JP2002142393A - 回転機 - Google Patents

回転機

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JP2002142393A
JP2002142393A JP2000338020A JP2000338020A JP2002142393A JP 2002142393 A JP2002142393 A JP 2002142393A JP 2000338020 A JP2000338020 A JP 2000338020A JP 2000338020 A JP2000338020 A JP 2000338020A JP 2002142393 A JP2002142393 A JP 2002142393A
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rotor
permanent magnet
magnetic
rotating machine
yoke
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JP2000338020A
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English (en)
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Masayuki Hashimoto
公志 橋本
Osamu Noro
治 野呂
Tatsuo Fujii
龍雄 藤井
Yoshinori Seki
美範 関
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Kawasaki Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Kawasaki Heavy Industries Ltd
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  • Permanent Field Magnets Of Synchronous Machinery (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速度回転駆動されるロータを備える回転機
の構成を小形化し、しかも高出力を得ること。 【解決手段】 ガスタービン19に直結される回転機の
ロータ3は、直円柱状の永久磁石片4が、大きい機械的
強度を有する低透磁率磁性材料から成る保持筒5内に焼
き嵌めされて固定される。永久磁石片4には周方向に1
80°の間隔をあけて一対のN,Sの磁極33,34が
形成される。ステータ2はロータ3に同軸のヨーク7
と、ヨーク7から半径方向内方に延びる歯8と、歯8の
相互間を連結する連結片10とを有し、全閉スロット1
1が形成される。スロット11内および/またはヨーク
内には、冷却用空気が導かれ、この空気はガスタービン
19の圧縮機26に吸入される。保持筒5は永久磁石片
4の極間部36で磁気飽和し、漏れ磁束を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転磁極形の発電
機または電動機などの回転機に関し、特にロータがたと
えば105rpmなどの高速度で回転する回転機に関す
る。
【0002】
【従来の技術】回転磁極形永久磁石回転機の第1先行技
術は、特開平6−133480に開示される。この先行
技術では、磁性材料から成るロータ鉄心の表面に瓦状の
永久磁石を配置し、その外周部を、リング状の保持環を
配置したロータを開示する。ロータ鉄心は、そのロータ
の曲げ剛性のほとんどを確保する構成を有する。保持環
は、永久磁石が高速度回転時に遠心力で飛散することを
防ぐ。保持環は、強磁性層と非磁性層との2層から成る
金属組織を有し、これによって磁気抵抗を小さくし、渦
電流損を抑制し、広範囲の運転を可能にしている。
【0003】第2の先行技術は、特開平9−14957
2である。この先行技術では、ロータ鉄心の円周表面に
永久磁石を配置し、永久磁石の外周にリング状薄板を積
層して成る保持環が設けられ、保持環の外周に、高抵抗
材料から成るリング状薄板を積層して成る積層リングが
配置され、この高抵抗リングによって、渦電流損を抑制
する。
【0004】さらに他の先行技術では、ロータ鉄心の外
周に配置された永久磁石を、カーボン繊維強化プラスチ
ック(略称CFRP)を巻付けた構成を有する。
