JP5549782B2 - レール溶接部の再加熱方法 - Google Patents
レール溶接部の再加熱方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5549782B2 JP5549782B2 JP2013516390A JP2013516390A JP5549782B2 JP 5549782 B2 JP5549782 B2 JP 5549782B2 JP 2013516390 A JP2013516390 A JP 2013516390A JP 2013516390 A JP2013516390 A JP 2013516390A JP 5549782 B2 JP5549782 B2 JP 5549782B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- rail
- reheating
- welding
- region
- center
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D9/00—Heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering, adapted for particular articles; Furnaces therefor
- C21D9/04—Heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering, adapted for particular articles; Furnaces therefor for rails
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23K—SOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
- B23K31/00—Processes relevant to this subclass, specially adapted for particular articles or purposes, but not covered by only one of the preceding main groups
- B23K31/02—Processes relevant to this subclass, specially adapted for particular articles or purposes, but not covered by only one of the preceding main groups relating to soldering or welding
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D1/00—General methods or devices for heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering
- C21D1/26—Methods of annealing
- C21D1/30—Stress-relieving
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D9/00—Heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering, adapted for particular articles; Furnaces therefor
- C21D9/50—Heat treatment, e.g. annealing, hardening, quenching or tempering, adapted for particular articles; Furnaces therefor for welded joints
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C38/00—Ferrous alloys, e.g. steel alloys
- C22C38/02—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing silicon
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C38/00—Ferrous alloys, e.g. steel alloys
- C22C38/04—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing manganese
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C38/00—Ferrous alloys, e.g. steel alloys
- C22C38/18—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23K—SOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
- B23K2101/00—Articles made by soldering, welding or cutting
- B23K2101/26—Railway- or like rails
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23K—SOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
- B23K2103/00—Materials to be soldered, welded or cut
- B23K2103/02—Iron or ferrous alloys
- B23K2103/04—Steel or steel alloys
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D2221/00—Treating localised areas of an article
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Metallurgy (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Thermal Sciences (AREA)
- Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Child & Adolescent Psychology (AREA)
- Butt Welding And Welding Of Specific Article (AREA)
- Machines For Laying And Maintaining Railways (AREA)
- Heat Treatment Of Articles (AREA)
Description
本発明は、レールの溶接方法において、従来と比較して溶接部の疲労強度を向上させる溶接部の再加熱方法に関する。
レールの中で最も損傷が起こりやすく、保守コストがかかる部分はレールの継目部である。また継目部は列車通過時に生じる騒音・振動の主要な発生源となる。旅客鉄道の高速化や貨物鉄道の重積載化が国内外で進められているため、上記問題点を有するレール継目を溶接によって連続化してロングレールにする技術が一般化している。
図1A〜図1Dを用いてロングレール溶接部およびレール断面呼称について説明する。図1Aは溶接部の長手方向の側面図である。ロングレールは、少なくとも2本のレールを溶接することにより製造される。このためロングレールには溶接部7が含まれる。溶接部7にはビード8が存在する。
図1Bは溶接中心Qにおけるレール長手方向に垂直なA-A断面図である。レールは車輪との接触が生じるレール上部の頭部1、枕木に接地するレール下部の足部3、頭部1と足部3の中間の垂直部分である柱部2を有する。また、頭部の最も高い点4は頭頂部、足部の上面5を足表、足部の裏面6は足裏、もしくは底面とも呼ばれる。
図1Cは溶接中心Qを含む、レール長手方向に平行かつ鉛直なB-B断面図である。溶接によりA1変態点以上に加熱される領域、すなわち熱影響部(以下HAZ)の境界線Xが溶接中心Qの両側に生じる。
図1Dはテルミット溶接やエンクローズアーク溶接などの溶融溶接におけるB-B断面である。溶接中心Qの両側に溶融境界Zが存在し、その内部は溶接金属である。
次にレールの溶接方法について説明する。レールの主な溶接方法として、フラッシュバット溶接(例えば特許文献1)、ガス圧接(例えば特許文献2)、エンクローズアーク溶接(例えば特許文献3)、及びテルミット溶接(例えば特許文献4)の4つがある。
フラッシュバット溶接法は図2A〜図2Cに示すように、対向して設置された被溶接材10に電極9を介して電圧をかけて、端面間にアークを発生させて被溶接材の端面を溶融させ、十分に被溶接材が加熱された時点で、軸方向に材料を加圧して被溶接材を接合する溶接方法である。
テルミット溶接は、被溶接材10を20〜30mmの間隙を設けて対向させ、間隙部を鋳型で囲み、鋳型の上部にセットしたルツボ内でアルミと酸化鉄の反応によって溶鋼を生成し、その溶鋼を鋳型内に注入してレール端面を溶融させ、溶接する方法である。
ガス圧接は接合面を加圧した状態で接合面近傍の被溶接材を側面からバーナーで加熱し、高温で接合面を圧接する方法であり、溶接部近傍は加圧により膨張変形する。膨張部はトリマーによって除去される。
エンクローズアーク溶接は被溶接材を10〜20mmの間隙を設けて対向させ、この間隙を裏当て金、側面当て金で取り囲み、その間隙を溶接棒で溶接金属を盛り上げる、マニュアルアーク溶接方法である。
レール溶接部においては、特に重荷重の貨物鉄道や寒冷地などで、レール溶接部の柱部中立軸を起点として疲労亀裂が発生し、これが引き金となって脆性破壊が発生し、レール取替え頻度が多くなることがあった。図3Aおよび図3Bにこの損傷の形態を示す。
すなわち、図3Aは、柱部水平亀裂の発生状態をレール側面側から見ており、疲労亀裂22が柱部中立軸近傍の余盛付近の溶接欠陥を起点に水平方向に発生し、その後、脆性亀裂23が柱部板厚を貫通後、一方の亀裂はレール頭頂側へ、他方の亀裂は底部側へ進展している。この破壊の起点は溶接欠陥の場合もあるが、欠陥がない場合にも溶接部の表面から破壊が起こりうる。
図3Bは前記柱部水平亀裂の発生部位を切断して亀裂面を開口させて、レール頭頂側から見た状態を示す。レール溶接部の柱部の中央付近を起点に疲労亀裂22が発生し、その後脆性亀裂23が柱部板厚を貫通している様子がわかる。
非特許文献2に記載されているように、疲労亀裂の発生には外的な負荷条件とともに、材料内部の残留応力が影響すると言われている。図4はレール溶接部の中心Qにおけるレール長手方向に直角な、周方向の残留応力の断面内分布の、本発明者らによる測定結果を示している。上記疲労亀裂22の原因は、溶接部の柱部2近傍に、レール周方向すなわち鉛直方向に大きな引張残留応力が溶接により発生し、列車通過ごとの繰返し負荷により、疲労亀裂が発生、進展したことによるものである。このような破壊を防止するためには破壊起点となる溶接欠陥の防止とともに、欠陥が存在してもそれを無害化することが望ましい。この観点からレール柱部における鉛直方向の残留応力は低いほど望ましい。本発明者らの疲労試験によると、疲労亀裂の発生頻度の低減には、鉛直方向の残留応力が350MPa以下であることが望ましい。
鉄道における軌道は、砕石バラスト、枕木、レールと枕木の締結装置、レール、から構成される。レール上を列車が通過する際には、多数の列車の車輪から分散した荷重が加わる。
前述の損傷をひき起す原因を考えるには、レール溶接部に対する車輪からの負荷状態を考える必要がある。レールとそれを支持する枕木との関係において最も典型的な状態は、枕木の直上を車輪が通過する際に垂直荷重が直接レールに加わる状態と、車輪が枕木の支持間隔を通過する状態である。工場で溶接されたロングレールが現地に設置される際に、溶接部と枕木位置が一致するかどうかは偶然によるもので、1本数百メートルのロングレールには、枕木位置と溶接部とが一致する箇所が数か所は存在すると考えられる。
図5は、枕木24の直上を車輪25が通過する場合を示す。この場合、断面積が小さいレール柱部2に最も大きい応力が発生する。この場合の応力は圧縮であるが、溶接部8の柱部2においては、前出の著大な引張残留応力のため、実質、引張領域での繰返し応力状態となる。
