JP2011020162A - 押抜きせん断装置及びそれを用いた溶接継手の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来と比較してレール溶接部の疲労強度が向上したテルミット溶接継手を形成するために使用される押抜きせん断装置及びそれを用いた溶接継手の形成方法を提供する。
【解決手段】押抜きせん断装置26は、鋳型9、9’内に残存する溶接金属を鋳型9、9’の一部と共に押抜きせん断する一対のトリマーバイト28、28’と、レール10を保持する一対の固定具32、32’とを備え、一対のトリマーバイト28、28’及び一対の固定具32、32’は、それぞれレール10を挟んで対称に配置される。レール10を挟んだ両側には、レール10の延在方向にロッド33が進退する油圧シリンダ37がそれぞれ設置され、一対のロッド33間には、可動横架部35が架設され、可動横架部35は、レール10の延在方向にスライド可能とされている。一対のトリマーバイト28、28’は、可動横架部35に回動軸30で軸支され、水平面内で回動可能とされている。
【選択図】図2

Description

本発明は、レールの継目を鋳型で取り囲んでテルミット溶接した後、鋳型内に残存する溶接金属を鋳型の一部と共に熱間で押抜き除去する押抜きせん断装置及びそれを用いた溶接継手の形成方法に関する。
レールの継目は、レールの中で最も損傷が起こりやすく、保守コストが掛かる部位であると共に、列車通過時に生じる騒音及び振動の主たる発生源となっている。他方、旅客鉄道の高速化や貨物鉄道の重積載化が国内外で進められている。このような状況から、レールの継目を溶接接合してレールを連続化し、延長200m以上のロングレールとする技術が一般化している。
ここで、レール各部位の呼称について説明しておく。ロングレールは、少なくとも2本のレールの端面同士を溶接接合することにより製造される。このため、ロングレールは、図1(a)に示すように、レール溶接部7を有し、レール溶接部7の表面にはビード8が形成されている。
レールは、車輪と接触するレール上部の頭部1と、枕木上に接地されるレール下部の足部3と、頭部1と足部3とをつなぐ柱部2とから構成されている。頭部1の頭頂面を頭頂部4、足部3の上面を足表部5、足部3の下面(底面)を足裏部6と呼ぶ(図1(b)参照)。
ビード8は、注入された溶鋼とレール母材が溶融した溶接金属からなり、その形状はレール母材より肉厚となっている(図1(c)参照)。本明細書では、ビード8の最も膨らんでいる部分を頂点部8aと呼ぶことにする。
なお、図1(b)では、レールの形状を破線で示している。また、図1(b)中、1’は頭部溶接金属、2’は柱部溶接金属、3’は足部溶接金属である。
レール継目の主な溶接方法としては、フラッシュバット溶接、ガス圧接、エンクローズアーク溶接、及びテルミット溶接(例えば特許文献1参照)がある。
レールの継目を溶接した場合、積載荷重の大きな貨物鉄道や寒冷地などでは、レール溶接部の中立軸付近に疲労亀裂が発生し、これが引き金となってレールが脆性破壊することがある。図13(a)に示すように、水平方向に走る疲労亀裂51がレール溶接部50の中立軸付近に発生し、レール頭部及びレール足部へ向けて脆性亀裂52が進展する。図13(b)は亀裂破面を示したものであるが、レール溶接部50の中立軸付近を起点として疲労亀裂51が発生し、その後、脆性亀裂52が柱部を板厚方向に貫通している様子がわかる。
上記疲労亀裂の発生には、外的な負荷条件と共に、レール溶接部の残留応力が影響すると言われている。図14に、レールの継目をテルミット溶接した際に発生する残留応力分布の一例を示す。図14のグラフにおいて、縦軸の正方向が引張残留応力、縦軸の負方向が圧縮残留応力を表している。図14(a)は、レールの溶接中心におけるレール断面周方向の残留応力の分布を示したものであるが、柱部の引張残留応力が大きいことがわかる。また、柱部の中立軸位置におけるレール断面周方向(上下方向)の引張残留応力は、図14(b)に示すように、溶接中心から幅80mm程度の範囲に分布していることがわかる。枕木上にレール溶接部が位置している場合、列車通過時、柱部には上下方向の圧縮応力が作用する。しかし、柱部には、上下方向の大きな引張応力が残留しているため、柱部は実質、引張領域における繰返し応力状態となる。このため、柱部では、疲労亀裂が発生しやすい状態となっている。
上記レール柱部の破損を防ぐため、特許文献2及び3では、溶接熱あるいは外部からの加熱によって高温状態にあるレール溶接部全体あるいはレール溶接部の頭部と柱部を急速冷却することにより、レール溶接部の柱部に発生する上下方向の引張残留応力を軽減もしくは圧縮応力に変えてレール溶接部の耐疲労性を改善する方法が提案されている。
また、レール溶接部の疲労強度を向上させる技術として、例えば特許文献4のようにショットピーニングを用いる方法やハンマーピーニング、グラインダー処理、TIGドレッシングを用いる方法がある。
