JP5977156B2 - 鉄道用レール傷補修方法及びその装置 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄道用レール傷補修方法及びその装置に係り、特にその傷補修に用いるテルミット溶接法に関するものである。
まず、テルミット溶接法について説明する。
テルミット溶接法とは、酸化金属とアルミニウム間の酸化還元反応、いわゆるテルミット反応を溶接に応用したものである。ドイツでは、1903年にレールの接合手段としての適用が始まったとされている。
レールのテルミット溶接では、以下に示す酸化鉄とアルミニウムによるテルミット反応によって得られる溶鋼(Feが主成分)を、接合するレール間に設けられた一定の隙間に流し込むレールの接合方法である。
3Fe3 4 +8Al→9Fe+4Al2 3
Fe2 3 +2Al→2Fe+Al2 3
3FeO+2Al→3Fe+Al2 3
この反応は短時間で行われ、溶鋼の温度は2100〜2400℃程度といわれる。しかし、反応自体は爆発的ではなく、また反応開始に1200℃程度の温度を必要とするため、その取扱いは比較的安全である。実用に供されるレール用テルミット溶剤は、上述の酸化鉄およびアルミニウム粉末を主成分とし、生成物の温度を制御し溶接金属の機械的性質を使用目的に適合させるため、鋼片、合金鉄、グラファイトなどが添加されている。
図7は従来のテルミット溶鋼の注入の説明図である。
この図において、101はルツボ、102はスラグ、103はモールドケース、104はモールド、105はテルミット溶鋼、106はプーリングプラグ、107はスラグパンである。
テルミット溶接法でJIS60kg普通レールを溶接する際の作業工程は以下のとおりである。
(1)レールを切断した後、25mm程度の間隔を設けてレールをセットする。
(2)モールドケース103に入れたモールド104をレールに取り付け、砂詰めを行う。
(3)ルツボ101をモールド104の上部に設置した後、ルツボ101内へテルミット溶剤を装填する。
(4)モールド104内に予熱バーナーを差し込み、予熱作業を実施する(2分間)。
(5)予熱作業後、モールド104の上部にプーリングプラグ106を差し込む。その後、ルツボ101内のテルミット溶剤に着火することでテルミット反応を開始させ、テルミット反応によって精製されたテルミット溶鋼105をモールド104内へ注入する。
(6)テルミット溶鋼105の注入から4分程度静置した後、モールド104上部を倒し、レール頭部の上方に形成した溶接金属を押抜きせん断機で除去する。なお、この溶接金属とは、テルミット溶鋼が冷却に伴って凝固したものである。
(7)レール頭部の仕上げ作業を行い、溶接部の冷却後、仕上がり検査を実施する。
上記テルミット溶接法は、使用する機器が簡便であり、また溶接時間が比較的短いことから、列車運行時間外に実施される線路内溶接の手段として適している。
この溶接法を用いて、レール折損の主因であるレール頭頂部のシェリング傷を除去する場合、傷が存在するレールを傷の無いレールと交換することになる。この場合、交換したレールの両端2箇所のレール溶接施工が必須となるため、多くの手間と費用が必要となる。特に、冬期のロングレール区間の施工では、レールに数10トンのレール長手方向の軸力が負荷されているため、溶接施工の前後で軸力が変化しないようにレール緊張器を使用したりする。また、溶接時に軸力が低下する場合は、軸力を回復するためのレール設定替え作業を別に行う場合があり、更なる費用が嵩む。
このため、レール交換を必要としないでシェリング傷だけを補修する方法の開発が過去から試みられてきており、現在、国内では、ガス溶射肉盛法による頭部補修溶接が一部のJR及び民鉄で適用されている(下記非特許文献1参照)。