また車輪が枕木の支持間隔を通過する状態がもう一つの典型的な負荷状態として考えられ、図6に示すようにレールを上方から押し曲げる荷重が加わる。この負荷状態ではレール頭部が長手方向に圧縮され、レールの足部が長手方向に引っ張られ、レールの柱部は中立である。しかし冬季にはレール長手方向に収縮応力が作用していることが多く、柱部の低い位置では繰返し引張応力が負荷される可能性がある。これらの応力に長手方向の残留応力が加わると、冬季には、レール長手方向応力に起因するレール長手方向に直角な方向、すなわち鉛直方向の疲労亀裂が柱部において生じる懸念がある。
なおレール足部には車輪の通過ごとに引張応力が作用する。しかし、非特許文献2に示されているように、フラッシュバット溶接部における長手方向残留応力は、レール足裏部分では強い圧縮応力状態になっている。本発明者らの測定結果を図7に示す。このため、列車通過によるレール足部の引張応力は残留応力と相殺されて圧縮領域となり、疲労亀裂の発生に対して有利になっている。
ロングレールの耐久性を向上させる為には、溶接部の柱部からの疲労亀裂の発生を抑制し、これらの部位の耐疲労特性を両立させることが必要である。
レール柱部の破損を防ぐため、特許文献5、6などの発明では、レール溶接部全体または溶接部のレール頭部と柱部において、溶接熱または外部からの加熱による高温の状態からの加速冷却を利用して残留応力を制御し、溶接部の柱部に鉛直方向に発生する引張残留応力を軽減するかあるいは圧縮側に変えて溶接部の耐疲労性を改善する方法が提案されている。これらの発明により、レール柱部からの疲労亀裂の発生を大きく低減することができた。
特許文献5、6で引用した溶接後の頭部、柱部の加速冷却方法を行った場合、非特許文献1によるとレール柱部における鉛直方向[o1]の残留応力は改善され、これにより柱部の疲労亀裂の発生が抑えられることが示されている。しかしながら、この方法によると足裏部におけるレール長手方向の残留応力が引張応力に転ずることが図示されている。近年、重荷重の貨物鉄道では貨車重量がますます増加する傾向があり、その結果、足裏部に対する曲げ様式の負荷は増大している。曲げ様式の負荷により足裏部はレール長手方向に引っ張られ、この部分の曲げ疲労強度には長手方向の残留応力が強く影響する。特許文献5、6の冷却処理により足裏長手方向の残留応力が引張化すると、曲げ疲労性能の低下が懸念される。
その他にレールの溶接部の疲労強度を向上させる技術としては、例えば特許文献7のようにショットピーニングを用いる方法やハンマーピーニング、グラインダー処理、TIGドレッシングを用いる方法がある。
また、特許文献8には溶接部をガスバーナーにより再加熱して残留応力を低減する方法が示されている。この方法により残留応力が改善される可能性が示されているが、溶接方法ごとに異なると思われる適正な再加熱領域が提示されておらず、かならずしも疲労損傷の防止に十分とは言えない。
Proceedings of the Second International Conference on residual stresses, ICR2,Nancy, France, 23-25,Nov,1988,P912-918
Proceedings Railroad Rail Welding, AAR,Memphis,USA, 29−30,Nov,1983,P153−160
本発明の一態様は上記のような従来技術の課題を考慮してなされたものであり、その目的は、従来と比較して溶接部の疲労強度が向上したロングレールを効率的に作成するための方法を提供することにある。
本発明の一態様は、レール溶接部の残留応力を低減することによって疲労強度を向上させるものである。すなわち本発明の一態様の要旨は以下の通りである。
(1)フラッシュバット溶接法による、パーライト組織を有するレール鋼の溶接後のレール溶接部の再加熱方法において、中心における再加熱における到達温度が400℃以上、750℃以下であるレール柱部の再加熱領域Pwと溶接中心Qとの距離Cwが、溶接部のA1変態点以上に加熱された領域であるHAZのHAZ長さLhの0.2倍以上、3倍以下とし、中心における到達温度が400℃以上、750℃以下であるレール頭頂部における再加熱領域Phと溶接中心Qとの距離Chが、前記溶接部のHAZ長さLhの0.2倍以上、3倍以下であるレール溶接部の再加熱方法。
(1)フラッシュバット溶接法による、パーライト組織を有するレール鋼の溶接後のレール溶接部の再加熱方法において、中心における再加熱における到達温度が400℃以上、750℃以下であるレール柱部の再加熱領域Pwと溶接中心Qとの距離Cwが、溶接部のA1変態点以上に加熱された領域であるHAZのHAZ長さLhの0.2倍以上、3倍以下とし、中心における到達温度が400℃以上、750℃以下であるレール頭頂部における再加熱領域Phと溶接中心Qとの距離Chが、前記溶接部のHAZ長さLhの0.2倍以上、3倍以下であるレール溶接部の再加熱方法。
(2)前記レール頭頂部における再加熱領域Phの長さBhが、前記溶接部のHAZ長さLhの0.5倍以上、5倍以下である上記(1)に記載のレール溶接部の再加熱方法。
(3)前記レール頭頂部における再加熱領域Phの幅Ahが、レールの頭幅Ghの0.3倍以上である上記(1)または(2)に記載のレール溶接部の再加熱方法。
(4)フラッシュバット溶接法による、パーライト組織を有するレール鋼の溶接後のレール溶接部の再加熱方法において、中心における再加熱における到達温度が400℃以上、750℃以下であるレール柱部の再加熱領域Pwと溶接中心Qとの距離Cwが、溶接部のA1変態点以上に加熱された領域であるHAZのHAZ長さLhの0.2倍以上、3倍以下とし、中心における到達温度が400℃以上、750℃以下であるレール足裏部における再加熱領域Pbと溶接中心Qとの距離Cbが、前記溶接部のHAZ長さLhの0.2倍以上、3倍以下であるレール溶接部の再加熱方法。
(5)レール足裏部における再加熱領域Pbと溶接中心Qとの距離Cbが、前記溶接部のHAZ長さLhの0.2倍以上、3倍以下である上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のレール溶接部の再加熱方法。
(6)前記レール足裏部における再加熱領域Pbの長さBbが、前記溶接部のHAZ長さLhの0.5倍以上、5倍以下である上記(4)または(5)に記載のレール溶接部の再加熱方法。
(7)前記レール足裏部における再加熱領域の幅Abが、レールの足幅Gbの0.3倍以上である上記(4)〜(6)のいずれか1項に記載のレール溶接部の再加熱方法。
(8)前記レール柱部の再加熱領域Pwのレール長手方向の長さBが、前記溶接部のHAZ長さLhの0.5倍以上、5倍以下である上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載のレール溶接部の再加熱方法。
0.5Lh≦B≦5Lh
0.5Lh≦B≦5Lh
(9)前記レール柱部の再加熱領域Pwの高さAが、前記レール柱部の高さHwの0.2倍以上である上記(1)〜(8)のいずれか1項に記載のレール溶接部の再加熱方法。
0.2Hw≦A
0.2Hw≦A
(10)前記レール柱部の再加熱領域Pwの中心における再加熱時の到達温度Th(℃)が、以下の式(1)を満たす、上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載のレール溶接部の再加熱方法。
0.375Tw+350≦Th≦0.5Tw+600 ・・・(1)
Twは、溶接部の再加熱時の初期温度Tw(℃)
(11)フラッシュバット溶接法による、パーライト組織を有するレール鋼の溶接後のレール溶接部の再加熱方法において、中心における再加熱における到達温度が400℃以上、750℃以下であるレール柱部の再加熱領域Pwと溶接中心Qとの距離Cwを、溶接部のA1変態点以上に加熱された領域であるHAZのHAZ長さLhに基づき以下の式(2)によって決定する、レール溶接部の再加熱方法。
0.2Lh≦C≦3Lh ・・・(2)
0.375Tw+350≦Th≦0.5Tw+600 ・・・(1)
Twは、溶接部の再加熱時の初期温度Tw(℃)
(11)フラッシュバット溶接法による、パーライト組織を有するレール鋼の溶接後のレール溶接部の再加熱方法において、中心における再加熱における到達温度が400℃以上、750℃以下であるレール柱部の再加熱領域Pwと溶接中心Qとの距離Cwを、溶接部のA1変態点以上に加熱された領域であるHAZのHAZ長さLhに基づき以下の式(2)によって決定する、レール溶接部の再加熱方法。
0.2Lh≦C≦3Lh ・・・(2)
本発明の一態様によれば、レール溶接部の柱部の残留応力を改善し、溶接部に疲労亀裂が生じにくくすることができる。
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
<溶接方法の説明>
まず溶接方法についてフラッシュバット溶接を例として図2A〜図2Cを用いて説明する。フラッシュバット溶接方法の第1の工程は図2Aで示した端面間に連続してアークを発生させる工程であり、フラッシング工程と呼ばれる。
まず溶接方法についてフラッシュバット溶接を例として図2A〜図2Cを用いて説明する。フラッシュバット溶接方法の第1の工程は図2Aで示した端面間に連続してアークを発生させる工程であり、フラッシング工程と呼ばれる。
フラッシング工程により、被溶接材の端面の全面が溶融した状態となり、また、端面近傍の材料は温度上昇により軟化する。この状態に到達した時点で、図2Bに示すように、軸方向へ加圧が行われる。このアップセットと呼ばれる加圧により、端面間に存在していた溶融金属は系外に押し出され、溶接面の周囲にはビードが形成される。
ビードは図2Cに示すように、溶接直後の高温の期間にトリマーにより熱間でせん断、除去される。この工程はトリミングと呼ばれる。
<レール素材について>
レール鋼はJIS E1101、JIS E1120に規定されているように、炭素を0.5〜0.8質量%含有する亜共析もしくは共析炭素鋼が一般的である。また、最近は海外の鉱山鉄道における重荷重貨物線を対象に、より耐摩耗性を向上させた、炭素を0.8質量%を超えて含有する過共析組成のレール鋼も普及しつつある。
レール鋼はJIS E1101、JIS E1120に規定されているように、炭素を0.5〜0.8質量%含有する亜共析もしくは共析炭素鋼が一般的である。また、最近は海外の鉱山鉄道における重荷重貨物線を対象に、より耐摩耗性を向上させた、炭素を0.8質量%を超えて含有する過共析組成のレール鋼も普及しつつある。
また、レールが鉄道で使用される場合、その路線での貨車重量に応じて断面サイズが選択される。すなわち重量の重い貨車が通る区間では、剛性が高い、大断面のレールが採用される。
<溶接後の残留応力の発生機構について>
次にレール溶接における柱部の著大な鉛直方向[o2]残留応力の発生機構について、発明者らの考えを説明する。
次にレール溶接における柱部の著大な鉛直方向[o2]残留応力の発生機構について、発明者らの考えを説明する。
図8Bは冷却途中の温度分布R1、R2と収縮歪の発生方向を示している。溶接中心Qでは時間経過に伴う温度低下が大きく、収縮歪Eqは大きい。一方、溶接部の周辺部、例えばML、MRにおいてはもともと温度が低く、したがって温度低下量も小さく、収縮歪Emは小さい。この収縮歪の違いは、溶接中心Qを基準に考えると周囲から収縮を拘束された状態であり、引張応力が生じることによるものである。溶接中心Qから離れた周辺部ML、MRを基準に考えると、溶接部の収縮歪Eqにより圧縮応力が付与された状態である。この結果、図8Cに示すように溶接中心Qに鉛直方向の強い引張応力が生じ、周囲に圧縮応力が生じる。図中、正の値は引張状態を、負の値は圧縮状態を示す。引張から圧縮に切り替わる点VL、VRは溶接部が高温に加熱されるレール長手方向の長さに影響される。溶接部が高温に加熱される長さは溶接部のHAZの長さで表すことができる。すなわちHAZが長いほど、溶接部が高温に加熱される領域が長いことになる。
上記説明からHAZ長さLhが短いほどレール長手方向の温度分布は急峻になり、溶接中心Qにおける鉛直方向の残留応力は大きくなる。それに伴い、溶接中心Qから離れた周辺部ML、MRにおける圧縮残留応力も大きくなる。
フラッシュバット溶接やガス圧接などの圧接法ではHAZ長さLhを、図1CのHAZ境界線Xの距離で定義する。テルミット溶接などの溶融溶接でも同様に、図1Dに示すHAZ境界線Xの距離で定義するが、圧接法と異なる点はHAZ長さの内部に溶接金属相が存在する点である。HAZ長さLhを用いると、VL、VRの位置は溶接中心断面QからおよそLhの距離に相当する。
フラッシュバット溶接では対向するレールの端面間にフラッシングを起こさせ、端面を1300〜1400℃の融点以上に達せしめる。一方、電力供給のための電極9(図2A〜図2C参照)は溶損などによる損耗を抑制するために水冷される。このためレール材は水冷された電極9によって冷却されており、電極9の近傍では溶接終了時点でも300℃程度である。電極9のレールへの装着位置は通常、溶接端面から100mm前後である。溶接完了時点において、電極9と端面の距離100mm程度の間に1000℃前後の温度差が生じる。図8Aは溶接部の柱部における温度分布を示す模式図であり、曲線Rwoは溶接直後の温度分布で、レール溶接方法の中では最も急峻な温度勾配がレール材に生じている。