さらにまた、特許文献5には、レール溶接部の頭頂面を冷却する空気室と、レール溶接部の頭側面を冷却する空気室と、レール溶接部の腹部(柱部)及び底部(足部)を冷却する空気室とを有し、各空気室にはそれぞれ圧縮空気吐出用の複数のノズルが設けられ、さらに頭頂部を冷却する空気室におけるノズル群の中央に温度検出用のノズルが設けられている、レール溶接部の冷却装置の発明が開示されている。
特開2008−137052号公報 特開昭59−93837号公報 特開昭59−93838号公報 特開平3−249127号公報 特開昭60−33313号公報
Proceedings of the Second International Conference on Residual Stresses, ICR2, Nancy, France, 23-25, Nov. 1988, p.912-918 三木, 穴見, 谷, 杉本, 「溶接止端部改良による疲労強度向上」,溶接学会論文集,Vol.17, No.1, 1999年, p.111-119
ロングレールの耐久性を向上させる為には、レール溶接部の柱部及び足部における疲労亀裂の発生を抑制し、これらの部位の耐疲労特性を両立させることが必要である。
特許文献2及び3に記載されている方法により、レール溶接後の頭部及び柱部の加速冷却(急速冷却)を行った場合、非特許文献1によれば、レール柱部における上下方向の残留応力が低減し、これにより柱部の疲労亀裂の発生が抑えられることが示されている。しかしながら、テルミット溶接においては、レール柱部に鋳型が付着した状態で冷却がなされるため、レール柱部を加速冷却することは難しい。
一方、機械的な後処理により残留応力を低減するために用いられるショットピーニング処理は、直径2〜3mmの鋼球を材料に打ち付けて材料表層を塑性変形させて加工硬化させ、残留応力を圧縮応力化することで疲労強度を向上させる処理である。しかし、鋼球を投射、回収すると共に、粉塵防止のための大掛かりな設備が必要となり、大型の溶接部への適用が制限される。加えて、鋼球が摩滅、損壊するため、定期的に鋼球を補給する必要があり、ランニングコストが掛かるという問題がある。
また、ハンマーピーニングは、工具の先端で材料を打撃して溶接部に塑性変形を与え、圧縮応力を導入すると共に、塑性変形により応力集中を軽減することにより疲労強度が向上すると言われている。しかし、打撃時の振動が大きく、作業者への負担が大きいことに加え、細かいコントロールが難しく、処理むらが生じやすい。非特許文献2によると、処理条件によっては加工によって生じるシワ状の溝部が影響し、疲労強度の向上効果が小さいことが示されている。
グラインダー処理は、ビード止端部を滑らかにして応力集中を軽減することにより、確実な効果が期待できる。しかし、テルミット溶接では、レール母材の溶融を確実にするため高温の溶鋼を注入する鋳造空間を大きく取り、溶鋼の顕熱を大きくしなければならず、ビードが大きくなる。そのため、ビードの除去が難しくなる。
また、TIGドレッシングは、タングステン電極から発生するアークでビード止端部を再溶融させて、滑らかな形状に再凝固させ、応力集中を軽減することにより疲労強度を向上させることができる。しかし、レールなどの高炭素材料における手溶接では、硬くて脆いマルテンサイト組織が生成しやすく、これを防止するためには、厳格な施工管理が必要となる。
特許文献5に示されているレール溶接部の冷却装置を使用することにより、レール溶接後の高温状態から適切な冷却を行えば、レール溶接部の硬度を上昇することが可能であるが、本発明者らの検討によると、レール溶接部の残留応力状態を制御するためには適切な範囲を適切な冷却速度で加速冷却する必要があることがわかっている。特許文献5の冷却装置を使用することにより残留応力も変化すると推察されるが、適切な残留応力分布を得るための冷却条件については特許文献5には記載されていない。
ところで、従来のテルミット溶接では、溶接金属の凝固後に、レール溶接部の頭部に残存する押し湯金属を除去するため、押し湯金属と共に鋳型上部が、後述するトリマーバイトを用いて熱間で押抜き除去される。レール溶接部の柱部については、その後の冷却過程において鋳型が付着したままの状態とされる。鋳型には硅砂などの微粒の耐火物を水ガラスで整形固化したものが一般に使用されており、高温状態では水ガラスが軟化して、レール溶接部に粘着し、除去することは困難である。温度が常温付近まで低下すると水ガラスが再び固化し、レール溶接部から離脱しやすくなるが、柱部の残留応力を低減するためには、柱部の冷却を促進することが望ましい。
このように、従来のトリマーバイトを用いた作業では、柱部の鋳型がレール溶接部に付着して、その除去が困難であるため、柱部を適切な条件にて冷却することができないという問題がある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、従来と比較してレール溶接部の疲労強度が向上したテルミット溶接継手を形成するために使用される押抜きせん断装置及びそれを用いた溶接継手の形成方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、レールの継目を鋳型で取り囲んでテルミット溶接した後、前記鋳型内に残存する溶接金属を前記鋳型の一部と共に熱間で押抜き除去する押抜きせん断装置であって、前記レールに沿ってスライドしながら、レール溶接部の頭部に残存する押し湯金属と、前記レール溶接部の足部上に残存する湯揚り金属とを、前記足部より上に存在する前記鋳型の一部と共に、せん断刃により押抜きせん断するトリマーバイトを備え、前記せん断刃は、前記レール溶接部の柱部に形成されるビードの少なくとも頂点部を露出させると共に、前記湯揚り金属の切断高さが前記足部の上面から40mm以下となるように形成されていることを特徴としている。
