JP2017060319A - 電動機の冷却構造。 - Google Patents
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Abstract
【課題】 泥水環境に曝される自動車の駆動用に適用される電動機において、構造を簡単化し冷却性能の向上を図ることができる電動機の冷却構造を提供する。
【解決手段】 この電動機の冷却構造は、円環状の固定子2と、固定子鉄心2aの内周に環状隙間δ1を介して設けられる回転子鉄心12を有し、回転子鉄心12が円周方向に永久磁石13を有する回転子3と、回転子鉄心12の内周面に設けられたロータシャフト4と、回転子3を冷却する冷却機構5とを備える。回転子鉄心12は、環状隙間δ1に連通する軸方向隙間δ2を隔てて軸方向両側に配置された二つの回転子鉄心分割体12a,12bを有する。各回転子鉄心分割体12a,12bの内周側に、軸方向隙間δ2に連通する軸方向に沿って延びる連通路14が形成される。冷却機構5は、冷却用冷媒を、連通路14、軸方向隙間δ2、および環状隙間δ1にわたって順次循環させる循環経路を有する。
【選択図】 図1
【解決手段】 この電動機の冷却構造は、円環状の固定子2と、固定子鉄心2aの内周に環状隙間δ1を介して設けられる回転子鉄心12を有し、回転子鉄心12が円周方向に永久磁石13を有する回転子3と、回転子鉄心12の内周面に設けられたロータシャフト4と、回転子3を冷却する冷却機構5とを備える。回転子鉄心12は、環状隙間δ1に連通する軸方向隙間δ2を隔てて軸方向両側に配置された二つの回転子鉄心分割体12a,12bを有する。各回転子鉄心分割体12a,12bの内周側に、軸方向隙間δ2に連通する軸方向に沿って延びる連通路14が形成される。冷却機構5は、冷却用冷媒を、連通路14、軸方向隙間δ2、および環状隙間δ1にわたって順次循環させる循環経路を有する。
【選択図】 図1
Description
この発明は、電動機の冷却構造に関し、例えば、車両駆動用ユニット等に適用される電動機に用いられ、構造を簡単化し冷却性能の向上を図ることができる電動機の冷却構造に関する。
電動機の冷却構造が種々提案されている。
(1)密閉型回転電機
この密閉型回転電機では、回転子鉄心の内周側に冷媒が軸方向に移動可能な複数の流通孔が円周方向に形成され、エンドプレートに所定の間隔を保って形成されたブレードの軸方向外側に向けて延長して形成された貫通孔を有する内部ファンが配置されている。また軸両端において、前記ブレードが同位相にならないようにしている(特許文献1)。
(1)密閉型回転電機
この密閉型回転電機では、回転子鉄心の内周側に冷媒が軸方向に移動可能な複数の流通孔が円周方向に形成され、エンドプレートに所定の間隔を保って形成されたブレードの軸方向外側に向けて延長して形成された貫通孔を有する内部ファンが配置されている。また軸両端において、前記ブレードが同位相にならないようにしている(特許文献1)。
(2)回転電機
この回転電機は、機内ファンを設けることなく機内空気が機内を循環する構造として、回転子鉄心と回転軸との間の軸方向に複数の螺旋状空間を形成し、固定子とフレームとの間に通風路を形成した構成が提案されている(特許文献2)。
この回転電機は、機内ファンを設けることなく機内空気が機内を循環する構造として、回転子鉄心と回転軸との間の軸方向に複数の螺旋状空間を形成し、固定子とフレームとの間に通風路を形成した構成が提案されている(特許文献2)。
(3)空気冷却式全閉形回転電機
この空気冷却式全閉形回転電機では、固定子巻線の放電などにより、機内で生成されたオゾン、硝酸ガスを冷却効果を損なわずに除去するため、空気を循環させるファンとその空気の流路にオゾンもしくは硝酸ガスを除去する除去効果を有するフィルタを備えることが提案されている(特許文献3)。