国鉄時代には、被覆アーク溶接によるシェリング傷の補修溶接が試行されていたが、残存したシェリング傷が起点となり、引張残留応力の作用によって、早期に疲労損傷を引き起こしたため、採用されていない。
一方、海外では被覆アーク溶接や炭酸ガスシールドアーク溶接等によるレールのアーク溶接法が多くの国で採用されている。
しかし、レールのアーク溶接法には高度な溶接技量を必要とし、深さ10mm程度の切り取り部の補修溶接でも施工には長時間を要する。また、施工時間を短縮するため補修溶接する領域を浅くする場合には、残存したシェリング傷等による損傷の危険性が高くなるため、アーク溶接法でのレール頭部補修溶接は技術的にも、経済的にも得策ではないと判断される。
一方、テルミット溶接によるレール頭部補修溶接法は、テルミット溶接の施工経験があれば、容易に技量を修得でき、かつ、現状のテルミット溶接と同様に短時間で施工できる。
現在、テルミット溶接法によるレール頭部補修溶接法が施工されているのは、主に海外である。
米国特許第4,875,657号公報
寺下善弘,辰巳光正,「レールの継目部の継目落ちを改善する」,RRR,Vol.69,No.6,pp24−27,2012 the rail engineer,july 2009,pp.32−33
現在、テルミット溶接法によるレール頭部補修溶接法が施工されているのは、主に海外で、図8〜図10はこらのレール頭部補修溶接法の説明図である。
この内、図8は海外で試行されている補修溶接法の場合のモールド内における溶鋼の湯流れ模式図、図9はそのモールド内のプーリングプラグの設置状況を示す図面代用写真である。
また、図8において、201は補修溶接されるレール、202は鋳込み側モールド、203は湯口、204はライザー側モールド、205はライザー、206は下ゲート穴、207は上ゲート穴、208はプーリングプラグ、209はルツボ、210はルツボから鋳込まれたテルミット溶鋼の流れる方向を示した湯流れ経路、211は補修溶接されるレール頭部領域、212は頭部押し湯部である。
この従来のテルミット溶接法によるレール頭部補修溶接法の作業工程は以下のとおりである。
(1)レール頭部上面を長さ約75mm、深さ約25mmの半円形の形状寸法にガス切断等で切り取る。
(2)モールドケースに入れたモールド202、204をレールに取り付け、砂詰めを行う。
(3)ルツボ209をモールド202,204の上部に設置する。
(4)モールド202,204内に予熱バーナーを差し込み、予熱作業を実施する(1.5分間)。
(5)予熱作業後、モールド202,204の内部上部にプーリングプラグ208を差し込む。その後、ルツボ209内のテルミット溶剤に着火することでテルミット反応を開始させ、テルミット反応によって精製されたテルミット溶鋼210をモールド202,204内へ注入する。
(6)テルミット溶鋼210の注入から一定時間静置した後、レール頭部上にできた溶接金属212を押抜きせん断機で除去する。
なお、この溶接金属とは、テルミット溶鋼が冷却に伴って凝固したものである。
(7)レール頭部の仕上げ作業を行い、溶接部の冷却後、仕上がり検査を実施する。
この従来方法によると、図8に示すように鋳込み側モールド202の湯口203から、ライザー側モールド204のライザー205に向かう1方向の溶鋼の湯流れ経路210となっている。
図10は従来補修溶接法における補修溶接部の溶込み形状及び溶込み量を示す図であり、図10(a)はその溶接中心部の横断面マクロ組織を、図10(b)はそのレール長手方向の中心線からライザー205側へ15mm離れた位置での溶接中心から80mmの範囲(この図では左端が溶接中心になる)の縦断面マクロ組織を示す図である。また、点線は補修溶接前におけるレール頭部の切り取り形状、実線は補修溶接に伴いレール頭部の溶融した範囲を示している。
