JP5531020B2 - 低リンホエイの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はリン含有量が低減された低リンホエイの製造方法に関する。
本願は、2009年9月25日に、日本に出願された特願2009−220086号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
チーズホエイは、チーズ製造時の副生成物である。一般にホエイ(乳清)は、ホエイ蛋白質、乳糖の原料として用いられる他、パンもしくは焼き菓子の風味改良用原料、飲料の原料または育児用調製粉乳などの原料として用いられている。
ところで、ホエイを育児用調製粉乳の原料として用いる際には、大量のミネラルを含むことから用途に制限がある。
一般的な乳児用調製粉乳は、人の母乳組成に近似させる目的から、粉乳100g中におけるタンパク質の含有量は9.5〜11g、リンの含有量は6.8mmol前後とされている。またタンパク質の組成は人乳に近似させるため、40%をカゼインとし60%を乳清タンパク質とするのが基本となっている。
純度の高い乳清タンパク質単離物または乳清タンパク質濃縮物は、リンも含めて多くのミネラルが脱塩されており、そのタンパク質含有量とリン含有量の点からは、乳児用調製粉乳の組成を母乳に近似させるのに使用可能な組成を有する。
しかしながら、特に新生児に必要な乳由来の微量栄養成分については研究の途上にあり、できる限り、乳由来の微量栄養成分を含むチーズホエイおよび他の乳由来の原料を用いながら、リン等の、乳児に過剰となる成分が除去された調製粉乳とするのが望ましいとされている。
例えばカゼインの供給源として、酸カゼイン(カゼイン84%、リン23mmol/100g)を用いればカゼイン含有量を調整しやすいが、できる限り脱脂粉乳(カゼイン27.2%、乳清タンパク質6.8%、リン31mmol/100g)を用い、乳清タンパク質の供給源としては、できる限りホエイを用いるのが望ましい。
この場合、ホエイ中には18〜22mmol/100g固形のリンが含まれているので、このリン含有量を6〜12mmol/100g固形以下にしておく必要がある。従って、乳児用調製粉乳を母乳の組成に近づけるうえで、ホエイ中のリン含有量を低減する技術は重要である。
ホエイ中のリン含有量を低減させる手法としては、イオン交換樹脂法がある(例えば、非特許文献1)。
また、低リンホエイの製造方法として(A)イオン交換樹脂のみを用いる方法(例えば、特許文献1)のほか、(B)イオン交換樹脂での脱塩負荷を下げる目的で、電気透析膜や、ナノフィルトレーション(NF)膜で、脱塩を行った後に、強酸性陽イオン交換樹脂と強塩基性陰イオン交換樹脂に通液する方法(例えば、特許文献2)、または(C)先に水素型陽イオン交換樹脂工程および塩素型陰イオン交換樹脂工程を通液したのち電気透析あるいはナノフィルトレーションを行う方法(例えば、特許文献3)が知られている。
非特許文献1に記載されている方法では、ホエイは、まず水素型に再生された陽イオン交換樹脂に通液され、金属陽イオンが水素イオンに置換されて酸性となって流出する。次いで、この流出液は水酸基型に再生された陰イオン交換樹脂に通液され、陰イオン(クエン酸、リン酸、塩素、乳酸)が水酸イオンに置換されて脱塩が実施される。この方法によれば90〜98%の高脱塩率を達成することができる。
特許文献1に記載の低リンホエータンパク質の製造方法では、タンパク質含有量70質量%のホエータンパク質濃縮物を希釈し、その希釈した溶液のpHを4以下に調整する。次いで、前記溶液をH形陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂に順次接触させ、タンパク質1g当たりのリン含有量を0.15mg以下に減少させる低リンホエータンパク質の製造方法が記載されている。
特許文献2はチーズホエーの濃縮・脱塩方法に関するもので、実施例4では、脱脂酸チーズホエー溶液の高蛋白物質を限外ろ過膜で除去した後、塩排除率が特に低い逆浸透膜を用いて濃縮と脱塩を同時に行う。次いで、得られたホエー濃縮液を、強酸性陽イオン交換樹脂と強塩基性陰イオン交換樹脂の混床式イオン交換装置に通して脱塩する方法が記載されている。
特許文献3に記載の方法では、濃縮ホエーが、まず弱カチオン性またはカルボン酸カラムに導入され、二価カチオンの60〜70%がプロトンにイオン交換され、一価カチオンの5〜15%がプロトンにイオン交換される。次いで、得られた流出液は強カチオン性イオン交換樹脂と強アニオン性イオン交換樹脂の混合床カラムに導入され、残りのカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンがプロトンに交換される。更に、ナトリウムおよびカリウムイオンがプロトンに交換され、スルフェートアニオンが塩化物アニオンにイオン交換されて強酸性(pH2〜2.5)となる。その後、得られた流出液は電気透析装置に導入され、塩化物アニオンの大部分およびプロトンの大部分が除去される。さらに強アニオン性イオン交換樹脂に導入されてシトレートイオンおよびホスフェートイオンが塩化物イオンに交換される。
日本国特許第3411035号公報 特開昭58−175438号公報 日本国特許第3295696号公報
「ミルク総合事典、朝倉書店、1992年1月20日初版、p.375〜377
カルシウムおよびマグネシウムは、「日本人の食事摂取基準(2005年版)」にもその摂取基準が示されているように、各国において摂取基準が定められている重要な栄養素である。しかしながら、例えば日本では、「平成17年 国民健康・栄養調査結果」によれば、食事摂取基準に対する充足率が足りていない。そのため、カルシウム・マグネシウム強化食品や、サプリメントが幅広く流通している。カルシウムおよびマグネシウムは栄養機能食品として表示出来る栄養成分に定められており、一定の要件を満たすことで、カルシウムおよびマグネシウムの機能を示すことが可能であり、その栄養上の重要性は広く認識されている。
乳製品はカルシウムの良質な供給源として期待されており、ホエイもその例外ではなく、それはリン含有量が低減された低リンホエイにおいても同様である。
すなわち、原料ホエイに元々含まれているカルシウムおよびマグネシウムを残存させつつ、リン含有量を低減させた低リンホエイが好ましい。
また、ホエイを調製粉乳の原料として使用する場合には、前記ホエイ中のナトリウムおよびカリウムが低減されていることが望ましいことが多いため、ホエイに元々含まれているカルシウムおよびマグネシウムを残存させつつ、リン、ナトリウム、およびカリウムの含有量を低減させた低リンホエイを製造できることが好ましい。
