JP5532673B2 - 回転電機及び回転電機の製造方法 - Google Patents

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本発明は、ハウジング内に冷却媒体通路を備えた回転電機及び回転電機の製造方法に関する。
モータの高温化を抑えるために、ハウジング内に冷却媒体通路を設けた技術が知られている(例えば下記特許文献1参照)。
特開2006−90274号公報
ところで、上記したハウジング内の冷却媒体通路は、ハウジングを例えばアルミ合金などで鋳造成形する際には、鋳物砂からなる中子を利用して形成する。ところが、この場合、鋳造後の冷却媒体通路内に砂が一部残存する恐れがあることから、この残存する砂の影響を受けて冷却媒体の流速が低下して冷却性能の低下を招く。
そこで、本発明は、冷却性能を向上させることを目的としている。
本発明は、ステータ及びロータの外周側を覆うようにして設けたハウジング内部に冷却媒体通路を備える中空部材を設け、この中空部材を前記ハウジング内周側であって、前記ステータの外周側に配置し、前記中空部材の内周面が前記ハウジングの内周面の少なくとも一部を形成するとともに、前記中空部材の弾性係数を前記ハウジングの弾性係数より大きくしたことを特徴とする。
本発明によれば、冷却媒体通路を備える中空部材をハウジング内に設けているので、鋳物砂からなる中子を利用して冷却媒体通路を形成する場合のような、冷却媒体通路内での砂の残存を回避でき、冷却媒体通路内での冷却媒体の流速を所望に維持して、冷却性能を向上させることができる。
本発明の第1の実施形態に係わるモータのロータ中心軸線を境として半分を示す断面図である。 (a)は図1のモータに使用する中空部材を半分に切断した斜視図、(b)は中空部材内の冷却水通路の寸法を示す説明図である。 本発明の第2の実施形態に係わるモータのロータ中心軸線を境として半分を示す断面図である。 第2の実施形態の変形例を示す断面図である。 第2の実施形態の他の変形例を示す断面図である。 本発明の第3の実施形態に係わるモータのロータ中心軸線を境として半分を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
[第1の実施形態]
図1に示す回転電機としてのモータは、回転軸1の外周側の一部に形成したボス部3の外周側に永久磁石5を取り付けてロータ7としてあり、このロータ7の外周側に、鉄心に巻かれたコイルを備えるステータ9を配置している。これらロータ7及びステータ9の外周側を覆うようにして収容するハウジング11の内周面11aに、ステータ9の外周面9aを、圧入や焼き嵌めなどにより固定している。
ハウジング11は、ほぼカップ形状のハウジング本体13と、ハウジング本体13の図1中で左側の開口部を塞ぐカバー板15とを備えている。ハウジング本体13は、ほぼ円筒形状の外壁部17と、この外壁部17に一体成形されて外壁部17の図1中で右側の開口を閉塞する端壁部19とを備えている。
また、カバー板15及び端壁部19の中心には、回転軸1を挿入配置する回転軸挿入孔15a及び19aをそれぞれ設け、これら回転軸挿入孔15a及び19aと、回転軸1(ロータ7)との間には、軸受21,23をそれぞれ設けて回転軸1(ロータ7)をステータ9(ハウジング11)に対して回転可能としている。
そして、ステータ9の外周側に位置するハウジング11の外壁部17内には、内部に冷却媒体通路である冷却水通路25を備える環状の中空部材27を設けている。
ここで、上記したハウジング11は、アルミ合金などで鋳造成形する鋳造品であり、そのハウジング本体13を鋳造成形する際には、上記した中空部材27を一体成形する。すなわち、ハウジング11を構成する外壁部17内のステータ9の外周側に、内部に冷却水通路25を備える中空部材27をインサート材として配置した状態でハウジング(ハウジング本体13)を鋳造成形する。
中空部材27は、半分に切断した状態の斜視図である図2(a)に示すように、環状に形成してあり、ステータ9の外周側を囲むようにして配置する。また、図2(b)に示すように、冷却水通路25は、幅方向(回転軸1の軸方向)長さLを、厚さ方向(回転軸1の径方向)の長さHより長くしているが、幅方向長さLが、厚さ方向の長さH以上であればよい。すなわち、冷却水通路25は、ロータ7の軸方向に対応する長さLが同半径方向に対応する長さH以上である。
