JP5527633B2 - 負極活物質の評価方法および負極活物質 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池その他の電池用の負極活物質に関する。
リチウムイオン二次電池は、正極および負極と、それら両電極間に介在された電解質とを備え、該電解質中のリチウムイオンが両電極間を行き来することにより充放電を行う。その負極は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出可能な負極活物質を含み、かかる負極活物質としては、主に、粒子状に調製された種々の炭素材料が使用される。リチウムイオン二次電池用の負極材料に関する技術文献として特許文献1が挙げられる。
日本国特許出願公開2004−139743号公報
リチウムイオン二次電池は、種々の分野で利用が拡大しており、その性能(充放電特性、耐久性等)は、負極性能に著しく影響されることから、負極性能の向上および安定化が求められている。高性能な負極を形成し得る負極活物質として、例えば、高結晶性炭素質粒子の表面に低結晶性炭素材料が付着した態様の複合炭素体が検討されている。しかし、本発明者の検討によると、かかる負極活物質を用いた場合、目標とする上限充電電流密度(著しい容量低下を起こさずに流せる最大充電電流密度)および/または充電状態での高温保存性を有する電池が安定して実現されず、電池間(典型的には、ロットの異なる負極活物質を用いた電池間)で顕著な偏差が生じる場合があった。
本発明は、所望の性能の電池を安定して実現するために有用な負極活物質評価方法を提供することを一つの目的とする。本発明の他の一つの目的は、高性能な電池を安定して実現し得る負極活物質を提供することである。
本発明者は、負極活物質としての複合炭素体について、従来の指標では区別できなかった表面活性の差を把握し得る指標を見出して、本発明を完成した。
本発明によると、高結晶性炭素質粒子の表面に低結晶性炭素材料を少なくとも部分的に有する複合炭素体を、負極活物質として評価する方法が提供される。この方法は、(A)かかる負極活物質のサンプルに対し、波長532nmにて顕微ラマン分析をn回行うこと(ここで、nは20以上である)を包含する。この方法は、また、(B)各回の顕微ラマン分析によって得られたラマンスペクトルについて、Dバンドの強度IとGバンドの強度Iとの比の値R(I/I)を求めることを包含する。この方法は、(C)Rの値が0.2以上であった分析回数mを求めること、および(D)R値0.2以上の分布割合(DR≧0.2)として、総分析回数nに対するmの割合(m/n)を求めること、を更に包含する。上記Dバンドは、共役性(連続性)の低いspC−spC結合の振動に起因して1360cm−1近傍に現れるラマンピークである。上記Gバンドは、共役性の高いspC−spC結合の振動に起因して1580cm−1近傍に現れるラマンピークである。各バンドの強度としては、基線をゼロとして補正した各ピークトップの値を採用する。
この負極活物質評価方法は、低結晶性炭素材料が表面に付着した高結晶性炭素質粒子(複合炭素体)を適用対象とする。上記低結晶性炭素材料(以下、非晶質炭素ともいう。)とは、アモルファスカーボン等の、結晶性の低い炭素材料を意味する。また、上記高結晶性炭素質(以下、黒鉛質ともいう。)とは、黒鉛(グラファイト)等の、高度な層状結晶構造を有する炭素材料を意味する。一般的な黒鉛質のR値は、0.2未満であり得る。
リチウムイオン二次電池は、特に低温(例えば、0℃程度)での充電時、電池性能に対して充電電流密度が高すぎると、負極表面にリチウムが析出してしまい、性能が著しく劣化する不具合を発生させることがある。かかる不具合を回避するには、上限充電電流密度(mA/cm)を向上させることが求められる。上限充電電流密度は、負極における電気化学反応速度が高いほど増加する傾向にあり、この電気化学反応の速度は、結晶構造がほぼ同等であれば、リチウムイオンの挿入に対する有効面積が大きいほど高くなる。一方、電池が充電された状態で保存(放置)される場合、特に高温(例えば、60℃程度)では、電解液成分が負極において還元分解される副反応が進行して、容量が著しく低下する不具合が起こる場合がある。一般に、リチウムイオン挿入に対する活性が高い部分は、かかる副反応に対する活性も高い。したがって、充電状態での高温保存性は、リチウムイオン挿入に対する有効面積が大きいほど低下する傾向にある。これら二つの相反する特性をバランスよく実現するためには、負極活物質の活性に対する高度な制御が求められる。
複合炭素体において、リチウムイオン挿入は、その表面のうち、非晶質炭素による被覆部ならびに黒鉛質のエッジ面および破損部が露出した部分(すなわち、低結晶部)で起こり、黒鉛質のベイサル面(すなわち、高結晶部)が露出した部分では起こらない。副反応に対する活性についても、低結晶部で高く、高結晶部で低い傾向にある。したがって、リチウムイオン挿入や副反応に対する活性は、単なる比表面積には必ずしも対応しない。このことにより、例えば、同程度の比表面積を有する複合炭素体を用いた電池であっても、上限充電電流密度および高温保存性の少なくともいずれかに、ばらつきが生じる場合がある。
