JP3220051U - 連結貝係止具 - Google Patents

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俊彦 三浦
雅俊 三浦
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Abstract

【課題】構造および成形において省資源、省力化ができ、輸送、保管、養殖現場の取り扱いにおいて、変形、破損、歪みが無く、しかも、母線へ左右対称に安定に容易に取り付けができ、かつ稚貝の脱離が非常に少ない帆立貝係止具を提供する。
【解決手段】帆立貝係止具は、根幹2の長手方向の両端に貝挿入用先端部5、5が形成され、先端部より中心側に一対の係止部を構成する係止片を有し、係止片の先端付近の根幹側には肉薄の狭窄部が形成された貝の係止部が設けられ、根幹の中心付近を起点にして母線を挟むに十分な間隔をもって突起状の先端部が中心側に互いに傾斜した一対のロープ止め突起1、1’が左右対称に設けられた貝係止具単体を備える。又はロープ止め突起の先端が隣接する他の貝係止具単体の根幹と順次連結することにより構成されるロール状に任意に旋回可能な帯状の並列状連結貝係止具を備える。
【選択図】図1−1

Description

本考案は、帆立貝の養殖に用いる、ロール巻き、ボビン巻き、切り離し、養殖用ロープ取り付けが容易で、しかもロープのような母線に安定に取り付けることができる為に、係止具のアグの先端部を工夫することによる、稚貝が係止具から離脱することが比較的少ない構造の帆立貝係止具およびその帆立貝係止具が連続的に多数順次帯状に連結した並列状連結貝係止具またはその単品に関する。
帆立貝養殖方法には、稚貝の耳部に穴をあけ、これにテグスを通してロープに結んで海中に吊り下げで養殖するループ方式と、合成樹脂によって一体に連続成形された連続貝係止具を自動ピンセッターで1本毎に切り離し、これをロープに刺通して稚貝の耳部に穴をあけ、これにピンを通して海中に吊り下げて養殖するピン吊方式のような垂下方式の養殖が、代表的な方法として採用されている。
それ以外にも、係止具としては、弾性針金を加工して、貝を吊り下げるような構造にすることは公知である(例えば、特許文献1参照)。また、母線に係止された、先端部に塊状掛止部を有する合成樹脂製細線を、ほたて稚貝の耳部に穿孔した小孔に挿通して、ほたて貝の脱離を防止することも公知である(例えば、特許文献2参照)。
このように、帆立貝を養殖する場合において、貝係止具をロープへ一定間隔で貫通させておき、一方で帆立貝の耳部に穴をあけ、この穴に貝係止具の根幹を挿通させた状態で、帆立貝を海中に吊り下げて養殖する方法が採用されている。
現在、帆立貝は養殖によるものが多く、そのほたて貝の養殖の垂下方式に供する帆立貝係止具の単品の構造は、根幹の両端部に対称に抜け防止部および略中心寄りにピン抑え部がほぼ対称に設けられている構造のものである。これを、細ひも又はロープのような母線1に、ほたて貝耳吊用貝係止具を略等間隔にとりつけ、その貝係止具にほたて貝の稚貝を対象に取り付けるのが一般的である。詳細には、ほたて稚貝の耳部に穿孔による孔部を設けて、その孔部に係止具の根幹の両末端にアグまたはかえし構造の抜け防止部を、その根幹の軸方向に一致するように稚貝の孔部に挿通すると、抜け防止部のアグまたはかえし部の毛羽たちにより、稚貝が容易に離脱しないような構造になっている。
しかし、海水の揺動や、貝の成長、あるいは、海中という特殊な環境下における材料の疲労、というような予期せぬ現象が加わり、長期間ほたて貝耳吊用帆立貝係止具を使用すると、特に抜け防止部に対して海水中の貝の揺動により帆立貝の耳部の突起形状部に接触しながら回転運動の力が加わり、抜け防止部にクリープ現象が発生し、抜け防止部が貝係止具の根幹に密着することによる、帆立貝が貝係止具から離脱する現象が見られる。
この養殖用連結貝係止具の利便性、生産および流通方法の面から考察すれば、合理的な生産方法は、通常は多数個取りの金型を使用して連続的に大量に製造することになり、しかもまとめて沢山の帆立貝係止具を養殖現場に供給するための保管および輸送の利便性、さらには、切断差込機へのセットの利便性の点から、図3に見るとおり、多数の養殖用帆立貝係止具が、並列的に多数並べられた連結状態のもので、ロール巻きまたはボビンに巻き取った状態の並列状連結帆立貝係止具の連結構造で取り扱われているのが実情である