しかしながら、上記特許文献1〜3および非特許文献1に記載されている方法はいずれも、陽イオン交換樹脂による脱塩工程を有しており、これによって1価のカチオンだけでなく、栄養学的に価値の高い、カルシウムおよびマグネシウムなどの2価のカチオンも除去する。
例えば、非特許文献1の表II−4.3に記載されている、イオン交換樹脂により脱塩されたホエイの脱塩率は97%であり、脱塩後の組成を固形分100g当たりに換算すると、カルシウム含有量およびマグネシウム含有量の合計が5.43mmol/100g固形、リン含有量が10mmol/100g固形、ナトリウムおよびカリウムの含有量の合計が1.71mmol/100g固形であり、カルシウムおよびマグネシウムが高度に除去されている。
また特許文献1記載の方法では、タンパク質1g当たり、カルシウム0.227mg以下、マグネシウム0.057mg以下、リン0.15mg以下(すなわち、タンパク質含有量12質量%のホエイ固形分に対する値に換算すると、カルシウム含有量およびマグネシウム含有量の合計0.0961mmol/100g固形以下、リンの含有量0.0581mmol/100g固形以下)を目標としており、カルシウムおよびマグネシウムを残存させるという技術思想は全く無い。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、ホエイに含まれているカルシウムおよびマグネシウムの含有量の低減を抑えつつ、リンの含有量を低減させることができる低リンホエイの製造方法を提供することを目的とする。
また好ましくは、ホエイに含まれているカルシウムおよびマグネシウムの含有量の低減を抑えつつ、リン、ナトリウム、およびカリウムの含有量を低減させることができる低リンホエイの製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を行った結果、原料ホエイ液中の塩素含有量が低い状態で、塩素型陰イオン交換樹脂に通液させることにより、カルシウムおよびマグネシウムの低減を抑えつつ、リン含有量を効率よく低減できることを見出して本発明を完成させるに至った。
また、そのようにしてリン含有量が低減された、陰イオン交換樹脂からの流出液をナノろ過法により脱塩処理することによって、カルシウムおよびマグネシウムの含有量の低減を抑えつつ、ナトリウムおよびカリウムの含有量を低減できること、および、その際に、ナノろ過による脱塩処理に供される被処理液中におけるナトリウム含有量とカリウム含有量の合計値に対する塩素含有量のモル比(塩素/(ナトリウム+カリウム))が大きいと、ナノろ過におけるナトリウムおよびカリウムの透過率が高く、脱塩効率が向上することも見出した。
本発明の1つの側面としては、原料ホエイ液をナノろ過法で脱塩処理して、塩素含有量が固形分100gあたり30mmol以下に低減された低塩素ホエイ液を得る第1の脱塩工程と、前記低塩素ホエイ液を塩素型陰イオン交換樹脂に通液させてリン含有量を低下させる工程を有し、陽イオン交換樹脂に通液させる工程を含まず、カルシウム含有量およびマグネシウム含有量の合計が固形分100gあたり10mmol以上である低リンホエイを得ることを特徴とする低リンホエイの製造方法に関する。
本発明の別の側面としては、前記原料ホエイ液のpHが6〜7の範囲内であり、前記低塩素ホエイ液のpH、および前記陰イオン交換樹脂からの流出液のpHが、いずれも6〜7である低リンホエイの製造方法に関する。
本発明のまた別の側面としては、前記低塩素ホエイ液の、塩素含有量が固形分100gあたり20mmol以下である低リンホエイの製造方法に関する。
本発明のまた別の側面としては、前記低リンホエイの、リン含有量が固形分100gあたり12mmol以下である低リンホエイの製造方法に関する。
本発明のまた別の側面としては、前記陰イオン交換樹脂からの流出液を、ナノろ過法により脱塩処理する第2の脱塩工程を有する低リンホエイの製造方法に関する。
本発明のまた別の側面としては、前記第2の脱塩工程で脱塩処理に供される被処理液の、ナトリウム含有量とカリウム含有量との合計値に対する塩素含有量のモル比(塩素/(ナトリウム+カリウム))が0.35以上である低リンホエイの製造方法に関する。
また本発明のまた別の側面としては、ホエイを含み、塩素含有量が固形分100gあたり30mmol以下である低塩素ホエイ液を、塩素型陰イオン交換樹脂に通液させてリン含有量を低下させる工程を有し、陽イオン交換樹脂に通液させる工程を含まず、前記低塩素ホエイ液のpHが6〜7の範囲内であり、前記陰イオン交換樹脂からの流出液のpHが6〜7であり、カルシウム含有量およびマグネシウム含有量の合計が固形分100gあたり10mmol以上である低リンホエイを得る、低リンホエイの製造方法に関する。
本発明のまた別の側面としては、前記低塩素ホエイ液の、塩素含有量が固形分100gあたり20mmol以下である低リンホエイの製造方法に関する。
本発明のまた別の側面としては、前記低リンホエイの、リン含有量が固形分100gあたり12mmol以下である低リンホエイの製造方法に関する。
本発明のまた別の側面としては、前記陰イオン交換樹脂からの流出液を、ナノろ過法により脱塩処理する工程を更に含む低リンホエイの製造方法に関する。
本発明のまた別の側面としては、前記陰イオン交換樹脂からの流出液を、ナノろ過法により脱塩処理する工程において、脱塩処理に供される被処理液の、ナトリウム含有量とカリウム含有量との合計値に対する塩素含有量のモル比(塩素/(ナトリウム+カリウム))が0.35以上である低リンホエイの製造方法に関する。
本発明の更に別の側面としては、調製粉乳用として好適である前記低リンホエイに関する。


本発明によれば、ホエイに含まれているカルシウムおよびマグネシウムの含有量の低減を抑えつつ、リンの含有量が低減された低リンホエイを製造できる。
さらに前記第2の脱塩工程を設けると、ホエイに含まれているカルシウムおよびマグネシウムの含有量の低減を抑えつつ、リン、ナトリウム、およびカリウムの含有量が低減された低リンホエイを製造できる。
試験例に係る、塩素型陰イオン交換樹脂への通液によるリンの減少量と、通液前の塩素含有量との関係を示したグラフである。
本発明について、詳細に説明する。
<<原料ホエイ液>>
