JP6723857B2 - レール補修部矯正方法、レール矯正方法及びレール補修部矯正装置 - Google Patents

レール補修部矯正方法、レール矯正方法及びレール補修部矯正装置 Download PDF

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Description

本発明は、鉄道線路で使用されるレールの補修を行った際に、レール補修部を矯正するレール補修部矯正方法及びレール補修部矯正装置、レール頭部を矯正するレール矯正方法に関する。
従来、鉄道線路で使用されるレールのレール頭部に損傷101が生じた場合は、図11に示すように、損傷した部位を含む6m程度を除去レール102として除去し、そこに新レール103を挿入し、その両側を溶接部104として溶接していた。この場合、既設レール(除去しないレール)105側にレール緊張器を設置して、当該レールを設置したレール温度と、除去時のレール温度との差から求めたレール軸力をレール緊張器で付加することで、溶接中にレール移動が起きないようにする必要があった。この手法によれば、挿入する新レールの運搬費用、レールの交換費用、レール緊張器の設置費用、両端部のレール溶接費用などの多くの経費が必要であり、それぞれの作業に要する時間も必要であった。レール頭部の損傷101については、その大きさによりランク分類し、その分類に対応した保守が行なわれてきた。
これらの作業は夜間の短い列車間合いで施工する必要があり、多くの人員と費用が必要であった。このため、損傷部のみ、もしくは、今後の損傷に結びつく凹み部を効率的に復旧する方法及び装置が望まれていた。
過去においては、損傷が生じた部位だけをグラインダー等で除去してアーク溶接等が行われていたが、レールは炭素を約0.7%含む高炭素鋼であるため、約400℃以上の予熱をレール全体に行なわないと溶接時に亀裂が生じてしまう。
この方法は、レール頭部にアーク溶接部の熱が集中する為、冷却時の収縮によりレール頭部が落ち込んでしまうという課題があった。すなわち、使用中のレール頭部に生じた損傷部を溶接補修した場合には、冷却時の熱収縮により溶接補修部が落ち込み、このまま使用すると列車通過時に顕著な騒音や振動が発生するという現象が生じていた。また、レール全体を予熱するため、軸力があるレールの場合は、予熱部が伸びてしまうため、レール緊張器で予熱する範囲の外側のレールを保持する必要があった。
本発明は上記実情に鑑みて提案されたもので、レール補修において、損傷が生じた部位だけを除去して溶接補修を行う場合に、冷却に伴う溶接補修部の落ち込みを防止するように、レール緊張を必要としないレールの矯正を行うレール補修部矯正方法及びレール補修部矯正装置を提供することを目的としている。
更には、レール頭頂面に凹みが生じた場合に、レール緊張器を必要としないでレール頭部を矯正するレール矯正方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため本発明は、レール頭部に生じた損傷部を除去して、その箇所を溶接補修した際、溶接により加熱された溶接補修部が冷却時に収縮することで生じるレール頭頂面の落ち込みを防止するため、溶接補修部が熱い間に、落ち込む分だけレールを縦矯正して、溶接補修後のレール頭部に落ち込みが生じ無い様にするための方法及び装置である。
すなわち、請求項1のレール補修部矯正方法は、レール頭部に生じた損傷をガス切断により除去し、除去箇所をテルミット溶接で補完して溶接補修部とし、引き続き行われる熱間押し抜きせん断により、前記溶接補修部をレール頭部とほぼ同じ形状にする方法において、
前記レール頭部の押し抜きせん断後に、レール矯正装置の支持部が前記溶接補修部の直下位置を下側から支持した状態で、前記溶接補修部を挟んだ両側位置のレール頭部を前記レール矯正装置に設けた支え軸への加圧により、前記一対の支え軸の先端を支点とし作用点である前記支持部を引き上げてレール全体を縦矯正することで、高温の前記溶接補修部及び常温のレール底部を変形処理する
ことを特徴としている。
請求項2は、請求項1のレール補修部矯正方法において、
前記縦矯正に引き続き、高温の溶接補修部に圧縮空気を噴射することにより冷却し、前記溶接補修部の硬さを増大させることを特徴としている。