この空気冷却式全閉形回転電機では、固定子巻線の放電などにより、機内で生成されたオゾン、硝酸ガスを冷却効果を損なわずに除去するため、空気を循環させるファンとその空気の流路にオゾンもしくは硝酸ガスを除去する除去効果を有するフィルタを備えることが提案されている(特許文献3)。
(4)車両駆動用全閉型電動機
この車両駆動用全閉型電動機では、鉄道等の車両を駆動する電動機に関し、機内の汚損を無くすと同時に冷却用の通風ファンの騒音を低減し、軸受の温度上昇を低減してグリース交換周期を長くするための構造として、機内空間と軸受保持空間に空気を送り込む流路およびロータシャフトと同期回転するファンを形成することが提案されている(特許文献4)。
この車両駆動用全閉型電動機では、鉄道等の車両を駆動する電動機に関し、機内の汚損を無くすと同時に冷却用の通風ファンの騒音を低減し、軸受の温度上昇を低減してグリース交換周期を長くするための構造として、機内空間と軸受保持空間に空気を送り込む流路およびロータシャフトと同期回転するファンを形成することが提案されている(特許文献4)。
電動機および発電機等の回転電機は、回転軸に回転子鉄心と磁石やコイルを備えた回転子と、固定子鉄心に固定しコイルが巻回された固定子とを備えた構造となる。このような回転電機は、回転すると固定子や回転子の損失による温度上昇があるが、その温度上昇を抑えるために内部空気を循環させて冷却する構造が一般的である。
また回転子では、回転子鉄心、磁石の温度が上昇した場合、磁石の減磁作用が発生し、磁力や保持力の低下に伴う性能の低下を招く可能性がある。
さらに密閉型回転電機の場合、機内の対流が少なくコイルや磁石の温度が局所的に上昇する恐れもある。そのため、温度上昇したコイルや回転子鉄心および磁石に伝わる熱を均一に冷却する必要がある。
さらに密閉型回転電機の場合、機内の対流が少なくコイルや磁石の温度が局所的に上昇する恐れもある。そのため、温度上昇したコイルや回転子鉄心および磁石に伝わる熱を均一に冷却する必要がある。
また車両駆動用ユニットに適用される電動機は、減速機を介して車両に必要な大トルクを得る構成であり、減速比によっては電動機には高速回転が要求され、10000min−1以上の回転数が要求されることもある。高速回転域では、永久磁石の発生する鉄損の影響が大きく、回転子鉄心および永久磁石の発熱が大きく、熱減磁に至る可能性がある。
特許文献1では、構造の複雑な内部ファンを配置しなければならないうえ、軸方向に圧力勾配を形成するための構造が複雑となる。これにより製造コストが高くなる。
特許文献2では、螺旋形状を組立構造で実現することが難しく、また螺旋溝では、空気の移動量を多くすることができず、冷却能力が小さい。
特許文献2では、螺旋形状を組立構造で実現することが難しく、また螺旋溝では、空気の移動量を多くすることができず、冷却能力が小さい。
特許文献3では、ロータ内および空隙を通過した冷媒は、ロータ中央部で、径方向外周に抜ける構造が示されているが、固定子にはコイルが巻回されており、また積層鋼板から形成される固定子の軸方向中央部に径方向への通風路を形成することは組立工程において複雑となり、コストが高くなる。
特許文献4の構造は、外気を機内に取り入れる構造となり、泥水環境に曝される自動車の駆動用には適さない。
特許文献4の構造は、外気を機内に取り入れる構造となり、泥水環境に曝される自動車の駆動用には適さない。
この発明の目的は、泥水環境に曝される自動車の駆動用に適用される電動機において、構造を簡単化し冷却性能の向上を図ることができる電動機の冷却構造を提供することである。
この発明の電動機の冷却構造は、コイルが巻回された固定子鉄心を有する円環状の固定子と、
