjの内、前記複数の第j列のMTJ接合の強磁性記憶層の各々の上方に接する部分を跨いで被覆するように設けられる、ことを特徴とする請求項11に記載のMRAMデバイス。 - 前記第i番目のワード線Wi(i=1、2、・・・)に接続されたMRAMセルを複数個のブロックに分割し、読出し又は書込み動作時には、列方向(j=1、2、・・・)のアドレスデータの内、上位の複数ビットによるデコード結果を列方向のブロック選択データとして、選択されたブロックに対応するブロックワード線を高レベルに駆動し、非選択のブロックに対応するブロックワード線を低レベルに駆動することにより、一方、静止時には、全てのブロックワード線を低レベルに駆動することにより、動作時の非選択ブロック内のMRAMセル、及び静止時の全ブロック内のMRAMセルに読出し電流が流れないようにする、ことを特徴とする請求項8乃至12の何れか1項に記載のMRAMデバイス。
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