上記した冷却水通路25は、特に図示していないが、冷却水を供給するための冷却水供給口及び、冷却水を排出するための冷却水排出口をそれぞれ備えている。これら冷却水供給口及び冷却水排出口は、例えばハウジング本体13の外壁部17及び中空部材27に貫通孔をそれぞれ設けることにより形成する。
すなわち、中空部材27の外周側の壁部に貫通孔を設けた状態で、この貫通孔に整合する中子として鋳抜きピンを配置した状態で、ハウジング本体13を鋳造成形することで、上記した冷却水供給口及び冷却水排出口を、冷却水通路25とハウジング本体13の外部とを連通するものとして形成することができる。
図1に示す第1の実施形態のモータによれば、冷却水通路25を、ハウジング本体13内にインサート成形する中空部材27の内部空間によって形成している。このため、鋳物砂からなる中子を利用して冷却水通路を形成する場合のような、冷却水通路内での砂の残存を回避でき、冷却水通路内での冷却水の流速を所望に維持して、冷却性能を向上させることができる。また、残存する砂を除去するための煩雑な作業も不要となるので、製造コストの上昇を抑えることができる。
また、図2(b)に示す冷却水通路25の幅方向長さLを厚さ方向の長さH以上とすることで、幅方向長さLを厚さ方向の長さHより短くした場合に比較して、冷却水通路25内の容積を同等とした場合に、ハウジング本体13の外壁部17の肉厚をより薄くしてハウジング11の外径を小さく抑えることができる。これにより、モータをよりコンパクト化でき、例えばモータを自動車に搭載する際のレイアウト性向上に寄与することができる。
[第2の実施形態]
図3に示す第2の実施形態は、内部に冷却水通路25Aを備える中空部材27Aの軸方向長さを、ステータ9の軸方向長さとほぼ同等とした上で、中空部材27Aの内周面27Aaが、ハウジング11の内周面11aとなるようにしている。この際、中空部材27Aの内周面27Aaをステータ9の外周面9aに接触させた状態で、ステータ9をハウジング11(中空部材27A)に固定している。
なお、ここでのステータ9のハウジング11(中空部材27A)への固定方法としては、キーとキー溝で固定、ステータ9の軸方向端部にフランジを設けてのボルト締結、接着剤による固定などがある。
また、第2の実施形態の中空部材27Aは、その弾性係数をハウジング11の弾性係数より大きくした材料で構成している。さらに、この中空部材27Aは、その熱膨張係数(線膨張係数)をステータ9の熱膨張係数(線膨張係数)と同等としている。なお、ここでのステータ9は、中空部材27Aの内周面27Aaに固定されてハウジング11と一体となる部材を構成している。
その他の構成は、前記図1に示した第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態と同一構成要素には同一符号を付してある。
上記した第2の実施形態では、中空部材27Aの内周面27Aaがハウジング11の内周面11aを形成するようにして該内周面27Aaにステータ9の外周面9aを接触させ、かつ、中空部材27Aの弾性係数をハウジング11の弾性係数より大きくした材料で構成している。
これにより、ハウジング11の内周面11a(中空部材27Aの内周面27Aa)とステータ9の外周面9aとを常時接触させることで冷却性能や信頼性向上を図りつつ、弾性係数の大きい中空部材27Aの内周側の壁部の厚さT(図2(b)参照)をより薄肉として、該壁部を含む外壁部17全体の厚さを薄くできる。この結果、ハウジング外径を小さく抑えることができ、モータのコンパクト化を達成して、例えば該モータを自動車に搭載する際のレイアウト性向上に寄与することができる。
この際、前記図2(b)に示したように、冷却水通路25の幅方向長さLを、厚さ方向の長さH以上とすることで、外壁部17全体の厚さをより一層薄くすることができる。
さらに、第2の実施形態では、中空部材27Aの熱膨張係数(線膨張係数)をステータ9の熱膨張係数(線膨張係数)と同等としている。このため、ステータ9の外周面9aを中空部材27Aの内周面27Aaに接触させた状態で取り付けても、これら両者は温度変化があっても常時接触した状態を確保できる。これにより、ステータ9をハウジング11に対して圧入する必要がなく、したがって中空部材27A側のハウジング11の変形を抑えることができる。