ウシ、ヒツジ、またはヤギ等の乳を原料として、チーズ、カゼイン、カゼインナトリウム、またはヨーグルト等を製造する過程において、凝固させた乳分を取り除いて残る透明な液をホエイと言う。本発明で用いられるホエイは、凝固した乳分を分離しただけの未処理のホエイでもよく、前記未処理のホエイに対して、脱脂および/または脱蛋白質の前処理を施したものでもよく、前記未処理のホエイまたは前処理後のホエイを、噴霧乾燥や凍結乾燥等の常法により粉末化したものでもよい。市販のホエイパウダーも使用可能であり、前処理によって塩素含有量が低くなっているホエイパウダーは好適である。
原料ホエイ液はホエイを含む液体であればよく、例えば液体のホエイをそのまま用いてもよく、ホエイパウダーの水溶液でもよい。必要に応じて予め濃縮した濃縮液を原料ホエイ液として用いてもよい。
ホエイおよび原料ホエイ液は中性であることが好ましい。具体的に、原料ホエイ液のpHが5.5〜7.4の範囲内であることが好ましく、6〜7の範囲内であることがより好ましい。
原料ホエイ液が前記範囲内であると、中和工程を行うことなく、後述するナノろ過法による脱塩工程およびイオン交換樹脂に通液させる工程を中性域で行うことができるため、ホエイタンパク質の分解、変性、糖の酸分解やアルカリ反応などを防ぐことができる。また耐アルカリ性が低いナノろ過膜を用いても膜寿命が短命化するおそれがないため好ましい。
<第1の実施形態>
<<第1の脱塩工程>>
第1の脱塩工程は、原料ホエイ液をナノろ過法で脱塩処理して、塩素含有量が低減された低塩素ホエイ液を得る工程である。
ナノろ過法は、ナノろ過による脱塩処理に供される被処理液を、ナノろ過膜を透過した透過液と透過しないリテンテート液とに分離する工程を有する方法である。
ナノろ過(NF)膜とは、限外ろ過(UF)膜と逆浸透(RO)膜の中間領域である分子量数十から千ダルトン、すなわち、分子の大きさに換算するとナノメートルの領域を分画対象とした分離膜である。無機質、糖質、アミノ酸、およびビタミンなどのうち、分子量が小さく、荷電の低い粒子はナノろ過膜を透過する。
具体的なナノろ過膜としては、GE Water Technologies社製のDL、DK、HLシリーズ、Koch Membrane System社製のSR−3シリーズ、Dow Chemical社製のDOW−NFシリーズ、および日東電工社製のNTRシリーズ(いずれも製品名)などを例示することができるが、これらに限られるものではない。
最終的に得られる低リンホエイの用途に応じて、目的とする組成の低リンホエイを得るのに好適なナノろ過膜を適宜選択して用いることができる。
ナノろ過法は、1価のミネラルを選択的に脱塩するのに好適であり、カルシウムおよびマグネシウムの阻止率が高いため、原料ホエイに含まれているカルシウムおよびマグネシウムの含有量の低減を抑えつつ、塩素含有量を低減させることができる。
すなわち、原料ホエイ液をナノろ過膜で脱塩処理すると、原料ホエイ液に含まれる塩素イオンはナノろ過膜を透過して透過液側へ移動する。一方、2価のミネラルの陽イオンはほとんどナノろ過膜を透過せず、リテンテート液に含まれる。
したがって、ナノろ過法を用いることにより、原料ホエイに含まれているカルシウムおよびマグネシウムの含有量の低減を抑えつつ、塩素含有量が低減されたリテンテート液(低塩素ホエイ液)が得られる。
ナノろ過法による脱塩処理において、液のpHはほとんど変動しない。したがって、中性の原料ホエイ液を用いることにより、中性の低塩素ホエイ液を得ることができる。低塩素ホエイ液のpHは5.5〜7.4の範囲内であることが好ましく、6〜7の範囲内であることがより好ましい。
本発明で用いるナノろ過装置は、公知のものを適宜選択して用いることができる。
例えば、ナノろ過膜を備えた膜モジュールと、膜モジュールに被処理液を送る供給ポンプと、ナノろ過膜を透過した透過液を膜モジュールから取り出す手段と、ナノろ過膜を透過しなかったリテンテート液を膜モジュールから取り出す手段を備えている。回分式の装置はさらに膜モジュールに供給される前の被処理液を保持する原液タンクと、膜モジュールから取り出したリテンテート液を原液タンクに戻す手段を備えている。
膜分離操作は、透過液を取り出し、リテンテート液を原液タンクに戻す回分濃縮式でもよい。透過液を取り出し、リテンテート液を原液タンクに戻す工程のほかに、取り出した透過液と同量の水を原液タンクに加えるダイアフィルトレーション(加水透析ろ過)を行う工程を設けてもよい。または被処理液を膜モジュールに連続的に供給し、リテンテート液および透過液をそれぞれ連続的に取り出す連続式でもよい。これらを組み合わせてもよい。
回分濃縮式によれば、脱塩および濃縮を同時に行うことができる。加水透析ろ過を行うと、より高度な脱塩が可能である。
第1の脱塩工程で得られる低塩素ホエイ液、すなわち後述の陰イオン交換樹脂に通液される液における塩素含有量は、固形分100g当たり30mmol以下であり、好ましくは20mmol以下が好ましく、より好ましくは15mmol以下である。低塩素ホエイ液中の塩素含有量が30mmol以下であると、前記低塩素ホエイ液を塩素型陰イオン交換樹脂に通液したときにリン含有量が低減しやすい。また前記塩素含有量が20mmol以下であると、リン含有量低減の効率が顕著に向上する。
低塩素ホエイ液中の塩素含有量はナノろ過法による脱塩処理の程度によって制御でき、例えば、脱塩処理時間を長くすることにより塩素含有量をより低下させることができる。
すなわち、脱塩素量は(透過液量)×(透過液中における塩素濃度)となるため、透過液が発生し、かつ透過液に塩素が含まれている間では、脱塩処理を継続することにより、塩素含有量を低下させることができる。
なお、前記塩素含有量の下限値は特に制限されないが、脱塩処理が進むほど塩素含有量は低下しにくくなる。前記塩素含有量は固形分100gあたり5mmol以上の範囲が実用的である。
第1の脱塩工程において、ナノろ過法による脱塩処理を、条件を変えて2回以上行ってもよい。
また原料ホエイ液中のホエイが前処理されたものであって、原料ホエイ液の塩素含有量が既に固形分100gあたり30mmol以下である場合には、第1の脱塩工程を経ずに、陰イオン交換樹脂に通液させる低塩素ホエイ液とすることができる。原料ホエイ液の塩素含有量が固形分100gあたり20mmol超、かつ30mmol以下である場合には、イオン交換によってリンを効率良く低減させるために、前記原料ホエイ液に対して第1の脱塩工程を行って塩素含有量を20mmol/100g固形以下に低減させることが好ましい。
原料ホエイ液の塩素含有量が固形分100gあたり20mmol以下である場合には、第1の脱塩工程を経ずに、後述の陰イオン交換樹脂に通液させてもよいし、第1の脱塩工程を行って塩素含有量をさらに低下させてもよい。
