以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1における電子回路システムの構成図である。本実施の形態では、第1電子回路デバイス100と、第2電子回路デバイス101とで構成された電子回路システムの一例を挙げて説明する。
また、より具体的には、第1電子回路デバイス100は、マイクロコンピュータを構成する電子回路を含むLSI(Large Scale Integration)などの電子回路デバイスであり、第2電子回路デバイス101は、第1電子回路100をデバッグする際に用いられるデバッガ装置を構成する電子回路を含むLSIなどの電子回路デバイスであるような一例を挙げている。なお、第1電子回路デバイス100及び第2電子回路デバイス101を、それぞれ「第1デバイス」、「第2デバイス」と略記することがある。
<<構成>>
<第1及び第2電子回路デバイスの構造の概要>
ここで、第1デバイス100、第2デバイス101、及びアンテナの構造について概要を説明する。
図2の上段は、デバッグ時において第1デバイス100上に第2デバイス101が載置された状態を模式的に示す図である。図3は、第1デバイス100及び第2デバイス101の断面を模式的に示す図である。
第1デバイス100は、半導体基板100a上に形成された複数のアンテナ11を備えている。半導体基板100a及びアンテナ11は、樹脂パッケージ100bによって被覆されている。第1デバイス100は、半導体基板100a上の配線に接続されているリード100cを備えており、リード100cは、樹脂パッケージ100b外に延び出すとともに、回路基板300にはんだ付けされている。
なお、第2デバイス101の複数のアンテナ12、半導体基板101a、樹脂パッケージ101b、リード101c、及び回路基板310についても第1デバイス100と同様である。なお、第1デバイス100及び第2デバイス101には、回路基板300,310を通じて電力が供給される。
半導体基板100aと半導体基板101aとは、互いのアンテナ11,12が向かい合うように対向配置されている。また、半導体基板100aと半導体基板101aとの離間距離は、半導体基板100a等の主面の幅に比して十分小さくされている。つまり、半導体基板100aと半導体基板101aとが近接配置され、アンテナ11とアンテナ12とが近接配置されている。
図4は、アンテナ11,12を模式的に示す平面図である。アンテナ11,12は、四角形状の外形をしており、渦巻形状を描く導電線からなるコイル320によって構成されている。アンテナ11,12は、半導体基板100a、101aの主面に沿って形成されている。なお、コイル320中央の点Oを通り、半導体基板100a、101aの主面に垂直な直線(図4において紙面に垂直な直線)がコイル320の中心線である。
図3において、アンテナ11を構成するコイルの中心線と、アンテナ201を構成するコイルの中心線とは略平行にされている。
図2において、中段では、第1デバイス100と第2デバイス101とを個別に示し、下段では、第1デバイス100と第2デバイス101とを積層した状態を上部から見た透視図を示している。図2に示すように、本電子回路システムは、回路基板300上に、第1デバイス100と第2デバイス101とが密着するように積層された状態で実装される。
第1電子回路デバイス100は、複数のアンテナ11(アンテナ1100、1101、1102、1103)を、図2の中段で示す配置パターンで配置している。また、第2デバイス101は複数のアンテナ12(アンテナ1200から1215)を図2の中段で示すようなマトリックス状の配置パターンで配置している。なお、アンテナ11とアンテナ12との違いを明確にするため、アンテナ11を円形状に示している。また、後の図においても、アンテナを円形状で示す場合がある。
ここで、図2において、第2デバイス101を底面側(図2の上段では上側であり、第1デバイス100とは反対側)から眺めた場合の複数のアンテナ12の配置を示している。よって、第2デバイス101を天面側(図2の上段では下側であり、第1デバイス100と向かい合う面)から眺めた場合、複数のアンテナ12の配置は図2の鏡像の配置となる。なお、図面の理解を容易にするため、他の実施の形態及び変形例においても、このような表示方法を用いることとする。
上述の第1電子回路デバイス100と第2電子回路デバイス101とは、アンテナを介して互いに通信接続する無線通信機能を有している。第1電子回路デバイス100を第2電子回路デバイス101に密着させ、あるいは近接させた位置関係の状態で無線通信を行い、第2電子回路デバイス101によって第1電子回路デバイス100のデバッグを行う。なお、このような密着型の無線通信で伝送する信号としては、電子回路から出力されるデータや制御信号などが含まれる。
図2の下段の例では、アンテナ1100と1200、アンテナ1101と1208、アンテナ1102と1202、およびアンテナ1103と1206がそれぞれ近接して対向している。このような互いに対向するアンテナ11とアンテナ12とのペアにより、それぞれの間で無線通信が行われることとなる。
このように、本実施の形態の電子回路システムは、密着型の無線通信機能を利用してデバイス間の通信接続を行い、集積回路などに形成された電子回路デバイスのデバッグを行うことができる。
なお、密着型の無線通信(wireless communication or wireless transmission)は、2つの電子回路デバイス100,101のアンテナ間の誘導結合(磁界結合)を利用して行う無線通信とすることができる。密着型の無線通信は、通信距離が非常に短いため、2つの電子回路デバイス100,101のアンテナが配置された部分を密着させ、あるいは、近接させた状態で無線通信が行われる。ここで、近接とは、例えば、2つの電子回路デバイス100,101間の距離が3mm以下、あるいは1mm以下の状態とすることができる。なお、上記密着時、近接時において、アンテナ間の距離は5mm以下、あるいは3mm以下とすることができる。
<第1電子回路デバイス>
まず、第1電子回路デバイス100は、図1に示すように、電子回路の構成要素であるバス201、及びバス201に接続されている複数の電子回路モジュールを含む。複数の電子回路モジュールは、CPU202、メモリ(Read Only Memory)203、メモリ(Randam Access Memory)204、無線通信用IF(Interface)205、デバッグ補助部206およびI/O−IF(Input/Output−Interface)207を含む。CPU202は、マイクロプロセッサなどの中央処理装置であり、第1デバイス100内の各種制御や処理を実行する。
デバッグ補助部206は、第1電子回路デバイス100がデバッグされる場合に、デバッグを補助する処理を行う。デバッグ補助部206には、IF(Interface)217が接続されている。
I/O−IF207は、バス201と外部端子208との間に配置され、第1電子回路デバイス100の外部に接続されたデバイス301とバス201との間における信号の授受を仲介する処理(インタフェース処理)を行う。
無線通信用IF205、及びIF217は、シリアル−パラレル変換処理や、データのバッファなどのインタフェース処理を行う。
<アンテナ>
また、第1電子回路デバイス100は、前述のアンテナ11を複数備えている。図1では、第1電子回路デバイス100が、複数のアンテナ11(アンテナ1100、1101、1102、1103)を備えた一例を示している。各アンテナ11には、ドライバ151が接続されている(図5参照)。
アンテナ11は、前述のようにコイルからなり、供給電力に応じて磁界を発生させ、あるいは、磁界の変化に応じて受信電力を発生させる。
ドライバ151は、送信時には送信信号に基づきアンテナ11に電力を供給し、受信時にはアンテナ11に生じる電力に基づいて受信信号を取得し、出力する。また、ドライバ151には、アンテナ11に生じる電圧値を検出する電圧検出部152(図において「V」で示す)が設けられている。この電圧検出部152は、接続情報生成部209に接続されており、電圧の検出値を接続情報生成部209に送る。
このように、本実施形態では、搬送波を用いることなく、第1デバイス−第2デバイス間で対向するアンテナ間の誘導結合(あるいは磁界結合)によって密着型の無線通信を行っている。
デバッグ処理時には、各アンテナ11は、第1電子回路デバイス100内部で伝送するための信号を第2電子回路デバイス101に対し、アンテナ11を介して無線で送信したり、逆に、第2電子回路デバイス101から無線で伝送された信号を、アンテナを介して受信したりする。このような無線通信で伝送する信号としては、電子回路内部のデータや制御信号などが含まれる。このように、第1電子回路デバイス100の各アンテナ11は、非接触インタフェースとして機能し、第2電子回路デバイス101のアンテナ12と無線による通信を行う。