すなわち、本実施形態では、組立時に強締め代を設定する必要がないので、ステータ9をハウジング11に圧入したり、あるいは、焼嵌めを行うという、組立作業の煩雑さを解消できるとともに、ハウジング11の変形に起因するシール面やロケート孔など、ハウジング11の各種寸法精度の悪化も抑制することができる。
図4,図5は、前記図3に示した第2の実施形態の変形例を示している。図4の例は、中空部材27Bを、その軸方向長さをステータ9の同方向長さより短く形成して、ステータ9の軸方向のほぼ中央に配置している。これにより、中空部材27Bの軸方向両側に、中空部材27Bの内周面27Baとほぼ同一面となる外壁部17の内周面17aを備えることになり、これら中空部材27Bの内周面27Baと外壁部17の内周面17aとで、ハウジング11の内周面11aを形成している。その他の構成は、図3に示した第2の実施形態と同様である。
この図4の例では、中空部材27Bをステータ9に対して軸方向の例えば温度の高くなると予想される位置に対応して配置することで、より効率よく冷却することができる。
一方、図5の例は、内部に冷却水通路25Cを備える中空部材27Cの内周面27Caが、図3の中空部材27Bと同様にハウジング11の内周面11aを形成しているが、その軸方向長さを図4の中空部材27Bよりも短くした中空部材27Cを2つ設けている。
すなわち、上記2つの中空部材27Cを、ステータ9の軸方向両側に対応して位置させ、これら各中空部材27C相互間に、中空部材27Cの内周面27Caと同一面を形成する外壁部17の内周面17bを備え、これら中空部材27Cの内周面27Caと外壁部17の内周面17bとで、ハウジング11の内周面11aを形成している。その他の構成は、図3に示した第2の実施形態と同様である。
この図5の例では、2つの中空部材27C相互間で、図示しない冷却水供給口を直径方向の相対向する位置に設定するとともに、冷却水排出口を直径方向の相対向する位置に設定することで、冷却水の流れが2つの中空部材27C相互間で互いに逆方向となり、モータ全体をより均一に冷却することができる。
[第3の実施形態]
前述した各実施形態では、ロータ7の永久磁石5をステータ9の内周側に配置したインナロータ型のモータを例にとって説明したが、図6に示す第3の実施形態は、ロータ29の永久磁石31をステータ33の外周側に配置したアウタロータ型のモータに本発明を適用している。
ステータ33は、軸方向一方の端部を、環状に形成してあるインナハウジング35の側面に固定している。このインナハウジング35に対し、その内周部に設けてある軸受37を介してロータ29の回転軸39が回転可能に支持されている。なお、この回転軸39は、上記した軸受37のほかに図示しない位置にて別の軸受によってもインナハウジング35側(インナハウジング35が取り付けられる例えば車体側)に回転支持されているものとする。
ロータ29は、中心に位置する回転軸39の前記インナハウジング35と反対側の軸方向の端部に、ハウジングとしてのアウタハウジング41を一体化して設けてある。アウタハウジング41は、回転軸39の端部に内周側の端部を取り付けてある端壁部43と、端壁部43の外周側に連続して永久磁石31の外周側を覆うようにして設けてある外壁部45とを備えている。
そして、この外壁部45の内周側の内部に、内部に冷却媒体通路である冷却水通路25Dを備える環状の中空部材27Dを、インサート材としてアルミ合金などの鋳造品であるアウタハウジング41と一体成形している。この中空部材27Dの内周面27Daには、前記した永久磁石31取り付けている。
この永久磁石31の中空部材27Dへの取り付け構造は、前記図3に示したステータ9の中空部材27Aへの取り付け構造と同様としている。すなわち、中空部材27Dは、その弾性係数をアウタハウジング41の弾性係数より大きくした材料で構成している。さらに、この中空部材27Dは、その熱膨張係数(線膨張係数)を永久磁石31の熱膨張係数(線膨張係数)と同等としている。なお、ここでの永久磁石31は、中空部材27Dの内周面27Daに固定されてアウタハウジング41と一体となる部材を構成している。