一方、テルミット溶接法は高温の溶鋼の注入によりレール端面を溶融させる溶接方法であり、溶鋼注入によりレール長手方向にフラッシュバット溶接法に次ぐ強い温度分布を一時に生じる。
ガス圧接では圧接するレール端面近傍の加熱により、端面の近傍は1000℃前後に加熱され、レール長手方向にテルミット溶接法に次いで強い温度分布が生じる。
レール柱部における鉛直方向残留応力の発生は、温度勾配が最も急峻なフラッシュバット溶接が最も顕著であり、テルミット溶接、ガス圧接は順に温度分布が緩くなることから残留応力は緩和してくる。本発明の一態様はこれらの溶接方法に対していずれも有効である。
エンクローズアーク溶接では作業時間1時間以上をかけてレール底部から順次、手溶接により溶接金属が盛られていく。溶接開始時にはレール足部3が高温であり、溶接の進行とともに溶接部が柱部2、頭部1と上がっていく。このため、溶接の進行とともに溶接部7の周囲には複雑な熱歪、応力が発生していく。本発明の一態様による残留応力の低減方法はエンクローズアーク溶接にも有効である可能性はあると考えられる。
<溶接部の再加熱位置について>
本発明の一態様は溶接継手の再加熱により残留応力を有効に低減する方法を提供するものである。まず、溶接部の再加熱位置について説明する。
本発明の一態様は溶接継手の再加熱により残留応力を有効に低減する方法を提供するものである。まず、溶接部の再加熱位置について説明する。
レール溶接部を再加熱する方法は特許文献3にもあり公知の技術である。レール母材を再加熱する場合、元々の引張残留応力の発生部位より広い範囲で再加熱を施すことにより、残留応力は低減の方向に変化するものの十分ではない。その理由は、溶接部を再加熱すると図8Bで示した溶接時と同様の温度分布が改めて生じ、その後の歪、応力発生が生じるためである。
本発明の一態様は、残留応力低減の観点から、再加熱範囲が溶接部自体ではなく、溶接部周囲のレール母材であることを特徴としている。
以下に本発明の一態様を説明するに当たり、まず本発明の一態様の再加熱領域を示す。図9において、Pwは柱部2の再加熱領域を示すもので、Awは再加熱領域の高さ、Bwは再加熱領域の幅、Cwは再加熱領域と溶接中心断面Qとの距離である。
図10は柱部2とともに、頭頂部4もしくは足裏部6を再加熱する場合を示す。Phは頭頂部4の再加熱領域、Ah、Abはそれぞれ頭頂部4、足裏部6の再加熱領域の幅(長手方向に垂直な幅方向の長さ)、Bh、Bbはそれぞれ頭頂部4、足裏部6の再加熱領域の長さ(長手方向の長さ)、Ch、Cbはそれぞれ頭頂部4、足裏部6の再加熱領域と溶接中心断面Qとの距離である。
尚、頭頂部4もしくは足裏部6の再加熱領域Ph、Pbは柱部2の再加熱領域Pwと連続してもよい。
<本発明の一態様の再加熱による残留応力の軽減機構の説明>
次に溶接部の周囲の柱部2の再加熱による、柱部2の温度変化について説明する。図11において、R1は柱部2の高さ中心線D―Dにおける、再加熱直後の温度分布、R2はD―D線上における、再加熱してから任意の時間が経過したときの温度分布を模式的に示す。
次に溶接部の周囲の柱部2の再加熱による、柱部2の温度変化について説明する。図11において、R1は柱部2の高さ中心線D―Dにおける、再加熱直後の温度分布、R2はD―D線上における、再加熱してから任意の時間が経過したときの温度分布を模式的に示す。
図12Aで、その際の溶接部の周囲の歪の発生状況を説明する。
図8Cに示したように、溶接部Qには引張残留応力が、再加熱部付近には圧縮残留応力が存在する。再加熱を始めると、再加熱部TL、TRは温度上昇により膨張歪Etを生じる。この歪により溶接部Qには鉛直方向に引張応力Sqが生じる。さらに温度が上昇してくると、温度上昇による降伏点の低下により応力の増加は鈍化し、次第に減少に転じる。
次に再加熱が終わった後の、自然冷却過程における歪の状況を図12Bに示す。冷却過程では再加熱部の温度低下に伴って、鉛直方向に収縮の歪Etが生じる。この収縮歪Etにより溶接中心Qの付近には圧縮応力Sqが生じ、溶接部の引張残留応力は減少する。
上記の応力の再加熱に伴う変化を図13に示す。
<再加熱領域Pwと溶接中心との距離Cwと残留応力の関係>
柱部2の再加熱領域Pwと溶接中心Qとの距離Cwと残留応力の関係を図14に示す。
図のデータは単位長さ当たり重量70kg/mの熱処理レールの柱部を再加熱した例である。レール成分は質量%で、C:0.79%、Si:0.25%、Mn:0.90%、Cr:0.22%、残部はFeおよび不可避不純物である。レール頭頂部における硬さはHv390である。レールの断面寸法は、レール高さ188.9mm、足幅Gb152.4mm、柱部の厚さ17.5mm、頭幅Gh77.8mm、柱部の高さHw104.0mmである。溶接はフラッシング時間180秒で、アップセット加圧による収縮量は16mm、HAZ長さは38mmである。再加熱領域は図9に示すように溶接部から離れた位置のレール母材部である。再加熱領域の長さBwは50mm、再加熱領域の高さAwは100mm、再加熱領域の中心における再加熱温度は500℃とした。この条件で柱部の再加熱領域と溶接中心との距離Cwを変化させた。
柱部2の再加熱領域Pwと溶接中心Qとの距離Cwと残留応力の関係を図14に示す。
図のデータは単位長さ当たり重量70kg/mの熱処理レールの柱部を再加熱した例である。レール成分は質量%で、C:0.79%、Si:0.25%、Mn:0.90%、Cr:0.22%、残部はFeおよび不可避不純物である。レール頭頂部における硬さはHv390である。レールの断面寸法は、レール高さ188.9mm、足幅Gb152.4mm、柱部の厚さ17.5mm、頭幅Gh77.8mm、柱部の高さHw104.0mmである。溶接はフラッシング時間180秒で、アップセット加圧による収縮量は16mm、HAZ長さは38mmである。再加熱領域は図9に示すように溶接部から離れた位置のレール母材部である。再加熱領域の長さBwは50mm、再加熱領域の高さAwは100mm、再加熱領域の中心における再加熱温度は500℃とした。この条件で柱部の再加熱領域と溶接中心との距離Cwを変化させた。
溶接条件による溶接部の長さの影響を取り除いて一般化するために、横軸は再加熱領域Pwと溶接中心Qの距離CwをHAZ長さLhで除した値Cw/Lhで示している。Cw/Lhが0.2より小さい場合は溶接中心部Qも温度が上昇し、図12Bで示した再加熱部の収縮Etにより溶接部に圧縮力Sqを加える効果が小さいため、残留応力の低減効果は小さく、疲労強度改善に効果がある350MPa以下に低減しない。また、Cw/Lhが3を超えて大きくなると、再加熱部Pwの収縮歪Etによる圧縮力が溶接部に働きにくくなるため、残留応力を低減する効果が下がり、残留応力は350MPa以上となるため疲労強度の向上効果が得られない。残留応力の低減効果はCw/Lhが0.5〜2の間が最も大きいため、Cw/Lhをこの範囲に設定することが望ましいが、少なくとも0.2〜3の範囲であるとよい。
<再加熱領域Pwの長さBwと残留応力の関係>
図15に再加熱領域Pwの長さBwと残留応力との関係を示す。
図のデータは単位長さ当たり重量50kg/mの普通レールの柱部を再加熱した例である。レール成分は質量%で、C:0.70%、Si:0.23%、Mn:0.92%、残部はFeおよび不可避不純物である。レール頭頂部における硬さはHv270である。レールの断面寸法は、レール高さ153.0mm、足幅Gb127.0mm、柱部の厚さ15.0mm、頭幅Gh65.0mm、柱部の高さHw74.0mmである。溶接はフラッシング時間150秒で、アップセット加圧による収縮量は16mm、HAZ長さは35mmである。再加熱領域は図9に示すように溶接部から離れた位置のレール母材部である。柱部の再加熱領域と溶接中心の距離Cwは95mm、再加熱領域の高さAwは70mmで、再加熱領域の中心における再加熱温度は500℃とした。この条件で再加熱領域の長さBwを変化させた。
図15に再加熱領域Pwの長さBwと残留応力との関係を示す。
図のデータは単位長さ当たり重量50kg/mの普通レールの柱部を再加熱した例である。レール成分は質量%で、C:0.70%、Si:0.23%、Mn:0.92%、残部はFeおよび不可避不純物である。レール頭頂部における硬さはHv270である。レールの断面寸法は、レール高さ153.0mm、足幅Gb127.0mm、柱部の厚さ15.0mm、頭幅Gh65.0mm、柱部の高さHw74.0mmである。溶接はフラッシング時間150秒で、アップセット加圧による収縮量は16mm、HAZ長さは35mmである。再加熱領域は図9に示すように溶接部から離れた位置のレール母材部である。柱部の再加熱領域と溶接中心の距離Cwは95mm、再加熱領域の高さAwは70mmで、再加熱領域の中心における再加熱温度は500℃とした。この条件で再加熱領域の長さBwを変化させた。
溶接方法による溶接部の長さの影響を取り除いて一般化するために、横軸は再加熱領域の長さBwをHAZ長さLhで除した値Bw/Lhで示している。Bw/Lhが0.5より小さい場合は、図12Bで示した再加熱部が小さいために、再加熱部の収縮により生じる溶接部に加わる圧縮力が小さい。このため残留応力は疲労強度向上に効果が得られる350MPaまで下がらない。Bw/Lhが増加するにしたがって残留応力は低減するが、Bw/Lhが1.5以上では変化は小さくなる。Bw/Lhに上限は設けないが、Bw/Lhが3を超えて再加熱するには多くのエネルギーを必要とし好ましくない。したがってBw/Lhが1.5〜3の間に設定することが残留応力の低減、エネルギー節約の観点から望ましいが、少なくとも0.5〜5の間に設定するとよい。
<再加熱領域Pwの高さAwと残留応力の関係>
図16に柱部の再加熱領域Pwの高さAwと残留応力の関係を示す。
図のデータは単位長さ当たり重量70kg/mの熱処理レールの柱部を再加熱した例である。レール成分は質量%で、C:0.91%、Si:0.47%、Mn:0.75%、Cr:0.31、残部はFeおよび不可避不純物である。レール頭頂部における硬さはHv420である。レールの断面寸法は、レール高さ188.9mm、足幅Gb152.4mm、柱部の厚さ17.5mm、頭幅Gh77.8mm、柱部の高さHw104.0mmである。溶接はフラッシング時間120秒で、アップセット加圧による収縮量は16mm、HAZ長さは33mmである。再加熱領域は図9に示すように溶接部から離れた位置のレール母材部である。柱部の再加熱領域と溶接中心との距離Cwは80mmで、再加熱領域の長さBwは50mmで、再加熱領域の中心における再加熱温度は500℃とした。この条件で再加熱領域の高さAwを変化させた。
図16に柱部の再加熱領域Pwの高さAwと残留応力の関係を示す。
図のデータは単位長さ当たり重量70kg/mの熱処理レールの柱部を再加熱した例である。レール成分は質量%で、C:0.91%、Si:0.47%、Mn:0.75%、Cr:0.31、残部はFeおよび不可避不純物である。レール頭頂部における硬さはHv420である。レールの断面寸法は、レール高さ188.9mm、足幅Gb152.4mm、柱部の厚さ17.5mm、頭幅Gh77.8mm、柱部の高さHw104.0mmである。溶接はフラッシング時間120秒で、アップセット加圧による収縮量は16mm、HAZ長さは33mmである。再加熱領域は図9に示すように溶接部から離れた位置のレール母材部である。柱部の再加熱領域と溶接中心との距離Cwは80mmで、再加熱領域の長さBwは50mmで、再加熱領域の中心における再加熱温度は500℃とした。この条件で再加熱領域の高さAwを変化させた。
被溶接レールの断面サイズの影響を取り除いて一般化するために、横軸は再加熱領域の高さAwを柱の高さHwで除した値Aw/Hwで示している。Aw/Hwが0.2より小さい場合は、再加熱の範囲が狭くなることから図12Bで示した再加熱部の収縮により溶接中心部Qに加わる圧縮力が小さく、残留応力の低減効果は小さく、疲労強度の改善効果が得られる残留応力350MPaまで達しない。Aw/Hwが大きくなるほど残留応力が低減するため、柱部2の高さHw全域を再加熱することが最も望ましい。さらに柱部2の再加熱領域は、柱部2から頭部1、柱部2から足部3へとつながるT字型の部位にまたがっても良い。さらに、柱部2の再加熱領域は頭部1の再加熱領域Ph、足部3の再加熱領域Pbと分離することなく連続であっても良い。
<再加熱温度について>
図17に再加熱温度Thと溶接中心部Qの柱部2の残留応力の関係を示す。
