JP5527501B2 - 自動車用シート及び自動車の車体構造 - Google Patents

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本発明は、
シートバックのサイドサポート部に、車外側からの衝撃力を吸収して着座者を保護するサイドパッドを内蔵している自動車用シート及び自動車の車体構造に関する。
従来、上記の自動車用シートでは、特許文献1に開示されているように、サイドパッドを着座者(乗員)の胸部及び腹部の横外方側に配置し、サイドパッドの車外側の面を補強板で覆い、シートバックフレームと補強板とでサイドパッドを挟持することにより、自動車の側面衝突時に着座者の上半身がドアに2次衝突するのを防止していた。
特許第3546143号公報
上記従来の構造によれば、サイドパッドを着座者(乗員)の腹部の横外方側だけでなく胸部の横外方側にも配置してあったために、自動車の側面衝突時にサイドパッドが着座者の胸部側に倒れ込まないように、サイドパッドの厚さ(自動車用シートの幅方向におけるサイドパッドの長さ)を厚くしなければならず、材料コストが高くなっていた。
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、側面衝突時の衝撃吸収を効果的に行うことができ、しかも、材料コストを低廉化することができる自動車用シート及び自動車の車体構造を提供する点にある。
本第1発明の特徴構成は、
シートバックのサイドサポート部に、車外側からの衝撃力を吸収して着座者を保護するサイドパッドを内蔵している自動車用シートであって、
前記サイドパッドの上端を着座者の胸部よりも低い位置に配置して、前記サイドパッドを着座者の腰部及び腹部の横外方側に配置してあり、
前記シートバックに内蔵するサイドフレームの車外側の側面の横外方側に前記サイドパッドを配置し、
前記着座者の腰部の横外方側においては、車両前方側のサイドパッド部分を前記サイドフレームの車両前方側に回り込ませ、
前記着座者の腹部の横外方側においては、車両前方側のサイドパッド部分を前記サイドフレームの車両前方側に回り込ませてない点にある。(請求項
この構成によれば、自動車の側面衝突時には、サイドパッドが着座者の腹部及び腰部と一体となることにより、荷重に対して比較的弱い腹部に荷重が集中することを防止することができる。腰部は腰骨を備えており、耐衝撃性が強いことから、腰部の腰骨でサイドパッドを受け止めて、サイドパッドの車内側への侵入を制止することができ、サイドパッド自身の変形による衝撃吸収に円滑に移行させることができて、側面衝突時の衝撃を効果的に吸収することができる。
また、サイドパッドの上端を着座者の胸部よりも低い位置に配置して、前記サイドパッドを着座者の腰部及び腹部の横外方側に配置してあるから、自動車の側面衝突時に車内側に侵入するサイドパッドが着座者の胸部側に倒れ込むことがなくなる。つまり、荷重に対して比較的弱い胸部に荷重が集中することを回避することができて、サイドパッドが着座者の胸部への負担となることを防止することができる。
その結果、サイドパッドが着座者の胸部への負担となることを防止する手段として、サイドパッドの厚さ(自動車用シートの幅方向におけるサイドパッドの長さ)を厚くする手段を採る必要がなくなって、サイドパッドの厚さを従来よりも薄くすることができる。
また、前記車両前方側のサイドパッド部分を着座者の腰部に近づけることができ、側面衝突時に、荷重に対して比較的強い着座者の腰部に早期にサイドパッドを当接させることができる。従って、腰部の腰骨でサイドパッドを早期に受け止めて、サイドパッドの車内側への侵入を制止することができ、サイドパッド自身の変形による衝撃吸収に円滑に移行させることができる。
このように、着座者の腹部が受けるサイドパッドからの荷重の影響を、腰部が受けるサイドパッドからの荷重の影響よりも小さくし、さらに、胸部が受けるサイドパッドからの荷重の影響を、腹部が受けるサイドパッドからの荷重の影響よりも小さくすることで、着座者の胸部に負担をかけることなく、側面衝突時の衝撃を効果的に吸収することができる。(請求項
本第1発明において、
前記シートバックは前記サイドパッドの上方に前記着座者の頭部及び胸部用のサイドエアバッグを内蔵していると、次の作用を奏することができる。(請求項
前記サイドパッドの上端を着座者の胸部よりも低い位置に配置したことで空いたサイドパッドの上方のスペースを有効利用して、サイドパッドの上方に前記サイドエアバッグを内蔵してあるから、荷重に対して弱い胸部から頭部にかけてはサイドエアバッグで保護することができて、側面衝突時に着座者をより確実に保護することができる。(請求項
本第2発明の特徴構成は、
請求項1又は2に記載の自動車用シートを備えている自動車の車体構造であって、
前記自動車用シートの横外方側に位置するドアのアームレストを前記着座者の胸部よりも低い位置に配置してある自動車の車体構造であり、この構成によれば、次の作用を奏することができる。(請求項