【0005】これらの各先行技術では、ロータ鉄心で、
ロータの曲げ剛性のほとんどを確保するために、ロータ
鉄心の外径を或る程度大きくする必要がある。また空隙
に強磁界を発生させるために、永久磁石はかなりの厚み
が必要になる。前述のCFRPを永久磁石に巻付けて永
久磁石をロータ鉄心に固定する先行技術では、CFRP
が軽量であり、径方向の力に対して強度があるという利
点がある反面、CFRPは曲げ剛性にはほとんど寄与し
ないという欠点もある。
【0006】したがって先行技術では、ロータが大形化
し、高速度回転の実現が難しい。保持環の材料として非
磁性鋼材を用いた構成では、ロータとステータ間の磁気
的空隙距離が大きくなるという欠点がある。
【0007】最近では、回転磁界形永久磁石回転機が小
形で、高速度回転、高出力の要求が高まっており、した
がってステータの鉄損、銅損による発熱が問題となって
いる。この発熱によって、永久磁石が熱減磁を起こすお
それがある。先行技術では、ステータの冷却のために冷
却ファンが装備される。このような冷却用空気をステー
タに吹付けるだけの構成では、ステータを許容温度に抑
えることが難しくなっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、構成
が小形であり、しかも高出力を得ることができる回転
機、発電装置、ロータを提供することである。
【0009】本発明の他の目的は、渦電流損を抑制し、
冷却を効率よく行うことができるようにした回転機、発
電装置、ロータを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】また本発明は、(a)歯
にコイルが巻回されて構成されるステータと、(b)ス
テータに空隙を介して臨むロータであって、径方向に磁
極が形成された棒状の永久磁石片と、永久磁石片が挿入
されて固定され、永久磁石片よりも大きい機械的強度を
有し、ステータ鉄心よりも低い比透磁率を有する磁性材
料から成る保持筒とを有するロータとを含むことを特徴
とする回転機である。
【0011】本発明に従えば、たとえば直円柱状などの
棒状の永久磁石片が、保持筒に挿入されて固定されたロ
ータが用いられる。永久磁石片は、径方向に磁極が形成
され、たとえば周方向に180度ずれて1組の対を成す
磁極が形成されてもよく、あるいはまた複数組の対を成
す磁極が周方向に形成されてもよい。保持筒は、永久磁
石片よりも高張力の機械的強度を有し、したがって高速
度回転時における永久磁石片の遠心力による破損を防ぐ
とともに、ロータの曲げ剛性を確保する。この保持筒に
は、永久磁石片は、圧入または焼き嵌めなどによって挿
入、固定される。
【0012】保持筒は、ステータ鉄心などよりも低い非
比透磁率μsを有し、低透磁率であり、たとえばSUS
630などの磁性材料から成ってもよい。したがって保
持筒を、非磁性材料製とした前述の先行技術に比べて、
本発明では、永久磁石片とステータとの間の磁気抵抗を
小さくし、電機子巻線であるコイルに鎖交する磁束を増
大し、出力を増大することができるとともに、この保持
筒を、高い透磁率の磁性体材料で実現した構成に比べ
て、永久磁石片の磁極間を短絡する漏れ磁束を、本発明
では、少なくすることができ、永久磁石片の磁極からの
磁束を、ステータに導き、コイルと鎖交する磁束を増大
することができる。こうして空隙における磁束密度を高
くすることができるようになる。これによって本発明を
発電機または電動機として実現したときにおける寸法の
小形化を図ることができる。
【0013】また本発明は、ステータのヨークは、ロー
タを同軸に囲み、ヨークから半径方向内方にロータに向
けて延びる複数の歯が周方向に間隔をあけて形成され、
コイルは、周方向に隣接する歯の相互間のスロットに配
置され、歯の半径方向内方端部は、ロータからの磁束で
飽和する連結片で周方向に連結されることを特徴とす
る。
【0014】本発明に従えば、ステータのヨークから半
径方向内方に延びる複数の歯の半径方向内方の端部は、
ヨークおよび歯を構成する強磁性材料と同様または同一
の強磁性材料から成る連結片で周方向に連結し、したが
ってコイルが収納されるスロットを、全閉とすることが
できる。このことによって、保持筒の主として半径方向
外方の外周部で発生する渦電流損を低減することが可能
になる。その理由は、周方向に延びる連結片によって、
保持筒の外周部の表面における周方向の空間的な磁束密
度分布の高調波成分を充分抑えることができるようにな