また、この帆立貝係止具の単品の大部分は、その基本構造が細長の根幹により構成されており、通常その大きさや形状から便宜上業界では「ピン(pin)」とも呼称されている。
このピンをロープ自動取り付け装置に供する為の便利さや、巻き取り輪状態による保管、輸送、取り扱いの便利の為に、帆立貝係止具の単品を多数並列状に並べた、いわゆる並列状連結帆立貝係止具の形態で流通または取り扱われている。技術用語として通常は、帯状、輪状の形態を含めて総称して、当該業界では、並列状連結帆立貝係止具を通称「フープピン(hoop pin)」と呼称する場合もある。この貝係止具であるピンの手刺機を利用している場合もあるが、近年これを自動挿入する自動刺機が主流となっている。そうすると、この並列状連結係止具のこの連結構造が、ロープにスムーズに挿入することができる作業性、ロープ取り付け後のピンの安定性、稚貝の取り付け後の離脱問題、および成形性などの多面的の更なる対策を検討する必要がある。
このために、貝係止具単品の構造の視点からの対策、および並列状連結貝係止具(フープピン)の連結構造の視点からの対策が重要になっている。貝係止具単品の対策としては、この養殖帆立貝係止具からの離脱を防止するために、専ら抜け防止部5の構造や形状を改良および工夫することは知られており、特に貝止め突起に幅狭部、肉薄部を設けることや、オウ溝部を設けることが提案されている(特許文献11、特許文献12、特許文献13)。
しかし抜け防止部の改良だけでは、離脱を完全に防止することが期待できなく、さらなる工夫が求められる。貝の耳部の穴に挿入する係止具を構成する根幹の両端部に、貝抜け防止の為に設ける、「かえし」、または「あぐ」と呼称される抜け防止部の部分を、二つにした、いわゆるダブルアグ構造にしたものが知られている。更には、根幹の中央部を台形状にずらした構造とする、いわゆる台形型貝係止具も提案されており、ロープへの安定な取り付け構造が追求されている。
同様に、並列状連結帆立貝係止具(フープピン)の連結構造の視点からの改良として、並列状連結帆立貝係止具の連結の改良として、根幹に設けられているロープ止めの先端部分を隣接するピンの根幹に連結した構造の養殖帆立貝の掛止具が知られている(特許文献3、4)。
また、帆立貝係止具の単品を、連結材を利用して、一本の連結材により中央部とロープ止めの先端部で繋ぐこと、或いは二本の連結材で繋ぐことなどが提案されている(特許文献4、5、6)。また、貝係止具の単品であるピンの中央部で連結材により多数連結することも提案されている(特許文献7)。
さらに、貝係止具であるピンを二本の連結材によりロープ止め内の根幹部分で連結するが、連結材をロープ止め突起側にそれぞれ近接するよう配置して連結することも提案されている(特許文献8)。
さらに、帆立貝係止具の根幹の中央部分を台形状に屈曲させその台形部分として、対のロープ止め突起の先端部で隣接する帆立貝係止具の根幹と順次平行に帯状に並列に連結した貝係止具が知られている(特許文献9)。
この帆立貝係止具の連結方法は、一体成形の関係上通常は、帆立貝係止具と同じプラスチック材料からなるか可撓性の材料からなる。この帆立貝係止具の連結状態は、例えば、帆立貝係止具の抜け防止部のほぼ中間に根幹とほぼ直角方向延びる、左右対称に連結用部材、幹、ストランドのような複数の連結用部材によりつなぐのが、ロール巻き取り安定性という点だけからみれば推奨されるが、帆立貝係止具を養殖用ロープにセットする場合に、連結用部材の切断残渣がロープ挿入の支障となる場合がある。同様に、帆立貝係止具の根幹の両対称に設けられているピン抑え部の突起のほぼ中央部に1本の連結用部材を設けることも提案されている(特許文献11)。
しかし、このような係止具が、帆立貝係止具の安定性、特に捩じれによる変形に対しては非常に弱いことが懸念され、ロール捲きなどによる取り扱い上支障となる。さらに、帆立貝係止具間を連結用部材と2個のピン抑え部を構成する突起部を連結するという、いわゆる3点で連結することも提案されているが、強度の連結は達成されても、帆立貝係止具を機械でロープに挿入する時、ピンの挿入抵抗が大きいため、ロープにスムーズに挿入できず、取り付け作業に支障をきたさない、安定な取り付けの帆立貝係止具が求められている。このような観点から、総合的な特性のある帆立貝係止具の誕生が期待されている。