柱部の残留応力を低減するためには、柱部の冷却を促進することが望ましい。本発明に係る押抜きせん断装置によれば、柱部を覆う鋳型の一部が除去され、ビードの少なくとも頂点部が外部に露出するので、柱部の冷却を促進することができる。また、柱部のビードを露出させるためには、足部上の湯揚り金属も同時に切断することが望ましく、足部上に残留する湯揚り金属の高さを40mm以下とすることにより、柱部の冷却促進効果が顕著となる。
また、本発明に係る押抜きせん断装置は、前記レールに沿ってスライドしながら、レール溶接部の頭部に残存する押し湯金属と、前記レール溶接部の足部上に残存する湯揚り金属と、前記レール溶接部の柱部に形成されるビードの少なくとも頂点部とを、前記足部より上に存在する前記鋳型の一部と共に、せん断刃により押抜きせん断するトリマーバイトを備え、前記せん断刃が、前記湯揚り金属の切断高さが前記足部の上面から40mm以下となるように形成されていてもよい。
当該構成によれば、ビード内部が外部に露出するので、柱部の冷却がさらに促進される。その際、ビードの除去厚さが3mm以上となるように、せん断刃が形成されていることが好ましく、ビードの頂点部を露出した場合に比べて、後述するように、柱部の残留応力を1割以上低減することができる。
また、本発明に係る溶接継手の形成方法は、レールの継目を鋳型で取り囲んでテルミット溶接した後、上記押抜きせん断装置により、レール溶接部の頭部に残存する押し湯金属と、前記レール溶接部の足部上に残存する湯揚り金属とを、前記足部より上に存在する前記鋳型の一部と共に熱間で押抜き除去し、前記レール溶接部の柱部に形成されるビードの少なくとも頂点部を露出させることを特徴としている。
また、本発明に係る溶接継手の形成方法では、レールの継目を鋳型で取り囲んでテルミット溶接した後、上記押抜きせん断装置により、レール溶接部の頭部に残存する押し湯金属と、前記レール溶接部の足部上に残存する湯揚り金属と、前記レール溶接部の柱部に形成されているビードの少なくとも頂点部とを、前記足部より上に存在する前記鋳型の一部と共に熱間で押抜き除去してもよい。
また、本発明に係る溶接継手の形成方法では、前記押抜きせん断装置使用後に、前記レール溶接部の柱部を加速冷却することを好適とする。
ここで、「加速冷却」とは、冷却用流体を被冷却物に噴出することにより当該被冷却物を自然冷却より速い冷却速度で強制的に冷却することをいう。
溶接後にレール頭部を加速冷却する際、レール溶接部の頭部及び柱部を加速冷却することにより、レール柱部におけるレール断面周方向の残留応力が低減し、これにより柱部の疲労亀裂の発生が抑えられる。
また、本発明に係る溶接継手は、上記溶接継手の形成方法により、前記柱部におけるレール断面周方向の残留応力を160MPa以下とレール溶接部からなることを特徴としている。
柱部におけるレール断面周方向の残留応力が160MPaを超えると、レールの疲労強度が著しく低下する。
本発明によれば、レール溶接部の柱部に形成されるビードの少なくとも頂点部が露出し、且つ足部上に残留する湯揚り金属の高さが40mm以下となるように、レール溶接部の頭部に残存している押し湯金属と、レール溶接部の足部上に残存している湯揚り金属とを、足部より上に存在する鋳型の一部と共に、トリマーバイトにより押抜きせん断するので、ビードが外部に露出し、柱部の冷却を促進することができる。その結果、柱部の残留応力が低減され、従来と比較してレール溶接部の疲労強度が向上したテルミット溶接継手を形成することができる。
レール各部位の呼称を説明するための図であり、(a)はレール溶接部を側面から見た側面図、(b)は(a)のX−X矢視断面図、(c)は(a)のY−Y矢視断面図である。 本発明の一実施の形態に係る押抜きせん断装置の平面図である。 (a)は図2のA−A矢視断面図、(b)は図2のB−B矢視断面図である。 同押抜きせん断装置を構成するトリマーバイトを示し、(a)はレール軸方向から見た背面図、(b)はレールの側方から見た側面図、(c)はレールの上方から見た平面図である。 同押抜きせん断装置を構成するトリマーバイトの変形例を示し、(a)はレール軸方向から見た背面図、(b)はレールの側方から見た側面図、(c)はレールの上方から見た平面図である。 テルミット溶接方法を説明するための模式図である。 (a)〜(g)は、テルミット溶接の作業工程に対応する、図6のC−C矢視断面図である。 従来のトリマーバイトを示し、(a)はレール軸方向から見た背面図、(b)はレールの側方から見た側面図、(c)はレールの上方から見た平面図である。 (a)は、溶接直後におけるレール溶接部の柱部の温度分布を示す模式図、(b)は、柱部の鋳型除去及び冷却方法に違いによる温度分布の変化を示す模式図である。 レール溶接部の柱部をパーライト変態前から加速冷却した場合の温度履歴を示す模式図である。 レール溶接部の柱部をパーライト変態完了後に加速冷却した場合の温度履歴を示す模式図である。 レール溶接部の頭部及び柱部をパーライト変態前から加速冷却した場合の温度履歴を示す模式図である。 レール溶接部の疲労亀裂に起因する損傷例を示し、(a)は亀裂部をレール側面から見た模式図、(b)は亀裂破面の模式図である。 テルミット溶接による残留応力分布の一例を示し、(a)はレールの溶接中心におけるレール断面周方向の残留応力の分布図、(b)は柱部中央におけるレール断面周方向(上下方向)の残留応力のレール軸方向分布図であるである。 柱部の疲労強度試験を説明するための模式図である。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
[テルミット溶接]
本発明の一実施の形態に係る押抜きせん断装置について説明する前に、テルミット溶接方法について説明しておく。
レール端面間の隙間を取り囲むように、対称形状とされた一対の鋳型9、9’をレール端面箇所にセットする(図6及び図7参照)。鋳型9、9’は耐火物からなるが、硅砂SiOを水ガラスで結合したものを用いることが一般的である。鋳型9、9’の内部に形成された鋳造空間17とレール端面間の隙間によって溶接金属が流し込まれる溶接空間が構成される。従って、テルミット溶接におけるビード8の形状は、鋳型9、9’の鋳造空間17の形状に依存する。
溶接に先立って、レール10及び鋳型9、9’の乾燥のため、可燃ガスを用いた予熱が行われることが多い。予熱は鋳型9、9’の上部に設けられた注入口20から燃焼炎を鋳型9、9’内に吹き込んで行われる。予熱時間は1〜5分間程度である。
図7(a)は、テルミット溶剤12への点火の状態を示したものである。テルミット溶剤12はレール溶接部の直上に配置されたルツボ11内に装入されている。ルツボ11はアルミナやマグネシアなどの耐火物を固形化したもので、ロート状になっている。テルミット反応の開始は、花火状の点火材19に点火してテルミット溶剤12中に挿入するか、点火してあるバーナー(図示省略)を直接、テルミット溶剤12に当てて開始させる。
なお、ルツボ11の底部に設けられた吐出口13には、耐火物からなる円筒状のオートタップ14が嵌挿されており、オートタップ14の内部は耐火物からなる栓15によって塞がれている。
テルミット反応を起こすテルミット溶剤12は、酸化鉄と金属アルミ粉末を主原料とする粉末溶剤である。テルミット溶剤12には、溶接金属の成分調整用にフェロアロイもしくは合金金属が適宜配合され、溶接金属の温度調整や金属量の調整のために金属鉄が配合される場合もある。テルミット溶剤の量は、テルミット反応によって生じる溶鋼が溶接空間を十分に満たすように設計される必要があり、通常は10〜20kgの範囲である。
図7(b)は、ルツボ11内でテルミット反応が広がる様子、図7(c)は、テルミット反応が完了した様子をそれぞれ示したものである。反応生成物21は反応熱により溶融した状態にある。テルミット反応は15〜30秒で完了し、ルツボ11内に溶鋼23と溶融スラグ22が生成し、比重差によりルツボ11内で上下に分離する。溶融スラグ22の主成分はアルミナである。
図7(d)は、溶鋼23の注入の様子を示したものである。栓15が溶融してルツボ11の吐出口13が開口すると、吐出口13から流れ出た溶鋼23が鋳型9、9’の注入口20から溶接空間内に充満し、その後、溶融スラグ22が流入する。
なお、注入口20の途中に配置された分流板16は、溶鋼23が溶接空間に注入される際に、鋳型9、9’に対する衝撃を防止するものである。また、注入口20から注入された溶鋼23が足部3で停滞することなく、溶接空間内にくまなく充填されるように、鋳型9、9’の足表部5に面する位置には、上方に向けて開口する湯揚り18、18’が設けられている。
図7(e)は、溶鋼23及び溶融スラグ22の注入が完了した状態を示したものである。この状態で、溶鋼23が凝固するまでの3〜6分間、静置する。溶融スラグ22の凝固温度は溶鋼23と同程度である。この時点では、レール溶接部の直上に配置されていたルツボ11は退避させられる。
完全に溶鋼23が凝固した時期を見計らって、レール溶接部の頭部1の押し湯金属24(溶接金属)は、後述するトリマーバイト27(図8参照)により熱間で除去され、図7(f)に示す状態となる。その際、足表部5から立ち上がる湯揚り金属25(溶接金属)の上部部分も、鋳型9、9’の上部部分と共にトリマーバイト27により除去される。
図8(a)〜(c)は、押し湯金属24、湯揚り金属25の上部部分、及び鋳型9、9’の上部部分を除去する従来の方法を示している。トリマーバイト27は、頭部1の形状に沿って設けられたせん断刃を備え、レール頭部上をスライドすることで、押し湯金属24、湯揚り金属25の上部部分、及び鋳型9、9’の上部部分を押し抜くようになっている。なお、湯揚り金属25の切断位置は、足表部5の表面から40mm以上上方とされている。