るからである。
【0015】このような保持筒における渦電流損の低減
は、スロットがロータに向けて開いたいわゆる半閉スロ
ットを有する先行技術に比べて、大きな効果があること
が、本件発明者の実験によって確認された。
【0016】連結片は、ロータからの磁束で飽和するよ
うに構成され、たとえば連結片を半径方向に薄く形成
し、したがって永久磁石片の磁束が、歯を通ってコイル
と鎖交する磁束量を増大させることができ、連結片への
漏れ磁束の増大を抑制することができる。すなわち本発
明にしたがえば、連結片を、漏れ磁束が問題とならない
程度に半径方向の厚みを小さくして構成し、歯の半径方
向内方の端部を連結片で連結して全閉スロットを構成す
ることによって、保持筒における渦電流損の抑制効果
を、高く実現することができるようになる。
【0017】この渦電流損の低減によって、保持筒の発
熱を抑制し、発電機として使用されるときにおける出力
電力の高調波の悪影響を少なくし、また電動機として実
施されるときにおける出力されるコギングトルクの悪影
響を抑制することができる。
【0018】また本発明は、前記各スロット内および/
またはヨーク内には、ロータの回転軸線に沿う通路が形
成され、この通路内に、冷却用空気を流過することを特
徴とする。
【0019】本発明に従えば、前述の全閉スロット内お
よび/またはヨーク内に冷却用空気を流過することによ
って、放熱を行い、温度上昇を抑制することができる。
こうして回転機の特にステータで発生する損失に起因し
た温度上昇を、高い冷却効果で、抑制することが可能に
なる。これによってステータおよびロータの温度上昇を
防ぎ、熱減磁またはコイル温度上昇による絶縁劣化の問
題を回避することができるようになる。
【0020】また本発明は、各スロット内で、コイル
は、通路よりも半径方向外方に配置され、ステータの軸
線方向端部よりも外方で、コイル端は、軸線方向外方に
なるにつれて半径方向外方に拡がるように傾斜して屈曲
され、ロータを支持する軸受の少なくとも一部分が、コ
イル端の前記屈曲された部分よりも半径方向内方に設け
られることを特徴とする。
【0021】本発明に従えば、全閉スロット内のコイル
は、冷却用空気の通路よりも半径方向外方に配置され、
すなわち冷却用空気の通路は、コイルよりも半径方向内
方に形成され、これによってコイルの発熱とロータの保
持筒の渦電流損による発熱との両者を、抑えることがで
きる。
【0022】本発明に従えば、コイル端をステータの軸
線方向外方で、半径方向外方に広がるように傾斜して外
側に拡げ、このコイル端よりも半径方向内方の空いたス
ペースに軸受を配置し、または軸受の少なくとも一部分
を配置する。これによってロータを支持する軸線方向に
配置された一対の軸受間の距離をできるだけ短くし、ロ
ータの曲げ剛性を充分高く確保することができる。また
このようにロータを支持する一対の軸受間の距離を短く
することができるようになるので、曲げ振動周波数によ
る危険回転速度を、定格回転速度よりも高くし、機械的
に安定な回転機を得ることができる。こうしてロータの
曲げ振動周波数を高くし、危険回転速度を定格回転速度
を超える値に指定することが可能になる。
【0023】また前述のようにコイル端を、ロータの回
転軸線から離れる方向である外側に傾斜して倒すことに
よって、そのコイル端が、外部の空気に大きな表面積で
接触して冷却されることができ、コイル端の冷却効率が
向上する。
【0024】また本発明は、軸受は、空気軸受であるこ
とを特徴とする。本発明に従えば、ロータの回転速度が
たとえば105rpm程度の高速度回転時、粘度の小さ
い空気を用い、軸受摩擦を小さくし、長寿命で高速回転
を可能にすることができる。空気軸受は、空気動圧軸受
であってもよく、あるいはまた空気静圧軸受であっても
よい。
【0025】また本発明は、保持筒は、約120以下の
比透磁率を有し、極間部では磁気飽和することを特徴と
する。
【0026】また本発明は、連結片の磁路断面積は、ヨ
ークおよび歯の磁路断面積の約1/5〜約1/10に選
ばれることを特徴とする。
【0027】保持筒の比透磁率約120以下に選び、す
なわち低透磁率材料製とし、この保持筒は、永久磁石片
の一対のN,Sの磁極間の途中である極間部で、磁気飽
和する特性を有する。これによって永久磁石片の磁極に
よる磁束が、保持筒に漏れることをできるだけ抑制し、
各磁極からの磁束を、ステータの歯に導くことができる
ようになる。
【0028】連結片は前述のようにヨークおよび歯と同
