JP2005261083A - 回転電機の冷却構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 回転子のフリクションを増大させることなく冷却効率を上げることで、連続出力時間を大幅に増加することができる回転電機の冷却構造を提供すること。
【解決手段】 回転子1と、固定子コア6および固定子コイル7を有する固定子2と、を備え、前記回転子1と前記固定子2がアキシャル方向に配設され、前記回転子1が前記固定子2との間にエアギャップをもって回転可能に保持された回転電機A1において、前記固定子2の周囲をシール性を保ちながら閉塞する固定子閉塞部材12を設け、前記固定子閉塞部材12の内部に冷媒を流すことで冷却を行う手段とした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アキシャルギャップ型モータやアキシャルギャップ型ジェネレータと呼ばれるもので、車両の駆動源等として適用される回転電機の冷却構造の技術分野に属する。
回転子に永久磁石を埋め込んだ回転電機は、損失が少なく効率が良い、出力が大きい等の理由により数多く使用されている。そのうち、回転子と固定子がエアギャップを介してアキシャル方向に配設されたものをアキシャルギャップ型モータという(例えば、特許文献1参照)。そして、このアキシャルギャップ型モータを、電動二輪車の駆動源に搭載したものが知られているが、モータ冷却には一般的に空冷が用いられている(例えば、特許文献2参照)。
特開2004−15916号公報 特開2003−191882号公報
しかしながら、従来の回転電機の冷却構造にあっては、モータ冷却を空冷により行うものであるため、抜熱性能が悪く、例えば、高出力の回転電機では、固定子コイルの温度が上昇してしまい、連続出力時間が短時間になってしまう、という問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、回転子のフリクションを増大させることなく冷却効率を上げることで、連続出力時間を大幅に増加することができる回転電機の冷却構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の回転電機の冷却構造では、回転子と固定子がアキシャル方向に配設された回転電機において、前記固定子の周囲をシール性を保ちながら閉塞する固定子閉塞部材を設け、前記固定子閉塞部材の内部に冷媒を流すことで冷却を行うことを特徴とする。
よって、本発明の回転電機の冷却構造にあっては、固定子に固定子閉塞部材を配設することで、回転電機内を固定子側と回転子側に分けることができる。そして、固定子閉塞部材の内部に冷媒を流すことで、直接固定子コイルを冷却することが可能となり、そのことで冷却効率が上がり、連続出力時間を大幅に増加することが可能である。また、固定子コイルを冷却する冷媒は、固定子閉塞部材の内部を流れ、回転子側へは漏れ出さないため、回転子のフリクションが増大することはない。
以下、本発明の回転電機の冷却構造を実施するための最良の形態を、図面に示す実施例1〜実施例8に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の冷却構造が適用された回転電機を示す軸方向断面図、図2は実施例1の冷却構造を示す固定子部分の軸方向拡大断面図である。
実施例1の回転電機A1は、図1に示すように、大きく分けて回転子1と、固定子2と、回転軸3と、ケース4と、によって構成されている。
前記回転子1は、前記固定子2から与えられる回転磁束に対して、永久磁石5に反力を発生させ、回転軸3を中心に回転するように構成されている。この永久磁石5は、隣接する永久磁石5,5の磁極は互いに相違するよう配置されている。ここで、回転子1と固定子2の間には、アキシャル方向にエアギャップと呼ばれる隙間が存在し、互いに接触することはない。
前記固定子2は、図2に示すように、ティース部6aとバックコア部6bとを有する固定子コア6と、該固定子コア6のティース部6aに巻きつけた固定子コイル7と、を有して構成されている。前記固定子コイル7の巻線は、図示されていない絶縁紙および絶縁体を介して、ティース部6aに巻かれる。このティース部6aは、バックコア部6bを通じて背面側のサイドケース4cに固定される。