耳吊り養殖に於いて、養殖期間中に潮の流れによって係止部が稚貝の耳部に接触して係止に疲労が発生し、貝を保持する寝床に密着して稚貝がピンより離脱することを防止することが出来ると共に、連結帆立貝係止具を構成する単品を、母線に手刺機および自動刺機に於いて、ロープ、ひものような母線に容易にしかも安定に挿通でき、しかも規格どおりの母線位置に等間隔に、対称に極めて安定に固定ができる、しかもほたて稚貝の穿孔部に係止具を挿通することが簡単にできるとともに、成形加工における無駄な材料の消費を抑えて、ロープ止めの機能を、連結の為の役割および帆立貝係止具の母線からのずれを防止するというような多機能の課題を解決することに併せて、帆立貝の離脱も防止するとともに、さらには、連結した帆立貝係止具のロール巻き取り、ボビン巻取りが安定にできるために、輸送、保管、自動刺機への設置、取り扱いが容易であるという課題を解決することにある。
本考案は、貝係止具の、特に帆立貝係止具の上記の課題を解決する為に、詳細に以下の手段を採ることを特徴とするものである。
本考案の第1の特徴点は、根幹の長手方向の両端に貝挿入用先端部が形成されており、その先端部より中心側に一対の係止部を構成する係止片からなり、係止片の先端付近の根幹側には狭窄部が形成されてなる構造を有する貝の係止部が設けられており、根幹の中心付近を起点にして母線を挟むに十分な間隔をもって突起状の先端部が中心側に互いに傾斜した一対のロープ止め突起が左右対称に設けられていることを特徴とする貝係止具単体、又はこのロープ止め突起の先端が隣接する他の貝係止具単体の根幹と順次連結することにより構成されるロール状に任意に旋回可能な帯状の並列状連結貝係止具、にある。
本考案の第2の特徴点は、前記係止片が一重または二重のアグ、又はかえし構造からなり、この係止片の形状は任意の曲率半径の形体を有していることを特徴とする貝係止具単体、又は並列状連結貝係止具、にある。
本考案の第3の特徴点は、前記狭窄部は、切削により円弧状(「R形状」、「凹状」とも言う。)、又はクサビ形状の肉薄部を形成してなることを特徴とする貝係止具単体、又は並列状連結貝係止具、にある。
本考案の第4の特徴は、前記狭窄部は、分岐状に切削することにより肉薄部を形成してなることを特徴とする貝係止具単体、又は並列状連結貝係止具、にある。
(即ち、この係止片の肉厚の内側の先端部寄りには分岐状の薄肉部分が切削により形成されてなることを特徴とする貝係止具単体、又は並列状連結貝係止具、にある。)
本考案の第5の特徴点は、50〜30000個の貝係止具が順次帯状に連結してなる並列状連結貝係止具が、帯状態、ロール状に巻かれた状態、又はボビンに巻かれた状態であることを特徴とする並列状連結貝係止具、にある。
本考案の第6の特徴点は、貝係止具が、可撓性のプラスチック材料から成形されてなることを特徴とする貝係止具単体、又は並列状連結貝係止具、にある。
本考案は、プラスチックなどから製造される、養殖用並列状連結帆立貝係止具は、帯状でも、変形、歪み、破損、偏りなどが無く安定であり、しかもロール巻き取り、ボビン巻取りが安定にできるために、輸送、保管、取り扱い性が容易である。しかも帆立貝係止具をロープのような母線に手刺機および自動刺機(ピンセッター)においても簡単に、しかも容易に挿通できるとともに、貝係止具にずれが無く、極めて安定に母線へ左右対称に、等間隔に固定できる。また、ほたて稚貝の穿孔部に挿通することが簡単にできる。連結帆立貝係止具の構造および設計は、無駄な材料の消費を抑えて、ピン抑え部と連結部材の残留突起は、連結の為の役割ばかりでなく帆立貝係止具の母線方向に対するずれや、迅速に挿入距離のバラツキを防止するというような多機能の役割を果たす。結果的には帆立貝の離脱も防止するという歩留まりの高いコスト的にも優れた作用効果が期待できる。さらに、ロール状に巻いた並列状連結帆立貝係止具の切断装置を使用して単品にした場合に、ロープへ挿入する際の抵抗を少なくすることができるので、挿通装置による挿入が円滑にでき、ロープに挿入された貝係止具がロープに対称に固着して、貝係止具が回転してアグが帆立貝の耳の段差に接触して、アグに疲労が発生して根幹に密着して、貝係止具が帆立貝の穴より抜けることによって離脱するような障害の発生が少なく、使用後の係止具の回収において、破損により、いわゆるプラスチックパウダーによる海洋汚染や漁業被害を軽減できる利点がある。