顕微ラマン分光法によると、低結晶部(非晶質炭素による被覆部、黒鉛質のエッジ面(結晶端部)や破損部等)および高結晶部(黒鉛質のベイサル面(spCが六角網状に共役してなるグラフェンシートの網面))を、上記のDバンドおよびGバンドとして検知することができる。上記評価方法では、一サンプルにつき、20回以上の顕微ラマン分析を、ランダムに選択された毎回異なる複合炭素体の一部分を対象として行うことから、粒子間の偏差をも包含した統計的データが得られる。したがって、上記評価方法によると、複合炭素粒子の集合体としての負極活物質を、表面における結晶度の違いを加味して評価することができる。かかる評価方法は、例えば、各複合炭素粒子表面の非晶質炭素による被覆具合(均一性等)の把握に利用することができる。あるいは、異なる複数ロットの複合炭素体につき、従来の指標では検知できなかった活性差を検知し、より高い活性を有するものや、目標活性が実現される見込みの低いもの等を選別する目的にも利用され得る。これらのことから、上記評価方法は、所定の性能を備えたリチウムイオン二次電池を安定して形成するために有用である。
本発明によると、また、上記の評価方法により求められるR値が0.2以上の分布割合(DR≧0.2)が20%以上であることを特徴とする、上記複合炭素体からなる負極活物質が提供される。かかる負極活物質によると、所定の性能(特に、低温での上限充電電流密度および高温保存性)を備えたリチウムイオン二次電池をより安定して形成することができる。
ここに開示される負極活物質の一態様では、その窒素吸着比表面積が4〜9m/gの範囲にある。かかる負極活物質によると、低温での上限充電電流密度および高温保存性のバランスにより優れたリチウムイオン二次電池が安定して形成され得る。
したがって、本発明のさらに他の側面として、ここに開示されるいずれかの負極活物質を有する負極と、正極活物質を有する正極と、非水電解液と、を備えるリチウムイオン二次電池が提供される。かかる電池は、負極性能が高度に制御され、所定の性能(低温上限充電電流密度、高温保存性)を安定して実現するものであり得る。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池の一態様では、上記非水電解液が、ビニレンカーボネート(VC)を含む。かかる電池は、高温保存性がより向上されたものであり得る。
上述のとおり、ここに開示されるリチウムイオン二次電池は、急速充放電に対応する上で重要な低温での上限充電電流密度と、高温での放置または使用に対する耐久性(高温保存性)と、をバランスよく高度に両立し得る。かかる電池は、例えば、幅広い温度下で使用または保存(放置)され得る車両において使用される電源として好適である。したがって、本発明によると、ここに開示されるいずれかのリチウムイオン二次電池を備えた車両が提供される。特に、かかるリチウムイオン二次電池を動力源(典型的には、ハイブリッド車両または電気車両の動力源)として備える車両(例えば自動車)が好ましい。
図1は、一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の外形を模式的に示す斜視図である。 図2は、図1におけるII−II線断面図である。 図3は、例1〜7に係るリチウムイオン二次電池につき、比表面積に対して上限充電電流密度をプロットしたグラフである。 図4は、本発明のリチウムイオン二次電池を備えた車両(自動車)を模式的に示す側面図である。 図5は、18650型リチウムイオン電池の形状を模式的に示す斜視図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここに開示される負極活物質評価方法は、核材としての黒鉛質粒子の表面に非晶質炭素が少なくとも部分的に付着した態様の複合炭素体からなる負極活物質に適用することができる。
この評価方法は、下記工程(A)〜(D):
(A)かかる負極活物質のサンプルに対し、波長532nmにて顕微ラマン分析をn回行うこと(ここで、nは20以上である);
(B)各回の顕微ラマン分析によって得られたラマンスペクトルについて、Dバンドの強度IとGバンドの強度Iとの比の値R(I/I)を求めること;
(C)Rの値が0.2以上であった分析回数mを求めること;および、
(D)R値0.2以上の分布割合(DR≧0.2)として、総分析回数nに対するmの割合(m/n)を求めること;
を包含する。
上記顕微ラマン分析は、高い空間分解能(例えば2μm以下)を有する顕微レーザーラマン分光器を用い、同一サンプルに対してn回実施すればよい。典型的には、毎回分析箇所が異なるよう、各回の分析終了後に当該サンプルをタップしたり、その配置を少しずらしたりして次回分析を行う。上記分光器としては、例えば、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製、型式「Nicolet Almega XR」、あるいはその相当品を用いることができる。空間分解能が低すぎると(すなわち、上記最小距離が大きすぎると)、粒子間のばらつきがR値に反映され難く、評価結果の精度が低下する場合がある。
