以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
まず、構成について説明する。
図1に示すように、自動原稿搬送装置50は、複数の原稿からなる原稿束1が原稿面を上向きにして載置される原稿テーブル2と、原稿テーブル2に載置された原稿束1から最上部の原稿を搬送するピックアップローラ7と、ピックアップローラ7により搬送された原稿を分離する給紙ベルト9およびリバースローラ10と、分離されて1枚になった原稿を画像形成装置本体60のスリットガラス21の近傍まで搬送するプルアウトローラ12、中間ローラ14、読取り入口ローラ16と、スリットガラス21の近傍まで搬送された原稿をスリットガラス21に接触させながら搬送する読取りローラ19と、スリットガラス21の読取り位置20で読取りを終えた原稿を更に搬送する読取り出口ローラ23と、読取り出口ローラ23により搬送された原稿を排出する排紙ローラ28と、排出された原稿が載置される排紙トレイ29とを備えている。
中間ローラ14は、プルアウトローラ12によって搬送された原稿をターン部D内に搬送するものであり、ターン部Dの原稿搬送方向上流部に原稿搬送方向に直交する方向に沿って複数列設されている。中間ローラ14は、本発明における第1の搬送手段を構成する。
読取り入口ローラ16は、ターン部Dから搬出された原稿をスリットガラス21の近傍まで搬送するものであり、ターン部Dの原稿搬送方向下流部に原稿搬送方向に直交する方向に沿って複数列設されている。読取り入口ローラ16は、本発明における第2の搬送手段を構成する。
原稿テーブル2に載置された原稿は、排紙トレイ29に排出されるまでに搬送経路の各部を通過するようになっている。搬送経路は、原稿束1が載置される原稿セット部Aと、載置された原稿束1から一枚の原稿を分離して給送する分離給送部Bと、給送された原稿の表面に当接して整合するとともに整合後の原稿を引き出して搬送するレジスト部Cと、搬送される原稿をターンさせて、原稿の表面を下方に向けて搬送するターン部Dと、原稿の表面をスリットガラス21の下方より読取らせる第1読取り搬送部Eと、原稿の裏面を読取る第2読取り搬送部Fと、表裏の読取りが完了した原稿を外部に排出する排紙部Gと、排出された原稿が載置されるスタック部Hとから構成されている。ここで、原稿の表面とは、原稿テーブル2で上向きとなり第1読取り搬送部Eにおいて読取りが行われる面のことをいい、原稿の裏面とは、原稿テーブル2で下向きとなり第2読取り搬送部Fにおいて読取りが行われる面のことをいう。
ターン部Dは、原稿テーブル2から排紙トレイ29までの原稿搬送経路の一部を構成し、原稿の搬送方向を略180°変更(反転)するよう湾曲した湾曲経路となっている。ターン部Dの湾曲外方には、ターン部D内の原稿の搬送をガイドする外側ガイド部材261、262が配置され、ターン部Dの湾曲内方には、ターン部D内の原稿の搬送をガイドする内側ガイド部材252が配置されている。
図2に示すように、自動原稿搬送装置50は、自動原稿搬送装置50全体の制御を行うコントローラ100を備えている。また、自動原稿搬送装置50は、コントローラ100に信号を入力するセンサ等として、レジストセンサ17、原稿セットセンサ5、排紙センサ24、突き当てセンサ11、原稿幅センサ13、読取り入口センサ15、給紙適正位置センサ8、ホームポジションセンサ6を備えている。また、自動原稿搬送装置50は、コントローラ100から信号を出力して駆動制御するアクチュエータ等として、第2読取り部25、ピックアップ昇降モータ101、給紙モータ102、読取りモータ103、排紙モータ104、底板上昇モータ105を備えている。
また、画像形成装置本体60は、画像形成装置本体60の制御を行う本体制御部111と、各種の入力操作や動作指示を行う操作部108とを備えている。コントローラ100と本体制御部111はI/F107を介して接続されており、双方の間で制御信号等のデータの授受が行われるようになっている。
図3に示すように、第2読取り部25は、コントローラ100からの点灯信号に基づいて原稿に光を照射する光源部200と、原稿からの反射光を受光する複数のセンサチップ201と、各センサチップ201から出力された信号を増幅する複数の増幅部202と、増幅された信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するA/D変換部203と、デジタル変換された信号に画像処理を施す画処理部204と、画像処理された信号を記憶するフレームメモリ205と、コントローラ100からのタイミング信号に基づいてフレームメモリ205に記憶された信号の出力制御を行う出力制御回路206と、出力制御回路206からの信号を本体制御部111に出力するI/F回路207とを備えている。なお、第2読取り部25には、コントローラ100から電源が供給されるようになっている。
ここで、原稿テーブル2に載置された原稿が排紙トレイ29に排出されるまでの順番に従って自動原稿搬送装置50の詳細な構成を説明する。
まず、複数の原稿からなる原稿束1は、可動原稿テーブル3を含む原稿テーブル2上に、表面が上向きの状態で載置される。次いで、原稿束1の幅方向の位置、即ち搬送方向と直行する方向の位置が図示しないサイドガイドによって位置決めされる。原稿テーブル2上に原稿が載置されたことはセットフィラー4および原稿セットセンサ5により検知され、検知信号がI/F107を介して画像形成装置本体60の本体制御部111に出力される。