前記固定子鉄心の内周に環状隙間を介して設けられる回転子鉄心を有し、この回転子鉄心が円周方向に複数の永久磁石を有する回転子と、
前記回転子鉄心の内周面に設けられたロータシャフトと、
前記回転子を冷却する冷却機構と、を備えた電動機の冷却構造であって、
前記回転子鉄心は、前記環状隙間に連通する軸方向隙間を隔てて軸方向両側に配置された二つの回転子鉄心分割体を有し、各回転子鉄心分割体の内周側に、前記軸方向隙間に連通する軸方向に沿って延びる連通路が形成され、
前記冷却機構は、冷却用冷媒を、前記連通路、前記軸方向隙間、および前記環状隙間にわたって順次循環させる循環経路を有することを特徴とする。
前記固定子鉄心の内周に環状隙間を介して設けられる回転子鉄心を有し、この回転子鉄心が円周方向に複数の永久磁石を有する回転子と、
前記回転子鉄心の内周面に設けられたロータシャフトと、
前記回転子を冷却する冷却機構と、を備えた電動機の冷却構造であって、
前記回転子鉄心は、前記環状隙間に連通する軸方向隙間を隔てて軸方向両側に配置された二つの回転子鉄心分割体を有し、各回転子鉄心分割体の内周側に、前記軸方向隙間に連通する軸方向に沿って延びる連通路が形成され、
前記冷却機構は、冷却用冷媒を、前記連通路、前記軸方向隙間、および前記環状隙間にわたって順次循環させる循環経路を有することを特徴とする。
この構成によると、回転子が回転しているとき、各回転子鉄心分割体の内周側に形成された連通路における軸方向一端側から軸方向他端側に流入した冷却用冷媒(単に「冷媒」という場合がある)は、前記軸方向隙間を通って、回転子の外径側に遠心効果により導かれる。回転子の外径まで来た冷媒は、環状隙間や、固定子の例えばスロット間の隙間等を介して、軸方向中央部から軸端方向に向かって流れていく。
軸方向隙間を隔てて軸方向両側に配置された二つの回転子鉄心分割体を構成したうえで、冷却機構が、冷媒を、回転子鉄心分割体の連通路、軸方向隙間、および環状隙間にわたって順次循環させることで、回転子を冷却することができる。この場合、従来の螺旋状空間や固定子の軸方向中央部に径方向への通風路を形成するもの等に比べて、簡単な構造で冷却構造を実現でき、冷却性能の向上を図ることができる。冷却構造を簡単化できる分、コスト低減を図ることができる。また外気を機内に取り入れる構造を採用する必要がないため、泥水環境に曝される自動車の駆動用に適する。
前記各回転子鉄心分割体の軸方向端部に、これら回転子鉄心分割体と同期回転する翼部がそれぞれ設けられたものであっても良い。この場合、回転子が回転することで翼部も回転するため、翼部で生じた圧力勾配により冷媒が循環経路に沿ってより流れ易くなる。また翼部が回転子鉄心分割体と同期回転するため、翼部のみを回転駆動する別の駆動源を必要とせず、構造を簡単化することができる。
前記翼部は、前記回転子が定められた正転方向に回転しているとき、
前記冷却用冷媒を、前記連通路における軸方向一端側から軸方向他端側を経由させて、前記軸方向隙間に送風する第1の翼列と、
前記冷却用冷媒を、前記軸方向隙間から前記環状隙間に沿う前記軸方向他端側から前記軸方向一端側に、前記連通路とは送風の方向が逆向きに送風する第2の翼列と、を有するものであっても良い。
前記定められた正転方向は、試験やシミュレーション等の結果により定められる。
前記冷却用冷媒を、前記連通路における軸方向一端側から軸方向他端側を経由させて、前記軸方向隙間に送風する第1の翼列と、
前記冷却用冷媒を、前記軸方向隙間から前記環状隙間に沿う前記軸方向他端側から前記軸方向一端側に、前記連通路とは送風の方向が逆向きに送風する第2の翼列と、を有するものであっても良い。
前記定められた正転方向は、試験やシミュレーション等の結果により定められる。
