JP2018073579A - リチウムイオン電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】入出力特性に優れるリチウムイオン電池を提供する。【解決手段】正極、負極、及び電解液を備えるリチウムイオン電池を次のように構成する。上記正極は、集電体と上記集電体に形成された正極合剤とを有し、上記正極合剤は、正極活物質と導電剤とを有する。そして、上記正極活物質は、平均粒子径が、3μm〜7μmのリチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物であり、上記導電剤は、平均粒子径又はDBP給油量の異なる導電剤Aと導電剤Bとを含有する。また、上記導電剤Aの平均粒子径は、上記導電剤Bの平均粒子径より大きく、上記正極合剤内での上記導電剤Aと上記導電剤Bとの重量比率(A/B)が、1≦A/B<22である。また、上記導電剤AのDBP吸油量(A’)は、上記導電剤BのDBP吸油量(B’)より小さく、上記導電剤Aと上記導電剤BのDBP吸油量の比率(A’/B’)が、0.8<A’/B’<25である。【選択図】図2

Description

本発明は、リチウムイオン電池に関するものである。
リチウムイオン電池は、高エネルギー密度の二次電池であり、その特性を活かして、ノートパソコンや携帯電話等のポータブル機器の電源に使用されている。近年、リチウムイオン二次電池は、ポータブル機器用等にとどまらず、電気自動車、ハイブリッド型電気自動車等に用いられる高入出力用電源としての応用にも注目されている。このような自動車分野への適用において、回生によるエネルギーの利用効率向上のために優れた入力特性が要求されている。
例えば、特許文献1には、入出力特性を向上する目的として、正極導電材にカーボンナノファイバを添加したリチウムイオン電池が開示されている。
また、特許文献2には、電池の内部抵抗を低減し、大電流での入出力特性を向上させることを目的として、正極に活性炭を添加した電池が開示されている。
特開2004−220909号 特開2007−317583号
しかしながら、本発明者の検討によれば、上記特許文献1、2に記載のリチウムイオン二次電池では、適用されている導電剤の平均粒子径がミクロン単位と比較的大きく、10μm以下の小粒径の活物質を適用した場合には、入出力特性が十分でないことが、明らかとなった。
本発明の目的は、上記課題に鑑みてなされたものであり、入出力特性に優れるリチウムイオン電池を提供することである。
本発明の一実施の形態に係るリチウムイオン電池は、正極、負極、及び電解液を備えるリチウムイオン電池であって、前記正極は、集電体と前記集電体に形成された正極合剤とを有し、前記正極合剤は、正極活物質と導電剤とを有する。そして、前記正極活物質は、平均粒子径が、3μm〜7μmの層状型リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物であり、前記導電剤は、平均粒子径又はDBP給油量の異なる導電剤Aと導電剤Bとを含有する。
また、前記導電剤Aの平均粒子径は、前記導電剤Bの平均粒子径より大きく、前記正極合剤内での前記導電剤Aと前記導電剤Bとの重量比率(A/B)が、1≦A/B<22である。そして、前記導電剤A及び前記導電剤Bは、アセチレンブラックである。
また、前記導電剤AのDBP吸油量(A’)は、前記導電剤BのDBP吸油量(B’)より小さく、前記導電剤Aと前記導電剤BのDBP吸油量の比率(A’/B’)が、0.8<A’/B’<25である。そして、前記導電剤A及び前記導電剤Bは、アセチレンブラックである。
また、前記導電剤Aは、平均粒子径が40nm〜60nmであり、DBP給油量が160mL/100g〜200mL/100gであり、前記導電剤Bは、平均粒子径が20nm〜30nmであり、DBP給油量が250mL/100g〜300mL/100gである。
本発明の一実施の形態に係るリチウムイオン電池によれば、入出力特性に優れるリチウムイオン電池を提供することができる。
ラミネート型のリチウムイオン二次電池の構成の一例を示す斜視図である。 ラミネート型のリチウムイオン二次電池の電極群を構成する正極板、負極板、及びセパレータを示す斜視図である。 円柱状のリチウムイオン二次電池の構成の一例を示す断面斜視図である。
以下の実施の形態において、A〜Bとして範囲を示す場合には、特に明示した場合を除き、A以上B以下を示すものとする。
(実施の形態)
まず、リチウムイオン電池の概要について簡単に説明する。リチウムイオン二次電池は、電池容器と、その内部に収容されている、正極、負極、セパレータ及び電解液を有している。正極と負極との間にはセパレータが配置されている。
リチウムイオン電池を充電する際には、正極と負極との間に充電器を接続する。充電時においては、正極活物質内に挿入されているリチウムイオンが脱離し、電解液中に放出される。電解液中に放出されたリチウムイオンは、電解液中を移動し、微多孔質膜からなるセパレータを通過して、負極に到達する。この負極に到達したリチウムイオンは、負極を構成する負極活物質内に挿入される。
放電する際には、正極と負極の間に外部負荷を接続する。放電時においては、負極活物質内に挿入されていたリチウムイオンが脱離して電解液中に放出される。このとき、負極から電子が放出される。そして、電解液中に放出されたリチウムイオンは、電解液中を移動し、微多孔質膜からなるセパレータを通過して、正極に到達する。この正極に到達したリチウムイオンは、正極を構成する正極活物質内に挿入される。このとき、正極活物質にリチウムイオンが挿入することにより、正極に電子が流れ込む。このようにして、負極から正極に電子が移動することにより放電が行われる。
このように、リチウムイオンを正極活物質と負極活物質との間で挿入・脱離することにより、充放電することができる。なお、実際のリチウムイオン電池の構成例については、後述する(例えば、図1、図3参照)。
次いで、本実施の形態のリチウムイオン二次電池の構成要素である正極、負極、電解液、セパレータ及びその他の構成部材に関し順次説明する。
1.正極
本実施の形態においては、以下に示す正極を有する。本実施の形態の正極(正極板)は、集電体及びその表面に形成された正極合剤よりなる。
正極合剤は、少なくとも正極活物質を含む層であり、本実施の形態においては、正極活物質として、層状型リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物(NMC)を含む。このNMCを用いることで、高容量であり、かつ安全性にも優れるリチウムイオン二次電池とすることができる。
また、NMCとしては、以下の組成式(化1)で表されるものを用いることが好ましい。
Li(1+δ)MnNiCo(1−X−Y−Z) ・・・(化1)
上記組成式(化1)において、(1+δ)はLi(リチウム)の組成比、XはMn(マンガン)の組成比、YはNi(ニッケル)の組成比、(1−X−Y−Z)はCo(コバルト)の組成比を示す。Zは、元素Mの組成比を示す。O(酸素)の組成比は2である。
元素Mは、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)、Nb(ニオブ)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Al(アルミニウム)、Si(シリコン)、Ga(ガリウム)、Ge(ゲルマニウム)及びSn(錫)よりなる群から選択される少なくとも1種の元素である。
上記組成比について、−0.15<δ<0.15、0.1<X≦0.5、0.6<X+Y+Z≦1.0、0≦Z≦0.1である。
このように、正極活物質として、NMCを用いることで、高容量かつ安全性に優れた電池を提供することができる。