図10に示すように、補修溶接前におけるレール頭部の切り取り形状に対して、補修溶接時に溶融したレールの量は一定ではない。この様に、切り取りした全域にわたって不均一な溶込み形状となり、特に、図10(b)のライザー側15mm離れた位置における縦断面マクロ組織の溶接中心から30mm〜40mm程度離れた位置ではほとんど溶込みが得られない。このような部位では、溶接欠陥が発生し、その欠陥に起因してレール折損に至る恐れがある。この様に、海外で試行されているテルミット溶接法によるレール頭部補修溶接法は、補修箇所の溶込み形態が不均一で、さらに、一部には溶込みがほとんど無い部位が存在する場合があるといった問題があった。
本発明は、上記状況に鑑みて、溶込み形態の改善を図った鉄道用レール傷補修方法及びその装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕鉄道用レール折損の主因となっているレール頭頂部のシェリング傷をレール交換なしで除去可能なテルミット溶接法によるレール頭部補修溶接法により補修する方法であって、直径15mmの丸穴を2か所に設けたプーリングプラグを使用し、該丸穴の加工位置は、レール頭部上面を半円形の形状寸法にガス切断等で切り取った切り取り形状の中心からレール長手方向へ30mmずつ離れた位置で、ライザー側へ15mm寄った位置とし、湯口からの注湯を行うと同時に、前記プーリングプラグに形成した穴からも注湯を行う併用注湯を行うことにより、補修溶接時の溶込みの不均一や溶込み不足を解消することを特徴とする。
〕上記〔1〕記載の鉄道用レール傷補修方法において、押抜き直後の高温状況下で、風量と、風の吹き出し口寸法を調整した冷却装置で強制空冷することにより、補修した溶接金属の硬度を母材と同等以上にし、かつ硬度分布を平滑化することを特徴とする。
〕上記〔2〕記載の鉄道用レール傷補修方法において、前記強制空冷時の前記吹き出し口寸法を、頭頂面の溶融幅と硬度に応じて10〜150mmとすることを特徴とする鉄道用レール傷補修方法。
〕鉄道用レール折損の主因となっているレール頭頂部のシェリング傷をレール交換なしで除去可能なテルミット溶接法によるレール頭部補修溶接法により補修する装置であって、直径15mmの丸穴を2か所に設けたプーリングプラグを使用し、該丸穴の加工位置は、レール頭部上面を半円形の形状寸法にガス切断等で切り取った切り取り形状の中心からレール長手方向へ30mmずつ離れた位置で、ライザー側へ15mm寄った位置とし、湯口からの注湯を行うと同時に、前記プーリングプラグに形成した穴からも注湯を行う併用注湯を行うことにより、補修溶接時の溶込みの不均一や溶込み不足を解消することを特徴とする。
〕上記〔〕記載の鉄道用レール傷補修装置において、押抜き直後の高温状況下で、風量と、風の吹き出し口寸法を調整した冷却装置を配置し、該冷却装置による強制空冷で補修した溶接金属の硬度を母材と同等以上にし、かつ硬度分布を平滑化することを特徴とする。
〕上記〔〕記載の鉄道用レール傷補修装置において、前記強制空冷時の前記吹き出し口寸法を、頭頂面の溶融幅と硬度に応じて10〜150mmとすることを特徴とする。
本発明によれば、鉄道用レールの傷の補修にテルミット溶接法によるレール頭部補修溶接法を適用する場合、溶込み形態の改善を図ることができ、補修溶接部の信頼性が向上する。
本発明の実施例を示すモールド内の溶鋼の湯流れ模式図である。 本発明の実施例を示すモールド内のプーリングプラグの設置状況を示す図面代用写真である。 本発明の実施例を示すプラグに丸穴加工を施したテルミット溶接法によるレール頭部補修溶接部の断面マクロ組織例を示す図である。 本発明の実施例を示す押抜き直後の溶接金属に対する空冷試験の実施状況を示す図である。 本発明の実施例を示す空冷装置のダイヤル(5)及びダイヤル(3)による硬さ分布を示す図である。 転動疲労試験の模式図である。 従来のレールのテルミット溶鋼の注入の説明図である。 従来のテルミット溶接法によるレール頭部補修溶接法におけるモールド内の溶鋼の湯流れ模式図である。 従来のテルミット溶接法によるレール頭部補修溶接法におけるプーリングプラグの設置状況を示す図面代用写真である。 従来テルミット溶接法によるレール頭部補修溶接法における補修溶接部の断面上の溶込み形状及び溶込み量を示す図である。