請求項3は、請求項1のレール補修部矯正方法において、
前記加圧は、1mスパン当たりで200kN以上の圧力で縦矯正を行うことで、レールに軸力がある場合でも十分な矯正ができることを特徴としている。
請求項4は、請求項1のレール補修部矯正方法において、
前記高温は、「レール鋼の変態点」〜「1100℃」の温度であることを特徴としている。
請求項5は、請求項2のレール補修部矯正方法において、
前記縦矯正による縦矯正量は、前記溶接補修部を中心として1mスパン当たり9〜18mmとし、前記冷却の後に1mスパン当たり1〜10mmの縦矯正量を残すよう加圧を行うことを特徴としている。
請求項6は、レール矯正方法であって、
レール頭頂面に生じた凹みを含んだレール頭部をオーステナイト金属組織域まで加熱して加熱部とし、
レール矯正装置の支持部が前記加熱部の直下位置を下側から支持した状態で、前記加熱部を挟んだ両側位置のレール頭部を前記レール矯正装置に設けた一対の支え軸への加圧により、前記一対の支え軸の先端を支点とし作用点である前記支持部を引き上げてレール全体を縦矯正することで、高温の前記加熱部及び常温のレール底部を変形処理することを特徴としている。
請求項7のレール補修部矯正装置は、
レール上方に載置してレールの矯正を行うレール矯正装置において、
前記レールの長手方向に長く形成された本体部と、
前記本体部の長手方向両側に設けた一対の油圧シリンダー部と、
前記各油圧シリンダー部から伸長し、レール頭部に当接可能に動作するシリンダー軸と、
前記本体部の側面に上部が固定され下方に延長される一対のアーム部と、
前記アーム部の下端でアーム間に架設されレール底面を支持可能とする支持軸と、
を備えたことを特徴としている。
請求項8のレール補修部矯正装置は、
レール上方に載置してレールの矯正を行うレール矯正装置において、
前記レールの長手方向に長く形成された本体部と、
前記本体部の長手方向両側に設けた一対の油圧シリンダー部と、
前記各油圧シリンダー部から伸長し、レール頭部に当接可能に動作するシリンダー軸と、
前記本体部の側面に上部が固定され下方に延長される一対のアーム部と、
前記各アーム部の下端にレール側に折曲し、レール顎部を下方から支持するレール顎支持部と、
を備えたことを特徴としている。
請求項9は、請求項7又は請求項8のレール補修部矯正装置において、
長手方向における前記本体部の中央底面側に、レール頭部の溶接補修部に対して圧縮空気を噴射可能とする圧縮空気噴射部を備えたことを特徴としている。
本発明(請求項1のレール補修部矯正方法、及び、請求項7のレール補修部矯正装置)によれば、溶接補修部が高温の間に、冷却後に落ち込む量と同等以上の縦矯正量を、レール頭部の二か所をシリンダー軸(支え軸)で押圧し、その反作用により前記二か所の中央に位置するレール底面が支持軸により押し上げられる3点曲げ中央集中負荷方式により、溶接補修部の下方が押圧されることで縦矯正が行われ、溶接補修後におけるレール頭頂面の平坦性を確保することができる。
請求項2及び請求項9によれば、高温の溶接補修部を圧縮空気噴射部からの圧縮空気の噴射で冷却することで、溶接補修部の硬さを向上させることができる。
請求項3によれば、1mスパン当たりで200kN以上の圧力で縦矯正を行うことで、レール軸力があっても溶接補修後におけるレール頭頂面の平坦性の確保を確実に行うことができる。
請求項4によれば、溶接補修部の温度が「レール鋼の変態点」〜「1100℃」の高温の温度範囲にあれば、溶接補修後におけるレール頭頂面の平坦性の確保を確実に行うことができる。
請求項5によれば、縦矯正による縦矯正量について、溶接補修部を中心として1mスパン当たり9〜18mmとすることで、冷却の後に1mスパン当たり1〜10mmの残留縦矯正量を残すことができる。
請求項6によれば、凹みを含む加熱部に対して上記と同様の方法による縦矯正を実施することで、レール頭頂面から凹みを無くすことができる。
請求項8のレール補修部矯正装置によれば、レール底面を支持軸で押し上げるのではなく、レール顎支持部によりレール顎部を下から上に向かって矯正することにより、レール頭部のみを縦矯正することができる。