この場合、回転子が正転方向に回転しているとき、第1の翼列は、冷媒を、連通路における軸方向一端側から軸方向他端側を経由させて、軸方向隙間に送風する。さらに第2の翼列は、冷媒を、軸方向隙間から環状隙間に沿う軸方向他端側から軸方向一端側に、連通路とは送風の方向が逆向きに送風する。このように第1,第2の翼列が冷媒を互いに逆向きに送風することで、冷媒を循環経路に沿って円滑に且つ効率良く循環させることができる。したがって、冷却性能の向上をさらに図れる。
前記第1の翼列と前記第2の翼列とは、環状の隔壁を介して設けられていても良い。この場合、例えば、第1,第2の翼列および環状の隔壁を金型等により一体成型し得る。この場合、第1の翼列と前記第2の翼列とを例えば別部品で構成するよりも、組立工数の低減を図り、コスト低減を図ることができる。
前記第1の翼列の位相と前記回転子鉄心分割体の前記連通路の位相とを一致させても良い。前記「一致」とは、略一致も含む。この構成によると、第1の翼列で生じた圧力勾配により送風された冷媒を、そのまま連通路に円滑に導くことができる。
前記回転子鉄心分割体の外周面は、前記軸方向隙間に臨む軸方向一端側の外周面から軸方向他端側の外周面に向かうに従って縮径するテーパ形状に形成されていても良い。このテーパ形状により、前記軸方向一端側の外周面と前記軸方向他端側の外周面とで圧力勾配が発生し、前記軸方向一端側の外周面で圧力が高く、前記軸方向他端側の外周面で圧力が相対的に低くなる。このため、前記軸方向一端側の外周面から噴出した冷媒が前記軸方向他端側の外周面により流れ易くなる。
この発明の電動機の冷却構造は、コイルが巻回された固定子鉄心を有する円環状の固定子と、前記固定子鉄心の内周に環状隙間を介して設けられる回転子鉄心を有し、この回転子鉄心が円周方向に複数の永久磁石を有する回転子と、前記回転子鉄心の内周面に設けられたロータシャフトと、前記回転子を冷却する冷却機構とを備えた電動機の冷却構造であって、前記回転子鉄心は、前記環状隙間に連通する軸方向隙間を隔てて軸方向両側に配置された二つの回転子鉄心分割体を有し、各回転子鉄心分割体の内周側に、前記軸方向隙間に連通する軸方向に沿って延びる連通路が形成され、前記冷却機構は、冷却用冷媒を、前記連通路、前記軸方向隙間、および前記環状隙間にわたって順次循環させる循環経路を有する。このため、泥水環境に曝される自動車の駆動用に適用される電動機において、構造を簡単化し冷却性能の向上を図ることができる。
この発明の実施形態に係る電動機の冷却構造を図1ないし図5と共に説明する。この電動機は、例えば、自動車の駆動用に適用される。この電動機を自動車に取り付けた状態で自動車の車幅方向の外側寄りとなる側をアウトボード側と呼び、自動車の車幅方向の中央寄りとなる側をインボード側と呼ぶ。
図1に示すように、電動機は、ハウジング1と、固定子2と、回転子3と、ロータシャフト4と、回転子3を冷却する冷却機構5とを有する。この電動機は、ハウジング1内に固定した固定子2と、回転子3との間に環状隙間δ1を設けたいわゆるラジアルギャップ型のIPMモータ(埋込磁石型同期モータ)である。
ハウジング1は、有底円筒状のハウジング本体1aと、このハウジング本体1aの開口部1aaを塞ぐリヤカバー1bとを有する。このハウジング1内に、固定子2、回転子3、ロータシャフト4の大部分、および冷却機構5が設けられる。ハウジング本体1aの底部を成す軸方向一端部(アウトボード側端部)に、ハウジング1内つまりインボード側に向けて所定距離突出する環状の突出部6が設けられている。リヤカバー1bのアウトボード側の内面には、前記環状の突出部6に対して互いに対向する環状の突出部6が設けられている。