顕微ラマン分析を行う回数(n)は、20回以上とする。この分析回数は、50回以上であることが好ましく、75回以上であることがより好ましい。分析回数の上限は特に制限されないが、125回程度とすることができる。分析回数が少なすぎると、負極活物質の評価結果の精度が十分でないことがあり、所望の負極性能(上限充電電流密度、高温保存性等)が得られ難くなる場合がある。
この負極活物質評価方法は、複合炭素体からなる負極活物質に対して適用することができる。かかる負極活物質は、典型的には、黒鉛質粒子(核材)の表面に非晶質炭素膜を形成し得るコート原料(コート種)を付着・炭化させることにより形成される。
上記核材としては、天然黒鉛、人工黒鉛等の各種黒鉛を粒子状(球状)に加工(粉砕、球状成形等)したものを使用することができる。上記核材の平均粒径は、6〜20μm程度であることが好ましい。比表面積(被覆前)は、5〜15m/g程度であることが好ましい。各種黒鉛を粒子状に加工する方法としては、従来公知の方法を特に制限なく採用することができる。
上記コート原料としては、採用する非晶質炭素コート形成方法に応じて、炭素膜を形成し得る材料を適宜選択して用いることができる。コート形成方法としては、例えば、核材(黒鉛質粒子)表面に気相のコート原料を、不活性ガス雰囲気下において蒸着させるCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の気相法;コート原料を適当な溶媒で希釈してなる溶液を核材に混ぜ合わせた後、不活性ガス雰囲気下において、該コート原料を焼成・炭化させる液相法;核材およびコート原料を、溶媒を用いずに混練した後、不活性ガス雰囲気下において焼成・炭化させる固相法;等の、従来公知の方法を適宜採用することができる。
CVD法のコート原料としては、熱やプラズマ等により分解されて上記核材表面に炭素膜を形成し得る化合物(ガス)を用いることができる。かかる化合物としては、エチレン、アセチレン、プロピレン等の不飽和脂肪族炭化水素;メタン、エタン、プロパン等の飽和脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、ナフタレン等の芳香族炭化水素;等の各種炭化水素化合物が挙げられる。これら化合物は、一種のみを用いてもよく、二種以上の混合ガスとして用いてもよい。CVD処理を施す温度、圧力、時間等は、使用するコート原料の種類や所望のコート量に応じて適宜選択すればよい。
液相法のコート原料としては、各種溶媒に可溶であり、且つ熱分解されて上記核材表面に炭素膜を形成し得る化合物を用いることができる。好適例として、コールタールピッチ、石油ピッチ、木タールピッチ等のピッチ類等が挙げられる。これらは、一種のみを単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。焼成の温度および時間は、非晶質炭素膜が生成されるよう、コート原料の種類等に応じて適宜選択すればよい。典型的には、凡そ800〜1600℃の範囲で、2〜3時間程度焼成すればよい。
固相法のコート原料としては、液相法と同様のものを、一種または二種以上用いることができる。焼成の温度および時間については、コート原料の種類等に応じて適宜選択すればよく、例えば、液相法と同程度の範囲とすることができる。
いずれのコート形成方法を採用する場合においても、必要に応じて、上記コート原料に各種添加剤(例えば、上記コート原料の非晶質炭素化に有効な添加剤等)を配合してもよい。
上記複合炭素体に占める非晶質炭素のコート量は、0.5〜8質量%(好ましくは2〜6質量%)程度とすることができる。コート量が少なすぎると、非晶質炭素の特性(自己放電が少ない等)が負極性能に十分に反映されない場合がある。コート量が多すぎると、非晶質炭素は内部でのLiイオンの移動経路が複雑であることから、Liイオンの拡散が遅くなり、負極における電気化学反応速度が低下する場合がある。
核材とコート原料との混合割合は、適用するコーティング法に応じ、適当な後処理(不純物や未反応物の除去等)を行った後のコート量が上記範囲となるように適宜選択すればよい。
かかる複合炭素体は、上記評価方法により評価することができる。ここに開示される負極活物質は、複合炭素体からなり、DR≧0.2が20%以上であることを特徴とする。DR≧0.2がこれよりも小さすぎると、上限充電電流密度および高温保存性の少なくともいずれかが低下したり、バランスが悪くなったりすることがある。DR≧0.2の上限は特に制限されないが、通常は、凡そ95%以下であり得る。
上記負極活物質(被覆後)の比表面積は、例えば、1〜10m/g程度であり得る。通常は、凡そ4〜9m/gの範囲にあることが好ましい。DR≧0.2が20%以上であり、且つ該比表面積が上記好ましい範囲内にあるものによると、上限充電電流密度および高温保存性のバランスにより優れたリチウムイオン二次電池が形成され得る。比表面積が小さすぎると、充放電時に十分な電流密度が得られないことがある。比表面積が大きすぎると、不可逆容量が増加するなどして電池容量が著しく低下する場合がある。上記比表面積としては、窒素吸着法により測定された値を採用するものとする。