本発明の鉄道用レール傷補修方法は、鉄道用レール折損の主因となっているレール頭頂部のシェリング傷をレール交換なしで除去可能なテルミット溶接法によるレール頭部補修溶接法により補修するにあたって、直径15mmの丸穴を2か所に設けたプーリングプラグを使用し、該丸穴の加工位置は、レール頭部上面を半円形の形状寸法にガス切断等で切り取った切り取り形状の中心からレール長手方向へ30mmずつ離れた位置で、ライザー側へ15mm寄った位置とし、湯口からの注湯を行うと同時に、前記プーリングプラグに形成した穴からも注湯を行う併用注湯を行うことにより、補修溶接時の溶込みの不均一や溶込み不足を解消する。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の実施例を示すモールド内の湯流れ模式図、図2はそのモールド内のプーリングプラグの設置状況を示す図面代用写真である。
これらの図において、1は補修溶接されるレール頭部領域、2は鋳込み側モールド、3はライザー側モールド、4は湯口、5はライザー、6はプーリングプラグ、7はプーリングプラグ6に形成される穴である。
この実施例では、図10(b)に示された溶込みの無い箇所を解消するために、図1及び図2に示すようなφ15mmの丸穴7を2か所に設けたプーリングプラグ6を使用した。丸穴7の加工位置は、レール頭部上面を半円形の形状寸法にガス切断等で切り取った切り取り形状の中心からレール長手方向へ30mmずつ離れた位置で、ライザー5側へ15mm寄った位置である。レールの切取形状及び予熱条件は、従来のテルミット溶接法によるレール頭部補修溶接法のものと同様とした。
本発明を用いた試験体の溶込み量を観察するため、断面マクロ組織観察を実施した。図3にプラグに丸穴加工を施したテルミット頭部補修溶接部の断面マクロ組織例を示す。図3(a)はその横断面マクロ組織(溶接金属中心)を、図3(b)はレール長手方向の中心線からのライザー5側へ15mm寄った位置における、溶接中心から80mmの範囲(この図では左端が溶接の中心になる)の縦断面マクロ組織を示す図であり、点線は補修前にレール頭部を切り取った形状、実線は補修溶接によりレール頭部が溶融した範囲を示している。
本発明を用いることにより、図3(a)に示す溶接金属中心の横断面観察ではほぼ均一な溶込み形状となっている。また、図3(b)に示す縦断面観察によると溶接金属中心部から20〜50mm程度離れた位置の溶込み量が増大することが分かった。また、溶融がほとんどしない範囲も無くなることが分かった。
なお、本テルミット溶接法によるレール頭部補修溶接法では、レール頭頂部に発生したシェリング傷の大きさに合わせてレール頭部上面を半円形の形状寸法にガス切断等で切り取り、その部分にテルミット反応で生成した溶融金属を流し込み溶融させている。この様に、本レール頭部補修溶接法では、レール頭部のみ加熱されるため、補修溶接後には補修溶接部の下側〔図3(a)では、写真の下側から〕、及び補修溶接部の両側から〔図3(b)では、写真の右側から〕、熱が放散する。
よって、補修溶接後、そのまま放冷させると溶接中心部ではゆっくり冷却して補修溶接部表面が軟らかく、補修溶接部両端では比較的早く冷却が進み溶接部表面が硬くなるため、頭頂部の硬度分布が均一でなくなる。したがって、使用時に車輪と接触した場合に硬度の差による凹凸が発生するのを防ぐため、頭頂面の硬度を均一にする必要があった。