さらに、第1電子回路デバイス100は、接続情報生成部209と接続切替部210とを備えている。
<接続切替部>
図5に、接続切替部210を模式的に示す。
接続切替部210は、IF217(デバッグ補助部206)、無線通信用IF205、及び接続情報生成部209と複数の信号線によって接続されている。ここで、接続切替部210と、IF217等との間はシリアル接続である。一方、IF217とデバッグ補助部206との間、及び無線通信用IF205とバス201との間はパラレル接続である。
また、接続切替部210は、ドライバ151を介してアンテナ11と接続されている。
接続切替部210は、各アンテナ11の接続を切替える切替えスイッチ210aを備えている。各スイッチ210aは、アンテナ11の接続先として、IF217(デバッグ補助部206)、無線通信用IF205、接続情報生成部209、及び無接続(いずれにも接続しない状態であり、図において「E」で示す)のいずれかのモジュールを選択する。より詳細には、各モジュールには信号線が接続されており、接続切替部210は、各アンテナ11と、各モジュールに接続された信号線と、の接続を切替える。
なお、本実施形態において、接続切替部210は、IF217(デバッグ補助部206)に2つのアンテナ11を接続できるようにされている。また、IF217は、2つのインタフェース回路を備えており、各インタフェース回路と接続切替部210とが信号線によって接続されている。
接続切替部210は、後述するように接続情報生成部209から指示情報が送られると、その指示情報に従いアンテナ11とモジュールとの接続を切替える。
接続切替部210には、電子回路に含まれる一のモジュールである無線通信用IF205を介して、信号Dt1が供給される。さらに、接続切替部210には、IF217を介して、電子回路に含まれる一のモジュールであるデバッグ補助部204の信号Dt2が供給される。このように、接続切替部210には2つに分類された第1電子回路デバイス100内の信号が供給される。ここで、信号Dt1および信号Dt2は、第1電子回路デバイス100から第2電子回路デバイス101へと伝送するための伝送対象の信号である。
<接続情報生成部>
接続情報生成部209は、接続切替部210を介して、各アンテナ11と接続されている。
図6は、接続情報生成部209の構成を模式的に示すブロック図である。
接続情報生成部209は、情報通信処理部209a、記憶部209b、接続情報送信部、無線通信用IF部209d、受信検知部209e、及びバス用IF部209fを備えている。接続情報生成部209は、例えば、所定の処理を実行する電子回路、あるいは、制御プログラムを実行するプロセッサを含むマイクロコンピュータによって構成されている。
情報通信処理部209aは、後述する処理により、試験通信処理の実行や、接続情報、指示情報の生成を行う。接続情報は、例えば、各アンテナ11とデバッグ補助部206等の各モジュールとの接続関係を示す情報である。つまり、各アンテナ11をいずれのモジュールに接続するか、あるいは無接続状態にするかを示す情報である。なお、より詳細には、接続情報は、各アンテナ11と各モジュールに接続された信号線との接続関係を示す情報であるといえる。指示情報は、接続切替部210に接続の切替えを実行させるために、接続情報に基づき生成された制御信号である。
記憶部209bには、各アンテナ11の識別情報(アンテナ識別情報)、デバッグ補助部206や無線通信用IF205の電子回路モジュール(以後、モジュールという)の識別情報であるモジュール識別情報が記憶されている。アンテナの識別情報は、例えば、複数のアンテナ11の各々に割り当てられた互いに異なる識別番号である。モジュール識別情報は、例えば、各モジュールの識別番号である。
さらに、記憶部209bには、各アンテナ11と各モジュールとの接続パターンが記憶されている。この接続パターンは、例えば、N個のアンテナ11が無線通信に使用可能である場合において、各アンテナ11をいずれのモジュールに接続させるかを示す情報である。この接続パターンは、接続情報の生成に用いられる。
指示情報送信部209cは、接続情報のうち、接続切替部210によって接続を切替えるための指示情報を、接続切替部210に送信する。なお、情報通信処理部209aは、接続情報を生成する毎に、指示情報を生成し、指示情報送信部209cは、指示情報が生成される毎に送信する。なお、接続切替部210は、指示情報に従い、アンテナ11とモジュールとの接続を切替える。
無線通信用IF部209dは、接続切替部210を介してアンテナ11(ドライバ151)と接続され、無線通信用IF205と同様の機能を果たす。受信検知部209eは、電圧検出部152によって検出されたアンテナの電圧値に基づき、信号の受信を検知する。バス用IF部209fは、バス201と接続され、バス201を介してデバッグ補助部206、CPU202等と信号の授受を行う。
ここで、モジュールとアンテナ11との接続例を示す。例えば、接続情報生成部209が、デバッグIF247(信号Dt2)をアンテナ1100に接続し、メモリIF245(信号Dt1)をアンテナ1103に接続するように指示情報によって指示すると、接続切替部210は、これに応じた接続を行う。これによって、デバッグIF247から出力される信号Dt2がアンテナ1100によって伝送され、メモリIF245から出力される信号Dt1がアンテナ1103によって伝送される。このように、接続切替部210は、接続情報に応じて第1電子回路デバイス100内での信号と各アンテナ11との接続を切り替える。
<第2電子回路デバイス>
さらに、第2電子回路デバイス101は、前述した複数のアンテナ12と、デバッグ処理部211、接続情報生成部223と、接続切替部224と、IF231と、IF232と、バス233とを備えている。
アンテナ12及びドライバ161は、アンテナ11及びドライバ151と同様の機能を有する。各アンテナ12及びドライバ161は、第1電子回路デバイス100からアンテナ11を介して無線で伝送された信号を受信したり、逆に、第2電子回路デバイス101の内部で取り込んだ信号を第1デバイス100のアンテナ11に対して無線で送信したりする。このように、第2電子回路デバイス101の各アンテナ12及びドライバ161は、無線通信インタフェースとして機能し、第1デバイス100と無線による通信を行う。
また、アンテナ12にドライバ161を介して接続された接続切替部214は、接続切替部210と同様に機能する。なお、接続切替部214は、接続切替部210よりも多いアンテナに対応することができる構成にされている。
接続情報生成部213は接続情報生成部209と類似の構成及び機能を有する。接続情報生成部213の記憶部(図示省略)には、接続情報生成部209の記憶部209bに記憶されている情報と同種の情報が記憶されている。つまり、各アンテナ12の識別情報(アンテナ識別情報)、モジュール識別情報、及び接続パターンが記憶されている。
さらに、接続情報生成部213の記憶部には、第1デバイス100が備える各モジュールのモジュール識別情報と、第1デバイス101の各モジュールと第2デバイス101の各モジュールとの対応を示すモジュール対応情報とが記憶されている。モジュール対応情報は、例えば、後述する通信接続更新処理において、第1デバイス100の各アンテナ11の識別情報及び接続情報を取得した場合に用いられる。具体的には、第1デバイス100において各アンテナ11に接続される各モジュールと、第2デバイス101の各モジュールとが適切に組み合わされるように、モジュール対応情報に基づいて接続情報が生成される。
また、第2電子回路デバイス102は、デバッグ補助部204に指令を送るデバッグ処理部211、及びデバッグ処理部211と接続切替部214とを接続するIF(インタフェース)212を備えている。デバッグ処理部211は外部端子227を介して外部のホストPC(ホストパーソナルコンピュータ)228と接続されている。
さらにまた、第2電子回路デバイス102は、読み書き可能な揮発性メモリであるRAM(Random Access Memory)221(以下、単にメモリ221と呼ぶ)、および読み書き可能な不揮発性メモリであるフラッシュメモリ222(以下、単にメモリ222と呼ぶ)を備えている。メモリ221およびメモリ222は、第2電子回路デバイス101内の処理に使用するデータを蓄積するとともに、第1電子回路デバイス100から伝送されたデータを蓄積したり、逆に第1電子回路デバイス100に伝送するためのデータを蓄積したりする。