<<陰イオン交換樹脂への通液>>
第1の脱塩工程で塩素含有量が低減された低塩素ホエイ液を、イオン交換樹脂に通液させる。
本発明におけるイオン交換樹脂は陰イオン交換樹脂からなる。すなわち、陽イオン交換樹脂に通液させる処理は行わない。
陰イオン交換樹脂としては、少なくとも塩素型陰イオン交換樹脂を用いる。
陰イオン交換樹脂への通液は中性域で行うことが好ましい。具体的には、陰イオン交換樹脂に通液される低塩素ホエイ液のpH、および前記陰イオン交換樹脂からの流出液(以下、イオン交換ホエイということもある。)のpHが、いずれも5.5〜7.4の範囲内であることが好ましく、6〜7の範囲内であることがより好ましい。
このためには、陰イオン交換樹脂としてOH型陰イオン交換樹脂を使用しないことが望ましく、陰イオン交換樹脂として塩素型陰イオン交換樹脂のみを用いることが好ましい。また、OH型陰イオン交換樹脂に通液させると液がアルカリ性になり、リンの遊離が抑制されてリン含有量が低減しにくくなるおそれもあるため、この点でもOH型陰イオン交換樹脂を使用しないことが望ましい。
塩素型陰イオン交換樹脂としては、陰イオン交換樹脂を、予め食塩水、または塩酸などを用いて塩素型にしたものを用いる。陰イオン交換樹脂の例としては、ロームアンドハース社製IRA402BL、IRA958、および三菱化学社製PA316(いずれも製品名)などを例示することができる。しかし、これらに限られず、低リンホエイの用途に応じて、目的とする組成の低リンホエイを得るのに好適な陰イオン交換樹脂を適宜選択することができる。
塩素含有量が低減された低塩素ホエイ液を塩素型陰イオン交換樹脂に通液させることにより、液中のリン含有量が低下する。したがって、リン含有量が低減されたイオン交換ホエイ液が得られる。一方、2価のミネラルの陽イオンの含有量は、塩素型陰イオン交換樹脂への通液によってわずかしか減少しない。
したがって、原料ホエイに含まれているカルシウムおよびマグネシウムの含有量の低減を抑えつつ、リン含有量が低減されたイオン交換ホエイ液が得られる。
イオン交換ホエイ液におけるリン含有量は、後述する低リンホエイの好ましいリン含有量を達成するために、固形分100g当たり12mmol以下が好ましく、10mmol以下がより好ましい。
塩素型陰イオン交換樹脂への通液条件は、乳糖が析出しない範囲で、流出液におけるリン含有量の目標値に応じて設定できる。
ホエイを含む液を塩素型陰イオン交換樹脂に通液させる場合、イオン交換樹脂単位交換容量あたりの固形分の通液量が少ないほど、イオン交換効率が高くなり、通液によるリン含有量の低減量は多くなる。すなわちイオン交換樹脂の体積をA(単位:L)とし、流出液に含まれる固形分量をB(単位:kg)とするとき、同じ樹脂で比較する場合においては、B/Aで表わされる通液倍率が小さいほど、流出液中のリン含有量は低下する。また、流出液中のリン含有量をより低下させるためには、通液させる液の固形濃度が低く、かつ流速が小さい(遅い)方が好ましい。
塩素型陰イオン交換樹脂に通液させる液の固形濃度は、例えば4〜40質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。前記固形濃度が4質量%未満であると通液に時間がかかり、効率がよくない。また、前記固形濃度が低いほど、後工程において濃縮を行う際に濃縮倍率を高くする必要がある。前記固形濃度が40質量%を超えると、溶液の粘度が高くなり、乳糖析出の可能性も高くなる。
通液させる際の流速は、例えば2〜12SVが好ましく、3〜8SVがより好ましい。前記流速が2SV未満であると通液に時間がかかり効率がよくない。前記流速が12SVを超えると、圧力損失が高くなる。なおSVとは、単位時間当たりに通液した液の、イオン交換樹脂量に対する相対量を表し、1時間にイオン交換樹脂量と同量の液を通液した場合の流速を1SVという。
通液させる液の温度は2〜50℃が好ましく、3〜15℃がより好ましい。前記温度が2℃未満であると、液の粘度が高くなりすぎる。また温度が下がりすぎると液が凍結をおこすおそれもある。一方、50℃を超えると蛋白質の変性、または褐変等が生じる可能性が高くなる。微生物の増殖を抑えるためには10℃以下が好ましい。
こうして得られるイオン交換ホエイ液(流出液)をそのままの状態で液状の低リンホエイとして用いてもよく、必要に応じて、公知の方法で後処理を施してもよい。前記後処理は液中のリンの含有量を増加させない処理であることが好ましい。また液中のカルシウム含有量およびマグネシウム含有量を低減させない処理であることが好ましい。
例えば、イオン交換ホエイ液を濃縮することにより濃縮液状の低リンホエイを得ることができる。また得られたイオン交換ホエイ液を必要に応じて濃縮した後、凍結乾燥、または噴霧乾燥等の乾燥工程を経て、粉末状の低リンホエイとしてもよい。低リンホエイは他製品の原料として用いることが可能である。
本実施形態によれば、ナノろ過法で脱塩処理された低塩素ホエイ液を、塩素型陰イオン交換樹脂に通液させることにより、後述の実施例に示されるように、リン含有量が低減された低リンホエイが得られる。また、原料ホエイに含まれているカルシウムおよびマグネシウムの含有量の低減は良好に抑えられる。
最終的に得られる低リンホエイのリン含有量は、固形分100gあたり12mmol以下が好ましく、10mmol以下がより好ましい。前記リン含有量が12mmol以下であると、調製粉乳用に好適なレベルを満たす。
また、低リンホエイにおけるカルシウム含有量およびマグネシウム含有量の合計は固形分100gあたり10mmol以上が好ましい。特に、カルシウム含有量およびマグネシウム含有量の合計が固形分100gあたり13〜17mmolの範囲にあると、調製粉乳用の原料として好適である。
本実施形態で得られる低リンホエイは、リン含有量が良好に低減されており、かつ原料ホエイに含まれているカルシウムおよびマグネシウムの含有量の低減が抑えられているため、特に調製粉乳用として好適である。
調製粉乳とは生乳、牛乳若しくは特別牛乳、またはこれらを原料として製造した食品を加工し、または主要原料とし、これに乳幼児に必要な栄養素を加え粉末状にしたものである。
<第2の実施形態>
本実施形態では、第1の実施形態で得られたイオン交換ホエイ液(流出液)を、さらにナノろ過法を用いて脱塩処理する第2の脱塩工程を設けて、ナトリウムおよびカリウムの含有量を低減させる。
<<第1の脱塩工程・第1のイオン交換工程>>