各環状の突出部6の内周面に、それぞれ軸受7,7を介してロータシャフト4が回転自在に支持されている。このロータシャフト4のアウトボード側端はハウジング1より軸方向に突出して図示外の減速機等に連結される。ハウジング本体1aのうち突出部6が形成されロータシャフト4の一部が突出する孔1abには、ハウジング1内に泥水等の異物が浸入することを防ぐ環状のシール部材8が設けられている。
またハウジング本体1aの外筒部10には、外部に設置された熱交換器(図示せず)と熱交換するための冷媒が流れる環状の流路9(外筒水冷の流路9)が形成されている。前記冷媒として、冷却水や冷却油が用いられる。環状の流路9は、固定子2が設けられる軸方向位置に略合わせてハウジング本体1aの外筒部10に形成される。冷媒を図示外のポンプから配管類を経由して前記流路9に導くことで、固定子2が冷却される。冷却に供された冷媒は前記熱交換器を経由して図示外のタンクに戻り一旦貯留され、前記ポンプにより前記流路9に再び導かれる。
図2に示すように、固定子2は、軟質磁性材料からなる固定子鉄心2aと、この固定子鉄心2aに巻回されたコイル2bとを有する円環状の部材である。固定子鉄心2aは、外周面が断面円形とされたリング状で、その内周面に内径側に突出する複数のティース2aaが円周方向に並んで形成されている。コイル2bは、各ティース2aaに巻回されている。
図1に示すように、ハウジング本体1aの内周面に、固定子鉄心2aの外周面が嵌合固定される。またハウジング本体1aの内周面に、固定子鉄心2aを位置決めするための環状の段差1ac,1adが形成される。これら段差1ac,1adは固定子鉄心2aの軸方向長さに合わせて形成される。ハウジング本体1aの内周面は、アウトボード側からインボード側に向けて順次、小径部、中径部、および大径部とを含む。ハウジング本体1aの前記中径部の内周面に固定子鉄心2aが嵌合されている。前記中径部と前記小径部との段差1acに、固定子鉄心2aのアウトボード側端が当接され、前記中径部と前記大径部との段差1adに嵌め込まれた止め輪11等により固定子鉄心2aのインボード側端がハウジング本体1aに拘束される。
図1,図2に示すように、回転子3は、固定子鉄心2aの内周に環状隙間δ1を介して設けられる回転子鉄心12と、この回転子鉄心12に内蔵される複数の永久磁石13とを有する。これら永久磁石13は、円周方向一定間隔おきに配列される。この永久磁石13には、例えば、ネオジウム系磁石が用いられている。回転子鉄心12は、環状隙間δ1に連通する軸方向隙間δ2を隔てて軸方向両側に配置される第1,第2の回転子鉄心分割体12a,12bを有する。各回転子鉄心分割体12a,12bは軟質磁性材料からなる。
前記ロータシャフト4の外周面のうち軸方向中間付近部には、径方向外方に所定距離突出するフランジ4aが形成されている。このフランジ4aは、第1,第2の回転子鉄心分割体12a,12bを位置決めすると共に前記軸方向隙間δ2を形成するための環状突起である。各回転子鉄心分割体12a,12bは、それぞれロータシャフト4の外周面に嵌合されるうえ、第1,第2の回転子鉄心分割体12a,12bの互いに対向する端部がフランジ4aの両端にそれぞれ当接して位置決めされる。
第1の回転子鉄心分割体12aと第2の回転子鉄心分割体12bは、それぞれに内蔵される永久磁石13の位相が同位相で配置されても良いし、位相差をもって配置されても良い。永久磁石13が位相差をもって配置される場合には、電動機のトルクリップルを低減させるためのスキュー効果となる。
図5に示すように、冷却機構5は、冷媒を、第1,第2の回転子鉄心分割体12a,12bの連通路14(後述する)、軸方向隙間δ2、環状隙間δ1および隣合うティース2aa,2aa(図2)間の隙間にわたって順次循環させる循環経路を有する。各回転子鉄心分割体12a,12bの外周面は、軸方向隙間δ2に臨む軸方向一端側の外周面から軸方向他端側の外周面に向かうに従って次第に縮径するテーパ形状に形成されている。
