JP5548923B2 - 光水分解用電極、光水分解用電極の製造方法、および、水分解方法 - Google Patents

光水分解用電極、光水分解用電極の製造方法、および、水分解方法 Download PDF

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Description

本発明は、光水分解反応に用いる光水分解用電極、該電極の製造方法、および、該電極を用いた水分解方法に関する。
太陽エネルギーを利用する光エネルギー変換システムの実用化は、地球温暖化の抑制、枯渇しつつある化石資源依存からの脱却を目指す観点から、近年、その重要性が増している。中でも、太陽エネルギーを用いて水を分解し水素を製造する技術は、現行の石油精製、アンモニア、メタノールの原料供給技術としてのみならず、燃料電池をベースとした将来の水素エネルギー社会における水素供給技術として、有望視されている。
水分解による水素製造を高効率に達成するため、様々な光触媒および光触媒装置が提案されている。なかでも電極型の水分解装置、特に大きな光電流密度の得られる光触媒電極の開発が活発になされている。
例えば、非特許文献1では、p−GaAs/n−GaAs、p−GaInPをタンデム構造とすることでバイアスなしでの水分解に成功している。しかしながら、これらは単結晶系であり、また材料も高価である。電極の大面積化および低コスト化のためには光触媒電極は汎用の材料であって、多結晶系もしくは塗布法、電気泳動法など湿式で製造される電極が好ましい。
これらの観点から、多結晶系のCuInGaSe2(CIGS)を光触媒電極へ展開した例が報告されている(非特許文献2)。この報告によると、p型光半導体のCIGS電極は、n型光半導体のCdSとp−n接合を形成し、更に助触媒としてPtを使用した光触媒電極Pt/CdS/CIGSとすることによって、低いバイアス電圧で高い光電流密度が得られるようになることが示されている。しかしながら、水素製造のための光触媒電極としてはまだ不十分であった。さらに、これらCIGS系は希少金属であるインジウムを用いる。インジウムは、将来的に太陽電池やディスプレイ等の材料として世界中で多量に使用されることが予想され、供給不足、価格高騰が予想されるため、インジウムを使用しない材料で性能の高い光触媒電極を構成することが望まれていた。
インジウムを含まないp型光触媒電極としては、例えば、CuGaSe(非特許文献3)、CuGa(非特許文献4)、Ni/CuGa(非特許文献5)等が報告されている。しかし、これらの文献には、n型半導体と組み合わせて、p−n接合した例は記載されていない。また、性能の良好なp型半導体と性能の良好なn型半導体とを組み合わせて、p−n接合すれば、性能の良好な光触媒電極が形成できるとは限らず、インジウムを含まないp型半導体とn型半導体とをどのように組み合わせれば、良好な性能を備えた光触媒電極とすることができるかについては、これまでは見出されていなかった。
Khaselev, O.; Turner, J. A., Science 1998, 280 (5362), 425-427. Yokoyama, D.; Minegishi, T.; Maeda, K.; Katayama, M.; Kubota, J.; Yamada, A.; Konagai, M.; Domen, K., Electrochem. Commun. 2010, 12 (6), 851-853. Marsen, B.; Cole, B.; Miller, E. L., Sol. Energy Mater. Sol. Cells 2008, 92 (9), 1054-1058. M. Leon, S. Levcenko, A. Nateprov, A. Nicorici, J. M. Merino, R. Serna and E. Arushanov, J. Phys. D, 2007, 40, 740 嶺岸、横山、片山、久保田、堂免、第104回触媒討論会、4C27
そこで、本発明は、インジウムを含まないp型光半導体とn型光半導体との好適な組み合わせを見出し、これらを組み合わせることで、高性能の光水分解用電極を提供することを課題とする。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
第1の本発明は、集電極(10)上に、p型半導体(20)、n型半導体(30)、反応助触媒(40)の順に積層された光水分解用電極であって、p型半導体(20)が、Cu、Ga及びカルコゲン元素からなる化合物であり、これらの元素の含有比が、
Ga/Cu=1+2v(1)
(カルコゲン元素)/Cu=2+3v(2)
(vは、0.5≦v≦2である。)