また、原稿の搬送方向長さの概略は、原稿テーブル2の表面に設けられた原稿長さ検知センサ30、31により検知される。原稿長さ検知センサ30、31としては、光学的手段により原稿と接触せずに検知する反射型センサまたは原稿が1枚の場合でも検知可能な接触式のアクチェータータイプのセンサを用いることができる。また、原稿長さ検知センサ30、31は、原稿の配置が縦と横の何れになっているかを判断できるように配置されている。
可動原稿テーブル3は、底板上昇モータ105により図1の矢印a、b方向に上下動するように構成されている。また、原稿が原稿テーブル2上に載置されたことがセットフィラー4および原稿セットセンサ5により検知されると、コントローラ100は、底板上昇モータ105を正転させて原稿束1の最上部の原稿がピックアップローラ7と接触するように可動原稿テーブル3を上昇させるようになっている。以下、原稿束1の最上部の原稿がピックアップローラ7と接触する位置を給紙適正位置という。
ピックアップローラ7は、ピックアップ昇降モータ101によりカム機構を介して図1の矢印c、d方向に動作するとともに、上昇した可動原稿テーブル3上の原稿により押されて矢印c方向に持ち上げられ、給紙適正位置センサ8により移動の上限が検知されるようになっている。給紙適正位置センサ8は、可動原稿テーブル3が上昇して原稿束1の最上部の原稿が適正な高さに保たれていることを検知するためのセンサである。
操作部108が操作されて、両面モードまたは片面モードの何れかが指定された後にプリントキーが押下され、本体制御部111からI/F107を介してコントローラ100に原稿給紙信号が出力されると、コントローラ100は、給紙モータ102を正転させることにより、ピックアップローラ7を回転させるようになっている。回転を開始したピックアップローラ7は、原稿テーブル2の最上部の原稿または最上部の原稿を含む数枚の原稿をピックアップするようになっている。
次いで、給紙モータ102の正転により、給紙ベルト9およびリバースローラ10を時計方向に駆動すると、給紙ベルト9が原稿を給紙方向に導くとともに、リバースローラ10が原稿を給紙方向と逆の方向に押し出すため、原稿束1の最上部の原稿とその下の原稿とが分離し、最上部の原稿のみが給紙されるようになっている。
具体的には、リバースローラ10は、給紙ベルト9と所定圧で接しており、給紙ベルト9と直接接している状態、または1枚の原稿を介して接している状態では、給紙ベルト9の回転に連られて、図示しないトルクリミッタの働きにより本来の駆動方向と異なる反時計方向に回転するようになっている。また、2枚以上の原稿が給紙ベルト9とリバースローラ10の間に侵入した時は、リバースローラ10は、給紙ベルト9と連れ回りせず、本来の駆動方向である時計方向に回転し、余分な原稿を押し戻す働きをして重送を防止するようになっている。
給紙ベルト9とリバースローラ10との作用により1枚に分離された原稿は、給紙ベルト9によって送られた後、突き当てセンサ11によってその先端が検知され、更に搬送されて停止しているプルアウトローラ12に当接するようになっている。次いで、突き当てセンサ11に検知された位置から所定距離送られた原稿がプルアウトローラ12に所定量撓みを持って押し当てられた状態になると、給紙モータ102が停止されて給紙ベルト9の駆動が停止するようになっている。この際に、ピックアップ昇降モータ101を回転させることでピックアップローラ7を上昇させて原稿上面から退避させ、原稿を給紙ベルト9の搬送力のみで送ることにより、原稿の先端がプルアウトローラ12に挟持され、先端の整合、いわゆるスキュー補正が行われるようになっている。プルアウトローラ12は、スキュー補正機能を有するとともに、分離後にスキュー補正された原稿を中間ローラ14まで搬送するためのものであり、給紙モータ102の逆転により駆動されるようになっている。なお、給紙モータ102の逆転時は、プルアウトローラ12および中間ローラ14は駆動されるが、ピックアップローラ7と給紙ベルト9は駆動されないようになっている。
原稿幅センサ13は、CISと称される密着イメージセンサ等の光電変換素子を原稿の搬送方向と直行する方向に複数並べたものから構成されており、搬送経路の対向部に配置された図示しない照射光源から照射された直接光の受光レベルを出力するようになっている。コントローラ100は、原稿が原稿幅センサ13の位置を通過する際に、原稿幅センサ13における原稿によって遮光された部分と遮光されなかった部分のレベル差を検知して、プルアウトローラ12により搬送された原稿の幅方向のサイズを判定し、本体制御部111へ通知するようになっている。また、原稿の搬送方向の長さは原稿の先端と後端を突き当てセンサ11で読取ることによりモータパルスから検知するようになっている。プルアウトローラ12および中間ローラ14の駆動によりレジスト部Cからターン部Dに原稿が搬送される際には、レジスト部Cでの搬送速度を第1読取り搬送部Eでの搬送速度よりも高速に設定して、原稿を第1読取り搬送部Eへ送り込む処理時間の短縮を図っている。
原稿先端が読取り入口センサ15により検出された後の制御は、動作モードが非停止モードと停止モードであるときとで異なっている。