本発明によると、ここに開示されるいずれかの負極活物質を有する負極を備えることを特徴とする、リチウムイオン二次電池が提供される。かかるリチウムイオン二次電池の一実施形態について、電極体および非水電解液を角型形状の電池ケースに収容した構成のリチウムイオン二次電池100(図1)を例にして詳細に説明するが、ここに開示される技術はかかる実施形態に限定されない。すなわち、ここに開示されるリチウムイオン二次電池の形状は特に限定されず、その電池ケース、電極体等は、用途や容量に応じて、素材、形状、大きさ等を適宜選択することができる。例えば、電池ケースは、直方体状、扁平形状、円筒形状等であり得る。なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
リチウムイオン二次電池100は、図1および図2に示されるように、捲回電極体20を、図示しない電解液とともに、該電極体20の形状に対応した扁平な箱状の電池ケース10の開口部12より内部に収容し、該ケース10の開口部12を蓋体14で塞ぐことによって構築することができる。また、蓋体14には、外部接続用の正極端子38および負極端子48が、それら端子の一部が蓋体14の表面側に突出するように設けられている。
上記電極体20は、長尺シート状の正極集電体32の表面に正極活物質層34が形成された正極シート30と、長尺シート状の負極集電体42の表面に負極活物質層44が形成された負極シート40とを、2枚の長尺シート状のセパレータ50と共に重ね合わせて捲回し、得られた捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって扁平形状に成形されている。
正極シート30は、その長手方向に沿う一方の端部において、正極活物質層34が設けられておらず(あるいは除去されて)、正極集電体32が露出するよう形成されている。同様に、捲回される負極シート40は、その長手方向に沿う一方の端部において、負極活物質層44が設けられておらず(あるいは除去されて)、負極集電体42が露出するように形成されている。そして、正極集電体32の該露出端部に正極端子38が、負極集電体42の該露出端部には負極端子48がそれぞれ接合され、上記扁平形状に形成された捲回電極体20の正極シート30または負極シート40と電気的に接続されている。正負極端子38,48と正負極集電体32,42とは、例えば超音波溶接、抵抗溶接等によりそれぞれ接合することができる。
上記負極活物質層44は、例えば、ここに開示されるいずれかの負極活物質を、結着剤(バインダ)等ともに適当な溶媒に分散させたペーストまたはスラリー状の組成物(負極合材)を負極集電体42に付与し、該組成物を乾燥させることにより好ましく作製することができる。負極合材に含まれる負極活物質の量は特に限定されないが、好ましくは90〜99質量%程度、より好ましくは95〜99質量%程度である。
結着剤としては、各種ポリマーから適宜選択して用いることができる。一種のみを単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ポリビニルアルコール(PVA)等の、水溶性ポリマー;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重含体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂、酢酸ビニル共重合体、スチレンブタジエンブロック共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)、ゴム類(アラビアゴム等)等の、水分散性ポリマー;ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体(PEO−PPO)等の、油溶性ポリマー;等が挙げられる。
結着剤の添加量は、負極活物質の種類や量に応じて適宜選択すればよく、例えば、上記負極合材の1〜5質量%程度とすることができる。
負極集電体42としては、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。例えば、銅または銅を主成分とする合金を用いることができる。また、負極集電体42の形状は、リチウムイオン二次電池の形状等に応じて異なり得るため、特に制限はなく、棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であり得る。本実施形態ではシート状の銅製の負極集電体42が用いられ、捲回電極体20を備えるリチウムイオン二次電池100に好ましく使用され得る。かかる実施形態では、例えば、厚みが6μm〜30μm程度の銅製シートを好ましく使用され得る。
上記正極活物質層34は、例えば、正極活物質を、必要に応じて導電材、結着剤(バインダ)等とともに適当な溶媒に分散させたペーストまたはスラリー状の組成物(正極合材)を正極集電体32に付与し、該組成物を乾燥させることにより好ましく作製することができる。