本考案の並列状連結帆立貝係止具は、ロープ止め突起の先端部が連結部材の機能を兼ねるというコンパクトな構造であるが故に、比較的簡単な構造設計ができるために、無用なプラスチック破片の発生を抑制できると共に、成形上に不良品発生リスクが非常に少ないという利点も有する。
[図1−1]本考案の係止片の肉厚の内側の先端付近には円弧状(「凹状」、「R形状」とも言う。)の肉薄部分が形成されてなる構造を有する多数の並列に並ぶ連結貝係止具の平面図。 [図1−2] 本考案の帯状の連結貝係止具を切り離した貝係止具単体の平面図。 [図2−1]貝係止具単体の係止片の先端付近の肉厚部に円弧状の薄肉部分が切削により形成されてなる構造を有する係止部の部分拡大図。 [図2−2]貝係止具単体の係止片の先端付近の肉厚部に鋭利なクサビ形状の薄肉部分が形成されてなる構造を有する係止部の部分拡大図。 [図2−3]貝係止具単体の係止片の先端付近の肉厚部に分岐状の薄肉部分が切削により形成されてなる構造を有する係止部の部分拡大図。 並列状連結帆立貝係止具が、帯状態、ロール状に巻かれた状態、又はボビンに巻かれた状態を表す平面図。 本考案の並列状連結帆立貝係止具を単品(「単体」とも言う。)に切断し、帆立貝の耳部に穿孔した孔部に挿通して取り付け海水中に懸架して養殖する状態を示す模式図である。
本考案の実施の形態として、本考案の帆立貝係止具単品は、図1−2に見るように、根幹の長手方向の両端が挿入用の先細り先端部になっており、その先端部より若干中央寄りに帆立貝の抜け防止機能を有する係止部が一体に設けられており、根幹の中心付近を起点にしてロープ、縄、又は紐のような母線を挟む十分な間隔を持った突起状の先端部が中心側に互いに傾斜した形状の一対のロープ止め突起が左右対称に設けられ、さらに、ロープ止め突起の先端部が隣接する別の貝係止具の根幹に接合可能な状態にある構造からなる。
本考案の連結帆立貝係止具を構成する構造は、特に図1−1に見るように、プラスチックなどから製造され、根幹2の中央部付近に、ピン抑え部の機能を果たす一対のロープ止め突起1,1’を有し、その根幹の両挿入先端部5,5’が設けられており、それよりやや中央寄りの部位には、通常はアグまたはかえしの構造をした貝の抜け防止機能を有する係止部4,4’を設けた構造の連続的に連結された養殖用帆立貝係止具からなり、この連結帆立貝係止具単品が一対のロープ止め突起1,1’の先端部が隣接する貝係止具単品の根幹に少なくとも二点で結合されている構造からなる順次並列状に多数結合した並列状連結帆立貝係止具(フープピン)である。ロープ止め突起1,1’の先端部で、隣接する係止具の根幹と結合するが、必要により、新たな連結用部材を採用して強固に結合させることが一応可能である。
連結の間隔は、根幹の中心を基点にして、接触してもよいが、接合しては、貝やロープ取り付け作業の支障となる。通常は、0.01〜4mm程度の間隔があれば、貝係止具の機能上、および成形上支障とならない。この突起の大きさは、通常は、貝の大きさにもよるが、太さが0.01〜4mm程度、長さが2〜8mm程度あれば十分である。
本考案の並列状連結帆立貝係止具1から切り離した図1−2の帆立貝係止具の単品の詳細な構造および機能は、図1−2を参考にして詳細に説明すると、その根幹2の長手方向の両先端部に、アグ、かえし、二重アグ、T字、のような係止部4が設けられている。
根幹2の中央部分には、大きなずれの動き、偏りを防止することができるような、母線止めの機能を果たすことができる程度に十分な間隔を持った、一対のピン抑え機能を果たす、傾斜角θが、通常20〜80°程度の対のロープ止め突起1,1’を有している。しかも、養殖用貝耳吊用の帆立貝係止具は、ロープ、縄、紐のような母線Rの中心付近を容易に挿通できるような先端部となっている。
帆立貝係止具の、貝の取り付け部分を構成する根幹2の端部に設けられている、対の係止部4,4’は、通常は各種形状の舌片状アグ部は、単一の単片状のアグ構造又は二重アグ構造のような各種構造の機能を有する構造に設計できる。根幹2の両端は、最先端部が貝孔に挿入が容易な鋭利な構造の挿入先端部5,5’になっている。アグ片の構造は、例えば、根幹2と同じ軸方向の切れ目を設けて、先端部分が切れ目を境界にして上下または左右にずれた二つの細長片からなる構造のもの、或いは、切れ目のない単なる舌片状のもの、あるいはT字状のもの、円弧状のものなど、帆立貝の抜け落ちを防止する為に任意に工夫した各種の構造のものを任意に使用することにより、養殖用の稚貝の離脱を大幅に防ぐことができる。
