JP4003228B2 - 空冷モータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば工作機械用主軸の駆動用などに用いられる空冷モータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば工作機械用主軸の駆動用などに用いられる空冷モータは、図4、5のようになっている。図4は第1の従来技術を示すロータコア内径部に冷却風通路が適用される空冷モータであって、(a)はそのロータとモータ軸を示す側断面図、(b)は(a)のB―B線に沿う正断面図である。図5は第2の従来技術を示すモータ軸に冷却風通路が適用される空冷モータであって、(a)はそのロータとモータ軸を示す側断面図、(b)は(a)のC―C線に沿う正断面図である。
【0003】
(第1の従来技術)まず、図4に示すロータ側に冷却風通路を設ける場合としては、積層鉄心からなるロータコア9の軸方向に向かって、その内径部に矩形状または円弧状などに切欠いた溝を有する冷却風通路15を形成すると共に、該ロータコア9をモータ軸10に固着させ、図示しない負荷側ブラケットに設けた冷却孔などから取り入れた冷却風を冷却風通路15に導き、冷却風がロータコア内径側を通過するときにロータコア9で発生した熱を奪うことで、ロータコア9を冷却するようになっている。
【0004】
(第2の従来技術)また、図5に示すモータ軸側に冷却風通路を設ける場合としては、モータ軸10外周の軸方向に溶接などの方法で放射状に固着させた複数のリブ16を設け、該リブ16の外周に、積層鉄心からなるロータコア9を固着させ、複数のリブ16間と該ロータコア9で囲まれた空間を冷却風通路15とする方法がある。第2の従来技術も図4の場合と同様に、負荷側ブラケットの冷却孔(不図示)などから取り入れた冷却風をモータ軸10の冷却風通路15に導き、冷却風がロータコア9内径側を通過するときにロータコア9で発生した熱を奪い、ロータコア9を冷却する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来技術では、以下の問題があった。
(第1の従来技術)ロータコア9に冷却風通路となる切欠き溝を設ける範囲が必要なため、モータ軸10の径が比較的小さめとなり十分な剛性を持つことができず、ロータコア9を焼きばめなどの方法でモータ軸10に固着させると、モータ軸10に曲がりが生じやすく、モータ出力軸の振れ精度の悪化や回転速度の上昇に伴い振動が増大していた。また、ロータコア内径部に切欠き溝があるため、磁束を有効に利用するためのロータコア9のヨーク有効範囲が大きく取れずモータ出力特性などに悪影響を与えていた。
【0006】
(第2の従来技術)ロータコア9とモータ軸10を、リブ16のみで固着させることになるため、ロータコア9とモータ軸10との間に生じる応力が複数のリブ16との固着部に集中し不均等な応力状態になり易いことや、リブ16の溶接時における残留応力の影響が、モータ運転時のロータ発熱時にモータ軸10の曲がりやロータコア9の変形につながり、この場合においてもモータ出力軸の振れ精度の悪化や回転速度の上昇に伴い振動が増大していた。
【0007】
上記第1の従来技術および第2の従来技術いずれも、モータ内部に負荷側ブラケットの冷却孔(不図示)などから取り入れた冷却風をロータコア9の冷却風通路15に導く際、該冷却風に混在している水や塵埃などの異物が図示しないステータコイルに侵入し、故障の要因となっていた。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、モータ軸の剛性を十分に確保し、曲りや変形による振動を減少させることができ、また、ステータコイルを冷却風に混入している水や塵埃などの異物から保護することができる空冷モータを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、請求項1の本発明は、積層鉄心からなるステータコアの軸方向に沿って設けた複数の冷却孔と、前記ステータコアと磁気的空隙を介して設けられた積層鉄心からなるロータコアを外周に固着したモータ軸と、前記モータ軸の先端部を突出させて前記ステータコア先端部を支持する負荷側ブラケットと、前記モータ軸の後端部を突出させてステータコアの後端部を支持する反負荷側ブラケットと、前記反負荷側ブラケットの外周に空間を介して設けられて前記ステータコアの後端部を密閉するハウジングと、前記ハウジングの後方に強制空冷用ファンを設けたファンユニットとを備え、前記冷却孔から前記ハウジングと前記反負荷側ブラケットに囲まれた空間に向かって冷却風を流すようにした空冷モータにおいて、前記負荷側ブラケットと前記反負荷側ブラケットは、複数の冷却孔を有すると共に、該負荷側ブラケットの冷却孔から取り入れた冷却風を前記モータ軸に導くと同時に前記ステータコアに備えられたコイルを覆うように設けられたガイドを有してあり、前記モータ軸は、前記負荷側ブラケットの冷却孔から取り入れた冷却風を前記反負荷側ブラケットの冷却孔に向かって流すための複数の貫通穴を設けてあり、前記モータ軸に設けた複数の貫通穴間に放射状のフィンを設けたことを特徴としている。