正極活物質としては、リチウムを吸蔵および放出可能な正極材料が用いられ、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる物質(例えば層状構造の酸化物やスピネル構造の酸化物)の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。例えば、リチウムニッケル系複合酸化物、リチウムコバルト系複合酸化物、リチウムマンガン系複合酸化物、リチウムマグネシウム系複合酸化物等のリチウム含有複合酸化物が挙げられる。
ここで、リチウムニッケル系複合酸化物とは、リチウム(Li)とニッケル(Ni)とを構成金属元素とする酸化物のほか、リチウムおよびニッケル以外に他の少なくとも一種の金属元素(すなわち、LiとNi以外の遷移金属元素および/または典型金属元素)を、原子数換算でニッケルと同程度またはニッケルよりも少ない割合(典型的にはニッケルよりも少ない割合)で構成金属元素として含む酸化物をも包含する意味である。上記LiおよびNi以外の金属元素は、例えば、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、バナジウム(V)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、スズ(Sn)、ランタン(La)およびセリウム(Ce)からなる群から選択される一種または二種以上の金属元素であり得る。なお、リチウムコバルト系複合酸化物、リチウムマンガン系複合酸化物およびリチウムマグネシウム系複合酸化物についても同様の意味である。
また、一般式がLiMPO(MはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種以上の元素;例えばLiFePO、LiMnPO)で表記されるオリビン型リン酸リチウムを上記正極活物質として用いてもよい。
正極合材に含まれる正極活物質の量は、例えば、80〜95質量%程度とすることができる。
導電材としては、カーボン粉末やカーボンファイバー等の導電性粉末材料が好ましく用いられる。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、グラファイト粉末等が好ましい。導電材は、一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。
正極合材に含まれる導電材の量は、正極活物質の種類や量に応じて適宜選択すればよく、例えば、4〜15質量%程度とすることができる。
結着剤としては、上述の負極と同様のものを、一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。結着剤の添加量は、正極活物質の種類や量に応じて適宜選択すればよく、例えば、正極合材の1〜5質量%程度とすることができる。
正極集電体32には、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。例えば、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金を用いることができる。正極集電体32の形状は、リチウムイオン二次電池の形状等に応じて異なり得るため、特に制限はなく、棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であり得る。本実施形態ではシート状のアルミニウム製の正極集電体32が用いられ、捲回電極体20を備えるリチウムイオン二次電池100に好ましく使用され得る。かかる実施形態では、例えば、厚みが10μm〜30μm程度のアルミニウムシートが好ましく使用され得る。
上記非水電解液は、非水溶媒(有機溶媒)中に支持塩を含む。該支持塩としては、一般的なリチウムイオン二次電池に支持塩として用いられるリチウム塩を、適宜選択して使用することができる。かかるリチウム塩として、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、Li(CFSON、LiCFSO等が例示される。かかる支持塩は、一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。特に好ましい例として、LiPFが挙げられる。上記非水電解液は、例えば、上記支持塩の濃度が0.7〜1.3mol/Lの範囲内となるように調製することが好ましい。
上記非水溶媒としては、一般的なリチウムイオン二次電池に用いられる有機溶媒を適宜選択して使用することができる。特に好ましい非水溶媒として、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ビニレンカーボネート(VC)、プロピレンカーボネート(PC)等のカーボネート類が例示される。これら有機溶媒は、一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。例えば、ECとDMCとEMCとの混合溶媒やこれにVCを添加したものを好ましく使用することができる。
