JP5537054B2 - 養殖用帆立貝掛止具 - Google Patents

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Description

本発明は、ロール巻き、ボビン巻き、切り離し、養殖用ロープ取り付けが容易で、しかも安定にロープに取り付けられる為にほたて貝が離脱することが比較的少ない構造の帆立貝掛止具およびその帆立貝掛止具が連続的に多数順次帯状に連結した並列状連結帆立貝掛止具に関する。
初期の養殖用帆立貝掛止具としては、弾性針金を加工して、貝を吊り下げるような構造にすることは公知である(例えば、特許文献1参照)。
また、母線に係止された、先端部に塊状掛止部を有する合成樹脂製細線を、ほたて稚貝の耳部に穿孔した小孔に挿通して、ほたて貝の脱離を防止することも公知である(例えば、特許文献2参照)。
現在、帆立貝の大部分は、養殖によるものが多く、そのほたて貝の養殖の方法は、図1に見るように、帆立貝掛止具2は、根幹7の両端部に対称に抜け防止部5、および略中心寄りにピン抑え部8がほぼ対称に設けられている構造のものであり、これを、細ひも又はロープのような母線1に、ほたて貝耳吊用掛止具を略等間隔にとりつけ、その掛止具にほたて貝の稚貝3を対象に取り付けるのが一般的である。詳細には、ほたて稚貝の耳部4に穿孔による孔部を設けて、その孔部に掛止具2の根幹7の両末端にアゲ状の抜け防止部5を、その根幹7の軸方向に一致するように稚貝の孔部に挿通すると、抜け防止部5のアゲ部の毛羽たちにより、稚貝が容易に離脱しないような構造になっている。
しかし、海水の揺動や、貝の成長、あるいは、海中という特殊な環境下における材料の疲労、というような予期せぬ現象が加わり、長期間ほたて貝耳吊用掛止具を使用すると、特に抜け防止部5に対して海水中の貝の揺動により帆立貝の耳部の突起形状部6に接触しながら回転運動の力が加わり、抜け防止部5にクリープ現象が発生し、抜け防止部5が掛止具の根幹7に密着することによる、帆立貝が掛止具から離脱する現象が見られる。
この養殖帆立貝の掛止具からの離脱を防止するために、専ら抜け防止部5の構造や形状を改良および工夫することは知られている(特許文献3、特許文献4)。しかし抜け防止部の改良だけでは、離脱を完全に防止することが期待できなく、さらなる工夫が求められる。
この養殖用帆立貝掛止具の生産および流通方法の面から考察すれば、合理的な生産方法は、通常は多数個取りの金型を使用して連続的に大量に製造することになり、しかもまとめて沢山の帆立貝掛止具を養殖現場に供給するための保管および輸送の利便性、さらには、切断差込機へのセットの利便性の点から、図2に見るとおり、多数の養殖用帆立貝掛止具が、並列的に多数並べられた連結状態のもので、ロール巻きまたはボビンに巻き取った状態で取り扱われているのが実情である。
この帆立貝掛止具の連結方法は、一体成形の関係上通常は、帆立貝掛止具と同じプラスチック材料からなるか可撓性の材料からなる。この帆立貝掛止具の連結状態は、例えば図2(特許文献4)などに見られるような、帆立貝掛止具5の抜け防止部8のほぼ中間に根幹7とほぼ直角方向延びる、左右対称に連結用線、幹、ストランドのような複数の連結用部材9によりつなぐのが、ロール巻き取り安定性という点だけからみれば推奨されるが、帆立貝掛止具を養殖用ロープにセットする場合に、連結用部材の切断残渣がロープ挿入の支障となる場合がある。同様に、帆立貝掛止具の根幹7の両対称に設けられているピン抑え部の突起のほぼ中央部に1本の連結用部材を設けることも提案されている(特許文献4)が、帆立貝掛止具の安定性、特に捩じれによる変形に対しては非常に弱いことが懸念され、ロール捲きなどによる取り扱い上支障となる。さらに、帆立貝掛止具間を連結用部材と2個のピン抑え部を構成する突起部を連結するという、いわゆる3点で連結することも提案されているが、強度の連結は達成されても、帆立貝掛止具を機械でロープに挿入する時、ピンの挿入抵抗が大きいため、ロープにスムーズに挿入できず、作業に支障を期している。このような観点から、総合的な特性のある帆立貝掛止具の誕生が期待されている。