バス233には、デバッグ処理部211、接続情報生成部213、メモリ221、及びメモリ222が接続されている。
<アンテナの配置パターン>
複数のアンテナ12の配置パターンは、図4に示すように、マトリクス状に配置されている。具体的には、複数のアンテナ12は、交差する2つの方向である縦方向および横方向のそれぞれにおいて、等間隔に配置されている。なお、縦方向および横方向は、それぞれ、アンテナ12の外形を成している四角形の縦と横の辺に平行な方向である。一方、複数のアンテナ11の配置パターンは、縦方向および横方向のそれぞれにおいて、隣合う2つのアンテナ11の間隔が、隣合う2つのアンテナ12の間隔Dの自然数倍になるように配置されている。
このような配置パターンにより、第1デバイス100と第2デバイス101とを縦方向や横方向に相対移動させたり、90度単位で相対回転させたりして、位置関係を変えて無線通信を行うことが可能になる。
<<動作>>
第1及び第2電子回路デバイス100,101の動作について説明する。まず、第1及び第2デバイス100,101において、アンテナと各モジュールとを適切に接続させる通信接続更新処理について説明する。
なお、第1及び第2デバイス100,101は、図2下段に示したように、4つのアンテナ11と、4つのアンテナ12(1200,1202,1206,1208)とが対向した状態にされているものとする。
しかし、第1及び第2デバイス100、101は、どのアンテナ11と、どのアンテナ12とが対向しているかを知ることはできない。そのため、接続情報生成部209,213の各々によって通信接続更新処理を実行することにより、対向しているアンテナ11、12が調べられる。
<通信接続更新処理>
通信接続更新処理は、第1及び第2デバイス100,101間で試験的な無線通信(試験通信)を行い、その試験通信の結果に基づいて新たな接続情報を生成し、アンテナと各モジュールとを適切に接続させる処理である。
通信接続更新処理では、無線通信に使用するアンテナ11,12を選択するための試験通信処理と、選択されたアンテナ11,12を適切なモジュールに接続する接続処理とが含まれている。試験通信処理は、簡単に言えば、第1及び第2デバイス100,101の一方のアンテナから試験信号を送信するとともに、他方のアンテナで試験信号を受信する処理である。接続情報生成処理は、試験通信処理の結果に基づいて接続情報を生成する処理である。
ここで、接続情報生成部209,213は、例えば、バス201,233を通じて、通信接続更新処理の開始指令を受けた場合に、それぞれ通信接続更新処理を実行するものとする。なお、開始指令は、接続情報生成部209に、外部デバイス301から、外部端子208、及びI/O−IF207を介して伝送される。また、接続情報生成部213には、ホストPC228から、外部端子227、及びデバッグ処理部211を介して開始指令が伝送される。
図7は、通信接続更新処理のフローチャートである。
試験通信処理は、簡単に言えば、第1及び第2デバイス100,101のアンテナ11,12間で試験信号を送受信し、無線通信に使用するアンテナを選択する処理である。図7では、第1デバイス100の試験通信処理は、S11〜S14,S16に相当し、第2デバイス100の試験通信処理は、S21〜S24に相当する。
また、図7では、第1デバイス100の接続処理は、S15、S17に相当し、第2デバイス100の接続処理は、S24〜S26に相当する。
(a)第1デバイス100側の接続情報生成部209の処理
まず、接続情報生成部209の処理について説明する。
ステップS11において、各アンテナ11から試験信号が送信される。なお、本実施の形態において、試験信号を送信する一のアンテナ11が接続情報生成部209に接続され、設定時間Ta(例えば、0.1秒)ごとにアンテナ11の選択が切替えられる切替送信処理が行われる。例えば、接続情報生成部209に接続されるアンテナ11の選択が、アンテナ1100、アンテナ1101、アンテナ1102、アンテナ1103、アンテナ1100、アンテナ1101、・・・、というように、符号の昇順に、巡回的に選択される。
この切替送信処理は、各アンテナ11によって設定回数(例えば、3回)ずつ試験信号を送信した後、終了する。
なお、アンテナ11の選択、及び選択の切替えは、接続情報生成部209によって指示情報が生成され、その指示情報に従い接続切替部210が接続を切替えることで実行されている。また、選択されていないアンテナ11は、無接続状態にされる。
試験信号は、接続情報生成部209の情報通信処理部209aによって生成され、無線通信用IF部209dを介して接続切替部210に送信される。また、試験信号は、例えば、「110」を繰り返し送信する信号とすることができる。
S12において、受信検知部209eによって、各アンテナ11が試験信号を受信しているか否かを検知する受信検知処理が行われる。この受信検知処理は、後述するS23において第2デバイス101によって送信される試験信号を受信するために行われる。
受信強度は、電圧検出部152によって検出された各アンテナ11の電圧値である。そして、受信強度が、設定時間Taより短い期間Tb内において閾値を超えるアンテナ11は、試験信号を受信したと判断される。
この受信検知処理は、開始から設定時間Tc経過後、終了する。設定時間Tcは、例えば、後述するS23において第2デバイス101から試験信号が送信される期間よりも長くすることができる。
S13の判定処理により、受信強度が閾値を超えるアンテナ11が設定数(例えば、3つ)以上でない場合は、再度S11,S12の処理が行われる。受信強度が閾値を超えるアンテナ11が設定数以上である場合は、S14が実行される。
S14において、無線通信に使用するアンテナ11を選択する選択処理が行われる。この選択処理では、基本的に、受信強度が閾値を超えたアンテナ11が選択される。なお、第2デバイス101の一のアンテナ12によって送信された試験信号を、同時に複数のアンテナ11で受信している場合、通信品質の高いもの、例えば、受信強度が大きいアンテナ11を選択する。ここでは、例えば、全てのアンテナ11(1100〜1103)が選択されたものとする。
S15において、前述の接続パターンに基づいて接続情報が生成され、選択されたアンテナ11と複数のモジュールとの接続関係が規定される。この接続情報は、例えば、アンテナ1100,1101とデバッグ補助部206(IF217)とを接続し、アンテナ1102と接続情報生成部209とを接続し、アンテナ1103と無線通信用IF205とを接続するものであるとする。なお、前述のように、デバッグ補助部206のIF217は、2つのインタフェース回路を備えており、2つのアンテナ11を介して通信することが可能である。
S16において、S11の切替送信処理と同様の送信方法で、選択されたアンテナ11から、各アンテナ11の識別情報と、接続情報とが送信される。ここでは、接続情報は、各アンテナ11にどのモジュールが接続されるかを示す情報であり、例えば、各アンテナ11に接続されているモジュールの識別情報である。具体的には、アンテナ1100はデバッグ補助部206と接続されており、デバッグ補助部206の識別情報がアンテナ1100の接続情報となる。この場合、アンテナ1100から、アンテナ1100の識別情報と、デバッグ補助部206の識別情報とが送信される。つまり、各アンテナ11の識別情報と、接続情報とが送信されるとは、各アンテナ11の識別情報と、各アンテナ11に接続されるモジュールの識別情報とが送信されることといえる。
他のアンテナ1101〜1103でも同様に、アンテナ11の識別情報と、モジュール(接続情報生成部209など)の識別情報とが送信される。デバッグ補助部206のIF217には2つのアンテナ11を接続できることから、デバッグ補助部206に2つの識別情報が割り当てられている。
S17において、S15で生成された接続情報に基づき指示情報が生成される。この指示情報が接続切替部210に送られ、接続切替部210によって接続が切替えられる。
(b)第2デバイス101の接続情報生成部213の処理
一方、S21において、接続情報生成部213の受信検知部209eによって、前述のS12と同様の各アンテナ12の受信強度を検出する受信検知処理が行われる。この受信検知処理によって、第1デバイス100側から送信される試験信号を受信したアンテナ12を検知することができる。なお、この受信検知処理は、設定数(例えば、3つ)以上のアンテナ12について受信強度が閾値を超えるまで終了しない(S22)。また、いずれか1つのアンテナ12の受信強度が閾値を超えた後、設定時間Tdの間は設定数(例えば、3つ)以上のアンテナ12について受信強度が閾値を超えても終了しないものとする。ここで、設定時間Tdは、第1デバイス100において、S11とS12とが実行される時間よりも長く設定されている。