前記回転軸3は、図1に示すように、2つのベアリング8,9を介して正面側のサイドケース4aと背面側のサイドケース4cに支持され、この回転軸3には、複数個の永久磁石5を円周上に埋め込んだ回転子1が一体に固定される。また、回転軸3の軸端部位置には、回転数センサ10が取り付けてある。
前記ケース4は、サイドケース4aと外周ケース4bとサイドケース4cとによって構成された三分割構造であり、サイドケース4aと外周ケース4b、及び、外周ケース4bとサイドケース4cは、それぞれボルト・ナット11により締結固定されている。
前記固定子2には、固定子2の周囲をシール性を保ちながら閉塞する固定子閉塞部材12が設けられている。この固定子閉塞部材12は、アキシャル方向隔壁12aと、内周方向隔壁12bと、外周方向隔壁12cと、を持つドーナツ状部材である。そして、固定子閉塞部材12は、その内周端部と外周端部とを、サイドケース4cに形成したシール溝に対してシール部材13,14を介在させてシール性を保ちながら固定している。
前記サイドケース4cには、固定子閉塞部材12の内部に連通する位置に軸方向の冷媒入力口15と冷媒出力口16とが設けられ、冷媒入力口15から固定子閉塞部材12の内部に冷媒を流し、冷媒出力口16から冷媒を排出することで、固定子2の冷却を行うようにしている。
次に、作用を説明する。
[背景技術]
従来は、例えば、サイドケースにフィンを設け、そこに冷却風を流すことで回転電機の冷却を行っている。いままでのアキシャルギャップ型モータは、主に低出力であったため、あまり冷却は重要視されていなかった。しかし、例えば、自動車の駆動用等の高出力な回転電機にすると、空冷では抜熱性能が充分でなく、連続出力時間が大幅に短縮されてしまう。また、面積の大きく取れる固定子裏側を水冷する方法を採用しても、固定子とケースの接触面に空間ができるため、熱抵抗が大きくなり、固定子コイルの効果的な冷却ができない。
[固定子コイル冷却作用]
実施例1では、図1および図2に示す通り、固定子2を覆うように固定子閉塞部材12を配設し、固定子閉塞部材12とサイドケース4cとの取り付け部位にはシール部材13,14を設ける。この固定子閉塞部材12の設定により、回転電機A1内を、固定子2側と回転子1側に分けることができる。
そして、サイドケース4cに設けた冷媒入力口15より冷媒を流入させ、流入した冷媒により固定子コイル7を直接冷却し、固定子コイル7から熱を奪うことで温度が上昇した冷媒を、サイドケース4cに設けた冷媒出力口16から排出する。この固定子コイル7に対する冷媒による直接冷却作用により、例えば、自動車の駆動用等の高出力な駆動源に回転電機A1を採用しても、空冷に比べて抜熱性能が充分に高く、また、固定子裏側の間接水冷に比べてもより効果的な冷却ができ、回転電機A1の連続出力時間を大幅に増加することが可能となる。
さらに、固定子閉塞部材12により、固定子2と回転子1は分離され、冷媒が回転子1側に漏れ出すことはない。よって、回転子1が冷媒を攪拌することがないため、冷媒による直接冷却でありながらフリクションが増大することはない。
次に、効果を説明する。
実施例1の回転電機A1の冷却構造にあっては、下記の効果を得ることができる。
(1) 回転子1と、固定子コア6および固定子コイル7を有する固定子2と、を備え、前記回転子1と前記固定子2がアキシャル方向に配設され、前記回転子1が前記固定子2との間にエアギャップをもって回転可能に保持された回転電機A1において、前記固定子2の周囲をシール性を保ちながら閉塞する固定子閉塞部材12を設け、前記固定子閉塞部材12の内部に冷媒を流すことで冷却を行うため、回転子1のフリクションを増大させることなく冷却効率を上げることで、連続出力時間を大幅に増加することができる。
実施例2は、固定子閉塞部材を周方向ケースと一体に形成し、アキシャル方向と内周方向に隔壁を設けた例である。
まず、構成を説明すると、図3に示すように、実施例2の回転電機A2は、固定子2を覆う固定子閉塞部材12が外周ケース4bと一体構造になっている。つまり、固定子閉塞部材を、アキシャル方向隔壁12aと内周方向隔壁12bにより構成し、内周方向隔壁12bの端部とサイドケース4cとの取り付け面には、シール部材17を設け、ボルト18にて固定する。また、外周ケース4bに、冷媒入力部15(図外)と冷媒入出力部16とを設ける。なお、他の構成は実施例1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