本実施形態において、第1の脱塩工程および陰イオン交換樹脂への通液(本実施形態では第1のイオン交換工程という)は第1の実施形態と同様に行う。
第1の脱塩工程において、原料ホエイ液をナノろ過膜で脱塩処理すると、原料ホエイ液に含まれる塩素、ナトリウム、およびカリウム等がナノろ過膜を透過して透過液側へ移動する。したがって、第1の脱塩工程を行うことにより、原料ホエイに含まれているカルシウムおよびマグネシウムの含有量の低減を抑えつつ、塩素含有量が低減されるとともに、ナトリウム含有量およびカリウム含有量も低減したリテンテート液(低塩素ホエイ液)が得られる。
次いで、第1のイオン交換工程において、低塩素ホエイ液を陰イオン交換樹脂に通液させると、液中のリン含有量が低下するとともに、塩素含有量が増加する。したがって、原料ホエイに含まれているカルシウムおよびマグネシウムの含有量の低減を抑えつつ、リン含有量が低減されるとともに、低塩素ホエイ液よりも塩素含有量が増加した流出液(本実施形態では第1のイオン交換ホエイ液という)が得られる。本実施形態では、こうして得られる第1のイオン交換ホエイ液を第2の脱塩工程に供する。
<<第2の脱塩工程>>
第2の脱塩工程で用いられるナノろ過膜およびナノろ過装置は、第1の脱塩工程と同様のものを用いることができる。
第1のイオン交換ホエイ液を、第2の脱塩工程でナノろ過法により脱塩処理することにより、第1のイオン交換ホエイ液中のカルシウムおよびマグネシウムの含有量の低減を抑えつつ、ナトリウムおよびカリウムの含有量が低減されたリテンテート液(以下、第2の脱塩ホエイ液という。)が得られる。
第2の脱塩工程において、ナノろ過法による脱塩処理に供される被処理液中の、ナトリウム含有量とカリウム含有量の合計値に対する塩素含有量のモル比(塩素/(ナトリウム+カリウム))(以下、Cl/(Na+K)比ということもある)が0.35以上であることが好ましい。前記Cl/(Na+K)比が0.35以上であると、ナノろ過におけるナトリウムおよびカリウムの透過率(以下(Na+K)透過率ということもある。)が充分に高くなる。前記Cl/(Na+K)比は、より好ましくは0.5以上である。
本明細書における(Na+K)透過率は、下記式(1)で表わされる値である。なおナトリウム含有量(以下、Na含有量と記載することもある。)およびカリウム含有量(以下、K含有量と記載することもある。)の単位はmmol/L液である。
(Na+K)透過率=(透過液中のNa含有量とK含有量の合計)/(リテンテート液中のNa含有量とK含有量の合計)…(1)
本実施形態において、第1のイオン交換工程を、第1の実施形態と同様にリンの含有量が固形分100g当たり12mmol以下となるように行うと、得られる第1のイオン交換ホエイ液のCl/(Na+K)比は、通常、0.35よりも充分高くなり、例えば0.8以上となる。
また、第2の脱塩工程において、回分濃縮式またはダイアフィルトレーションでナノろ過を行う場合、被処理液におけるCl/(Na+K)比が小さくなると(Na+K)透過率が減少し、脱塩効率が低下する。したがって、再度、塩素型陰イオン交換樹脂に通液する等して、前記被処理液におけるCl/(Na+K)比を0.35以上、好ましくは0.5以上に維持することが好ましい。
この場合、第2の脱塩工程に供される第1のイオン交換ホエイ液のCl/(Na+K)比が0.8以上であると、塩素含有量を増大させる工程を新たに設けなくても、ナトリウムおよびカリウムの含有量が所望のレベルに低減するまで、Cl/(Na+K)比が0.35以上に維持されやすい。
Cl/(Na+K)比の上限としては、本発明によって得られる脱塩ホエイにおいて、塩素、ナトリウム、及びカリウムの3つの全てを低減した場合、1.2を例示することができる。得られた脱塩ホエイにおいて、ナトリウム、及びカリウムに比して塩素が相対的に多く残存しても良い場合には、Cl/(Na+K)比の上限は、1.5が例示される。
<<第2のイオン交換工程>>
第2の脱塩工程において、ナノろ過法による脱塩処理に供される被処理液中の塩素含有量を増加させるために、前記被処理液が脱塩処理に供される前に、前記被処理液を塩素型陰イオン交換樹脂に通液させる工程(本実施形態では第2のイオン交換工程という。)を設けてもよい。第2のイオン交換工程は、カルシウムおよびマグネシウムの含有量の低下を抑えつつ、塩素含有量を増加させることができるとともに、塩素含有量が30mmol/100g固形以下であるとイオン交換によるリン含有量のさらなる低下も期待できる。
例えば第2の脱塩工程において、第1のイオン交換ホエイ液をナノろ過による脱塩処理に供し、得られるリテンテート液を塩素型陰イオン交換樹脂に通液(第2のイオン交換工程)させた後、再びナノろ過による脱塩処理に供してもよい。前記塩素型陰イオン交換樹脂への通液(第2のイオン交換工程)と、ナノろ過法による脱塩処理とを交互に複数回繰り返し、最後にナノろ過法による脱塩処理を行ってもよい。
さらに、回分濃縮方式でナノ濾過法により脱塩処理を行う場合には、原料タンクからホエイ液を抜き出して塩素型陰イオン交換樹脂に通液し、得られた液を原料タンクに戻す操作を追加しても良い。
また、ナノ濾過法による脱塩処理の途中で、Cl/(Na+K)比が低下した場合は、前記のように被脱塩処理液を塩素型陰イオン交換樹脂に通液することによりCl/(Na+K)比を上昇させることが可能である。
第2のイオン交換工程における、塩素型陰イオン交換樹脂への通液条件は、乳糖が析出しない範囲で、流出液における塩素含有量の目標値に応じて設定できる。上述したように、通液倍数=(流出液に含まれる固形分量)/(イオン交換樹脂の体積)が小さいほど、すなわち、イオン交換樹脂単位交換容量あたりのホエイ固形分の通液量が少ないほど、イオン交換効率が高くなるため、通液による塩素含有量の増加量は多くなる。したがって、流出液中の塩素含有量をより増大させるためには、通液させる液の固形濃度が低く、かつ流速が小さい(遅い)方が好ましい。
第2のイオン交換工程における好ましい通液条件は、第1のイオン交換工程と同じである。
最後のナノろ過後に得られるリテンテート液(第2の脱塩ホエイ液)をそのままの状態で、液状の、脱塩された低リンホエイとして用いてもよい。また、必要に応じて濃縮してもよく、公知の方法で乾燥して粉末状としてもよい。ただし、本発明の低リンホエイは、一般のホエイに比して、加熱により沈殿を生じやすい傾向があると考えられるため、沈殿を抑えたい場合には、加熱温度を低くする、加熱時間を短くする、又は加熱時の固形分濃度を低くする等の手段を適宜実施しても良い。