側面衝突時に車内側に侵入するドアのアームレストが着座者の胸部に向かうことがなくなる。その結果、荷重に対して比較的弱い胸部に荷重が集中することを回避することができて、ドアのアームレストが着座者の胸部への負担となることを防止することができ、側面衝突時に着座者をより確実に保護することができる。(請求項
従って、側面衝突時の衝撃吸収を効果的に行うことができ、しかも、材料コストを低廉化することができる自動車用シート及び自動車の車体構造を提供することができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図5,図6に示すように、着座者1(乗員)の臀部及び大腿部を受け止めるシートクッション2と、着座者1の背中を受け止めるシートバック3とをドア4の車内側W1に設けて自動車用シート10を構成してある。
[シートバック3の構造]
図4(a)〜図4(c)に示すように、シートバック3は、軟質の発泡ウレタンから成るシートバックパッド8(クッションパッドに相当)と、シートバックパッド8が装着される金属製のフレーム6(図1,図2参照)と、シートバックパッド8を覆う表皮材7とを備えている。
前記シートバックパッド8は、センター部9と、このセンター部9の左右両側部側から車両前方側Frに隆起して、着座者1の上半身を幅方向(左右方向)で保持する縦に長い左右一対のサイドサポート部11とを備えている。そして、センター部9の上端部にヘッドレスト12が連結されている。
サイドサポート部11の裏側には、サイドサポート部11の隆起方向と同じ方向(車両前方側Fr)に窪む窪み部13が形成され、センター部9の裏面9Uはサイドサポート部11の後端面11Kよりも前方側(車両前方側Fr)に位置している。
図1〜図4に示すように、前記フレーム6は、シートバックパッド8の上端部の外周縁部に沿う下側開放U字状のパイプフレーム部15と、板面が幅方向を向く縦に長い左右一対の板状のサイドフレーム16とから成る。左右一対のサイドフレーム16の上端部はパイプフレーム部15の左右一対の脚部15Aの下端部に各別に接合されている。これらのパイプフレーム部15とサイドフレーム16とでシートバックパッド8の形状を保持している。
パイプフレーム部15の左右一対の脚部15A間には上下方向に折曲した角波形のワイヤーフレーム17が架設されている。また、左右一対のサイドフレーム16の下端部間に円筒状のパイプ18が架設され、左右一対のサイドフレーム16の間に、複数の円弧状波形のスプリング19が上下方向に間隔を空けて架設されている。
図2に示すように、パイプフレーム部15の横フレーム部分15Bには左右一対の短い円筒状の縦パイプ20が溶接固着され、図1に示すように、この左右一対の縦パイプ20に、ヘッドレスト12内から下方に突出する左右一対の金属パイプ製の脚部21Aが各別に挿通保持されている。左右一対の脚部21Aは、ヘッドレスト12に上半部が内蔵された下側開放U字状のフレーム21の下半部を構成している。
図4(a)〜図4(c)に示すように、サイドフレーム16の車両前方側Frの前端部16Aと車両後方側の後端部16Bとは車内側W1に折曲されて、サイドフレーム16が、サイドサポート部11の裏側の窪み部13の内面を形成している。
[サイドパッド22の構造]
図1〜図6に示すように、シートバックパッド8は、車外側W2(右側)のサイドサポート部11に、縦に長い横断面四角形状のサイドパッド22を内蔵している。このサイドパッド22は、シートバックパッド8よりも硬い硬質のポリスチレンから成り、側突時に加わる車外側W2からの衝撃力を吸収して着座者1を保護する。
上記のシートバックパッド8を成形する場合、サイドパッド22をシートバックパッド8とは別個に予めポリスチレン材で発泡成形しておき、この発泡成形したサイドパッド22を成形型にセットする。そして、ウレタン原液を成形型に供給し発泡させて、シートバックパッド8をサイドパッド22と一体に発泡成形する。
図6に示すように、サイドパッド22の上端22Jを着座者1の胸部1Kよりも低い位置に配置して、サイドパッド22を着座者1の腰部1Y及び腹部1Hの横外方側に配置してある。詳しくは、図4(a)〜図4(c)に示すように、シートバック3に内蔵するサイドフレーム16の両側面16S1,16S2のうち車外側W2の側面16S2の横外方側にサイドパッド22を配置してある。
また、図3,図4(c)に示すように、着座者1の腰部1Yの横外方側において、車両前方側Frのサイドパッド部分22Aをサイドフレーム16の車両前方側Frに回り込ませてある。すなわち、サイドフレーム16の車両前方側Frの前端部16Aを折曲して形成したコーナー部に、車両前方側Frのサイドパッド部分22Aと、このサイドパッド部分22Aよりも車両後方側のサイドパッド部分22Bとで形成されるコーナー部を嵌合させて、サイドパッド22をサイドフレーム16に接触させてある。