テルミット溶接補修前に行われる損傷が生じたレールの除去についてのモデル図である。 テルミット溶接補修を示すモデル図である。 本発明のレール補修部矯正装置の実施形態を示す斜視説明図である。 レールに設置した状態のレール補修部矯正装置の側面説明図である。 レールに設置した状態の空気噴射部を示す斜視説明図である。 空気噴射部の下面を示す平面説明図である。 レールに凹みが生じた場合のモデル図である。 レールに生じた凹み部の加熱状態を説明するためのモデル図である。 レール補修部矯正装置(レールに設置した状態)の他の実施形態の一例を示す斜視説明図である。 図8に示したレール補修部矯正装置(レールに設置した状態)の側面説明図である。 レールに損傷が生じた場合の復旧方法を示す概略説明図である。
本発明の実施形態に係るレール補修部矯正方法及びレール補修部矯正装置の一例について、図1〜図6を参照しながら説明する。
本発明のレール補修部矯正装置は、軸力のあるレールで損傷が生じたレール部位だけを除去して溶接を行って補修する方法において、補修部のレール矯正を行うために使用する装置である。
レールの損傷部位だけを除去してテルミット補修を行う場合は、図1に示すように、レール1の頭部に生じた損傷2をガス切断により切断して損傷部が含まれるガス切断部3を取り除き、その除去面4に損傷部が残っていないことを確認した後、図2に示すように、損傷2を切り取った箇所5の周囲をモールド6で囲い、テルミット溶剤7を充填した坩堝8を配置する。
続いて、坩堝8の中のテルミット溶剤7に点火して2000℃以上の高温の溶鋼を生成させて、その溶鋼を切取箇所5に鋳込んで補修溶接を行なう。
鋳込み後、約1300℃になると溶接部が凝固するので、熱間押し抜きせん断により、溶接補修部9の余肉を除去してレール頭部とほぼ等しい形状にしたのち、本発明に係るレール補修部矯正装置10を使用したレール矯正が行われる。
レール補修部矯正装置10は、図3及び図4に示すように、レール上方に載置してレールの矯正を行う装置であり、レールの長手方向に長く形成された本体部11と、本体部両側に位置する油圧シリンダー部12と、油圧シリンダー部12の下部から伸長するシリンダー軸(支え軸)13と、本体部11の両側に連結されたアーム部15と、アーム部間を架設する支持軸(支持部)18とを備えて構成されている。
本体部11は、細長い方形体であり、レールの長手方向に沿ってレール上方に配置可能に構成されている。本体部11の中央部には上下方向に貫通する中央方形開口部11aが形成されている。この中央方形開口部11aは、レール補修部矯正装置10をレール上に設置した場合に、レール頭部の溶接補修部9に相対する位置となる。また、中央方形開口部11aの両側には、本体部11の軽量化のための方形開口部11bがそれぞれ形成されている。
この中央方形開口部11aの空間部分には、図5に示すように、圧縮空気を噴射可能とする方柱状の圧縮空気噴射部20が挿入され、圧縮空気噴射部20の下面周囲の四隅に設けた4個のスペーサー21がレール頭部に対して当接することで、溶接補修部9に対して一定間隔を開けて配置可能となっている。
圧縮空気噴射部20は、ブロワー22から圧縮空気が供給され、下面23(図6)に設けられた多数の細孔24から、溶接補修部9に対して圧縮空気を噴射可能としている。また、圧縮空気噴射部20は、本体部11とは固定されていない独立した部材なので、中央方形開口部11aに圧縮空気噴射部20を挿入配置した後に、後述する縦矯正により溶接補修部9が持ち上がった場合においても、常にスペーサー21の高さ分(約10mm)だけ、噴射面となる下面23と溶接補修部9との間隔を保持することができる。
油圧シリンダー部12は、本体部11の長手方向両側にそれぞれ設けられ、各油圧シリンダー部12の下部からは油圧シリンダー軸13が伸長されている。シリンダー軸13は、シリンダー軸13の端部に形成したピストン(図示せず)により油圧シリンダー部12内に区画形成された二つの油圧室(図示せず)に、油圧ポンプ30からの流体が供給又は排出されることにより伸縮動作が行われる。