本発明の連結帆立貝掛止具を構成する単品の構造は、プラスチックなどから製造される、根幹7の中央部付近にロープ、縄、紐のような母線に帆立貝掛止具を掛止した場合のずれ、偏りの動きを防止する一対のピン抑え部8を有し、その根幹7の両先端部に、通常はアゲ部の構造をした貝の抜け防止部5を設けた構造の連続的に連結された養殖用帆立貝掛止具において、このほたて貝耳吊用ハンガーは、ロープ、ひものような母線1に容易に挿通でき、しかも極めて安定に固定ができるばかりでなく、さらには、連結した帆立貝掛止具のロール巻き取り、ボビン巻取りが安定にできるために、輸送、保管、取り扱い性が容易であり、しかも母線1への安定な固定ができ、ほたて稚貝5の穿孔部6に挿通することが簡単にできるとともに、無駄な材料の消費を抑えて、ピン抑え部の機能を、連結の為の役割および帆立貝掛止具の母線1からのずれを防止するというような多機能の課題を解決することに併せて、帆立貝の離脱も防止するという課題を解決することにある。
本発明は、上記問題を解決する為に、詳細には以下の手段を採ることを特徴とするものである。
本発明の第1の特徴点は、根幹の長手方向の両端部に一対の帆立貝の抜け防止部が設けられており、根幹の中心付近を起点にして母線を挟む十分な間隔を持った突起状の先端部が中心側に傾斜した形状の一対のピン抑部が左右対称に設けられ、さらに中心付近に根幹の長手方向に対する直交方向に伸びる中央連結用部材が設けられている構造からなる帆立貝掛止具、にある。
本発明の第2の特徴点は、前記特徴点1に記載の帆立貝掛止具が、さらに根幹の抜け防止部とピン抑部の間の位置に根幹の長手方向に対して直角方向に伸びる側連結用部材の突起を有する構造からなる帆立貝掛止具、にある。
本発明の第3の特徴点は、前記特徴点1の帆立貝掛止具が、中央連結用部材の先端部の結合点およびピン抑部の少なくとも一方の先端部の結合点の少なくともに二点において結合した、並列的に一定の間隔を持って並んで隣接する複数の帆立貝掛止具が連続的に多数順次帯状に連結してなることを特徴とする並列状連結帆立貝掛止具、にある。
本発明の第4の特徴点は、前記特徴点1の帆立貝掛止具が、中央連結用部材の先端部の結合点と、ピン抑部の先端部の結合点の二点において結合していることを特徴とする並列状連結帆立貝掛止具、にある。
本発明の第5の特徴点は、前記特徴点に記載の帆立貝掛止具が、ピン抑部突起の先端部の結合点、中央連結用部材の先端部の結合点および側連結用部材の先端部の結合点の少なくとも点において、並列的に一定の間隔を持って並んで隣接する帆立貝掛止具が連続的に多数順次帯状に連結してなることを特徴とする並列状連結帆立貝掛止具、にある。
本発明の第6の特徴点は、中央連結用部材の先端部および側連結用部材の二点において連結してなることを特徴とする前記特徴点5に記載の並列状連結帆立貝掛止具、にある。
本発明の第7の特徴点は、並列状連結帆立貝掛止具が、帯状態、ロール状に巻かれた状態、又はボビンに巻かれた状態であることを特徴とする前記特徴点3〜6のいずれかに記載の並列状連結帆立貝掛止具、にある。
本発明の第8の特徴点は、並列状連結帆立貝掛止具が、可撓性のプラスチック材料から成形されてなることを特徴とする前記特徴点1〜7のいずれかに記載の帆立貝掛止具または並列状連結帆立貝掛止具、にある。
本願発明は、プラスチックなどから製造される、養殖用並列状連結帆立貝掛止具は、帯状でも変形、歪み、破損などが無く安定であり、しかもロール巻き取り、ボビン巻取りが安定にできるために、輸送、保管、取り扱い性が容易である。しかも帆立貝掛止具を母線に簡単に、しかも容易に挿通できるとともに、極めて安定に母線へ固定ができる。また、ほたて稚貝の穿孔部6に挿通することが簡単にできる。連結帆立貝掛止具の構造および設計は、無駄な材料の消費を抑えて、ピン抑え部と連結用部材の残留突起は、連結の為の役割ばかりでなく帆立貝掛止具の母線からのずれを防止するというような多機能の役割を果たす。結果的には帆立貝の離脱も防止するという歩留まりの高いコスト的にも優れた作用効果が期待できる。