非停止モードにおいては、読取り入口ローラ16のニップ部に原稿の先端が進入する前に、原稿搬送速度を読取り搬送速度と等しくするために減速を開始すると同時に、読取りモータ103を正転駆動して読取り入口ローラ16、読取り出口ローラ23、CIS出口ローラ27を駆動する。
その後、原稿の先端をレジストセンサ17により検知し、読取りモータ103のパルスカウントにより検出された原稿の先端が読取り位置20に到達するタイミングで、本体制御部111に対して第1面(原稿表面)の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が、読取り位置20を原稿後端が抜けるまで送信される。
一方、停止モードにおいては、読取り入口センサ15により原稿の先端が検出された後、原稿が読取り入口ローラ16のニップ部に突き当たった後に所定量撓み量が生じるよう予め定められたパルスカウント数だけ給紙モータ102を駆動してから原稿を停止(レジスト停止)させるとともに、本体制御部111にI/F107を介してレジスト停止信号を送信する。すなわち、読取り入口ローラ16が設けられた位置は、原稿が停止する停止位置である。
続いて本体制御部111より読取り開始信号を受信すると、レジスト停止していた原稿は、読取り位置20に先端が到達するまでに所定の搬送速度となるよう増速されて搬送される。
その後、原稿の先端をレジストセンサ17により検知し、読取りモータ103のパルスカウントにより検出された原稿の先端が読取り位置20に到達するタイミングで、本体制御部111に対して第1面の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が、読取り位置20を原稿後端が抜けるまで送信される。
動作モードが片面モードである場合には、コントローラ100は、第1読取り搬送部Eを通過した原稿を、第2読取り部25を経て排紙部Gに搬送するようになっている。この際に、排紙センサ24により原稿の先端が検知されると、コントローラ100は、排紙モータ104を正転駆動して排紙ローラ28を反時計方向に回転するようになっている。また、コントローラ100は、排紙センサ24が原稿の先端を検知してからの排紙モータ104のパルスカウントを行い、原稿の後端が排紙ローラ28のニップ域から抜け出る直前に排紙モータ104の駆動速度を減速させることにより、排紙トレイ29上に排出される原稿が飛び出さないようにしている。
このように、停止モードでは、原稿は、読取り入口センサ15により先端が検出されると読取り入口ローラ16で一時停止され、非停止モードでは、原稿は、一時停止することなく搬送される。
動作モードが両面モードである場合には、コントローラ100は、排紙センサ24により原稿の先端が検知されてからの読取りモータ103のパルスカウントを行い、第2読取り部25に原稿の先端が到達するタイミングで、第2読取り部25に対して副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号を出力するようになっている。ゲート信号は、第2読取り部25を原稿の後端が抜け出るまで継続して出力されるようになっている。
なお、第2読取り部25の表面には、原稿に付着した糊上の異物等が転写されることを防止するため、防汚コーティング処理が施されている。第2読取りローラ26は、第2読取り部25に対向配置されており、第2読取り部25を通過する原稿を第2読取り部25へ押圧して第2読取り部25における原稿の浮きを抑えると同時に、第2読取り部25におけるシェーディングデータを取得してシェーディング補正をするための基準白部を兼ねるものである。すなわち、第2読取りローラ26は、白色のシェーディング部材を兼ねている。
以下、本発明の特徴部を説明する。
図4に示すように、端面基準でセットされた原稿には、プルアウトローラ12、中間ローラ14により搬送方向(図の左方向)に搬送力が付与されるとともに、リバースローラ10により搬送方向と逆の方向の分離負荷が付与される。なお、端面基準で原稿をセットするとは、原稿のサイズに関わらず、原稿の幅方向の一端側を基準位置にセットすることである。
リバースローラ10は、原稿に分離圧を付勢して分離負荷を付与するが、原稿に付与される搬送力と分離負荷の原稿幅方向のバランスが崩れると、原稿にスキュー(斜行)を発生させるようなモーメントが発生する。なお、図4は端面基準に原稿をセットしたものであるが、中央基準、すなわち、原稿のサイズに関わらず原稿の幅方向の中央を基準位置にセットして原稿にかかる力が幅方向に対称になるようにした場合であっても、ユーザーがサイドフェンスを少しでもずらした形で原稿をセットすると原稿にスキューを発生させるようなモーメントが発生してしまう。
図4に示すように、分離部401を構成するリバースローラ10が原稿の幅方向の中央よりも奥側(図4の上側)にシフトしている場合、原稿の奥側の搬送が遅れる態様のスキュー、つまり「手前先行のスキュー」が発生することとなる。なお、分離部401は、リバースローラ10およびこのリバースローラ10に当接する給紙ベルト9(図6等参照)とから構成されており、給紙ベルト9が原稿搬送方向に回転するとともに、リバースローラ10が原稿搬送方向と逆の方向に回転することにより、原稿を分離している。
また、図5に示すように、分離部401を構成するリバースローラ10が原稿の幅方向の中央よりも手前側(図4の下側)にシフトしている場合、原稿の手前側の搬送が遅れる態様のスキュー、つまり「奥先行のスキュー」が発生することとなる。