押し湯金属24、湯揚り金属25の上部部分、及び鋳型9、9’の上部部分が除去されると、グラインダーにより頭部1の平滑研磨が施される。レールの足表部5には湯揚り金属25の下部部分が付着しているが、この部分はレール溶接部の冷却後に切断除去される。頭部1が平滑に研磨された最終状態を図7(g)に示す。
[レール鋼]
レール鋼は、JIS E1101「普通レール及び分岐器類用特殊レール」、JIS E1120「熱処理レール」に規定されているように、炭素を0.5〜0.8質量%含有する亜共析もしくは共析炭素鋼が一般的に使用される。また、最近では海外の鉱山鉄道における重荷重貨物線を対象に、より摩耗性を向上させた、0.8質量%を超える炭素を含有する過共析組成のレール鋼も普及しつつある。
[残留応力の発生機構]
レール溶接の柱部における著大な上下方向(レール断面周方向)残留応力の発生機構について、発明者らの考えを説明する。
テルミット溶接ではレールの端面間に溶鋼を流し込み、端面を1300〜1400℃の融点以上に達せしめる。図9はレール溶接部の柱部における温度分布を示したものであり、図9(a)は、溶接直後の状態で、急峻な温度勾配がレール材に生じている。図中のTは固相線温度、Tは液相線温度である。
一方、図9(b)は、溶接後、ある程度時間が経過した時点における温度分布を示している。テルミット溶接では、レール溶接部の柱部が鋳型で覆われた状態で放置されるため、図中のXX線で示すように、溶接中心では著しく高温な状態が維持される。なお、図中のAr1はオーステナイトが消失する温度であり、H−H’は中立軸位置を示している。
残留応力は、構造物内の温度の不均一に基づく熱収縮応力の不均一が存在する場合、構造物内の構成部位が互いに収縮歪を拘束しあうため、収縮応力が内部応力として残存するものである。このため、柱部の高温領域の冷却を速めることが、レール溶接部の柱部の残留応力を低減するうえで効果的である。柱部を覆っていた鋳型を除去して柱部の高温領域を露出させることにより、図9(b)のY1線で示すように、高温領域の冷却が進み、温度分布の勾配が緩和される。本発明者らの実験によると、溶鋼注入後、約10分経過時点での溶接中心部分と溶接中心から50mm離れた位置における温度差は100℃を超えている。残留応力を低減するためには、この範囲における最高温度と最低温度の差を100℃以内に平坦化する必要がある。そのためには、レール溶接部の柱部に形成されたビードの頂点部分を少なくとも大気中に露出させる必要がある。
また、ビードの表面部を熱間で押抜くことにより、高温領域の体積が減少し、溶鋼注入後、約10分経過時点での溶接中心部分と溶接中心から50mm離れた位置における温度差は80℃以内にまで低下する(Y2線)。
さらに、柱部のビードを露出させることにより加速冷却を施すことが可能となる。加速冷却の適用により、図9(b)のY3線に示すように、温度分布がさらになだらかとなり、溶鋼注入後、約10分経過時点での溶接中心部分と溶接中心から50mm離れた位置における温度差は50℃以内となる。
[押抜きせん断装置]
本発明の一実施の形態に係る押抜きせん断装置26を図2〜図4に示す。
押抜きせん断装置26は、鋳型9、9’内に残存する溶接金属を鋳型9、9’の一部と共に押抜きせん断する一対のトリマーバイト28、28’と、レール10を保持する一対の固定具32、32’とを備え、一対のトリマーバイト28、28’及び一対の固定具32、32’は、水平面上に載置されたレール10を挟んで、それぞれ対称に配置される。
レール10を挟んだ両側には、レール10の延在方向にロッド33が進退する油圧シリンダ37がそれぞれ設置される。一対のロッド33間には、可動横架部35がレール10を跨ぐように架設され、可動横架部35は、レール10の延在方向にスライド可能とされている。一対のトリマーバイト28、28’は、可動横架部35に回動軸30で軸支され、水平面内で回動可能とされている(図3(a)参照)。
また、一対の油圧シリンダ37間には、固定横架部36がレール10を跨ぐように架設され、固定横架部36は、レール10に対して不動とされている。一対の固定具32、32’は、固定横架部36に回動軸31で軸支され、水平面内で回動可能とされている(図3(b)参照)。
トリマーバイト28、28’は、鋳型9、9’に面する部位に、平面視して三角形状のせん断刃28b、28b’を有し(図4(c)参照)、せん断刃28b、28b’は、トリマーバイト28、28’の下端面と足表部5との間の距離、即ち湯揚り金属25の切断高さが40mm以下となるように形成されている(図4(a)参照)。また、レール10に面する係合部28a、28a’は、上部の形状が、レール溶接部の頭部1と略同形状とされ、下部については、レール溶接部の柱部2に形成されるビード8の表面に沿い且つビード8の頂点部8aと接する形状とされている(図4(a)参照)。
一方、固定具32、32’は、レール10を保持するため、レール10に面する係合部32a、32a’の表面に鋸刃状の突起が形成されている(図3(b)参照)。
[溶接継手の形成方法]