であり、かつn型半導体(30)が、ZnSである、光水分解用電極(100)である。
第1の本発明において、p型半導体(20)として、上記式(1)および式(2)を満たすような化合物を用いた場合、高い光還元電流密度を示し、性能のよい光水分解用電極となる。また、n型半導体(30)として、ZnSを用いた場合も同様に、高い光還元電流密度を示し、性能のよい光水分解用電極となる。
第2の本発明は、集電極(10)上に、p型半導体(20)、n型半導体(30)、反応助触媒(40)の順に積層された光水分解用電極であって、p型半導体(20)が、Cu、Ga及びカルコゲン元素からなる化合物であり、これらの元素の含有比が、Cu:Ga:(カルコゲン元素)=1:1:2であり、かつ前記n型半導体(30)がCdSである光水分解用電極(100)である。
第1の本発明または第2の本発明において、反応助触媒(40)は、周期表6〜10族の遷移金属及び/又は該遷移金属の化合物であることが好ましい。
第3の本発明は、集電極(10)上に、p型半導体(20)を積層する工程、
p型半導体(20)上にn型半導体(30)を積層する工程、
n型半導体(30)上に反応助触媒(40)を積層する工程、
を備えてなる、
第1の本発明または第2の本発明の光水分解用電極(100)の製造方法である。
第3の本発明において、p型半導体(20)を積層する工程は、多源蒸着法によるものであることが好ましい。
第3の本発明において、n型半導体(30)を積層する工程は、ケミカルバスデポジション法(CBD法)によるものであることが好ましい。
第3の本発明において、反応助触媒(40)を積層する工程は、光電析法によるものであることが好ましい。
第4の本発明は、第1の本発明の光水分解用電極(100)を電解液に浸漬し、該電解液中の電極に光照射する、水分解方法である。
第4の本発明の水分解方法において、電解液のpHは、7以上13以下であることが好ましい。
本発明の水分解反応用電極(100)は、水を分解することにより水素を効率的に製造することができる、従来知られていない構造の水分解反応用電極である。また、p型半導体(20)として、希少金属であるインジウムを含まない化合物を使用しているため、将来の希少金属が不足する事態に対応することができる。また、該インジウムを使用した電極に比べて、水を分解する性能が高く、より効率的に水素を製造することができる。
本発明の水分解反応用電極の層構成を示した概念図である。 本発明の水分解反応用電極の製造方法の工程を示したフロー図である。 実施例1の電極の製造方法の工程を示した模式図である。 実施例1の電極により得られた光電流−電位曲線である。 実施例2の電極により得られた光電流−電位曲線である。 実施例3の電極により得られた光電流−電位曲線である。 (a)は、実施例2の電極により得られた光電流−電位曲線であり(参考用)、(b)は、比較例1の電極により得られた光電流−電位曲線である。 (a)は、実施例2の電極により得られた光電流−電位曲線であり(参考用)、(b)は、比較例2の電極により得られた光電流−電位曲線である。 (a)は、実施例3の電極により得られた光電流−電位曲線であり(参考用)、(b)は、比較例3の電極により得られた光電流−電位曲線である。 実施例4の電極により得られた光電流密度の時間変化を測定したグラフである。
<光水分解用電極>
図1に層構成の概念図を示したように、本発明の光水分解用電極100は、集電極10上に、p型半導体20、n型半導体30、反応助触媒40が、この順で積層された構造となっている。
(集電極10)
集電極10は、導電性を有しかつ電気化学的に耐久性のある材料であれば特に制限されないが、耐熱性を有するとの観点から、例えば、鉄、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、タンタル、モリブデン、金、白金などの金属材料が好ましい。また、基板としてガラス等の絶縁材料に導電層を被覆したものを集電極10として使用することもでき、該導電層としては、上記した金属材料を用いることができる。電極作製における耐反応性の点から、モリブデンを金属材料として用いることが好ましい。また、絶縁材料としては、石英、ソーダライムガラス等を用いることができる。CIGS太陽電池の分野においてソーダライムガラスからCIGS層へのNa混入による高性能化が指摘されており、同効果の利用、および導電層と熱膨張係数が近い基材を用いなければ容易にクラックが導入されてしまうという点から、ソーダライムガラスを用いることが好ましい。集電極10の形状は特に限定されないが、厚さ1μm〜1mm程度のシート状のものを用いることが好ましい。また、絶縁材料表面に形成した導電層の厚さとしては、100nm〜10μmであることが好ましい。導電層の厚さが厚くなりすぎると、絶縁材料から剥離する虞がある。