図4、図5の何れの場合であっても、分離部401において、リバースローラ10による原稿への分離負荷が解除されれば、原稿に生じる搬送力の左右バランスが保たれ、原稿の搬送安定性が増加することとなる。
以下、リバースローラ10による原稿への分離負荷を解除する手法について説明する。
図6に示すように、リバースローラ10は、給紙ベルト9に対して接触および離間が可能な構成となっている。すなわち、図6、図7に示すように、リバースローラ10を軸支するアーム10aは、支点10cに対して回動可能となっており、図示しないスプリング等の付勢手段により、支点10cを中心とする時計回りの方向に加圧されている。
そして、図6に示すように、カム部材10qにより、図示しない付勢手段の加圧力に逆らってアーム10aが支点10cを中心とする反時計回りの方向に移動することで、リバースローラ10は、給紙ベルト9に接触する所定の位置に変位するようになっている。このため、リバースローラ10が上昇して給紙ベルト9に接触した状態で搬送方向と逆の方向(時計回り)に回転しているときは、原稿に分離負荷が付与され、リバースローラ10が下降して給紙ベルト9から離間しているときは、原稿に分離負荷が付与されないこととなる。
図8に示すように、リバースローラ10は、トルクリミッタ10dを介して軸10bに接続されており、図示しない駆動ギヤから入力ギヤ10fに給紙搬送方向とは逆方向(図6における時計方向)の駆動力が伝達されると、この駆動力は、軸10b、軸10bに圧入されたピン10e、およびトルクリミッタ10dを経由してリバースローラ10に伝達される。なお、入力ギヤ10fと歯合する図示しない駆動ギヤは、図6におけるリバースローラ10の上方に配置される。
リバースローラ10は、軸10bに所定以上のトルクがかかると、トルクリミッタ10dの働きにより、給紙ベルト9に連れ回る方向(図6における半時計方向)に回転するようになっている。
図9に示すように、原稿の先端がピックアップローラ7によって分離部401に案内され、分離部401にて分離されているとき、リバースローラ10は、給紙ベルト9に対して所定の巻き付け角が規制できる位置に固定される。このことにより、分離部401は、分離機構として機能して原稿を分離する。
なお、分離部401は、給紙ベルト9とリバースローラ10とから構成されているが、分離部401は、給紙ベルト9に相当するローラ形状の部材とリバースローラ10とから構成してもよい。すなわち、リバースローラ10と接触する部材は、ベルト形状であってもローラ形状であってもよい。
また、分離部401は、図15(a)、図15(b)に示す分離部401aのように、給紙ローラ309と分離パッド310とから構成してもよい。図15(a)、図15(b)において、給紙ローラ309は、給紙ベルト9と同様に原稿搬送方向(時計回り)に回転するようになっており、分離パッド310は、原稿の分離を行うときは、コントローラ100の制御により図15(a)に示すように上昇して原稿を挟み込んで給紙ローラ309に圧接し、原稿の分離を行わないときは、図15(b)に示すように下降して給紙ローラ309から離間するようになっている。
図10に示すように、分離された原稿の先端が分離センサ303を通過すると、コントローラ100は、原稿の分離動作を終了したものとして、カム部材10qを所定の位置まで回転し、リバースローラ10を支点10cを中心に給紙ベルト9から離隔する方向に回転させる。これにより、リバースローラ10は給紙ベルト9から離隔し、分離部401の分離機能が解除される。
給紙ベルト駆動コロ9aは、駆動軸に対して図示しないワンウェイクラッチを介して設けられており、駆動軸から原稿送り方向(図6における時計方向)の駆動がかかるとワンウェイクラッチがロックして給紙ベルト駆動コロ9aが回転し、駆動力が給紙ベルト9まで伝達され、駆動軸から逆方向(図6における反時計方向)の駆動がかかると給紙ベルト駆動コロ9aが空転するようになっている。
このことにより、原稿が原稿送り方向(図中左方向)に引っ張られた場合は、給紙ベルト駆動コロ9aは空転し、原稿に連れ回りするようになっている。このため、原稿が下流の搬送ローラ(例えば、プルアウトローラ12や中間ローラ14)に引っ張られる状態になっても、リバースローラ10が解除、すなわちリバースローラ10が給紙ベルト9から離隔する状態となっていれば、原稿に分離負荷が生じないようになっている。
リバースローラ10が退避位置(下降位置)から再び分離位置(上昇位置)に戻る過程を説明する。リバースローラ10を分離位置に復帰させるタイミングとして、分離を終えた原稿の「後端」が所定の位置を通過したことトリガとする「後端検知」と、分離を終えた原稿の「先端」が所定の位置を通過したことトリガとする「先端検知」、の2通りがある。
「後端検知」とする場合は、図11に示すように、リバースローラ10が給紙ベルト9から離隔して退避している状態で、分離を終えた先行する原稿の「後端」が所定の位置(ここでは突き当てセンサ11の位置)を通過したのをトリガとして、図12に示すように、リバースローラ10が再び分離位置(給紙ベルト9に圧接する上昇位置)に戻って給紙ベルト9と接触することで、次の原稿の分離が開始される。
ここで、分離動作が確実に行われるためには、原稿がピックアップローラ7によって分離部401に案内される前にリバースローラ10が分離位置に確実に戻っていることが必要である。このため、先行する原稿の後端が所定の位置(突き当てセンサ11の位置)を通過してからリバースローラ10を分離位置へ復帰し始めるタイミング(待ち時間等)は、リバースローラ10が分離位置への復帰を開始してから復帰を完了するまでに要する時間等を考慮して設定されている。