このテーパ形状により、前記軸方向一端側の外周面と前記軸方向他端側の外周面とで圧力勾配が発生し、前記軸方向一端側の外周面で圧力が高く、前記軸方向他端側の外周面で圧力が相対的に低くなる。このため、前記軸方向一端側の外周面から噴出した冷媒が前記軸方向他端側の外周面により流れ易くなる。この実施形態の冷却機構5は、回転子3の遠心効果、回転子鉄心分割体12a,12bにおける外周面のテーパ形状による圧力勾配、および後述する翼部15による圧力勾配により、冷媒を前記循環経路に沿って循環させる。
図1に示すように、各回転子鉄心分割体12a,12bのうち、フランジ4aに当接する端部とは逆側の軸方向端部に、翼部15,15がそれぞれ設けられている。これら翼部15,15は、第1,第2の回転子鉄心分割体12a,12bと同期回転する。これら翼部15,15は、同一構造で同一の作用効果を奏するため、一方の翼部15についてのみ詳細に説明し、他方の翼部15については一方の翼部15と同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図3は、この電動機の翼部15を示す正面図である。翼部15は、リング状部材16と、第1の翼列17と、隔壁18と、第2の翼列19とを有する。これらは例えば金型等により一体成型し得る。図1に示すように、リング状部材16は、ロータシャフト4に嵌合され、さらに環状の押え部材20により回転子鉄心分割体12a(12b)に押え付けられて固定されている。
リング状部材20は、ロータシャフト4の外周面に締め代を持った嵌め合い固定でも良いし、隙間嵌めまたは中間嵌めでも良い。押え部材20は、ロータシャフト4に締め代を持って嵌合しても良いし、別途用意した接着剤等の固定材(図示せず)でロータシャフト4に固定されていても良い。また、押え部材20はロータシャフト4に機械的に固定されていても良い。
図1および図3に示すように、リング状部材16の外周面に、第1の翼列17が円周方向一定間隔おきに放射状に並ぶ。図5に示すように、第1の翼列17は、回転子3が正転方向に回転しているとき、回転子鉄心分割体12a(12b)を冷却する冷媒を、連通路14における軸方向一端側から軸方向他端側を経由させて、前記軸方向隙間δ2に送風する翼形状に構成される。
各回転子鉄心分割体12a,12bの内周側に、前記軸方向隙間δ2に連通する軸方向に沿って延びる連通路14が複数形成されている。図2に示すように、複数の連通路14は、円周方向一定間隔おきに形成されている。この実施形態では、第1の翼列17の位相とこれら連通路14の位相とを一致させている。また第1の翼列17の翼数(この例では8枚)と連通路14の個数(この例では8個)は同一に構成される。このように第1の翼列17の翼数と連通路14の個数が同一で、且つ、第1の翼列17の位相と複数の連通路14の位相とが同位相に構成されていることにより、第1の翼列17で生じた圧力勾配により送風された冷媒が、そのまま連通路14に円滑に導かれ得る。
図3および図5に示すように、第1の翼列17の外径側端に、流路を隔離するための環状の隔壁18を介して、第2の翼列19が円周方向一定間隔おきに放射状に並ぶように設けられる。第2の翼列19は、回転子3が正転方向に回転しているとき、冷媒を、軸方向隙間δ2から環状隙間δ1および隣合うティース2aa,2aa(図2)間の隙間に沿って、連通路14とは送風の方向が逆向きに送風する翼形状に構成される。
前述したように第1の翼列17と第2の翼列19は、回転子3が正転方向に回転しているとき、冷媒を互いに逆方向に送風できるように形成されている。