(p型半導体20)
本発明の光水分解用電極100は、集電極10の上に、p型半導体20、n型半導体30、反応助触媒40をこの順に積層させて形成されるが、p型半導体20およびn型半導体30としては、所定のものを用いる必要がある。
p型半導体とは、一般的に、正孔の移動によって電荷が運ばれる半導体のことをいうが、本発明において使用するp型半導体20は、Cu、Ga、および、カルコゲン元素からなる化合物である。ここで、カルコゲン元素とは、一般的に第16族元素のことをいうが、本発明では、酸素、硫黄、セレン、テルルのことをいい、好ましくは、硫黄、セレンのことをいう。
上記p型半導体20としては、例えば、CuGaS、CuGa(S,Se)、CuGaSe、CuGa、CuGaSe、CuGa(S,Se)、CuGa、CuGaSe、CuGa(S,Se)、CuGaO、CuGaTe2、CuGaTe、CuGaTeが挙げられる。なお、(S,Se)とは、SとSeとが任意の割合の混合比で含まれていてもよいことを示している。
第1の本発明で用いられるp型半導体20は、構成する元素の含有比が下記式を満たすものである。
Ga/Cu=1+2v (1)、
カルコゲン元素/Cu=2+3v (2)、
(vは、0.5≦v≦2)
これは、Orderd Defect Chalcopyrite(以下ODC)と呼ばれるものであり、ODCは、式(1)、(2)を満たす任意の組成を取りうる化合物である。
上記式(1)、(2)を満たすp型半導体としては、例えば、CuGa,CuGa2.84.7、CuGa2.56Se4.34、CuGaSe、CuGa(S,Se)、CuGa、CuGaSe、CuGa(S,Se)等が挙げられる。以下、このp型半導体を「CuGaカルコゲン元素(ODC)」と称することがある。
第2の本発明で用いられるp型半導体20は、構成するCuとGaとカルコゲン元素の含有比がCu:Ga:(カルコゲン元素)=1:1:2であるp型半導体である。この条件を満たすp型半導体としては、例えば、CuGaS、CuGa(S,Se)、CuGaSe、CuGaO、CuGaTeが挙げられる。以下、このp型半導体を「CuGaカルコゲン元素(112)」と称することがある。
上記p型半導体20の元素の含有比は、GaとCuとの比については、例えば、エネルギー分散型蛍光X線分析装置により測定した値である。
(n型半導体30)
n型半導体30とは、一般的に、電子の移動によって電荷が運ばれる半導体のことをいうが、例えば、n型半導体30としては、結晶構造がウルツ型、または、閃亜鉛鉱型であるものが挙げられる。このような結晶構造のn型半導体30としては、例えば、ZnS、CdS、CdSe、CdTe、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgTe、AlP、AlAs、AlSb、GaP、GaAs、GaSb、InP、InAs、InSb、ZnO、GaN、MgS、MgSe、BeS、BeSe等が挙げられる。
上記所定の結晶構造を有するn型半導体30としては、高い光還元電流密度を示し、良好な水分解用電極を形成する点から、ZnS、CdSが好ましい。
第1の本発明において用いられるn型半導体30は、ZnSである。
第2の本発明において用いられるn型半導体30は、CdSである。
(反応助触媒40)
反応助触媒40としては、第6〜10族の遷移金属、遷移金属化合物、または、これらの混合物を用いることができる。第6〜10族の遷移金属とは、例えば、Pt、Pd、Rh、Ru、Ni、Fe等が挙げられ、中でも、高い光還元電流密度を示す電極が得られる点から、Ptが好ましい。遷移金属化合物とは、第6〜10族の遷移金属の酸化物、複合酸化物、酸窒化物、硫化物、酸硫化物、炭化物、窒化物、または、これらの混合物をいい、例えば、NiO、RuO、IrO、Rh、Cr−Rh複合酸化物、コアシェル型Rh/Cr、Pt/Cr、NiS、MoS、NiMoSが挙げられる。
<光水分解反応用電極100の製造方法>
本発明の光水分解反応用電極100の製造方法について、説明する。なお、以下に示す製造方法は、あくまで一実施形態であって、他の方法を排除する趣旨ではない。
図2に各工程のフロー図を示すように、本発明の光水分解反応用電極100の製造方法は、以下の工程を備えている。
(S1)集電極10上にp型半導体20を積層する工程、
(S2)p型半導体20上にn型半導体30を積層する工程、
(S3)n型半導体30上に反応助触媒40を積層する工程、
(工程S1)