本テルミット溶接法によるレール頭部補修溶接法では、レール頭部上にできた溶接金属を従来のレール同士のテルミット溶接と同様に押抜きせん断機で除去するが、この押抜きせん断が終了した時の頭頂面温度は800℃程度で、レール鋼の変態点720℃程度よりも高い。
このことから、補修溶接部中央付近の冷却速度を上昇させることにより頭部補修溶接部の硬化処理が可能で、かつ、均一な頭頂面硬度分布が得られると判断し、ガス圧接部の後熱処理作業等で使用されている冷却装置〔九州鉄道機器製造(株)製RH−2−DHH〕による強制空冷試験を実施した。
図4は本発明の実施例を示す押抜き直後の溶接金属に対する空冷試験の実施状況を示す図である。
この冷却装置は、ダイヤル調整で送風量を可変に調整できるもので、溶接金属の硬度をレール母材硬度よりも若干高くなるダイヤル適正位置を選定した。
図5は本発明の実施例を示す冷却装置のダイヤル(5)及びダイヤル(3)による補修溶接部の頭頂面硬度分布を示す図である。図5において、点線はダイヤル(3)、実線はダイヤル(5)で強制空冷した場合のレール頭頂面における硬度分布を示している。
この空冷試験により、ダイヤル(3)ではレール母材と同等の硬度分布が、ダイヤル(5)ではレール母材よりも若干硬い硬度分布が得られることが判明した。
また、補修溶接部中央付近の冷却速度を上昇させることが目的であるため、本空冷試験例では、レール頭部上面を長さ90mm、深さ約25mmの半円形の形状寸法にガス切断等で切り取っているので、図4(b)に示すように、冷却装置11の吹出口12を75mmとし、これを補修溶接部の中心に設置した。これによって、放冷のままでは硬さが低くなる補修溶接部中央付近のの硬度レベルを補修溶接部の両端部より上昇させることができ、均一で適正な硬度分布が得られた。
本発明を用いて作製したレール頭部補修溶接部試験体の強度を評価するため、転動疲労試験及び軸力付加曲げ疲労試験を実施した。
図6は転動疲労試験の模式図である。
転動疲労試験では、図6に示すように曲げ支点23から50mmの位置が補修溶接金属中心となるよう試験体21を設置し、補修溶接部22の中心から前後100mm、総移動範囲200mmに亘って車輪24を前後に転動させた。
車輪24により負荷した垂直荷重は150kNとし、車輪24が図6の左側の自由端側に来たときに、試験体21の補修溶接部22の頭頂面に最大引張応力は70N/mm2 が負荷されるように設定した。
なお、この試験条件は、過去の解析結果によると、頭頂面下10mm位置に最大139N/mm2 のせん断応力が作用する。そして、レールのエンクローズアーク溶接部に対して同様の試験を行った例では、その溶接頭頂部に水平裂が発生すると言う非常に厳しい条件である。
転動疲労試験の結果、頭部補修溶接試験体は100万回の往復転動回数において未破断であり、試験終了後の超音波探傷試験においても傷エコーは検出されなかった。また、試験後の溶接金属部の摩耗状態は母材と同等であり、強制空冷による硬度改善効果が認められた。
軸力付加曲げ疲労試験は、試験体21に引張方向の軸力364kN(設定温度から20℃低い場合にレールに発生する軸力相当)を与えた状態で、スパン1mの支点間の央部部に補修溶接部を設置し、そこに垂直荷重を載荷する3点曲げ疲労試験を実施した。
補修溶接部に負荷させる垂直荷重範囲は20〜275kNで、この時、レール底部に作用する引っ張りの全応力振幅は161N/mm2 、頭頂部には、引張応力31N/mm2 から圧縮応力167N/mm2 の範囲の応力が作用する。
軸力付加曲げ疲労試験の結果、繰返し数200万回において破断せず、試験終了後の超音波探傷試験では何れの傷エコーも検出されなかった。
以上より、本発明の鉄道用レール傷補修方法による補修溶接部は実用強度を十分満たしていることが分かった。