請求項2の本発明は、請求項1記載の空冷モータにおいて、前記モータ軸は、前記ガイドとの間でラビリンス構造を形成するように、前記ロータコアの両端に間隙を介して対向配置したディスクを固着したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図に基づいて説明する。図1は本発明の実施例を示すモータ軸に冷却風通路が適用される空冷モータの側断面図、図2は図1のA−A線に沿うロータとモータ軸を示す正断面図、図3は図1のロータとモータ軸を示す正面図である。図において、1は負荷側ブラケット、2はステータコア、3はコイル、4は反負荷側ブラケット、5は強制冷却用ファン、6はハウジング、7は軸受、8はカバ、9はロータコア、10はモータ軸、11は貫通穴、12は冷却孔、13はガイド、14はフィン、17はディスク、18は冷却孔、19はエンドリングを示したものである。
【0011】
空冷モータは、積層鉄心からなるステータコア2の軸方向に沿って設けた複数の冷却孔18と、ステータコア2と磁気的空隙を介して設けられた積層鉄心からなるロータコア9を外周に固着したモータ軸10と、モータ軸10の先端部を突出させてステータコア2の先端部を支持する負荷側ブラケット1と、モータ軸10の後端部を突出させてステータコア2の後端部を支持する反負荷側ブラケット4と、反負荷側ブラケット4の外周に空間を介して設けられてステータコア2の後端部を密閉するハウジング6と、ハウジング6の後方に強制空冷用ファン5を設けたファンユニットとから構成されており、ステータコア2の冷却孔18と、ハウジング6と反負荷側ブラケット4に囲まれた空間に向かって冷却風Faを流すようになっている。
【0012】
特に、負荷側ブラケット1と反負荷側ブラケット4は、複数の冷却孔12を有すると共に、負荷側ブラケット1の冷却孔12から取り入れた冷却風Faをモータ軸10に導くと同時にステータコア2に備えられたコイル3を覆うように設けられたガイド13を有しており、負荷側ブラケット1の冷却孔12から取り入れた冷却風Faを反負荷側ブラケット4の冷却孔12に向かって流すことができるようモータ軸10に複数の貫通穴11が設けられている。なお、ロータコア9は内径側に全く切り欠き溝のないものを積層したもので、モータ軸10に対して焼きばめなどの方法でロータコア9の内径部全周で均等に嵌合されている。また、モータ軸10は、ガイド13との間でラビリンス構造を形成するように、ロータコア9の両端にあるエンドリング19と間隙を介して対向配置したディスク17が固着されている。さらに、モータ軸10に設けた複数の貫通穴11間に放射状のフィン14が設けられている。
【0013】
次に動作について説明する。モータ後端に備えられた強制冷却用ファン5により冷却風Faがモータ前端部からステータコア2に設けられた冷却孔18と負荷側ブラケット1に設けられた冷却孔12に導かれる。ステータコア2に導かれた冷却風Faはステータコア後端部に移動する間にステータコア2から熱を奪いステータコア2を冷却する。その後強制冷却用ファン5から外部に排気される。また、負荷側ブラケット1に設けられた冷却孔12から導かれた冷却風Faはガイド13、ディスク17および負荷側ブラケット1により形成された通路を通りモータ軸10に設けた複数の貫通穴11に導かれる。貫通穴11に導かれた冷却風Faはモータ軸後端部に移動する間にモータ軸10から熱を奪い、モータ軸10を冷却することでモータ軸10に固着されているロータ9を冷却する。その後反負荷側ブラケット4に設けられた冷却孔12を通り強制空冷用ファン5から外部に排気される。この一連の動作において、貫通穴11の出口部に放射状に設けられたフィン14により発生する負圧によって、貫通穴11を通る冷却風Faの風量、風速が増加し、冷却効果が向上する。
【0014】
したがって、本発明の実施例は、貫通穴11を設けたモータ軸10に、内径部に切欠き溝のないロータコア9を積層してなるロータを焼きばめなどの方法でモータ軸10に嵌合させているため、モータ軸10の径を大きくすることができ十分な剛性を持たせることができる。そのためモータ軸10の曲がりが生じにくい。さらに、ロータコア9とモータ軸10を、リブを設けた部分のみでなく、ロータコア9の内径部全周で均等に固着させることになるため、ロータコア9とモータ軸10との間に生じる応力が、第2の従来技術に示した複数のリブとの固着部に集中し不均等な応力状態になることがなく、リブ溶接の残留応力の影響もない。そのため、モータ軸10の振れ精度が向上でき、回転速度の上昇に伴い振動が増大することもない。また、本発明の実施例は、第1の従来技術に示したロータコア9の内径部に切欠き溝がないため、磁束を有効に利用するためのロータコア9のヨーク有効範囲が大きく取れモータ出力などのモータ特性に悪影響を与えることもない。さらにディスク17とガイド13とでラビリンス構造を形成しているため、モータ内部に冷却風Faを取り入れる場合でも、コイル3を冷却風Faに混在している水や塵埃などの異物から保護することができる。また、ディスク17は、内径部に通風路用の穴などがなくロータコア9との間に隙間を設けて外周に切欠きなどのないモータ軸10に固着させているため、モータ運転時のロータの熱膨張や収縮によりディスク17の固着位置がずれることもなく、この隙間から異物が侵入して故障を引き起こすこともない。また、ディスク17は内径部単純な円形で特殊形状でないため、コスト上昇の要因となることもない。さらにまた、貫通穴11の冷却風出口部には放射状にフィン14が設けられているため、強制冷却用ファン5による効果に加え、フィン14により発生する負圧により貫通穴11の負荷側から反負荷側を通る冷却風Faの風量、風速を増加することができ、冷却効果が向上できる。