一方、「先端検知」とする場合は、図13に示すように、リバースローラ10が退避した状態で、分離を終えた先行する原稿の先端が所定の位置(分離開始センサ302の設置位置)に到達すると、図14に示すように、リバースローラ10が所定の分離位置に戻り、次の原稿の給紙開始が可能な状態となる。
図13、図14では、原稿の先端が所定の位置である分離開始センサ302の位置に来て分離開始センサ302に検出されたことがリバースローラ10の復帰へのトリガとなっている。
この場合、図11、図12のように、原稿の分離動作を終えた後に原稿の後端を所定の位置(突き当てセンサ11の位置)で検知したことをトリガとしてリバースローラ10の分離位置への復帰を開始する場合に比べ、より紙間を短く設定することができる。ここで、紙間とは、先行する原稿の後端と後続する原稿の先端との距離のことである。
リバースローラ10が退避位置(図13のように給紙ベルト9から離隔する位置)から分離位置(図14のように給紙ベルト9に接触する位置)に戻るには一定の時間が必要になるため、生産性を確保するため紙間を一定以下に短縮しようとすると、先端検知の構成のときは、場合によっては原稿の後端が分離部401を抜ける前にリバースローラ10が分離位置に復帰して原稿に分離負荷がかかってしまう場合もあり得る。この場合であっても、リバースローラ10を給紙ベルト9に圧接したままでずっと原稿全体に分離負荷がかかっているときに比べれば、原稿の後端にのみ一時的に分離負荷がかかることの影響はずっと小さいため、スキュー等に与える影響は十分小さい。
原稿テーブル2にセットした原稿は、原稿長さ検知センサ30、31、304によってその長さが検知されることにより、仮サイズ検知を実行すること、すなわち、原稿を搬送する前に原稿のサイズを検知することが可能であるが、原稿束1を構成する複数の原稿が全て同一サイズであれば、1枚目の原稿のサイズを読取ることにより、読取った原稿の画像データに基づいて更に正確な原稿サイズを検知してサイズ確定することが可能となる。
分離開始センサ302を適切な位置に置き、かつ、分離開始センサ302により原稿の先端を検知後にリバースローラ10を分離位置に復帰させるまでの待ち時間を原稿長さに応じて設けることにより、複数の原稿サイズに対しても紙間を最短にするようなタイミングによってリバースローラ10を解除位置から分離位置に戻す動作を開始させ、次の原稿が分離位置に達するまでに確実に分離できる準備ができるようにすることが可能となる。
したがって、図16、図17に示すように、分離開始センサ302を図13、図14よりも原稿搬送方向上流側に配置した場合、図16のように分離開始センサ302により原稿の先端を検知してから、原稿長さに応じた待ち時間の経過後に、図17のようにリバースローラ10を分離位置に復帰させることにより、複数の原稿サイズに対して紙間を最短にすることができる。
リバースローラ10を分離位置に変位開始させるタイミングは、リバースローラ10が分離解除位置から分離位置に変位するまでに要する時間分だけ早めることにより、次の原稿が分離部401に給紙させる前に、リバースローラ10を分離位置に確実に復帰させることができる。
次に動作について説明する。
図18は、図16、図17のように、分離開始センサ302により原稿の先端を検知してから、原稿長さに応じた待ち時間の経過後に、リバースローラ10を分離位置に復帰させる構成とした場合の、1枚目、2枚目の原稿が呼び出されるときの各部の動きと、3枚目以降の原稿が呼び出されるときの分離部401の動きを表している。
図18において、電源が投入され(ステップS21)、スタートキーが押下され(ステップS22)、原稿がピックアップローラ7で給紙されて分離部401で分離される(ステップS23)と、分離された原稿の先端が分離センサ303を抜けたか否かが判別される(ステップS24)。
ステップS24で原稿の先端が分離センサ303を抜けたと判別された場合は、リバースローラ10を給紙ベルト9から離間させて分離圧を解除するとともにピックアップローラ7を上昇させる(ステップS25)。
ついで、その原稿が1枚目の原稿であるか否かを判別し(ステップS26)、1枚目の原稿である場合は、この原稿に対して露光して読取りをしながら通紙し、また、読取った画像データに基づいて原稿のサイズを検知してサイズ確定する(ステップS27)。
ついで、原稿の後端が分離センサ303を抜けたか否かを判別し(ステップS28)、分離センサ303を抜けた場合は、リバースローラ10を分離位置に復帰して給紙ベルト9に圧接させる(ステップS29)。
一方、ステップS26の判別で原稿が1枚目の原稿ではなかった場合、原稿の先端が分離開始センサ302に達したか否かを判別し(ステップS31)、原稿の先端が分離開始センサ302に達した場合は、原稿の長さに合ったパルス間待機し(ステップS32)、リバースローラ10を分離位置に復帰して給紙ベルト9に圧接させる(ステップS33)。なお、このステップS32で用いる原稿の長さは、ステップS27で確定したサイズを適用している。ステップS31の判別で原稿の先端が分離開始センサ302に達していない場合は、ステップS25に戻る。