作用を説明すると、外周ケース4bに設けた冷媒入力部15より冷媒を流入させ、実施例1と同様に、固定子コイル7を直接冷却し、固定子コイル7から熱を奪うことで温度が上昇した冷媒を冷媒出力口16から排出する。そして、実施例2では、外周ケース4bと固定子閉塞部材12が一体構造であり、シール部が1箇所となるため、2箇所のシール部を有する実施例1に比べ、冷媒がより漏れ難くなる。また、固定子閉塞部材12の外周側隔壁が省略されて外周ケース4bとなるため、固定子2を外周側へ寄せることで、小型化できる。なお、他の作用は実施例1と同様であるので説明を省略する。
次に、効果を説明する。
実施例2の回転電機A2の冷却構造にあっては、実施例1の(1)の効果に加えて、下記に列挙する効果を得ることができる。
(2) 前記固定子閉塞部材12は、外周ケース4bと一体となっているため、シールが必要な接続部位が少なくなり、より確実に、冷媒の回転子1側や回転電機A2の外部への漏れを防止することができる。
(3) 前記固定子閉塞部材12は、アキシャル方向隔壁12aと内周方向隔壁12bを持つ構成としているため、固定子2を外周側へ寄せることで、回転電機A2の小型化を達成することができる。
実施例3は、固定子閉塞部材を圧粉コアにより構成した例である。
まず、構成を説明すると、図4に示すように、固定子2を覆う固定子閉塞部材12が、実施例2とは異なり、外周ケース4bと別体構造となり、かつ、固定子閉塞部材12が圧粉コアによって構成されている。そして、アキシャル方向隔壁12aの端部と外周ケース4bとの取り付け面には、シール部材19を設け、ボルト20にて固定する。なお、他の構成は実施例2と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
作用を説明すると、実施例3の回転電機A3では、固定子閉塞部材12を圧粉コアにより構成することで、固定子閉塞部材12の内部にうず電流が流れ無いため、回転電機効率を悪化させない。なお、他の作用については、実施例1,2と同様であるので説明を省略する。
次に、効果を説明する。
実施例3の回転電機A3の冷却構造にあっては、実施例1の(1)及び実施例2の(3)の効果に加えて、下記の効果を得ることができる。
(4) 前記固定子閉塞部材12は、圧粉コアにより構成されているため、固定子閉塞部材12の内部にうず電流が流れることなく、固定子閉塞部材12の設定により回転電機効率を悪化させない。
実施例4は、固定子閉塞部材を樹脂モールドにより構成した例である。
まず、構成を説明すると、図5に示すように、固定子2を覆う固定子閉塞部材12が、実施例2とは異なり、外周ケース4bと別体構造となり、かつ、固定子閉塞部材12が樹脂モールドによって構成されている。そして、アキシャル方向隔壁12aの端部と外周ケース4bとの取り付け、及び、内周方向隔壁12bの端部とサイドケース4cとの取り付けを、モールド成型時の埋め込みによりシール性を確保しながら固定している。なお、他の構成は実施例3と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
作用を説明すると、実施例4の回転電機A4では、固定子閉塞部材12を樹脂モールドにより構成することで、固定子閉塞部材12の内部にうず電流が流れ無いため、回転電機効率を悪化させない。なお、他の作用については、実施例1,2と同様であるので説明を省略する。
次に、効果を説明する。
実施例4の回転電機A4の冷却構造にあっては、実施例1の(1)及び実施例2の(3)の効果に加えて、下記の効果を得ることができる。
(5) 前記固定子閉塞部材12は、樹脂モールドにより構成されているため、固定子閉塞部材12の内部にうず電流が流れることなく、固定子閉塞部材12の設定により回転電機効率を悪化させない。
実施例5は、固定子コアが固定子閉塞部材を貫通し、その貫通部位にシール部材を配設した例である。