集電極10上にp型半導体20を積層する方法としては、p型半導体20を構成する元素を所定の割合で、集電極10上に積層することができる方法であれば、特に限定されないが、例えば、p型半導体20を構成する元素である、Cu、Ga、カルコゲン元素を蒸着させる方法を採用でき、特に、カルコゲン元素がSeの場合は、これら元素を同時並行して蒸着させる多源蒸着法が好適に採用できる。それぞれの蒸着原料の供給量を、例えば、水晶振動子膜厚計により堆積速度として測定して、原料供給量を調整することにより、p型半導体20の組成を調整することができる。
具体的には、カルコゲン元素がSeである、CuGaSe(112)の場合には、各原料を個別にルツボ等の容器中で加熱、蒸発させた後、初めの1〜60分、好ましくは5〜20分は、300〜500℃、好ましくは350〜450℃に制御し、その後300〜800℃、好ましくは400〜600℃に制御した集電極上に、各原料について、水晶振動子膜厚計で計測した堆積速度で、Ga/Cuの堆積速度比が0.5〜2.0、Se/(Cu+Ga)の堆積速度比が1〜20となるように堆積させることにより製造することができる。
また、CuGaSe(ODC)の場合には、300〜700℃に、好ましくは400〜600℃に制御した集電極上に、同様に堆積速度でGa/Cuの堆積速度比が2.1〜20、Se/(Cu+Ga)の堆積速度比が1〜20となるように堆積させることにより製造することができる。上記各原料の堆積速度は、容器であるルツボ等の温度を調整することにより調整するこができる。かくして製造されたp型半導体の元素の含有比は、CuとGaの比については、エネルギー分散型蛍光X線分析装置などにより確認することができ、Seの含有比については、X線回折測定により得られるパターンを既知の上記元素含有比の化合物のパターンと比較することによりODCであると確認することができる。
また、カルコゲン元素が硫黄の場合は、まず、Cu、Gaを集電極10上に蒸着させてp型半導体前駆体とし、その後、該前駆体を硫化処理することにより、p型半導体20を形成できる。硫化処理としては、p型半導体20の前駆体を、硫化水素ガスに接触させる方法が挙げられる。
具体的には、カルコゲン元素が硫黄(S)である、CuGaS(ODC)の場合には、まず、CuとGaを個別に真空蒸発器などにより蒸発させて、室温〜700℃に制御した集電極上に、蒸着させる。この時の各元素の供給比は、水晶振動子膜厚計で堆積厚さとして測定した時に、Ga/Cuの堆積厚さの比が2〜7となるように調整する。さらに、集電極上にCuとGaが蒸着された前駆体を、電気管状炉などを用いて硫化処理を行う。具体的には、炉心に集電極上にCuとGaが蒸着された前駆体を入れた石英管を配置し、該炉心管内を窒素等の不活性ガスで充填した後に、5〜100容量%の硫化水素ガスを含むガスを流通させ、750〜900Kまで加熱した後、1〜3時間保持して、自然冷却する方法等が挙げられる。また、CuGaS(112)の場合には、まず、CuとGaを個別に真空蒸発器等により蒸発させて、室温〜700℃に制御した集電極上に、蒸着させる。この時の各元素の供給比は、水晶振動子膜厚計で堆積厚さとして測定した時に、Ga/Cuの堆積厚さの比が1〜1.9となるように調整する。さらに、集電極上にCuとGaが蒸着された前駆体を、上記と同様に硫化処理することにより製造することができる。かくして製造されたp型半導体の元素の含有比は、CuとGaの比は、エネルギー分散型蛍光X線分析装置などにより確認することができる。
従来の光電極触媒であるPt/CdS/CIGSの場合には、製膜プロセスに煩雑な3段法を用いる必要がある。3段法とは製膜時に基板温度や照射元素を時間とともに変化させる手法である。一方、本発明の方法では、所定の前駆体を硫化水素ガスで硫化するという簡便なプロセスによって、従来のPt/CdS/CIGSよりも高い性能を持つ光触媒電極を製造することができる。
(工程S2)
p型半導体20上にn型半導体30を積層する方法としては、n型半導体30を構成する所定の結晶構造(ウルツ型、または、閃亜鉛鉱型)を有する半導体(ZnSまたはCdS)を形成することができる方法であれば、特に限定されないが、製造効率、コストの点から、ケミカルバスデポジション法(CBD法)を採用することが好ましい。
(工程S3)
n型半導体30上に反応助触媒40を積層する方法としては、反応助触媒40を構成する金属および/または金属化合物をn型半導体30上に担持できる方法であれば、特に限定されないが、例えば、光電析法を採用することが好ましい。光電析法とは、上記で作製した前駆体と金属塩とを電解質水溶液中に共存させ、光照射によって金属塩を還元し、金属または金属化合物として前駆体上に担持させる方法をいう。
なお、このときに、光照射を行うだけでなく、反応助触媒40を含まない水電解用電極100を作用極とし、Ptワイヤーを対極として電極の電位を可逆電極(RHE)に対して−2〜+1.2Vに制御しながら行うこともできる。
<光水分解方法>