ステップS29またはステップS33の処理によりリバースローラ10を分離位置に復帰して給紙ベルト9に圧接させた後は、次の原稿があるか否かを判別し(ステップS30)、次の原稿がある場合は、ステップS23に戻り、次の原稿がない場合は、図18の処理を終了する。
なお、図18のフロー図からわかるように、2枚目の原稿が呼び出されるタイミングと、3枚目以降の原稿が呼び出されるタイミングは異なる。すなわち、2枚目の原稿が呼び出されるタイミングとしては、1枚目原稿のサイズが確定されていることが必要であり、また、1枚目の原稿の後端が分離部401を抜けていることも必要となるが、原稿サイズ確定のためには1枚目の原稿の後端が分離部401を抜けていることは必然と言える。このため、2枚目の原稿が呼び出されるタイミングは、3枚目以降の原稿が呼び出されるタイミングよりも相対的に遅くなる。また、分離部401が解除状態(リバースローラ10が給紙ベルト9から離間した状態)から復帰する(リバースローラ10が給紙ベルト9に圧接する)タイミングも、2枚目の原稿のときは3枚目の原稿が呼び出されるときよりもタイミング的には遅くなる。
以上のように、本実施の形態に係る自動原稿搬送装置50は、分離部401が、原稿の一方の面に接触して原稿を搬送方向に移動させる給紙ローラ9と、原稿の他方の面に接触して原稿の搬送方向への移動を規制するリバースローラ10とからなり、リバースローラ10を、給紙ベルト9に圧接する分離位置と、給紙ベルト9から離間する分離解除位置との間で変位させるアーム10a、カム部材10qと、原稿の先端が分離部401を通過した後に、リバースローラ10を分離解除位置に変位させるとともに、次の原稿が分離部401に給紙される前に、リバースローラ10を分離位置に変位させるコントローラ100と、を備えたことを特徴とする。
この構成により、原稿分離後にリバースローラ10を分離解除位置に変位して原稿を搬送することにより、原稿に分離負荷がかからなくなるため、その下流にある搬送手段の主走査方向における搬送力がバランスを保つことになり、原稿のスキューなどを抑えられ、搬送安定性が向上する。
また、リバースローラ10が分離解除位置から分離位置に復帰するタイミングは、次の原稿が分離部401に給紙される前になるように制御することにより、紙間を短く保ち、生産性を高く保つことが可能になる。
したがって、分離部401の分離機能の解除および復帰を適切なタイミングで制御し、紙間を短く保って高生産性を維持するとともに、原稿スキューの原因を低減して原稿搬送安定性を向上させ曲がりのない画像読取りを実現することができる。
また、本実施の形態に係る自動原稿搬送装置50は、分離部401の原稿搬送方向下流側近傍に配置され原稿の端部の通過を検知する分離センサ303を備え、コントローラ100が、原稿の先端が分離センサ303を通過したことをトリガとしてアーム10a、カム部材10qを駆動してリバースローラ10を分離解除位置に変位させることを特徴とする。
この構成により、分離部401の分離機能の解除および復帰を適切なタイミングで制御することができる。
また、本実施の形態に係る自動原稿搬送装置50は、分離センサ303の原稿搬送方向下流側に配置され原稿の端部の通過を検知する分離開始センサ302を備え、コントローラ100が、原稿の後端が分離センサ303を通過した後、または、原稿の先端が分離開始センサ302を通過した後に、リバースローラ10が分離解除位置から分離位置に変位するまでに要する時間分だけ早いタイミングで、アーム10a、カム部材10qを駆動してリバースローラ10を分離位置に変位させることを特徴とする。
この構成により、リバースローラ10が分離解除位置から分離位置に変位するまでに要する時間分だけ早いタイミングで、アーム10a、カム部材10qを駆動してリバースローラ10を分離位置に変位させるので、次の原稿が分離部401に給紙される前に、確実にリバースローラ10を分離位置に変位させることができる。
(第2の実施の形態)
図19〜図21は、本発明の第2の実施の形態に係る自動原稿搬送装置を説明する図である。なお、第1の実施の形態と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
分離部401を解除状態にする方法としては、リバースローラ10を変位する他に、図19、図20に示すように、リバースローラ10の回転方向と回転トルクを制御する方法を採用することもできる。すなわち、図19において、リバースローラ10をCCW方向(反時計回り)に回転させたときは、原稿には分離負荷がかからないので、第1の実施の形態においてリバースローラ10を給紙ベルト9から離間させたときと同様の効果を得ることができる。
本実施の形態では、図20に示すように、リバースローラ駆動モータ10jが発生した駆動力によりリバースローラ10が回転するようになっている。具体的には、リバースローラ駆動モータ10jが発生した駆動力は、減速のためのギヤ10gおよびギヤ10hを介して、リバースローラ10に伝達されるようになっている。なお、ギヤ10g、10hは必須要件ではなく、例えば、リバースローラ駆動モータ10jをリバースローラ10に直結するように構成してもよい。
リバースローラ駆動モータ10jは、例えば直流モータであり、印加される電流値によってトルクおよび回転方向が制御されるようになっている。