まず、構成を説明すると、基本的な構成は図4に示す実施例3と同様であるが、図6に示すように、固定子2を覆う固定子閉塞部材12を、固定子コア6のティース部6aが貫通している。そして、固定子コア6のティース部6aと固定子閉塞部材12との接触面にはシール部材21を設ける。なお、他の構成は実施例3と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
作用を説明すると、実施例5の回転電機A5では、固定子コア6のティース部6aが固定子閉塞部材12を貫通することで、固定子2と回転子1の間のエアギャップを小さくでき、出力を向上することができる。また、固定子コア6のティース部6aと固定子閉塞部材12との接触面にはシール部材21を設けたことで、より回転子1側への冷媒の漏れを防止することができる。なお、他の作用については、実施例1,2,3,4と同様であるので説明を省略する。
次に、効果を説明する。
実施例5の回転電機A5の冷却構造にあっては、実施例1の(1)、実施例2の(2),(3)、実施例3の(4)、実施例4の(5)の効果に加えて、下記の効果を得ることができる。
(6) 前記固定子コア6のティース部6aは、前記固定子閉塞部材12を貫通しているため、固定子2と回転子1の間のエアギャップを小さくでき、回転電機出力の向上を図ることができる。
(7) 前記固定子コア6のティース部6aと前記固定子閉塞部材12の貫通部位に、シール部材21が配設されているため、固定子閉塞部材12の貫通部位から回転子1側への冷媒の漏れを防止することができる。
実施例6は、固定子閉塞部材と共に固定子を簡易に組み立てることができるようにした例である。
まず、構成を説明すると、図7(d)に示すように、実施例6の回転電機A6では、回転子閉塞部材12は圧粉コアであり、基本的には図6に示す実施例5と同様の構成である。実施例5との相違点は、前記固定子コア6のティース部6aとバックコア部6bとが分割されている。前記固定子コア6のバックコア部6bに、固定子コア6のティース部6aが挿入される貫通穴6cを有する。前記固定子コア6のバックコア部6bの横に配設されるサイドケース4cに、固定子コア6のティース部6aが挿入される有底穴6dを有する。なお、7aは固定子コア6のティース部6aが挿入される貫通コイル穴である。
次に、実施例6の回転電機A6における固定子2の組み立て方法を工程順に説明する。
(第1工程)
最初に、外周ケース4bに対し固定子閉塞部材12をボルト20により固定して取り付ける(図7(a))。
(第2工程)
次に、固定子コア6のティース部6aを固定子閉塞部材12に取り付ける。
この時、図7(b-1)に示すように、固定子コア6のティース部6aの先端部の径が小さくなっているものは固定子2側から挿入する。また、図7(b-2)に示すように、固定子コア6のティース部6aの先端が大きくなっているものは回転子1側から挿入する。
(第3工程)
次に、固定子閉塞部材12に取り付けられた固定子コア6のティース部6aに、固定子コイル7の貫通コイル穴7aを挿入する(図7(c))。
(第4工程)
最後に、図7(c)の右側に示すように、固定子コア7のバックコア部7bとサイドケース4cを組み合わせたものを、固定子コイル7を取り付けた固定子コア6のティース部6aに取り付け、サイドケース4cに対し固定子閉塞部材12をボルト18により固定し、さらに、外周ケース14bとサイドケース4cをボルト・ナット11により固定する(図7(d))。
このような組み立て方法を採用することにより、より簡易に回転電機A6を製造することができる。
次に、効果を説明する。
実施例6の回転電機A6の冷却構造にあっては、実施例1〜5の(1)〜(7)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
(8) 前記固定子コア6のティース部6aとバックコア部6bとが分割されているため、固定子コア6のティース部6aと固定子閉塞部材12とを、外周ケース4bを先に組み合わせることができ、より簡易に製作することができる。
(9) 前記固定子コア6のバックコア部6bに、固定子コア6のティース部6aが挿入される貫通穴6cを有するため、先に組み合わされた固定子閉塞部材12と外周ケース4bと固定子コア6のティース部6aに、固定子コア6のバックコア部6bを組み合わせることが容易であり、また、寸法精度をゆるくできることで、より簡易に製作することができる。