様または同一の高透磁率材料製とし、この連結片を通る
漏れ磁束をできるだけ小さくするために、その磁路断面
積を、ヨークおよび歯の約1/5〜約1/10に選ぶ。
【0029】また本発明は、前記の回転機と、回転機の
ロータを駆動するガスタービンと、ガスタービンの圧縮
機の吸入口と、スロット内および/またはヨーク内の前
記通路とを接続し、前記通路を流過した冷却用空気を、
圧縮機の吸入空気として導く管路とを含むことを特徴と
する発電装置である。
【0030】回転機のロータをガスタービンで直結して
駆動し、回転機のステータに形成されたスロット内の冷
却用空気通路を流過した空気を、ガスタービンの圧縮機
の吸入口に導き、この圧縮機からの圧縮された空気を、
燃焼器に供給し、この燃焼器で燃料を燃焼し、タービン
を駆動し、このタービンによって回転機のロータを回転
駆動する。これによって発電を行うことができる。スロ
ット内の前記通路を通った空気は、管路を経て、圧縮機
の吸入口に吸入空気として導かれる。
【0031】本発明に従えば、比較的小容量のガスター
ビンに、減速機を介することなく、回転機のロータに直
結し、高速度で回転する発電機を実現することができ
る。
【0032】また本発明は、径方向に磁極が形成された
棒状の永久磁石片と、永久磁石片が挿入されて固定さ
れ、永久磁石片よりも大きい機械的強度を有し、ステー
タ鉄心よりも低い比透磁率を有する磁性材料から成る保
持筒とを含むことを特徴とするロータである。
【0033】本発明に従えば、発電機または電動機であ
る回転機のロータの小形化および高出力化を達成するロ
ータが実現される。
【0034】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態の
発電機として用いられる回転機1の一部の軸直角断面図
である。回転機1は基本的に、ステータ2とロータ3と
を含む。ロータは、直円柱状である棒状の永久磁石片4
と、この永久磁石片4が挿入されて固定される直円筒状
の保持筒5とを含む。ステータ2は、ロータ3の回転軸
線6に同軸のヨーク7と、このヨーク7から半径方向内
方にロータ3に向けて延びる複数の歯8と、歯8の半径
方向内方端部9を周方向に連結する連結片10と、周方
向に隣接する歯8の相互間の全閉スロット11内に設け
られる電機子巻線であるコイル12とを含む。スロット
11内で、コイル12は、冷却用空気の通路13よりも
半径方向外方(図1の上方)に配置される。歯8は、周
方向に等間隔をあけて形成される。ヨーク7、歯8およ
び連結片10は、強磁性材料、たとえばS45Cなどか
ら成ってもよい。スロット11は、回転機1の軸線方向
(図1の紙面に垂直方向)に延びる。ヨーク7には、周
方向に間隔をあけて複数の冷却用空気通路14が形成さ
れる。この通路14もまたスロット11と同様に、軸線
方向全長にわたって延びる。ヨーク7、歯8および連結
片10は、軸線方向に薄い強磁性鋼板が積層されて構成
される。
【0035】図2は、回転機1を備える発電装置17の
全体の構成を簡略化して示す断面図である。回転機1の
ロータ3の一方の軸端部18は、ガスタービン19の回
転軸21に直結される。回転機1のステータ2における
ロータ3の他端部22側の冷却空気入口23から、外部
の空気が吸引され、スロット11内の通路13を流れ方
向13aに流過して冷却作用を行い、ロータ3の一端部
18側の出口24から、管路25を経て、ガスタービン
19の圧縮機26の吸入口27に導かれる。圧縮機26
からの圧縮空気は、燃焼器28に供給され、この燃焼器
28には、管路29から燃料が供給される。燃焼器28
からのガスは、タービン31に供給され、タービン31
が、たとえば105rpm程度の高速度でロータ3を回
転駆動する。
【0036】再び図1を参照して、ロータ3の永久磁石
片4は、径方向に1または複数組みの対を成す磁極3
3,34が形成される。この実施の形態では、永久磁石
片4には、周方向に180°間隔をあけて、N極の磁極
33とS極の磁極34とが1組、形成される。これらの
磁極33,34は、ロータ3の軸線6の方向に延びる。
永久磁石片4は、希土類磁石材料、たとえばNdFeB
などの材料から成る。
【0037】保持筒5は、永久磁石片4よりも大きい高
張力の機械的強度を有し、ステータ鉄心よりも低い比透
磁率μsを有し、永久磁石片4の対を成す磁極33,3
4の途中である極間部36では、永久磁石片4の磁極3
3,34による磁束によって磁気飽和する特性を有す
る。このような保持筒5の材料としては、たとえばSU
