JP5537054B2 - 養殖用帆立貝掛止具 - Google Patents
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Description
また、母線に係止された、先端部に塊状掛止部を有する合成樹脂製細線を、ほたて稚貝の耳部に穿孔した小孔に挿通して、ほたて貝の脱離を防止することも公知である(例えば、特許文献2参照)。
しかし、海水の揺動や、貝の成長、あるいは、海中という特殊な環境下における材料の疲労、というような予期せぬ現象が加わり、長期間ほたて貝耳吊用掛止具を使用すると、特に抜け防止部5に対して海水中の貝の揺動により帆立貝の耳部の突起形状部6に接触しながら回転運動の力が加わり、抜け防止部5にクリープ現象が発生し、抜け防止部5が掛止具の根幹7に密着することによる、帆立貝が掛止具から離脱する現象が見られる。
この養殖用帆立貝掛止具の生産および流通方法の面から考察すれば、合理的な生産方法は、通常は多数個取りの金型を使用して連続的に大量に製造することになり、しかもまとめて沢山の帆立貝掛止具を養殖現場に供給するための保管および輸送の利便性、さらには、切断差込機へのセットの利便性の点から、図2に見るとおり、多数の養殖用帆立貝掛止具が、並列的に多数並べられた連結状態のもので、ロール巻きまたはボビンに巻き取った状態で取り扱われているのが実情である。
本発明の第1の特徴点は、根幹の長手方向の両端部に一対の帆立貝の抜け防止部が設けられており、根幹の中心付近を起点にして母線を挟む十分な間隔を持った突起状の先端部が中心側に傾斜した形状の一対のピン抑部が左右対称に設けられ、さらに中心付近に根幹の長手方向に対する直交方向に伸びる中央連結用部材が設けられている構造からなる帆立貝掛止具、にある。
本発明の第2の特徴点は、前記特徴点1に記載の帆立貝掛止具が、さらに根幹の抜け防止部とピン抑部の間の位置に根幹の長手方向に対して直角方向に伸びる側連結用部材の突起を有する構造からなる帆立貝掛止具、にある。
本発明の第3の特徴点は、前記特徴点1の帆立貝掛止具が、中央連結用部材の先端部の結合点およびピン抑部の少なくとも一方の先端部の結合点の少なくともに二点において結合した、並列的に一定の間隔を持って並んで隣接する複数の帆立貝掛止具が連続的に多数順次帯状に連結してなることを特徴とする並列状連結帆立貝掛止具、にある。
本発明の第6の特徴点は、中央連結用部材の先端部および側連結用部材の二点において連結してなることを特徴とする前記特徴点5に記載の並列状連結帆立貝掛止具、にある。
本発明の第8の特徴点は、並列状連結帆立貝掛止具が、可撓性のプラスチック材料から成形されてなることを特徴とする前記特徴点1〜7のいずれかに記載の帆立貝掛止具または並列状連結帆立貝掛止具、にある。
本発明の並列状連結帆立貝掛止具は、ピン抑制部が連結部材を兼ねるという構造であるが故に、比較的簡単な構造設計ができるために、成形上に不良品リスクが非常に少ないという利点も有する。
さらに並列状連結帆立貝掛止具においては、それを構成する帆立貝掛止具は、隣接する別の帆立貝掛止具とが、ピン押さえ部5の先端部分8’において、結合している。その先端部分8’は、切り離しを容易にするために図6に見られるように若干、やや細めに加工することも有り得る。このような加工は、帆立貝掛止具の単品の切り離しの容易性による作業効率の向上、および切り離しの際の力が、帆立貝掛止具の歪みや、並列連結帆立貝掛止具の他の部分に不必要な力が加わることを防ぐことになる。
根幹7の中央部を連結用部材9と、ピン抑部8という、少なくとも二点で連結するということは、歪、湾曲、破損などを防ぎ、並列状連結帆立貝掛止具の形状も変形させるような力が加わることを防止することが可能である。さらに、並列状連結帆立貝掛止具を輸送、保管、ロープ取り付けなどの取り扱いにおいても、ロール巻き、又はボビンに巻き取る場合の形状安定に極めて有利である。必要な場合には、並列状連結帆立貝掛止具の必要な箇所を連結用部材でさらに連結することも可能である。
この図4の帆立貝掛止具を図5の並列状連結帆立貝掛止具から切り離して、帆立貝の耳部に穿孔した孔部に挿通して海水中で養殖に使用する模式図が図7である。
この帆立貝掛止具を並列状連結帆立貝掛止具から切り離して、帆立貝の耳部に穿孔した孔部に挿通して海水中で養殖に使用する模式図が図10である。
本発明の並列状連結帆立貝掛止具の全体の構造および使用態様は、図4、図8に示すような構造を取り得る。並列状連結帆立貝掛止具を構成する帆立貝掛止具の間隔は、普通には、2〜8mm程度あればよい。連結帆立貝掛止具の大きさは、ほたて貝の大きさ、海水の状況により任意に決め得るが、普通帆立貝掛止具の根幹7の長さは、最高20cm程度のものまで任意に設計できる。しかし、稚貝の大きさを考慮すれば、長さが5〜10cm程度のものが一般サイズとして推奨され得るが、好適には、長さが約7〜8cm程度の長さのものが実用的な標準サイズとして普及サイズとすることもできる。この帆立貝掛止具は、根幹7の左右対象に舌片状アゲ部分からなる抜け防止部5を設けた典型的なものであるが、勿論、根幹7の一端部だけに舌片状アゲ部2を設けた片側構造のものも一応考えられるが、これは設計変更の範囲内のものである。