すなわち、シリンダー軸13の伸縮動作の方向(伸びる方向なのか、縮む方向なのか)を選択する油圧ハンドル31の操作により、油圧ポンプ30から4本の油圧ホース32を介して、各油圧シリンダー部12の各油圧室に連結された油圧供給・排出口33へ流体の供給及び排出が行われることで、各油圧シリンダー部12の各油圧室において加圧と除圧が行われ、シリンダー軸13の伸縮動作が行われる。
また、シリンダー軸13の下端には、円盤状の支点14が装着され、シリンダー軸13の伸縮動作に応じてレール頭部に押し当て可能に構成されている。
本体部11の幅方向の両側面には、それぞれ細長い片状のアーム部15,15の上部が、固定ピン16により固定されている。各アーム部15の下端位置には、孔部17が設けられ、アーム部15の孔部17を架け渡すように支持軸(支持部)18が挿入可能となっている。この支持軸18は、レール1に対してレール補修部矯正装置10を装着して後述する縦矯正を行うに際して、レール底面を支持し押し上げるように作用する。
次に、上述したレール補修部矯正装置10を使用してレール縦矯正を行う手順について,図4を参照して説明する。
先ず、レール頭部に生じた損傷部をガス切断により除去して、除去箇所(損傷部)をテルミット溶接補修し、引き続き行われる熱間押し抜きせん断により溶接補修部9の余肉を除去して、その溶接補修部9の形状をレール頭部とほぼ同形状とし、レール1へのレール補修部矯正装置10の設置を行う。
すなわち、3点曲げ中央集中負荷方式のレール補修部矯正装置10と溶接補修部9の中心が合致するように、左右の油圧シリンダー部12の支点14がレール1の頭頂面に位置し、レール底面に対して作用点となる支持軸18(レール底面負荷用の加圧軸)が溶接補修部9の直下に位置するように配置する。
溶接補修部9の押し抜きせん断後に配置された支持軸18の位置は、レールの底面に少しの隙間を開けて配置されている。
この状態、すなわち、溶接補修部の温度が「レール鋼の変態点」〜「1100℃」で変形抵抗が低い高温時に、且つ、溶接補修部以外は常温でレール軸力を保持できる時に、油圧シリンダー部12に油圧供給を行ってシリンダー軸13を伸長させることにより、支点14をレール1の頭頂面に強く押し当てることができる。同時に、溶接補修部9直下に位置し、引き上げ棒となるアーム部15間を架設する支持軸18が、支点14によるレール1の頭頂面への押圧に対する反作用として、レール底面に対して1mスパン当たりで200kN以上の圧力で押し付けられ、溶接補修部9を上側に縦矯正することができる。
レール補修部矯正装置10による縦矯正が終了したら、縦矯正に引き続き、直ちにレール補修部矯正装置10に装着されている圧縮空気噴射部20で高温の溶接補修部9の空冷が行なわれる。この空冷は、レール頭頂面に対して、常に一定距離(スペーサーの高さ分)から圧縮空気が噴射されることで行われるので、均一な冷却を行うことができる。
この空冷により溶接補修部9は放冷した場合よりも冷却速度が速くなり、レール頭頂面の硬度が増大するとともに、耐磨耗性を放冷した場合よりも上げることができる。
続いて、具体的な矯正量について説明する。
1m当たりの重量が60kgの60kgレール200mの中間で、レールの両端を729kNの力で引張って729kNの軸力を与え、通常のレール溶接の場合と同様に、枕木の締結装置を補修部の左右3ケずつ計4.2m解除して溶接補修した場合で、レール補修部矯正装置10の支点14同士の間隔を1000mmとし、油圧シリンダー部12の加圧力を変化させた場合の縦矯正量と残留縦矯正量の関係を表1に示す。
なお、729kNは、60kgレールで、レールを設置した時(約30℃)に対して、温度差40℃(−10℃)の時に生じるレール軸力である。
表1に示すように、残留縦矯正量を0mm以上にするためには、高温の溶接補修部以外の常温のレール部分をレールの弾性限界を超える8mm/m以上の縦矯正が必要となる。なお、レール補修部矯正装置10の支点14同士の間隔を縮めた場合は、その量に比例して加圧力を増加させ、間隔を広げた場合はその量に比例して加圧力を減少させれば、表1と同じ様になる。
また、縦矯正量は、損傷部の周辺の落ち込み量や凹みを勘案して残留縦矯正量を1〜10mmとし、冷却後はグラインダー研磨により0〜1mm/mになるように仕上げられる。