帆立貝係止具の単品の詳細な構造および機能をさらに詳細に説明をすれば、ロープ、縄、紐のような母線Rに挿入する為に、根幹2の両端部は、中心部に若干傾斜した突起片のような構造になっている。根幹2の中央部付近にはピン抑え機能を果たすロープ止め突起1、1’が設けられている。さらに、根幹2の両端部には、図1、2に見るとおり、抜け防止機能を有する係止部4,4’が、貝挿入のための鋭利な先端部5,5’と一体に対に構築され、挿入先端部はテーパー状になっている。また、ロープ止め突起1、1’は、根幹2の中心部に若干傾斜した突起片のような構造になっている。このロープ止め突起の傾斜角θは、通常20〜80°程度あれば十分である。母線Rへ挿入する場合に、容易に傾斜して簡単に挿入できるが、逆からの動きを止めるにおいて有利に働く。帆立貝係止具を母線Rへ挿入する場合には、若干中心部側へ倒れる程度の強度を有することが推奨される。この傾斜角θは、根幹2が母線Rからのスライドによる大幅なずれや偏り、抜け落ちることを防ぐとともに、一対のピン抑え機能を果たすロープ止め突起1,1’の間隔が母線Rの直径よりやや広いので、根幹2のスライドによる若干の遊びが、母線Rのゆれによって惹起する力が直接養殖用帆立貝の稚貝に伝わるのを緩和する作用をすることも有り得るばかりでなく、さらに、このピン抑え機能を果たすロープ止め突起片およびその傾斜角は必要以上に根幹2が母線Rから移動することを確実に止めることにおいて有利な構造であり、かつ有利に作用するように設計をすることができる。
連結帆立貝係止具又は単品の係止部4,4’部を構成するアグ構造の状態は、特に係止片の肉厚の内側の先端付近を切削により形成される肉薄の狭窄部分の機能および構造について説明をする。
態様の一つを、図2−1の部分拡大図に基づいて説明すると、係止部4を構成するアグ構造41の形態は、直線又は曲線状に湾曲した一端が根幹2を起点として伸びる突起片により構成されている。この突起片の先端部付近の比較的肉厚部411の根幹側に、貝係止具単品の係止片の先端付近の肉厚部が円弧状(「R形状」又は「凹状」)に切削された薄肉の狭窄部分412が形成された構造を有する。
別態様として、[図2−2]の部分拡大図に見る通り、貝係止具単品の係止片の先端付近の肉厚部に円弧状の薄肉部分が切削により形成されてなる構造を有する部分拡大図の係止部4を構成するアグ構造42の形態は、直線又は曲線状に湾曲した一端が根幹2を起点として伸びる突起片により構成されている。この突起片の先端部付近の比較的肉厚部421が、係止片の根幹側に、鋭利なクサビ形状の薄肉の狭窄部分422が形成されてなる構造からなる。
別態様として、[図2−3]の部分拡大図に示すような、アグ構造43の形態は、係止片の先端付近の肉厚部431に分岐状の薄肉の狭窄部分432が切削により形成される。比較的肉厚の先端部分431と分岐部分432が形成されることにより、薄肉部分からなる狭窄部分432が形成されている構造からなる。
尚、図2−1から図2−3は、係止片が1本の場合の例を示しているでが、ダブルアグピンのように係止片が複数ある場合は、その係止片の一つか又は二つに任意に狭窄部を設けることも可能であって、設計事項の範囲内である。
これらの薄肉部分により形成される狭窄部分は、貝穴に挿入した場合に、係止片の先端に加わる力、衝撃を屈曲などにより緩和するために、係止片の根幹に加わる過度な力を回避することができので、貝の脱落などを阻止する機能を果たす。
さらに、この狭窄部分は、貝係止具を貝の穴に挿入する場合や、ロープに挿入する場合などにおいて、係止片が根幹側に容易に傾き、所定の寸法通りに小さくなるために、挿入が容易になる。
また、波浪などにより、稚貝が貝係止具から脱落する危険性がある場合には、係止片の先端部が狭窄部を基点にして容易に反るので、脱落を阻止する機能をはたす。
