JP5526500B2 - 繊維強化ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、脂肪族結晶性ポリアミド樹脂、半芳香族ポリアミド樹脂、異形断面形状を有するガラス繊維および板状無機充填材からなる繊維強化ポリアミド樹脂組成物に関する。詳しくは、本発明の組成物は剛性・強度に優れ、かつ成形品のソリ変形やコーナー部の変形が少なく、成形品の外観も共に優れる繊維強化ポリアミド樹脂に関するものであり、自動車部品や電気・電子部品等に適するものである。
一般にポリアミド樹脂は、機械的強度、耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性に優れ、自動車部品、電気部品、電子部品および家庭雑貨等に広く使用されている。なかでもガラス繊維を代表とする無機強化材を添加したポリアミド樹脂は剛性、強度、耐熱性等が大幅に向上することが知られている。
しかしながらポリアミド樹脂に剛性、強度向上を目的にガラス繊維等の強化材を大量に添加すれば、ソリ変形や成形品の外観等が極端に低下し、商品価値が著しく損なわれる。
そこで成形品外観やソリ変形を改良するために、結晶性ポリアミド樹脂に半芳香族ポリアミド樹脂およびガラス繊維と多量の無機フィラーを併用することが提案されている。
特開2000−154316公報 特開2001−98149公報 しかし、これらの方法では成形品の外観やソリ変形については、ある程度の改良は認められるが、無機フィラーを大量に添加しているため、曲げ強度やたわみ率、衝撃強度等が低下し、成形品の強靭性が低下し、脆い成形品となる。そのため強靭性や強度特性が必要とする製品には使用することが出来ない。
一方、強度とソリ変形を改良するため、断面が扁平した異形断面形状のガラス繊維をナイロン6やナイロン66等の高結晶性ポリアミド樹脂に配合することが提案されている。
特開平10−219029公報 これらの方法では、マイカやタルク、ワラストナイト、ガラスフレーク等の粉体状の無機充填材の添加がない組成物のため強度特性は優れている。また、平板形状でのソリ変形の量は通常の丸型ガラス繊維と比較すれば大きく改良されて入るものの、完全とはいえない。さらに、この異形断面形状のガラス繊維は、成形品のコーナー部分において、内側に倒れる いわゆる「L字倒れ」による内ソリ変形が著しく起こり、コーナーやリブ、ボス等を有する複雑な形状の成形品ではソリ変形改良効果は通常丸型ガラス繊維と同じ程度変形が発生し、異形断面形状ガラス繊維を使用した場合でも著しく成形品が変形することが多々あった。また一般的な成形条件で成形した場合、成形品の表面にガラス繊維等の浮きが発生したり、成形品表面の光沢が出ないという問題点が多い。そのため成形品の外観特性の必要な製品では使用できないことが多い。
そこで、本発明はポリアミド樹脂にガラス繊維等の強化材を多量に添加した強度、剛性および耐熱性の優れた成形品において、成形品の外観特性が低下せずに、かつ平面部分でのソリ変形やコーナー部分での内ゾリ変形等のソリ変形の少ない良好な成形品を提供することを課題とするものである。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意研究した結果、脂肪族結晶性ポリアミド樹脂と半芳香族ポリアミド樹脂とを組み合わせた特定のポリアミド樹脂と異形断面形状のガラス繊維を特定の比率で配合することにより特段の効果を得ることができ、上記の課題を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(1)下記の(A)成分及び(B)成分を含む繊維強化ポリアミド樹脂組成物であり、(A)成分として(A1)脂肪族結晶性ポリアミド樹脂 