本発明の水分解方法においては、上記した水分解用電極100を、電解液に浸漬させて、光照射することにより、水を分解して、水素を発生させる。電解液のpHは、効率的に水分解反応を行う観点から、7以上13以下とすることが好ましい。
従来、光触媒電極による水分解は強酸水溶液で反応を行うことが多かった(文献:J. Kaneshiro et al. Solar Energy Materials & Solar Cells 94 (2010) 12-16)。しかしながら、オンセット電位、電極安定性の観点から、本発明のように、弱アルカリ性とすることが望ましい。
<実施例1>
Pt/CdS/CuGaSe(112)電極の作製および評価
スパッタ法によりMoコートしたソーダライムガラス(甲子光学工業社製、フロートガラス)を集電極として用い、i)多源蒸着法によるCuGaSe(112)薄膜の形成、ii)化学浴堆積(Chemical Bath Deposition:以下CBDと省略する。)法によるCdS層の形成、iii)光電析法によるPt微粒子の担持という3つのプロセスを経て、Pt/CdS/CuGaSe(112)電極を作製した(図3)。以下、各プロセスについて詳述する。
i)多源蒸着法によるCuGaSe(112)薄膜の形成
原料であるGa、Cu、Se{Gaショット(4N:和光純薬工業社製もしくは6N:フルウチ化学社製)、Cu棒(5N:ニラコ社製)、Seショット(6N:朝日メタル社製)}をそれぞれ個別の熱分解窒化ホウ素(Pyrolitic Boron Nitride:以下PBN)製のルツボに入れ、<10−5Paの圧力に保たれた真空容器中において原料を独立に加熱、蒸発させ、上記集電極上に堆積させた。原料供給量は各原料の堆積速度を水晶振動子膜厚計(ULVAC社製、CRTM−6000)を用いて計測し、各ルツボの温度により制御した。CuGaSe(112)成膜中は堆積速度比でGa/Cu比を2、Se/(Cu+Ga)比を10とした。集電極温度は最初の10分間を400℃、そののち500℃に制御した。かくして製造したCuGaSeの薄膜をエネルギー分散型蛍光X線分析装置で分析したところ、Ga/Cu比は1であった(表1)。また、X線回折測定を行い、このパターンを既存のCuGaSe(112)化合物のパターンと比較したところ同じパターンであったので、CuGaSe(112)が製造されたことが確認された。
ii)CBD法によるCdS層の形成
Cd源である酢酸カドミウム二水和物(関東化学、98.0%)、S源であるチオ尿素(関東化学、98.0%)を用い、オイルバス中においてガラス製のビーカーに蒸留水50ml、アンモニア水50ml(和光純薬、特級、28質量%)、酢酸カドミウム二水和物0.666gを入れ、75℃に保った。これに、前記多源蒸着法によって調製したCuGaSe(112)薄膜を浸漬し、続いて速やかにチオ尿素を2.855g投入する事によりCdS層の堆積を開始した。堆積は3分間行った。CdS層堆積後には空気中において100〜300℃で30分間熱処理を行った。
iii)光電析法によるPt微粒子の担持
水酸化ナトリウム(大成化学社、ツル印特級)を用いてpHを7〜10に制御した塩化白金酸(和光純薬社、98.5%)10μM、NaSO(和光純薬社、99.0%)0.1Mの電解液中に、前記CBD法で調製したCdS/CuGaSe(112)電極を浸漬し、これを作用極とし、Ptワイヤーを対極として電極の電位をAg/AgCl電極に対して−1〜+0.3Vに制御しながら300WのXeランプで照射することによってPtの光電析を行った。電極電位はポテンショスタット(北斗電工社、HSV−100)を用いて制御した。観測される光カソード電流値が飽和したところで電析を終了した。処理時間は120分であった。なお、処理時間は、30分〜6時間のいずれでも同様の処理を行うことができた。
<試料評価>
調製した光電極の評価は、ポテンショスタットを用いた3電極系での電流−電位測定によって行った。平面窓付きのセパラブルフラスコを電気化学セルに用い、参照極にAg/AgCl電極、対極にPtワイヤーを用いた。電解液にはNaOH(大成化学社、ツル印特級)によってpHを9.5に調整したNaSO(和光純薬、99.0%)0.1M水溶液を用いた。電気化学セル内部はアルゴンで満たし、かつ測定前に充分にバブリングを行うことにより溶存する酸素、二酸化炭素を除去した。光電気化学測定にはコールドミラーとカットオフフィルター(HOYA、L−42)を装着した300Wキセノンランプを光源として用い、電気化学セルの平面窓から波長420〜750nmの白色光を照射した。このときの光電流−電位曲線を図4に示した。
<実施例2>
Pt/ZnS/CuGaS(ODC)電極の作製(ODC:Orderd Defect Chalcopyrite、Ga/Cu=1+2v、S/Cu=2+3v、0.5≦v≦2)