本発明の並列状連結帆立貝掛止具は、ピン抑制部が連結部材を兼ねるという構造であるが故に、比較的簡単な構造設計ができるために、成形上に不良品リスクが非常に少ないという利点も有する。
従来の海水中で帆立貝掛止具を帆立貝の耳部に穿孔した孔部に挿通して使用する模式図である。 従来型の多数の並列に並ぶ帆立貝掛止具を平行な二本の連結用部材によりつないだ連結帆立貝掛止具の模式図。 従来型の連結帆立貝掛止具を、一つ切り取った帆立貝掛止具の単体を示す模式図 本発明の並列状連結帆立貝掛止具を切り取った手刺用の単品として用いる帆立貝掛止具の図である。 連結帆立貝掛止具が、ピン抑えの片方とピン抑え中央部の中央連結用部材により、連結されている模式図である。 本発明の連結帆立貝掛止具を連結の状態を示す要部の部分拡大図である。 本発明の帆立貝掛止具を切断し、帆立貝の耳部に穿孔した孔部に挿通して海水中で養殖に使用する模式図である。 並列状連結帆立貝掛止具がピン抑えの中央部分の中央連結用部材と、ピン抑え部と抜け防止部のほぼ中間にある側連結用部材を有する帆立貝掛止具の模式図である。 連結帆立貝掛止具が、ピン抑えの片方とピン抑え中央部の中央連結用部材および側連結用部材により連結されている連結帆立貝掛止具の模式図である。 並列状連結帆立貝掛止具を切り取った手刺用の単品として用いる帆立貝掛止具の図である。 本発明の別態様の並列状連結帆立貝掛止具を切断し、帆立貝の耳部に穿孔した孔部に挿通して海水中で養殖に使用する模式図である。
本発明の実施の形態として、図4を参考にして詳細に説明をすれば、根幹7の長手方向の両端部に一対の帆立貝の抜け防止部5、5が設けられており、根幹の中心付近を起点にしてロープ、縄、紐のような母線を挟む十分な間隔を持った突起状の先端部が中心側に傾斜した形状の一対のピン抑部8,8が左右対称に設けられ、さらに中心付近に根幹の長手方向に対する直交方向に伸びる中央連結用部材9が設けられている構造からなる帆立貝掛止具の単品である。
この並列的に一定の間隔を持って並んで隣接する複数の帆立貝掛止具が連続的に多数順次帯状に連結してなる並列状連結帆立貝掛止具を、図5を参照しながら説明をすれば、根幹7の長手方向の両先端部に対称に一対の貝の抜け防止部5を有し、その根幹の中心付近を起点として、ほぼ対称に中心方向に若干傾いた突起片のような母線を挟む十分な間隔を持った母線止めの役割を果たすピン抑え部8を設けるとともに、根幹7の長手方向のほぼ中央部に、根幹7の長手方向に直交する方向に、隣接する別の帆立貝掛止具と連続的につながる中央連結用部材9の先端部の結合点9’と、ロープ、縄止めの役割も果たす突起のようなピン抑え部8の先端部の結合点8’を、例えば1〜12mm、好ましくは2〜6mm程度の一体の間隔を持って並列的に隣接するように帯状に並べられた別の帆立貝掛止具と順次連結した構造にすることを特徴とする、帆立貝掛止具が連続的に多数並列に帯状に結合点において結合した並列状連結帆立貝掛止具となっている。この帆立貝掛止具の連結状態は、例えば図5などに見られるような、帆立貝掛止具の抜け防止部5のほぼ中間に根幹7とほぼ直角方向延びる、左右対称に連結用線、幹、ストランドのような複数の中央連結用部材9の先端部の結合点9’で結合した状態になっている。並列状連結帆立貝掛止具の連結数は、供給する養殖現場の事情にもよるが、30〜50個程度の少量から、100〜300個程度、場合によっては1000〜3000個程度と、状況を考慮して任意に決めることができる。