第2の翼列19の外周面は、各回転子鉄心分割体12a,12bの外周面および固定子鉄心2aの内周面よりも大径に形成される。これにより、回転子3と固定子2との間の環状隙間δ1および隣合うティース2aa,2aa(図2)間の隙間から軸方向に沿って冷媒を確実に送風し得る。また第2の翼列19の外周面は、コイルエンド(図1)の内周面よりも小径に形成される。これにより第2の翼列19とコイル2bとの干渉を防止し得る。
第2の翼列19の外周面は、各回転子鉄心分割体12a,12bの外周面および固定子鉄心2aの内周面よりも大径に形成される。これにより、回転子3と固定子2との間の環状隙間δ1および隣合うティース2aa,2aa(図2)間の隙間から軸方向に沿って冷媒を確実に送風し得る。また第2の翼列19の外周面は、コイルエンド(図1)の内周面よりも小径に形成される。これにより第2の翼列19とコイル2bとの干渉を防止し得る。
環状の隔壁18は、第1,第2の翼列17,19の翼高さH1,H2(図5)よりも高く形成されている。さらに、この隔壁18は、ハウジング1の内壁面近くまで延伸している。これにより、連通路14、軸方向隙間δ2、環状隙間δ1およびティース間隙間を通って流れる冷媒は、第2の翼列19を通過した後に、隔壁18の延伸部分18aに沿って流れハウジング1(つまりハウジング本体1aとリヤカバー1b)の内面まで導かれる。
隔壁18のうち、各翼列17,19よりも軸方向に延びる延伸部分18aは、円筒形状から成る円環状に形成しても良いし、ハウジング1の内面の外径部分に導くために、軸方向先端に向かうに従って径方向外側に至るように傾斜するテーパ形状に形成されていても良い。図1および図5の断面図では上下に異なる隔壁形状を示しているが、円筒形状、テーパ形状のいずれか一方の隔壁18が選択される。
図4は、図1のIV-IV線断面図である。図1および図4に示すように、ハウジング本体1a内のインボード側の内面、リヤカバー1bのアウトボード側の内面には、放射状に延びる複数のフィン21がそれぞれ設けられている。これらフィン21は円周方向一定間隔おきに設けられている。フィン21は、加熱した回転子3によって温められた冷媒と、ハウジング1の内面との間で熱交換を行う機能を有する。
以上説明した電動機の冷却構造によると、軸方向隙間δ2を隔てて軸方向両側に配置された二つの回転子鉄心分割体12a,12bを構成したうえで、冷却機構5が、冷媒を、回転子鉄心分割体12a,12bの連通路14、軸方向隙間δ2、および環状隙間δ1にわたって順次循環させることで、回転子3を冷却することができる。この場合、従来の螺旋状空間や固定子の軸方向中央部に径方向への通風路を形成するもの等に比べて、簡単な構造で冷却構造を実現でき、冷却性能の向上を図ることができる。冷却構造を簡単化できる分、コスト低減を図ることができる。また外気を機内に取り入れる構造を採用する必要がないため、泥水環境に曝される自動車の駆動用に適する。
各回転子鉄心分割体12a,12bの軸方向端部に、これら回転子鉄心分割体12a,12bと同期回転する翼部15がそれぞれ設けられるため、翼部15で生じた圧力勾配により冷媒が循環経路に沿ってより流れ易くなる。また翼部15が回転子鉄心分割体12a,12bと同期回転するため、翼部15のみを回転駆動する別の駆動源を必要とせず、構造を簡単化することができる。
回転子3が正転方向に回転しているとき、第1の翼列17は、冷媒を、連通路14における軸方向一端側から軸方向他端側を経由させて、軸方向隙間δ2に送風する。さらに第2の翼列19は、冷媒を、軸方向隙間δ2から環状隙間δ1に沿う軸方向他端側から軸方向一端側に、連通路14とは送風の方向が逆向きに送風する。このように第1,第2の翼列17,19が冷媒を互いに逆向きに送風することで、冷媒を循環経路に沿って円滑に且つ効率良く循環させることができる。したがって、冷却性能の向上をさらに図れる。