Moコートソーダライムガラスを集電極として用い、i)蒸着法によるCu−Ga前駆体薄膜の形成、ii)硫化水素を用いた硫化処理、iii)CBD法によるZnS層の形成、iv)光電析法によるPt微粒子の担持という4つのプロセスを経て、Pt/ZnS/CuGaS(ODC)電極を作製した。以下、各プロセスを詳述する。
i)蒸着法によるCu−Ga前駆体薄膜の形成
前駆体薄膜の形成は、小型真空蒸着器(ULVAC社製、VFR−200M/ERH)を用いて行った。蒸発源であるCu(5N:ニラコ社製)、Ga(4N:和光純薬工業)をそれぞれタングステンボート上に置き、真空容器内の圧力を<10−2Paに保ち、タングステンボートに通電加熱することにより蒸発させ、室温〜600℃程度に加熱したMoコートソーダライムガラス上に堆積させた。この時、CuとGaの堆積量はそれぞれ水晶振動子膜厚計(ULVAC社製、CRTM−6000)を用いて計測し、Cuに対するGaの堆積厚さの比(Ga/Cu)は6であった。
ii)硫化処理
電気管状炉を用いて硫化処理を行った。炉心にはアルミナ管を用い、その中に前駆体を入れた石英管を配置した。炉心管内を窒素で充分にパージした後に、窒素ガス(ジャパンファインプロダクツ社、G1)を100mL/分、硫化水素ガス(住友精化社、精密工業ガス)を50mL/分とした混合ガスを流通させ、昇温速度20K/分で773K〜873Kまで加熱した後、1〜3時間保持し、自然冷却した。冷却後、炉心管内を窒素ガスで充分にパージして試料を取り出した。かくして製造されたCu/Ga/S(ODC)膜をエネルギー分散型蛍光X線分析装置で分析したところ、Ga/Cu比は2.8であった(表1)。
iii)CBD法によるZnS層の形成
Zn源に酢酸亜鉛(Aldrich、99.99%)、S源にチオ尿素(関東化学、98.0%)を用い、オイルバス中においてガラス製のビーカーに蒸留水50mlアンモニア水50ml(和光純薬、特級、28質量%)、酢酸亜鉛0.4587gを入れ、75℃に保った。これに、前記硫化処理により調製したCuGaS(ODC)薄膜を浸漬し、続いて速やかにチオ尿素を2.8545g投入することによりZnS層の堆積を開始した。堆積は20分間行った。ZnS層堆積後には空気中において200℃で30分間熱処理を行った。
iv)光電析法によるPt微粒子の担持
水酸化ナトリウム(大成化学社、ツル印特級)を用いてpHを7〜10に制御した塩化白金酸(和光純薬社、98.5%)10μM、NaSO(和光純薬社、99.0%)0.1Mの電解液中に前記CBD法により調製したZnS/CuGaS(ODC)電極を浸漬し、これを作用極とし、Ptワイヤーを対極として電極の電位をAg/AgCl電極に対して−1〜+0.3Vに制御しながら300WのXeランプで照射することによってPtの光電析を行った。電極電位はポテンショスタット(北斗電工社、HSV−100)を用いて制御した。観測される光カソード電流値が飽和したところで電析を終了した。処理時間は10分間であった。なお、処理時間は、30分〜6時間のいずれでも同様の処理を行うことができた。
<試料評価方法>
調製した光電極の評価は、実施例1に記載の方法で行った。このときの光電流−電位曲線を図5に示した。
<実施例3>
Pt/ZnS/CuGaSe(ODC)電極の作製および評価(ODC:Orderd Defect Chalcopyrite,Ga/Cu=1+2v,Se/Cu=2+3v,0.5≦v≦2)
i)多源蒸着法によるCuGaSe薄膜の形成
CuGaSe(ODC)薄膜は、成膜中の堆積速度比をGa/Cu比を5、Se/(Cu+Ga)比を10とし、集電極温度は550℃で一定に制御したことを除いてすべて実施例1と同様にして作製した。かくして製造されたCuGaSe(ODC)薄膜をエネルギー分散型蛍光X線分析装置で分析したところ、Ga/Cu比は2.56であった(表1)。また、X線回折測定を行い、このパターンを既存のODCのパターンと比較したところ同じパターンであったので、CuGaSe(ODC)が製造されたことが確認された。
ii)CBD法によるZnS層形成
Zn源に酢酸亜鉛(Aldrich、99.99%)、S源にチオ尿素(関東化学、98.0%)を用い、オイルバス中においてガラス製のビーカーに蒸留水8mlアンモニア水8ml(和光純薬、特級、28質量%)、酢酸亜鉛0.073gを入れ、50℃に保った。これに、前記多源蒸着法により調製したCuGaSe(ODC)薄膜を浸漬し、続いて速やかにチオ尿素を0.456g投入することによりZnS層の堆積を開始した。堆積は20分間行った。ZnS層堆積後には空気中において200℃で10分間熱処理を行った。
iii)光電析法によるPt微粒子の担持
すべて実施例1と同様にして作製した。