ここに開示されるリチウムイオン二次電池の一態様では、上記非水電解液が、VCを含む。VCの添加量は、非水溶媒の凡そ0.1〜3質量%(より好ましくは0.3〜1質量%)とすることが好ましい。かかる構成によると、上限充電電流密度を高度に維持したまま、高温保存性を向上させることができる。VCは、負極表面上のSEI(Solid Electrolyte Interface)膜を安定化させる機能がある。SEI膜は、負極における副反応(非水溶媒、支持塩等の還元分解)によって形成されるため、SEI膜の形成状態(均一性等)もまた、上述のように、活物質粒子表面の結晶度の差に影響され得る。したがって、DR≧0.2を指標とすることは、VC添加による高温保存性向上効果を安定して実現する目的にも有用である。VCの添加量が少なすぎると、かかる高温保存性向上効果が十分でない場合がある。VC添加量が多すぎると、高温保存時のVC分解量が増加するなどして、高温保存性が逆に低下することがある。
上記セパレータ50は、正極シート30および負極シート40の間に介在するシートであって、正極シート30の正極活物質層34と、負極シート40の負極活物質層44にそれぞれ接するように配置される。そして、正極シート30と負極シート40における両電極活物質層34,44の接触に伴う短絡防止や、該セパレータ50の空孔内に上記電解液を含浸させることにより電極間の伝導パス(導電経路)を形成する役割を担っている。かかるセパレータ50としては、従来公知のものを特に制限なく使用することができる。例えば、樹脂からなる多孔性シート(微多孔質樹脂シート)を好ましく用いることができる。ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン等の多孔質ポリオレフィン系樹脂シートが好ましい。特に、PEシート、PPシート、PE層とPP層とが積層された多層構造シート、等を好適に使用し得る。セパレータの厚みは、例えば、凡そ10μm〜40μmの範囲内で設定することが好ましい。
上述のように、ここに開示される負極活物質評価方法によると、複合炭素体からなる負極活物質を、DR≧0.2を指標として選別することができる。そのようにして選別された負極活物質によると、一定の性能(例えば、低温上限充電電流密度および高温保存性)を備えたリチウムイオン二次電池が安定して形成され得る。かかる負極活物質評価方法は、例えば、複合炭素体からなる負極活物質の製造工程の最終段階に、品質検査工程の一部として組み入れることができる。上記検品工程では、DR≧0.2に加えて、他の指標(比表面積、粒径等)を用いてもよい。
ここに開示される技術によると、また、上記評価方法により求められるDR≧0.2が20%以上である負極活物質を選別することを少なくとも含む検品工程を包含すること、を特徴とする、複合炭素体からなる負極活物質製造方法が提供される。
また、ここに開示される負極活物質によると、より高度に活性が制御され得ることから、高性能なリチウムイオン二次電池を安定して製造することができる。したがって、ここに開示される技術によると、また、ここに開示されるいずれかの負極活物質を含む負極を用いること、を特徴とする、リチウムイオン二次電池の製造方法が提供される。例えば、以下の工程:
(W)DR≧0.2を把握すること;
(X)合否を判定すること;
(Y)合格品を用いて負極を作製すること;および、
(Z)その負極を用いて電池を構築すること;
を包含するリチウムイオン二次電池製造方法が提供される。なお、上記(W)工程では、DR≧0.2を毎回測定してもよく、過去の測定結果を適用してもよい。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において「部」および「%」は、特に断りがない限り質量基準である。
<例1>
黒鉛粒子(核材)にCVD処理を施して、コート量2%、比表面積1.9m/gの複合炭素体からなる負極活物質を得た。
<例2>
黒鉛粒子(核材)とコート原料)とを混練・焼成して、コート量2%、比表面積2m/gの複合炭素体からなる負極活物質を得た。
<例3>
黒鉛粒子(核材)とコート原料)とを混練・焼成して、コート量2%、比表面積3.6m/gの複合炭素体からなる負極活物質を得た。
<例4>
黒鉛粒子(核材)にCVD処理を施して、コート量2%、比表面積3.6m/gの複合炭素体からなる負極活物質を得た。
<例5>
黒鉛粒子(核材)とコート原料)とを混練・焼成して、コート量2%、比表面積3.7m/gの複合炭素体からなる負極活物質を得た。
<例6>
黒鉛粒子(核材)にCVD処理を施して、コート量2%、比表面積4.2m/gの複合炭素体からなる負極活物質を得た。
<例7>
コート量2%、比表面積4.3m/gの複合炭素体からなる負極活物質を得た。
<例8>
コート量2%、比表面積4.5m/gの複合炭素体からなる負極活物質を得た。
<例9>
コート量2%、比表面積5.3m/gの複合炭素体からなる負極活物質を得た。
<例10>
コート量2%、比表面積6.2m/gの複合炭素体からなる負極活物質を得た。
<例11>
コート量2%、比表面積6.3m/gの複合炭素体からなる負極活物質を得た。
<例12>
コート量2%、比表面積6.3m/gの複合炭素体からなる負極活物質を得た。
<例13>
コート量2%、比表面積8.1m/gの複合炭素体からなる負極活物質を得た。
<例14>
コート量2%、比表面積8.9m/gの複合炭素体からなる負極活物質を得た。
<例15>
コート量2%、比表面積9.9m/gの複合炭素体からなる負極活物質を得た。
<例16>