S22において、上記S14と同様に、無線通信に使用するアンテナ12を選択する選択処理が行われる。ここでは、例えば、4つのアンテナ12(1200,1202,1206,1208)が選択されたものとする。
S23において、上記選択された3つのアンテナ12で、前述のS11と同様の切替送信処理が行われ、試験信号が送信される。この切替送信処理は、S11とS12とが実行される時間よりも長い期間行われる。
S24において、第1デバイス100からの情報送信の受信待ちを行う。こことき、選択されたアンテナ12のうち、接続情報生成部213に接続するものを設定時間間隔で切替えながら受信する切替受信処理が行われる。この切替受信処理では、第1デバイス100の一のアンテナ11による1回の送信時間Taの間に、選択された各アンテナ12によって少なくとも1回ずつ受信できるように切替が行われる。具体的には、選択されたアンテナ12の数をN個とすると、送信時間TaをN+1で除した時間以下の時間間隔で接続が切替えられる。また、上記時間間隔は、第1デバイス100から送信される識別情報および接続情報を取得可能な時間以上にされる。これにより、送信時間Taの間に、確実に各アンテナ12によって少なくとも一回ずつ受信を行うことができる。
なお、切替受信処理は、接続情報生成部213から接続切替部213に、自己に接続するアンテナ12を順に変更する指示情報を所定時間間隔(後述する)で送ることで実行される。また、接続情報生成部213に接続されるアンテナ12は、例えば、S11の切替送信処理と同様に、符号の昇順に、巡回的に選択される。なお、選択されたアンテナ12以外のアンテナ12は無接続状態にされる。
ここで、切替受信処理において、選択された一のアンテナ12を介して、そのアンテナ12と対向する一のアンテナ11から送信された識別情報および接続情報が受信される。そして、受信したアンテナ12の識別情報と、アンテナ11から送信された識別情報および接続情報とが、対応付けられて記憶部209bに記憶される。この対応付けにより、対向するアンテナ11とアンテナ12とがペアにされる。
S25において、第1デバイス100から送信された識別情報および接続情報に基づき、第2デバイス101側の接続情報が生成される。このとき、記憶部のモジュール対応情報が参照され、第1デバイス100側のモジュールと、第2デバイス101側のモジュールとを適切に接続する接続関係(各アンテナ12と各モジュールとの接続関係)が定められ、記憶される。
具体的には、例えば、アンテナ1200を介して、アンテナ1100の識別情報および接続情報が受信されたとする。アンテナ1100にはデバッグ補助部206が接続されているため、アンテナ1200にデバッグ処理部211を接続させる接続関係が定められる。その他、アンテナ1101とペアになるアンテナ1208にはメモリ222を接続し、アンテナ1102とペアになるアンテナ1202には接続情報生成部213自身を接続し、アンテナ1103に対向するアンテナ1206にはメモリ221を接続する接続関係が定められる。これら4つのアンテナ12以外のアンテナは、無接続状態にされる。
S26において、上記接続情報に基づいて指示情報が生成される。この指示情報が接続切替部214に送られると、接続切替部214によって接続が切替えられる。
(c) 以上の処理によって、第1及び第2デバイス100,101のそれぞれにおいて、アンテナとモジュールとが適切に接続される。この後、接続情報生成部209,213は、無線通信が可能になったことをバス201、233を介してデバッグ補助部206、デバッグ処理部211に通知する。そして、デバッグ処理部211によってデバッグ処理が開始される。そして、アンテナとモジュールとが適切に接続されたことで、例えば、デバッグ処理において、デバッグ補助部206と、デバッグ処理部211あるいはメモリ222との間でデータ通信を行うことが可能になる。また、無線通信用IF205とメモリ221との間でデータ通信を行うことが可能になる。
この場合、例えば、無線通信用IF205とメモリ221(IF231)とは、1組のアンテナのペアを介して半二重通信を行う。よって、無線通信用IF205等は、スイッチ210aと同様のスイッチ(図示省略)を介してドライバ151に接続され、ドライバ151の送信状態と受信状態とを切替えるものとすることができる。
なお、デバッグ処理についての説明は省略する。
<位置ずれ検知処理>
次に、例えば、デバッグ処理の実行中において、接続情報生成部209,213によって実行される位置ずれ検知処理について説明する。
上記通信接続更新処理によって、アンテナ11,12とモジュールとが適切に接続された。しかし、一旦第1及び第2デバイス100,101を設置し、接続関係を設定した後であっても、位置関係を変更する場合があり得る。
このような場合、ホストPC228及び外部デバイス301によって、通信接続更新処理を再度行うように指示することも可能な場合もあるが、自動的に通信接続更新処理が行われると電子回路システムの利便性が向上する。
そこで、位置ずれ検知処理によって、第1及び第2デバイス100,101の位置関係が変わったことを検知すれば、自動的に通信接続更新処理を行うことができる。
位置ずれ検知処理は、第1デバイス100と第2デバイス101との間で、ペアとなるアンテナを介して接続確認用の信号である確認信号を間欠的に送受信し、接続を確認する処理である。位置ずれ検知処理は、通信接続更新処理が行われた後、接続情報生成部209,213の各々の情報通信処理部によって持続的に実行され、第1及び第2デバイス100,101間の接続を監視する。
ここで、通信接続更新処理で説明した例のように、位置ずれ前において、接続情報生成部209,213がアンテナ1102,1202を介して無線通信が可能な場合を想定する。接続情報生成部209,213は、設定時間Te間隔(例えば、0.1秒)で確認信号を交互に送受信する。そして、接続情報生成部209,213の各々は、確認信号を送信した後、設定時間Tf(例えば、Teの2倍)経過しても、確認信号の強度が確認信号の閾値以下である場合に位置関係が変わったと判断して通信接続更新処理を実施する。なお、確認信号を送信した後、設定時間Tf経過しても、通信対象のデバイスから確認信号が送られてこない場合も、確認信号の強度が確認信号の閾値以下であると判断される。
位置ずれが検知された場合、接続情報生成部209,213は、通信接続更新処理を実行する。以下に、位置ずれが生じた場合の具体例を説明する。
例えば、図8に示すように、第2デバイス101が図8(a)に示す位置関係から、図面の上方向にずれて、図8(b)に示す位置関係になったとする。すると、第1デバイス100の各アンテナ11と第2デバイス101の各アンテナ12との位置関係も変化する。例えば、アンテナ1100に対してアンテナ1204が対向するように位置関係が変化する。すると、アンテナ11とアンテナ12との通信における接続状況も変化するため、確認信号の強度が閾値以下となり、上記位置ずれ検知処理によって位置ずれが検知される。そのため、通信接続更新処理が行われ、接続情報生成部209および接続情報生成部223は、この変化に基づき接続情報を更新する。さらに、この接続情報の更新によって、接続切替部210および接続切替部224は、内部の伝送対象の信号とアンテナ11、12とを新たな接続へと切り替える。
このような動作によって、例えば、第2電子回路デバイス101が上方向にずれたとすると、第1電子回路デバイス100のIF217の信号Dt2が、アンテナ1100とアンテナ1212との新たなペアを介し、第2電子回路デバイス101のメモリ222に蓄積されることになる。特に、本実施の形態では、第2電子回路デバイス101のアンテナの個数を伝送対象の信号の分類の個数よりも多くしているため、第1電子回路デバイス100と第2電子回路デバイス101との配置関係においてずれが生じても、無線通信が機能しなくなるような不都合を抑制できる。
<その他>
本実施の形態において、第1デバイス100のアンテナ11の個数は、最低限伝送対象の信号の個数としている。一方、第2デバイス101のアンテナ12の個数を第1デバイス100のアンテナ11の個数よりも多くしている。このような構成により、本電子回路システムは、電子回路デバイス間で無線接続に利用するアンテナを一意に特定せずに、電子回路デバイス間で密着型の無線通信を行うことができる。よって、本電子回路システムは、電子回路デバイス間の位置関係の制約及びアンテナの数や配置の制約を受けにくいものとなっている。