(10) 前記固定子コア6のバックコア部6bの横に配設されるサイドケース4cに、固定子コア6のティース部6aが挿入される有底穴6dを有するため、先に組み合わされた固定子閉塞部材12と外周ケース4bと固定子コア6のティース部6aに、固定子コア6のバックコア部6bとサイドケース4cを組み合わせる際に、固定子コア6のティース部6aが固定子コア6のバックコア部6bを貫通することができる。したがって、製造が容易であり、また、寸法精度をゆるくできることが可能である。
この実施例7は、磁束の通過する面積を増やして回転電機トルクを向上させるために固定子コアのティース部を台形状とした例である。
すなわち、実施例7の回転電機A7は、図8及び図9に示すように、前記固定子コア6のティース部6aを、周方向隙間を内周側から外周側まで一定隙間に保つ配列とする台形状にし、固定子コア6の内周側空隙と外周側空隙のそれぞれに連通する位置に、冷媒出入口15,16を有する。そして、図9に示すように、前記内周側空隙による内周冷媒路22と、前記外周側空隙による外周冷媒路23のそれぞれに仕切壁24,25を設け、該仕切壁24,25を挟んだ両側位置に互いに異なる位置関係にて冷媒入力口15と冷媒出力口16を形成することで、内周冷媒路22と外周冷媒路23を流れる冷媒の流れ方向を逆としている。なお、他の構成は実施例1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
作用を説明すると、固定子コイル7の冷却時、内周冷媒路22においては、冷媒入力口15から入ってきた冷媒が、図9の反時計回り方向に流れて固定子コイル7の内側部分を直接冷却し、熱を奪って高温となった冷媒は、冷媒出力口16から外部へ排出される。一方、外周冷媒路23においては、冷媒入力口15から入ってきた冷媒が、図9の時計回り方向に流れて固定子コイル7の外側部分を直接冷却し、熱を奪って高温となった冷媒は、冷媒出力口16から外部へ排出される。
このように、固定子コア6の内周側空隙と外周側空隙のそれぞれに連通する位置に、冷媒出入口15,16を有する構成としたことで、内周側空隙と外周側空隙のどちらか一方に冷媒出入口を設ける場合に比べ、固定子コイル7をより均一に冷却することが可能となる。これは、実施例7のように、固定子コア6のティース部6aの形状が台形状であり、周方向に隣接する固定子コア6間の隙間が小さく、内周冷媒路22と外周冷媒路23を繋ぐ連通路が小さい場合、または、存在しない場合に特に効果が大きくなる。
さらに、内周冷媒路22と外周冷媒路23のそれぞれに仕切壁24,25を設け、該仕切壁24,25を挟んだ両側位置に互いに異なる位置関係にて冷媒入力口15と冷媒出力口16を形成することで、内周冷媒路22と外周冷媒路23を流れる冷媒の流れ方向を逆とした。よって、内周冷媒路と外周冷媒路を流れる冷媒の流れの方向が同じ場合に比べ、冷媒入力口15付近と冷媒出力口16付近の冷媒温度差による冷却能力のバラツキを抑えることができる。なお、他の作用については、実施例1などと同様であるので説明を省略する。
次に、効果を説明する。
実施例7の回転電機A7の冷却構造にあっては、実施例1〜6の(1)〜(10)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
(11) 前記固定子コア6のティース部6aを、周方向隙間を内周側から外周側まで一定隙間に保つ配列とする台形状にし、固定子コア6の内周側空隙と外周側空隙のそれぞれに連通する位置に、冷媒出入口15,16を有するため、固定子コア6のティース部6aの形状が台形状で、内周冷媒路22と外周冷媒路23を繋ぐ連通が望めない場合に、効果的な固定子コイル7の冷却を達成することができる。
(12) 前記内周側空隙による内周冷媒路22と、前記外周側空隙による外周冷媒路23のそれぞれに仕切壁24,25を設け、該仕切壁24,25を挟んだ両側位置に互いに異なる位置関係にて冷媒入力口15と冷媒出力口16を形成することで、内周冷媒路22と外周冷媒路23を流れる冷媒の流れ方向を逆としたため、冷媒入力口15付近と冷媒出力口16付近の冷媒温度差による冷却能力のバラツキを抑え、な固定子コイル7の冷却を達成することができる。