90重量%〜65重量%と(A2)半芳香族ポリアミド樹脂10重量%〜35重量%との比率からなるポリアミド樹脂を40重量%〜70重量%と(B)成分として異形断面形状を有するガラス繊維を25重量%〜50重量%を含む、(2)(A)及び(B)成分以外にさらに(C)板状無機充填材を全組成物中に対して5量%〜20重量%を必須成分として含む(1)の繊維強化ポリアミド樹脂組成物、(3)(A)成分の脂肪族結晶性ポリアミド樹脂がナイロン6又はナイロン66であり、且つ半芳香族ポリアミド樹脂が6T/6I共重合体、MXD−6又はTMD−6である(1)又は(2)の繊維強化ポリアミド樹脂組成物、(4)(C)成分の異形断面形状を有するガラス繊維の異形比が1.5以上である(1)〜(3)のいずれかの繊維強化ポリアミド樹脂組成物、(5)曲げ強度が250MPa以上であり、100mm角3mm厚さの成形品のソリ変形量が1.6mm以下、かつL字型成形品の内倒れ変形量が2.5mm以下である(1)〜(4)のいずれかのガラス繊維強化ポリアミド樹脂からなる繊維強化ポリアミド樹脂成形品である。
本発明は複数のポリアミド樹脂に異形断面形状のガラス繊維等を添加することにより、剛性・強度に優れ、かつ成形品のソリ変形やコーナー部の変形が少なく、成形品の外観も共に優れる繊維強化ポリアミド樹脂の成形品を提供することが可能となり、自動車部品や電気・電子部品等の幅広い分野で使用することが出来る。したがって産業界に寄与することが大である。
以下に本発明を具体的に説明する。
本発明における(A)成分に用いる(A1)結晶性脂肪族ポリアミド樹脂としては分子中に酸アミド結合(−CONH−)を有する脂肪族ポリアミド樹脂で、結晶融点を有するものである。具体的にはポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン610)、ポリラウリルラクタム(ナイロン12)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)等、およびそれらの共重合体やブレンド物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明においては、通常ナイロン6と呼ばれるε―カプロラクタムの重縮合によって得られるポリカプラミド樹脂やナイロン66が耐熱性や価格面で好ましい。
前記結晶性脂肪族ポリアミド樹脂の96%−硫酸濃度(ポリアミド樹脂濃度1g/dl)測定による相対粘度は、1.6〜3.5の範囲が好ましい。より好ましいのは1.9〜3.0、さらに好ましいのは2.0〜2.7の範囲である。なお1.6未満ではタフネスが低下するため好ましくなく、3.5を超えると流動性が低下し成形性を損なうため好ましくない。
本発明の(A1)成分として用いる結晶性脂肪族ポリアミド樹脂の配合量は35重量%〜48重量%である。好ましくは36重量%〜46重量%である。
本発明における(A)成分として用いる(A2)半芳香族ポリアミド樹脂としては分子中に酸アミド結合(−CONH―)を有し、ジアミン成分またはジカルボン酸成分のいずれかが芳香族であるポリアミド樹脂である。具体的にはポリメタキシリレンアジパミド(MXD−6ナイロン)、ポリヘキサメチレンイソフタールアミド(6Iナイロン)等の重合体、ポリヘキサメチレンテルフタールアミド/ポリカプロアミド(6T/6)共重合体、ポリヘキサメチレンテレフタールアミド/イソフタールアミド(6T/6I)共重合体、トリメチルヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との重合体(TMD−6)等の共重合体であるがこれらに限定されるものではない。前記半芳香族ポリアミド樹脂のうち、共重合ポリアミド樹脂は組成比を変更できるため、最適な組成比を選択できるので好ましい。 特に本発明においては6T/6I共重合体、TMD−6共重合体又はMXD−6ナイロンが好ましく用いられるが、その中でも特に6T/6I共重合体が成型品の平面ソリが少ないために好ましい。
半芳香族ポリアミド樹脂の96%−硫酸溶液(ポリアミド樹脂濃度1g/dl)測定による相対粘度は、1.6〜3.5の範囲が好ましい。特に好ましいのは1.7〜2.5の範囲である。なお1.6未満ではタフネスが低下するため好ましくなく、3.5を超えると流動性が低下して好ましくない。