ここで、本実施の形態においては、上記NMCは、特定の粒径を有する。この粒径については、後述する(実施例参照)。
以下に、正極合剤及び集電体について詳細に説明する。正極合剤は、正極活物質や結着剤等を含有し、集電体上に形成される。その形成方法に制限はないが例えば次のように形成される。(a)正極活物質、(b)導電剤、(c)結着剤、(d)必要に応じて用いられる増粘剤、及びその他の添加剤を、混合してシート状にし、これを集電体に圧着する(乾式法)。また、正極活物質、導電剤、結着剤、必要に応じて用いられる増粘剤、及びその他の添加剤を、分散溶媒に溶解又は分散させてスラリーとし、これを集電体に塗布し、乾燥する(湿式法)。この正極合剤は、例えば、集電体の両面に形成(塗布)されていてもよい。
(a)正極活物質(上記NMCや併用する各物質)の粒子としては、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等のものが用いられる。中でも、一次粒子が凝集して、二次粒子を形成して成り、その二次粒子の形状が球状ないし楕円球状であるものが好ましい。
電池のような電気化学素子においては、その充放電に伴い、電極中の活物質が膨張収縮をするため、そのストレスによる活物質の破壊や導電パスの切断等の劣化が生じやすい。そのため一次粒子のみの単一粒子を用いるよりも、一次粒子が凝集して、二次粒子を形成したものを用いる方が、膨張収縮のストレスを緩和し、上記劣化を防ぐことができるため好ましい。また、板状等の軸配向性の粒子よりも球状ないし楕円球状の粒子を用いる方が、電極内における配向が少なくなるため、充放電時の電極の膨張収縮が小さくなり好ましい。また、電極の形成時において、導電剤等の他の材料とも均一に混合されやすいため好ましい。
正極活物質の粒子の平均粒子径d50(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子の平均粒子径d50)については、一般的に、0.1μm〜20μmであることが好ましく、0.5μm〜18μmであることがより好ましく、1.0μm〜15μmであることがさらに好ましい。
上記下限未満では、タップ密度(充填性)が低下し、所望のタップ密度が得られなくなる恐れがあり、上記上限を超えると粒子内のリチウムイオンの拡散に時間がかかるため、電池性能の低下を招く恐れがある。また、上記上限を超えると、電極の形成時において、結着剤や導電剤等の他の材料との混合性が低下する恐れがある。よって、この混合物をスラリー化し塗布する際に、均一に塗布できず、スジを引く等の問題を生ずる場合がある。
また、正極活物質として、異なるメジアン径d50をもつものを2種類以上混合することで、タップ密度(充填性)を向上させてもよい。
なお、平均粒子径(50%径、メジアン径、d50ともいう)は、レーザー回折・散乱法により求めた粒度分布から算出することができる。具体的には、純水中に1質量%となるようにリチウムマンガンニッケル複合酸化物を投入し、超音波で15分間分散し、その後、レーザー回折・散乱法により測定する。
一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合における一次粒子の平均粒子径について、その範囲は次のとおりである。0.1μm〜3μmであることが好ましく、0.5μm〜2μmであることがより好ましい。上記上限を超えると球状の二次粒子が形成し難くなり、タップ密度(充填性)の低下や、比表面積の低下により、出力特性等の電池性能が低下する恐れがある。また、上記下限未満では、結晶性の低下により、充放電の可逆性が劣化する等の問題を生ずる恐れがある。
NMC等の正極活物質の粒子のBET比表面積について、その範囲は次のとおりである。範囲の下限は、0.1m/g以上、好ましくは0.3m/g以上、より好ましくは0.4m/g以上であり、上限は、4.0m/g以下、好ましくは2.5m/g以下、より好ましくは1.7m/g以下である。上記下限未満では、電池性能が低下する恐れがある。上記上限を超えるとタップ密度が上がりにくくなり、結着剤や導電剤等の他の材料との混合性が低下する恐れがある。よって、この混合物をスラリー化し塗布する際の塗布性が劣化する恐れがある。BET比表面積は、BET法により求められた比表面積(単位gあたりの面積)である。
ここで、本実施の形態においては、正極合剤中に、上記正極活物質に加え、平均粒子径又はDBP給油量が異なる導電剤を2種類以上含む。異なる導電剤の詳細については、後述する(実施例参照)。
(b)正極用の導電剤(導電材)としては、正極の電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、銅、ニッケル等の金属材料;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト);アセチレンブラック等のカーボンブラック;ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素質材料等を用いることができる。
正極用の導電剤としては、アセチレンブラックを含むことが好ましい。前記アセチレンブラックは、平均粒子径が20nm以上60nm以下の粒子が好ましい。
ここで、粒子の形状としては、例えば、粒状、フレーク状、球状、柱状、不規則形状などが挙げられる。「粒状」とは、不規則形状のものではなくほぼ等しい寸法をもつ形状である(JIS Z2500:2000)。「フレーク状(片状)」とは、板のような形状であり(JIS Z2500:2000)、鱗のように薄い板状であることから鱗片状とも言われる。
ここでは、SEM観察の結果から解析を行い、アスペクト比(粒子径a/平均厚さt)が2〜100の範囲を片状とする。ここでいう粒子径aは、片状の粒子を平面視したときの面積Sの平方根として定義する。「球状」とは、ほぼ球に近い形状である(JIS Z2500:2000参照)。また、この形状は必ずしも真球状である必要はなく、粒子の長径(DL)と短径(DS)との比(DL)/(DS)(球状係数あるいは真球度と言うことがある)が1.0〜1.2の範囲にあるものとし、粒径とは長径(DL)を指すものとする。前記柱状とは、略円柱、略多角柱等が挙げられ、この場合、粒径とは柱の高さを指すものとする。
導電剤に含まれるアセチレンブラックは平均粒子径が60nmを超えると、正極活物質との接触点が少なくなって活物質間の導電網が阻害され、電池の入出力特性が低下する傾向がある。また、平均粒子径が20nm未満になると、正極合剤中での分散性が悪くなり、アセチレンブラックの偏析等の悪影響によって電池性能の低下が顕著になる。このように、アセチレンブラックの平均粒子径は、20nm以上60nm以下であることが特に好ましい。
導電剤の含有量(添加量、割合、量)について、正極合剤の全量に対する導電剤の含有量の範囲は次のとおりである。範囲の下限は、0.2質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。範囲の上限は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下が更に好ましい。上記範囲内であると、電池容量及び入出力特性に優れたものとなる。導電剤の含有量については、例えば、3〜5%が現実的である。
さらに、上記導電剤に含まれるアセチレンブラックは導電性の観点から、平均粒子径又はDBP給油量の異なる2種類以上を含むことがより好ましい。異なるアセチレンブラックを混合することで正極合剤内の導電パスの形成を良好にし、入出力特性を優れたものとすることができる。別の言い方をすれば、本実施の形態においては、導電剤として、平均粒子径又はDBP給油量の異なる2種類以上のアセチレンブラックの混合物よりなる。