S630などが好適する。
【0038】図3は、ロータ3の保持筒5を構成する磁
性材料の特性を示すグラフである。保持筒5の材料であ
るSUS630は、極間部36付近における高い磁束密
度の領域では、図3から明らかなように比透磁率μsが
小さくなり、すなわち極間部36では、大きな磁気抵抗
を発揮する。これによって保持筒5では、磁極33,3
4の間で、漏れ磁束を小さく抑えることが可能となり、
磁極33,34の磁束を有効に、ステータ2の歯8に導
くことができる。このような保持筒5に好適な磁性材料
の比透磁率は、磁束密度の変化に応じて極間部36の高
磁束密度の領域では、小さい値であり、磁束33,34
の低磁束密度の領域では高い比透磁率を有し、こうして
たとえば約120以下の比透磁率μsを有する。
【0039】連結片10は、ロータ3の永久磁石片4の
磁極33,34からの磁束によって変位磁気飽和する特
性を有する。連結片10の図1の紙面に垂直な磁路の断
面積は、ヨーク7および歯8の磁路断面積の約1/5〜
約1/10に選ばれる。これによって磁極33,34の
磁束はその大部分が歯8に流れ、連結片10の漏れ磁束
を少なく抑制することができる。連結片10の磁路断面
積は、ヨーク7および歯8の磁路断面積に比べてさらに
小さい値であってもよい。
【0040】図4は、ヨーク7および歯8に巻回される
コイル12とその付近の構成を示す、一部の断面図であ
る。ステータ2の軸線方向端部よりも外方で、コイル1
2のコイル端38,39は、軸線方向外方(図4の左方
および右方)になるにつれて、半径方向外方(図4の上
方)に広がるように傾斜して屈曲される。これらのコイ
ル端38,39の屈曲された部分41,42よりも半径
方向内方(図4の下方)に一対の各軸受44,45が設
けられる。本発明の実施の他の形態では、屈曲された部
分41,42の半径方向内方に、軸受44,45の一部
分が配置されてもよい。したがってロータ3の軸線方向
の軸受44,45間の距離L1を短くすることができ
る。したがってロータ3の曲げ剛性を高くすることがで
きる。これによってロータ3の曲げ振動周波数を高くす
ることができ、危険回転速度を、定格回転速度を超える
範囲に設定することが可能になる。さらにコイル端3
8,39をロータ3から離れる方向(図4の上方)、す
なわち半径方向外方に倒すことによって、コイル端3
8,39への冷却用空気と接触する表面積を大きくする
ことができ、コイル端38,39の冷却効果が向上す
る。
【0041】図5は、軸受44の簡略化した軸直角断面
図である。ロータ3の外周面とハウジング49の内周面
との間には、フォイルセグメント51が、周方向に等間
隔をあけて配置される。ロータ3の偏心によるくさび状
隙間に生じる空気の流体力学的な圧力を利用し、金属接
触を避け、ロータ3を浮き上がらせて保持し、こうして
空気動圧軸受が実現される。また本発明の実施の他の形
態では、軸受44は空気静圧軸受であってもよい。本発
明の実施のさらに他の形態では、軸受44はさらにその
ほかの構成によって実現されてもよい。もう一つの軸受
45は、軸受44と同様な構成を有する。
【0042】図6は、本件発明者のシミュレーション結
果を示すグラフである。ロータ3がその回転軸線53ま
わりに角変位する角度に対応して、そのロータ3の外周
面とステータ2の内周面との間の空隙の磁束密度の半径
方向成分が、本件発明の前述の実施の形態によれば参照
符55で示されるように変化する。保持筒36は前述の
ようにSUS630から成り、ステータ2のヨーク7、
歯8および連結片10は、強磁性銅版から成る。比較の
ために、連結片10を除去し、そのほかの構成を同一と
したときにおける第1比較例の特性は、参照符56に示
されるように回転角度に対応して半径方向の磁束密度が
大きく変化する。ロータ3の保持筒36の材料をSUS
630よりも比透磁率がさらに高いS45Cを用い、連
結片10を除去したときの特性は、参照符57で示され
るように得られ、磁束密度が低下してしまうという問題
があることが判る。さらに保持筒36を、非磁性材料製
としたとき特性58が得られ、磁束密度が低下すること
が判る。これによって本発明によれば、連結片10を設
けるとともにロータ3の保持筒5は、約120以下の比
透磁率を有しかつ極間部36では、磁気飽和する磁性材
料、たとえば前述のSUS630を用いることが好まし
いことが理解される。
【0043】図7は、本件発明者のシミュレーション結
果を示すグラフである。図7(1)は前述の実施の形態