また、軸力が729kNよりも大きい場合は、所定の残留縦矯正量を得るためにシリンダーの合計加圧力を大きく、729kNより低い場合は、シリンダーの合計加圧力を小さくすれば良い。
表1の結果より、レール補修部矯正装置10による縦矯正量は、溶接補修部9を中心として1mスパン当たり9〜18mmとすることで、冷却後に1mスパン当たり1〜10mmの縦矯正量を残すことができる。
矯正機を使用しない方法としては、溶接補修前に損傷部のあるレールを上から吊り上げて損傷部が「へ」の字なるように逆ひずみを与えるこう上方法が存在する。
剛性の高いレールの場合、前述の1mm以上の残留縦矯正量を得るためには、損傷部を80mm以上吊り上げなければならないが、この際、レールを締結していたまくら木が一緒に吊り上がらないようにするために、損傷部前後のレール締結を各6m以上ずつ解除する必要があり、多くの時間と作業員が必要となる。
また、損傷部を「へ」の字にするためには、損傷部に引張り応力が作用して破断する可能性がある。この対策として、溶接補修後で溶接部が熱い時期にこう上する方法も存在するが、前述と同様に溶接部前後のレール締結を各6m以上ずつ解除する必要があり、多くの時間と作業員が必要となる。
なお、損傷部をガス切断で除去した後に吊り上げると、レール側のガス切断面表層には深さ約2mmの硬化層がある。この硬化層を「へ」の字にするため、そこに引張り応力が作用して破断する可能性がある。
したがって上述したように、こう上方法には、多くの難点がある。
また、上述したレール補修部矯正装置10の使用例では、レールに損傷が生じた場合について、損傷部に対してテルミット溶接が行われた後のレール矯正について説明したが、テルミット溶接を伴わないレール矯正についても使用することができる。
例えば、図7に示すように、レール頭頂面に1mm以上の凹み部41が生じた場合は、図8に示すように、凹み部41のあるレール頭部を溶接補修の場合と同じ90mmの長さの範囲について、「レール鋼の変態点」〜「1100℃」のオーステナイト金属組織域まで加熱して、頭部加熱部42に対して上記と同様の方法による縦矯正を実施することで凹み部41を持ち上げ、レール頭頂面から凹み部41を無くすことが可能となる。
また、図9及び図10は、レール補修部矯正装置10の他の実施形態の例を説明したものである。この例では、2本のアーム部(引き上げ棒)50が、レール底面に配置する支持軸18の代わりに、レール顎支持部51を備えている。他の構成は、図3及び図4と同様であるので、同一符号を付して説明は省略する。
すなわち、アーム部(引き上げ棒)50は、下方にフックした形状で構成され、フック状の先端のレール顎支持部(加圧子)51がレール顎下を加圧して支持するようになっている。レール顎支持部50を使用してレール矯正を行った場合、高温のレール頭部及びその近傍の常温のレール頭部に対してだけ反作用による押圧力が作用するので、レール頭部に対してのみ縦矯正を行うことができる。この場合も、表1と同じ縦矯正量で同様の残留縦矯正量を得ることができる。
上述したように、レール頭部に発生した損傷部をガス切断により除去して、その箇所をテルミット溶接で溶接補修した後、溶接補修部の温度が、「レール鋼の変態点」〜「1100℃」の変形抵抗が低いオーステナイト金属組織域の間に、レール頭部上にセットされたレール補修部矯正装置10で、溶接補修部9直下のレール底面から上に向かって縦矯正を行い、溶接補修部9などの高温部位には高温変形を、レール底部などの常温の部位には塑性変形を起こさせて持ち上げることで、溶接補修部9が冷却した後でもレール頭頂面が平滑で凹みのない状態にすることができる。
また、テルミット溶接で溶接補修する必要が無い1mm以上の凹み部については、凹み部のあるレール頭部を加熱して、その温度が、「レール鋼の変態点」〜「1100℃」のオーステナイト金属組織の間に、レール頭部上にセットされた補修部矯正機で、凹み部直下のレール底面から上に向かって縦矯正を行い、加熱部などの高温部位には高温変形を、レール底部などの変態点以下の部位には塑性変形を起こさせて持ち上げ、凹み部が冷却した後でもレール頭頂面が平滑で凹みの無い状態にすることができる。