本実施形態によれば、第1の実施形態で得られたイオン交換ホエイ液を、さらにナノろ過法により脱塩処理することにより、原料ホエイに含まれているカルシウムおよびマグネシウムの含有量の低減を抑えつつ、リン、ナトリウム、およびカリウムの含有量が低減された低リンホエイが得られる。
本実施形態において、最終的に得られる、脱塩された低リンホエイにおける、ナトリウム含有量とカリウム含有量の合計は固形分100g当たり40mmol以下であることが好ましく、32mmol以下であることがより好ましい。
リン含有量は、第1の実施形態と同様に固形分100g当たり12mmol以下が好ましく、10mmol以下がより好ましい。
またカルシウム含有量(以下、Ca含有量と記載することもある。)およびマグネシウム含有量(以下、Mg含有量と記載することもある。)の合計は、第1の実施形態と同様に固形分100gあたり10mmol以上が好ましい。特にカルシウム含有量およびマグネシウム含有量の合計が固形分100gあたり13〜17mmolの範囲にあると、調製粉乳用の原料として好適である。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下において、含有率の単位を表わす「%」は特に断りのない限り「質量%」である。
<<実施例1>>
(第1の脱塩工程)
チーズホエイパウダー(タンパク質13.0%、脂質1.0%、炭水化物76.2%、灰分7.8%、水分2.0%、リン19mmol/100g)5kgに水を加えて溶解し、55kgの原料ホエイ液(pH=6.8)を得た。
得られた原料ホエイ液をナノろ過膜(DL3840C−30D:GE Water&Process Technologies社製)に通液し、加水透析ろ過方式で脱塩処理を行った。すなわち、リテンテート液を原液タンクに戻しながら、かつ透過液量に等しい水量を原液タンクに加水することで原液タンク内の液量を一定に保つ加水透析ろ過方式で、透過液が50kgになるまでバッチ式による脱塩処理を行った。こうして得られた原液タンク内の液を低塩素ホエイ液とする。低塩素ホエイ液の回収量は64.0kgで、固形分4.4kgを含む。
(イオン交換工程)
次いで、上記で得られた、固形濃度約6.9%の低塩素ホエイ液64kgを、塩素型陰イオン交換樹脂(ロームアンドハース社製、製品名:IRA402BL)4Lを充填したカラムに、流速6SV、液温5〜10℃で通液し、固形濃度6.0%のイオン交換ホエイ液(流出液)71.2kgを得た。本例において、前記イオン交換ホエイ液は、液状の低リンホエイである。
原料ホエイ液、低塩素ホエイ液およびイオン交換ホエイ液について、pH、固形分100gあたりのナトリウム(Na)含有量とカリウム(K)含有量の合計(表にはNa+Kと記載する。)、固形分100gあたりのCa含有量とMg含有量の合計(表にはCa+Mgと記載する。)、リン含有量(表にはPと記載する。)、および塩素含有量(表にはClと記載する。)を表1に示す。ミネラル含有量の単位はmmol/100g固形である(以下同様。)。
Figure 0005531020
表1に示されるように、原料ホエイ液、低塩素ホエイ液、およびイオン交換ホエイ液のpHは6.6〜6.8でほとんど変化しない。
原料ホエイ液に比べて、イオン交換ホエイ液は、リンが充分に低減されており、カルシウムおよびマグネシウムの含有量の低下は小さい。
<<実施例2>>
実施例1で得られたイオン交換ホエイ液(固形濃度6.0%、pH=6.6)71.2kgを加水して78.7kgとした。イオン交換ホエイ液におけるCl/(Na+K)比は、表1から算出すると1.06である。本例において、イオン交換ホエイ液は、第2の脱塩工程の脱塩処理に最初に供される被処理液である。(第2の脱塩工程)
前記イオン交換ホエイ液を実施例1の第1の脱塩工程と同じナノろ過装置で脱塩処理した。すなわち、リテンテート液を原液タンクに戻しながら、回分濃縮式で、透過液が50kgとなるまで脱塩処理を行い、続いて加水透析ろ過方式で、ナノろ過を継続し、透過液が13kg(脱塩処理開始からの合計63kg)となるまで脱塩処理を行った。こうして得られた原液タンク内の液を第2の脱塩ホエイ液(脱塩された低リンホエイ液)とする。第2の脱塩ホエイ液の回収量は24.8kgで固形濃度14.7%、pH=6.4であった。
得られた第2の脱塩ホエイ液(脱塩された低リンホエイ液)の固形分100gあたりの組成を表2に示す。
Figure 0005531020
表2に示されるように、リン、ナトリウム、およびカリウムの含有量が充分に低減された低リンホエイが得られた。また原料ホエイ液に比べて、カルシウム、マグネシウムの含有量の低下は小さい。
第2の脱塩ホエイ液におけるCl/(Na+K)比は、表2から算出すると0.98である。本例において、第2の脱塩ホエイ液は、ナノろ過による脱塩処理に最後に供された被処理液が、脱塩処理された後の液であるから、前記脱塩処理に最後に供された被処理液よりもCl/(Na+K)比は大きくはならない。したがって、第2の脱塩工程の脱塩処理に最初に供された被処理液(イオン交換ホエイ液)のCl/(Na+K)比は1.06であり、最後に供された被処理液のCl/(Na+K)比は0.98以上であるから、被処理液のCl/(Na+K)比が0.35より充分に高い値に維持されたことがわかる。
<<実施例3>>
(第1の脱塩工程)
ナノろ過法で前処理(脱塩処理)したチーズホエイパウダー(タンパク質12.4%、脂質1.1%、炭水化物77.1%、灰分5.6%、水分3.8%、リン19mmol/100g)8kgに水を加えて溶解して、87kgの原料ホエイ液を得た。
得られた原料ホエイ液を実施例1と同じナノろ過膜を用い、加水透析ろ過方式で、透過液が24kgになるまでバッチ式による脱塩処理を行った。こうして得られた原液タンク内の液を低塩素ホエイ液とする。
(イオン交換工程)
次いで、得られた低塩素ホエイ液87kgのうち、66.7kg(固形量6kg)を分取した。これに固形濃度約8%になるように加水した液75.1kgを、実施例1と同じ塩素型陰イオン交換樹脂の6Lを充填したカラムに、流速6SV、液温5〜10℃で通液し、固形濃度7.4%のイオン交換ホエイ液(流出液)76.1kgを得た。本例において、前記イオン交換ホエイ液は、液状の低リンホエイである。
原料ホエイ液、低塩素ホエイ液およびイオン交換ホエイ液について、pH、固形分100gあたりのNa含有量とK含有量の合計、固形分100gあたりのCa含有量とMg含有量の合計、リン含有量、および塩素含有量を表3に示す。
Figure 0005531020