本発明の並列状連結帆立貝掛止具から切り離した図4の帆立貝掛止具の単品の詳細な構造および機能は、その根幹7の長手方向の両先端部に、アゲ部、T字、のような各種の構造をした貝の抜け防止部5を設けた構造を有し、しかも根幹7の中央部付近を起点にして、左右対称にロープ、縄、紐のような母線に掛止した場合の大きなずれの動き、偏りを防止することができるような、母線止めをすることができる程度十分な間隔を有するように、一対のピン抑部8を対称に有しており、しかも、養殖用貝耳吊用の帆立貝掛止具は、ロープ、縄、紐のような母線1の中心付近を容易に挿通できるようになっている。ほたて帆立貝掛止具の、貝の取り付け部分を構成する根幹7の端部に設けられている、抜け防止部5は、通常は各種形状の舌片状アゲ部、二重アゲ部のような各種構造の先端部になっており、例えば、根幹7と同じ軸方向の切れ目を設けて、先端部分が切れ目を境界にして上下または左右にずれた二つの細長片からなる構造のもの、或いは、切れ目のない単なる舌片上のもの、T字状のものなど、帆立貝の抜け落ちを防止する為に任意に工夫した構造のものを使用することにより、養殖用の稚貝の離脱を大幅に防ぐことができる。
並列状連結帆立貝掛止具から切り離した帆立貝掛止具の単品の詳細な構造および機能をさらに詳細に説明をすれば、ロープ、縄、紐のような母線1に挿入する為に、ピン抑部8は、図6に見るとおり、抜け防止部5の先端部がテーパー状になっていると同様に、根幹7の中心部に若干傾斜した突起片のような構造になっている。このピン抑部8の傾斜角θは、通常20〜80°程度あれば十分である。母線へ挿入する場合に、容易に傾斜して簡単に挿入できるが、逆からの動きを止めるにおいて有利に働く。帆立貝掛止具を母線1へ挿入する場合には、若干中心部側へ倒れる程度の強度を有することが推奨される。この傾斜角θは、根幹7が母線1からスライドによる大幅にずれや偏り、抜け落ちることを防ぐとともに、一対のピン抑部8の間隔が母線1の直径よりやや広いので、根幹7のスライドによる若干の遊びが、母線1のゆれが、直接養殖用帆立貝の稚貝に伝わる力を緩和する作用をすることも有り得るばかりでなく、また、このピン抑部の突起片およびその傾斜角は必要以上に根幹7が母線1から移動することを確実に止めることにおいて有利な構造と作用を有する。
本発明の並列状連結帆立貝掛止具の一つを切り離した単品の構造に起因した機能を詳細に説明をすれば、根幹7のほぼ中心部には、切り離した場合に残る、連結用部材9の残留突起9’が残る。この残留突起9’が、本発明の帆立貝掛止具を母線1に取り付けた場合に、この残留突起9’が母線1に埋め込まれたり、絡んだりして、或いは接触して、帆立貝掛止具の母線1に対する回転運動、揺動を抑制する機能を果たすことになり、養殖における、帆立貝の脱落を防止するという有意な機能を果たす。
さらに並列状連結帆立貝掛止具においては、それを構成する帆立貝掛止具は、隣接する別の帆立貝掛止具とが、ピン押さえ部5の先端部分8’において、結合している。その先端部分8’は、切り離しを容易にするために図6に見られるように若干、やや細めに加工することも有り得る。このような加工は、帆立貝掛止具の単品の切り離しの容易性による作業効率の向上、および切り離しの際の力が、帆立貝掛止具の歪みや、並列連結帆立貝掛止具の他の部分に不必要な力が加わることを防ぐことになる。
本発明の並列状連結帆立貝掛止具を構成する帆立貝掛止具と隣接する帆立貝掛止具とが、突起片のピン抑部8が、母線止めの役割と連結用部材の役割を兼ねるという構造は、根幹7への不必要な連結用部材の切り残し残渣が無いという点で非常に有意な構造である。また、帆立貝掛止具として切り離しをした場合に、成形材料の若干の消耗や損失も防ぐことになり、省資源としての評価もできる。このような構造は、成形性の容易性や、多数取り成形において、複雑で無用な構造成形を省略しているので、不良品の発生を防止するという点で、成形上のリスクを回避するという点でも有利であることが挙げられ。
さらに、並列状連結帆立貝掛止具を、斜め状突起であるピン抑部8で連結するということは、帆立貝掛止具の切り離しに於いて、根幹7の平行方向に力を加えると容易に分離することができる。これは、並列状連結帆立貝掛止具の単品を切り離す場合に、歪みなどを少なくすることができる。
根幹7の中央部を連結用部材9と、ピン抑部8という、少なくとも二点で連結するということは、歪、湾曲、破損などを防ぎ、並列状連結帆立貝掛止具の形状も変形させるような力が加わることを防止することが可能である。さらに、並列状連結帆立貝掛止具を輸送、保管、ロープ取り付けなどの取り扱いにおいても、ロール巻き、又はボビンに巻き取る場合の形状安定に極めて有利である。必要な場合には、並列状連結帆立貝掛止具の必要な箇所を連結用部材でさらに連結することも可能である。