ここで、粒子径は、導電剤の平均粒子径は、20万倍で撮影した走査型電子顕微鏡により撮影し、画像内粒子像の全ての径を測定した算術平均粒子径である。
また、上記導電剤のDBP給油量はJISK 6217−4「ゴム用カーボンブラック‐基本特性‐第4部:DBP吸収量の求め方」に準拠して求めるとよい。これは、個々のアグリゲート間の空隙率がストラクチャーと正の相関があるため、DBP(Di-butyl phthalate、ジブチルフタレート)吸収量(cm/100g)によりストラクチャーを間接的に定量するものである。即ち、アセチレンブラック100gが吸収するDBP量を測定する。ストラクチャーが発達しているほど、吸収量が大きくなる。
具体的には、試薬液体であるDBPを、検査対象粉末に定速度ビュレットで滴定し、粘度特性の変化をトルク検出器によって測定する。そして、発生した最大トルクの70%のトルクに対応する、検査対象粉末の100g当りの試薬液体の添加量をDBP吸収量(mL)とする。
導電剤として用いる、アセチレンブラックの混合物としては、平均粒子径が、40nm〜60nm、DBP給油量が、160mL/100g〜200mL/100gのアセチレンブラックAと、平均粒子径が、20nm〜30nm、DBP給油量が、250mL/100g〜300mL/100gのアセチレンブラックBとからなることが好ましい。
アセチレンブラックを含むカーボンブラックは、粒子サイズ、比表面積、DBP吸収量などが異なる種々のものがあるが、DBP吸収量が高いほどストラクチャーが発達しており、カーボン粒子が鎖状につながった構造を有し、これが電極内の電子導電のネットワークとして機能する。また、このストラクチャー構造が電解液を保持する役割をしており電極内のイオン導電性の向上に寄与している。
DBP吸収量が、160cm/100g未満であると導電性接着組成物の導電性が悪化するため好ましくない。DBP吸収量が、300cm/100g以上であると組成物の粘度が高くなりすぎ、調製が困難となるため好ましくない。
さらに、正極合剤中の導電剤Aと導電剤Bについて、これらの重量比率(A/B)は、特定の範囲であることが好ましい。この範囲については、後述する(実施例参照)。なお、導電剤Aは、導電剤Bより平均粒子径が大きく、DBP給油量が小さい。
(c)正極活物質の結着剤としては、特に限定されず、塗布法により正極合剤を形成する場合には、分散溶媒に対する溶解性や分散性が良好な材料が選択される。具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。なお、これらのうち、1種を単独で用いてもよく、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。正極の安定性の観点から、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)やポリテトラフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系高分子を用いることが好ましい。
結着剤の含有量(添加量、割合、量)について、正極合剤の全量に対する結着剤の含有量の範囲は次のとおりである。範囲の下限は、0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上であり、上限は、20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下である。結着剤の含有量が低すぎると、正極活物質を充分に結着できず、正極の機械的強度が不足し、サイクル特性等の電池性能を劣化させてしまう可能性がある。逆に、高すぎると、電池容量や導電性が低下する可能性がある。
スラリーを形成するための分散溶媒としては、正極活物質、結着剤、導電剤及び必要に応じて用いられる増粘剤などを溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に制限はなく、例えば、有機系溶媒を用いることができる。有機系溶媒の例としては、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジエチルエーテル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルフォキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等が挙げられる。なお、上記分散溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(d)増粘剤は、スラリーの粘度を調製するために使用される。分散溶媒として、水系溶媒を用いる場合、増粘剤を用いることが好ましいが、有機系溶媒を用いる場合には、用いなくてもよい。
上記湿式法や乾式法を用いて集電体上に形成された層は、正極活物質の充填密度を向上させるため、ハンドプレスやローラープレス等により圧密化することが好ましい。
正極用の集電体の材質としては特に制限はなく、具体例としては、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料が挙げられる。中でもアルミニウムが好ましい。
集電体の形状としては特に制限はなく、種々の形状に加工された材料を用いることができる。具体例としては、金属材料(例えば、Al)については、金属箔、金属薄膜、エキスパンドメタル、等が挙げられる。中でも、金属薄膜を用いることが好ましい。なお、薄膜は適宜メッシュ状に形成してもよい。金属薄膜の厚さは任意であるが、その範囲は次のとおりである。範囲の下限は、1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上であり、上限は、1mm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。上記下限未満では、集電体として必要な強度が不足する場合がある。また、上記上限を超えると可撓性が低下し、加工性が劣化する恐れがある。
正極合剤密度の範囲は、入出力特性の観点から、2.4g/cm以上3.3g/cm以下であることが好ましく、正極合剤の集電体への片面塗布量は、入出力特性の観点から、2.4g/cm以上3.3g/cm以下であることが好ましい。また、この密度については、80g/m以上200g/m以下であることがより好ましく、90g/m以上150g/m以下であることがさらに好ましい。
2.負極
本実施の形態においては、以下に示す負極を有する。本実施の形態の負極(負極板)は、集電体及びその表面に形成された負極合剤よりなる。負極合剤は、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極活物質を含有する。
以下に、負極合剤及び集電体について詳細に説明する。負極合剤は、負極活物質や結着剤等を含有し、集電体上に形成される。その形成方法に制限はないが例えば次のように形成される。(a)負極活物質、(b)導電剤、(c)結着剤、(d)必要に応じて用いられる増粘剤、及びその他の添加剤を、混合してシート状にし、これを集電体に圧着する(乾式法)。また、正極活物質、導電剤、結着剤、必要に応じて用いられる増粘剤、及びその他の添加剤を、分散溶媒に溶解又は分散させてスラリーとし、これを集電体の表面に塗布し、乾燥する(湿式法)。この負極合剤は、例えば、集電体の両面に形成(塗布)されていてもよい。
(a)負極活物質としては、例えば、易黒鉛化炭素を用いる。易黒鉛化炭素は、800℃以上の熱処理によって黒鉛化する易黒鉛化性を有する。これに対し、難黒鉛化炭素は、2800℃以上の熱処理によっても黒鉛化が進みにくい難黒鉛化性を有する。これは、易黒鉛化炭素が、層状構造を形成しやすい原子配列構成であり、難黒鉛化炭素と比較して、比較的低温の熱処理によって容易に黒鉛構造に変化する性質を有するためである。