例7と同じ負極活物質を用意した。
<例17>
例8と同じ負極活物質を用意した。
<例18>
例12と同じ負極活物質を用意した。
<例19>
例13と同じ負極活物質を用意した。
例1〜19の各負極活物質につき、以下の評価・測定を行った。
[顕微ラマン分析]
各例の負極活物質サンプル0.1mgに対し、顕微レーザーラマンシステム(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製、型式「Nicolet Almega XR」)を用い、波長532nm、測定時間30秒、分解能2μm、レーザー出力レベル100%にて、顕微ラマン分析を125回行い、各回におけるR値を求めた。DR≧0.2として、総分析回数に対するR値0.2以上の回数の百分率を算出した。例12に係る顕微ラマン分析結果について、100回までのR値分布およびDR≧0.2を表1に示す。
Figure 0005527633
[比表面積]
上記各負極活物質の比表面積は、比表面積測定装置(Mountech社製、型式「Macsorb HM model−1200」)を用いて、窒素吸着法により測定した。
例1〜19の各負極活物質を用い、下記の手順に従って、ラミネートセル型電池および18650型電池(直径18mm、高さ65mmの円筒型)を作製した。
[ラミネートセル型電池]
負極合材として、負極活物質とSBRとCMCとを、これらの質量比が98:1:1であり且つNVが45%となるようにイオン交換水と混合して、スラリー状組成物を調製した。この負極合材を、厚さ10μmの銅箔の両面に、それら両面の合計塗布量が8mg/cmとなるように塗布した。これを乾燥後プレスして負極シートを作製した。この負極シートを、一角に幅10mmの帯状部が付いた5cm×5cmの正方形状に切り出した。この帯状部の両面から上記塗布物を除去し、銅箔を露出させて端子部を形成し、端子部付負極シートを得た。
正極合材として、LiNi1/3Co1/3Mn1/3と、アセチレンブラック(AB)と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、これらの質量比が85:10:5であり且つNVが50%となるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と混合して、スラリー状の組成物を調製した。この組成物を、厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に、それら両面の合計塗布量が16.7mg/cm(固形分基準)となるように塗布した。これを乾燥後プレスして正極シートを作製した。この正極シートを、負極シートと同じサイズおよび形状に加工して、端子部付正極シートを得た。
例1〜15の非水電解液としては、ECとDMCとEMCとの体積比1:1:1の混合溶媒を用いて調製した濃度1mol/L(1M)のLiPF溶液を用いた。例16〜19の非水電解液としては、上記混合溶媒100部に0.5部のVCを更に添加したものを溶媒とする1MのLiPF溶液を用いた。
上記正極シートと負極シートとを、厚さ2.5μmの多孔質ポリエチレンシートを介在させ、両端子部が一辺の両端に対称的に配置されるように積層し、これら両端子部の一部が露出するようにラミネートフィルムで覆った。これに上述の非水電解液を注入し、該フィルムを封止して容量が45mAhのラミネートセル型電池を構築した。
[18650型電池]
上記負極合材を、厚さ10μmの長尺状銅箔の両面に、それら両面の合計塗布量が8mg/cm(NV基準)となるように塗布した。これを乾燥後、全体の厚さが約65μmとなるようにプレスして負極シートを得た。
上記正極合材を、厚さ15μmの長尺状アルミニウム箔の両面に、それら両面の合計塗布量が24mg/cm(NV基準)となるように塗布した。これを乾燥後、全体の厚さが約84μmとなるようにプレスして正極シートを得た。
これら負極シートおよび正極シートを2枚の長尺状多孔質ポリエチレンシートとともに積層し、その積層体を長手方向に捲回した。得られた捲回電極体を、上述の非水電解液(例16〜19のみVC入り)とともに円筒型容器に収容し、該容器を封止して容量が800mAhの18650型電池200(図7)を構築した。
[コンディショニング処理]
各電池に対して、1/10Cのレートで3時間の定電流(CC)充電を行い、次いで、1/3Cのレートで4.1Vまで充電する操作と、1/3Cのレートで3.0Vまで放電させる操作とを3回繰り返した。なお、1Cは、1時間で満充放電できる電流値を指す。
[初期容量]
各電池を、温度25℃にて、1Cのレートで端子間電圧が4.1VになるまでCC充電を行い、続いて合計充電時間が2.5時間になるまで定電圧(CV)充電を行った。充電完了から10分休止した後、同温度にて、4.1Vから3.0Vまで0.33CのレートでCC放電を行い、続いて合計放電時間が4時間となるまでCV放電を行った。このときの放電容量を各電池の初期容量として測定した。
[上限充電電流密度]