本発明であるテルミット溶接法によるレール頭部補修溶接法では、レール折損の主因となっているレール頭頂部のシェリング傷を、レールを交換することなく、除去可能である。
本発明によれば、従来の補修溶接で発生していた溶込みの不均一や溶込み不足を解消、均一で良好な溶込み形態を得ることができる。
また、レール頭頂面のシェリング傷の寸法に合わせてレール頭部上面をガス切断等で切り取って補修溶接と押し抜きせん断を行った後に、風量と、風の吹き出し幅や長さなどの風の吹き出し口寸法を調整した冷却装置じ強制空冷することにより、補修溶接部の頭頂面硬度分布を均一とし、かつ硬度も母材と同様以上の補修溶接部が得られる。これにより、車輪と接触しても局所的な落ち込みが生じることはない。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明の鉄道用レール傷補修方法及びその装置は、溶込み形態の改善を図った鉄道用レール傷補修方法として利用可能である。
1 補修溶接されるレール頭部領域
2 鋳込み側モールド
3 ライザー側モールド
4 湯口
5 ライザー
6 プーリングプラグ
7 プーリングプラグに形成される
11 冷却装置
12 吹出口
21 試験体(レール)
22 補修溶接部
23 転動疲労試験時の曲げ支点
24 車輪

Claims (6)

  1. 鉄道用レール折損の主因となっているレール頭頂部のシェリング傷をレール交換なしで除去可能なテルミット溶接法によるレール頭部補修溶接法により補修する方法であって、直径15mmの丸穴を2か所に設けたプーリングプラグを使用し、該丸穴の加工位置は、レール頭部上面を半円形の形状寸法にガス切断等で切り取った切り取り形状の中心からレール長手方向へ30mmずつ離れた位置で、ライザー側へ15mm寄った位置とし、湯口からの注湯を行うと同時に、前記プーリングプラグに形成した穴からも注湯を行う併用注湯を行うことにより、補修溶接時の溶込みの不均一や溶込み不足を解消することを特徴とする鉄道用レール傷補修方法。
  2. 請求項1記載の鉄道用レール傷補修方法において、押抜き直後の高温状況下で、風量と、風の吹き出し口寸法を調整した冷却装置で強制空冷することにより、補修した溶接金属の硬度を母材と同等以上にし、かつ硬度分布を平滑化することを特徴とする鉄道用レール傷補修方法。
  3. 請求項記載の鉄道用レール傷補修方法において、前記強制空冷時の前記吹き出し口寸法を、頭頂面の溶融幅と硬度に応じて10〜150mmとすることを特徴とする鉄道用レール傷補修方法。
  4. 鉄道用レール折損の主因となっているレール頭頂部のシェリング傷をレール交換なしで除去可能なテルミット溶接法によるレール頭部補修溶接法により補修する装置であって、直径15mmの丸穴を2か所に設けたプーリングプラグを使用し、該丸穴の加工位置は、レール頭部上面を半円形の形状寸法にガス切断等で切り取った切り取り形状の中心からレール長手方向へ30mmずつ離れた位置で、ライザー側へ15mm寄った位置とし、湯口からの注湯を行うと同時に、前記プーリングプラグに形成した穴からも注湯を行う併用注湯を行うことにより、補修溶接時の溶込みの不均一や溶込み不足を解消することを特徴とする鉄道用レール傷補修装置。
  5. 請求項記載の鉄道用レール傷補修装置において、押抜き直後の高温状況下で、風量と、風の吹き出し口寸法を調整した冷却装置を配置し、該冷却装置による強制空冷で補修した溶接金属の硬度を母材と同等以上にし、かつ硬度分布を平滑化することを特徴とする鉄道用レール傷補修装置。
  6. 請求項記載の鉄道用レール傷補修装置において、前記強制空冷時の前記吹き出し口寸法を、頭頂面の溶融幅と硬度に応じて10〜150mmとすることを特徴とする鉄道用レール傷補修装置。
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