易黒鉛化炭素は、熱重量測定(TG)により求められる空気気流中550℃の重量が25℃の重量に対して75%以上を有し、650℃の重量が25℃の重量に対して20%以下である。
電池性能上の観点から、空気気流中550℃の重量が25℃の重量に対して85%以上を有し、650℃の重量が25℃の重量に対して10%以下であることがより好ましい。更には、空気気流中550℃の重量が25℃の重量に対して95%以上を有し、650℃の重量が25℃の重量に対して5%未満であることが好ましい。
空気気流中550℃の重量が25℃の重量に対して75%未満の場合、入出力特性が低下し、650℃の重量が25℃の重量に対して20%を超える場合、寿命特性が低下する。ここでの熱重量測定は、TG分析装置(例えば、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、TG/DTA6200)を用いて測定することができる。例えば、10mgの試料を採取し、乾燥空気300mL/分の流通下でアルミナをリファレンスとして、昇温速度を1℃/分とし、各温度での重量の測定を行う。
易黒鉛化炭素の形成方法としては、例えば、易黒鉛化性を示す材料を、800℃以上の不活性雰囲気中で焼成し、ついで、これをジェットミル、振動ミル、ピンミル、ハンマーミル等の既知の方法により粉砕し、5μm〜30μmの範囲となるように平均粒子径を調整することで上記易黒鉛化炭素を得ることができる。
上記易黒鉛化性を示す材料としては、特に制限はないが、例えば、熱可塑性樹脂、ナフタレン、アントラセン、フェナントロレン、コールタール、タールピッチ等が挙げられ、好ましくは、石炭系コールタールや石油系タールを用いる。
ここで、上記易黒鉛化炭素は、X線広角回折法により得られるC軸方向の面間隔d002値が、0.34nm以上、0.40nm以下であると定義する。
上記易黒鉛化炭素は、X線広角回折法により得られるC軸方向の面間隔d002値が、0.34nm以上、0.36nm未満であることが好ましく、0.341nm以上、0.355nm以下であることがより好ましく、0.342nm以上、0.35nm以下であることが更に好ましい。 上記易黒鉛化炭素はリチウムイオン電池用の負極活物質としてそのまま使用可能であるが、粉砕条件によっては比表面積が大きいことが予想され、所望の特性が発現しない場合がある。そのため、上記易黒鉛化炭素の表面上に炭素層等を形成させることにより、以下の(1)〜(5)に示す物性に調整することが好ましい。
(1)平均粒子径(d50)について、その範囲は以下の通りである。5μm〜30μmであることが好ましく、10μm〜25μmであることがより好ましく、更に12μm〜23μmであることが更に好ましい。
上記上限以下であると、電極面に凹凸が発生しにくく、電池の短絡を抑制できるとともに、粒子表面から内部へのLiの拡散距離が比較的短くなるためリチウムイオン電池の入出力特性が向上する傾向がある。また、上記下限以上であれば、比表面積を適正な範囲とすることができ、リチウムイオン電池の初回充放電効率が優れるとともに、粒子同士の接触が良く入出力特性に優れる傾向がある。
なお、粒度分布は界面活性剤を含んだ精製水に試料を分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製SALD-3000J)で測定することができ、平均粒子径は50%dとして算出する。
(2)窒素吸着測定より求められるBET比表面積(測定温度:77K)について、その範囲は以下の通りである。1.0m/g〜5.0m/gであることが好ましく、1.3m/g〜4.0m/gであることがより好ましく、更に1.5m/g〜3.0m/gであることが更に好ましい。上記下限以上であれば入出力特性に優れ、上記上限以下であると、初期の電池容量の損失が少なく、寿命特性に優れる。
なお、窒素吸着での比表面積は、77Kでの窒素吸着測定により得た吸着等温線からBET法を用いて求めることができる。
(3)相対圧0.03までの二酸化炭素吸着量(測定温度:273K)について、その範囲は以下の通りである。0.01cm/g〜4.0cm/gであることが好ましく、0.05cm/g〜1.5cm/gであることがより好ましく、更に0.1cm/g〜1.2cm/gであることが更に好ましい。
なお、二酸化炭素吸着での比表面積は、273Kでの二酸化炭素吸着測定により得た吸着等温線からBET法を用いて求めることができる。上記下限以上であれば入力特性に優れ、上記上限以下であると、初回付加逆容量の損失が少なく、寿命特性に優れる。
このように、易黒鉛化炭素は、熱重量測定(TG)より求められる空気気流中550℃の重量が25℃の重量に対して75%以上を有し、650℃の重量が25℃の重量に対して20%以下である核となる易黒鉛化炭素の表面上に炭素層を形成したものであってもよい。
上記炭素層は、例えば、熱処理により炭素質を残す有機化合物(炭素前駆体)を上記易黒鉛化炭素の表面に付着させた後、焼成することで形成することができる。易黒鉛化炭素の表面に有機化合物を付着させる方法としては、特に制限されないが、例えば、有機化合物を溶媒に溶解、又は分散させた混合溶液に核となる易黒鉛化炭素を分散・混合した後、溶媒を除去する湿式方式、易黒鉛化炭素と有機化合物を固体同士で混合し、その混合物に力学エネルギーを加え付着させる乾式方式、CVD法等の気相法などが挙げられる。中でも、均一かつ反応系の制御が容易で、易黒鉛化炭素の形状が維持できるという観点から、湿式方式が好ましい。
上記有機化合物としては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂等の高分子化合物などを用いることができ、特に制限されないが、熱可塑性の高分子化合物を用いることが好ましい。熱可塑性の高分子化合物は、液相経由で炭素化し、比表面積の小さな炭素を生成するため、これが易黒鉛化炭素表面を被覆すると負極活物質自身の比表面積が小さくなる。これにより、結果としてリチウムイオン電池の初回不可逆容量を小さくすることができるため好ましい。上記熱可塑性の高分子化合物としては、特に制限はされないが、例えば、エチレンヘビーエンドピッチ、原油ピッチ、コールタールピッチ、アスファルト分解ピッチ、ポリ塩化ビニル等を熱分解して生成するピッチ、ナフタレン等を超酸性存在下で重合させて作製される合成ピッチが使用できる。また、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール等の熱可塑性合成樹脂又はデンプン、セルロース等の天然物を用いることもできる。これら有機化合物は、1種単独で又は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
また、上記有機化合物を溶解・分散する溶媒としては、特に制限されないが、例えば、有機化合物がピッチ類の場合には、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、ベンゼン、キノリン等を使用することができる。この他、有機化合物の種類に応じて、適した溶媒を用いればよい。
また、上記溶媒の除去は、常圧、あるいは減圧雰囲気で加熱することによって行うことができる。溶媒除去の際の温度は、雰囲気が大気の場合、200℃以下であることが好ましい。除去温度が200℃を超えると、雰囲気中の酸素と有機化合物及び溶媒(特にクレオソート油を用いた場合)が反応し、焼成によって生成する炭素量が変動、また多孔質化が進み、負極活物質としての本発明の物性範囲を逸脱し、所望の特性を発現できなくなる場合がある。