このように、本電子回路システムは、第1デバイス100と第2デバイス101との位置関係において変化が生じたとしても、新たなアンテナ間のペアへと更新するように動作する。このため、デバイス間の位置関係に影響されにくく、容易に非接触でデバイス間のデータ通信を行うことができる。
なお、本実施の形態では、伝送対象の信号として信号Dt1とDt2と2つとした例を挙げているが、1つであっても複数であってもよい。電子回路の信号の個数は、信号の特性に応じた分類に基づく個数としても構わない。
また、接続情報生成部が、第1デバイス100のアンテナの個数と第2デバイス101のアンテナの個数とに基づき、信号の分類の個数を決定するような構成としてもよい。すなわち、アンテナの個数に余裕があるような場合、例えば、信号Dt1を複数のアンテナペアによりパラレルに伝送するような構成としてもよい。
以上説明したように、本実施の形態の電子回路システムは、第1デバイス100とデバイス101とで構成される。そして、第1デバイス100が、複数のアンテナ11と、電子回路デバイス間でのアンテナどうしのペアを決定し、決定したペアに関する接続情報を生成する接続情報生成部209と、接続情報に応じて伝送対象の信号とアンテナ11との接続を切り替える接続切替部210とを備える。また、第2デバイス101が、複数のアンテナ12と、電子回路デバイス間でのアンテナどうしのペアを決定し、決定したペアに関する接続情報を生成する接続情報生成部223と、接続情報に応じて伝送対象の信号とアンテナ12との接続を切り替える接続切替部224とを備える。このような構成により、第1デバイス100と第2デバイス101との位置関係に変化が生じたとしても、接続情報生成部209、223、および接続切替部210、224の動作によって、新たなアンテナどうしのペアへと更新される。このため、デバイス間の位置関係やデバイスのサイズに影響されず容易に非接触でデバイス間のデータ通信を行うことができる。
上記位置ずれ検知処理は、第1及び第2デバイス100,101が確実に固定されていなかったり、ユーザがデバッガ装置にぶつかったりするなどのアクシデントによって、デバッグ処理の途中で第1デバイス100と第2デバイス101との位置がずれる場合にも有効である。なお、通信接続更新処理で、通信可能なアンテナのペアがない場合に、外部デバイス等にエラーを出力するようにしてもよい。
[変形例1]
上記実施の形態において、アンテナ11の数は4つであったが、アンテナ11の数が3以下でもよいし、5以上でもよい。
図9(a),(b)に、第1デバイス100のアンテナ11を3つにした変形例を示す。なお、本変形例の第1電子回路デバイス105,106は、アンテナ11の数と配置パターンが異なる以外は第1デバイス100と同様であるので、異なる部分について説明する。
図9(a)に示すように、第1電子回路デバイス105(以後、第1デバイス105)は、3つのアンテナ15を備えている。この3つのアンテナ15は、正方形の4つの頂点のうちの3つの頂点の位置に配置されている。また、3つのアンテナ15の各々は、それぞれ第2デバイス101の複数のアンテナ12のいずれか1つに対向している。
この例では、縦方向及び横方向において、相隣合う2つのアンテナ15の間隔が、相隣合う2つのアンテナ12の間隔と同じにされている。
また、図9(b)に示すように、第1電子回路デバイス106(以後、第1デバイス106)は、3つのアンテナ16を備えている。この3つのアンテナ16は、縦方向に直列に配置されている。また、3つのアンテナ16の各々は、それぞれ第2デバイス101の複数のアンテナ12のいずれかに対向している。
この例では、縦方向において、相隣合う2つのアンテナ15の間隔が、相隣合う2つのアンテナ12の間隔と同じにされている。
上記2つの第1デバイス105,106であっても、実施の形態1と同様に、通信接続更新処理によって、アンテナ15,16とモジュールとの接続関係を自動的に設定することができる。また、位置ずれ検知処理によって、第1デバイス105,106と第2デバイス101との位置関係の変化を検出し、再度通信接続更新処理を行うことも可能である。
また、第2デバイス101のアンテナ数を第1デバイス100、105、106のアンテナ数よりも多くしているため、第1デバイス100が変更されても、接続情報を更新することで、無線通信を可能とする。すなわち、本実施の形態では、第2電子回路デバイスに対して第1電子回路デバイスのアンテナの数や配置が変更されてもそれぞれに無線通信が可能である。よって、電子回路デバイスのサイズや種類などに影響されず、容易に密着型の無線通信で電子回路デバイス間の通信接続を行うことができる。
[変形例2]
上記実施の形態1及び変形例において、アンテナ12がマトリクス状に配置されていたが、その他の配置パターンにしてもよい。
図10(a),(b)に、第1電子回路デバイス108(以下、第1デバイス)、第2電子回路デバイス107(以下、第2デバイス)のアンテナの配置パターンを示す。なお、本変形例の第1デバイス108は、アンテナの数と配置パターンが異なる以外は第1デバイス100と同様であるので、異なる部分について説明する。
図10(a)に示すように、第2デバイス107の複数のアンテナ17は、2つの同心円の中心位置と、2つの同心円の周上に配置されている。
一方、第1デバイス108の複数のアンテナ18は、直列に並べられている3つのアンテナ1801,1802,1803である。そして、アンテナ1801,1803が、複数のアンテナ17のいずれかと対向している。この場合、通信接続更新処理が行われると、アンテナ1801,1803がモジュールに接続され、2つのアンテナ18を介して密着型の無線通信が行われることとなる。
ここで、アンテナ1801とアンテナ1802との間隔は、上記2つの同心円のうちの小さい円107aの半径と等しくされている。また、アンテナ1801とアンテナ1803との間隔は、大きい円107bの半径と等しくされている。
このような構成により、第1デバイス108と第2デバイス107とを、アンテナ1801,1701を中心に相対回転させると、アンテナ1802は小さい円107aの周上を移動し、アンテナ1803大きい円107bの周上を移動することとなる。そして、アンテナ1802とアンテナ1803との一方がアンテナ17と対向する位置で相対回転を停止させれば、2つのアンテナ18による無線通信ができる。
図10(b)は、第1デバイス108と、第2デバイス107とが、アンテナ1801,1701を中心に相対回転させられた後の状態を示す。この状態において、アンテナ1801,1802が、アンテナ1701,1702と対向している。このように、本変形例の電子回路システムでは、第1デバイス108と第2デバイス107とを相対回転させて位置関係を変化させた後も、2組のアンテナのペアによって無線通信を行うことができる。
[変形例3]
前記実施の形態1の通信接続更新処理において、試験信号の送受信によって無線通信に使用するアンテナが選択されていた。その試験信号を、各アンテナの識別情報にすることができる。また、前記実施の形態1の接続情報生成部209,213は、一のアンテナから試験信号を送信していたが、一度に全てのアンテナから試験信号を送信することとしてもよい。
本変形例の第1電子回路デバイス(以後、第1デバイス)、第2電子回路デバイス(以後、第2デバイス)は、それぞれ前記第1デバイス100、第2デバイス101と同様であるので、異なる部分について説明する。なお、本変形例の第1デバイス、第2デバイスは、前記第1デバイス100、第2デバイス101と部分的に異なっているが、図面上大きな差はない。よって、本変形例においても、第1デバイス、第2デバイスに実施形態1と同じ符号(100,101)を付すこととする。
<構成>
図11は、接続情報生成部309(あるいは接続情報生成部313)の構成を模式的に示すブロック図である。
本変形例の接続情報生成部309,313は、前記実施の形態1の接続情報生成部209と同様の構成を備えている。ただし、無線通信用IF部309dは、アンテナ11と同数(この例では、4個)のインタフェース回路を備えており、各インタフェース回路は、それぞれ一のアンテナ11と接続されている。よって、無線通信用IF部309dは、全てのアンテナ11と個別に信号の送受信を行うことができる。接続情報生成部313の無線通信用IF部もアンテナ12と同数のインタフェース回路を備えており、全てのアンテナ11と個別に信号の送受信を行うことができる。
また、接続情報生成部309の情報通信処理部309aは、4つのアンテナ11のそれぞれに送る信号を生成し、あるいは、4つのアンテナ11を介して受信された信号を処理することができる。また、第2デバイス101の接続情報生成部313は、接続情報生成部309と同様に、16個のアンテナ12の各々と個別に信号を送受信し得るものである。