帆立貝掛止具の、貝の取り付け部分を構成する根幹7両端部に対称に設けられている、抜け防止部5は、通常は舌片状アゲ部分、二重アゲ部分、各種設計変更した構造の先端部になっており、根幹7と同じ軸方向の切れ目を設けて、先端部分が切れ目を境界にして上下または左右にずれた二重の細長片からなる構造のもの、或いは、切れ目のない単なる舌片上のもの、T字状のものなど、帆立貝の抜け落ちを防止する為に任意に工夫した構造のものを使用することにより、養殖用帆立貝掛止具とすることにより稚貝の離脱を大幅に防ぐことができるという技術課題を解決している。
この図4の帆立貝掛止具を図5の並列状連結帆立貝掛止具から切り離して、帆立貝の耳部に穿孔した孔部に挿通して海水中で養殖に使用する模式図が図7である。
さらに本発明の別態様を図8に基づいて説明をすれば、根幹7の長手方向の両端部に一対の帆立貝の抜け防止部5,5が設けられており、根幹の中心付近には母線を挟む十分な間隔を持った、突起状の先端部が中心側に傾斜した形状の一対のピン抑部8,8が左右対称に設けられ、根幹の中心付近には、根幹の長手方向に対して垂直方向に伸びる中央連結用部材9の突起を有し、さらに根幹7の抜け防止部5とピン抑部8の間の位置に根幹の長手方向に対して直角方向に伸びる側連結用部材10の突起を有する構造の帆立貝掛止具である。
この帆立貝掛止具の単品が、並列的に一定の間隔を持って並んで隣接する複数の帆立貝掛止具として連続的に多数順次帯状に連結することにより並列状連結帆立貝掛止具が形成される。これは、取り扱いに非常に安定な構造であり、貝の母線1側への不用意な移動を阻止することもできる役割を果たす。通用の連結部材9、10などは、邪魔な存在として取り除くのが普通であるが、本発明においては、それを貝の養殖に有利に利用するという発想に基づくものである。連結接合点は、中央連結用部材の突起先端部、ピン抑え部の突起先端部及び側連結用部材の突起先端部の二点、または三点で接合することが好ましく、これは設計事項の範囲内である。
この帆立貝掛止具を並列状連結帆立貝掛止具から切り離して、帆立貝の耳部に穿孔した孔部に挿通して海水中で養殖に使用する模式図が図10である。
本発明の並列状連結帆立貝掛止具を構成する帆立貝掛止具の単品の材料およびその構造の概要について、図面を参照にしながら詳細に説明すると以下のとおりである。
本発明の並列状連結帆立貝掛止具の全体の構造および使用態様は、図4、図8に示すような構造を取り得る。並列状連結帆立貝掛止具を構成する帆立貝掛止具の間隔は、普通には、2〜8mm程度あればよい。連結帆立貝掛止具の大きさは、ほたて貝の大きさ、海水の状況により任意に決め得るが、普通帆立貝掛止具の根幹7の長さは、最高20cm程度のものまで任意に設計できる。しかし、稚貝の大きさを考慮すれば、長さが5〜10cm程度のものが一般サイズとして推奨され得るが、好適には、長さが約7〜8cm程度の長さのものが実用的な標準サイズとして普及サイズとすることもできる。この帆立貝掛止具は、根幹7の左右対象に舌片状アゲ部分からなる抜け防止部5を設けた典型的なものであるが、勿論、根幹7の一端部だけに舌片状アゲ部2を設けた片側構造のものも一応考えられるが、これは設計変更の範囲内のものである。
根幹7の直径は、0.5〜8mm程度のものが一般的に用いられる可能な範囲であるが、普及サイズとしては、約1.2mm、1.5mm、1.8mm、2mm、3mmなどの大きさのものが実用的である。根幹は均一な太さの棒状のものでも良いが、一般には根幹7の長さ方向の中央部分が比較的太く、両端部にいくにしたがって細くなる傾向のものが使用される。この連結帆立貝掛止具8の太さ、大きさというようなサイズは、最終的には、海水の状態なども考慮して、ほたて貝の養殖環境に応じて、養殖業者の需要に応じて決めるようなことであるが、一応、大量に供給する標準サイズの例である。根幹7の断面は、円形、直方形、長方形、だ円形といった種々の形態を取りうる、稚貝を取り付ける場合の力学的な構造を考慮して、任意に、取り得るが、通常は円形、楕円形、というような略長方形の断面構造をとることも可能である。
