しかしながら、上記の特許文献1に開示された先行技術による場合、通気層に防水手段が設けられていないため、通気層を通って屋内側に雨が浸入することがあった。また、上記の特許文献2に開示された先行技術による場合、空気流通路の壁に防水手段が設けられていないため、非透湿性防水材が破れた場合に水が屋内側に浸入してしまい、防水性能が不十分であった。さらに、特許文献1及び特許文献2の構成では、外壁と内壁の間に断熱材が1層しかなく、断熱性能が不十分であった。
本発明は上記事実を考慮し、断熱性能及び防水性能を向上させることができるユニット建物を得ることが目的である。
請求項1の発明に係るユニット建物は、梁に取付けられた内壁の屋外側に設けられた第1断熱材と、防水性又は防湿性を有し前記第1断熱材の屋外側に接触して設けられた第1防水材と、前記梁に外壁を取外し可能に取付ける取付手段と、前記外壁の屋内側に設けられた第2断熱材と、防水性又は防湿性を有し前記第1断熱材の屋外側に配置されると共に前記第2断熱材の屋内側に接触して設けられた第2防水材と、を有する。
請求項1の発明に係るユニット建物では、内壁と第1防水材との間に第1断熱材があり、外壁と第2防水材との間に第2断熱材があるので、これら複数層の断熱材により、ユニット建物の断熱性能が向上する。さらに、第1断熱材及び第2断熱材が耐火材として機能する為、熱の伝達が抑制され、耐火性能を向上させることができる。また、第1断熱材と第2断熱材との間に第1防水材及び第2防水材の複数層の防水材があるので、ユニット建物の屋内側への水の浸入が抑制され、防水性能を向上させることができる。
加えて、取付手段で外壁を取外すことで内壁側の第1断熱材、第1防水材と、外壁側の第2断熱材、第2防水材とに分割されるため、内壁側又は外壁側に1層の厚い断熱材を設けた場合に比べてメンテナンスを行う断熱材の厚さが薄くなり、断熱材の交換等のメンテナンス作業が容易となる。さらに、外壁の取外しにより第1防水材、第2防水材が露出するため、これらのメンテナンス作業が容易となる。また、外壁が取外し可能となっているため、外壁を取外した後に別の外壁と交換できリフォーム用に有効である。そして、リフォームの際には、内壁側に既に第1断熱材が取付けられているので、外壁を断熱材の無い外壁材に取替えることができ、部品低減及びコスト削減にも有効である。
請求項2の発明に係るユニット建物は、前記第1防水材と前記第2防水材との間に空気が流れる通気路が形成されている。
請求項2の発明に係るユニット建物では、第1防水材と第2防水材との間に形成された通気路が空気層であり、この空気層で屋外側から屋内側への熱の伝達が抑制されるので、ユニット建物の断熱性能を向上させることができる。
請求項3の発明に係るユニット建物は、前記取付手段は、前記外壁に設けられた被取付部材と、前記梁のうち床梁に設けられ前記被取付部材を取付位置に案内する案内部材と、前記案内部材に設けられ前記被取付部材を前記取付位置に位置決めする位置決め部材と、を備えた床梁側取付手段を有する。
請求項3の発明に係るユニット建物では、外壁に設けられた被取付部材が案内部材によって取付位置に案内され、位置決め部材によって取付位置に位置決めされる。これにより、外壁を床梁に取付けるときに取付位置を探す手間が省けるので、外壁の取付け作業時間を短縮することができる。
請求項4の発明に係るユニット建物は、前記被取付部材及び前記案内部材は傾斜面を有しており、前記被取付部材の傾斜面が前記案内部材の傾斜面と接触して案内される。
請求項4の発明に係るユニット建物では、被取付部材の傾斜面を案内部材の傾斜面に接触させて滑らせることで被取付部材が取付位置に案内されるので、外壁の取付け作業が容易となる。
請求項5の発明に係るユニット建物は、前記取付手段は、前記外壁に設けられ屋内側へ向けて張り出した張出部材と、前記張出部材を前記梁のうち天井梁に固定する固定部材と、を備えた天井梁側取付手段を有し、前記張出部材には、前記内壁の屋外側に設けられた縦樋と嵌合する嵌合部材が設けられている。