<試料評価>
調製した光電極の評価は、実施例1に記載の方法で行った。このときの光電流−電位曲線を図6に示した。
<実施例4>
Pt/ZnS/CuGaS(ODC)電極による定電位電解(ODC:Orderd Defect Chalcopyrite,Ga/Cu=1+2v,S/Cu=2+3v,0.5≦v≦2)
実施例2のように調製したPt/ZnS/CuGaS(ODC)電極をNaOH(大成化学社、ツル印特級))によってpHを9.5に調整したNaSO(和光純薬、99.0%)0.1M水溶液に浸漬し、コールドミラーとカットオフフィルター(HOYA社、 L−42)を装着した300Wキセノンランプ(波長420〜750nmの白色光)を照射し、光触媒電極の電位を0Vvs.RHEに保持して光電流密度の時間変化を観測した。結果を図10に示した。
<比較例1>
Pt/CdS/CIGS電極は、Moコートソーダライムガラスを集電極として用い、文献(H. Miyazaki, R. Mikami, A. Yamada, M. Konagai, Jpn. J. Appl. Phys. 43, (2004) 4244)の記載に従って、Ga/(In+Ga)=0.25となるように作製したCIGS薄膜上に、i)CBD法によるCdS層の形成、およびii)光電析法によるPt微粒子の担持を行うことによって作製した。
i)CBD法によるCdS層の形成
Cd源である酢酸カドミウム二水和物(関東化学、98.0%)、S源であるチオ尿素(関東化学、98.0%)を用い、オイルバス中においてガラス製のビーカーに蒸留水50ml、アンモニア水50ml(和光純薬社、特級、28質量%)、酢酸カドミウム二水和物0.666gを入れ、75℃に保った。これに、CIGS薄膜を浸漬し、続いて速やかにチオ尿素を2.855g投入することによりCdS層の堆積を開始した。堆積は3分間行った。
ii)光電析法によるPt微粒子の担持
塩化白金酸(和光純薬、98.5%)14μM、NaSO(和光純薬社、99.0%)0.1Mの電解液中に前記CBD法により調製したCdS/CIGS電極を浸漬し、これを作用極とし、Ptワイヤーを対極として電極の電位をAg/AgCl電極に対して−0.6Vに制御しながら300WのXeランプで照射することによってPtの光電析を行った。電極電位はポテンショスタット(北斗電工社、HSV−100)を用いて制御した。観測される光カソード電流値が飽和したところで電析を終了した。処理時間は6時間であった。なお、処理時間は、30分〜6時間のいずれでも同様の処理を行うことができた。
<試料評価方法>
調製した光電極の評価は、実施例1に記載の方法で行った。このときの光電流−電位曲線を図7(b)に示した。なお、図7(a)に実施例2の結果を参考のため示した。
<比較例2>
Pt/CdS/CuGaS(ODC)電極の作製(ODC:Orderd Defect Chalcopyrite,Ga/Cu=1+2v,S/Cu=2+3v,0.5≦v≦2)
Pt/CdS/CuGaS(ODC)電極は、実施例2のiii)CBD法によるn層の形成時に、原料として、Zn源の代わりに、Cd源である酢酸カドミウム二水和物(関東化学、98.0%)0.666gを用いた以外は、実施例2と同様にして作製した。
<試料評価方法>
調製した光電極の評価は、実施例1に記載の方法と同様に行った。このときの光電流−電位曲線を図8(b)に示した。なお、図8(a)に実施例2の結果を参考のため示した。
<比較例3>
Pt/CdS/CuGaSe(ODC)電極の作製(ODC:Orderd Defect Chalcopyrite,Ga/Cu=1+2v,Se/Cu=2+3v,0.5≦v≦2)
Pt/CdS/CuGaSe(ODC)電極は、実施例3のi)成膜中の堆積速度比をGa/Cu比を6、Se/(Cu+Ga)比を10とし、基板温度は550℃に制御したこと、iii)CBD法によるn層の形成時に、原料として、Zn源の代わりに、Cd源である酢酸カドミウム二水和物(関東化学、98.0%)0.666gを用いた以外は、実施例3と同様にして作製した。
<試料評価方法>
調製した電極の評価は、実施例1に記載の方法で行った。n層としてCdSを使用すると、本来p型であるCuGaSe(ODC)がn型化してアノーディック(酸化的)な電流が観測された。このときの光電流−電位曲線を図9(b)に示した。なお、図9(a)に実施例3の結果を参考のため示した。
実施例1〜3および比較例1〜3の結果を表1にまとめた。
低バイアス運転条件である0.6Vvs.RHEにおける光電流密度を比較すると、Inを含まないPt/CdS/CuGaSe(112)(実施例1)において、公知の光電極であるPt/CdS/CIGS(比較例1)の光還元電流密度(−50μA/cm)に比べて同程度の光還元電流密度(−50μA/cm)が観測された。このことから、p型半導体をCu:Ga:(カルコゲン元素)=1:1:2とすれば、希少なInを使用することは必ずしも必要でないことが示された。