表3に示されるように、原料ホエイ液、低塩素ホエイ液、およびイオン交換ホエイ液のpHは6.1〜6.4でほとんど変化しない。原料ホエイ液に比べて、イオン交換ホエイ液は、リンが充分に低減されており、カルシウムおよびマグネシウムの含有量の低下は小さい。
<<実施例4>>
実施例3で得られた、イオン交換ホエイ液(固形濃度7.4%、pH=6.1)76.1kgを加水して83.2kgとした。イオン交換ホエイ液におけるCl/(Na+K)比は、表1から算出すると1.23である。本例において、イオン交換ホエイ液は、第2の脱塩工程の脱塩処理に最初に供される被処理液である。
(第2の脱塩工程)
前記イオン交換ホエイ液を実施例3の第1の脱塩工程と同じナノろ過装置で脱塩処理した。すなわち、回分濃縮式で、透過液が45kgとなるまで脱塩処理を行った。続いて加水透析ろ過方式で、ナノろ過を継続し、透過液が25kg(脱塩処理開始からの合計70kg)となるまで脱塩処理を行った。こうして得られた原液タンク内の液を第2の脱塩ホエイ液(脱塩された低リンホエイ液)とする。第2の脱塩ホエイ液の回収量は30kgで、固形濃度14.0%、pH=6.2であった。
得られた第2の脱塩ホエイ液(脱塩された低リンホエイ液)の固形分100gあたりの組成を表4に示す。
Figure 0005531020
表4に示されるように、リン、ナトリウム、およびカリウムの含有量が充分に低減された低リンホエイが得られた。また原料ホエイ液に比べて、カルシウム、およびマグネシウムの含有量の低下は小さい。
第2の脱塩ホエイ液におけるCl/(Na+K)比は、表4から算出すると1.17である。本例において、第2の脱塩ホエイ液は、ナノろ過による脱塩処理に最後に供された被処理液が、脱塩処理された後の液であるから、前記脱塩処理に最後に供された被処理液のCl/(Na+K)比は1.17以上である。すなわち、被処理液のCl/(Na+K)比が0.35より充分に高い値に維持されたことがわかる。
<<比較例1>>
本例では、ナノろ過法による脱塩処理だけを行い、イオン交換樹脂に通液させる工程は行わなかった。脱塩処理は実施例1における第1の脱塩処理よりも透過液量が多くなるように行った。
すなわち、チーズホエイパウダー(タンパク質12.6%、脂質1.0%、炭水化物76.8%、灰分8.08%、水分1.6%、リン18.3mmol/100g)5.6kgに水を加えて溶解し、100kgの原料ホエイ液(pH=6.9)を得た。
得られた原料ホエイ液を実施例1と同じナノろ過膜で、透過液が50kgになるまでバッチ式による脱塩処理を行った。
続いて、50kgの水をリテンテートに加水しては、再び50kgの透過液を得るナノろ過工程を3回繰り返して脱塩処理した。こうして得られた原液タンク内の液を脱塩ホエイ液(比較例)とする。
原料ホエイ液、および脱塩ホエイ液(比較例)について、固形分100gあたりのNa含有量とK含有量の合計、固形分100gあたりのCa含有量とMg含有量の合計、リン含有量、および塩素含有量を表5に示す。
Figure 0005531020
本例では、実施例1よりもかなり多い透過液が得られるまで、ナノろ過による脱塩処理を行ったが、リンはほとんど低減しなかった。得られた液におけるNa含有量とK含有量の合計は目標値である40mmol/100gより多く、リンも12mmol/100gより多く含まれていた。
<<比較例2>>
本例では、ナノろ過による脱塩処理を、陰イオン交換樹脂に通液させる工程の前に行わず、陰イオン交換樹脂に通液させた後に行った。
すなわち、チーズホエイパウダー(タンパク質13.2%、脂質0.9%、炭水化物76%、灰分7.9%、水分2.1%、リン21.2mmol/100g、塩素42.6mmol/100g)6.6kgに水を加えて溶解し、93kgの原料ホエイ液(pH=6.8)を得た。
得られた原料ホエイ液を実施例1と同じ塩素型陰イオン交換樹脂の5Lが充填されたカラムに通液しながら、流出液(イオン交換ホエイ液)99.2kg(固形量6.3kg)を得た。これを加水して108kgとし、実施例1と同じナノろ過装置に供給して脱塩処理を行った。
塩素型陰イオン交換樹脂への通液条件は、流速6SV、液温5〜10℃とした。流出液(イオン交換ホエイ液)のpHは6.5であった。
ナノろ過による脱塩処理は、リテンテート液を原液タンクに戻しながら、回分濃縮式で、透過液が68.6kgとなるまで行った。この時点での原液タンク内の液を脱塩ホエイ液(I)とする。脱塩ホエイ液(I)の全量は39kgで固形濃度15.6%、pH=6.3であった。
続いて、加水透析ろ過方式で、バッチ式によるナノろ過を継続し、透過液が39.0kgとなるまで脱塩処理を行った。こうして得られた原液タンク内の液を脱塩ホエイ液(II)とする。脱塩ホエイ液(II)のpHは6.3であった。
原料ホエイ液、流出液(イオン交換ホエイ液)および脱塩ホエイ液(II)について、固形分100gあたりのNa含有量とK含有量の合計、固形分100gあたりのCa含有量とMg含有量の合計、リン含有量、および塩素含有量を表6に示す。
Figure 0005531020
本例では、予めナノろ過法による脱塩処理を行なわずに、固形分100gあたり43.5mmolの塩素を含む原料ホエイ液を、そのまま塩素型陰イオン交換樹脂に通液したため、流出液(イオン交換ホエイ液)のリン含有量は、原料ホエイ液と比べてほとんど減少しなかった。
<<試験例1>>
本例では、第1の脱塩工程による塩素低減量と、これをイオン交換樹脂に通液したときのリンの低減量との関係を調べた。
(第1の脱塩工程)
チーズホエイパウダー(タンパク質13.1%、脂質0.8%、炭水化物76.2%、灰分7.9%、水分2.0%、ナトリウムとカリウムの合計94.5mmol/100g、カルシウムとマグネシウムの合計17.5mmol/100g、リン21.7mmol/100g、塩素43.2mmol/100g)の10.5kgに水を加えて溶解し115kgの原料ホエイ液(pH=6.7)を得た。
次に、得られた原料ホエイ液中の塩素濃度を減じる目的で、実施例1と同じナノろ過膜で、リテンテート液を原液タンクにもどしながら、透過液量に等しい水量を加水する加水透析ろ過で、脱塩処理を行った。この脱塩処理の途中で、経時的に、リテンテート液(低塩素ホエイ液)からサンプル液を各10kgずつ、4回採取した。原料ホエイ液を含めて5個のサンプル液(サンプル番号1〜5)のpHはいずれも6.8であった。各サンプル液のミネラル組成を表7に示す。
(イオン交換工程)