そして、接続情報生成部309,313は、全てのアンテナを接続情報生成部自信に接続させる指示情報を接続切替部210,213に送信し、接続切替部210,213によってアンテナの接続を切替えることができる。
<通信接続更新処理2>
上記接続情報生成部309,313によって行われる通信接続更新処理2について、以下に説明する。なお、本変形例の通信接続更新処理の後に2を付して、前記実施の形態1の通信接続更新処理と区別することとする。
図12は、本変形例3における電子回路システムの通信接続更新処理2のフローチャートである。
接続情報生成部309、313は、例えば、電源投入直後、マイコン動作直後や所定の時間間隔ごとに通信接続更新処理2を実行し、各アンテナ間の接続関係の確認を行う。ここで、アンテナ11を構成する複数のアンテナはそれぞれ識別情報を有している。アンテナ12を構成する複数のアンテナもそれぞれ識別情報を有している。接続情報生成部309、313は、それぞれの記憶部209bに各アンテナの識別情報を記憶している。そして、接続情報生成部309および接続情報生成部313は、これらの識別情報を利用して接続関係の確認や、接続情報の生成を行う。なお、前記実施の形態1で通信接続更新処理について詳細に説明したため、通信接続更新処理2については簡潔に説明する。
通信接続更新処理2は、第1デバイス100と第2デバイス101との間で送受信を行いながら進行する。よって、図12のフローチャートには、第1デバイス100の接続情報生成部309の処理と、第2デバイス101の接続情報生成部313の処理が記載されている。接続情報生成部309の処理は、S201,S204〜S207,S210である。また、接続情報生成部313の処理は、S202,S203,S208,S209である。
まず、第1デバイス100の接続情報生成部309は、各アンテナ11からそれぞれの識別情報を、第2デバイス101に向けて送信する。ここで、第1デバイス100と第2デバイス101との配置関係が図2に示した状態の場合、アンテナ1100、1101、1102、1103それぞれに対して、対向した第2デバイス101のアンテナ1200、1208、1202、1206それぞれに、識別情報が伝送される(ステップS201)。
次に、第2デバイス101の接続情報生成部313は、第1デバイス100からの識別情報について、各アンテナ12のうち、いずれのアンテナで受信したかを記憶する(ステップS202)。さらに、接続情報生成部313は、第1デバイス100のアンテナ11に、識別情報の受信結果を第2デバイス101側の受信結果とし、第2デバイス101の各アンテナ12の識別情報とともに第2デバイス101受信結果を送信する(ステップS203)。
次に、第1デバイス100の接続情報生成部309は、第2デバイス101から送られた第2デバイス101受信結果および各アンテナ12の識別情報とともに、第1デバイス100の各アンテナ11の受信結果を第1デバイス100受信結果として記憶する(ステップS204)。その後、第1デバイス100の接続情報生成部309は、アンテナ11とアンテナ12との間の有効なペアの判定処理を行う。この判定結果において、有効と判定されたペアが存在しない場合は処理を終了する(ステップS205)。
このような、有効ペアの判定処理は、アンテナを介した通信の通信品質に基づき、ペアとするアンテナを決定する。より具体的には、1つのアンテナに対し、複数のアンテナが受信してしまう場合は、例えば感度の高い方(例えば、受信強度が高い方)あるいはエラーレートの低い方など、受信可能なアンテナより、いずれか通信品質のよい方のアンテナを一意的に選択し採用すればよい。
有効と判定されたペアが存在する場合は、接続情報生成部309は、第1デバイス100内の伝送対象の信号と有効とされたアンテナ11との接続情報を更新する(ステップS206)。次に、第1デバイス100の接続情報生成部309は、第1デバイス100の接続情報を第2デバイス101に送信する(ステップS207)。
第2デバイス101の接続情報生成部313は、第1デバイス100の接続情報を受信する。さらに、接続情報生成部313は、受け取った第1デバイス100の接続情報を参照して、有効なペアとして認識されたアンテナ1200、1208、1202、1206とメモリ221、222との割付を行う。そして、接続情報生成部313は、その割付に適切に対応するように、第2デバイス101の接続情報を更新する(ステップS208)。その後、接続情報生成部313は、第2デバイス101の接続情報の更新結果を第1デバイス100に送信する(ステップS209)。
最後に、第1デバイス100の接続情報生成部309は、第2デバイス101の更新結果を受信し、通信接続更新処理を終了する(ステップS210)。
以上に述べた通信接続更新処理2によって、迅速かつ容易にアンテナとモジュールとを適切に接続することができる。
なお、電源立ち上げ時やデバッグの開始時などアンテナ11とアンテナ12とのペアが決まっていないときに、情報を伝送したい場合は、全てのアンテナから所望の同じ情報を送信し、いずれかのアンテナで受信すればよい。
[実施の形態2]
上記実施の形態1において、第2デバイス101がデバッグ処理を行う電子回路デバイスとされていたが、メモリデバイスとすることもできる。
図11は、本実施の形態2の第1電子回路デバイス110(以後、第1デバイス)及び、第2電子回路デバイス111(以後、第2デバイス)を含む電子回路システムの構成を示すブロック図である。なお、第1デバイス110は前記第1デバイス100と共通する構成を備え、第2デバイス111は前記第1デバイス101と共通する構成を備えているため、図1および図2と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略、あるいは簡略化する。
本実施の形態において、第1デバイス110はマイクロコンピュータを構成する電子回路を含むLSI等の集積回路である。第2デバイス111は、メモリ装置を構成する電子回路を含むLSI等の集積回路である。
以下に、第1デバイス110及び第2デバイス111について説明する。
<<構成>>
<第1電子回路デバイス>
まず、第1デバイス110では、図13に示すように、バス201に、CPU202、コア処理部241、デバッグ補助部206および外部IF242が接続されている。CPU202、デバッグ補助部206は実施の形態1と同じである。なお、本実施の形態において、デバッグ処理を行わないが、デバッグ補助部206は第2デバイス111との通信に用いられる。コア処理部241は、コア処理部241内に設けたメモリ(図示せず)へのデータ書込みや読出し処理を行う。また、外部IF242は、バス201と外部端子243との間に配置され、第1デバイス110の外部に接続されたデバイス220とバス201との信号の授受を仲介する処理(インタフェース処理)を行う。
第1デバイス110は、さらに、外部端子245を有しており、コアIF246がコア処理部241と外部端子245との間に配置されている。コアIF246は、外部に接続されたデバイス219とコア処理部241との信号の授受を仲介する処理(インタフェース処理)を行う。メモリIF247は、コア処理部241のメモリに対してCPU202などがアクセスするときの信号の授受を仲介する処理(インタフェース処理)を行う。
また、第1デバイス110は、さらに、デバッグIF(インタフェース)248を有しており、デバッグIF248によってデバッグ補助部206と接続切替部210とを接続している。
上記メモリIF247、及びデバッグIF248は、シリアル−パラレル変換処理や、データのバッファなどの信号の授受を仲介する処理を行う。
本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、接続情報生成部209の指示情報を接続切替部210に送ることで、アンテナ11とモジュール(メモリ221,222)との接続を切替えることができる。
例えば、接続情報生成部209が指示情報により、デバッグIF248(信号Dt2)をアンテナ1100に接続し、メモリIF247(信号Dt1)をアンテナ1103に接続するように指示すると、接続切替部210は、これに応じた信号接続を行う。これによって、デバッグIF247から出力される信号Dt2がアンテナ1100によって伝送され、メモリIF245から出力される信号Dt1がアンテナ1103によって伝送される。このように、接続切替部210は、接続情報に応じて第1デバイス100内での信号と各アンテナ11との接続を切り替える。言い換えると、第1デバイス100内の電子回路モジュール(デバッグ補助部206、メモリIF247等)と、アンテナ11との接続を切り替える。