炭素層で被覆させるための焼成条件は、当該有機化合物の炭素化率を考慮して適宜決定すればよく、特に制限はされないが、非酸化性雰囲気下、700〜1400℃が好ましく、800〜1300℃の範囲であることがより好ましい。焼成温度が700℃未満では、負極活物質として用いた場合、リチウムイオン電池の初回不可逆容量が大きくなる傾向があり、一方、1400℃を超えて加熱しても性能にはほとんど変化がなく、コストの増加を引き起こすのみである。また、非酸化性雰囲気下としては、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気下、真空雰囲気下等が挙げられる。
なお、焼成時間は、用いる有機化合物の種類やその付着量によって適宜選択され、特に制限されない。用いる焼成装置についても、加熱機構を有する反応装置であれば特に制限されず、連続法、回分法等での処理が可能な焼成装置などが挙げられる。
ここで、焼成処理により得られた易黒鉛化炭素は、個々の粒子が凝集している場合があるため、解砕処理することが好ましく、所望の平均粒子径への調整が必要な場合は更に粉砕処理を行ってもよい。
また、上記方法によって炭素層を形成した易黒鉛化炭素(被覆されたもの)の熱重量測定結果(TG)が、形成された炭素層(結晶性、被覆量等)の影響により、核となる易黒鉛化炭素(被覆前)の熱重量測定結果と異なる場合がある。所望の特性を得るためには、炭素層が形成された易黒鉛化炭素(被覆されたもの)の熱重量測定結果においても、空気気流中550℃の重量が25℃の重量に対して75%以上を有し、650℃の重量が25℃の重量に対して20%以下であることが好ましい。
加えて、表面炭素層の結晶性については、核となる易黒鉛化炭素よりも低いことが好ましい。表面炭素層の結晶性を核となる易黒鉛化炭素よりも低くすることで、リチウムイオン電池用負極活物質と電解液との馴染みが向上し、その結果、寿命特性が向上する傾向にある。このような易黒鉛化炭素を負極活物質として使用した場合、安全性、入出力特性及び寿命特性に優れる。
更に、負極活物質として、黒鉛質、活性炭等の導電性の高い炭素質材料を混合して用いてもよい。
混合する場合には、上記黒鉛質材料の混合割合(質量比)は、易黒鉛化炭素/黒鉛質=100/0〜10/90が好ましく、100/0〜50/50がより好ましく、100/0〜80/20が更に好ましい。このような条件の黒鉛質を負極活物質として用いることにより、高エネルギー密度化、高出力化などの電池性能を向上させることができる。また、易黒鉛化炭素と難黒鉛化炭素を併用して用いてもよい。上記難黒鉛化炭素の混合割合(質量比)は、易黒鉛化炭素/難黒鉛化炭素=100/0〜10/90が好ましく、100/0〜50/50がより好ましく、100/0〜70/30が更に好ましい。
負極合剤の重量に対する負極活物質の含有量(添加量、割合、量)は、負極活物質の全量に対して、20質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましい。
(b)また、易黒鉛化炭素とは異なる性質の炭素質材料を導電剤として添加してもよい。上記性質とは、X線回折パラメータ、平均粒子径、アスペクト比、BET比表面積、配向比、ラマンR値、タップ密度、真密度、細孔分布、円形度、灰分量の一つ以上の特性を示す。
導電剤としては、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素などを用いることができる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。このように、導電剤を添加することにより、電極の抵抗を低減するなどの効果を奏する。
負極合剤の重量に対する導電剤の含有量の範囲は、導電性の向上、初期不可逆容量低減の観点から、1〜45重量%の範囲であることが好ましく、2〜42重量%であることがより好ましく、3〜40重量%であることが更に好ましい。
(c)負極活物質の結着剤としては、非水系電解液や電極の形成時に用いる分散溶媒に対して安定な材料であれば、特に制限はなく、正極活物質の結着剤として用いたものと同様な結着剤を用いることができる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル− ブタジエンゴム)、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
負極合剤の質量に対する結着剤の含有量の範囲は、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましく、0.6〜10質量%が更に好ましい。
結着剤の含有量が0.1質量%以上であると、負極活物質を充分に結着でき、充分な負極活物質の機械的強度が得られる。20質量%以下であると、充分な電池容量及び導電性が得られる。
結着剤として、ポリフッ化ビニリデンに代表されるフッ素系高分子を主要成分として用いる場合の負極合剤の重量に対する結着剤の含有量の範囲は、1〜15質量%であることが好ましく、2〜10質量%であることがより好ましく、3〜8質量%であることが更に好ましい。
スラリーを形成するための分散溶媒としては、負極活物質、結着材、及び必要に応じて用いられる導電材や増粘材などを溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。水系溶媒の例としては、水、アルコールと水との混合溶媒等が挙げられ、有機系溶媒の例としては、N−メチルピロリドン(NMP)、シクロヘキサノン、酢酸メチル等が挙げられる。特に水系溶媒を用いる場合、増粘材を用いることが好ましい。この増粘材に併せて分散材等を加え、SBR等のラテックスを用いてスラリー化する。なお、上記分散溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(d)増粘剤は、スラリーの粘度を調製するために使用される。増粘剤としては、特に制限はないが、具体的には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
増粘剤を用いる場合、負極合剤の重量に対する増粘剤の含有量の範囲は、0.1〜5質量%であることが好ましく、0.5〜3質量%以下であることがより好ましく、0.6質量%〜2質量%であることが更に好ましい。
上記湿式法や乾式法を用いて集電体上に形成された層は、負極活物質の充填密度を向上させるため、ハンドプレスやローラープレス等により圧密化することが好ましい。
負極用の集電体の材質・形状としては特に制限はなく、加工のし易さとコストの観点から銅箔が好ましい。銅箔には、圧延法により形成された圧延銅箔と、電解法により形成された電解銅箔とがあり、どちらも集電体として用いて好適である。
負極合剤の集電体への片面塗布量は、エネルギー密度及び入出力特性の観点から、50〜120g/mであることが好ましく、60g/m〜100g/mであることがより好ましい。
負極活物質を用いて形成した負極合剤の構成に特に制限はないが、負極合剤密度の範囲は0.7〜2g/cmあることが好ましく、0.8〜1.9g/cmであることがより好ましく、0.9〜1.8g/cmであることが更に好ましい。
0.7g/cm以上であると、負極活物質間の導電性が向上し電池抵抗の増加を抑制することができ、単位容積あたりの容量を向上できる。2g/cm以下であると、初期の付加逆容量の増加、集電体と負極活物質との界面付近への電解液への浸透性の低下による放電特性の劣化を招く恐れが少なくなる。
3.電解液
本実施の形態の電解液は、リチウム塩(電解質)と、これを溶解する非水系溶媒から構成される。このような電解液を、非水系電解液という場合がある。この非水系電解液に、必要に応じて、添加剤を加えてもよい。