一方、着座者1の腹部1Hの横外方側において、車両前方側Frのサイドパッド部分をサイドフレーム16の車両前方側Frに回り込ませることなく、サイドパッド22をサイドフレーム16の車外側W2の側面16S2の横外方側だけに配置してある。従って、図3,図5に示すように、車両前方側Fr(シートバック3の前方側)から見て、サイドパッド22は、着座者1の腰部1Yに対応する下半部が、着座者1の腹部1Hに対応する上半部よりも厚肉に成形されて、サイドパッド22の車内側W1の側面に段差が形成されている。
サイドパッド22の車外側W2の側面22S2は段差がない上下一直線状の扁平面に形成されて、サイドサポート部11の車外側W2の側面11S2に対して平行に位置している。サイドパッド22の車外側W2の側面22S2とサイドサポート部11の車外側W2の側面11S2との間隔は、シートバック3の幅方向におけるサイドパッド22の長さの約1/2に設定されている。
図4(a)〜図4(c)に示すように、サイドパッド22の後面22K(車両後方側の面)は、サイドフレーム16の幅方向ほぼ中央の横外方側に位置し、サイドパッド22の前面22M(車両前方側Frの面)は、サイドフレーム16の前面16Mよりも前方側(車両前方側Fr)に位置している。そして、車両前後方向(シートバック3の前後方向)において、サイドパッド22の中央がサイドフレーム16の前面16Mとほぼ同じ位置に位置している。
サイドパッド22の後面22Kはサイドフレーム16に対して直交する面に形成され、サイドパッド22の前面22Mはサイドサポート部11の横断面円弧状の前面11Mに平行な円弧状の面に形成されている。そして、図6に示すように、サイドパッド22の上面22Jはサイドパッド22の後面22Kと直交する面に形成され、下面22Uは前下がりの傾斜面に形成されている。
上記の構成により、自動車が側面衝突すると、荷重に対して比較的強い着座者1の腰部1Yに早期にサイドパッド22を当接させることができる。従って、腰部1Yの腰骨でサイドパッド22を早期に受け止めて、サイドパッド22の車内側W1への侵入を制止することができ、サイドパッド22自身の変形による衝撃吸収へと移行させやすくすることができる。
図5に示すように、シートバック3はサイドパッド22の上方のサイドサポート部11に着座者1の頭部及び胸部1K用のサイドエアバッグ23を内蔵している。このサイドエアバッグ23は、自動車の衝突時にインフレータから供給されたガスで瞬間的に膨張し、サイドパッド22の上方のサイドサポート部11から突出して乗員の頭部及び胸部1Kを保護する。
また、図5,図6に示すように、自動車用シート10の横外方側に位置するドア4のアームレスト24を、前記着座者1の胸部1Kよりも低い位置であって、かつ、サイドパッド22の上面22Jよりも低い位置(上下方向でサイドパッド22の上半部とほぼ同じ位置)に配置して自動車の車体構造を構成してある。
これにより、側面衝突時に車内側W1に侵入するドア4のアームレスト24が着座者1の胸部1K側に向かうことがなくなる。その結果、荷重に対して比較的弱い胸部1Kに荷重が集中することを回避することができて、ドア4のアームレスト24が着座者1の胸部1Kへの負担となることを防止することができる。
シートバックの斜視図 シートバックの分解斜視図 シートバックの正面図(車両前方側から見た図) (a)は図3のA−A断面図(b)は図3のB−B断面図(c)は図3のC−C断面図 自動車の車体構造の正面図 自動車用シートの側面図
符号の説明
1 着座者
1K 着座者の胸部
1Y 着座者の腰部
1H 着座者の腹部
3 シートバック
4 ドア
10 自動車用シート
11 サイドサポート部
16 サイドフレーム
16S2 サイドフレームの車外側の側面
22 サイドパッド
22A 車両前方側のサイドパッド部分
22J サイドパッドの上端
23 サイドエアバッグ
24 アームレスト
Fr 車両前方側
W2 車外側

Claims (3)

  1. シートバックのサイドサポート部に、車外側からの衝撃力を吸収して着座者を保護するサイドパッドを内蔵している自動車用シートであって、
    前記サイドパッドの上端を着座者の胸部よりも低い位置に配置して、前記サイドパッドを着座者の腰部及び腹部の横外方側に配置してあり、
    前記シートバックに内蔵するサイドフレームの車外側の側面の横外方側に前記サイドパッドを配置し、
    前記着座者の腰部の横外方側においては、車両前方側のサイドパッド部分を前記サイドフレームの車両前方側に回り込ませ、
    前記着座者の腹部の横外方側においては、車両前方側のサイドパッド部分を前記サイドフレームの車両前方側に回り込ませてない自動車用シート。
  2. 前記シートバックは前記サイドパッドの上方に前記着座者の頭部及び胸部用のサイドエアバッグを内蔵している請求項記載の自動車用シート。
  3. 請求項1又は2に記載の自動車用シートを備えている自動車の車体構造であって、
    前記自動車用シートの横外方側に位置するドアのアームレストを前記着座者の胸部よりも低い位置に配置してある自動車の車体構造。
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