図のデータは単位長さ当たり重量70kg/mの熱処理レールの柱部を再加熱した例である。レール成分は質量%で、C:0.91%、Si:0.47%、Mn:0.75%、Cr:0.31、残部はFeおよび不可避不純物である。レール頭頂部における硬さはHv420である。レールの断面寸法は、レール高さ188.9mm、足幅Gb152.4mm、柱部の厚さ17.5mm、頭幅Gh77.8mm、柱の高さHw104.0mmである。溶接はフラッシング時間240秒で、アップセット加圧による収縮量は16mm、HAZ長さは42mmである。再加熱領域は図9に示すように溶接部から離れた位置のレール母材部である。柱部の再加熱領域と溶接中心との距離Cwは80mmで、再加熱領域の長さBwは50mm、再加熱領域の高さAwは100mmである。この条件で、再加熱時間を増減して再加熱領域の中心における再加熱温度Thを変化させた。
図17に再加熱温度Thと溶接中心部Qの柱部2の残留応力の関係を示す。
図のデータは単位長さ当たり重量70kg/mの熱処理レールの柱部を再加熱した例である。レール成分は質量%で、C:0.91%、Si:0.47%、Mn:0.75%、Cr:0.31、残部はFeおよび不可避不純物である。レール頭頂部における硬さはHv420である。レールの断面寸法は、レール高さ188.9mm、足幅Gb152.4mm、柱部の厚さ17.5mm、頭幅Gh77.8mm、柱の高さHw104.0mmである。溶接はフラッシング時間240秒で、アップセット加圧による収縮量は16mm、HAZ長さは42mmである。再加熱領域は図9に示すように溶接部から離れた位置のレール母材部である。柱部の再加熱領域と溶接中心との距離Cwは80mmで、再加熱領域の長さBwは50mm、再加熱領域の高さAwは100mmである。この条件で、再加熱時間を増減して再加熱領域の中心における再加熱温度Thを変化させた。
再加熱温度が400℃より低いと図12Bで示した再加熱部の収縮により溶接中心部Qに圧縮力を加える効果が小さく、残留応力は下がらない。一方、再加熱温度の増加とともに残留応力は低減していくものの、温度が700℃を超えると、パーライト組織中のセメンタイトの球状化が始まり、強度が低下する。パーライトの球状化は温度が高いほど、再加熱時間が長いほど進行する。しかし本発明の一態様は再加熱による保持時間を設けないため750℃までの再加熱では球状化の程度は少なく、この範囲内の温度にとどめるのが望ましい。
<溶接後の温間状態での再加熱処理について>
次に溶接後の温間状態で、溶接中心Qから離れたTL、TRにおいて柱部2の再加熱領域Pwを再加熱する場合について説明する。図18にこの場合の柱部2の高さ中心線D-D線上における長手方向の温度分布を示す。R0は再加熱前の溶接による温度分布であり、R1は再加熱直後の温度分布である。溶接部Qは高温状態にあり、常温からの再加熱を示した図11の場合に比べて、再加熱後の温度は溶接中心の温度が高いという特徴がある。
次に溶接後の温間状態で、溶接中心Qから離れたTL、TRにおいて柱部2の再加熱領域Pwを再加熱する場合について説明する。図18にこの場合の柱部2の高さ中心線D-D線上における長手方向の温度分布を示す。R0は再加熱前の溶接による温度分布であり、R1は再加熱直後の温度分布である。溶接部Qは高温状態にあり、常温からの再加熱を示した図11の場合に比べて、再加熱後の温度は溶接中心の温度が高いという特徴がある。
図19は再加熱後に所定の時間が経過した後の温度分布R2と、歪の発生状態を示す。溶接中心Q付近では温度低下に伴う収縮歪Eqが生じる。再加熱部TL、TRにおいても収縮歪Etが生じる。さらにその外側のたとえばFL、FR位置においては再加熱による温度変化が小さく、収縮歪Efは小さい。この温度変化の小さい領域は内部の再加熱部TL、TRや溶接部の変形に対する拘束部位となる。
すなわち、溶接中心部Qの収縮歪Eq、再加熱部の収縮歪Etは、さらにその周囲のFL、FRにより拘束され、これらの部分に応力変化が生じる。しかし拘束している位置が溶接中心Qからの距離が長くなることによって、溶接中心付近では収縮が比較的容易に起こるようになり、残留応力の発生は少なくなると考えられる。
一方、溶接中心部Qと再加熱部TL、TRの関係を考慮すると、再加熱部の温度低下量は溶接部の温度低下量より大きく、温度低下に伴う収縮歪は再加熱部のほうが大きい(Et>Eq)。この収縮歪の違いにより、再加熱部TL、TRは溶接部に対しては圧縮応力を付与することになる。
温間から再加熱する場合は、常温から再加熱する場合に比べて再加熱部と溶接部の温度差が小さい。このため、再加熱部TL、TRの収縮歪Etと溶接部の収縮歪Eqの差は常温から再加熱した場合に比べて小さくなり、溶接部Qに圧縮の力Sqを発生させる効果は低下する。
しかし図19で説明したように、溶接中心Qと拘束点の距離が長くなることによる残留応力の緩和効果が温間再加熱にはあり、常温から再加熱した場合とほぼ同様に溶接部の引張残留応力は低減する。
溶接後の温間状態で再加熱する場合の、再加熱開始時期が残留応力に与える影響を図20に示す。
図のデータは単位長さ当たり重量70kg/mの熱処理レールの柱部を再加熱した例である。レール成分は質量%で、C:0.91%、Si:0.47%、Mn:0.75%、Cr:0.31、残部はFeおよび不可避不純物である。レール頭頂部における硬さはHv420である。レールの断面寸法は、レール高さ188.9mm、足幅Gb152.4mm、柱部の厚さ17.5mm、頭幅Gh77.8mm、柱部の高さHw104.0mmである。溶接はフラッシング時間240秒で、アップセット加圧による収縮量は16mm、HAZ長さは42mmである。再加熱領域は図9に示すように溶接部から離れた位置のレール母材部である。柱部の再加熱領域と溶接中心との距離Cwは80mmで、再加熱領域の長さBwは50mm、再加熱領域の高さAwは100mm、再加熱領域の中心における再加熱温度Thは500℃である。この条件で、再加熱を開始する時間を変化させた。
横軸は再加熱開始のタイミングを溶接完了からの経過時間で示したものであり、縦軸は溶接部の鉛直方向残留応力を示す。再加熱開始タイミングが遅くなっても、残留応力の変化は比較的緩やかである。
<再加熱部の残留応力について>
一方、図13に示したように、再加熱を行うことにより溶接部の残留応力は低下するが、加熱部の残留応力は増加する。
一方、図13に示したように、再加熱を行うことにより溶接部の残留応力は低下するが、加熱部の残留応力は増加する。
再加熱部でも、残留応力が高まると疲労亀裂が発生する危険性がある。しかしながら、400MPa以上の引張残留応力を有し、断面形状変化、微少な収縮孔など溶接欠陥、熱影響による硬度低下部などの疲労亀裂の発生源の多い溶接部においても、疲労亀裂の発生率は全溶接数の数%である。本発明における再加熱の対象部位となる母材部には、溶接部のような疲労発生源はほとんどない。従って、母材部においては、溶接ままの溶接部の残留応力、400MPaまでは、疲労亀裂の発生する危険性は十分に小さいと考えられる。
ここで、溶接部と再加熱部の残留応力の変化状況は、再加熱を行う際の溶接部の初期温度により異なる。本発明者らは、再加熱条件として溶接直後で溶接部の温度が400℃程度の温間状態と、溶接後に十分に時間が経過し溶接部が常温に下がった後の常温状態との2通りの条件で再加熱温度の影響を調査した。
図21は、上記2つの開始条件の異なる再加熱において、溶接部の柱部の上下方向残留応力に対する柱部の再加熱温度の影響を示している。溶接部の初期温度が高い場合、溶接部の残留応力は低減効果がやや低い。
このため、再加熱時の溶接部の初期温度Twに応じて再加熱熱温度Thを設定することが望ましい。本発明者らの検討によると、望ましい初期温度Tw(℃)と再加熱温度Th(℃)との関係は、下記の式1のとおりである。前述のように、再加熱温度は400℃未満では溶接部の残留応力を低減する効果が小さいため、ある程度高い温度であることが望ましいが、再加熱時の溶接部の初期温度が高い場合にはさらに高いことが望ましい。
Th≧0.375Tw+350 ・・・(式1)
Th≧0.375Tw+350 ・・・(式1)
次に、図22は、上記2つの開始条件の異なる再加熱において、再加熱部の柱部の上下方向残留応力に対する柱部の再加熱温度の影響を示している。溶接部の初期温度が低い常温からの再加熱の場合には、再加熱温度の上昇に伴い再加熱部の残留応力の増加傾向が大きくなる。本発明者らの実験によると、再加熱部の残留応力を400MPa以下にするためには、再加熱時の溶接部の初期温度Tw(℃)に応じて再加熱温度Th(℃)を下記の式2に示す範囲に設定することが望ましい。
Th≦0.5Tw+600 ・・・(式2)
Th≦0.5Tw+600 ・・・(式2)
上記の式1、式2から、溶接部の初期温度Tw(℃)に応じて柱部の再加熱温度Th(℃)を下記の式3の範囲に設定することにより、溶接部の残留応力を十分に低減し、かつ再加熱部の残留応力を400MPa以下とし、残留応力分布に優れた溶接部を得ることができる。
0.375Tw+350≦Th≦0.5Tw+600 ・・・(式3)
0.375Tw+350≦Th≦0.5Tw+600 ・・・(式3)
図23は、再加熱の際の溶接部の初期温度を横軸に、縦軸に柱部の再加熱部の再加熱温度をとって、適切な再加熱温度の範囲(斜線部分)を示す図である。再加熱を行う際の溶接部の初期温度に応じて、再加熱温度を上記の式3の範囲、かつ400℃以上、750℃以下に設定することにより、溶接部の残留応力が350MPa以下、かつ再加熱部の残留応力が400MPa以下である、疲労強度に優れた溶接部を得ることができる。
<柱部の長手方向の残留応力について>
次に柱部2を再加熱する場合の柱部2の長手方向の残留応力について説明する。柱部2だけを再加熱する場合の、再加熱終了時点の再加熱位置TL、TRにおける鉛直方向の表面温度の分布R1を図24Aに示す。柱部2の再加熱により、柱部2が頭部1、足部3に比較して高温となる。
次に柱部2を再加熱する場合の柱部2の長手方向の残留応力について説明する。柱部2だけを再加熱する場合の、再加熱終了時点の再加熱位置TL、TRにおける鉛直方向の表面温度の分布R1を図24Aに示す。柱部2の再加熱により、柱部2が頭部1、足部3に比較して高温となる。
柱部2では長手方向に収縮歪が生じるが、頭部1、足部3での収縮歪は少ない。この収縮歪の違いにより、柱部2の長手方向の収縮は頭部1、足部3から拘束される。
その結果、図24Bに示すように、再加熱部には引張応力Stxが生じ、これが溶接中心Qにも影響して、溶接中心にも同程度の引張の残留応力Sqxが生じる。
季節的に温度収縮により引張応力が増大する冬季においては、長手方向の著大な残留応力はレール破断の原因になる場合がある。この冬季のレール破断を防止する観点から、長手方向の残留応力は低いことが望ましい。
<柱部の長手方向残留応力を軽減する方法>
以下に、柱部2を再加熱した場合に増加する長手方向の引張残留応力を低減する方法について説明する。
以下に、柱部2を再加熱した場合に増加する長手方向の引張残留応力を低減する方法について説明する。
この方法は、柱部2と同時に頭頂部4および/または足裏部6を同時に再加熱する方法である。
柱部2と同時に頭頂部4の再加熱領域Phを再加熱した場合の、再加熱終了時点の再加熱断面TL、TRにおける、表面温度分布R1を図25Aに示す。柱部2に加えて頭部1も温度が上昇する。その冷却過程において、柱部2と同様に頭部1においてもレール長手方向の収縮が生じる。一方、足部3は温度変化が小ないため歪は少ない。
この頭部1、柱部2と足部3の熱歪の違いにより、頭部1と柱部2の収縮が足部3に拘束されることになり、頭部1、柱部2に図25Bに示すように引張残留応力が生じる。しかし、図24Aおよび図24Bで示した柱部2だけを再加熱した場合に比較し、拘束部が足部3のみとなることから、レール全断面が長手方向に均一に収縮する状態に近づく。柱部2の長手方向の収縮歪を拘束する力が弱まり、引張応力Stxは軽減される。
なお、図示しないが、柱部2と同時に足裏部6を再加熱した場合、柱部2と足裏部6に引張残留応力が生じるが、柱部2だけを再加熱した場合と比較し、変形の拘束は頭部1だけとなり、柱部2の長手方向の引張応力Stxは軽減される。
柱部2と同時に頭頂部4と足裏部6との3つの部位を同時に再加熱すると、再加熱部TL、TRにおいてレールの全断面にわたって再加熱温度が均一化してくる。このため、長手方向の収縮歪も全断面にわたって均一化が進み、柱部2の長手方向の残留応力Stx、Sqxはさらに軽減される。その場合のTL、TR、Q位置における断面内の長手方向残留応力Sqhx,Sqbx,Sthx、Stbxを図26に示す。
<頭頂部4もしくは足裏部6の再加熱領域Ph、Pbと溶接中心との距離Ch、Cbについて>
頭頂部4もしくは足裏部6の再加熱領域PhもしくはPbは、柱部における再加熱領域Pwと同等の大きさであることが望ましい。これは、柱部2の再加熱範囲より頭頂部4、足裏部6の再加熱範囲が狭いと、柱部2の長手方向の残留応力を低減する効果が少ないためである。逆にこれらの部位の再加熱領域が過剰になると、これらの部分自体に大きい引張残留応力を生じることになる。すなわち、頭頂部4、足裏部6の再加熱領域Ph、Pbにおける、溶接中心の距離Ch、もしくはCbは、柱部2の再加熱領域PwにおけるCwと、また、再加熱長さBh、BbはBwと同等であることが望ましい。