リチウム塩としては、リチウムイオン電池用の非水系電解液の電解質として使用可能なリチウム塩であれば特に制限はないが、例えば、無機リチウム塩、含フッ素有機リチウム塩やオキサラトボレート塩等が挙げられる。
無機リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF等の無機フッ化物塩や、LiClO、LiBrO、LiIO等の過ハロゲン酸塩や、LiAlCl等の無機塩化物塩等が挙げられる。含フッ素有機リチウム塩やフルオロアルキルフッ化リン酸塩等を用いてもよい。オキサラトボレート塩としては、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート等が挙げられる。
これらのリチウム塩は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、溶媒に対する溶解性、電池とした場合の充放電特性、出力特性、サイクル特性等を総合的に判断すると、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)が好ましい。
電解液中の電解質の濃度に特に制限はないが、電解質の濃度範囲は0.5mol/L〜2mol/Lであることが好ましく、0.6mol/L〜1.8mol/Lであることがより好ましく、0.7mol/L〜1.8mol/Lであることが更に好ましい。
濃度が0.5mol/L以上であると、充分な電解液の電気伝導率が得られる。また、濃度が2mol/L以下であると、粘度が高くなりすぎないため、電気伝導度の低下を抑制できる。
非水系溶媒としては、リチウムイオン電池用の電解質の溶媒として使用可能な非水系溶媒であれば特に制限はないが、例えば次の環状カーボネート、鎖状カーボネート、鎖状エステル、環状エーテル及び鎖状エーテル等が挙げられる。
例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジアルキルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート、酢酸メチル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジメトキシメタン等が挙げられる。
これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよいが、2種以上の化合物を併用した混合溶媒を用いることが好ましく、環状カーボネート類の高誘電率溶媒と、鎖状カーボネート類や鎖状エステル類等の低粘度溶媒とを併用するのが好ましい。好ましい組み合わせの一つは、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類とを主体とする組み合わせである。中でも、非水系溶媒に占める環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との合計が、80容量%以上であることが好ましく、85容量%以上であることがより好ましく、90容量%以上であることが更に好ましい。かつ環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との合計に対する環状カーボネート類の容量が次の範囲であるものが好ましい。
環状カーボネート類は、5〜50容量%であることが好ましく、10〜35容量%であることがより好ましく、15〜30容量%であることが更に好ましい。このような非水系溶媒の組み合わせを用いることで、電池のサイクル特性や高温保存特性(特に、高温保存後の残存容量及び高負荷放電容量)が向上する。
電解液中の電解質の濃度に特に制限はないが、電解質の濃度範囲は0.5mol/L〜2mol/Lであることが好ましく、0.6mol/L〜1.8mol/Lであることがより好ましく、0.7mol/L〜1.8mol/Lであることが更に好ましい。
濃度が0.5mol/L以上であると、充分な電解液の電気伝導率が得られる。また、濃度が2mol/L以下であると、粘度が高くなりすぎないため、電気伝導度の低下を抑制できる。
非水系溶媒としては、リチウムイオン電池用の電解質の溶媒として使用可能な非水系溶媒であれば特に制限はないが、次の環状カーボネート、鎖状カーボネート、鎖状エステル、環状エーテル及び鎖状エーテル等が挙げられる。
例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジアルキルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート、酢酸メチル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジメトキシメタン等が挙げられる。
これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよいが、2種以上の化合物を併用した混合溶媒を用いることが好ましく、環状カーボネート類の高誘電率溶媒と、鎖状カーボネート類や鎖状エステル類等の低粘度溶媒とを併用するのが好ましい。好ましい組み合わせの一つは、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類とを主体とする組み合わせである。中でも、非水系溶媒に占める環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との合計が、80容量%以上であることが好ましく、85容量%以上であることがより好ましく、90容量%以上であることが更に好ましい。かつ環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との合計に対する環状カーボネート類の容量が次の範囲であるものが好ましい。
環状カーボネート類は、5〜50容量%であることが好ましく、10〜35容量%であることがより好ましく、15〜30容量%であることが更に好ましい。このような非水系溶媒の組み合わせを用いることで、電池のサイクル特性や高温保存特性(特に、高温保存後の残存容量及び高負荷放電容量)が向上する。
添加剤としては、リチウムイオン電池の電解液用の添加剤であれば特に制限はないが、例えば、硫黄又は窒素及びを含有する複素環化合物、環状カルボン酸エステル、フッ素含有環状カーボネート、その他の分子内に不飽和結合を有する化合物が挙げられる。電池の長寿命化の観点からは、フッ素含有環状カーボネート、その他の分子内に不飽和結合を有する化合物が好ましい。
上記添加剤以外に、求められる機能に応じて過充電防止剤、負極皮膜形成剤、正極保護剤、高入出力剤等の他の添加剤を用いてもよい。
上記他の添加剤により、過充電による異常時の急激な電極反応の抑制、高温保存後の容量維持特性、サイクル特性の向上、入出力特性の向上等を図ることができる。
4.セパレータ
セパレータは、正極及び負極間を電子的には絶縁しつつもイオン透過性を有し、かつ、正極側における酸化性及び負極側における還元性に対する耐性を備えるものであれば特に制限はない。このような特性を満たすセパレータの材料(材質)としては、樹脂、無機物、ガラス繊維等が用いられる。
樹脂としては、オレフィン系ポリマー、フッ素系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリイミド、ナイロン等が用いられる。電解液に対して安定で、保液性の優れた材料の中から選ぶのが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シート又は不織布等を用いることが好ましい。