なお、本発明の舌片状アゲ部分のような抜け防止部5の構造を取り付けた帆立貝掛止具は、根幹7という棒状形態の例についてだけ述べたが、このような棒状形態の帆立貝掛止具だけに採用するという限定的に解釈されるものではない。
本発明のほたて貝耳吊用並列状連結帆立貝掛止具2を、樹脂材料として、ナイロン11を用いて、図4に見るように末端構造を成形できる多数個取り金型を備えた射出成形により、並列状連結帆立貝掛止具の多数が一体に連結した状態のユニットを、一度に多数個成形をした。
その並列状連結帆立貝掛止具の形状は、先行技術にみられるような種々の形態のものを採り得るが、本発明の実施例では、最も典型的な帆立貝掛止具として、図6に示す幹棒型であり、幹棒1の長さ7cm、太さ約1.5mmのものを選び、その両端部に本発明の舌片状アゲ部の構造をした抜け防止部5を対で有し、中央部に母線に取り付ける対のずれ又は滑り止め突起のようなピン抑部8を有するものが成形できた。
長さ1m程度の帯状の並列状連結帆立貝掛止具を10回程度巻取り、まき戻しを繰り返しても、並列状連結帆立貝掛止具には、破損、離脱、変形、歪みがなく、安定した形状を保持しており、輸送、保管、養殖現場の取り扱いに耐えうる構造であることを確認した。
直径7mm程度のロープに、根幹7の中央部に連結用部材9の突起状残渣が残る本発明の帆立貝掛止具を、10個を12cm間隔で、突起残渣がロープ中に埋め込まれるように取り付けた。比較の為、根幹7の中央部に突起状残渣の無いもの10個を12cm間隔で取り付けたものとを、水中に並べ、約24時間不規則な運動を与えた。
これにより、本発明の帆立貝掛止具2は、9個ほど大きなずれ、偏り、或いは回転が無いことを確認することができた。一方、中央部に突起残渣がないものは、偏りが4個と若干多く、しかも、帆立貝の耳の突起物に接触して、抜け防止部5が根幹7に密着し、帆立貝掛止具より帆立貝が1カ落下したのを発見した。この試験の結果、帆立貝掛止具の回転が貝の離脱に影響することが予測される。
2 並列状連結帆立貝掛止具
3 帆立貝
4 帆立貝の耳孔
5 抜け防止部
6 貝の突起形状部
7 帆立貝掛止具の根幹
8 ピン抑部
8’ ピン抑部の結合部
9 中央連結用部材
9’ 連結用部材の結合部
10 側連結用部材。
Claims (8)
- 根幹の長手方向の両端部に一対の帆立貝の抜け防止部が設けられており、根幹の中心付近を起点にして母線を挟む十分な間隔を持った突起状の先端部が中心側に傾斜した形状の一対のピン抑部が左右対称に設けられ、さらに中心付近に根幹の長手方向に対する直交方向に伸びる中央連結用部材が設けられている構造からなる帆立貝掛止具。
- 請求項1に記載の帆立貝掛止具が、さらに根幹の抜け防止部とピン抑部の間の位置に根幹の長手方向に対して直角方向に伸びる側連結用部材の突起を有する構造からなる帆立貝掛止具。
- 請求項1に記載の帆立貝掛止具が、中央連結用部材の先端部の結合点およびピン抑部の少なくとも一方の先端部の結合点の少なくともに二点において結合した、並列的に一定の間隔を持って並んで隣接する複数の帆立貝掛止具が連続的に多数順次帯状に連結してなることを特徴とする並列状連結帆立貝掛止具。
- 請求項1に記載の帆立貝掛止具が、中央連結用部材の先端部の結合点と、ピン抑部の先端部の結合点の二点において結合していることを特徴とする並列状連結帆立貝掛止具。
- 請求項2に記載の帆立貝掛止具が、ピン抑部突起の先端部の結合点、中央連結用部材の先端部の結合点および側連結用部材の先端部の結合点の少なくとも二点において、並列的に一定の間隔を持って並んで隣接する帆立貝掛止具が連続的に多数順次帯状に連結してなることを特徴とする並列状連結帆立貝掛止具。
- 中央連結用部材の先端部および側連結用部材の二点において連結してなることを特徴とする請求項5に記載の並列状連結帆立貝掛止具。
- 並列状連結帆立貝掛止具が、帯状態、ロール状に巻かれた状態、又はボビンに巻かれた状態であることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の並列状連結帆立貝掛止具。
- 帆立貝掛止具が、可撓性のプラスチック材料から成形されてなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の帆立貝掛止具または並列状連結帆立貝掛止具。
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