頭頂部4もしくは足裏部6の再加熱領域PhもしくはPbは、柱部における再加熱領域Pwと同等の大きさであることが望ましい。これは、柱部2の再加熱範囲より頭頂部4、足裏部6の再加熱範囲が狭いと、柱部2の長手方向の残留応力を低減する効果が少ないためである。逆にこれらの部位の再加熱領域が過剰になると、これらの部分自体に大きい引張残留応力を生じることになる。すなわち、頭頂部4、足裏部6の再加熱領域Ph、Pbにおける、溶接中心の距離Ch、もしくはCbは、柱部2の再加熱領域PwにおけるCwと、また、再加熱長さBh、BbはBwと同等であることが望ましい。
したがって、寸法的な限定範囲も、HAZ長さLhで除した値で示した場合、Ch/LhもしくはCb/Lhが0.2〜3、再加熱領域の長さBh、BbをHAZ長さLhで除した値Bh/LhもしくはBb/Lhが0.5以上、5以下であることが望ましい。
<頭頂部4の再加熱領域Phの幅Ahについて>
溶接後の温間状態で柱部に加えて頭部を再加熱する場合に、頭部の再加熱領域の幅Ahを変化させた際の、溶接部柱部の長手方向の残留応力に与える影響を図27に示す。
溶接後の温間状態で柱部に加えて頭部を再加熱する場合に、頭部の再加熱領域の幅Ahを変化させた際の、溶接部柱部の長手方向の残留応力に与える影響を図27に示す。
図のデータは単位長さ当たり重量70kg/mの熱処理レールの柱部に加えて頭部を再加熱した例である。レール成分は質量%で、C:0.91%、Si:0.47%、Mn:0.75%、Cr:0.31、残部はFeおよび不可避不純物である。レール頭頂部における硬さはHv420である。レールの断面寸法は、レール高さ188.9mm、足幅Gb152.4mm、柱部の厚さ17.5mm、頭幅Gh77.8mm、柱部の高さHw104.0mmである。溶接はフラッシング時間240秒で、アップセット加圧による収縮量は16mm、HAZ長さは42mmである。再加熱領域は図25Aに示すように溶接部から離れた位置のレール母材部である。柱部および頭部の再加熱領域と溶接中心との距離Cwはいずれも80mmで、再加熱領域の長さBwはいずれも50mm、柱部の再加熱領域の高さAwは100mm、再加熱領域の中心における再加熱温度Thは500℃である。この条件で頭部の再加熱領域の幅Ahを変化させた。
レールサイズによるレール頭部幅Ghの影響を取り除いて一般化するために、横軸は再加熱領域の幅Ahをレール頭部幅Ghで除した値Ah/Ghで示している。頭部の再加熱領域の幅Ahが増加するにしたがって、図25Bで示した頭部の熱歪が柱部の熱歪に近づくことで、柱部の長手方向残留応力は低減する。後熱を行わない溶接ままの継手は220MPa程度の残留応力であり、後熱処理材の残留応力はこれより低く抑えることが望ましい。そのためにはAh/Ghが0.3より大きくする必要がある。
<足裏部6の再加熱領域Pbの幅Abについて>
溶接後の温間状態で柱部に加えて足裏部6を再加熱する場合に、足裏部6の再加熱領域の幅Abを変化させた際の、溶接部柱部の長手方向の残留応力に与える影響を図28に示す。
溶接後の温間状態で柱部に加えて足裏部6を再加熱する場合に、足裏部6の再加熱領域の幅Abを変化させた際の、溶接部柱部の長手方向の残留応力に与える影響を図28に示す。
図のデータは単位長さ当たり重量70kg/mの熱処理レールの柱部に加えて足裏部6を再加熱した例である。レール成分は質量%で、C:0.91%、Si:0.47%、Mn:0.75%、Cr:0.31、残部はFeおよび不可避不純物である。レール頭頂部における硬さはHv420である。レールの断面寸法は、レール高さ188.9mm、足幅Gb152.4mm、柱部の厚さ17.5mm、頭幅Gh77.8mm、柱部の高さHw104.0mmである。溶接はフラッシング時間240秒で、アップセット加圧による収縮量は16mm、HAZ長さは42mmである。再加熱領域は図25Aおよび図25Bに示すように溶接部から離れた位置のレール母材部である。柱部および足裏部6の再加熱領域と溶接中心との距離Cwはいずれも80mmで、再加熱領域の長さBwはいずれも50mm、柱部の再加熱領域の高さAwは100mm、柱部と頭部の再加熱領域の中心における再加熱温度Thはいずれも500℃である。この条件で足裏部6の再加熱領域の幅Abを変化させた。
レールサイズよる足部の幅の影響を取り除いて一般化するために、横軸は再加熱領域の幅Abをレール足幅Gbで除した値Ab/Gbで示している。足裏部6の再加熱領域の幅Abが増加するにしたがって、図26で示した足裏部6の熱歪が柱部の熱歪に近づくことで、柱部の長手方向残留応力は低減する。後熱を行わない溶接ままの継手は220MPa程度の残留応力であり、後熱処理材の残留応力はこれより低く抑えることが望ましい。そのためにはAb/Gbを0.3より大きくする必要がある。
<頭頂部4もしくは足裏部6の再加熱領域Ph、Pbの再加熱温度について>
頭頂部4もしくは足裏部6の再加熱領域PhもしくはPbの中心における再加熱温度は、柱部における再加熱温度Thと同等であることが望ましい。
頭頂部4もしくは足裏部6の再加熱領域PhもしくはPbの中心における再加熱温度は、柱部における再加熱温度Thと同等であることが望ましい。
これは、柱部2の再加熱温度より頭頂部4、足裏部6の再加熱温度が低いと、柱部2の長手方向の残留応力を低減する効果が少ないためである。逆にこれらの部位の再加熱温度が過剰になると、これらの部分自体に大きい引張残留応力を生じることになる。すなわち、頭頂部4、足裏部6の再加熱領域Ph、Pbにおける再加熱温度は、柱部2の再加熱温度と同等であることが望ましい。したがって、頭頂部4もしくは足裏部6の再加熱領域PhもしくはPbの中心における再加熱温度は400℃以上、750℃以下であることが望ましい。
<再加熱方法について>
溶接部の再加熱装置、再加熱機構は対象とするレール部位を適切に再加熱できるものであれば、特にその形式は問わない。
溶接部の再加熱装置、再加熱機構は対象とするレール部位を適切に再加熱できるものであれば、特にその形式は問わない。
<使用するレール鋼について>
本発明を適用するレール鋼は、金属組織がパーライトである鉄道用レール鋼である。残留応力の発生は図8A〜図8Cに示したように溶接後の冷却過程で生じる熱歪とその拘束による。この際の鉄鋼の変態歪との関係について説明する。変態時には体積膨張による新たな歪の発生や、オーステナイト温度域で生じていた熱応力が格子の組み変わりにより緩和する、など複雑な歪過程が生じる。パーライト鋼はオーステナイト温度域から冷却される際に600〜700℃で変態が生じる。この温度域は材料の降伏点が低く、熱応力の生じにくい温度域である。一方、合金成分の増加により変態温度域を300〜500℃のベイナイト域、300℃以下のマルテンサイト域としたレール材が一部存在する。それらは変態温度域が低いため、変態歪が顕著に応力を発生させ、残留応力に影響する。なおマルテンサイト変態を利用するレール鋼は冷却後に焼き戻しが施される。
本発明を適用するレール鋼は、金属組織がパーライトである鉄道用レール鋼である。残留応力の発生は図8A〜図8Cに示したように溶接後の冷却過程で生じる熱歪とその拘束による。この際の鉄鋼の変態歪との関係について説明する。変態時には体積膨張による新たな歪の発生や、オーステナイト温度域で生じていた熱応力が格子の組み変わりにより緩和する、など複雑な歪過程が生じる。パーライト鋼はオーステナイト温度域から冷却される際に600〜700℃で変態が生じる。この温度域は材料の降伏点が低く、熱応力の生じにくい温度域である。一方、合金成分の増加により変態温度域を300〜500℃のベイナイト域、300℃以下のマルテンサイト域としたレール材が一部存在する。それらは変態温度域が低いため、変態歪が顕著に応力を発生させ、残留応力に影響する。なおマルテンサイト変態を利用するレール鋼は冷却後に焼き戻しが施される。
本発明はパーライト組織を有するレール鋼についてはその詳細な化学成分組成に影響されず、いずれも有効であるが、ベイナイト組織、焼き戻しマルテンサイト組織を呈するレールは対象外である。
パーライト組織を有するレール鋼の化学成分について以下、補足説明する。
Cは、パーライト組織を有する鉄道用レール鋼における高強度化およびパーライト組織生成のための必須元素であり、0.6%〜1.1%含有される。Cが増加するほど耐摩耗性能が向上するため、急曲線や重荷重鉄道ではC量が高いレール鋼が使用される。C量が0.6%以下では初析フェライトが生成しやすくなり材料強度、耐摩耗性が低下する。C量が1.1%以上では初析セメンタイトが生じやすく材料が税化しやすくなる。
Cは、パーライト組織を有する鉄道用レール鋼における高強度化およびパーライト組織生成のための必須元素であり、0.6%〜1.1%含有される。Cが増加するほど耐摩耗性能が向上するため、急曲線や重荷重鉄道ではC量が高いレール鋼が使用される。C量が0.6%以下では初析フェライトが生成しやすくなり材料強度、耐摩耗性が低下する。C量が1.1%以上では初析セメンタイトが生じやすく材料が税化しやすくなる。
Siはパーライト組織中のフェライト相への固溶強化による高強度化への寄与のために0.1%〜1.0%含有される。0.1%以下ではその効果が得られず、1.0%以上では材料が脆化しやすくなる。
Mnはパーライト変態温度を低下させ、焼入れ性を高めることによって高強度化に寄与する元素で、0.4%〜1.2%含有される。0.4%以下ではその効果が得られず、1.2%以上では焼入れ性が過剰になり、ベイナイト組織やマルテンサイト組織といった異組織が生じやすくなる。
さらにレール鋼においては上記成分の他に、パーライト組織の強化、パーライト中のフェライト相の靭性改善、レール圧延素材の加熱時におけるオーステナイト粒の、あるいは圧延時におけるオーステナイト粒の細粒化によって高靭性を得るなどの必要に応じ、Vは0.2%以下,Nbは0.1%以下,Moは0.3%以下、Tiは0.05%以下,Alは0.1%以下,Caは0.02%以下,Niは0.5%以下,Cuは0.5%以下,Crは0.8%以下の添加されることがある。
また鋼中に不可避不純物としてP、S、O、Nは0.03%以下、Hは0.005%以下、含まれる。
以下に本発明の一態様の実施例、比較例を示す。
<使用レール>
表1に使用した3種類のレールを示す。レール鋼Aは通称、普通レールと呼ばれる鋼種で、炭素量0.65〜0.75重量%を含有する亜共析鋼であり、圧延ままの素材で、レール頭部の硬度はビッカース硬度260〜290である。レール鋼Bは圧延後に熱処理されたレールで、炭素量0.75〜0.85重量%を含有する共析鋼であり、レール頭部の表面下5mmでの硬度がビッカース硬度360〜400の鋼種を使用した。レール鋼Cは炭素量0.85〜0.95%を含有する過共析鋼であり、圧延後に熱処理されたレールで、レール頭部の表面下5mmでの硬度がビッカース硬度400〜450の鋼種を使用した。
<使用レール>
表1に使用した3種類のレールを示す。レール鋼Aは通称、普通レールと呼ばれる鋼種で、炭素量0.65〜0.75重量%を含有する亜共析鋼であり、圧延ままの素材で、レール頭部の硬度はビッカース硬度260〜290である。レール鋼Bは圧延後に熱処理されたレールで、炭素量0.75〜0.85重量%を含有する共析鋼であり、レール頭部の表面下5mmでの硬度がビッカース硬度360〜400の鋼種を使用した。レール鋼Cは炭素量0.85〜0.95%を含有する過共析鋼であり、圧延後に熱処理されたレールで、レール頭部の表面下5mmでの硬度がビッカース硬度400〜450の鋼種を使用した。
表2に使用したレールの寸法を示す。表中の「イ」は主に重荷重の貨物鉄道で採用されるレールの例で、141Lと呼称されている。「ロ」は主に軽荷重の貨物および旅客鉄道で主に採用されている断面サイズで、50Nと呼称されている。
<溶接方法>
フラッシュバット溶接法により溶接した。フラッシュ時間は180秒間、加圧距離は15mmとした。
フラッシュバット溶接法により溶接した。フラッシュ時間は180秒間、加圧距離は15mmとした。
<再加熱方法>
60Hz交流電源をインバーター整流して5kHzに高周波変換し、加熱コイルに通電することにより再加熱した。加熱コイルはレール表面から5〜20mmの近距離に設置し、再加熱領域をできるだけ明瞭に限定できるようにした。
60Hz交流電源をインバーター整流して5kHzに高周波変換し、加熱コイルに通電することにより再加熱した。加熱コイルはレール表面から5〜20mmの近距離に設置し、再加熱領域をできるだけ明瞭に限定できるようにした。
<残留応力の測定方法>
歪ゲージを測定位置に接着し、この部分を板厚5mm、長さ15mm、幅15mmに切り出し、歪の変化量から残留応力を算出した。
歪ゲージを測定位置に接着し、この部分を板厚5mm、長さ15mm、幅15mmに切り出し、歪の変化量から残留応力を算出した。
<疲労試験方法>
(1)柱部の水平亀裂に対する疲労特性の試験方法