上記で得られた各サンプル液の約2kgを凍結乾燥し、それぞれのサンプル粉末を得た。各サンプル粉末22.5gに水を加えて溶解し、固形濃度7%の水溶液とした。前記水溶液を、実施例1と同じ塩素型強塩基性イオン交換樹脂の15mlを充填したカラムに、流速5〜6SV、液温5〜10℃で通液し、流出液を流出開始から所定量回収(1回目の回収)し、続いてその後の流出液を所定量回収(2回目の回収)した。回収する液量は、1回目の回収は固形約10gに相当する量(通液倍率0〜0.67倍)とし、2回目の回収は固形約12.5g分に相当する量(通液倍率0.67〜1.5倍)とした。こうして、サンプル番号1〜5のサンプル液のそれぞれについて、通液倍率0〜0.67倍の流出液と、通液倍率0.67〜1.5倍の流出液を得、合計10種のイオン交換ホエイ液のサンプルを得た。これらのサンプルのpHはいずれも6.6であった。
各イオン交換ホエイ液のサンプルのミネラル組成を表8に示す。なお、表中の、通液倍率が0〜0.67倍の流出液(0〜0.67倍通液品)の組成は分析値をそのまま記載したものである。通液倍率が0〜1.5倍の流出液(0〜1.5倍通液品)の組成は、0〜0.67倍の流出液の分析値と0.67〜1.5倍の流出液の分析値との加重平均の値である。ミネラル含有量の単位はmmol/100g固形である。
図1は、塩素型陰イオン交換樹脂に通液させた後の液(流出液)におけるリン含有量から、通液前のサンプル(低塩素ホエイ液)におけるリン含有量を減じた差で表されるリンの減少量と、通液前のサンプル(低塩素ホエイ液)における塩素含有量との関係を示したグラフであり、横軸が通液前の塩素含有量(単位:mmol/100g固形)、縦軸がリンの減少量(単位:mmol/100g固形)である。
Figure 0005531020
Figure 0005531020
表7、8、および図1の結果より、0〜0.67倍通液品と0〜1.5倍通液品を比べると、0〜0.67倍通液品の方がリン含有量はより低下しており、イオン交換後の塩素含有量はより増大している。すなわち、通液倍率が小さいほどイオン交換効率が高い。
塩素を44mmol/100g固形含む原料ホエイ(サンプル1)をそのまま通液させた場合、0〜1.5倍通液品ではリンはほとんど低減せず、0〜0.67倍通液品でもリン含有量を12mmol/100g以下にすることはできなかった。
塩素型強塩基性イオン交換樹脂に通液させる液(低塩素ホエイ液)の塩素含有量が30mmol/100g固形以下(サンプル2)になると、リンの低減量が大きくなり、0〜0.67倍通液品において12mmol/100g以下のリン含有量を達成できた。
塩素型強塩基性イオン交換樹脂に通液させる液(低塩素ホエイ液)の塩素含有量が20mmol/100g固形以下(サンプル3〜5)になると、リン低減量が顕著に大きくなり、前記塩素含有量が低いほど、リンの低減量が大きくなる。
本発明によれば、ホエイに含まれているカルシウムおよびマグネシウムの含有量の低減を抑えつつ、リンの含有量が低減された低リンホエイを製造できる。
更に前記第2の脱塩工程を設けると、ホエイに含まれているカルシウムおよびマグネシウムの含有量の低減を抑えつつ、リン、ナトリウム、およびカリウムの含有量が低減された低リンホエイを製造できるので、本発明は食料品の分野において有用である。

Claims (12)

  1. 料ホエイ液をナノろ過法で脱塩処理して、塩素含有量が固形分100gあたり30mmol以下に低減された低塩素ホエイ液を得る工程、および、
    前記低塩素ホエイ液を塩素型陰イオン交換樹脂に通液させてリン含有量を低下させる工程を含み
    陽イオン交換樹脂に通液させる工程を含まず、
    カルシウム含有量およびマグネシウム含有量の合計が固形分100gあたり10mmol以上である低リンホエイを得る、低リンホエイの製造方法。
  2. 前記原料ホエイ液のpHが6〜7の範囲内であり、前記低塩素ホエイ液のpH、および前記陰イオン交換樹脂からの流出液のpHが、いずれも6〜7である、請求項1に記載の低リンホエイの製造方法。
  3. 前記低塩素ホエイ液の、塩素含有量が固形分100gあたり20mmol以下である、請求項1または2に記載の低リンホエイの製造方法。
  4. 前記低リンホエイの、リン含有量が固形分100gあたり12mmol以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の低リンホエイの製造方法。
  5. 前記陰イオン交換樹脂からの流出液を、ナノろ過法により脱塩処理する工程を更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の低リンホエイの製造方法。
  6. 前記陰イオン交換樹脂からの流出液を、ナノろ過法により脱塩処理する工程において、脱塩処理に供される被処理液の、ナトリウム含有量とカリウム含有量との合計値に対する塩素含有量のモル比(塩素/(ナトリウム+カリウム))を0.35以上に維持する、請求項5に記載の低リンホエイの製造方法。
  7. エイを含み、塩素含有量が固形分100gあたり30mmol以下である低塩素ホエイ液を、塩素型陰イオン交換樹脂に通液させてリン含有量を低下させる工程を含み
    陽イオン交換樹脂に通液させる工程を含まず、
    前記低塩素ホエイ液のpHが6〜7の範囲内であり、
    前記陰イオン交換樹脂からの流出液のpHが6〜7であ
    カルシウム含有量およびマグネシウム含有量の合計が固形分100gあたり10mmol以上である低リンホエイを得る、低リンホエイの製造方法。
  8. 前記低塩素ホエイ液の、塩素含有量が固形分100gあたり20mmol以下である、請求項7に記載の低リンホエイの製造方法。
  9. 前記低リンホエイの、リン含有量が固形分100gあたり12mmol以下である、請求項7または8に記載の低リンホエイの製造方法。
  10. 前記陰イオン交換樹脂からの流出液を、ナノろ過法により脱塩処理する工程を更に含む、請求項7〜9のいずれか一項に記載の低リンホエイの製造方法。
  11. 前記陰イオン交換樹脂からの流出液を、ナノろ過法により脱塩処理する工程において、脱塩処理に供される被処理液の、ナトリウム含有量とカリウム含有量との合計値に対する塩素含有量のモル比(塩素/(ナトリウム+カリウム))を0.35以上に維持する、請求項10に記載の低リンホエイの製造方法。
  12. 前記低リンホエイが調製粉乳用である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の低リンホエイの製造方法。
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