実施形態の電動機は、IPMモータ(埋込磁石型同期モータ)が適用されているが、各回転子鉄心分割体の外周面に永久磁石を設けたいわゆるSPMモータを適用しても良い。
以上、実施形態に基づいてこの発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
以上、実施形態に基づいてこの発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2…固定子
2a…固定子鉄心
2b…コイル
3…回転子
4…ロータシャフト
5…冷却機構
12…回転子鉄心
12a,12b…第1,第2の回転子鉄心分割体
13…永久磁石
15…翼部
17…第1の翼列
18…隔壁
19…第2の翼列
2a…固定子鉄心
2b…コイル
3…回転子
4…ロータシャフト
5…冷却機構
12…回転子鉄心
12a,12b…第1,第2の回転子鉄心分割体
13…永久磁石
15…翼部
17…第1の翼列
18…隔壁
19…第2の翼列
Claims (6)
- コイルが巻回された固定子鉄心を有する円環状の固定子と、
前記固定子鉄心の内周に環状隙間を介して設けられる回転子鉄心を有し、この回転子鉄心が円周方向に複数の永久磁石を有する回転子と、
前記回転子鉄心の内周面に設けられたロータシャフトと、
前記回転子を冷却する冷却機構と、を備えた電動機の冷却構造であって、
前記回転子鉄心は、前記環状隙間に連通する軸方向隙間を隔てて軸方向両側に配置された二つの回転子鉄心分割体を有し、各回転子鉄心分割体の内周側に、前記軸方向隙間に連通する軸方向に沿って延びる連通路が形成され、
前記冷却機構は、冷却用冷媒を、前記連通路、前記軸方向隙間、および前記環状隙間にわたって順次循環させる循環経路を有することを特徴とする電動機の冷却構造。 - 請求項1に記載の電動機の冷却構造において、前記各回転子鉄心分割体の軸方向端部に、これら回転子鉄心分割体と同期回転する翼部がそれぞれ設けられた電動機の冷却構造。
- 請求項2に記載の電動機の冷却構造において、
前記翼部は、前記回転子が定められた正転方向に回転しているとき、
前記冷却用冷媒を、前記連通路における軸方向一端側から軸方向他端側を経由させて、前記軸方向隙間に送風する第1の翼列と、
前記冷却用冷媒を、前記軸方向隙間から前記環状隙間に沿う前記軸方向他端側から前記軸方向一端側に、前記連通路とは送風の方向が逆向きに送風する第2の翼列と、を有する電動機の冷却構造。 - 請求項3に記載の電動機の冷却構造において、前記第1の翼列と前記第2の翼列とは、環状の隔壁を介して設けられている電動機の冷却構造。
- 請求項3または請求項4に記載の電動機の冷却構造において、前記第1の翼列の位相と前記回転子鉄心分割体の前記連通路の位相とを一致させた電動機の冷却構造。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の電動機の冷却構造において、前記回転子鉄心分割体の外周面は、前記軸方向隙間に臨む軸方向一端側の外周面から軸方向他端側の外周面に向かうに従って縮径するテーパ形状に形成されている電動機の冷却構造。
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JP2015183688A JP2017060319A (ja) | 2015-09-17 | 2015-09-17 | 電動機の冷却構造。 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2015
- 2015-09-17 JP JP2015183688A patent/JP2017060319A/ja active Pending
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