リバースローラ10の回転方向が原稿搬送方向(CCW方向)となるようにリバースローラ駆動モータ10jを駆動することにより、分離部401において原稿にかかる分離負荷はゼロとなり、第1の実施の形態においてリバースローラ10を給紙ベルト9から離間させたときと同様の効果を得ることができる。
また、リバースローラ10の回転方向が原稿搬送方向とは逆の方向(CW方向)となるようにリバースローラ駆動モータ10jを駆動することにより、分離部401において分離動作が行われることになる。
次に動作について説明する。
図21は、本実施の形態の分離部401のリバースローラ10の回転制御の概要を示し、図22は、リバースローラの回転制御の詳細を示すものである。
図21において、リバースローラ駆動モータ10jによりリバースローラ10をCW方向に駆動し(ステップS11)、前の原稿の先端が分離センサ303を抜けたか否かを判別し(ステップS12)、原稿の先端が分離センサ303を抜けた場合は、リバースローラ10をCCW方向に駆動し(ステップS13)、原稿の先端が分離センサ303を抜けていない場合は、リバースローラ10のCW方向への駆動を継続する。
ついで、前の原稿の先端が分離開始センサ302を抜けたか否かを判別し(ステップS14)、原稿の先端が分離開始センサ302を抜けた場合は、次の原稿があるか否かを判別し(ステップS15)、原稿の先端が分離開始センサ302を抜けていない場合は、リバースローラ10のCCW方向への駆動を継続する。
ステップS15において次の原稿がある場合は、ステップS11に戻り、次の原稿がない場合は、図21の処理を終了する。
図22において、電源が投入され(ステップS41)、スタートキーが押下され(ステップS42)、原稿がピックアップローラ7で給紙されて分離部401で分離される(ステップS43)と、分離された原稿の先端が分離センサ303を抜けたか否かが判別される(ステップS44)。なお、ステップS43では、分離部401のリバースローラ10はCW方向に駆動される。
ステップS44で原稿の先端が分離センサ303を抜けたと判別された場合は、リバースローラ10をCCW方向に駆動して原稿分離動作を解除するとともにピックアップローラ7を上昇させる(ステップS45)。
ついで、その原稿が1枚目の原稿であるか否かを判別し(ステップS46)、1枚目の原稿である場合は、この原稿に対して露光して読取りをしながら通紙し、また、読取った画像データに基づいて原稿のサイズを検知してサイズ確定する(ステップS47)。
ついで、原稿の後端が分離センサ303を抜けたか否かを判別し(ステップS48)、分離センサ303を抜けた場合は、リバースローラ10をCW方向に駆動する(ステップS49)。
一方、ステップS46の判別で原稿が1枚目の原稿ではなかった場合、原稿の先端が分離開始センサ302に達したか否かを判別し(ステップS51)、原稿の先端が分離開始センサ302に達した場合は、原稿の長さに合ったパルス間だけリバースローラ10をCCW方向に駆動し(ステップS52)、その後、リバースローラ10をCW方向に駆動する(ステップS53)。なお、このステップS52で用いる原稿の長さは、ステップS47で確定したサイズを適用している。ステップS51の判別で原稿の先端が分離開始センサ302に達していない場合は、ステップS45に戻る。
ステップS49またはステップS53の処理によりリバースローラ10をCW方向に駆動した後は、次の原稿があるか否かを判別し(ステップS50)、次の原稿がある場合は、ステップS43に戻り、次の原稿がない場合は、図22の処理を終了する。
本実施の形態では、リバースローラ10を給紙ベルト9に圧接したまま、図21、図22のように、リバースローラ駆動モータ10jに印加する電流を制御してリバースローラ10の回転方向を制御することにより、第1の実施の形態のようにリバースローラ10をメカニカルな手法で変位させる場合よりも応答性が良く、より短い紙間での切替が可能となる。
また、図22で詳細を説明したように、第1の実施の形態と同様、1枚目、2枚目の動きと3枚目以降の分離部401の動きを変えることにより、最初の原稿サイズを確定することによってより精密に紙間を短くすることが可能となる。
以上のように、本実施の形態に係る自動原稿搬送装置50は、分離部401が、原稿の一方の面に接触して原稿を搬送方向に移動させる給紙ベルト9と、原稿の他方の面に接触して原稿の搬送方向への移動を規制するリバースローラ10とからなり、リバースローラ10の回転方向および回転トルクを制御し、原稿の先端が分離部401を通過した後に、リバースローラ10を原稿搬送方向に回転させるとともに、次の原稿が分離部401に給紙される前に、リバースローラ10を原稿搬送方向と逆の方向に回転させるコントローラ100と、を備えたことを特徴とする。
この構成により、原稿分離後にリバースローラ10を原稿搬送方向に回転させることにより、原稿に分離負荷がかからなくなるため、その下流にある搬送手段の主走査方向における搬送力がバランスを保つことになり、原稿のスキューなどを抑えられ、搬送安定性が向上する。
また、リバースローラ10の回転方向が原稿搬送方向から原稿搬送方向と逆の方向に復帰するタイミングは、次の原稿が分離部401に給紙される前になるように制御することにより、紙間を短く保ち、生産性を高く保つことが可能になる。
したがって、分離部401の分離機能の解除および復帰を適切なタイミングで制御し、紙間を短く保って高生産性を維持するとともに、原稿スキューの原因を低減して原稿搬送安定性を向上させ曲がりのない画像読取りを実現することができる。