本発明の(A1)成分である半芳香族ポリアミド樹脂の配合量は、特に重要である。この半芳香族ポリアミドは、ナイロン6やナイロン66のような結晶性ポリアミドとブレンドして押出し機中、あるいは成形機中で溶融・混練することにより、アミド交換反応によって結晶性ポリアミドと完全相溶し、立体障害により結晶性ポリアミドの固化速度遅延、結晶化の程度を減少させる効果がある。この半芳香族ポリアミドブレンドによる結晶化度が低下することにより、主成分となる結晶性ポリアミド樹脂の体積収縮を減少させ、変形を抑えることが可能となる。この半芳香族ポリアミドの配合量が少なすぎると、外観面での改良効果、コーナー部分の内ぞり等の改良効果が充分に発揮されない。また、配合量が多すぎると、結晶性ポリアミドの結晶化率が低下しすぎるために、射出成形における工法で充分に結晶化させるためには、極めて高い金型温度が必要となり好ましくない。また、配合量が多すぎると、結晶性が低下しすぎるために高温時の剛性が大きく低下したり、高温雰囲気中の剛性が金型温度によって大きく変化するという問題もある。コーナー部分の内ぞり変形量を効果的に抑制するためには、(A)成分中の結晶性脂肪族ポリアミド樹脂(A1)と半芳香族ポリアミド樹脂(A2)との配合量比率〔(A1)/(A2)比率:重量%〕は85/15〜65/35、好ましくは80/20〜70/30である。
本発明においては、ガラス繊維を含むために(A)成分である〔(A1)+(A2)〕の全組成物に対する配合比率も重要である。(A)成分の配合比率としては、ソリの面より45〜60重量%が好ましく、さらに好ましくは48〜52重量%である。
本発明における(B)成分は異形断面形状を有するガラス繊維である。異形断面形状とはガラス繊維の断面がほぼ扁平な形状になっており、ガラス繊維断面の短径D1と長径D2が異なる寸法を有しているガラス繊維である。本発明における異形断面形状を有するガラス繊維の長径と短径の比、D2/D1は1.5以上の異形比を持っている。 好ましくはD2/D1は1.5〜10であり、更に好ましくはD2/D1は2.0〜8である。
ガラス繊維の太さは特に限定されるものではないが、短径D1が1〜20μ、長径D2は2〜100μ程度である。また ガラス繊維は繊維束となって、繊維長1〜20mm程度に切断されたチョップドストランド状ものもが好ましく使用される。
また ガラス繊維とポリアミド樹脂との親和性を向上させるため、ガラス繊維に表面処理剤としてアミノ基やエポキシ基を含有するシランカップリング剤を添加することが好ましい。
本発明における(B)成分である異形断面形状のガラス繊維の配合量は25重量%〜50重量%である。好ましくは30重量%〜45重量%である。
本発明における(C)成分は板状無機充填材であり、配合によって強度や剛性を低下させずに、さらに平面ソリ量が低減するので配合することが好ましい。板状無機充填材とは無機充填材の形状が板状で、扁平形状を有する粉末無機充填材である。具体的にはマイカ、タルク、未焼成クレーおよび扁平ガラス繊維の粉末等の無機充填材であるが、これらに限定されるものではない。これらの板状無機充填材のなかでも強度、剛性の面よりマイカが特に優れている。また、これらの板状無機充填材はポリアミド樹脂との親和性を向上させるため、表面処理剤としてアミノ基やエポキシ基を含有するシランカップリング剤を添加することが好ましい。
本発明における(C)成分である板状無機充填材の配合量は5重量%〜20重量%である。好ましくは8重量%〜12重量%である。
本発明においては、強度特性とソリ変形および成形品の外観特性を両立させることが課題であり、これまで説明してきたように、(A)成分の(A2)半芳香族ポリアミド樹脂と(B)成分の異形断面形状を有するガラス繊維および(C)成分の板状無機充填材の組み合わせとそれらの配合量が重要なファクターとなる。
異形断面形状の扁平したガラス繊維で強化したポリアミド樹脂組成物は板状無機充填材のみを配合したポリアミド樹脂組成物と比較して強度特性は優れているが、平面部ソリ変形では劣る。さらに、異形断面形状のガラス繊維、あるいは、板状無機強化材を用いた場合でも、成形品のコーナー部分のソリ変形、いわゆる「L字倒れ」では全く改良効果が無い。 ソリ変形は平面方向の収縮歪みによるソリと厚さ方向の収縮歪みによるソリがあり、異形断面形状の扁平したガラス繊維や板状強化材は平面形状ソリについては改善するが、厚み方向での収縮歪みはほとんど改善されないため、コーナー部分の変形が大きくなり、コーナーの内側に大きくソリが起こる。