において、ロータ3とステータ2との間の空隙における
半径方向の磁束密度の分布のシミュレーション結果を示
すグラフであり、図7(2)は比較のためにステータ2
の連結部10を除去し、そのほかの構成を実施の形態と
同様としたときにおけるシミュレーション結果を示す。
図7(1)の実施の形態と図7(2)比較例とを比べる
と、本発明の考え方によれば、連結部10によって全閉
スロットによる磁束Brの高調波成分はほとんどなく、
これによって渦電流損が少なくなり、これに比べて連結
部10を除去した比較例では、大きな高調波成分が含ま
れ、渦電流損が大きいことが判る。
【0044】図8は、本件発明者のシミュレーション結
果を示すグラフである。図8(1)は前述の図7(1)
に示される実施の形態におけるステータ2の歯8の中心
部における磁束密度の時間変化のシミュレーション結果
を示し、図8(2)は前述の図7(2)に対応し、ステ
ータ2の連結部10を除去した半閉を有する比較例にお
ける歯8の中心部の磁束密度の時間変化のシミュレーシ
ョン結果を示す。図8(1)に示される本発明の実施の
一形態のシミュレーション結果と、図8(2)に示され
るシミュレーション結果とを比較すると、歯8における
磁束密度の最大値にそれほどの違いはなく、本発明の実
施の形態においてスロット11を、連結部10を用いて
全閉とする構成によって増える漏れ磁束の量は少ないこ
とが理解される。これによって歯8の先端部9を連結し
た連結部10の半径方向の厚みがそれほど厚くなく、磁
気飽和させることが原因となっている。言い換えれば、
漏れ磁束が問題とならない程度の厚みでスロット11を
連結部10で全閉の構成とすることによって高い渦電流
損抑制効果を得ることができることが理解される。
【0045】本発明は、発電機だけでなく電動機に関連
してもまた実施することができる。
【0046】
【発明の効果】本発明に従えば、たとえば円柱状などで
ある棒状の永久磁石片を、永久磁石片よりも大きい機械
的強度を有し、しかもステータ鉄心よりも低い比透磁率
を有する磁性材料から成る保持筒内に収納することによ
って、ロータが高速度で回転しても、永久磁石片が破損
することはなく、ロータの高速度回転を可能にすること
ができ、また曲げ剛性を向上することができる。さらに
保持筒は、前述のように低い比透磁率を有し、永久磁石
片の周方向の対を成す磁極の途中である極間部で磁気飽
和することによって、空隙における磁束密度を向上する
とともに、その保持筒による漏れ磁束を抑制し、永久磁
石片の磁束を歯およびヨークに多くの磁束を導くことが
できる。
【0047】また本発明によれば、連結片によって全閉
スロットを形成し、これによってロータの保持筒におけ
る渦電流損を抑制することができるとともに、スロット
および/またはヨーク内に冷却用空気を流過し、冷却効
率を向上することができ、さらに発熱を抑制し、永久磁
石片の熱減磁またはコイル温度上昇による絶縁劣化の悪
影響を防ぎ、発電機として用いられるときにおける高調
波の影響を少なくし、また電動機として用いられるとき
におけるコギングトルクの影響を少なくする。
【0048】さらに本発明によれば、小形のガスタービ
ンを用いて高い発電出力を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の発電機として用いられ
る回転機1の一部の軸直角断面図である。
【図2】回転機1を備える発電装置17の全体の構成を
簡略化して示す断面図である。
【図3】ロータ3の保持筒5を構成する磁性材料の特性
を示すグラフである。
【図4】ヨーク7および歯8に巻回されるコイル12と
その付近の構成を示す、一部の断面図である。
【図5】軸受44の簡略化した軸直角断面図である。
【図6】本件発明者のシミュレーション結果を示すグラ
フである。
【図7】本件発明者のシミュレーション結果を示すグラ
フである。
【図8】本件発明者のシミュレーション結果を示すグラ
フである。
【符号の説明】
1 回転機 2 ステータ 3 ロータ 4 永久磁石片 5 保持筒 7 ヨーク 8 歯 9 端部 10 連結片 11 スロット 13,14 通路 17 発電装置 18,22 端部 19 ガスタービン 25 管路 26 圧縮機 28 燃焼器 31 タービン 38,39 コイル端 41,42 屈曲した部分 44,45 空気軸受
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年11月15日(2000.11.