柱部の水平亀裂に対する疲労強度の評価試験は図29に模式的に示す方法で行った。定盤27の上にレール溶接部を置き、溶接部のレール頭部から押し治具28で荷重を繰返し与えた。押し治具28の曲率半径は車輪に近い450mmとした。付与する荷重は重荷重鉄道での実荷重が20トン程度であることを考慮し、実験速度の促進のために30トンに設定した。最低荷重は4トンとした。荷重繰返し速度は2Hzとし、溶接部に亀裂が発生した時点で試験を終了した。荷重繰返し回数が200万回まで非破断であった場合は、そこで試験を終了した。
(1)柱部の水平亀裂に対する疲労特性の試験方法
柱部の水平亀裂に対する疲労強度の評価試験は図29に模式的に示す方法で行った。定盤27の上にレール溶接部を置き、溶接部のレール頭部から押し治具28で荷重を繰返し与えた。押し治具28の曲率半径は車輪に近い450mmとした。付与する荷重は重荷重鉄道での実荷重が20トン程度であることを考慮し、実験速度の促進のために30トンに設定した。最低荷重は4トンとした。荷重繰返し速度は2Hzとし、溶接部に亀裂が発生した時点で試験を終了した。荷重繰返し回数が200万回まで非破断であった場合は、そこで試験を終了した。
(2)柱部の軸方向応力に対する疲労特性の試験方法
軸方向疲労強度の評価試験を模式的に図30に示す。溶接部の両側0.5mの位置でレールを試験機にセットし、軸方向の片振り荷重Kを繰返し付与した。最低応力を30MPaとし、最大応力を430MPaとした。荷重繰返し速度は5Hzとし、溶接部に亀裂が発生した時点で試験を終了した。荷重繰返し回数が200万回まで非破断であった場合は、そこで試験を終了した。
軸方向疲労強度の評価試験を模式的に図30に示す。溶接部の両側0.5mの位置でレールを試験機にセットし、軸方向の片振り荷重Kを繰返し付与した。最低応力を30MPaとし、最大応力を430MPaとした。荷重繰返し速度は5Hzとし、溶接部に亀裂が発生した時点で試験を終了した。荷重繰返し回数が200万回まで非破断であった場合は、そこで試験を終了した。
<実施例A>
表3はレールをフラッシュバット溶接した後に、レール柱部を再加熱した例を示す。
同一条件で2〜3本の試験体をフラッシュバット溶接により作成し、そのうち1本は残留応力を測定し、2本目は柱部の疲労寿命評価試験を行った。被溶接レールには鋼種は表1のA、断面サイズは表2のイを用いた。母材硬度はHv260〜290である。
表3はレールをフラッシュバット溶接した後に、レール柱部を再加熱した例を示す。
同一条件で2〜3本の試験体をフラッシュバット溶接により作成し、そのうち1本は残留応力を測定し、2本目は柱部の疲労寿命評価試験を行った。被溶接レールには鋼種は表1のA、断面サイズは表2のイを用いた。母材硬度はHv260〜290である。
実施例A1〜A13は溶接完了後180分経過し、溶接部温度が50℃になった後に再加熱した例である。実施例A14〜A21は溶接完了後5分から120分の間の種々のタイミングで再加熱時期を変化させた例である。
いずれの実施例も柱部の鉛直方向の残留応力は、比較例a1で示した溶接まま材に比較して低下した。それに伴い、比較例a1の溶接まま材では柱部の疲労試験において荷重繰り返し回数2,000,000回に到達しない短寿命で亀裂が発生したのに対して、実施例A1〜A21では2,000,000回まで亀裂は発生しなかった。
一方、比較例a2〜a9は柱部の再加熱を行っているものの、再加熱領域Pと溶接中心の距離Cが近すぎるか、もしくは遠すぎることが主な原因となり残留応力が十分に下がっていない。このため疲労試験において短寿命で破断した。
また、比較例a8は再加熱温度が高すぎたため、再加熱部が硬さHv200にまで軟化し、この部分から疲労亀裂が生じた。
<実施例B>
表4はレールをフラッシュバット溶接した後に、レール柱部と同時にレール頭部を再加熱した例を示す。
表4はレールをフラッシュバット溶接した後に、レール柱部と同時にレール頭部を再加熱した例を示す。
同一条件で3本の試験体をフラッシュバット溶接により作成し、そのうち1本は残留応力を測定し、2本目は柱部の疲労寿命評価試験を、3本目は軸力疲労試験を行った。
被溶接レールには鋼種は表1のB、断面サイズは表2のイを用いた。母材の硬度はHv360〜400である。
いずれの実施例も柱部の鉛直方向の残留応力は、比較例b1で示した溶接まま材に比較して低下した。それに伴い、比較例b1の溶接まま材では柱部の疲労試験において荷重繰り返し回数2,000,000回に到達しない短寿命で亀裂が発生したのに対して、実施例B1〜B23では2,000,000回まで亀裂は発生しなかった。
実施例B1〜B14は溶接完了後180分経過し、溶接部温度が50℃になった後に再加熱した例である。実施例B15〜B23は溶接完了後5分から120分の間の種々のタイミングで再加熱の開始時期を変化させた例である。再加熱開始時期が早まるにつれて残留応力はやや増加する傾向にある。
実施例B14とB17は柱部2と頭頂部4の再加熱領域を連続化させた例である。
一方、比較例b2〜b11は柱部2、頭頂部4の再加熱を行っているものの、柱部2の再加熱領域Pwと溶接中心の距離Cwが近すぎるか、もしくは遠すぎることが主な原因となり、鉛直方向の残留応力が十分に下がっていない。このため柱部の疲労試験において短寿命で破断した。一方、頭頂部4を再加熱することで、長手方向の残留応力は比較例b1の溶接まま材に比較して低下し、軸方向疲労試験における疲労寿命は向上している。ただし比較例b3、b6、b7、b9は頭頂部4の再加熱温度が不十分であることや、再加熱領域の寸法が不適切なため、荷重繰返し回数2,000,000回までに破断した。
<実施例C>
表5はレールをフラッシュバット溶接した後に、レール柱部2と同時にレール足裏部6を再加熱した例を示す。
表5はレールをフラッシュバット溶接した後に、レール柱部2と同時にレール足裏部6を再加熱した例を示す。
同一条件で3本の試験体をフラッシュバット溶接により作成し、そのうち1本は残留応力を測定し、2本目は柱部の疲労寿命評価試験を、3本目は軸力疲労試験を行った。
被溶接レールには鋼種は表1のC、断面サイズは表2のイを用いた。母材の硬度はHv400〜450である。
いずれの実施例も柱部の鉛直方向の残留応力は、比較例c1で示した溶接まま材に比較して低下した。それに伴い、比較例c1では柱部の疲労試験において荷重繰り返し回数2,000,000回に到達しない短寿命で亀裂が発生したのに対して、実施例C1〜C23では2,000,000回まで亀裂は発生しなかった。
実施例C1〜C14は溶接完了後180分経過し、溶接部温度が50℃になった後に再加熱した例である。実施例C15〜C23は溶接完了後5分から120分の間の種々のタイミングで再加熱の開始時期を変化させた例である。再加熱開始時期が早まるにつれて残留応力はやや増加する傾向にある。
実施例C14とC17は柱部と頭頂部4の再加熱領域を連続化させた例である。
一方、比較例c2〜c11は柱部の柱部2、頭頂部4の再加熱を行っているものの、柱部の再加熱領域Pwと溶接中心の距離Cwが近すぎるか、もしくは遠すぎることが主な原因となり、鉛直方向の残留応力が十分に下がっていない。このため柱部の疲労試験において短寿命で破断した。
一方、頭頂部4を再加熱することで、長手方向の残留応力は比較例c1の溶接まま材に比較して低下し、軸方向疲労試験における疲労寿命は向上している。ただし比較例c3、c9は頭頂部4の再加熱温度が不十分であることや、再加熱領域の寸法が不適切なため、荷重繰返し回数2,000,000回までに破断した。
また、比較例c6とc7は頭頂部4の再加熱温度が高すぎるために、頭頂面が軟化した。頭頂部4は耐摩耗性が重要であるため、これらの軟化を生じる処理は好ましくない。
<実施例D>
表6−1及び表6−2はレールをフラッシュバット溶接した後に、レール柱部2と同時にレール頭頂部4と足裏部6を再加熱した例を示す。
表6−1及び表6−2はレールをフラッシュバット溶接した後に、レール柱部2と同時にレール頭頂部4と足裏部6を再加熱した例を示す。
同一条件で3本の試験体をフラッシュバット溶接により作成し、そのうち1本は残留応力を測定し、2本目は柱部の疲労寿命評価試験を、3本目は軸力疲労試験を行った。
被溶接レールには鋼種は表1のC、断面サイズは表2のイおよびロを用いた。母材の硬度はHv400〜450である。
いずれの実施例も柱部の鉛直方向の残留応力は、比較例d1で示した溶接まま材に比較して低下した。それに伴い、比較例d1の溶接まま材では柱部の疲労試験において荷重繰り返し回数2,000,000回に到達しない短寿命で亀裂が発生したのに対して、実施例D1〜D41では2,000,000回まで亀裂は発生しなかった。
実施例D1〜D22、D30〜D32、D36およびD40は溶接完了後180分経過し、溶接部温度が50℃になった後に再加熱した例である。実施例D23〜D29、D33〜D35およびD37〜D39は溶接完了後5分から120分の間の種々のタイミングで再加熱の開始時期を変化させた例である。再加熱開始時期が早まるにつれて残留応力はやや増加する傾向にある。
実施例D36〜D39はHAZ長さの大きい、大入熱の条件で溶接した例である。
D30とD33は柱部2と頭頂部4の再加熱領域を連続化させた例である。
D31とD34は柱部2と足裏部6の再加熱領域を連続化させた例である。
D32、D37およびD39〜D41は柱部2、頭頂部4、足裏部6の再加熱領域をすべて連続化させた例である。
D30とD33は柱部2と頭頂部4の再加熱領域を連続化させた例である。
D31とD34は柱部2と足裏部6の再加熱領域を連続化させた例である。
D32、D37およびD39〜D41は柱部2、頭頂部4、足裏部6の再加熱領域をすべて連続化させた例である。
一方、比較例d2〜d16は柱部の柱部2と頭頂部4および、もしくは足裏部6の再加熱を行っているものの、柱部の再加熱領域Pwと溶接中心の距離Cwが近すぎるか、もしくは遠すぎることが主な原因となり、鉛直方向の残留応力が十分に下がっていない。このため柱部の疲労試験において短寿命で破断した。
一方、頭頂部4および、もしくは足裏部6を再加熱することで、長手方向の残留応力は比較例d1の溶接まま材に比較して低下し、軸方向疲労試験における疲労寿命は向上している。ただし比較例d5、d8、d10〜d14は頭頂部4もしくは足裏部6の再加熱温度が不十分であることや、再加熱領域の寸法が不適当なところがあり、荷重繰返し回数2,000,000回までに破断した。
また、比較例d2は柱部2と足裏部6の再加熱温度が高すぎるために、それら部位が軟化し、この軟化部が疲労起点になった。また、足裏部6は車輪の通過により曲げモードの引張応力が生じるため、軟化を生じる処理は好ましくない。
<実施例E>
表7は、レールをフラッシュバット溶接した後の種々の溶接部の温度が異なる時期に再加熱を行った実施例を示す。
表7は、レールをフラッシュバット溶接した後の種々の溶接部の温度が異なる時期に再加熱を行った実施例を示す。
被溶接レールには鋼種は表1のC、断面サイズは表2のイおよびロを用いた。母材の硬度はHv400〜450である。
この実施例では、柱部の再加熱部の残留応力を測定した。さらに、疲労試験として、図31に示すように荷重を柱部の再加熱部の中心の鉛直線上に負荷する試験を行った。
同一条件で3本の試験体をフラッシュバット溶接により作成し、そのうち1本は残留応力を測定し、2本目は柱部の溶接部に対する疲労寿命評価試験を、3本目は柱部の再加熱部に対する疲労寿命評価試験を行った。
実施例E1,E2はレール柱部だけを再加熱した例、実施例E3,E4はレール柱部とレール頭部とを再加熱した例、実施例E5,E6はレール柱部とレール足部とを再加熱した例、実施例E7〜E23はレール柱部、レール頭部およびレール足部を再加熱した例である。このうち、実施例E14〜E23は、レール柱部、レール頭部、およびレール足部の再加熱領域のうちの少なくとも2つが連続している例である。
再加熱開始時期により変化する溶接部の初期温度に応じて再加熱温度を調整することにより、溶接部の残留応力は350MPa以下、再加熱部の残留応力は400MPa以下となり、溶接部全体として残留応力の低い溶接部が得られている。
この残留応力の低減に伴い、比較例e1の溶接まま材では柱部の溶接部に対する疲労試験において荷重繰り返し回数2,000,000回に到達しない短寿命で亀裂が発生したのに対して、実施例E1〜E23では2,000,000回まで亀裂は発生しなかった。
また、再加熱部に対して行った柱部の疲労試験においても荷重繰り返し回数2,000,000回まで亀裂は発生しなかった。一方、比較例e2、e5は再加熱部の残留応力が400MPa以上になり、再加熱部に対して行った柱部の疲労試験においても荷重繰り返し回数2,000,000回に到達しない短寿命で亀裂が発生した。
また、比較例e3,e4,e6,e7,e9は、再加熱温度が不足しているため溶接部の残留応力が350MPaを超しており、柱部の溶接部に対する疲労試験において荷重繰り返し回数2,000,000回に到達しない短寿命で亀裂が発生した。