一方、(A2)半芳香族ポリアミド樹脂は繊維強化ポリアミド樹脂組成物全体の結晶化の度合いをコントロールすることが出来るため、体積収縮を低減させる効果があることを明らかとした。その結果、厚さ方向の収縮を著しく低減させることにより、L字倒れ量の劇的な改善を達成した。このように、強化材、樹脂組成を最適化することにより、強度を高度に保持したまま、成形品の平面部、及びコーナー変形の改良と成形品外観の改善の可能性がある。
本発明においては、最適な種類の半芳香族ポリアミド樹脂とその配合量を選定することにより、組成物全体の固化速度をコントロールし、異形断面形状を有するガラス繊維を主体とする補強材を組み合わせることで、成形品の優れた強度特性を保持したまま平面形状のソリ変形やコーナー部分の変形の改善および成形品の外観特性の改良も可能となった。
さらに、半芳香族ポリアミドは、配合量を増やしすぎると組成物全体の結晶性を低下させすぎるため、高温時の物性が成形時の金型温度によって大きく異なることも明らかとし、適切な配合量を見極めることで強度や変形面の改良効果を保持したまま成形条件幅、特には成形時の金型温度の設定範囲を広くすることも達成した。
また、板状無機充填材は各種のソリ変形を改善するための補助的な配合物であり、強度特性を勘案しながら組成物全体に対する配合量を決定することが重要である。
本発明の繊維強化ポリアミド樹脂組成物には、前記以外に、必要に応じて公知の範囲で光又は熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑材、結晶核剤、離型剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料、染料、あるいは衝撃改良のためのエラストマーなども添加することが出来る。
本発明の組成物を製造する製造法としては、上述した少なくとも(A)、(B)及び(C)の各成分、とその他の配合物は上記配合組成にて任意の配合順列で配合した後、タンブラー等で混合し、溶融混錬される。溶融混錬方法は、当業者に周知のいずれかの方法が可能であり、単軸押出機、2軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等が使用できるが、なかでも2軸押出機を使用することが好ましい。
また、押出加工時に破損し易い(B)成分の異形断面形状を有するガラス繊維等は2軸押出機のサイド口から投入し、該ガラス繊維の破損を防止することが好ましいが、特に限定されるものではない。
以上かかる構成によりなる本発明組成物は、射出成形、押出し成形、ブロー成形等の公知の方法により、種々成形され、強度と寸法精度が必要とされる、カップホルダー、コンソールボックスベースやケース及びヒンジ部品、ドアハンドル、ドアミラーステイ、ドアミラーベース、シリンダーヘッドカバー、エンジンカバー、ベアリング部品、各種ケースやカバーなどの自動車部品、ブレーカカバー、ブレーカベース、コイルボビン、コネクターなどの電気・電子部品や釣竿部品、リール部品などのスポーツ・レジャー部品等の用途に使用され、特に好ましい用途はコンソールボックスベースやケース、ヒンジ部品、カップホルダーである。
次に実施例、参考例および比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また 以下に実施例、参考例および比較例において示した各特性および物性値は、下記に
示した試験方法で測定した。
(1)曲げ強度、弾性率、曲げたわみ率:ISO−178に準じて測定した。
(2)80℃での曲げ弾性率 :ISO−178に準じて、80℃のチャンバーの中で30
分間放置いた後、測定した。
80℃の曲げ弾性率の測定は、成形時の金型温度を50℃と100℃の2水準成形品を準備し測定を行った。
実施例、参考例および比較例には、金型温度100℃で成形した時の80℃雰囲気下で測定した曲げ弾性率を80℃曲げ弾性率(A)と標記し、金型温度50℃で成形した時の80℃雰囲気下で測定した曲げ弾性率を80℃曲げ弾性率(B)と標記した。