本発明の並列状連結帆立貝掛止具の単品の帆立貝掛止具の構造の詳細は、前記のように根幹7の片面又は両末端は、細紐、縄、ロープのような母線に容易に差し込めるように、円錐形や丸型のような、根幹7の中心部の直径よりやや細い直径の鋭利な末端構造になっていることが推奨される。この鋭利な末端構造は、稚貝の耳部に穿孔した孔部4に対して挿通が容易になり、稚貝の取り付け作業の能率を上げるために寄与する。その根幹7の端部から、テーパー状を経て、中心部側に少し寄った箇所に、舌片状、アゲ部のような抜け防止部5が設けられている。この舌片状アゲ部の先端部に根幹7と同じ軸方向の切れ目を設けて、先端部分が切れ目を境界にして上下または左右にずれた二つの細長片からなる構造のものを取り付けることも可能である。さらに、帆立貝掛止具の中心部には、帆立貝掛止具を取り付ける母線の間隔に対の滑り止め突起のようなピン抑部(母線掛止部)8が設けられている。
なお、本発明の舌片状アゲ部分のような抜け防止部5の構造を取り付けた帆立貝掛止具は、根幹7という棒状形態の例についてだけ述べたが、このような棒状形態の帆立貝掛止具だけに採用するという限定的に解釈されるものではない。
並列状連結帆立貝掛止具の材料は、金属、プラスチック、木材など、多くの材料が用いられるが、一般には、プラスチックが最も適している。プラスチック材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリアミド、などの各種汎用のプラスチック材料が強度、耐久性、耐水性、再処理性、無毒性、価格などの事情を考慮して使用される。特にエンジニアプラスチックの範ちゅうに属する材料であれば任意に使用できるので、これらの例示のプラスチック材料に限定されるものではない。特に耐久性、成形性、価格などの面を総合的にみれば、ナイロンのようなポリアミド樹脂が適している。これは普通にナイロン6、66、11、12、46、610という商品名で容易に入手できる材料である。ナイロン11、12などは吸水性が小さく幹棒に適している。
本発明の耳吊用の並列状連結帆立貝掛止具の成形方法は、プラスチック材料の幹棒を、切削、溶着のような二次加工により容易に製造することができる。しかし、本件発明の並列状連結帆立貝掛止具は一時期に多量に使用されることもありうるという事情からすれば、実用的には、本発明の根幹7の末端部に特殊な舌片状アゲ部分のような抜け防止部5を有する帆立貝掛止具を一度に多数個成形する、いわゆる多数個取り金型を作り、多数の帆立貝掛止具が連結した連結帆立貝掛止具の製品を、一度に多量に射出成形することが理想的な製造方法である。このように、並列状連結帆立貝掛止具が多数連結した構造の製品を作ることは、その後母線取り付けピンセッターを使用して、容易に取り付けるために有益である。射出成形された帯状の並列状連結帆立貝掛止具を、熱処理、アニーリング、塗布、塗装等の後処理により、製品の耐海水性、強度および品質を上げることは任意に採用することである。
以下、本発明の有効性に関する評価を、実施例を挙げて説明をするが、本発明はこの態様に限定されるものではない。
(並列状連結帆立貝掛止具の成形)
本発明のほたて貝耳吊用並列状連結帆立貝掛止具2を、樹脂材料として、ナイロン11を用いて、図4に見るように末端構造を成形できる多数個取り金型を備えた射出成形により、並列状連結帆立貝掛止具の多数が一体に連結した状態のユニットを、一度に多数個成形をした。
その並列状連結帆立貝掛止具の形状は、先行技術にみられるような種々の形態のものを採り得るが、本発明の実施例では、最も典型的な帆立貝掛止具として、図6に示す幹棒型であり、幹棒1の長さ7cm、太さ約1.5mmのものを選び、その両端部に本発明の舌片状アゲ部の構造をした抜け防止部5を対で有し、中央部に母線に取り付ける対のずれ又は滑り止め突起のようなピン抑部8を有するものが成形できた。