15)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】保持筒は、ステータ鉄心などよりも低い比
透磁率μsを有し、低透磁率であり、たとえばSUS6
30などの磁性材料から成ってもよい。したがって保持
筒を、非磁性材料製とした前述の先行技術に比べて、本
発明では、永久磁石片とステータとの間の磁気抵抗を小
さくし、電機子巻線であるコイルに鎖交する磁束を増大
し、出力を増大することができるとともに、この保持筒
を、高い透磁率の磁性体材料で実現した構成に比べて、
永久磁石片の磁極間を短絡する漏れ磁束を、本発明で
は、少なくすることができ、永久磁石片の磁極からの磁
束を、ステータに導き、コイルと鎖交する磁束を増大す
ることができる。こうして空隙における磁束密度を高く
することができるようになる。これによって本発明を発
電機または電動機として実現したときにおける寸法の小
形化を図ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H02K 21/14 H02K 21/14 G (72)発明者 藤井 龍雄 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内 (72)発明者 関 美範 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工業 株式会社明石工場内 Fターム(参考) 5H002 AA08 AB04 AB07 AC06 AC09 AE08 5H607 BB02 BB14 CC01 DD02 DD03 DD16 FF30 GG14 JJ06 5H621 GA01 GA12 GA16 GA18 HH01 JK05 JK15 JK17 5H622 CA01 CA07 CA12 CB05 PP03 PP11

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)歯にコイルが巻回されて構成され
    るステータと、 (b)ステータに空隙を介して臨むロータであって、 径方向に磁極が形成された棒状の永久磁石片と、 永久磁石片が挿入されて固定され、永久磁石片よりも大
    きい機械的強度を有し、ステータ鉄心よりも低い比透磁
    率を有する磁性材料から成る保持筒とを有するロータと
    を含むことを特徴とする回転機。
  2. 【請求項2】 ステータのヨークは、ロータを同軸に囲
    み、 ヨークから半径方向内方にロータに向けて延びる複数の
    歯が周方向に間隔をあけて形成され、 コイルは、周方向に隣接する歯の相互間のスロットに配
    置され、 歯の半径方向内方端部は、ロータからの磁束で飽和する
    連結片で周方向に連結されることを特徴とする請求項1
    記載の回転機。
  3. 【請求項3】 前記各スロット内には、ロータの回転軸
    線に沿う通路が形成され、 この通路内に、冷却用空気を流過することを特徴とする
    請求項2記載の回転機。
  4. 【請求項4】 前記ヨーク内には、ロータの回転軸線に
    沿う通路が形成され、この通路内に冷却用空気を流過す
    ることを特徴とする請求項2または3記載の回転機。
  5. 【請求項5】 各スロット内で、コイルは、通路よりも
    半径方向外方に配置され、 ステータの軸線方向端部よりも外方で、コイル端は、軸
    線方向外方になるにつれて半径方向外方に拡がるように
    傾斜して屈曲され、 ロータを支持する軸受の少なくとも一部分が、コイル端
    の前記屈曲された部分よりも半径方向内方に設けられる
    ことを特徴とする請求項2または3記載の回転機。
  6. 【請求項6】 軸受は、空気軸受であることを特徴とす
    る請求項5記載の回転機。
  7. 【請求項7】 保持筒は、約120以下の比透磁率を有
    し、極間部では磁気飽和することを特徴とする請求項1
    〜6のうちの1つに記載の回転機。
  8. 【請求項8】 連結片の磁路断面積は、 ヨークおよび歯の磁路断面積の約1/5〜約1/10に
    選ばれることを特徴とする請求項1〜7のうちの1つに
    記載の回転機。
  9. 【請求項9】 請求項3〜8のうちの1つに記載の回転
    機と、 回転機のロータを駆動するガスタービンと、 ガスタービンの圧縮機の吸入口と、スロット内および/
    またはヨーク内の前記通路とを接続し、前記通路を流過
    した冷却用空気を、圧縮機の吸入空気として導く管路と
    を含むことを特徴とする発電装置。
  10. 【請求項10】 径方向に磁極が形成された棒状の永久
    磁石片と、 永久磁石片が挿入されて固定され、永久磁石片よりも大
    きい機械的強度を有し、ステータ鉄心よりも低い比透磁
    率を有する磁性材料から成る保持筒とを含むことを特徴
    とするロータ。
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