その帆立貝係止具の単品が並列的に連結した構造を図1−1に基づいて更に説明すると、この並列的に一定の間隔を、たとえば、0.5〜5mm、好ましくは2〜3mm程度の間隔を持って並んで隣接する複数の帆立貝係止具が連続的に多数順次帯状に連結してなる並列状連結帆立貝係止具であり、図1−2を参照しながら説明をすれば、根幹2の長手方向の両挿入先端部5、5’に対称に一対の貝の係止部4、4’を有し、その根幹の中心付近を起点として、ほぼ対称に中心方向に若干傾いた、傾斜角θは10〜80度、好ましくは30〜60度程度傾いた突起片のような母線を挟むに十分な間隔、例えば5〜25mm、好ましくは14〜16mm程度の間隔を持った対の母線止めの役割を果たすと共にピン抑え機能を果たすロープ止め突起1,1’を設けている。ロープ止め突起1の先端の接合部3を、例えば0.5〜5mm程度の一体の間隔を持って並列的に隣接するように帯状に並べられた並列状連結帆立貝係止具1となっている。
この帆立貝係止具の連結状態は、例えば図1−1などに見られるような、ロープ止め突起1の長さの間隔により決まる。金型成形規模では通常50〜120個程度で成形されるが、実際の並列状連結帆立貝係止具の連結数は、供給する養殖現場の事情にもよるが、50〜30000個が順次帯状に連結してなる並列状連結帆立貝係止具である。小規模の場合は、30〜50個程度の少量から、100〜500個程度、場合によっては1000〜5000個程度と、場合によっては5000〜30000個、好ましくは8000〜10000個程度で流通可能である。いずれにせよ養殖規模の状況を考慮して任意に決めることができる。ここで規定する寸法や条件は、標準の大きさの稚貝の場合であり、貝の大きさや、養殖時期、養殖場所、および貝係止具の材料の強度を考慮して任意に変えることができる設計変更の範囲内のことである。
本考案の並列状連結帆立貝係止具1を構成する帆立貝係止具と隣接する帆立貝係止具とが、ピン抑え機能を果たすロープ止め突起1、1’の少なくとも一つが母線R止めの役割を果たすと共に、連結用部材の役割を兼ねるという構造は、根幹2への不必要な連結用部材の切り残し残渣が無いという点で非常に有意な構造である。また、帆立貝係止具として切り離しをした場合に、成形材料の若干の消耗や損失も防ぐことになり、省資源としての評価もできる。このような構造は、成形性の容易性や、多数取り成形において、複雑で無用な構造成形を省略しているので、不良品の発生を防止するという点で、成形上のリスクを回避するという点でも有利であることが挙げられ。
さらに、並列状連結帆立貝係止具を、斜め状突起であるピン抑え機能を果たすロープ止め突起1、1’で連結するということは、帆立貝係止具の切り離しに於いて、根幹2の平行方向に力を加えると容易に分離することができる。これは、並列状連結帆立貝係止具の単品を切り離す場合に、歪みなどを少なくすることができる。
さらに、並列状連結帆立貝係止具の輸送、保管、ロープ取り付けなどの取り扱いにおいても、ロール巻き、又はボビンに巻き取る場合の形状安定に極めて有利である。必要な場合には、並列状連結帆立貝係止具の必要な箇所を連結用部材でさらに連結することも可能である。
この帆立貝係止具の単品は、図1−1に示す並列状連結帆立貝係止具から切り離して、帆立貝の耳部に穿孔した孔部に挿通して海水中で養殖に使用する模式図が、図5である。
本考案の並列状連結帆立貝係止具1を構成する帆立貝係止具の単品2の材料およびその構造の概要について、図面を参照にしながら詳細に説明すると以下のとおりである。
本考案の並列状連結帆立貝係止具の全体の構造および使用態様は、図1−1、図1−2に示すような構造を取り得る。並列状連結帆立貝係止具を構成する帆立貝係止具の間隔は、普通には、2〜8mm程度あればよい。連結帆立貝係止具の大きさは、ほたて貝の大きさ、海水の状況により任意に決め得るが、普通帆立貝係止具の根幹3の長さは、最高20cm程度のものまで任意に設計できる。しかし、稚貝の大きさを考慮すれば、長さが5〜10cm程度のものが一般サイズとして推奨され得るが、好適には、長さが約7〜8cm程度の長さのものが実用的な標準サイズとして普及サイズとすることもできる。この帆立貝係止具は、根幹2の左右対象に舌片状アグ部分からなる係止部4、4’を設けた典型的なものであるが、勿論、根幹2の一端部だけに舌片状アグ部からなる係止部4または4’を設けた片側構造のものも一応考えられるが、これは設計変更の範囲内のものである。