実施例8は、固定子コアの冷却を可能とし、冷媒路への冷媒流入の促進により冷却効率の向上するようにした例である。
すなわち、実施例8の回転電機A8は、図10及び図11に示すように、前記固定子2を固定するサイドケース4cに、固定子コア6に沿って周方向に1周以上する内周環状冷媒路26と外周環状冷媒路27を形成し、前記内周冷媒路22と外周冷媒路23とを、それぞれ内周環状冷媒路26と外周環状冷媒路27とに連通した。ここで、内周環状冷媒路26と外周環状冷媒路27は、サイドケース4cを軸直交方向に二分割し、それらを合わせることによって形成され、二分割したサイドケース4cの接触面には、O−リングなどのシール部材28が設けられる。
そして、前記冷媒出力口16の流路面積を、前記冷媒入力口15の流路面積よりも小面積に設定した。また、前記固定子コア6のティース部6aは、実施例7とは異なり、周方向隙間が内周側から外周側に向かうほど拡大する長方形状にしている。なお、他の構成は実施例1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
作用を説明すると、実施例8の回転電機A8では、サイドケース4cに、固定子コア6に沿って周方向に1周以上する内周環状冷媒路26と外周環状冷媒路27を形成し、前記内周冷媒路22と外周冷媒路23に連通したことで、固定子コイル7を直接冷却することに加え、固定子コア6のバックコア部6bも冷却することが可能となり、冷却効率が向上する。さらに、内周環状冷媒路26と外周環状冷媒路27は、二分割したサイドケース4cを合わせることによって形成され、その接触面にはシール部材28が設けられていることで、内周環状冷媒路26と外周環状冷媒路27とを形成したことに伴う冷媒の漏れも防止される。
また、冷媒出力口16の流路面積を、冷媒入力口15の流路面積よりも小面積に設定していることで、内周環状冷媒路26と外周環状冷媒路27がチャンバーの役割も果たし、その圧力によって、固定子閉塞部材12に形成されている内周冷媒路22と外周冷媒路23への冷媒流入を促進し、冷却効率を向上することが可能である。なお、他の作用については、実施例1などと同様であるので説明を省略する。
次に、効果を説明する。
実施例8の回転電機A8の冷却構造にあっては、実施例1〜7の(1)〜(12)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
(13) 前記固定子2を固定するサイドケース4cに、固定子コア6に沿って周方向に1周以上する内周環状冷媒路26と外周環状冷媒路27を形成し、前記内周冷媒路22と外周冷媒路23とを、それぞれ内周環状冷媒路26と外周環状冷媒路27とに連通したため、固定子コイル7を直接冷却することに加え、固定子コア6のバックコア部6bも冷却することが可能となり、冷却効率の向上を達成することができる。
(14) 前記冷媒出力口16の流路面積を、前記冷媒入力口15の流路面積よりも小面積に設定したため、チャンバーの役割を果たす内周環状冷媒路26と外周環状冷媒路27の圧力によって、内周冷媒路22と外周冷媒路23への冷媒流入を促進し、冷却効率の向上を達成することができる。
以上、本発明の回転電機の冷却構造を実施例1〜実施例8に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例では回転電機と述べているが、それは電動機(アキシャルギャップ型モータ)でも発電機(アキシャルギャップ型ジェネレータ)でも電動/発電兼用機(アキシャルギャップ型モータジェネレータ)でもかまわないもので、これらのものに適用することができる。
実施例1の冷却構造が適用された回転電機を示す軸方向断面図である。 実施例1の冷却構造を示す固定子部分の軸方向拡大断面図である。 実施例2の冷却構造を示す固定子部分の軸方向拡大断面図である。 実施例3の冷却構造を示す固定子部分の軸方向拡大断面図である。 実施例4の冷却構造を示す固定子部分の軸方向拡大断面図である。 実施例5の冷却構造を示す固定子部分の軸方向拡大断面図である。 実施例6の回転電機の固定子組み立て工程図である。 実施例7の冷却構造が適用された回転電機を示す軸方向断面図である。 実施例7の冷却構造が適用された回転電機を示す軸直交方向断面図である。 実施例8の冷却構造が適用された回転電機を示す軸方向断面図である。 実施例8の冷却構造が適用された回転電機を示す軸直交方向断面図である。