初期容量を測定した各電池に対して、1Cのレートで端子間電圧が4.1VとなるまでCC充電し、次いでSOC60%となるまでCV充電をおこなった。該電池を、二枚の板で挟み、350kgfの負荷がかかる状態に拘束した。これに対し、1回目の充放電サイクルとして、0℃にて、14.0mA/cmの電流密度(適用した電流値を電極面積で除して求められる。)で10秒間CC充電し、10分間休止した後、14.0mA/cmの電流密度で10秒間CC放電し、10分間休止した。このサイクルを250サイクル繰り返した後、上記初期容量の測定と同様にして放電容量を測定した。
250サイクルごとに、電流密度を1.2mA/cmずつ増加させ、各電流密度における250サイクル後の放電容量を測定した。
容量維持率(%)として、初期容量に対する各サイクル後の放電容量の百分率を求めた。この容量維持率が一つ前のサイクル後の値と比べて3%以上低下した時点で測定を終了し、最終測定を行ったサイクルの一つ前のサイクルにおける電流密度を上限充電電流密度とした。
[高温保存性]
コンディショニング後SOC80%に調整した各例の18650型電池を、室温(23℃)にて、SOCが0%となるまで1/3CのレートでCC放電させ、このときの放電容量を初期容量として測定した。次いで、1/3CのレートでSOC80%に再調整し、60℃で30日間保存した後、初期容量の測定と同様にして保存後の放電容量を測定した。容量維持率(%)として、初期容量に対する保存後の放電容量の百分率を求めた。
例1〜19の負極活物質および電池について、上記の測定結果を表2に示す。
Figure 0005527633
表2に示されるとおり、略同等の比表面積であっても、DR≧0.2が高いほど、上限充電電流密度および/または高温保存性(高温保存後の容量維持率)が高くなる傾向が認められた。例えば、図3にも示されるとおり、比表面積が略同等の例1,2では、DR≧0.2が20%以上であった例1が、同20%未満であった例2と比べ、上限充電電流密度、高温保存性ともに高かった。特に、上限充電電流密度については、例1が、例2より23%高いという顕著な差が認められた。同様に、比表面積が略同等の例3〜5では、DR≧0.2が20%以上であった例4は、同20%未満であった例3,5と比べ、上限充電電流密度および高温保存性のいずれもが高かった。また、例6,7についても、比表面積は略同等であったが、DR≧0.2が20%以上の例6の方が、同20%未満の例7と比べ、上限充電電流密度、高温保存性ともに高かった。例6の上限充電電流密度は、例7より22%も高かった。
例1〜19のうち、比表面積が4〜9m/gの範囲にあり、且つDR≧0.2が20%以上であった例6,8〜14,17〜19は、上限充電電流密度が20mA/cm(電池容量の44%)以上、且つ保存後の容量維持率が80%以上と、両特性をより高度にバランスよく実現するものであった。
また、VC添加ありの例16〜19と、これらに対応するVC添加なしの例7,8,12,13とを比べると、DR≧0.2が20%未満であった場合(例7,16)では、VC添加により、高温保存性は向上したものの、上限充電電流密度が低下してしまう結果となった。これに対し、DR≧0.2が20%以上の場合(例8,17;例12,18;例13,19)では、VC添加により、上限充電電流密度を低下させることなく、高温保存性を向上させることができた。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 車両
20 捲回電極体
30 正極シート
32 正極集電体
34 正極活物質層
38 正極端子
40 負極シート
42 負極集電体
44 負極活物質層
48 負極端子
50 セパレータ
100,200 リチウムイオン二次電池

Claims (6)

  1. 高結晶性炭素質粒子の表面に低結晶性炭素材料を少なくとも部分的に有する複合炭素体を、負極活物質として評価する方法であって、
    前記負極活物質のサンプルに対し、波長532nmにて顕微ラマン分析を、該サンプルにおける分析箇所が毎回異なるようにn回行うこと(ここで、nは20以上である)、
    各回の顕微ラマン分析によって得られたラマンスペクトルについて、Dバンドの強度IとGバンドの強度Iとの比の値R(I/I)を求めること、
    Rの値が0.2以上であった分析回数mを求めること、および、
    R値0.2以上の分布割合(DR≧0.2)として、nに対するmの割合(m/n)を求めること、
    を包含する、負極活物質評価方法。
  2. 高結晶性炭素粒子表面に低結晶性炭素被膜を有する複合炭素体からなる負極活物質であって、請求項1記載の方法により求められるR値0.2以上の分布割合が20%以上であることを特徴とする、負極活物質。
  3. さらに、窒素吸着比表面積が4〜9m/gの範囲にあることを特徴とする、請求項2に記載の負極活物質。
  4. 請求項2または3に記載の負極活物質を有する負極と、正極活物質を有する正極と、非水電解液と、を備えるリチウムイオン二次電池。
  5. 前記非水電解液が、ビニレンカーボネートを含むことを特徴とする、請求項4に記載のリチウムイオン二次電池。
  6. 請求項4または5に記載のリチウムイオン二次電池を備える、車両。
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