また、本実施の形態に係る自動原稿搬送装置50は、分離部401の原稿搬送方向下流側近傍に配置され原稿の端部の通過を検知する分離センサ303を備え、コントローラ100が、原稿の先端が分離センサ303を通過したことをトリガとしてリバースローラ10を原稿搬送方向と逆の方向に回転させることを特徴とする。
この構成により、分離部401の分離機能の解除および復帰を適切なタイミングで制御することができる。
また、本実施の形態に係る自動原稿搬送装置50は、分離センサ303の原稿搬送方向下流側に配置され原稿の端部の通過を検知する分離開始センサ302を備え、コントローラ100が、原稿の後端が分離センサ303を通過した後、または、原稿の先端が分離開始センサ302を通過した後に、リバースローラ10の回転方向が原稿搬送方向と逆の方向から原稿搬送方向に変化するまでに要する時間分だけ早いタイミングで、リバースローラ10を原稿搬送方向と逆の方向に回転させることを特徴とする。
この構成により、リバースローラ10の回転方向が原稿搬送方向と逆の方向から原稿搬送方向に変化するまでに要する時間分だけ早いタイミングで、リバースローラ10を原稿搬送方向と逆の方向に回転させるので、次の原稿が分離部401に給紙される前に、確実にリバースローラ10の回転方向を原稿搬送方向と逆の方向に変更することができる。
(第3の実施の形態)
以下、上記の自動原稿搬送装置50を搭載する画像形成装置の概要を説明する。
図23に示すように、画像形成装置70は、原稿の搬送を行う自動原稿搬送装置50と、原稿の読取りおよび転写紙への画像形成を行う画像形成装置本体60とを備えている。自動原稿搬送装置50は図示しないヒンジ機構を介して画像形成装置本体60に対して開閉自在に設けられている。
画像形成装置本体60内には、画像読取り部81が設けられており、この画像読取り部81によって読取られた画像情報は書込部82によって感光体ドラム83に照射されるようになっている。
画像読取り部81は、コンタクトガラス22またはスリットガラス21上の原稿を照明する光源81aと、原稿から反射された光をそれぞれ反射する第1ミラー81b、第2ミラー81c、第3ミラー81dと、第3ミラー81dから反射された光をCCDイメージセンサ81fに結像するレンズ81eと、レンズ81eによって結像された光を電気信号に変換するCCDイメージセンサ81fとを備えている。
光源81aおよび第1ミラー81bは図示しない第1走行体に取付けられているとともに、第2ミラー81cおよび第3ミラー81dは第2走行体に取付けられており、第1走行体および第2走行体はコンタクトガラス22およびスリットガラス21に沿って移動するようになっている。
そして、第1走行体および第2走行体は、コンタクトガラス22に載置された原稿を読取るときには、コンタクトガラス22の下方で図中、左右方向に移動され、スリットガラス21を通過する原稿を読取るときには、スリットガラス21の下方で停止される。
書込部82は、画像読取り部81によって読取った画像情報に応じて光変調したレーザ光を照射し、帯電させた感光体ドラム83の表面をこのレーザ光で露光するようになっている。
感光体ドラム83の周囲には、感光体ドラム83とともに画像形成手段を構成する現像装置86、転写ベルト87、クリーニング装置88、図示しない帯電装置および除電装置が設けられている。帯電装置は暗中にプラス電荷のコロナ放電をグリッドにより制御して感光体ドラムの表面を一定電位に帯電させるようになっている。
書込部82はこの一定電位に帯電された感光体ドラム83上に画像情報を含んだレーザダイオードを照射して感光体ドラム83上のマイナス電荷を除去して静電潜像を形成する。
現像装置86は感光体ドラム83上の電気除去された部分にマイナスに帯電されたトナーを付着させて可視像を形成する。転写ベルト87にはプラスのバイアスが印加されており、この転写ベルト87はマイナスに帯電された可視像を記録媒体としての転写紙(用紙)に転写して搬送するようになっている。
クリーニング装置88はクリーニングブレードを備えており、感光体ドラム83に残ったトナーを掻き落とすようになっている。除電装置は内部のLEDを点灯させることにより感光体ドラム83の残留電荷を除去して次の転写紙に新たな画像を形成するための準備を行う。
上記の工程によって画像が形成された転写紙は、定着装置90に搬送されるとともに、定着装置90によりトナー画像が定着される。
また、画像形成装置本体60内にはそれぞれ異なるサイズの転写紙がそれぞれ収納された収納カセット91〜95が設けられており、この収納カセット91〜95に収納された転写紙は呼出しコロ91a〜95aによって給紙された後、搬送方向に回転する給紙ローラ91b〜95bおよび給紙ローラ91b〜95bに摺接し、分離方向に回転するリバースローラ91c〜95cによって分離された後、中継ローラ対96、97を介してレジストローラ対98に搬送され、レジストローラ対98によってタイミングを取られて感光体ドラム83と転写ベルト87の間の搬送路に搬送される。
以上のように、本実施の形態に係る画像形成装置70は、上記の自動原稿搬送装置50を搭載することにより、分離手段の分離機能の解除および復帰を適切なタイミングで制御され、紙間を短く保って高生産性を維持するとともに、原稿スキューの原因を低減して原稿搬送安定性を向上させ曲がりのない画像読取りを実現することができる。