無機物としては、アルミナや二酸化珪素等の酸化物類、窒化アルミニウム、窒化珪素等の窒化物類、硫酸バリウム等の硫酸塩類などが用いられる。例えば、繊維形状又は粒子形状の上記無機物を、不織布、織布、微多孔性フィルム等の薄膜形状の基材に付着させたものをセパレータとして用いることができる。薄膜形状の基材としては、孔径が0.01〜1μm、厚さが5〜50μmのものが好適に用いられる。
5.その他の構成部材
上記正極、負極、セパレータ及び電解液は、電池外装体の内部に収容されている。この電池外装体(電池容器や外装フィルムなど)に、開裂弁を設けてもよい。開裂弁が開放することで、電池内部の圧力上昇を抑制でき、安全性を向上させることができる。
また、電池容器の内部に、温度上昇に伴い不活性ガス(例えば、二酸化炭素など)を放出する構成部を設けてもよい。このような構成部を設けることで、電池内部の温度が上昇した場合に、不活性ガスの発生により速やかに開裂弁を開けることができ、安全性を向上させることができる。上記構成部に用いられる材料としては、炭酸リチウム、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネートが挙げられる。
(リチウムイオン二次電池)
次いで、リチウムイオン二次電池の構成例について説明する。
(1)まず、ラミネート型のリチウムイオン二次電池について説明する。図1は、ラミネート型のリチウムイオン二次電池の構成の一例を示す斜視図である。図2は、ラミネート型のリチウムイオン二次電池の電極群を構成する正極板、負極板、及びセパレータを示す斜視図である。なお、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。また、実質的に同一の機能を有する部材には全図面を通して同じ符号を付与し、重複する説明を省略する場合がある。
図1及び図2に示すように、ラミネート型のリチウムイオン二次電池10は、ラミネートフィルムである電池外装体16の内部に、電極群(20)と電解液とを収容したものである。電池外装体16からは、電極群(20)の正極集電タブ12と負極集電タブ14とが突出している。
図2に示すように、電極群20は、正極集電タブ12を有する正極板11、セパレータ15、及び負極集電タブ14を有する負極板13を有する。正極板11、セパレータ15及び負極板13は、積層されている。なお、電池の大きさ、形状等は任意のものとすることができる。例えば、正極板、負極板及びセパレータの大きさ、積層枚数は、適宜変更可能である。
電池外装体16の材料としては、アルミニウム、銅、ステンレス鋼等が挙げられる。また、正極板11、セパレータ15及び負極板13としては、後述の円柱状のリチウムイオン二次電池の場合と同様の材料を用いることができる。
ラミネート型のリチウムイオン二次電池は、例えば、次のようにして作製することができる。例えば、正極合剤が塗布された集電体を角形に切断し、集電体にタブを溶接し、正極集電タブ12を有する正極板11を作製し、負極合剤が塗布された集電体を角形に切断し、集電体にタブを溶接し、負極集電タブ14を有する負極板13を作製する。
正極板11、セパレータ15、負極板13をこの順番に積層した積層体を作製し、この積層体をアルミニウム製のラミネートパック内に収容する。この際、正極集電タブ12及び負極集電タブ14をアルミラミネートパックの外に出した状態で、注液口以外の部分の電池外装体16の外周を密着させる。次いで、非水電解質を、注液口からラミネートパック内に注液し、ラミネートパックの注液口を密封する。これにより、ラミネート型のリチウムイオン二次電池が得られる。
(2)次に、円柱状のリチウムイオン二次電池(18650タイプ)について説明する。図3は、円柱状のリチウムイオン二次電池の構成の一例を示す断面斜視図である。
図3に示すように、円柱状のリチウムイオン二次電池100は、ニッケルメッキが施されたスチール製で有底円筒状の電池容器106を有している。電池容器106には、帯状の正極板101及び負極板103がセパレータ105を介して断面渦巻状に捲回された電極群が収容されている。電極群は、正極板101及び負極板103がポリエチレン製多孔質シートのセパレータ105を介して断面渦巻状に捲回されている。セパレータ105は、例えば、幅が58mm、厚さが30μmに設定される。電極群の上端面には、一端部を正極板101に固定されたアルミニウム製でリボン状の正極タブ端子(正極集電タブ)102が導出されている。正極タブ端子102の他端部は、電極群の上側に配置され正極外部端子となる円盤状の電池蓋の下面に超音波溶接で接合されている。一方、電極群の下端面には、一端部を負極板103に固定された銅製でリボン状の負極タブ端子(負極集電タブ)104が導出されている。負極タブ端子104の他端部は、電池容器106の内底部に抵抗溶接で接合されている。したがって、正極タブ端子102及び負極タブ端子104は、それぞれ電極群の両端面の互いに反対側に導出されている。なお、電極群の外周面全周には、図示を省略した絶縁被覆が施されている。電池蓋は、絶縁性の樹脂製ガスケットを介して電池容器106の上部にカシメ固定されている。このため、リチウムイオン二次電池100の内部は密封されている。また、電池容器106内には、図示しない非水電解液が注液されている。
以下、実施例に基づき本実施の形態をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
[正極板の作製]
正極板の作製を以下のように行った。正極活物質であるLi(Ni0.5Mn0.3Co0.2)O(003J、日亜化学株式会社製、平均粒子径(d50)6μm)に、導電剤AとしてアセチレンブラックHS−100(平均粒子径48nm、DBP給油量177mL/100g)と、導電剤BとしてアセチレンブラックFX−35(平均粒子径23nm、DBP給油量267mL/100g)と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを順次添加し、混合することにより正極材料の混合物を得た。
正極活物質、アセチレンブラックA及びアセチレンブラックBの含有量は表1、表2に示すように変更して作製した。尚、(正極活物質+アセチレンブラック):結着剤=95.5:4.5とした。
さらに上記混合物に対し、分散溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加し、混練することによりスラリーを形成した。このスラリーを正極用の集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に実質的に均等かつ均質に塗布した。その後、乾燥処理を施し、所定密度までプレスにより圧密化した。正極合剤密度は2.70g/cmとし、正極合剤の片面塗布量107g/mとした。
[負極板の作製]
負極板の作製を以下のように行った。負極活物質として易黒鉛化炭素(以下、ソフトカーボンともいう)を用いた。ここでは、平均粒子径(d50)20μm,比表面積2.0m/g、炭素被覆量1.0wt%のソフトカーボンを使用した。このソフトカーボンに結着剤としてポリフッ化ビニリデンを添加した。これらの重量比は、活物質:結着剤=92.4:7.6とした。これに分散溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加し、混練することによりスラリーを形成した。このスラリーを負極用の集電体である厚さ10μmの圧延銅箔の両面に実質的に均等かつ均質に所定量塗布した。その後、乾燥処理を施し、所定密度までプレスにより圧密化した。負極合剤密度は1.15g/cmとし、負極合剤の片面塗布量73g/mとした。
[リチウムイオン電池の作製]