(3)シャルピー衝撃強度 :ISO−179−1eAに準じて測定した。
(4)平面ソリ : 図1a に示した評価用成形品を常盤の上に固定し、図1aの成形品上
に記載した数値(a)から(i)の9地点の高さを3次元測定器を用いて測定し、その平均値から平面ソリ変形の大きさを測定した。平面そりの◎、○、×の判定は、以下のように行った。
◎ : ソリ量が、 1.2mm以下
○ : ソリ量が、 1.3mm以上、 1.6mm以下
× : ソリ量が、 1.7mm以上
成形品の成形条件は シリンダー温度=285℃、金型温度=100℃で成形した。
(5)コーナー部の変形 : 図1b に示したL字形をした評価用成形品を使用して、L字
形の内側に倒れた「L字倒れ量」を測定した。測定は、2つのL字形成形品を2つ合わせて生じた空隙の量を測定した。コーナー部変形量の◎、 ○、 ×の判定は以下の様に行った。
○ : 変形量が 2.5mm以下
× : 変形量が 2.6mm以上
成形品の成形条件は シリンダー温度=285℃、金型温度=100℃で成形した。
(6)外観特性 : 平面ソリ測定用の成形品の表面で、ガラス繊維の浮きおよび表面光沢等の目視観察を行い、◎、 ○、 △、 ×、の外観特性の評価を行った。
実施例、参考例および比較例で使用した原材料は以下のようである。
(1)脂肪族結晶性ポリアミド樹脂として以下を使用した。
・6ナイロン :東洋紡ナイロン、T−800(東洋紡績社製、相対粘度2.5)
・66ナイロン:東レアミラン、E3000F(東レ社製、相対粘度2.4)
(2)半芳香族ポリアミド樹脂として、
・6T/6I共重合ナイロン:グリボリー21(エムス社製、相対粘度2.0)
・MXD−6ナイロン:東洋紡ナイロン、T−600(東洋紡社製、相対粘度2.1)
・TMD−6ナイロン:東洋紡社製、相対粘度2.0
(3)異形断面ガラス繊維として、3PA820S(日東紡績社製)を使用した。
この異形断面ガラス繊維の異形比は、約4である。
(4)一般丸型断面ガラス繊維として、FT2A(オーウェンスコーニング社製)を使用した。
(5)板状無機充填材として、マイカ S−325S((株)レプコ社製)を使用した。
(6)針状無機充填材として、ワラストナイト FPW−800(林化成社製)を使用し
た。
また実施例、参考例および比較例の組成物には、添加剤として以下の物を添加した。
熱安定剤 : 臭化第二銅(ナカライテスク社製試薬、添加量は全組成物100重量部に対して、0.04wt%)
離型剤: モンタン酸エステルワックスWE−40(クラリアントジャパン社製、添加量
は全組成物100重量部に対して、0.6wt%)
黒顔料: PAB−8K470(住化カラー社製、添加量は全組成物100重量部に対し
て、3.0wt%)
カップリング剤 : アミノシランカップリング剤 KBE−903(信越化学社製、添加
量は、全組成物100重量部に対して、0.3wt%)
評価サンプルの製造は表1に示した割合で各原料を計測し、ガラス繊維を除く他の原料をタンブラーで混合した後、二軸押出機のホッパーに投入した。 ガラス繊維は二軸押出機の第二ベント口から別計量しながら投入した。二軸押出機の混錬温度は230℃〜300℃である。 得られた繊維強化ポリアミド樹脂組成物のペレットは射出成形機で各種の評価用試料を成形した。物性測定時の射出成形機の成形条件はシリンダー温度270〜300℃、金型温度は80℃〜100℃である。なお、結晶化度の金型温度依存性を確認するために、80℃の曲げ弾性率を測定する試料については、金型温度50℃と100℃の2水準準備した。
平面ソリ量、およびコーナー部変形量の測定は、成形機シリンダー温度を285℃、金型温度は表面温度で100℃となる様に設定し、固定して比較試験を行った。また、射出・保圧時間は8秒、射出後から金型開きまでの冷却時間を15秒に固定して試験を行った。
また、平面ソリ量測定用の成形品の充填時間は0.8〜1.0秒となるよう射出速度を調整し、残りの時間で保圧をかけた。コーナー部変形量測定時は、射出時間0.3〜0.5秒となるよう射出速度を調整し、残りの時間を保圧時間とした。各測定の保圧は、成形品にバリが発生しないよう調整しながら15〜30MPaの範囲で調整した。