また、比較例e8、e10は、再加熱温度が高すぎたために再加熱部が軟化し、柱部の溶接部および再加熱部に対する疲労試験において荷重繰り返し回数2,000,000回に到達しない短寿命で亀裂が発生した。
1・・・レールの頭部
2・・・レールの柱部
3・・・レールの足部
4・・・レールの頭頂部
5・・・レールの足表部
6・・・レール足裏部
7・・・溶接部
8・・・溶接ビード
9・・・電極
10・・・被溶接レール
11・・・アップセットによる溶接ビード
12・・・トリマー
13・・・電源
22・・・疲労亀裂
23・・・脆性亀裂
24・・・枕木
25・・・車輪
26・・・軸方向収縮応力
27・・・定盤
28・・・押し治具
29・・・疲労試験機のチャック
A−A・・・A−A断面、溶接中心においてレール長手方向に直角の断面
Aw・・・柱部の再加熱領域の高さ
Ah・・・頭部の再加熱領域の幅
Ab・・・足裏部6の再加熱領域の幅
B−B・・・B−B断面、レール対称軸を通り、長手方向に平行かつ鉛直な断面
Bw・・・柱部の再加熱領域の長さ
Bh・・・頭部の再加熱領域の長さ
Bb・・・足裏部6の再加熱領域の長さ
C・・・再加熱領域と溶接中心との距離
Cw・・・柱部の再加熱領域と溶接中心との距離
Ch・・・頭部の再加熱領域と溶接中心との距離
Cb・・・足裏部6の再加熱領域と溶接中心との距離
D−D・・・D−D断面(柱部の高さ中心面)
E・・・歪
Et・・・再加熱部の歪
Etx・・・長手方向の再加熱部の歪
FL、FR・・・再加熱領域より外側のレール長手方向に直角の断面であり、FLは図に示す左側の、FRは図に示す右側の断面
Gh・・・頭幅
Gb・・・足幅
Hw・・・柱の高さ
K・・・荷重
Lh・・・HAZ長さ
ML、MR・・・溶接部近傍のレール長手方向に対する直角の断面であり、MLは図に示す左側の、MRは図に示す右側の断面
P・・・再加熱領域
Pw・・・柱部の再加熱領域
Ph・・・頭部の再加熱領域
Pb・・・足裏部6の再加熱領域
Q・・・溶接中心
Rwo・・・溶接直後の温度分布
Rw1・・・溶接直後の放冷時の温度分布
R0・・・再加熱直前の温度分布
R1・・・再加熱直後の温度分布
R2・・・再加熱から所定の時間が経過した後の温度分布
Sq・・・溶接中心における応力
St・・・再加熱部における応力
Stx・・・断面Tにおける柱部の長手方向収縮応力
Sthx・・・断面Tにおける頭部の長手方向収縮応力
Sf・・・再加熱領域の外側の断面における応力
Sm・・・M断面における応力
TL、TR・・・再加熱領域の中心を通りレール長手方向に直角の断面であり、TLは図に示す左側の、TRは図に示す右側の断面
Th・・・再加熱温度
U・・・残留応力の分布
VL、VR・・・残留応力が中立になる点であり、VLは図に示す左側、VRは図に示す右側の点
W・・・レール側の圧縮残留応力が最大になる位置
X・・・HAZ境界線
Z・・・溶融境界
2・・・レールの柱部
3・・・レールの足部
4・・・レールの頭頂部
5・・・レールの足表部
6・・・レール足裏部
7・・・溶接部
8・・・溶接ビード
9・・・電極
10・・・被溶接レール
11・・・アップセットによる溶接ビード
12・・・トリマー
13・・・電源
22・・・疲労亀裂
23・・・脆性亀裂
24・・・枕木
25・・・車輪
26・・・軸方向収縮応力
27・・・定盤
28・・・押し治具
29・・・疲労試験機のチャック
A−A・・・A−A断面、溶接中心においてレール長手方向に直角の断面
Aw・・・柱部の再加熱領域の高さ
Ah・・・頭部の再加熱領域の幅
Ab・・・足裏部6の再加熱領域の幅
B−B・・・B−B断面、レール対称軸を通り、長手方向に平行かつ鉛直な断面
Bw・・・柱部の再加熱領域の長さ
Bh・・・頭部の再加熱領域の長さ
Bb・・・足裏部6の再加熱領域の長さ
C・・・再加熱領域と溶接中心との距離
Cw・・・柱部の再加熱領域と溶接中心との距離
Ch・・・頭部の再加熱領域と溶接中心との距離
Cb・・・足裏部6の再加熱領域と溶接中心との距離
D−D・・・D−D断面(柱部の高さ中心面)
E・・・歪
Et・・・再加熱部の歪
Etx・・・長手方向の再加熱部の歪
FL、FR・・・再加熱領域より外側のレール長手方向に直角の断面であり、FLは図に示す左側の、FRは図に示す右側の断面
Gh・・・頭幅
Gb・・・足幅
Hw・・・柱の高さ
K・・・荷重
Lh・・・HAZ長さ
ML、MR・・・溶接部近傍のレール長手方向に対する直角の断面であり、MLは図に示す左側の、MRは図に示す右側の断面
P・・・再加熱領域
Pw・・・柱部の再加熱領域
Ph・・・頭部の再加熱領域
Pb・・・足裏部6の再加熱領域
Q・・・溶接中心
Rwo・・・溶接直後の温度分布
Rw1・・・溶接直後の放冷時の温度分布
R0・・・再加熱直前の温度分布
R1・・・再加熱直後の温度分布
R2・・・再加熱から所定の時間が経過した後の温度分布
Sq・・・溶接中心における応力
St・・・再加熱部における応力
Stx・・・断面Tにおける柱部の長手方向収縮応力
Sthx・・・断面Tにおける頭部の長手方向収縮応力
Sf・・・再加熱領域の外側の断面における応力
Sm・・・M断面における応力
TL、TR・・・再加熱領域の中心を通りレール長手方向に直角の断面であり、TLは図に示す左側の、TRは図に示す右側の断面
Th・・・再加熱温度
U・・・残留応力の分布
VL、VR・・・残留応力が中立になる点であり、VLは図に示す左側、VRは図に示す右側の点
W・・・レール側の圧縮残留応力が最大になる位置
X・・・HAZ境界線
Z・・・溶融境界
Claims (11)
- フラッシュバット溶接法による、パーライト組織を有するレール鋼の溶接後のレール溶接部の再加熱方法において、中心における再加熱における到達温度が400℃以上、750℃以下であるレール柱部の再加熱領域Pwと溶接中心Qとの距離Cwが、溶接部のA1変態点以上に加熱された領域であるHAZのHAZ長さLhの0.2倍以上、3倍以下とし、中心における到達温度が400℃以上、750℃以下であるレール頭頂部における再加熱領域Phと溶接中心Qとの距離Chが、前記溶接部のHAZ長さLhの0.2倍以上、3倍以下であるレール溶接部の再加熱方法。
- 前記レール頭頂部における再加熱領域Phの長さBhが、前記溶接部のHAZ長さLhの0.5倍以上、5倍以下である請求項1に記載のレール溶接部の再加熱方法。
- 前記レール頭頂部における再加熱領域Phの幅Ahが、レールの頭幅Ghの0.3倍以上である請求項1または2に記載のレール溶接部の再加熱方法。
- フラッシュバット溶接法による、パーライト組織を有するレール鋼の溶接後のレール溶接部の再加熱方法において、中心における再加熱における到達温度が400℃以上、750℃以下であるレール柱部の再加熱領域Pwと溶接中心Qとの距離Cwが、溶接部のA1変態点以上に加熱された領域であるHAZのHAZ長さLhの0.2倍以上、3倍以下とし、中心における到達温度が400℃以上、750℃以下であるレール足裏部における再加熱領域Pbと溶接中心Qとの距離Cbが、前記溶接部のHAZ長さLhの0.2倍以上、3倍以下であるレール溶接部の再加熱方法。
- レール足裏部における再加熱領域Pbと溶接中心Qとの距離Cbが、前記溶接部のHAZ長さLhの0.2倍以上、3倍以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のレール溶接部の再加熱方法。
- 前記レール足裏部における再加熱領域Pbの長さBbが、前記溶接部のHAZ長さLhの0.5倍以上、5倍以下である請求項4または5に記載のレール溶接部の再加熱方法。
- 前記レール足裏部における再加熱領域の幅Abが、レールの足幅Gbの0.3倍以上である請求項4〜6のいずれか1項に記載のレール溶接部の再加熱方法。
- 前記レール柱部の再加熱領域Pwのレール長手方向の長さBが、前記溶接部のHAZ長さLhの0.5倍以上、5倍以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載のレール溶接部の再加熱方法。
0.5Lh≦B≦5Lh - 前記レール柱部の再加熱領域Pwの高さAが、前記レール柱部の高さHwの0.2倍以上である請求項1〜8のいずれか1項に記載のレール溶接部の再加熱方法。
0.2Hw≦A - 前記レール柱部の再加熱領域Pwの中心における再加熱時の到達温度Th(℃)が、以下の式(1)を満たす、請求項1〜9のいずれか1項に記載のレール溶接部の再加熱方法。
0.375Tw+350≦Th≦0.5Tw+600 ・・・(1)
Twは、溶接部の再加熱時の初期温度Tw(℃) - フラッシュバット溶接法による、パーライト組織を有するレール鋼の溶接後のレール溶接部の再加熱方法において、中心における再加熱における到達温度が、400℃以上、750℃以下であるレール柱部の再加熱領域Pwと溶接中心Qとの距離Cwを、溶接部のA1変態点以上に加熱された領域であるHAZのHAZ長さLhに基づき以下の式(2)によって決定する、レール溶接部の再加熱方法。
0.2Lh≦C≦3Lh ・・・(2)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013516390A JP5549782B2 (ja) | 2011-05-25 | 2012-05-23 | レール溶接部の再加熱方法 |
Applications Claiming Priority (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011117317 | 2011-05-25 | ||
JP2011117317 | 2011-05-25 | ||
PCT/JP2012/063147 WO2012161207A1 (ja) | 2011-05-25 | 2012-05-23 | レール溶接部の再加熱方法 |
JP2013516390A JP5549782B2 (ja) | 2011-05-25 | 2012-05-23 | レール溶接部の再加熱方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP5549782B2 true JP5549782B2 (ja) | 2014-07-16 |
JPWO2012161207A1 JPWO2012161207A1 (ja) | 2014-07-31 |
Family
ID=47217283
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013516390A Active JP5549782B2 (ja) | 2011-05-25 | 2012-05-23 | レール溶接部の再加熱方法 |
Country Status (7)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US10144983B2 (ja) |
JP (1) | JP5549782B2 (ja) |
AU (1) | AU2012259857B2 (ja) |
BR (1) | BR112013029859B1 (ja) |
CA (1) | CA2836260C (ja) |
RU (1) | RU2545855C1 (ja) |
WO (1) | WO2012161207A1 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017026691A (ja) * | 2015-07-17 | 2017-02-02 | 株式会社メイクソフトウェア | 画像編集装置 |
JPWO2022071007A1 (ja) * | 2020-09-30 | 2022-04-07 |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014077140A1 (ja) * | 2012-11-16 | 2014-05-22 | 新日鐵住金株式会社 | 後熱処理装置 |
RU2661199C2 (ru) * | 2014-04-08 | 2018-07-16 | Ниппон Стил Энд Сумитомо Метал Корпорейшн | Устройство для термической обработки, способ термической обработки и рельсовая сталь |
AU2015321012B2 (en) * | 2014-09-23 | 2018-10-18 | Jingye Steel (UK) Ltd | Method and device for production of heat treated welded rail for rail transport and rail produced therewith |