1…レール、 2…損傷、 3…ガス切断部、 4…レール側に残ったガス切断面、 5…テルミット溶接補修予定部、 6…モールド、 7…テルミット溶剤、 8…坩堝、 9…溶接補修部、 10…レール補修部矯正装置、 11…本体部、 12…油圧シリンダー部、 13…シリンダー軸(支え軸)、 14…支点、 15…アーム部、 16…固定ピン、 17…孔部、 18…支持軸(支持部)、 20…圧縮空気噴射部、 21…スぺーサー、 22…ブロワー、 23…下面、 24…細孔、 30…油圧ポンプ、 31…油圧ハンドル、 32…油圧ホース、 41…凹み部、 42…頭部加熱部(加熱部)、 50…アーム部、 51…レール顎支持部(加圧子)、 101…損傷、 102…除去レール、 103…新レール、 104…レール溶接部、 105…既設レール。

Claims (9)

  1. レール頭部に生じた損傷をガス切断により除去し、除去箇所をテルミット溶接で補完して溶接補修部とし、引き続き行われる熱間押し抜きせん断により、前記溶接補修部をレール頭部とほぼ同じ形状にする方法において、
    前記レール頭部の押し抜きせん断後に、レール矯正装置の支持部が前記溶接補修部の直下位置を下側から支持した状態で、前記溶接補修部を挟んだ両側位置のレール頭部を前記レール矯正装置に設けた一対の支え軸への加圧により、前記一対の支え軸の先端を支点とし作用点である前記支持部を引き上げてレール全体を縦矯正することで、高温の前記溶接補修部及び常温のレール底部を変形処理する
    ことを特徴とするレール補修部矯正方法。
  2. 前記縦矯正に引き続き、高温の溶接補修部に圧縮空気を噴射することにより冷却し、前記溶接補修部の硬さを増大させる請求項1に記載のレール補修部矯正方法。
  3. 前記加圧は、1mスパン当たりで200kN以上の圧力で縦矯正を行うことで、レールに軸力がある場合でも十分な矯正ができる請求項1に記載のレール補修部矯正方法。
  4. 前記高温は、「レール鋼の変態点」〜「1100℃」の温度である請求項1に記載のレール補修部矯正方法。
  5. 前記縦矯正による縦矯正量は、前記溶接補修部を中心として1mスパン当たり9〜18mmとし、前記冷却の後に1mスパン当たり1〜10mmの縦矯正量を残すよう加圧を行う請求項2に記載のレール補修部矯正方法。
  6. レール頭頂面に生じた凹みを含んだレール頭部をオーステナイト金属組織域まで加熱して加熱部とし、
    レール矯正装置の支持部が前記加熱部の直下位置を下側から支持した状態で、前記加熱部を挟んだ両側位置のレール頭部を前記レール矯正装置に設けた一対の支え軸への加圧により、前記一対の支え軸の先端を支点とし作用点である前記支持部を引き上げてレール全体を縦矯正することで、高温の前記加熱部及び常温のレール底部を変形処理する
    ことを特徴とするレール矯正方法。
  7. レール上方に載置してレールの矯正を行うレール矯正装置において、
    前記レールの長手方向に長く形成された本体部と、
    前記本体部の長手方向両側に設けた一対の油圧シリンダー部と、
    前記各油圧シリンダー部から伸長し、レール頭部に当接可能に動作するシリンダー軸と、
    前記本体部の側面に上部が固定され下方に延長される一対のアーム部と、
    前記アーム部の下端でアーム間に架設されレール底面を支持可能とする支持軸と、
    を備えたことを特徴とするレール補修部矯正装置。
  8. レール上方に載置してレールの矯正を行うレール矯正装置において、
    前記レールの長手方向に長く形成された本体部と、
    前記本体部の長手方向両側に設けた一対の油圧シリンダー部と、
    前記各油圧シリンダー部から伸長し、レール頭部に当接可能に動作するシリンダー軸と、
    前記本体部の側面に上部が固定され下方に延長される一対のアーム部と、
    前記各アーム部の下端にレール側に折曲しレール顎部を下方から支持するレール顎下支持部と、
    を備えたことを特徴とするレール補修部矯正装置。
  9. 長手方向における前記本体部の中央底面側に、レール頭部の溶接補修部に対して圧縮空気を噴射可能とする圧縮空気噴射部を備えた請求項7又は請求項8に記載のレール補修部矯正装置。
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