根幹2の直径は、0.5〜5mm程度のものが一般的に用いられる可能な範囲であるが、普及平均サイズとしては、約1.2mm、1.5mm、1.8mm、2mm、3mmなどの大きさのものが実用的である。根幹は均一な太さの棒状のものでも良いが、一般には根幹3の長さ方向の中央部分が比較的太く、両端部にいくにしたがって細くなる傾向のものが推奨される。この連結帆立貝係止具の太さ、大きさというようなサイズは、最終的には、海水の状態、稚貝の大きさ、係止具の材料の強度等も考慮して、ほたて貝の養殖環境に応じて、養殖業者の需要に応じて決めるようなことであるが、一応、大量に供給する標準サイズの例である。根幹2の断面は、円形、直方形、長方形、楕円形といった種々の形態を取りうる。稚貝を取り付ける場合の力学的な構造を考慮して、任意に、取り得るが、通常は円形、楕円形、であるが、場合によっては略長方形の断面構造をとることも可能である。
並列状連結帆立貝係止具およびその単品の材料は、金属、プラスチック、木材など、多くの材料が用いられるが、一般には、プラスチックが最も適している。プラスチック材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアクリレート、ポリアミド、などの各種汎用のプラスチック材料が強度、耐久性、耐水性、再処理性、無毒性、価格などの事情を考慮して使用される。特にエンジニアリングプラスチックの範ちゅうに属する材料であれば任意に使用できるので、これらの例示のプラスチック材料に限定されるものではない。特に耐久性、成形性、価格などの面を総合的にみれば、ナイロンのようなポリアミド樹脂が適している。これは普通にナイロン6、66、11、12、46、610という商品名で容易に入手できる材料である。ナイロン11、12などは吸水性が小さく根幹に適している。さらに、耐水性、耐加水分解性の改良した材料を選定することも推奨される。
本考案の耳吊用の並列状連結貝係止具の成形方法は、プラスチック材料の幹棒を、切削、溶着のような二次加工により容易に製造することができる。しかし、本件発明の並列状連結帆立貝係止具は一時期に多量に使用されることもありうるという事情からすれば、実用的には、本発明の根幹2の末端部に特殊な舌片状アグ部分のような係止部4、4’を有する帆立貝係止具を一度に多数個成形する、いわゆる多数個取り金型を作り、多数の帆立貝係止具が連結した連結帆立貝係止具の製品を、一度に多量に射出成形することが理想的な製造方法である。このように、並列状連結帆立貝係止具が多数連結した構造の製品を作ることは、その後母線取り付けピンセッターを使用して、容易に取り付けるために有益である。射出成形された帯状の並列状連結帆立貝係止具を、熱処理、アニーリング、塗布、塗装等の後処理により、製品の耐海水性、強度および品質を上げることは任意に採用することである。
本考案の並列状連結帆立貝係止具の一つを切り離した貝係止具単品の自動取付装置の概要を説明すれば、自動挿入装置(ピンセッター)へ、並列状連結帆立貝係止具が供給され、その貝係止具単品に切り取られ、ピンの先端部方向からのレバーにより、単品が母線Rへ、略等間隔で挿入される。この自動挿入装置(ピンセッター)は、慣用の装置、または慣用装置を部分改造しただけの装置で対応できる。母線Rへ取り付けられた単品は、母線進行方向に於いて、等間隔に取り付けられているが、取り付けられた単品の状態を観察すれば、取り付け速度を若干変更しても、母線Rを中心にして、左右対称に取り付けられている。本発明の帆立貝係止具を母線Rにピンの先端部方向から挿入して取り付けた場合に、過剰な移動を防止するために、係止具が対称に母線Rに配置されるということは、この残留部材の機能によることも原因の一つと推定できる。
以下、本考案の有効性に関する評価を、実施例を挙げて説明をするが、本発明はこの態様に限定されるものではない。
(並列状連結帆立貝係止具の成形)
本考案のほたて貝耳吊用並列状連結帆立貝係止具を、樹脂材料として、ナイロン11を用いて、図1−1に見るように末端構造を成形できる多数個取り金型を備えた射出成形により、並列状連結帆立貝係止具の多数が一体に連結した状態のユニットを、一度に80個成形をした。
その並列状連結帆立貝係止具の形状は、先行技術にみられるような種々の形態のものを採り得るが、本発明の実施例では、最も典型的な帆立貝係止具として、図1−1に示す幹棒型であり、幹棒2の長さ7cm、太さ約1.5mmのものを選び、その両端部に本発明の舌片状アグ部に狭窄部分を有する各種構造をした係止部4、4’を対で有し、中央部に母線Rに取り付ける対のずれ又は滑り止め突起のようなロープ止め突起1,1’を有するものが成形できた。