請求項5の発明に係るユニット建物では、張出部材が固定部材によって天井梁に固定されることにより梁に外壁が固定される。そして、内壁の屋外側に設けられた縦樋の上部に嵌合部材を嵌合することで縦樋の上部が張出部材に対して固定される。このように、嵌合部材によって縦樋の上部が固定されるので、縦樋の設置状態を安定させることができる。
請求項6の発明に係るユニット建物は、前記嵌合部材が、下階の前記縦樋の上部と上階の前記縦樋の下部とを連結する継ぎ手である。
請求項6の発明に係るユニット建物では、継ぎ手によって下階の縦樋の上部と上階の縦樋の下部とが連結されることで各縦樋の位置が固定されるので、上階の縦樋と下階の縦樋との間で水が漏れるのを抑制することができる。
請求項7の発明に係るユニット建物は、桁側の前記外壁の一端及び妻側の前記外壁の一端に取付けられて前記外壁の一部を構成する隅部外壁と、前記隅部外壁を前記桁側の外壁及び前記妻側の外壁に取付ける隅部取付手段と、が設けられ、前記隅部取付手段は、前記外壁又は前記隅部外壁に締結された締結部材と、前記外壁又は前記隅部外壁の前記締結部材が締結されていない方に設けられ、前記締結部材によって案内される切欠が形成された被案内部と、を有する。
請求項7の発明に係るユニット建物では、桁側の外壁の一端及び妻側の外壁の一端に隅部外壁が取付けられることにより、ユニット建物の隅が隅部外壁で覆われる。ここで、隅部外壁は、締結部材によって被案内部の切欠きが案内されることで取付けられるので、ユニット建物の隅を隅部外壁で覆う作業が容易となる。
請求項8の発明に係るユニット建物は、前記外壁と前記隅部外壁との目地を被覆する被覆部材が設けられている。
請求項8の発明に係るユニット建物では、被覆部材によって外壁と隅部外壁との目地が覆われるので、この目地からユニット建物10の内部への水の浸入を抑制することができる。
請求項9の発明に係るユニット建物は、前記内壁の屋外側に設けられた縦樋が、前記隅部外壁によって隠蔽されている。
請求項9の発明に係るユニット建物では、縦樋が隅部外壁で隠蔽されているので、ユニット建物の外観が縦樋によって美観を損なわれることがなくなる。また、隅部外壁を取外すことにより縦樋が露出するので、縦樋の清掃や交換を容易に行うことができる。
以上説明したように、請求項1に記載の本発明に係るユニット建物によれば、断熱性能及び防水性能を向上させることができるという優れた効果を有する。
請求項2に記載の本発明に係るユニット建物によれば、断熱性能を向上させることができるという優れた効果を有する。
請求項3に記載の本発明に係るユニット建物によれば、外壁の取付け作業時間を短縮することができるという優れた効果を有する。
請求項4に記載の本発明に係るユニット建物によれば、外壁の取付け作業を容易に行うことができるという優れた効果を有する。
請求項5に記載の本発明に係るユニット建物によれば、縦樋の設置状態を安定させることができるという優れた効果を有する。
請求項6に記載の本発明に係るユニット建物によれば、上階の縦樋と下階の縦樋との間から水が漏れるのを抑制することができるという優れた効果を有する。
請求項7に記載の本発明に係るユニット建物によれば、ユニット建物の隅を隅部外壁で覆う作業を容易に行うことができるという優れた効果を有する。
請求項8に記載の本発明に係るユニット建物によれば、目地からの水の浸入を抑制することができるという優れた効果を有する。
請求項9に記載の本発明に係るユニット建物によれば、ユニット建物の外観が縦樋によって美観を損なわれることがなくなり、且つ縦樋の清掃や交換を容易に行うことができるという優れた効果を有する。
本発明の実施形態に係るユニット建物について説明する。
図1には、本実施形態のユニット建物10の一部が示されている。ユニット建物10は、一例として、基礎11上に組み上げられた複数の建物ユニット12を躯体とする2階建ての建物となっている。建物ユニット12は、4本の柱14と、互いに平行に配置された長短二組の天井梁16と、これらの天井梁16に対して上下に平行に配置された長短二組の床梁18とを含んで構成されており、各梁の端部を天井と床の仕口に溶接することによりラーメン構造として構成されている。但し、建物ユニット12のユニット構成は上記に限られることなく、他の箱形の架構構造としてもよい。
天井梁16及び床梁18には、断面コ字形状のチャンネル鋼(溝形鋼)が用いられている。そして、天井梁16が矩形枠状に組まれて天井フレーム22が構成されており、床梁18が矩形枠状に組まれて床フレーム24が構成されている。天井フレーム22と床フレーム24との間には、前述の4本の柱14が立設されている。
なお、図1では、矢印X方向が桁方向、矢印Y方向が妻方向となっており、2階の一部の外壁の図示、屋根の図示、及び一部の外壁の取付手段の図示を省略している。また、以後の説明では、建物ユニット12の一階と二階の部材を区別せずに同一の符号を付与して説明する。さらに、桁方向と妻方向で部材を区別する必要がある場合には、桁側の各部材の符号の数字の後にXを付記し、妻側の各部材の符号の数字の後にYを付記して、桁方向と妻方向の部材を区別する。
天井梁16及び床梁18の屋内側の側面には、取付け部材(図示省略)によって内壁の一例としての内壁パネル20が取付けられている。また、天井梁16及び床梁18の屋外側には、内壁パネル20と間隔をあけて外壁の一例としての外壁パネル30が、後述する取付手段の一例としての第1取付部60(図3参照)、第2取付部70(図4(A)参照)によって取付け又は取外し可能に設けられている。さらに、天井梁16及び床梁18の屋外側で柱14に隣接する部位には、上下方向(矢印Z方向)を長手方向とする縦樋38が設けられている。
縦樋38は、円筒状の部材であり、天井梁16及び床梁18の屋外側の側面に取付けられた環状の固定具39(図4(A)参照)に外挿されることで、天井梁16及び床梁18に取付けられている。また、縦樋38は、一階(下階)に縦樋38A、二階(上階)に縦樋38B(図4(B)参照)が設けられており、これらが後述する継手部材94により連結されている。なお、内壁パネル20と外壁パネル30との間の詳細な構造については後述する。
内壁パネル20の屋外側(外壁パネル30との間)には、配線28が引き回されている。配線28は、一例として、一端が桁方向の天井梁16に形成された貫通孔26に挿通されて配電部(図示省略)まで延設されており、他端が内壁パネル20に形成された貫通孔27に挿通されて、屋内のコンセント64(図2参照)に接続されている。また、内壁パネル20X及び外壁パネル30Xには、窓枠32が取付けられる窓孔34A、34Bが形成されている。なお、外壁パネル30Yには、窓孔35に窓枠33が取付けられているが、内壁パネル側の説明は省略する。
一方、ユニット建物10の出隅には、平断面がL字形状の隅部外壁の一例としてのコーナー外壁50が設けられている。コーナー外壁50は、桁方向の外壁パネル30X及び妻方向の外壁パネル30Yに取外し可能に取付けられており、取付け状態において、柱14及び縦樋38を覆う(隠蔽する)と共に、外壁パネル30の一部を構成している。
次に、ユニット建物10の防水(防湿)構造及び断熱構造について説明する。
図2に示すように、床梁18Yの上面には、複数層の床材62が設けられており、床材62の上面に対して垂直に内壁パネル20Xが設けられている。そして、内壁パネル20Xの屋外側(図2における左側)には、内壁パネル20Xと密着して第1断熱材42が設けられており、第1断熱材42の屋外側には、第1断熱材42と密着(接触)して第1防水材の一例としての第1防水シート44が設けられている。
一方、外壁パネル30Xの屋内側(図2における右側)には、外壁パネル30Xと密着して第2断熱材48が設けられており、第2断熱材48の屋内側には、第2断熱材48と密着(接触)して第2防水材の一例としての第2防水シート46が設けられている。第1断熱材42及び第2断熱材48は、同じ材料で構成されており、一例として、グラスウールが用いられている。また、第1防水シート44及び第2防水シート46は、防水性又は防湿性を有する同じ材料で構成されており、一例として、ポリエチレンシートが用いられている。なお、第1防水シート44及び第2防水シート46を防水性及び防湿性の少なくとも一方を有する材料で構成してもよい。
ここで、第1防水シート44と第2防水シート46は、予め設定された距離で離間配置されており、第1防水シート44と第2防水シート46との間に通気路40が形成されている。また、外壁パネル30Xと基礎11との間には隙間43が形成されており、この隙間43を介してユニット建物10の屋外と通気路40とが連通している。これにより、矢印Aで示すように、屋外から隙間43を通って通気路40内に空気(外気)が流入し、あるいは、通気路40内の空気が隙間43を通って屋外へ流出するようになっている。
次に、外壁パネル30の取付構造について説明する。
図3に示すように、外壁パネル30Xの下部は、取付手段(床梁側取付手段)の一例としての第1取付部60によって床梁18Xに取付けられるようになっている。また、図4(A)、(B)に示すように、外壁パネル30Xの上端部は、取付手段(天井梁側取付手段)の一例としての第2取付部70によって天井梁16Xに取付けられるようになっている。なお、図3、4(A)、(B)では、それぞれ外壁パネル30Xの下部又は上部のみを示しており、外壁パネル30全体の図示を省略している。
図3に示すように、第1取付部60は、スタッド66、67を用いて外壁パネル30Xの屋内側に設けられた被取付部材の一例としての下部レール72と、床梁18Xに設けられ下部レール72を取付位置に案内する案内部材の一例としてのガイドレール82、84と、ガイドレール82、84に設けられ下部レール72を取付位置に位置決めする位置決め部材の一例としてのガイドピン86、88と、を含んで構成されている。なお、本実施形態では、スタッド66、67を外壁パネル30Xの構成部材の1つとして扱い、外壁パネル30に含める。
スタッド66は、平断面がH字状の金属製部材であり、外壁パネル30Xの屋内側の側面に取付けられる平板状の第1フランジ66Aと、第1フランジ66Aから屋内側へ垂直に張り出された平板状のウェブ66Bと、ウェブ66Bの第1フランジ66Aとは反対側の端部に垂直に設けられ第1フランジ66Aと平行に対向配置された第2フランジ66Cと、が一体化された構成となっている。
同様に、スタッド67は、平断面がH字状の金属製部材であり、外壁パネル30Xの屋内側の側面に取付けられる平板状の第1フランジ67Aと、第1フランジ67Aから屋内側へ垂直に張り出された平板状のウェブ67Bと、ウェブ67Bの第1フランジ67Aとは反対側の端部に垂直に設けられ第1フランジ67Aと平行に対向配置された第2フランジ67Cと、が一体化された構成となっている。そして、スタッド66、67は、桁方向に間隔をあけてボルト等(図示省略)の固定手段により外壁パネル30Xに固定されている。
下部レール72は、金属製の平板が複数箇所(ここでは3箇所)で折り曲げられた形状となっており、桁方向に見て、第2フランジ66C、67Cにボルト等(締結孔を含め図示を省略する)により取付けられる鉛直部72Aと、鉛直部72Aの上端で屋内側に垂直に折り曲げられた平面部72Bと、平面部72Bにおける鉛直部72Aとは反対側の端部から斜め下方向(屋内側)へ傾斜するように折り曲げられ傾斜面72Eを含む傾斜部72Cと、傾斜部72Cの下端から屋内側へ水平方向に折り曲げられガイドレール82、84上に取付けられる取付面部72Dと、を有している。また、取付面部72Dには、ガイドピン86、88に外挿可能な大きさでそれぞれ矩形状に切り欠かれた切欠部74、76が形成されている。
一方、ガイドレール82は、桁方向に見て、金属製の平板が1箇所で逆へ字状に折り曲げられた形状となっており、床梁18Xの上面にボルト等(締結孔を含め図示を省略する)の固定手段により固定された平板部82Aと、平板部82Aの屋外側の端部から屋外側へ向けて水平面に対して斜め上方に傾斜した傾斜部82Bとを有している。傾斜部82Bは、下部レール72の傾斜面72Eと傾斜方向、傾斜角度、及び傾斜幅が同様となっており、傾斜面72Eと接触される傾斜面82Cを有している。
同様に、ガイドレール84は、桁方向に見て、金属製の平板が1箇所で逆へ字状に折り曲げられた形状となっており、床梁18Xの上面にボルト等(締結孔を含め図示を省略する)の固定手段により固定された平板部84Aと、平板部84Aの屋外側の端部から屋外側へ向けて水平面に対して斜め上方に傾斜した傾斜部84Bとを有している。傾斜部84Bは、下部レール72の傾斜面72Eと傾斜方向、傾斜角度、及び傾斜幅が同様となっており、傾斜面72Eと接触される傾斜面84Cを有している。
ガイドピン86は、ガイドレール82の平板部82Aの中央に立設された略円柱状の部材であり、桁方向に見て上端部が尖った形状(円錐状)となっている。また、ガイドピン86には、下部レール72の切欠部74が外挿されるようになっている。同様に、ガイドピン88は、ガイドレール84の平板部84Aの中央に立設された略円柱状の部材であり、桁方向に見て上端部が尖った形状(円錐状)となっている。また、ガイドピン88には、下部レール72の切欠部76が外挿されるようになっている。
図4(A)に示すように、第2取付部70は、スタッド66及びスタッド67(図3参照)の上端部に設けられた張出部材92と、張出部材92を天井梁16Xに固定する固定部材の一例としてのリベット93(図4(B)参照)とを含んで構成されている。張出部材92は、桁方向に見て断面L字状に形成されており、スタッド66の第2フランジ66C(及びスタッド67の第2フランジ67C)に取付けられた鉛直部92Aと、鉛直部92Aから屋内側へ向けて張り出した張出部92Bとを有している。
張出部92Bの桁方向の両端は、さらに屋内側へ向けて拡幅された拡幅部95とされており、拡幅部95には、上下方向に貫通した締結孔92Cと、締結孔92Cよりも大径で上下方向に貫通し後述する嵌合部材及び継ぎ手の一例としての継手部材94(図4(B)参照)が嵌合される貫通孔92Dとが形成されている。なお、第2取付部70は、桁方向で左右対称な構成となっているため、図4(A)、(B)では、張出部材92の一方の端部のみを図示し、他方の図示を省略する。
一方、天井梁16Xの上側のフランジには、リベット93が締結される締結孔17が形成されている。そして、図4(A)、(B)に示すように、外壁パネル30Xを妻方向(矢印Y方向)にスライドさせ、天井梁16Xの上面に拡幅部95を載せた後、締結孔92C及び締結孔17の孔位置を合わせた状態でリベット93を挿通、固定することで、張出部材92が天井梁16Xに固定され、即ち、外壁パネル30Xが天井梁16Xに取付けられるようになっている。
図6(A)に示すように、継手部材94は、貫通孔92Dとほぼ等しい外径で且つ縦樋38Aの内径とほぼ等しい外径を有する第1円筒部94Aと、第1円筒部94Aよりも大径で且つ縦樋38B(図6(C)参照)の外径とほぼ等しい内径を有する第2円筒部94Bとで構成されている。第2円筒部94Bは、第1円筒部94Aの上側に配置されており、第1円筒部94Aと第2円筒部94Bが一体で成形されている。また、第1円筒部94A、第2円筒部94Bの上下方向の長さは、継手部材94を貫通孔92Dに嵌合した状態で、第1円筒部94Aが縦樋38Aに嵌め込み可能で、且つ第2円筒部94Bに縦樋38Bが嵌め込み可能となる長さに設定されている。
次に、コーナー外壁50の取付構造について説明する。
図5に示すように、コーナー外壁50は、後述する隅部取付手段の一例としての桁側取付部102、妻側取付部104によって、桁側の外壁パネル30X、妻側の外壁パネル30Yにそれぞれ取付けられている。また、コーナー外壁50と外壁パネル30Xとの目地には、当該目地を覆う被覆部材の一例としての定形シール材110Xが取付けられており、コーナー外壁50と外壁パネル30Yとの目地には、当該目地を覆う被覆部材の一例としての定形シール材110Yが取付けられている。
図7(A)に示すように、桁側取付部102は、外壁パネル30Xの一部を構成するスタッド66に締結された締結部材の一例としての複数のビス118と、コーナー外壁50の桁側の一端に設けられ複数のビス118によって案内される被案内部112とを含んで構成されている。なお、ビス118は2個のみ図示しており、他のビスの図示は省略している。
スタッド66を妻方向に見て、第1フランジ66Aの左半分には外壁パネル30Xが取付けられており、第1フランジ66Aの右半分には、複数のビス118が締結される締結孔116A、116Bが上下方向に間隔をあけて形成されている。なお、複数のビス118は、コーナー外壁50の取付け前に締結孔116A、116Bに仮締めされており、複数のビス118に被案内部112が案内された後、締結されるようになっている。また、複数のビス118を緩めることにより、コーナー外壁50が取外し可能となる。
被案内部112は、コーナー外壁50の桁側の一端に張り出された平板状の部位であり、スタッド66の締結孔116A、116Bの形成位置(高さ)に合わせて、上下方向に複数の切欠の一例としての切欠部114A、114Bが形成されている。切欠部114A、114Bは、同様の大きさで外壁パネル30X側に開口したU字形状となっており、ビス118の外径よりも僅かに大きい開口幅となっている。これにより、仮締めされた複数のビス118に切欠部114A、114Bを外挿することで、コーナー外壁50が桁方向(矢印X方向)にスライドし、案内される。
ここで、スタッド66に取付けられた外壁パネル30Xの一端には、段差部142が形成されており、コーナー外壁50の桁側の一端には、被案内部112を含む段差部144が形成されている。これにより、スタッド66にコーナー外壁50を取付け、段差部142と段差部144とが対向した状態で、段差部142と段差部144との間に定形シール材110X(図5参照)を嵌め込むことで、定形シール材110Xがこれらの目地を覆って取付けられる。
一方、図7(B)に示すように、妻側取付部104は、外壁パネル30Yの一部を構成するスタッド122(スタッド66と同様の形状)に複数のビス136で締結される被締結部132を有している。被締結部132は、コーナー外壁50の妻側の一端から張り出された平板状の部位であり、上下方向に間隔をあけて複数の締結孔134A、134B(図示は2箇所のみ)が形成されている。そして、スタッド122に形成された複数の締結孔(図示省略)と締結孔134A、134Bとに連通して複数のビス136を締結することで、コーナー外壁50の妻側の一端が固定されるようになっている。なお、締結孔134A、134Bは、コーナー外壁50が桁側にスライドすることで、スタッド122の締結孔と連通するように、予め形成位置が決められている。
ここで、スタッド122に取付けられた外壁パネル30Yの一端には、段差部146が形成されており、コーナー外壁50の妻側の一端には、被締結部132を含む段差部148が形成されている。これにより、スタッド122にコーナー外壁50を取付け、段差部146と段差部148とが対向した状態で、段差部146と段差部148との間に定形シール材110Y(図5参照)を嵌め込むことで、定形シール材110Yがこれらの目地を覆って取付けられる。
なお、図5に示すように、スタッド122には、張出部材92と同様の形状である張出部材124が上下(下側の図示は省略)に取付けられており、張出部材124を天井梁16Y、床梁18Y(図1参照)にリベット126で固定することで、妻側の外壁パネル30Yが固定されている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
まず、外壁パネル30X及びコーナー外壁50の取付け(設置)手順について説明する。
図1において、まず、工場において、天井フレーム22、床フレーム24、及び柱14を組付けて建物ユニット12を構築し、さらに、建物ユニット12に内壁パネル20、妻側の外壁パネル30Y、及びガイドレール82、84等を取付ける。そして、この建物ユニット12を、ユニット建物10の構築現場に輸送する。ここで、この建物ユニット12は、桁側の外壁パネル30Xが取付けられていないため、輸送時の幅を輸送制限幅(2.5m)に対して短く設定することが可能となる。
一方、図3に示すように、工場において、外壁パネル30Xの屋内側となる面にスタッド66、67、及び下部レール72をボルト等の固定手段で取付け、さらに、図1に示すように、外壁パネル30Xに窓枠32を取付ける。この状態で、外壁パネル30Xを建物ユニット12とは別に、単独でユニット建物10の構築現場に輸送する。また、コーナー外壁50についても別途輸送する。なお、外壁パネル30Xを単独で輸送するため、窓枠32を取付けた状態で輸送しても、輸送制限幅を超えることはない。
続いて、構築現場において、予め構築された基礎11上に複数の建物ユニット12を設置する。そして、桁側の外壁パネル30Xをクレーン(図示省略)で吊下げ、開放状態となっている建物ユニット12の桁側の側面に配置する。
続いて、図3において、下部レール72にガイドピン86、88が接触しない高さで外壁パネル30Xを保持し、下部レール72の傾斜面72Eの下部と、ガイドレール82、84の傾斜面82C、84Cの上部とを接触させた状態で、外壁パネル30Xを桁方向(矢印X方向)へスライドさせる。そして、目視確認で、下部レール72の切欠部74、76の桁方向位置と、ガイドピン86、88の桁方向位置とがほぼ一致した時点で、傾斜面82C、84Cに沿って傾斜面72Eを斜め下方へ滑らせる。このとき、ガイドピン86、88に切欠部74、76が外挿されて位置決めされるので、外壁パネル30Xの下部が床梁18Xに対して位置決めされる。このように、下部レール72がガイドレール82、84及びガイドピン86、88によって取付位置に案内されるので、外壁パネル30Xを床梁18Xに取付けるときに取付位置を探す手間が省け、外壁パネル30Xの取付け作業時間が短縮できると共に、取付け作業が容易となる。
一方、傾斜面82C、84Cに沿って傾斜面72Eを斜め下方へ滑らせ、外壁パネル30Xが位置決めされたとき、図4(B)に示すように、張出部材92の拡幅部95が天井梁16X上に配置される。ここで、リベット93を用いて張出部材92を天井梁16Xに固定すると共に、ボルト等の固定手段(図示省略)により下部レール72(図3参照)を床梁18X(図3参照)に固定する。これにより、外壁パネル30Xの上部、下部が、天井梁16X、床梁18Xに対して固定される。
続いて、図6(A)、(B)に示すように、継手部材94を一旦、上方へ持ち上げて縦樋38Aの水平面内での位置調整あるいは傾きを調整した後、第1円筒部94Aを縦樋38Aの上端部に嵌め込む。続いて、図6(C)に示すように、第2円筒部94Bに縦樋38Bの下端部を嵌め込む。これにより、縦樋38Aと縦樋38Bの内部が連通した状態で固定されるので、縦樋38A、38Bの設置状態を安定させることができる。さらに、縦樋38A、38Bの設置状態が安定することで、縦樋38Aと縦樋38Bとの間で水が漏れるのを抑制することができる。
続いて、図7(A)に示すように、スタッド66の第1フランジ66Aに仮締めされている複数のビス118に被案内部112の切欠部114A、114Bを外挿して、コーナー外壁50を桁方向にスライドさせる。そして、コーナー外壁50が取付位置に配置された時点で、ビス118を締め付けて被案内部112をスタッド66に固定する。これにより、コーナー外壁50の桁側が固定される。なお、ビス118に切欠部114A、114Bを外挿することでコーナー外壁50が取付位置に案内されるので、コーナー外壁50の設置作業が容易となる。
一方、図7(B)に示すように、コーナー外壁50が取付位置に配置された時点で、複数のビス136により被締結部132をスタッド122に固定する。これにより、コーナー外壁50の妻側が固定される。続いて、図5に示すように、段差部142と段差部144との間に定形シール材110Xを嵌め込み、段差部146と段差部148との間に定形シール材110Yを嵌め込む。これにより、コーナー外壁50と外壁パネル30X、30Yとの接続部位(目地)が覆われるので、この接続部位からユニット建物10の内部への水の浸入を抑制することができる。このようにして、外壁パネル30X及びコーナー外壁50の設置が行われる。
ここで、ユニット建物10では、コーナー外壁50によって縦樋38が覆われているので、縦樋38が風雨にさらされることがなくなり耐久性が向上する。また、縦樋38は、外壁パネル30X及びコーナー外壁50によって隠蔽されているので、建物の外側に余計な配管が無くなり、ユニット建物10の外観(美観)を損なうことがなくなる。
なお、図7(A)、(B)に示すように、定形シール材110X、110Y(図5参照)を取り外して複数のビス136による締結を解除し、複数のビス118を緩めた状態でコーナー外壁50を桁方向(反対側)にスライドさせることで、コーナー外壁50が取り除かれる。これにより、図4(B)に示すように、縦樋38がメンテナンス可能な状態で露出するので、縦樋38の清掃や交換を容易に行うことができる。
また、外壁パネル30Xを取外すときは、図4(B)において、リベット93を取り除くと共に、図3に示すように、下部レール72とガイドレール82、84とを固定しているボルト(図示省略)を取除いて、外壁パネル30Xをスライド移動させて取外す。これにより、第1防水シート44、第2防水シート46が露出する。
次に、各断熱材及び各防水シートの作用について説明する。
図2に示すように、ユニット建物10では、内壁パネル20Xと第1防水シート44との間に第1断熱材42があり、外壁パネル30Xと第2防水シート46との間に第2断熱材48があるので、これら複数層の断熱材の断熱作用により、外壁パネル30Xから内壁パネル20Xへの熱の伝達が抑制される。これにより、ユニット建物10の断熱性能が向上する。さらに、第1断熱材42及び第2断熱材48が耐火材として機能するため、耐火性能も向上させることができる。
また、ユニット建物10では、第1断熱材42と第2断熱材48との間に第1防水シート44及び第2防水シート46が設けられているので、1層の防水材を用いる場合に比べて、ユニット建物10の屋内側への水の浸入が抑制され、防水性能を向上させることができる。そして、第1防水シート44及び第2防水シート46は防湿性も有しているため、第1防水シート44及び第2防水シート46への結露が生じにくくなる。これにより、ユニット建物10として、寒冷地仕様に対応することが可能となる。
さらに、ユニット建物10では、第1防水シート44と第2防水シート46との間に形成された通気路40が空気層であり、この空気層で屋外側から屋内側への熱の伝達が抑制されるので、ユニット建物10の断熱性能を向上させることができる。また、第1防水シート44を有する内壁側と、第2防水シート46を有する外壁側とに分割された構造となっているため、例えば、構築現場で建物ユニット12のみを設置して作業が終了し、その後、雨が降ったとしても、第1防水シート44によって内壁側が保護されるため、作業の雨仕舞が可能となる。
加えて、ユニット建物10では、図1に示すように、配線28が内壁パネル20Xの屋外側に出されているので、複雑化する配線(HEMS、家庭用蓄電池、太陽光発電、AC/DC混合配線)の施工(引き回し)が容易となる。
また、ユニット建物10では、外壁パネル30Xを取外すことで内壁パネル20側の第1断熱材42、第1防水シート44と、外壁パネル30X側の第2断熱材48、第2防水シート46とに分割されるため、内壁パネル20又は外壁パネル30X側に1層の厚い断熱材を設けた場合に比べて、メンテナンスを行う断熱材の厚さが薄くなり、断熱材の交換等のメンテナンス作業が容易となる。加えて、外壁パネル30Xを取外すことで第1防水シート44、第2防シート46が露出するので、第1防水シート44、第2防水シート46のメンテナンス作業が容易となる。
さらに、外壁パネル30Xが取外し可能となっているため、外壁パネル30Xを取外した後に別の外壁と交換でき、リフォーム用に有効である。そして、リフォームの際には、内壁パネル20側に既に第1断熱材42が取付けられているので、外壁パネル30Xを断熱材の無い外壁材に取替えることができ、部品低減及びコスト削減にも有効である。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。
外壁パネル30は、複数のパネル材で構成されたものであってもよく、コーナー外壁50は、側面が湾曲面で構成されていてもよい。また、スタッド66、67は、平断面がコ字状の2つの部材を組み合せて平断面をH字状としてもよい。さらに、継手部材94にドレンを用いてもよい。そして、桁側取付部102は、外壁パネル30X側に被案内部112及び切欠部114A、114Bが設けられ、コーナー外壁50側にビス118が設けられていてもよい。