符号の説明
1 回転子
2 固定子
3 回転軸
4 ケース
4a サイドケース
4b 外周ケース
4c サイドケース
5 永久磁石
6 固定子コア
6a ティース部
6b バックコア部
7 固定子コイル
8,9 ベアリング
10 回転数センサ
11 ボルト・ナット
12 固定子閉塞部材
12a アキシャル方向隔壁
12b 内周方向隔壁
12c 外周方向隔壁
13,14 シール部材
15 冷媒入力口
16 冷媒出力口

Claims (14)

  1. 回転子と固定子がアキシャル方向に配設された回転電機において、
    前記固定子の周囲をシール性を保ちながら閉塞する固定子閉塞部材を設け、
    前記固定子閉塞部材の内部に冷媒を流すことで冷却を行うことを特徴とする回転電機の冷却構造。
  2. 請求項1に記載の回転電機の冷却構造において、
    前記固定子閉塞部材は、外周方向のケースと一体となっていることを特徴とする回転電機の冷却構造。
  3. 請求項1または請求項2に記載の回転電機の冷却構造において、
    前記固定子閉塞部材は、アキシャル方向と内周方向に隔壁を持つことを特徴とする回転電機の冷却構造。
  4. 請求項1または請求項3に記載の回転電機の冷却構造において、
    前記固定子閉塞部材は、圧粉コアにより構成されていることを特徴とする回転電機の冷却構造。
  5. 請求項1乃至3の何れか1項に記載の回転電機の冷却構造において、
    前記固定子閉塞部材は、樹脂モールドにより構成されていることを特徴とする回転電機の冷却構造。
  6. 請求項1乃至5の何れか1項に記載の回転電機の冷却構造において、
    前記固定子コアは、前記固定子閉塞部材を貫通していることを特徴とする回転電機の冷却構造。
  7. 請求項6に記載の回転電機の冷却構造において、
    前記固定子コアと前記固定子閉塞部材の貫通部位に、シール部材が配設されていることを特徴とする回転電機の冷却構造。
  8. 請求項1乃至7の何れか1項に記載の回転電機の冷却構造において、
    前記固定子コアのティース部とバックコア部とが分割されていることを特徴とする回転電機の冷却構造。
  9. 請求項1乃至8の何れか1項に記載の回転電機の冷却構造において、
    前記固定子コアのバックコア部に、前記固定子コアのティース部が挿入される貫通穴を有することを特徴とする回転電機の冷却構造。
  10. 請求項1乃至9の何れか1項に記載の回転電機の冷却構造において、
    前記固定子コアのバックコア部の横に配設されるサイドケースに、前記固定子コアのティース部が挿入される有底穴を有することを特徴とする回転電機の冷却構造。
  11. 請求項1乃至9の何れか1項に記載の回転電機の冷却構造において、
    前記固定子コアのティース部を、周方向隙間を内周側から外周側まで一定隙間に保つ配列とする台形状にし、
    前記固定子コアの内周側空隙と外周側空隙のそれぞれに連通する位置に、少なくとも1つ以上の冷媒出入口を有することを特徴とする回転電機の冷却構造。
  12. 請求項11に記載の回転電機の冷却構造において、
    前記内周側空隙による内周冷媒路と、前記外周側空隙による外周冷媒路のそれぞれに仕切壁を設け、
    前記仕切壁を挟んだ両側位置に互いに異なる位置関係にて冷媒入力口と冷媒出力口を形成することで、内周冷媒路と外周冷媒路を流れる冷媒の流れ方向を逆としたことを特徴とする回転電機の冷却構造。
  13. 請求項11または請求項12に記載の回転電機の冷却構造において、
    前記固定子を固定するケースに、固定子コアに沿って周方向に1周以上する環状冷媒路を形成し、
    前記内周冷媒路と外周冷媒路とを、前記環状冷媒路に連通したことを特徴とする回転電機の冷却構造。
  14. 請求項11乃至13の何れか1項に記載の回転電機の冷却構造において、
    前記冷媒出力口の流路面積を、前記冷媒入力口の流路面積よりも小面積に設定したことを特徴とする回転電機の冷却構造。
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