次に、上記押抜きせん断装置26を用いた溶接継手の形成方法について説明する。
(1)前述した方法により、レール10の継目を鋳型9、9’で取り囲んでテルミット溶接する。
(2)レール溶接部に設置された鋳型9、9’を平面視して取り囲むように、押抜きせん断装置26を配置し、一対の油圧シリンダ37を床面上に固定する(図2参照)。
(3)固定具32、32’を回動軸31回りに回動させ、レール10が動かないように、固定具32、32’の係合部32a、32a’によりレール10を保持する(図3(b)参照)。
(4)トリマーバイト28、28’のせん断刃28b、28b’の尖端が鋳型9、9’を指向するように、トリマーバイト28、28’を回動軸30回りに回動させる(図2参照)。
(5)ロッド33を油圧シリンダ37側に移動させることにより、可動横架部35を鋳型9、9’のほうにスライドさせ、鋳型9、9’内に残存する溶接金属を鋳型9、9’の一部と共に熱間で押抜きせん断除去する(図4(b)、(c)参照)。これにより、頭部1に残存する押し湯金属24の殆どと、足表部5上に残存する湯揚り金属25の足下から上の部分が除去される。また、柱部2を覆っていた鋳型9、9’が押抜きせん断除去され、ビード8の頂点部8aが外部に露出する。その結果、柱部2の冷却が促進され、柱部2の残留応力が低減する。
図5(a)〜(c)は、変形例に係るトリマーバイト29、29’を示したものである。トリマーバイト29、29’は、レール10に面する係合部29a、29a’の下部が、係合部28a、28a’よりさらに柱部2に接近し、ビード8の表面部を押抜きせん断可能な形状とされている点がトリマーバイト28、28’と異なっている。具体的には、ビード8の除去厚さが3mm以上となるように、せん断刃29b、29b’が形成されている。本実施の形態では、ビード8の内部が外部に露出するので、柱部2の冷却がさらに促進される。
重荷重鉄道など、レール溶接部に対する負荷が厳しく、さらに残留応力を低減する必要がある場合には、レール溶接部の柱部を加速冷却することが効果的である。
図10は、レール溶接部の頭部及び柱部が露出している状態で、柱部の温度がオーステナイト温度域にある状態から加速冷却を開始した場合の温度履歴を示している。残留応力の発生が著しくなるパーライト変態温度以下に至るまでに、予め溶接中心近傍の温度分布を平坦化し、さらにレール溶接部の柱部を加速冷却することにより、疲労強度を高めることができる。
但し、冷却速度が速すぎる場合、柱部の組織がパーライト変態を起こさず、より低温でベイナイトもしくはマルテンサイト変態を起こす。高炭素鋼のマルテンサイト組織は極めて硬くて脆いため、避けなければならない。また、ベイナイト組織は変態温度により強度が変動し、合金成分の偏析部ではさらに変態が遅延してマルテンサイト組織を混入する危険性があるため好ましくない。これらパーライト以外の組織を防止するためには、冷却速度を5℃/s以下とする必要がある。
図11は、レール溶接部の頭部及び柱部が露出している状態で、柱部がパーライト変態完了した後に柱部を加速冷却した場合の温度履歴を示している。この冷却パターンでは、柱部における加速冷却の冷却速度が速いほど、柱部の残留応力を低減する効果が高まる。
ところで、レール頭部は車輪との接触により摩耗が生じる。特に曲線軌道においては車輪とレールの間に生じる相対すべりにより、摩耗が促進される。このため、曲線区間におけるレールの交換頻度が少なくなるように、レール頭部を硬化させた熱処理レールが採用されることが多い。
熱処理レールは、レールの製造工程において高温のオーステナイト状態から加速冷却により変態温度を低下させることで硬度を増した材料である。熱処理レールを溶接する場合、溶接中心付近のオーステナイト化領域は溶接後の冷却速度に応じて硬度が決まるため、母材の硬度とは異なる。
レール継目のテルミット溶接では、溶接後の自然放冷によるパーライト変態温度域における冷却速度は1℃/s以下で、レール溶接部の硬度は母材より低下する。このため、供用中にレール溶接部の局部的な磨耗が進行する危険性がある。これを防止するためには、溶接直後にレール頭部をオーステナイト領域からパーライト変態完了までの温度範囲で加速冷却し、レール溶接部の硬度を母材並に調整することが望ましい。
図12に、レール溶接部の頭部及び柱部が露出している状態で、熱処理レールの頭部及び柱部の温度がオーステナイト温度域にある時点から加速冷却を開始し、柱部がパーライト変態を完了した後、さらに柱部を加速冷却した場合の温度履歴を示す。
このように、押抜きせん断装置26の使用後に、レール溶接部の柱部を加速冷却することにより、レール溶接部における柱部の上下方向(レール断面周方向)残留応力が低減し、レール柱部の上下方向の残留応力が引張160MPa以下に低減され、柱部からの疲労亀裂が生じにくい溶接継手が得られる。本発明者らの実験によると、重荷重鉄道を模擬した疲労強度試験において、柱部の水平亀裂の発生が認められなくなった。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、上記実施の形態では、押抜きせん断装置の一方の側を固定具とした例を示したが、両側ともトリマーバイトにして、押抜き時の反力をトリマーバイト自体で受け合う構造としてもよい。また、押抜き時の反力により、トリマーバイト及び固定具が回動して開きがちになる場合には、開き止めのためのメカニカルなロック機構を設けることにより解決できる。さらにまた、トリマーバイト及び固定具の回動方法を油圧などにより機械化して開き止めとすることもできる。