以下のように、ラミネート型の電池を作製した。まず、13.5cmの角形に切断した正極板をポリエチレン製多孔質シートのセパレータ(商品名:ハイポア、旭化成株式会社製、厚さが30μm、「ハイポア」は登録商標)で挟み、さらに14.3cmの角形に切断した負極板を重ね合わせて積層体を作製した。この積層体をアルミニウムのラミネート容器(商品名:アルミラミネートフィルム、大日本印刷株式会社製)に入れ、非水電解液(エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートの体積比2:3:2の混合溶液中へ6フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1.2mol/L溶解したもの(宇部興産株式会社製))を1mL添加し、アルミニウムのラミネート容器を熱溶着させ、電極評価用電池を作製した。
[レート特性の評価]
上記リチウムイオン電池(電極評価用電池)の電池特性を、以下に示す方法で評価した。
上記リチウムイオン電池を、充放電装置(BATTERY TEST UNIT、株式会社IEM製)を用いて、まず、25℃の環境下において4.2〜2.7Vの電圧範囲で、0.5Cの電流値による充放電サイクルを2回繰り返した。さらに、0.5Cの電流値で4.2Vまで電池を充電後、0.2Cの電流値で終止電圧2.7Vの定電流放電による放電を行い、この放電時の容量を電池容量とした。
レート特性は、以下のようにして算出した。
まず、電流値0.2Cにおける放電容量及び電流値5Cにおける放電容量を測定した。上記電池容量を測定後、0.5Cの電流値で4.2Vまで電池を充電し、0.2Cの電流値で終止電圧2.7Vの定電流放電を行い、この放電時の容量を電流値0.2Cにおける放電容量とした。次に、前記電池を0.5Cの電流値で4.2Vまで電池を充電し、5Cの電流値で終止電圧2.7Vの定電流放電を行い、この放電時の容量を電流値5Cにおける放電容量とした。
次に、電流値0.2Cにおける充電容量及び電流値5Cにおける充電容量を測定した。放電特性を取得後、0.2Cの電流値で4.2Vまでの充電を行い、この充電時の容量を電流値0.2Cにおける充電容量とした。次に、前記電池を0.5Cの電流値で2.7Vまで電池を放電し、5Cの電流値で終止電圧4.2Vまでの定電流充電を行い、この充電時の容量を電流値5Cにおける充電容量とした。
以下の式により入出力特性を算出した。試験結果を表1、表2に示す。
〈レート特性〉
出力特性=電流値5Cにおける放電容量/電流値0.2Cにおける放電容量
入力特性=電流値5Cにおける充電容量/電流値0.2Cにおける充電容量
(実施例1〜4、比較例1〜3)
表1に示すように、導電剤の混合比を変化させた正極合剤を作製し、電極評価用電池を作製した。電流値5Cでの入出力特性の評価結果を表1に示した。実施例1については、上記18650タイプのリチウムイオン二次電池を作製し、この電池でも評価を行った。
(実施例5〜9、比較例4、5)
表2に示すように、正極活物質の平均粒子径、導電剤の混合比を変化させ正極合剤を作製し、電極評価用電池を作製した。尚、正極密度、塗布量、負極、セパレータ、電解液は、実施例1〜4と同様とした。
表1に示すように、異なる導電剤Aと導電剤Bを用いた実施例1〜4では、導電剤を混合せずに導電剤Aのみを用いた比較例1に対して、入出力特性が向上することが分かる。実施例1においては、ラミネート型の電池のみならず、円柱状の電池(18650タイプ)も作製したが、入出力特性について同様の結果が得られた。
このように、平均粒子径やDBP給油量の異なる導電剤Aと導電剤Bとを混合することで、活物質の間隙に導電剤が配位し、導電パスの形成が良好になると考えられる。
また、表1に示すように、異なる導電剤Aと導電剤Bを用いた場合でも、導電剤Aと導電剤Bとの重量比率(A/B)が、比較的小さい比較例2では、入出力特性が低下する傾向があった。また、導電剤Aと導電剤Bとの重量比率(A/B)が、比較的大きい比較例3では、入出力特性が低下する傾向があった。
また、表2に示すように、正極活物質の平均粒子径が比較的小さく、かつ、導電剤の重量比率(A/B)において、平均粒子径がより小さい導電剤Bの割合が高いと、ストラクチャーの発達した小粒径材料の割合が多くなり、正極活物質に対する導電剤の分散性が低下し、入出力特性が低下したと考えられる(比較例4)。これに対し、実施例5〜9では、導電剤の重量比率(A/B)において、平均粒子径がより大きい、導電剤Aの割合が高く、正極活物質に対して導電剤が良好に分散しており、良好な導電パスの形成ができていると考えられる。
一方、正極活物質の平均粒子径が比較的大きい比較例5では、導電剤Aや導電剤Bのような近距離の導電パスを形成する効果が高いアセチレンブラックのみの適用では、正極合剤内の粒子間の導電パスの形成が不十分であり、入出力特性が低下したと考えられる。
このように、導電剤Aと導電剤Bとの混合割合が、入出力特性に影響し、例えば、重量比率(A/B)が、1≦A/B<22の範囲で、良好な入出力特性が得られた。また、正極活物質の平均粒子径が、入出力特性に影響し、例えば、正極活物質の平均粒子径を、3μm〜7μmとすることで、良好な入出力特性が得られた。
また、良好な入出力特性が得られた実施例5〜9における、導電剤AのDBP吸油量(A’)と、導電剤BのDBP吸油量(B’)の比率(A’/B’)から、0.8<A’/B’<25の範囲が良好であることが分かった。
10…ラミネート型のリチウムイオン二次電池
11…正極板
12…正極集電タブ
13…負極板
14…負極集電タブ
15…セパレータ
16…電池外装体
20…電極群
100…円柱状のリチウムイオン二次電池
101…正極板
102…正極タブ端子
103…負極板
104…負極タブ端子
105…セパレータ
106…電池容器

Claims (6)

  1. 正極、負極、及び電解液を備えるリチウムイオン電池であって、
    前記正極は、集電体と前記集電体に形成された正極合剤とを有し、
    前記正極合剤は、正極活物質と導電剤とを有し、
    前記正極活物質は、平均粒子径が、3μm〜7μmのリチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物であり、
    前記導電剤は、平均粒子径又はDBP給油量の異なる導電剤Aと導電剤Bとを含有する、リチウムイオン電池。
  2. 請求項1に記載のリチウムイオン電池において、
    前記導電剤Aの平均粒子径は、前記導電剤Bの平均粒子径より大きく、
    前記正極合剤内での前記導電剤Aと前記導電剤Bとの重量比率(A/B)が、1≦A/B<22である、リチウムイオン電池。
  3. 請求項2に記載のリチウムイオン電池において、
    前記導電剤A及び前記導電剤Bは、アセチレンブラックである、リチウムイオン電池。
  4. 請求項1に記載のリチウムイオン電池において、
    前記導電剤AのDBP吸油量(A’)は、前記導電剤BのDBP吸油量(B’)より小さく、
    前記導電剤Aと前記導電剤BのDBP吸油量の比率(A’/B’)が、0.8<A’/B’<25である、リチウムイオン電池。
  5. 請求項4に記載のリチウムイオン電池において、
    前記導電剤A及び前記導電剤Bは、アセチレンブラックである、リチウムイオン電池。
  6. 請求項1に記載のリチウムイオン電池において、
    前記導電剤Aは、平均粒子径が40nm〜60nmであり、DBP給油量が160mL/100g〜200mL/100gであり、
    前記導電剤Bは、平均粒子径が20nm〜30nmであり、DBP給油量が250mL/100g〜300mL/100gである、リチウムイオン電池。
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