<第2電子回路デバイス>
さらに、第2デバイス111は、複数のアンテナ12と、接続情報生成部223と、接続切替部224と、メモリIF231と、メモリIF232とを備えている。図13では、複数のアンテナ12のうち、アンテナ1200、1201、1202、1203、1204、1206、1208に符号を付している。
アンテナ12、および接続切替部224は実施の形態1と同じである。メモリIF231、及びメモリIF232は、それぞれ実施の形態1のIF231、IF232と同じ機能を備えている。
<<動作>>
本実施の形態においても、前記実施の形態1と同様に、通信接続更新処理が行われ、アンテナとモジュールとの接続が更新される。通信接続更新処理については前記実施の形態1と同じであるため、接続更新後の信号の流れについて説明する。
接続切替部224は、各アンテナ12と接続されており、各アンテナ12からの信号が供給される。さらに、接続切替部224は、メモリインタフェースであるメモリIF231を介してメモリ221に接続され、メモリ221に対して信号を供給する。また、接続切替部224は、メモリインタフェースであるメモリIF232を介してメモリ222に接続されており、メモリ222に対して信号を供給する。
このように、メモリおよびIFが2つに区分されており、メモリ221とメモリ222とに、異なる種別の信号を伝送し、分類して格納することができる。例えば、メモリ221とメモリ222とに、互いに異なるモジュールから信号を送信することが可能である。
なお、伝送対象の信号は、アンテナ12、接続切替部224、メモリIF231,232の順に伝送される。よって、接続切替部224によって、適切なアンテナ12をメモリIF231,232に接続させることで、メモリ221、222に適切な信号を伝送することができる。なお、接続切替部224は、接続情報生成部223から送信された指示情報に従い各アンテナ12と、メモリ221およびメモリ222との接続を切り替える。
例えば、接続情報生成部223から送信された指示情報が、アンテナ1200をメモリ221(メモリIF231を介して)に接続し、アンテナ1206をメモリ222(メモリIF232を介して)に接続するように指示すると、接続切替部224は、これに応じた信号接続を行う。これによって、アンテナ1200を介して受信された信号Dt1がメモリ221に蓄積され、アンテナ1206を介して受信された信号Dt2がメモリ222に蓄積される。このように、接続切替部224は、指示情報に応じて、各アンテナ12と第2デバイス101内の信号の伝送先との接続を切り替える。
また、図13では、第1デバイス100と第2デバイス101との配置関係において、アンテナ1100と1200、1101と1208、1102と1202、および1103と1206とのアンテナが近接してそれぞれ対となった一例を挙げている。
また、第1デバイス100の接続切替部210は、指示情報に基づき、例えば、デバッグIF248の信号Dt2がアンテナ1100に伝送されるように接続するとともに、第2デバイス101の接続切替部224は、指示情報に基づき、アンテナ1200からの信号をメモリIF232を介してメモリ222に蓄積するように接続する。このようにして、例えば、第1デバイス100のデバッグIF248のデバッグ用の信号Dt2が、第2デバイス101のメモリ222に無線通信を介して蓄積される。
なお、以上の説明では、第1デバイス100から第2デバイス101へとデータが伝送される例を用いて説明したが、第2デバイス101から第1デバイス100へとデータが伝送されたり、さらに、双方向にデータが伝送されたりするような構成であってもよい。例えば、第1デバイス100のデバッグ用データが、第2デバイス101のメモリ221に蓄積されるとともに、第2デバイス101のメモリ222に蓄積されたデバッグ結果のデータが、第1デバイス100のデバッグ補助部206に伝送されるような構成にも本発明を適用できる。
上記の例において、接続情報にペアとなるアンテナの情報を含ませることもできる。具体的には、例えば、接続情報生成部209は、アンテナ1100〜1103が通信した通信間の接続、すなわち、アンテナ1100と1200、1101と1208、1102と1202、および1103と1206とが接続されてペアになったとする接続情報を生成する。一方、接続情報生成部223は、アンテナ1200、1208、1202、1206が通信した通信間の接続、すなわち、アンテナ1200と1100、1208と1101、1202と1102、および1206と1103とが接続されてペアになったとする接続情報を生成する。
上記アンテナのペアの情報が接続情報に含まれている場合、接続情報生成部209と接続情報生成部223との一方から他方に、接続関係の変更を要求することができる。例えば、接続情報生成部209から接続情報生成部223に、アンテナ1208をメモリ222に接続させる要求を行うことなどである。この場合、接続情報生成部209はメモリ222の識別情報を記憶しているものとする。
以上で実施の形態2の説明を終了する。
[実施の形態3]
上記実施の形態1において、第1デバイス100と第2デバイス101とが1対1で接続されていたが、第1デバイス100と第2デバイス101との一方に複数の電子回路デバイスを密着型の無線通信によって接続することもできる。
図14は、本実施の形態の第1電子回路デバイス110(以後、第1デバイス)、第2電子回路デバイス112(以後、第2デバイス)、および第3電子回路デバイス113(以後、第3デバイス)を含む電子回路システムの構成を示すブロック図である。第2デバイス112及び第3デバイス113は、それぞれLSI等の集積回路として実現されている。
なお、第1デバイス110は前記実施の形態2の第1デバイス110と同じであり、第2、及び第3デバイス112,113は前記第1デバイス111と共通する構成を備えている。よって、前記実施の形態2と同じ構成には前記実施の形態2の符号を付して説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
図15は、第1、第2、及び第3デバイス110、112,113のアンテナの配置パターンを模式的に示す図である。
第2デバイス112は、アンテナ1302、1308を含む複数のアンテナ13を備えている。アンテナ13は、実施の形態1のアンテナ11やアンテナ12と同様の機能を有する。接続情報生成部213は接続情報及び指示情報を生成し、接続切替部214は、指示情報に応じて各アンテナ13とデバッグIF212を介したデバッグ処理部211との接続を切り替える。
第3デバイス113は、アンテナ1400から1411のアンテナ14を備えている。アンテナ14は、実施の形態1のアンテナ11やアンテナ12と同様の機能を有する。そして、実施の形態1、2の第2電子回路デバイス101と同様に、接続情報生成部223は接続情報及び指示情報を生成し、接続切替部224は、指示情報に応じて各アンテナ14とメモリ221、222との接続を切り替える。
このように構成された第1デバイス110、第2デバイス112及び第3デバイス113が、例えば、図15の下段に示すように配置される。この場合、第1デバイス110の一部のアンテナ1102,1103が第2デバイス112の一部のアンテナ13と対向している。また、第1デバイス110の他の一部のアンテナ1100,1101が第3デバイス113の一部のアンテナ14と対向している。
この状態で、第1デバイス110は、第2デバイス112及び第3デバイス113と順番に通信接続更新処理を行い、接続関係を設定する。その結果、第1デバイス110と第2デバイス112とは、アンテナ1100と1302、アンテナ1101と1308のペアで無線接続される。さらに、第1デバイス110と第3デバイス113とは、アンテナ1102と1403、アンテナ1103と1406のペアで無線接続される。
このように、第1デバイス110は、第2デバイス112及び第3デバイス113の両者と無線通信を行うことができる。
このような構成であっても、第1デバイス110及び第3デバイス113は、それぞれにおいて、実施の形態1と同様の通信接続更新処理を行うため、第1デバイス110と、第2デバイス112及び第3デバイス113との位置関係に変化が生じたとしても、新たなアンテナ間のペアへと更新するように動作する。このため、デバイス間の位置関係やデバイス間におけるアンテナの数や配置パターンの違いに影響されず容易に非接触でデバイス間のデータ接続を行うことができる。このように、1つの電子回路デバイスに対して、複数の電子回路デバイスを組み合わせることが可能である。