(並列状連結帆立貝掛止具の保形試験)
長さ1m程度の帯状の並列状連結帆立貝掛止具を10回程度巻取り、まき戻しを繰り返しても、並列状連結帆立貝掛止具には、破損、離脱、変形、歪みがなく、安定した形状を保持しており、輸送、保管、養殖現場の取り扱いに耐えうる構造であることを確認した。
(水中揺動試験)
直径7mm程度のロープに、根幹7の中央部に連結用部材9の突起状残渣が残る本発明の帆立貝掛止具を、10個を12cm間隔で、突起残渣がロープ中に埋め込まれるように取り付けた。比較の為、根幹7の中央部に突起状残渣の無いもの10個を12cm間隔で取り付けたものとを、水中に並べ、約24時間不規則な運動を与えた。
これにより、本発明の帆立貝掛止具2は、9個ほど大きなずれ、偏り、或いは回転が無いことを確認することができた。一方、中央部に突起残渣がないものは、偏りが4個と若干多く、しかも、帆立貝の耳の突起物に接触して、抜け防止部5が根幹7に密着し、帆立貝掛止具より帆立貝が1カ落下したのを発見した。この試験の結果、帆立貝掛止具の回転が貝の離脱に影響することが予測される。
帆立貝養殖現場において、経済的に安価に帆立貝掛止具を提供することにより、帆立貝掛止具の取り付けおよび貝の取り付けが容易にできるとともに、しかも安定に取り付けができるために、貝の離脱が少ないということも貢献して、養殖産業の進展に寄与するものである。
1 ロープ、縄、紐のような母線
2 並列状連結帆立貝掛止具
3 帆立貝
4 帆立貝の耳孔
5 抜け防止部
6 貝の突起形状部
7 帆立貝掛止具の根幹
8 ピン抑部
8’ ピン抑部の結合部
9 中央連結用部材
9’ 連結用部材の結合部
10 側連結用部材。
特開昭56−102744号公報 特開平4−71436号公報 特開2006−129754号公報 特開2006−280312号公報

Claims (8)

  1. 根幹の長手方向の両端部に一対の帆立貝の抜け防止部が設けられており、根幹の中心付近を起点にして母線を挟む十分な間隔を持った突起状の先端部が中心側に傾斜した形状の一対のピン抑部が左右対称に設けられ、さらに中心付近に根幹の長手方向に対する直交方向に伸びる中央連結用部材が設けられている構造からなる帆立貝掛止具。
  2. 請求項1に記載の帆立貝掛止具が、さらに根幹の抜け防止部とピン抑部の間の位置に根幹の長手方向に対して直角方向に伸びる側連結用部材の突起を有する構造からなる帆立貝掛止具。
  3. 請求項1に記載の帆立貝掛止具が、中央連結用部材の先端部の結合点およびピン抑部の少なくとも一方の先端部の結合点の少なくともに二点において結合した、並列的に一定の間隔を持って並んで隣接する複数の帆立貝掛止具が連続的に多数順次帯状に連結してなることを特徴とする並列状連結帆立貝掛止具。
  4. 請求項1に記載の帆立貝掛止具が、中央連結用部材の先端部の結合点と、ピン抑部の先端部の結合点の二点において結合していることを特徴とする並列状連結帆立貝掛止具。
  5. 求項に記載の帆立貝掛止具が、ピン抑部突起の先端部の結合点、中央連結用部材の先端部の結合点および側連結用部材の先端部の結合点の少なくとも点において、並列的に一定の間隔を持って並んで隣接する帆立貝掛止具が連続的に多数順次帯状に連結してなることを特徴とする並列状連結帆立貝掛止具。
  6. 央連結用部材の先端部および側連結用部材の二点において連結してなることを特徴とする請求項5に記載の並列状連結帆立貝掛止具。
  7. 並列状連結帆立貝掛止具が、帯状態、ロール状に巻かれた状態、又はボビンに巻かれた状態であることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の並列状連結帆立貝掛止具。
  8. 立貝掛止具が、可撓性のプラスチック材料から成形されてなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の帆立貝掛止具または並列状連結帆立貝掛止具。
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