【0015】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば以下の効果がある。
(1)貫通穴を設けたモータ軸に、内径部に切欠き溝のないロータコアを積層してなるロータを焼きばめなどの方法でモータ軸に嵌合させているので、モータ軸の径を大きくすることができ十分な剛性を持たせることができる。そのためモータ軸の曲がりが生じにくい。さらに、ロータコアとモータ軸を、リブを設けた部分のみでなく、ロータコアの内径部全周で均等に固着させることになるため、ロータコアとモータ軸との間に生じる応力が、第2の従来技術に示した複数のリブとの固着部に集中し不均等な応力状態になることがなく、リブ溶接の残留応力の影響もない。そのため、モータ軸の振れ精度が向上でき、回転速度の上昇に伴い振動が増大することもない。
(2)また、本実施例は、第1の従来技術に示したロータコアの内径部に切欠き溝がないため、磁束を有効に利用するためのロータコアのヨーク有効範囲が大きく取れモータ出力などのモータ特性に悪影響を与えることもない。
(3)さらにディスクとガイドとでラビリンス構造を形成しているため、モータ内部に冷却風を取り入れる場合でも、コイルを冷却風に混在している水や塵埃などの異物から保護することができる。また、ディスクは、内径部に通風路用の穴などがなくロータコアとの間に隙間を設けて外周に切欠きなどのないモータ軸10に固着させているため、モータ運転時のロータの熱膨張や収縮によりディスク17の固着位置がずれることもなく、この隙間から異物が侵入して故障を引き起こすこともない。また、ディスク17は単純な円形で特殊形状でないため、コスト上昇の要因となることもない。
(4)また、貫通穴11の冷却風出口部には放射状にフィン14が設けられているため、強制冷却用ファン5による効果に加え、フィン14により発生する負圧により貫通穴11の負荷側から反負荷側を通る冷却風Faの風量、風速を増加することができ、冷却効果が向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すモータ軸に冷却風通路が適用される空冷モータの側断面図である。
【図2】図1のA−A線に沿うロータとモータ軸を示す正断面図である。
【図3】図1のロータとモータ軸を示す正面図である。
【図4】第1の従来技術を示すロータコア内径部に冷却風通路が適用される空冷モータであって、(a)はそのロータとモータ軸を示す側断面図、(b)は(a)のB―B線に沿う正断面図である。
【図5】第2の従来技術を示すモータ軸に冷却風通路が適用される空冷モータであって、(a)はそのロータとモータ軸を示す側断面図、(b)は(a)のC―C線に沿う正断面図である。
【符号の説明】
1 負荷側ブラケット
2 ステータコア
3 コイル
4 反負荷側ブラケット
5 強制冷却用ファン
6 ハウジング
7 軸受
8 カバ
9 ロータコア
10 モータ軸
11 貫通穴
12 冷却孔
13 ガイド
14 フィン
15 冷却風通路
16 リブ
17 ディスク
18 冷却孔
19 エンドリング

Claims (2)

  1. 積層鉄心からなるステータコアの軸方向に沿って設けた複数の冷却孔と、
    前記ステータコアと磁気的空隙を介して設けられた積層鉄心からなるロータコアを外周に固着したモータ軸と、
    前記モータ軸の先端部を突出させて前記ステータコア先端部を支持する負荷側ブラケットと、
    前記モータ軸の後端部を突出させてステータコアの後端部を支持する反負荷側ブラケットと、
    前記反負荷側ブラケットの外周に空間を介して設けられて前記ステータコアの後端部を密閉するハウジングと、
    前記ハウジングの後方に強制空冷用ファンを設けたファンユニットと
    を備え、
    前記冷却孔から前記ハウジングと前記反負荷側ブラケットに囲まれた空間に向かって冷却風を流すようにした空冷モータにおいて、
    前記負荷側ブラケットと前記反負荷側ブラケットは、複数の冷却孔を有すると共に、該負荷側ブラケットの冷却孔から取り入れた冷却風を前記モータ軸に導くと同時に前記ステータコアに備えられたコイルを覆うように設けられたガイドを有してあり、
    前記モータ軸は、前記負荷側ブラケットの冷却孔から取り入れた冷却風を前記反負荷側ブラケットの冷却孔に向かって流すための複数の貫通穴を設けてあり、
    前記モータ軸に設けた複数の貫通穴間に放射状のフィンを設けたことを特徴とする空冷モータ。
  2. 前記モータ軸は、前記ガイドとの間でラビリンス構造を形成するように、前記ロータコアの両端に間隙を介して対向配置したディスクを固着したことを特徴とする請求項1記載の空冷モータ。
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