次に、押抜きせん断装置26を用いて形成した溶接継手に対して実施した性能試験について説明する。
実施例及び比較例の一覧を表1〜表3に示す。なお、表2、表3中の温度域は、加速冷却の開始時点と停止時点のレール溶接部の温度を示している。
同一条件で2本の試験体を製作し、そのうちの1本を用いて残留応力、頭部硬度、温度、及び金属組織を調査し、2本目は柱部の疲労強度試験に使用した。
残留応力の測定は、溶接中心線上にて、ゲージ長2mmの2軸歪ゲージを柱部の両面(柱部の1/2高さ位置)に貼り付け、この部分を5mm厚×15mm幅×15mm高さに切出し、切削前の歪と切削後の歪の差を用いて応力と歪の関係式から残留応力を算出した。
また、レール溶接部の硬度測定は、溶接中心からレール軸方向に5mm離れた位置において、ビッカース硬度計により計測した。
また、レール溶接部の温度測定は、溶接中心からレール軸方向に20mm離れた位置における頭頂部の中央及び柱部の1/2高さとし、K熱電対により計測した。
柱部の疲労強度試験は、図15に示す方法で行った。定盤43の上にレール溶接部7を置き、レール溶接部7の頭部から押し治具42で荷重Pを繰返し与えた。押し治具42の曲率半径は、車輪に近い450mmとした。負荷する荷重Pは、海外重荷重と同等条件の20トンに設定した。また、荷重繰返しにおける最低荷重は4トンとした。荷重繰返し速度は2Hzとし、レール溶接部に亀裂が発生した時点で試験を終了した。また、荷重繰返し回数が200万回まで破断しなかった場合は、そこで試験を終了した。
[試験A]
本試験では、鋳型を押抜き除去した後、自然放冷した。
被溶接レールは、炭素量0.7〜0.8質量%を含有し、頭部表面硬度がHv260〜290の普通レールを用いた。レールサイズはメートル単重60kg/mの一般鉄道用サイズを用いた。
実施例A1、A2は、鋳型内に残存する溶接金属を鋳型の一部と共に熱間で押抜き除去する際に、レール溶接部の柱部の鋳型をビード頂点位置で押抜いてビードの表面を露出させたものである。
実施例A3、A4は、ビード頂点側からビードの一部を除去する位置にトリマーバイトをセットして押抜き、ビードの内部を露出させたものである。
一方、比較例a1は、従来の方法、即ち、レール頭部の押し湯金属及び鋳型の上部を除去し、その後の冷却において、柱部が鋳型で覆われた状態で冷却された例である。
Figure 2011020162
いずれの実施例も、柱部の上下方向(レール断面周方向)の残留応力は152MPa以下となり、比較例a1の229MPaと比較して低減した。また、比較例a1では、柱部の疲労強度試験において450,000回で亀裂が発生したのに対して、実施例A1〜A4では2,000,000回まで亀裂は発生しなかった。
一方、比較例a2は、柱部の鋳型の除去が不完全なため、ビード上に鋳型材が残留した例である。柱部の冷却が十分でなかったため、残留応力は184MPaであった。疲労強度試験では、1,480,000回で亀裂が発生した。
また、比較例a3は、足表部の湯揚り金属の切断位置が高く、ビードの露出範囲が狭いため、柱部の冷却促進効果が小さく、柱部の残留応力は173MPaであった。疲労強度試験では、1,810,000回で亀裂が発生した。
[試験B]
本試験では、鋳型を押抜き除去した後、柱部を加速冷却した。
被溶接レールは、炭素量0.7〜0.8質量%を含有し、頭部表面硬度がHv260〜290の普通レールを用いた。レールサイズはメートル単重60kg/mの一般鉄道用サイズを用いた。
実施例B1、B2は、鋳型内に残存する溶接金属を鋳型の一部と共に熱間で押抜き除去する際に、レール柱部の鋳型をビード頂点位置で押し抜いてビードの表面を露出させた後、エアを用いてレール溶接部の柱部を加速冷却した。
実施例B3、B4は、レール柱部のビード頂点側からビードの一部を除去する位置にトリマーバイトをセットして押抜き、ビードの内部を露出させた後、エアを用いてレール溶接部の柱部を加速冷却した。
Figure 2011020162
いずれの実施例も柱部の上下方向(レール断面周方向)の残留応力は、実施例A1〜A4よりさらに低減し、92MPa以下となった。疲労強度試験においても2,000,000回まで亀裂は発生しなかった。
一方、比較例b1は、柱部の鋳型の除去が不完全なため、ビード上に鋳型材が残留した例であり、柱部の冷却が促進されず、残留応力は206MPaであった。このため、疲労強度試験において短期間で亀裂が発生した。
また比較例b2は、足表部の湯揚り金属の切断位置が高いため、ビードの露出範囲が狭い。このため、柱部の冷却速度が上がらず、柱部の残留応力は166MPaであった。疲労強度試験では、1,680,000回で亀裂が発生した。
[試験C]
本試験では、鋳型を押抜き除去した後、頭部及び柱部を加速冷却した。