EP2845913A1 (en) * | 2014-09-23 | 2015-03-11 | Tata Steel UK Ltd | Method and device for production of heat treated welded rail for rail transport and rail produced therewith |
RU2020113320A (ru) * | 2017-09-29 | 2021-10-29 | Сиэфэндай Стил Эл.Пи., Ди/Би/Эй Евраз Роки Маунтин Стил | Способ соединения стальных рельсов с регулируемым подводом теплоты сварки |
CN110777245B (zh) * | 2019-11-05 | 2021-08-20 | 中国铁建重工集团股份有限公司道岔分公司 | 杆件加热方法、加热设备及计算机可读存储介质 |
CN111037038B (zh) * | 2019-11-26 | 2021-09-10 | 上海振华重工(集团)股份有限公司南通分公司 | 一种场桥回转小车耐磨轨道焊接工艺 |
CN112251587B (zh) * | 2020-10-23 | 2022-03-22 | 攀钢集团攀枝花钢铁研究院有限公司 | 贝氏体钢轨与共析珠光体钢轨焊接接头的热处理方法 |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS58153731A (ja) * | 1982-03-05 | 1983-09-12 | Hitachi Ltd | 溶接残留応力の低減方法 |
JPS5993837A (ja) * | 1982-11-19 | 1984-05-30 | Nippon Steel Corp | レ−ル溶接部の耐疲労破壊特性向上法 |
JPH08337819A (ja) * | 1995-06-08 | 1996-12-24 | Nippon Steel Corp | レール溶接部の耐腹部水平き裂性改善法 |
JP2010000543A (ja) * | 2009-10-02 | 2010-01-07 | Toshiba Corp | 応力腐食割れ発生抑制方法 |
WO2010116680A1 (ja) * | 2009-03-30 | 2010-10-14 | 新日本製鐵株式会社 | レール溶接部の冷却方法、レール溶接部の冷却装置、及びレール溶接継手 |
Family Cites Families (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB273326A (en) | 1926-06-28 | 1928-05-24 | Curt Stedefeld | Improvements in the heat treatment of welded rail joints |
DE2208692C3 (de) | 1972-02-24 | 1974-12-12 | Elektro-Thermit Gmbh, 4300 Essen | Verfahren zur Herstellung aluminothermischerSchienenverbindungssch weißungen |
JPS5933072B2 (ja) | 1980-03-27 | 1984-08-13 | 日本鋼管株式会社 | レ−ル圧接のためのレ−ルクランプ装置 |
JPS5993838A (ja) | 1982-11-19 | 1984-05-30 | Nippon Steel Corp | レ−ル溶接部の耐破壊特性向上法 |
JPS6033313A (ja) * | 1983-08-05 | 1985-02-20 | Nippon Kokan Kk <Nkk> | レ−ル溶接部の冷却装置 |
JPS63160799A (ja) | 1986-12-24 | 1988-07-04 | Nippon Steel Corp | レ−ル用被覆ア−ク溶接棒 |
JPH03249127A (ja) | 1990-02-28 | 1991-11-07 | Nippon Steel Corp | レール溶接継手部のショットピーニング処理方法 |
JPH03277720A (ja) | 1990-03-27 | 1991-12-09 | Nippon Steel Corp | レール突合せ溶接部の耐疲労破壊特性向上法 |
FR2738843B1 (fr) * | 1995-09-20 | 1997-10-17 | Sogerail | Procede de traitement thermique d'un rail en acier |
JPH1158042A (ja) | 1997-08-27 | 1999-03-02 | Nippon Steel Corp | ベイナイト鋼レールのテルミット溶接方法 |
JP3537661B2 (ja) | 1998-03-25 | 2004-06-14 | 財団法人鉄道総合技術研究所 | レールガス圧接用ガスバーナ |
GB2403174B (en) * | 2003-06-26 | 2006-11-15 | Corus Uk Ltd | Steel rails |
US9617690B2 (en) | 2009-10-30 | 2017-04-11 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation | Flash butt welding method of rail steel |
-
2012
- 2012-05-23 AU AU2012259857A patent/AU2012259857B2/en active Active
- 2012-05-23 JP JP2013516390A patent/JP5549782B2/ja active Active
- 2012-05-23 CA CA2836260A patent/CA2836260C/en active Active
- 2012-05-23 RU RU2013157323/02A patent/RU2545855C1/ru active
- 2012-05-23 BR BR112013029859-6A patent/BR112013029859B1/pt active IP Right Grant
- 2012-05-23 WO PCT/JP2012/063147 patent/WO2012161207A1/ja active Application Filing
- 2012-05-23 US US14/119,819 patent/US10144983B2/en active Active
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS58153731A (ja) * | 1982-03-05 | 1983-09-12 | Hitachi Ltd | 溶接残留応力の低減方法 |
JPS5993837A (ja) * | 1982-11-19 | 1984-05-30 | Nippon Steel Corp | レ−ル溶接部の耐疲労破壊特性向上法 |
JPH08337819A (ja) * | 1995-06-08 | 1996-12-24 | Nippon Steel Corp | レール溶接部の耐腹部水平き裂性改善法 |
WO2010116680A1 (ja) * | 2009-03-30 | 2010-10-14 | 新日本製鐵株式会社 | レール溶接部の冷却方法、レール溶接部の冷却装置、及びレール溶接継手 |
JP2010000543A (ja) * | 2009-10-02 | 2010-01-07 | Toshiba Corp | 応力腐食割れ発生抑制方法 |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017026691A (ja) * | 2015-07-17 | 2017-02-02 | 株式会社メイクソフトウェア | 画像編集装置 |
JPWO2022071007A1 (ja) * | 2020-09-30 | 2022-04-07 | ||
WO2022071007A1 (ja) * | 2020-09-30 | 2022-04-07 | 日本製鉄株式会社 | 溶接レール |
JP7417170B2 (ja) | 2020-09-30 | 2024-01-18 | 日本製鉄株式会社 | 溶接レール |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
CA2836260A1 (en) | 2012-11-29 |
WO2012161207A1 (ja) | 2012-11-29 |
BR112013029859B1 (pt) | 2019-06-18 |
AU2012259857B2 (en) | 2015-01-29 |
AU2012259857A1 (en) | 2013-11-21 |
CA2836260C (en) | 2016-07-05 |
JPWO2012161207A1 (ja) | 2014-07-31 |
RU2545855C1 (ru) | 2015-04-10 |
US20140087320A1 (en) | 2014-03-27 |
BR112013029859A2 (pt) | 2016-12-20 |
US10144983B2 (en) | 2018-12-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5549782B2 (ja) | レール溶接部の再加熱方法 | |
JP4819183B2 (ja) | レール溶接部の冷却方法、レール溶接部の冷却装置、及びレール溶接継手 | |
TWI316550B (en) | Method of improving quality and reliability of welded rail joint properties by ultrasonic impact treatment | |
US10851436B2 (en) | Method for joining steel rails with controlled weld heat input | |
JP5531845B2 (ja) | フラッシュバット溶接部近傍の後熱処理方法 | |
WO2013161026A1 (ja) | パーライトレール、パーライトレールのフラッシュバット溶接方法、およびパーライトレールの製造方法 | |
JP7417170B2 (ja) | 溶接レール | |
JP2012101280A (ja) | レール鋼のフラッシュバット溶接方法 | |
JPH09316598A (ja) | 耐摩耗性および溶接性に優れたパーライト系レールおよびその製造法 | |
JP2010188382A (ja) | レールの溶接部の冷却方法 | |
JP4994928B2 (ja) | 耐折損性に優れたレールの製造方法 | |
JP2007175707A (ja) | レール溶接部における疲労強度向上方法 | |
JP4153650B2 (ja) | 高溶接性レールの製造方法 | |
JP4740275B2 (ja) | コモンレールの製造方法および部分強化されたコモンレール | |
Rajanna et al. | Improvement in mechanical behavior of expulsion with heat treated thermite welded rail steel | |
RU2400342C1 (ru) | Способ ремонта сваркой стальных конструкций | |
JP4264298B2 (ja) | 溶接部高靭性の大断面フラッシュバット溶接構造物 | |
JP2011020162A (ja) | 押抜きせん断装置及びそれを用いた溶接継手の形成方法 | |
JP7553882B1 (ja) | フラッシュバット溶接レールの製造方法 | |
JP4351402B2 (ja) | レールのテルミット溶接方法 | |
JP2005262281A (ja) | 疲労寿命にすぐれた溶接継手 | |
JPH03277720A (ja) | レール突合せ溶接部の耐疲労破壊特性向上法 | |
JP2004136312A (ja) | 薄鋼板の高疲労強度隅肉溶接継手およびその疲労強度向上方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140422 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140505 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 5549782 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |