JP5529386B2 - 粘着シート - Google Patents

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Description

本発明は耐水性が良好な粘着シートに関するものである。さらに詳しくは、難接着性基材の一つである合成樹脂等のフィルムに適用することも可能な粘着剤層を有し、同粘着剤層は耐水粘着力に優れ、同粘着シートを被着体に貼付、水に浸漬した後も粘着力の低下が少なく、かつ保持力、基材への密着性が良好な粘着シートに関する。
近年、環境問題などの観点から、一般的に材料分野において、有機溶剤型樹脂から水性樹脂への移行が進んでいるが、粘着剤分野においても、従来使用していた有機溶剤型粘着剤を無溶剤型粘着剤へ置換していく取り組みが盛んに行われている。
中でも、水を分散媒として用いるエマルション型粘着剤は、安全性も高く、コスト面でのメリットも出しやすいことなどから、多くの検討が行われている。このようなエマルション型粘着剤には、乳化剤や親水性モノマー等の親水性成分が乳化重合安定性、得られるエマルションの保存安定性、機械安定性を得るために含有されている。
しかしながら、エマルション型粘着剤においては、これらの親水性成分が乾燥後も基材上に形成されている粘着剤層中に残留してしまうことなどから、十分な耐水性能が得られにくい。
そこでエマルションに架橋剤を添加し、親水性成分を架橋剤によって消費させようとする手法が取られているが、耐水性を向上させようとするあまり架橋剤の添加量が多くなると、架橋密度、粘着剤皮膜の弾性率が上昇し過ぎてしまうため、基材への密着性や被着体への濡れ性が低下してしまう。
エマルション型粘着剤の耐水性を向上させるため、分子内にラジカル重合性不飽和基を有する重合性界面活性剤の存在下に乳化重合を行った粘着剤に関する特許出願が多数報告されているが、これらの粘着剤であっても、乾燥後の粘着剤層にカルボン酸、スルホン酸、リン酸等の親水性基が残存するため、本質的に耐水性を克服するには至っていない。
たとえば、異なる官能基をそれぞれ側鎖に有する2種類の共重合体(エポキシ基含有単量体とエチレン性不飽和単量体とからなる共重合体、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和単量体とからなる共重合体)と低分子量の単官能エポキシ化合物からなる一液常温架橋型エマルジョン組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1のエマルジョン組成物は常温架橋可能な一液型であるため、ポットライフに問題があり、経時的に機械安定性が低下し易い。
また、コア・シェル構造を有し、平均粒径が0.3μm以下の樹脂粒子であって、コアを構成する樹脂のTgが15℃以上であり、シェルを構成する樹脂のTgが−30℃以下である樹脂粒子が、水性媒体中に乳化分散してなる水性エマルション型粘着剤(例えば、特許文献2参照)が知られている。
特許文献2の水性エマルション型粘着剤は良好な耐水粘着力を有しているが、乳化重合を二段階で行う必要があり、製造が煩雑、コスト面でも不利である。
また、炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、この成分、及びこの成分と共重合可能な重合性モノマーを含む単量体混合物を乳化重合して得られる、テトラヒドロフランに不溶性のゲル分が20〜50質量%の(メタ)アクリル系重合体水系エマルションを含有する感圧接着性樹脂組成物(例えば、特許文献3参照)も知られている。
特許文献3の感圧接着性樹脂組成物は、良好な耐水粘着力を有するが、ゲル分率を20〜50質量%に限定しなければならないという制限があり、ゲル分率が20〜50質量%と比較的低目であるため、裁断ロール端面からの粘着剤のはみ出しが発生しやすく、粘着シートの抜き加工等の加工適性に欠ける。
上記特許文献2および3の技術では、乾燥後の粘着剤皮膜中にある程度の親水性成分を含んでおり、本質的にエマルション型粘着剤の耐水性の欠如を解決するには至らない。
特開平10−158528号(特許第3155480号)公報 特開2003−292922公報 特開2007−056135公報
本発明は、このような状況下でなされたものであり、親水性基を必須成分として有するため耐水性に乏しいエマルション型粘着剤を本質的に改質して耐水性を向上させ、さらに、保持力、基材への密着性にも優れる粘着剤層を有する粘着シートを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、親水性官能基を有するエマルション組成物、架橋剤および同親水性官能基と化学的結合を形成しうる反応性基を1個有する化合物を含む水分散型粘着剤から形成された粘着剤を用いて作製された粘着シートが上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記
(1)基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を有する粘着シートであって、当該粘着剤層が、
(A) (a1)エチレン性不飽和酸単量体および(a2)その他の単量体を含む単量体の混合物を乳化重合後、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選ばれる中和剤で中和して得られる、親水性官能基を有する共重合体を含むエマルション組成物、
(B)架橋剤および
(C)上記共重合体中の親水性官能基と化学的結合を形成しうる反応性基を1個有する、エポキシ系、アミン系、オキサゾリン系、アジリジン系、イソシアナート系、またはアジリジニル系化合物から選ばれる少なくとも1種
を含む水分散型粘着剤から形成されてなる粘着シート、
(2)前記共重合体中の(a1)が0.5〜10.0質量%、(a2)が90.0〜99.5質量%である上記(1)に記載の粘着シート、
(3)前記(C)の含有量が前記共重合体中の親水性官能基1当量に対して0.1〜1当量となる量である上記(1)または(2)に記載の粘着シート、
(4)前記(B)の含有量が前記共重合体中の親水性官能基1当量に対して0.1〜1当量となる量である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の粘着シート、
(5)前記(a1)がアクリル酸またはメタクリル酸である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の粘着シート、
(6)前記共重合体中の親水性官能基がカルボキシル基、水酸基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基から選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の粘着シート、
(7)前記基材が合成樹脂フィルムである上記(1)〜(6)のいずれかに記載の粘着シート、
(8)前記架橋剤(B)がエポキシ系、アジリジン系、メラミン系、金属錯体系、アミン系、オキサゾリン系架橋剤、およびイソシアナート系化合物から選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の粘着シート、
(9)前記反応性基を1個有する化合物がエポキシ系、アミン系またはイソシアナート系化合物から選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(8)のいずれかに記載の粘着シート
(10)前記粘着剤層の厚みが10〜50μmである上記(1)〜(9)のいずれかに記載の粘着シートおよび
(11)前記成分(A)がさらにカルボキシル基を有する不飽和単量体および水酸基含有不飽和単量体を含む上記(1)〜(10)のいずれかに記載の粘着シートを提供するものである。
本発明によれば、合成樹脂等のフィルムに適用することも可能な粘着剤層を有し、同粘着剤層は耐水粘着力に優れ、同粘着シートを被着体に貼付、水に浸漬した後も粘着力の低下が少なく、かつ保持力、基材への密着性が良好な粘着シートが提供される。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明において、粘着剤層の支持体となる基材は、特に限定されるものではなく、公知の合成樹脂フィルムや上質紙、コート紙及び含浸紙等の紙あるいは内部に空洞を有する合成紙、不織布などが使用可能である。中でも、耐水性を期待される用途を考慮すると合成樹脂フィルムが好ましい。
合成樹脂フィルムの材料としては、特に限定はされず、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、アセテート樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等の合成樹脂フィルム、これらのフィルムにアルミニウムなどの金属蒸着を施したもの等が挙げられる。
基材として用いられる合成樹脂フィルムは、未延伸でもよいし、縦又は横等の一軸方向又は二軸方向に延伸されていてもよい。
基材の厚みは、特に制限はないが、通常、10〜200μmの範囲であり、取り扱い易さの面から、好ましくは25〜150μmである。
基材は、着色されていてもよいし、無色透明のものでもよい。また、基材の一方の面には、印刷、印字等を施してもよい。
したがって、基材の印刷、印字等を施すための面には、感熱記録層、熱転写、インクジェット、レーザー印字等が可能な印字受像層、印刷性向上層等が設けられていてもよい。
また、基材の粘着剤層を形成させるための面には、粘着剤層との密着力(キーイング力)を向上させる目的で、プライマー処理やコロナ処理等の易接着処理が施されてもよい。
本発明の粘着シートの粘着剤層を形成させるためには、当該粘着剤層が、エチレン性不飽和酸単量体(a1)およびその他の単量体(a2)を含む単量体の混合物を乳化重合して得られた親水性官能基を有する共重合体を含むエマルション組成物(A)、架橋剤(B)、および同(A)成分中の共重合体の親水性官能基と化学的結合を形成しうる反応性基を1個有する化合物(C)を必須成分として含む粘着剤が用いられる。
まず、成分(A)について述べる。
成分(a1)のエチレン性不飽和酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などのカルボキシル基を有する不飽和単量体、または、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリル酸スルホエチル、(メタ)アクリル酸スルホプロピル、(メタ)アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などの有機スルホン酸基を有する不飽和単量体、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のリン酸基を有する不飽和酸単量体およびこれら不飽和酸単量体のナトリウム塩、カリウム塩等が用いられる。上記成分(a1)は単独でも、2種類以上混合して用いても良い。
中でも、粘着物性のバランスの取り易さ、入手の容易さという観点から、アクリル酸および/またはメタクリル酸を用いることが好ましい。
成分(a2)であるその他の不飽和単量体としては、アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等のアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等の水酸基含有不飽和単量体、アクリル酸アセトアセトキシメチル、メタクリル酸アセトアセトキシメチル等のアセトアセトキシ基含有不飽和単量体、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド基含有不飽和単量体、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有不飽和単量体、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテルなどのグリシジル基含有不飽和単量体、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有不飽和単量体、メチロールアクリルアミド、ブトキシN−メチロールアクリルアミド等のメチロール基含有不飽和単量体、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有不飽和単量体、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能性不飽和単量体、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、β−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート等のフッ素含有不飽和単量体、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム、シクロヘキシルマレイミド等の窒素含有不飽和単量体、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類、塩化ビニル、クロロプレン等のハロゲン化オレフィン類、スチレン、t−ブチルスチレン等のスチレン類、ブタジエン、イソプレン等のジエン類、(メタ)アクリロニトリル、クロロアクリロニトリル等のニトリル類不飽和単量体等が用いられる。中でも、性能のバランスという観点からアクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−HEA)、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−HEMA)が好ましく使用される。
上記成分(a2)は単独でも、2種類以上混合して用いても良い。
なお、2−HEAや2−HEMAのような水酸基を有する単量体に由来して(A)成分中の共重合体に存在する水酸基も親水性官能基であるため、後で詳細に述べる成分(B)および(C)との反応性を有していることがある。又これら単量体は粘着剤の耐水性を低下させる可能性があるので、水酸基を有する単量体の使用量は(a2)成分中10質量%以下とするのが好ましい。
共重合体中の成分(a1)および(a2)の比率は、強い粘着力と耐水性を付与できるという観点から(a1)が0.5〜10.0質量%、(a2)が90.0〜99.5質量%であることが好ましく、より好ましくは、(a1)が1.0〜5.0質量%、(a2)が95.0〜99.0質量%である[(a1)+(a2)は100質量%]。
(a1)成分の含有量を0.5質量%以上とすることにより、乳化重合安定性、得られるエマルションの保存安定性、機械安定性および乾燥後の粘着剤の粘着力、凝集力が向上し、10.0質量%以下とすることにより基材への密着性、被着体への濡れ性、耐水性が向上する。
本発明の粘着シートにおいて、粘着剤層を形成させるための成分の一つであるエマルション組成物(A)は前記(a1)および(a2)の単量体混合物を乳化剤を用いて乳化重合することにより得られる。
このような乳化剤としては、アニオン型、ノニオン型の反応性乳化剤、または非反応性乳化剤が使用される。
アニオン型反応性乳化剤としては、「アデカリアソープSE−20N」、「アデカリアソープSE−10N」、「アデカリアソープPP−70」、「アデカリアソープPP−710」、「アデカリアソープSR−10」、「アデカリアソープSR−20」〔以上、旭電化工業社製〕、「エレミノールJS−2」、「エレミノールRS−30」〔以上、三洋化成工業社製〕、「ラテムルE−118B」、「ラテムルS−180A」、「ラテムルS−180」、「ラテムルPD−104」〔以上、花王社製〕、「アクアロンBC−05」、「アクアロンBC−10」、「アクアロンBC−20」、「アクアロンHS−05」、「アクアロンHS−10」、「アクアロンHS−20」、「ニューフロンティアS−510」、「アクアロンKH−05」、「アクアロンKH−10」〔以上、第一工業製薬社製〕、「フォスフィノ−ルTX」〔東邦化学工業社製〕等が上げられる。
ノニオン型反応性乳化剤としては、「アデカリアソープNE−10」、「アデカリアソープNE−20」、「アデカリアソープNE−30」、「アデカリアソープNE−40」、「アデカリアソープER−10」、「アデカリアソープER−20」、「アデカリアソープER−30」、「アデカリアソープER−40」〔以上、旭電化工業社製〕、「アクアロンRN−10」、「アクアロンRN−20」、「アクアロンRN−30」、「アクアロンRN−50」〔以上、第一工業製薬社製〕等の市販品が挙げられるが、反応性を有していれば良く、特にこれらに限定されない。
乳化重合安定性、エマルションの機械安定性を考慮し、非反応性乳化剤を使用しても良く、前述の反応性乳化剤と併用して使用しても良い。このような非反応性乳化剤としては、特に制限されず、乳化重合に通常使用されている公知の乳化剤が用いられる。例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン系乳化剤などが挙げられる。
これら乳化剤の使用量は単量体混合物100質量部に対して有効成分(溶媒や各種添加剤を除いた成分)で0.1〜8.0質量部が好ましく、0.5〜5.0質量部がさらに好ましい。使用量を0.1質量部以上とすることにより、乳化重合安定性、得られるエマルションの保存安定性、機械安定性を確保し、8.0質量部以下とすることにより、親水性が高くなり過ぎて耐水性が低下するのを防止する。
(A)成分である親水性官能基を有する共重合体を含むエマルション組成物を調製するための乳化重合の条件としては、特に限定されず、通常の乳化重合で適用される条件をそのまま適用することができる。一般的には、反応器内を不活性ガスで置換した後、還流下撹拌しながら昇温を開始し40〜100℃程度の温度範囲で昇温開始後1〜8時間程度重合を行う。
エマルション組成物を乳化重合法で調製する際、通常、重合開始剤が用いられる。重合開始剤として、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩等のアゾ系、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパ―オキサイド等の過酸化物を使用することができる。
本発明の粘着シートにおける(A)成分であるエマルション組成物中の共重合体からなるエマルション粒子の平均粒子径は、100〜500nm程度、好ましくは100〜300nmである。平均粒子径が上記範囲内であると乳化重合安定性、得られるエマルションの保存安定性、機械安定性、さらには乾燥後の粘着剤皮膜の物性バランス、すなわち基材への密着性、被着体への濡れ性、耐水性、凝集力、透明性のバランスに優れた粘着剤が得られる。
平均粒子径が100nm以上であると、安定なエマルション粒子が得られ、乳化剤の使用量が多くなるのを防止することができる。平均粒子径が500nm以下であると、基材に対する密着性や得られる粘着剤層の透明性、耐水性が確保される。エマルション粒子の平均粒子径は重合時に添加する乳化剤の種類や濃度、重合開始剤濃度等でコントロールすることができる。
ここで、エマルション粒子の平均粒子径とは、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置により測定して得られる体積基準のメジアン径の数値に基づくものである。
次に、成分(B)について述べる。
成分(B)の架橋剤としては、(A)成分であるエマルション組成物中の共重合体の親水性官能基により架橋するものであれば特に限定されないが、基材に対する密着性や粘着力、凝集力、入手のし易さに優れる点で、エポキシ系、アジリジン系、メラミン系、金属錯体系、アミン系、オキサゾリン系、カルボジイミド系、ヒドラジド系、イソシアナート系化合物が主として用いられる。これらの中でも、エポキシ系、オキサゾリン系、カルボジイミド系およびイソシアナート系化合物が好ましく用いられる。
エポキシ系化合物としては、分子中に2個以上のエポキシ基又はグリシジル基を有するものであればよく、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、ソルビトールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製、「デナコールEX−611」、「デナコールEX−612」、「デナコールEX−614」、「デナコールEX−614B」、「デナコールEX−622」等)、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製、「デナコールEX−512」、「デナコールEX−521」等)、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−411」等)、ジグリセロールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−421」等)、グリセロールポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−313」、「デナコールEX−314」等)、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−321」等)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−211」等)、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−212」等)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−810」、「デナコールEX−811」等)、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−850」、「デナコールEX−851」等)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−821」、「デナコールEX−830」、「デナコールEX−832」、「デナコールEX−841」、「デナコールEX−861」等)、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−911」等)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコールEX−941」、「デナコールルEX−920」、「デナコールEX−931」等)、ジグリシジルアニリン、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N′−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
中でも、水性タイプが好適である。
オキサゾリン系化合物としては、分子中にオキサゾリン基を少なくとも2個以上含有するものであればよく、2位の炭素位置に不飽和炭素−炭素結合をもつ置換基を有する付加重合性2−オキサゾリン(例えば2−イソプロペニル−2−オキサゾリン)と他の不飽和単量体との共重合体等が挙げられ、市販品として、日本触媒社製の「エポクロスWS−500」、「エポクロスWS−700」、「エポクロスK−2010E」、「エポクロスK−2020E」、「エポクロスK−2030E」等が挙げられる。
カルボジイミド系化合物としては、分子中にカルボジイミド基を少なくとも2個以上含有するものであればよく、例えば日清紡社製の「カルボジライトV−02」、「カルボジライトV−02−L2」、「カルボジライトV−04」、「カルボジライトV−06」、「カルボジライトE−01」、「カルボジライトE−02」、「カルボジライトE−0 4」等が挙げられる
ヒドラジド系化合物としては、分子中に少なくとも2個以上のヒドラジド基を有するものであればよく、例えば、蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等が挙げられる。
イソシアネート系化合物としては、分子中にイソシアネート基を少なくとも2個以上含有するものであればよく、例えば、トルイレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トルイレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、等のイソシアネート化合物、「スミジュールN」(住友バイエルウレタン社製)のようなビュレットポリイソシアネート化合物、「デスモジュールIL」、「デスモジュールHL」(バイエルA.G.社製)、「コロネートEH」(日本ウレタン社製)のようなイソシアヌレート環を有するポリイソシアネート化合物、「スミジュールL」(住友バイエルウレタン社製)のようなアダクト型のポリイソシアネート化合物、「コロネートHL」(日本ポリウレタン社製)のようなアダクトポリイソシアネート化合物、「アクアネート10 0」、「アクアネート110」、「アクアネート200」、「アクアネート210」(日本ポリウレタン社製)のような自己乳化型の水分散ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。中でも、水性タイプが好適である。又、ブロックイソシアネートを使用しても構わない。
これらの架橋剤は通常、エマルション組成物(A)中の共重合体の親水性基1当量に対して0.1〜1当量となる量を用いるのが好ましく、0.1〜0.8当量となる量とすることがさらに好ましい。添加量を0.1当量以上とすることにより、実質的な効果が発揮され、基材密着性、凝集力が確保される。1当量以下とすることにより、被着体や基材層と粘着剤層の界面へブリードし、被着体汚染や基材への密着性の低下の原因となるのを防止する。
なお、これらの架橋剤は水性タイプが好ましく、単独でも2種以上を併用しても良い。
次に、成分(C)について述べる。
親水性官能基と化学的結合を形成しうる反応性基を1個有する化合物(C)[以下、表中を含めて単官能化合物(C)と称する]としては、エマルション組成物(A)中の共重合体の親水性官能基と化学的結合を形成しうるものであり、分子内に疎水基を有しているものが好ましいが特に限定されない。具体的には、入手し易さからエポキシ系、アミン系、カルボジイミド系、オキサゾリン系、イソシアネート系、アジリジニル系が主として用いられる。特に、分子内に脂肪族基、芳香族基、脂環式基、複素環式基のような疎水基を有する単官能化合物は、耐水性向上への寄与が大きい。
これらの単官能化合物(C)の具体例を挙げると、アリルグリシジルエーテル、ノルマルブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、ヘキサデシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェニルポリオキシエチレングリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ラウリルアルコールポリオキシエチレングリシジルエーテル、1、2−エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン、3、4-エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ系単官能化合物、とプロピルアミンやブチルアミン、ヘキシルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジシクロヘキシルアミン、アニリン、ベンジルアミン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートアミン系単官能化合物、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジ−tert−ブチルカルボジイミド等のカルボジイミド系単官能化合物、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−エチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−エチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4、5−ジメチル−2−オキサゾリン等のオキサゾリン系単官能化合物、プロピルイソシアネートやブチルイソシアネート、ラウリルイソシアネート、フェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、2、6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、2−メタクリロキシエチルイソシアネート等のイソシアネート系単官能化合物、2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、3−アジリジニルプロピル(メタ)アクリレート等のアジリジニル系単官能化合物等を用いることが出来る。
これら単官能化合物(C)はエマルション組成物(A)中の共重合体の親水性官能基に対して0.1〜1当量となる量を用いることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.8当量となる量である。
添加量を0.1当量以上とすることにより、実質的な効果が発揮される。1当量以下とすることにより、被着体や基材層と粘着剤層の界面へブリードし、被着体汚染や基材への密着性の低下の原因となるのを防止する。
なお、これら単官能化合物(C)は単独でも2種以上を併用しても良い。
本発明の粘着シートにおける粘着剤層のゲル分率は、特に限定されないが、好ましくは30〜90%である。ゲル分率が30%を下回ると粘着剤の凝集力、耐水性が損なわれ、90%を超えると基材への密着性、被着体への濡れ性が損なわれる。なお、粘着剤層のゲル分率とは粘着剤層の溶剤不溶解分の割合のことであり、90℃で1分間乾燥した粘着剤層を、テトラヒドロフランに23℃で72時間浸漬し乾燥したときの、浸漬前の粘着剤層質量に対する浸漬後の残存粘着剤層質量の割合(%)として求められる。
また、本発明の粘着シートにおける粘着剤層には、必要に応じて、粘着付与剤(例えば、マレイン化ロジン、フマル化ロジン、アクリル化ロジン等の変性ロジン、不均化や二量化、水素化などを施した安定化ロジン、さらに前記ロジンをグリセリンやペンタエリスリトールなどによりエステル化したもの等のロジン系樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン樹脂、エチレン/酢酸ビニル樹脂等)、可塑剤(例えば、液状ポリブテン、鉱油、ラノリン、液状ポリイソプレン、液状ポリアクリレート、フタル酸ジオクチル、グリセリン、エタノールアミン等)、防腐剤、防錆剤、凍結溶融安定剤、顔料、着色剤、充填剤(亜鉛華、チタン白、炭酸カルシウム、クレー等)、金属粉末、中和剤(アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、濡れ剤、消泡剤、増粘剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を適宜添加することができる。
上記添加剤は、重合後の水分散型粘着剤組成物に添加されることが多いが、乳化重合前や乳化重合途中で添加することもできる。
また、本発明の粘着シートに用いる粘着剤は、樹脂固形分が、通常30〜65質量%程度、好ましくは40〜60質量%である。また、粘度が50〜12,000mPa・s程度(BM型粘度計、60回転、25℃)、好ましくは100〜10,000mPa・sである。さらに、pHは、通常6〜9の範囲にあることが好ましい。
粘着剤の樹脂固形分濃度、粘度及びpHが上記範囲内であると、乾燥性、塗工性、塗工液の分散安定性、保存安定性、機械安定性及び取り扱いの面から好ましい。
粘着剤層の厚みに特に制限はなく、通常、10〜50μm、好ましくは15〜35μm程度である。
本発明の粘着シートを製造する方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、粘着剤層は、上記エマルション組成物(A)、架橋剤(B)および単官能化合物(C)等を混合し、必要に応じてポリアクリル酸などの増粘剤又は希釈剤等を添加混合して適当な粘度に調整した混合物からなる粘着剤を剥離シートへ塗布し、乾燥した後に、基材の表面と貼り合わせる転写塗工法、先に基材の表面へ粘着剤を直接塗布し、乾燥後に剥離シートと貼り合わせる直接塗工法を採用することもできる。
剥離シートとしては、特に限定されるものではない。剥離シート用の基材としては、例えば、紙、合成紙、合成樹脂フィルム等が挙げられる。
紙としては、例えば、上質紙、グラシン紙、コート紙などの紙基材、これらの紙基材にポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙のような紙基材、及び上質紙、グラシン紙、コート紙等にセルロース、澱粉、ポリビニルアルコール、アクリル−スチレン樹脂などで目止め処理した紙基材等が挙げられ、プラスチック合成樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂からなるフィルム、及びこれらの合成樹脂フィルムに易接着処理を施したフィルムなどが挙げられ、これらに剥離処理剤を塗布したものであることが望ましい。
剥離処理剤としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂などのゴム系エラストマー、シリコーン樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂、長鎖アルキル含有樹脂など公知の処理剤を使用することが可能である。
剥離処理剤の層の厚みは0.05〜2.0μmであるのが好ましく、より好ましくは0.1〜1.5μmである。
剥離シート用の基材の厚みは、特に制限はなく、通常、30〜200μmである。
粘着剤の塗工方法としては、特に制限はなく、従来公知の塗布方法が使用可能であり、例えば、ナイフコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、グラビアコーター、バリオグラビアコーター、エアナイフコーター、バーコーター、ダイコーター、カーテンコーター等の塗布装置による方法が挙げられる。
基材、粘着剤層及び剥離シートを積層した粘着シートの厚みは、通常、50〜300μm、好ましくは60〜250μmであり、平面のシート状であってもよいし、ロール状に巻き取ったものであってもよい。
本発明の粘着シートは、例えば包装・結束用、事務・家庭用、接合用、塗装マスキング用、表面保護用、防食・防水用、シーリング用、電気絶縁用、電子機器・光学部品用、医療・衛生材用、識別・装飾用、ラベル用、広告ステッカー用、表示用ステッカー用、マーキングフィルム用、ウインド・ディスプレイ用、車両用等の粘着テープ、粘着シート、粘着ラベルとして、紙、天然・合成樹脂、ガラス、金属被着体等の各種被着体に使用可能である。
また、成分(A)および(B)からなる既存のエマルション型粘着剤に対しても前記(C)を添加することで上述したような耐水性を付与することができる。
次に、本発明を実施例および比較例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
<実施例1>
攪拌機、温度計、及び滴下ロートを備えた容器にアクリル酸−2−エチルヘキシル(2−EHA)87.0質量部、アクリル酸ブチル(BA)10.0質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−HEMA)1.0質量部、メタクリル酸(MAA)2.0質量部を仕込み、これにポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩(花王株式会社製、商品名:ラテムルE−118B)0.5質量部、アリルアルキルスルホコハク酸エステル塩(三洋化成株式会社製、商品名:エレミノールJS−2)1.5質量部とイオン交換水56質量部を加え、室温下撹拌して不飽和単量体の混合物を含む乳化物を予め調製した。
別途、攪拌機、還流冷却器、温度計、窒素導入管、及び滴下ロートを備えた反応装置にイオン交換水28質量部を仕込み、窒素を封入して内温80℃まで昇温し、その温度に保ちながら、10質量%の過硫酸アンモニウム水溶液2質量部を仕込んで重合開始剤水溶液を調製した。
次に、予め調製した不飽和単量体の混合物を含む乳化物を滴下ロートに移し、4時間かけて上記重合開始剤水溶液中に滴下した。これと併行して5質量%過硫酸アンモニウム水溶液4質量部を滴下して内温80℃で乳化重合を行った。
滴下終了後、80℃で4時間熟成し、平均粒子径200nmを有する組成物を得た。
その後、室温まで冷却し、アンモニア水で中和した後に水を加えて固形分50質量%、pH8.0の、(アクリル系)共重合体を含むエマルション組成物(A)を得た。
次いで、同エマルション組成物(A)にポリアクリル酸系増粘剤(ロームアンドハース社製、商品名:ASE−60)を添加して25℃における粘度8,000mPa・s(B型粘度計、60rpm)に増粘させた。
さらに、上記(アクリル系)共重合体を含むエマルション組成物(A)中の(アクリル系)共重合体100質量部に対して、エポキシ系の架橋剤(B)として「デナコールEX−421」(ナガセケムテックス株式会社製、3官能のエポキシ樹脂、エポキシ当量:159)を1.5質量部、エポキシ系の単官能化合物(C)として「デナコールEX−141」(ナガセケムテックス株式会社製、1官能のエポキシ樹脂、エポキシ当量:151)を1.5質量部添加し、得られた粘着剤を剥離シート「SP−8Kアオ」(リンテック株式会社製、シリコーン樹脂で剥離処理したグラシン紙)の剥離処理剤面上に、ロールナイフコーターを用いて、乾燥後の塗布厚みが20μmになるように塗工し、90℃にて2分間乾燥し、粘着剤層を形成させた。次いで、厚みが50μmの基材であるPETフィルム「ルミラー#50S10」(東レ株式会社製)と貼り合わせて粘着シートを作製した。
上記のようにして得られた粘着シートを23℃、50%RH環境下で7日間養生した後、常態粘着力、耐水粘着力及び基材への密着性の評価を行った。
<実施例2>
エポキシ系の単官能化合物(C)として「デナコールEX−121」(ナガセケムテックス株式会社製、エポキシ当量:187)を1.7質量部用いた以外は実施例1と同様にして粘着シートを作製し、常態粘着力、耐水粘着力及び基材への密着性の評価を行った。
<実施例3〜7>
単官能化合物(C)としてブチルアミン(東京化成工業株式会社製)0.7質量部(実施例3)、N、N−ジメチルドデシルアミン(東京化成工業株式会社製)0.8質量部(実施例4)、ベンジルアミン(東京化成工業株式会社製)1.0質量部(実施例5)、ジイソプロピルアミン(東京化成工業株式会社製)2.0質量部(実施例6)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(東京化成工業株式会社製)1.9質量部(実施例7)をそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして粘着シートを作製し、常態粘着力、耐水粘着力及び基材密着性の評価を行った。
<実施例8、9>
成分(A)中の共重合体の組成を表1に記載した単量体混合物に、成分(B)をオキサゾリン系架橋剤であるWS−700〔(株)日本触媒社製、オキサゾリン価:4.5ミリモル/g〕およびカルボジイミド系架橋剤であるV−02〔日清紡績(株)製、カルボジイミド基1モル当りの化学式量:590〕に、単官能化合物(C)をヘキシルイソシアネートにそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にして粘着シートを作製し、常態粘着力、耐水粘着力及び基材密着性の評価を行った。なお、表中、AAはアクリル酸、MMAはメタクリル酸メチルを表わす。
<比較例1―単官能化合物(C)を添加していない例>
単官能化合物(C)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして組成物を調製後、比較用の粘着シートを作製し、常態粘着力、耐水粘着力及び基材密着性の評価を行った。
<比較例2〜9―架橋剤(B)を添加していない例>
架橋(B)剤を添加しなかった以外は、実施例1〜8と同様にして組成物を調製後、比較用の粘着シートを作製し、常態粘着力、耐水粘着力及び基材密着性の評価を行った。
実施例1〜9における各成分の配合組成等およびその評価結果をまとめて表1に、比較例1〜9におけるそれらをまとめて表2に示す。
性能評価は、下記の測定方法または計算方法に従って行なった。
(1)平均粒子径
(株)堀場製作所製のレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(製品名:LA−920)を使用し、体積基準のメジアン径を測定した。
(2)ゲル分率
剥離シート(リンテック社製、SP−8Kアオ)の剥離処理面に乾燥後の塗布厚が20μmとなるように塗布し、100℃で1分間加熱し、粘着剤層を形成した。その粘着剤層と別の剥離シート(リンテック社製、SP−PET3801)の剥離処理面とを貼り合せて粘着シートを得た。
上記粘着シートを23℃、湿度50%の雰囲気下で1週間放置した後、その粘着シートから約0.2gの粘着剤を取り出してステンレスメッシュ(#300)に包み、テトラヒドロフラン30ml中に23℃で72時間浸漬後、ステンレスメッシュごと取り出して120℃で3時間乾燥後、浸漬前の質量比とから算出した(単位:%)。
(3)常態粘着力(α)
23℃、50%RH環境下で、25mm×300mmにカットした粘着シート試験片を被着体(SUS304)に貼付して試験サンプルとした。貼付24時間後の粘着力を180°引き剥がし法により引張り速度300mm/分にて測定した(JIS Z0237に準拠)。
(4)耐水粘着力(β)
23℃、50%RH環境下で、25mm×300mmにカットした粘着シート試験片を被着体(SUS304)に貼付した。23℃、50%RH環境下で1日静置後、40℃環境下で1日間精製水に浸漬した後に取り出し、試験サンプルとした。取り出し直後の試験サンプルの粘着力を180°引き剥がし法により引張り速度300mm/分にて測定した(JIS Z0237準拠)。
(5)対常態粘着力比
耐水粘着力(β)/常態粘着力(α)として算出した。
(6)保持力
粘着シート作製後、23℃、50%RH環境下で、25mm×100mmにカットした粘着シート試験片を貼付面積が25mm×25mmとなるように被着体(SUS304)に貼付して試験サンプルとした。その後、40℃環境下、1kgの錘で荷重(9.8N)をかけて保持力を測定した。なお、試験時間は70000秒とし、表中○は70000秒を超えても試験片が落下しなかったことを示す(JIS Z0237準拠)。
表2における保持力の数値は錘が落下するまでの時間(秒)である。
(7)基材に対する密着性
粘着シートから剥離シートを剥離した後、粘着剤層を5回指で擦り、基材に対する密着性(基材密着性)を評価した。粘着剤層がPETフィルムから剥がれない場合を○とし、剥がれが発生した場合を×とした。
表1及び2から、実施例の粘着シートは、比較用の粘着シートに比べて、合成樹脂フィルムを基材とした場合でも耐水粘着力(対常態粘着力比)に優れ、かつ保持力、基材に対する密着性が良好な粘着シートであることがわかる。
Figure 0005529386
Figure 0005529386
本発明の粘着シートは、包装・結束用、事務・家庭用、接合用、塗装マスキング用、表面保護用、防食・防水用、シーリング用、電気絶縁用、電子機器・光学部品用、医療・衛生材用、識別・装飾用、ラベル用、広告ステッカー用、表示用ステッカー用、マーキングフィルム用、ウインド・ディスプレイ用、車両用等の粘着テープ、粘着シート、粘着ラベルとして有利に用いることができる。

Claims (11)

  1. 基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を有する粘着シートであって、当該粘着剤層が、
    (A)(a1)エチレン性不飽和酸単量体および(a2)その他の単量体を含む単量体の混合物を乳化重合後、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選ばれる中和剤で中和して得られる、親水性官能基を有する共重合体を含むエマルション組成物、
    (B)架橋剤および
    (C)上記共重合体中の親水性官能基と化学的結合を形成しうる反応性基を1個有する、エポキシ系、アミン系、オキサゾリン系、アジリジン系、イソシアナート系、またはアジリジニル系化合物から選ばれる少なくとも1種
    を含む水分散型粘着剤から形成されてなる粘着シート。
  2. 前記共重合体中の(a1)が0.5〜10.0質量%、(a2)が90.0〜99.5質量%である請求項1に記載の粘着シート。
  3. 前記(C)の含有量が前記共重合体中の親水性官能基1当量に対して0.1〜1当量となる量である請求項1または2に記載の粘着シート。
  4. 前記(B)の含有量が前記共重合体中の親水性官能基1当量に対して0.1〜1当量となる量である請求項1〜3のいずれかに記載の粘着シート。
  5. 前記(a1)がアクリル酸またはメタクリル酸である請求項1〜4のいずれかに記載の粘着シート。
  6. 前記共重合体中の親水性官能基がカルボキシル基、水酸基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載の粘着シート。
  7. 前記基材が合成樹脂フィルムである請求項1〜6のいずれかに記載の粘着シート。
  8. 前記架橋剤(B)がエポキシ系、アジリジン系、メラミン系、金属錯体系、アミン系、オキサゾリン系架橋剤、およびイソシアナート系化合物から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜7のいずれかに記載の粘着シート。
  9. 前記反応性基を1個有する化合物がエポキシ系、アミン系またはイソシアナート系化合物から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜8のいずれかに記載の粘着シート。
  10. 前記粘着剤層の厚みが10〜50μmである請求項1〜9のいずれかに記載の粘着シート。
  11. 前記成分(A)がさらにカルボキシル基を有する不飽和単量体および水酸基含有不飽和単量体を含む請求項1〜10のいずれかに記載の粘着シート。
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