本実施形態においても、前記した各実施形態と同様に、冷却水通路25Dを、アウタハウジング41内にインサート成形する中空部材27Dの内部空間によって形成しているため、鋳物砂からなる中子を利用して冷却水通路を形成する場合のような、冷却水通路内での砂の残存を回避でき、冷却水通路内での冷却水の流速を所望に維持して、冷却性能を向上させることができる。また、残存する砂を除去するための煩雑な作業も不要となるので、製造コストの上昇を抑えることができる。
また、上記した第3の実施形態では、中空部材27Dの内周面27Daがインナハウジング41の内周面41aを形成するようにして該内周面27Daに永久磁石31の外周面31aを接触させ、かつ、中空部材27Dの弾性係数をインナハウジング41の弾性係数より大きくした材料で構成している。
これにより、インナハウジング41の内周面41a(中空部材27Dの内周面27Da)と永久磁石31の外周面31aとを常時接触させることで冷却性能や信頼性向上を図りつつ、弾性係数の大きい中空部材27Dの内周側の壁部の厚さT(図2(b)参照)をより薄肉として、該壁部を含む外壁部45全体の厚さを薄くできる。この結果、ハウジング外径を小さく抑えることができ、モータのコンパクト化を達成して、例えば該モータを自動車に搭載する際のレイアウト性向上に寄与することができる。
さらに、第3の実施形態では、中空部材27Dの熱膨張係数(線膨張係数)を永久磁石31の熱膨張係数(線膨張係数)と同等としている。このため、永久磁石31の外周面31aを中空部材27Dの内周面27Daに接触させた状態で取り付けても、これら両者は温度変化があっても常時接触した状態を確保でき、インナハウジング41や永久磁石31の変形を抑えることができる。
なお、上記した各実施形態では、回転電機として電動機であるモータを例にとって説明したが、発電機としてもこの発明を適用することができる。
7,29 ロータ
9,33 ステータ
11 ハウジング
11a,41a ハウジングの内周面
25,25A,25B,25C,25D 冷却水通路(冷却媒体通路)
27,27A,27B,27C,27D 中空部材
27Aa,27Ba,27Ca,27Da 中空部材の内周面
41 アウタハウジング(ハウジング)

Claims (5)

  1. ステータと、このステータに対して回転するロータと、これらステータ及びロータの外周側を覆うようにして設けたハウジングとを備え、このハウジング内部に冷却媒体通路を備える中空部材を設け、前記中空部材を前記ハウジング内周側であって、前記ステータの外周側に配置し
    前記中空部材の内周面が前記ハウジングの内周面の少なくとも一部を形成するとともに、前記中空部材の弾性係数を前記ハウジングの弾性係数より大きくしたことを特徴とする回転電機。
  2. 前記中空部材内の冷却媒体通路は、前記ロータの軸方向に対応する長さが径方向に対応する長さ以上であることを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
  3. 前記中空部材の内周面に固定されて前記ハウジングと一体となる部材の熱膨張係数と、前記中空部材の熱膨張係数とを同等としたことを特徴とする請求項1に記載の回転電機。
  4. ステータと、このステータに対して回転するロータと、これらステータ及びロータの外周側を覆うようにして設けたハウジングとを備える回転電機の製造方法であって、前記ハウジング内に、内部に冷却媒体通路を備え、かつ、弾性係数がハウジングより大きい中空部材をインサート材として配置した状態で、前記ハウジングを鋳造成形し、
    前記中空部材を、その内周面が前記ハウジングの内周面の少なくとも一部となるようハウジングにインサート成形することを特徴とする回転電機の製造方法。
  5. 中空部材を、その内周面が前記ハウジングの内周面の少なくとも一部となるようハウジングにインサート成形した後、前記中空部材の内周面に固定されて前記ハウジングと一体となる部材の熱膨張係数と、前記中空部材の熱膨張係数とを同等とした状態で、前記ハウジングと一体となる部材を、その外周面が前記中空部材の内周面に接触した状態で取り付けることを特徴とする請求項に記載の回転電機の製造方法。
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