(並列状連結貝係止具の保形試験)
長さ1m程度の帯状の並列状連結帆立貝係止具を5回巻取り、まき戻しを繰り返しても、並列状連結帆立貝係止具には、破損、離脱、変形、歪みがなく、安定した形状を保持しており、輸送、保管、養殖現場の取り扱いに耐えうる構造であることを確認した。
(自動挿入機(ピンセッター)における簡単な挿入試験)
本考案の並列状連結帆立貝係止具を慣用の自動挿入装置(ピンセッター)へセットして、直径8mmのロープに順次自動挿入する。この挿入された貝係止具(ピン)10個を目視判定する。特に、貝係止具(ピン)がロープを中心に左右対称に取り付けられているかを観察すれば、ロープを中心にして、10個の全部が左右対称に取り付けられていることを確認することができる。
(水中揺動試験)
直径7mm程度のロープに、根幹3の中央部に連結用部材7の突起状残渣が残る本発明の帆立貝係止具を、10個を12cm間隔で、突起残渣がロープ中に埋め込まれるように取り付けた。比較の為、根幹3の中央部に突起状残渣の無いもの10個を12cm間隔で取り付けたものを、水中に並べ、約24時間不規則な運動を与えた。
これにより、本発明の帆立貝係止具は、アグの先端部の任意な屈曲により波動などによる衝撃を吸収して、稚貝の脱落を阻止するに於いて有利であることを確認できる。
帆立貝養殖現場において、経済的に安価に帆立貝係止具を提供することにより、帆立貝係止具の取り付けおよび貝の取り付けが容易にできるとともに、稚貝を安定に取り付けができるために、貝の離脱が少ないということも貢献して、使用後の貝係止具の離散が無いことによる海洋汚染も防止できるので、養殖産業の進展に寄与するものである。
R ロープ、縄、紐のような母線
S 貝
1,1’ ロープ止め
2 幹棒
3,3’ 連結部
4,4’ 係止部、 41,42,43 係止片
411,421,431 先端付近の肉厚部
412,422,432 肉薄の狭窄部
5,5’ 先端部
特開昭56−102744号公報 特開平4−71436号公報 特許第3375617号公報 特開2004−208619号公報 特開2002−136241号公報 特開2003−289743号公報、 意匠登録第1184322号公報 意匠登録第1318240号公報 意匠登録第1253339号公報 特開2006−129754号公報 特開2006−280312号公報 特許第4769636号公報 特開2006−129754号公報

Claims (6)

  1. 根幹の長手方向の両端に貝挿入用先端部が形成されており、その先端部より中心側に一対の係止部を構成する係止片からなり、係止片の先端付近の根幹側には狭窄部が形成されてなる構造を有する貝の係止部が設けられており、根幹の中心付近を起点にして母線を挟むに十分な間隔をもって突起状の先端部が中心側に互いに傾斜した一対のロープ止め突起が左右対称に設けられており、このロープ止め突起の先端が隣接する他の貝係止具単体の根幹と順次連結することにより構成されるロール状に任意に旋回可能な帯状の並列状連結貝係止具。
  2. 前記係止片が一重または二重のアグ、又はかえし構造からなり、この係止片の形状は任意の曲率半径の形体を有していることを特徴とする請求項1に記載の並列状連結貝係止具。
  3. 前記狭窄部は、切削により円弧状、又はクサビ形状の肉薄部を形成してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の並列状連結貝係止具。
  4. 前記狭窄部は、分岐状に切削することにより肉薄部を形成してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の並列状連結貝係止具。
  5. 30〜30000個が順次帯状に連結してなる並列状連結帆立貝係止具が、帯状態、ロール状に巻かれた状態、又はボビンに巻かれた状態であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の並列状連結貝係止具。
  6. 貝係止具が、可撓性のプラスチック材料から成形されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の並列状連結貝係止具。
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