Pt/ZnS/CuGaS(ODC)(実施例2)では公知光電極であるPt/CdS/CIGS(比較例1)の光還元電流密度(−50μA/cm)に比べて約9倍程度の光還元電流密度(−450μA/cm)が観測された。このことから、低バイアス運転条件において最適なGa/Cu比は、1+2v(0.5≦v≦2)であることが示された。
さらに同じp型半導体であるCuGaS(ODC)において、n型半導体の効果を比較すると、比較例2(n型半導体がCdS)と実施例2(n型半導体がZnS)では、n型半導体がZnSである実施例2では光還元電流密度(−450μA/cm)が観測されるのに対し、n型半導体がCdSである比較例2では酸化電流(+6μA/cm)が観測され、電極がn型化していた。n型半導体としてZnSを使用することの優位性が示された。
同様にセレン化物であるCuGaSe(ODC)において、比較例3(n型半導体がCdS)と実施例3(n型半導体がZnS)とを比較すると、n型半導体にZnSを使用した実施例3では光還元電流(−25μA/cm)が観測されるのに対し、n型半導体にCdSを使用した比較例3では酸化電流(+20μA/cm)が観測され、電極がn型化していた。この比較からもわかるようにp型半導体がODCである場合には、カルコゲン元素が変わってもZnSのほうが高い性能を示し、n型半導体としてZnSを使用することの優位性が示された。
また、本発明により調製した電極は安定性においても優れている。通常硫化物系の光触媒電極は犠牲試薬が存在しないと光励起による自己溶解のため光電流密度は時間とともに急速に減少するが、図10(実施例4)に示すとおり、Pt/ZnS/CuGaS(ODC)は光照射開始直後の値(−230μA/cm)以上の光電流密度を保っており、むしろ時間経過とともに電流値は増加の傾向を示している。従って、電極の安定性においても、Ga/Cuを1+2v(0.5≦v≦2)とし、n型半導体にZnSを使用する優位性が示された。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う光水分解用電極、光水分解用電極の製造方法、および、水分解方法もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明の光水分解用電極を水中に保持し、太陽光等の光を照射することにより、水を分解して水素を製造することができる。
10 集電極
20 p型半導体
30 n型半導体
40 反応助触媒
100 光水分解用電極

Claims (9)

  1. 集電極上に、p型半導体、n型半導体、反応助触媒の順に積層された光水分解用電極であって、
    前記p型半導体が、Cu、Ga及びカルコゲン元素からなる化合物であり、これら構成元素の含有比が下記式を満たし、
    Ga/Cu=1+2v(1)
    (カルコゲン元素)/Cu=2+3v(2)
    (vは、0.5≦v≦2である。)
    かつ前記n型半導体がZnSである、光水分解用電極。
  2. 集電極上に、p型半導体、n型半導体、反応助触媒の順に積層された光水分解用電極であって、
    前記p型半導体が、Cu、Ga及びカルコゲン元素からなる化合物であり、これら構成元素の含有比が、
    Cu:Ga:(カルコゲン元素)=1:1:2であり、かつ前記n型半導体がCdSである、光水分解用電極。
  3. 前記反応助触媒が、周期表6〜10族の遷移金属及び/又は該遷移金属の化合物である、請求項1又は2に記載の光水分解用電極。
  4. 集電極上に、p型半導体を積層する工程、
    前記p型半導体上にn型半導体を積層する工程、
    前記n型半導体上に反応助触媒を積層する工程、
    を備えてなる、
    請求項1〜3のいずれかに記載の光水分解用電極の製造方法。
  5. 前記p型半導体を積層する工程が、多源蒸着法によるものである、請求項4に記載の光水分解用電極の製造方法。
  6. 前記n型半導体を積層する工程が、ケミカルバスデポジション法によるものである、請求項4または5に記載の光水分解用電極の製造方法。
  7. 前記反応助触媒を積層する工程が、光電析法によるものである、請求項4〜6のいずれかに記載の光水分解用電極の製造方法。
  8. 請求項1〜3のいずれかに記載の光水分解用電極を電解液に浸漬し、該電解液中の電極に光照射する、水分解方法。
  9. 前記電解液のpHが、7以上13以下である請求項8に記載の水分解方法。
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