被溶接レールは、炭素量0.8〜0.9質量%を含有し、頭部表面硬度がHv390〜420の熱処理レールで、レールサイズはメートル単重70kg/mの重荷重鉄道用サイズを用いている。
実施例C1、C2は、鋳型内に残存する溶接金属を鋳型の一部と共に熱間で押抜き除去する際に、レール柱部の鋳型をビード頂点位置で押抜いてビードの表面を露出させた後、エアを用いてレール溶接部の頭部及び柱部を加速冷却した。
実施例C3、C4は、レール柱部のビード頂点側からビードの一部を除去する位置にトリマーバイトをセットして押抜き、ビードの内部を露出させた後、エアを用いてレール溶接部の頭部及び柱部を加速冷却した。
Figure 2011020162
いずれの実施例も柱部の上下方向(レール断面周方向)の残留応力は、比較例a1の229MPaより低減し、96MPa以下であった。疲労強度試験においても2,000,000回まで亀裂は発生しなかった。また、頭部の硬度も母材レールと同等に調整されている。
一方、比較例c1は、柱部の鋳型の除去が不完全なため、ビード上に鋳型材が残留した例であり、柱部の冷却が促進されず、残留応力は180MPaであった。このため、疲労強度試験において短期間で亀裂が発生した。
また、比較例c2は、足表部の湯揚り金属の切断位置が高いため、柱部ビードの露出範囲が狭い。このため、柱部の冷却速度が上がらず、柱部の残留応力は171MPaであった。疲労強度試験では、1,650,000回で亀裂が発生した。
1:頭部、1’:頭部溶接金属、2:柱部、2’:柱部溶接金属、3:足部、3’:足部溶接金属、4:頭頂部、5:足表部、6:足裏部、7:レール溶接部、8:ビード、8a:頂点部、9、9’:鋳型、10:レール、11:ルツボ、12:テルミット溶剤、13:吐出口、14:オートタップ、15:栓、16:分流板、17:鋳造空間、18、18’:湯揚り、19:点火材、20:注入口、21:反応生成物、22:溶融スラグ、23:溶鋼、24:押し湯金属、25:湯揚り金属、26:押抜きせん断装置、27、28、28’、29、29’:トリマーバイト、28a、28a’、29a、29a’:係合部、28b、28b’、29b、29b’:せん断刃、30、31:回動軸、32、32’:固定具、32a、32a’:係合部、33:ロッド、35:可動横架部、36:固定横架部、37:油圧シリンダ、42:押し治具、43:定盤

Claims (6)

  1. レールの継目を鋳型で取り囲んでテルミット溶接した後、前記鋳型内に残存する溶接金属を前記鋳型の一部と共に熱間で押抜き除去する押抜きせん断装置であって、
    前記レールに沿ってスライドしながら、レール溶接部の頭部に残存する押し湯金属と、前記レール溶接部の足部上に残存する湯揚り金属とを、前記足部より上に存在する前記鋳型の一部と共に、せん断刃により押抜きせん断するトリマーバイトを備え、前記せん断刃は、前記レール溶接部の柱部に形成されるビードの少なくとも頂点部を露出させると共に、前記湯揚り金属の切断高さが前記足部の上面から40mm以下となるように形成されていることを特徴とする押抜きせん断装置。
  2. レールの継目を鋳型で取り囲んでテルミット溶接した後、前記鋳型内に残存する溶接金属を前記鋳型の一部と共に熱間で押抜き除去する押抜きせん断装置であって、
    前記レールに沿ってスライドしながら、レール溶接部の頭部に残存する押し湯金属と、前記レール溶接部の足部上に残存する湯揚り金属と、前記レール溶接部の柱部に形成されるビードの少なくとも頂点部とを、前記足部より上に存在する前記鋳型の一部と共に、せん断刃により押抜きせん断するトリマーバイトを備え、前記せん断刃は、前記湯揚り金属の切断高さが前記足部の上面から40mm以下となるように形成されていることを特徴とする押抜きせん断装置。
  3. レールの継目を鋳型で取り囲んでテルミット溶接した後、請求項1記載の押抜きせん断装置により、レール溶接部の頭部に残存する押し湯金属と、前記レール溶接部の足部上に残存する湯揚り金属とを、前記足部より上に存在する前記鋳型の一部と共に熱間で押抜き除去し、前記レール溶接部の柱部に形成されるビードの少なくとも頂点部を露出させることを特徴とする溶接継手の形成方法。
  4. レールの継目を鋳型で取り囲んでテルミット溶接した後、請求項2記載の押抜きせん断装置により、レール溶接部の頭部に残存する押し湯金属と、前記レール溶接部の足部上に残存する湯揚り金属と、前記レール溶接部の柱部に形成されているビードの少なくとも頂点部とを、前記足部より上に存在する前記鋳型の一部と共に熱間で押抜き除去することを特徴とする溶接継手の形成方法。
  5. 請求項3又は4記載の溶接継手の形成方法において、前記押抜きせん断装置使用後に、前記レール溶接部の柱部を加速冷却することを特徴とする溶接継手の形成方法。
  6. 請求項3〜5のいずれか1項に記載の溶接継手の形成方法により、前記柱部におけるレール断面周方向の残留応力を160MPa以下としたレール溶接部からなることを特徴とする溶接継手。
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