評価結果は表1に示した。
本発明の特許請求項を満足した 実施例1〜9では脂肪族ナイロン、半芳香族ナイロンおよび異形断面形状のガラス繊維を適正に配合したポリアミド樹脂組成物で、各種強度特性および各種ソリ変形および成形品の外観特性のいずれもが良好な特性が得られていることが分かる。その中でも実施例2及び4に示したナイロン6、6T/6I、異形断面形状のガラス繊維及び板状無機充填材のマイカを併用した特定比率の樹脂組成物において平面ソリ変形が一段と改良され、特段に優れ物性が得られていることが分かる。
比較例1及び比較例4は、ガラス繊維を一般的な丸型断面のガラス繊維を配合した組成であり、平面ソリが大きいために実用的ものは得られていない。比較例2は、半芳香族ナイロンの配合量が少ない樹脂組成物を用いたものであり、コーナー部の変形が大きく、又外観も悪い。比較例3では半芳香族ナイロンを大量に配合した組成物であるが、半芳香族ナイロンを大量に配合すると組成物の結晶性が低下し、金型温度を100℃に上げて成形させた場合でも高温での弾性率等の特性を低下させている。又、比較例5では無機充填材を板状ではないワラストナイトに変更したが、板状フィラーよりも多く添加しなければソリ改善効果が得られないため、靭性が低下して満足しうる物性が得られていないことが分かる。
実施例、比較例から明らかのように、本発明の課題である強度特性、ソリ変形防止および成形品の外観特性の優れた成形品を得るためには、適正量の半芳香族ナイロンと異形断面形状のガラス繊維および必要に応じて板状無機充填材を適正量配合することにより課題を達成できることが実施例、比較例からも明らかとなった。
本発明は、脂肪族結晶性ポリアミド樹脂、半芳香族ポリアミド樹脂、異形断面形状を有するガラス繊維および板状無機充填材からなる繊維強化ポリアミド樹脂組成物からなり、剛性・強度に優れ、かつ成形品のソリ変形やコーナー部の変形が少なく、成形品の外観も共に優れる繊維強化ポリアミド樹脂組成物である。従って、自動車部品や電気・電子部品およびスポーツ・レジャー部品等の幅広い分野で使用することが出来、産業界に寄与することが大である。
図1a :平面ソリ量測定用の平板(フィルムゲート) 図1b :コーナー部分の変形「L字倒れ」量測定用の成形品(サイドゲート)
符号の説明
L1 :横幅(100mm)
L2 :縦幅(100mm)
L3 :厚み(3mm)
フルムゲート(1mm)

L4 :底辺(30mm)
L5 :高さ(30mm)
L6 :厚み(3mm)
サイドゲート(1.5mm角)

尚 図1a 表面上の(a)〜(i)の数値は平面ソリを測定した箇所を数値で示した。

Claims (3)

  1. 下記の(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含む繊維強化ポリアミド樹脂組成物であって、該繊維強化ポリアミド樹脂組成物より形成されたL字形をした評価用成形品の内倒れ変形量が2.5mm以下であることを特徴とする繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
    (A)成分として(A1)ナイロン6 78重量%〜65重量%と(A2)ポリヘキサメチレンテレフタールアミド/イソフタールアミド(6T/6I)共重合体 22重量%〜35重量%との比率からなるポリアミド樹脂
    40重量%〜55重量%
    (B)成分として異形断面形状を有するガラス繊維 40重量%〜50重量%
    (C)成分として板状無機充填材 5重量%〜20重量%
  2. (B)成分の異形断面形状を有するガラス繊維の異形比が1.5以上である請求項1に記載の繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
  3. 曲げ強度が250MPa以上であり、100mm角3mm厚さの成形品のソリ変形量が1.6mm以下である請求項1又は2に記載のガラス繊維強化ポリアミド樹脂からなる繊維強化ポリアミド樹脂成形品。
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