また、例えば、第1デバイス110におけるデバッグIF248の信号を、アンテナ1100と1302、アンテナ1101と1308のペアに分離して第1デバイス110に伝送し、メモリIF247の信号を、アンテナ1102と1313、1103と1316のペアに分離して第3デバイス113に伝送するような構成とすることも可能である。
[実施の形態4]
前記実施の形態では、各電子回路デバイスが密着型の無線通信機能を有していた。これに対して、電子回路デバイスから無線通信機能を分離し、無線通信デバイスとすることもできる。
図16は、2つの無線通信デバイス114,115を含む無線通信システムの構成を示すブロック図である。図16において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
本実施の形態では、第1無線通信デバイス114と、第2無線通信デバイス115とで構成された無線通信システムの一例を挙げて説明する。第1及び第2無線通信デバイス114,115は、LSI等の集積回路として実現されている。
第1無線通信デバイス114は、アンテナ2304、2305を含む複数のアンテナ135を備えている。アンテナ135は、実施の形態1のアンテナ11と同様の機能を有する。また、接続切替部210には無線通信用IF281を介して外部のデバイス236に接続されている。
第2無線通信デバイス115は、アンテナ2308、2309を含む複数のアンテナ136を備えている。アンテナ136は、実施の形態1のアンテナ12と同様の機能を有する。また、接続切替部224には無線通信用IF281を介して外部のデバイス237に接続されている。
このような構成によれば、無線通信インタフェースを持たないデバイス236、237においても、本電子回路システムを利用して、無線通信を可能とする。
第1及び第2無線通信デバイス114、115は、例えば、後述するように携帯電話機やディスプレイ等の電子機器に組み込んで使用することができる。
[実施の形態5]
前記実施の形態において、2つの電子回路デバイス、あるいは2つの無線通信デバイスのアンテナは、互いに同じ大きさにされていたが、大きさを異ならせることもできる。
図17は、第1無線通信デバイス120及び第2無線通信デバイス121からなる無線通信システムのアンテナの配置パターンを模式的に示す図である。また、図18は、第1無線通信デバイス120と第2無線通信デバイス121とを重ねた状態のアンテナの配置を模式的に示す図である。なお、図17(b)は、第2無線通信デバイス121を底面(アンテナが配置されていない面)側から眺めた場合の配置パターンを示している。よって、第2無線通信デバイス121を天面(アンテナが配置されている面)側から眺めた場合、アンテナの配置パターンは図17(b)の鏡像の配置パターンとなる。
第1及び第2無線通信デバイス120,121の構成は、アンテナの大きさや数が異なる点などを除けば、前記実施の形態4の図16と同様であるため図示を省略する。なお、第1及び第2無線通信デバイス120,121は、LSI等の集積回路として実現されている。
<構成>
第1無線通信デバイス120は、サイズの大きい2つの送信アンテナ20と、サイズの小さい複数の受信アンテナ21とを備えている。2つの送信アンテナ20は、第1無線通信デバイス120の中央を原点とするXY座標を想定すると、第2象限及び第4象限に1つずつ配置されている。複数の受信アンテナ21は、第1象限及び第3象限に、それぞれ複数ずつマトリクス状に配列されてアンテナ群22を形成している。第2無線通信デバイス121のアンテナについては、送信アンテナ30と受信アンテナ31(あるいは受信アンテナ群32)との配置場所が異なる以外は第1無線通信デバイス120と同様である。
なお、送信アンテナ20、30は、送信用のドライバを介して接続切替部210、224に接続され、受信アンテナ21、31は受信用のドライバを介して接続切替部210、224に接続される。
図18(a)に示すように、送信アンテナ20は、マトリクス状に配列された4つの受信アンテナ21を囲む大きさにされている。これにより、送信アンテナ20が、複数の受信アンテナ21が配置された範囲内に対向している場合、確実に複数の受信アンテナ21のいずれかと対向することとなる。例えば、送信アンテナ20が図18(a)の記号Aで示す位置にあったとしても、送信アンテナ20に囲まれた領域内に1つの受信アンテナ21が位置している。
よって、図18(b)に示すように、送信アンテナ20と受信アンテナ群32とを対向させ、送信アンテナ30と受信アンテナ群22とを対向させる場合、比較的位置合わせの精度を低くできる。すなわち、本実施の形態では、第1及び第2無線通信デバイス120,121の位置関係を正確に調節することなく、無線通信を行うことができる。本実施の形態は、正確な位置決めを行うことが困難な場合に好適である。
<動作>
第1及び第2無線通信デバイス120,121の接続情報生成部209,223は、前記実施の形態1における通信接続更新処理1と類似の通信接続更新処理3を行う。なお、本実施の形態において、接続情報生成部209,223の無線通信用IF部は、送信アンテナが接続される送信用IF部と、受信アンテナが接続される受信用IF部とを備えており、信号の送信と受信とを同時に行うことができるものとする。
図19は、通信接続更新処理3の流れを示すフローチャートである。以下に、図19を参照しつつ、第1及び第2無線通信デバイス120,121で行われる処理を対比しつつ並行して説明する。通信接続更新処理3は、第1及び第2無線通信デバイス120,121に電源が投入された後に自動的に実行される。
S31,S41において、第1及び第2無線通信デバイス120,121は、それぞれの送信アンテナ20,30から試験信号を送信するとともに、受信アンテナ21,31の受信検知を行う。このとき、2つの送信アンテナ20が接続情報生成部209に接続され、同時に試験信号が送信される。また、第2無線通信デバイス121の2つの送信アンテナ30についても同様である。
なお、S31の処理は、2つの受信アンテナ群22の各々で、いずれかの受信アンテナ21が試験信号を受信するまで実行される。これは、S41についても同様である。
S32,S42において、試験信号を受信した受信アンテナが通信品質に基づいて選択され、接続情報生成部209,223に接続される。
S33において、第1無線通信デバイス120から各送信アンテナ20の識別情報と、各送信アンテナ20の接続情報(送信アンテナ20に接続されるモジュールの識別情報)とが送信される。このとき、前記実施の形態1において説明した切替送信処理により、2つの送信アンテナ20で交互に複数回送信される。
また、S33において、選択された受信アンテナ21によって受信が行われる。
S43において、切替送信処理により、各送信アンテナ30の識別情報が送信される。また、選択された受信アンテナ31によって受信が行われる。
S34,S44の判定により、識別情報が受信されていない場合、処理がS31,S41に戻る。
識別情報が受信された場合、接続情報、指示情報が生成される(S35,S36,S45,S46)。その後、指示情報が接続切替部210、224に送信され、接続が切替えられる。
以上の処理により、無線通信に使用するアンテナとモジュールとが適切に接続される。
なお、本変形例において、接続情報生成部209,223による前記位置ずれ検知処理を行うために、1つの送信アンテナ20と受信アンテナ31を介して確認信号を送受信するとともに、1つの送信アンテナ30と受信アンテナ21を介して確認信号を送受信することができる。
[変形例1]
図20に、上記実施の形態5の無線通信デバイスを携帯電話機に応用した例を示す。図21は、第1筐体501と第2筐体502とを分離した状態を示す図である。
携帯電話機500は、スライド式の携帯電話機であり、第1筐体501と第2筐体502とを備えている。第1筐体501には操作キー503が配置され、第2筐体502には表示パネル504が設けられている。
第1筐体501には断面視L字形状のガイド部材510が設けられている。そのガイド部材510は、第2筐体502に形成された溝512から第2筐体502内に入り込み、第1筐体501と第2筐体502とをスライド自在に連結している。このように、第1筐体501と第2筐体502とは、ガイド部材510と溝512とからなるガイド機構によって、相対移動可能に連結されている。
第1筐体501には、第2筐体502と対向する部分に第1無線通信デバイス520が設けられている。第2筐体502には、第1筐体501と対向する部分に第2無線通信デバイス530が設けられている。この第2無線通信デバイス530は、第2筐体502のスライド方向に長くされている。よって、携帯電話機500がスライドによって伸縮しても、第2無線通信デバイス520は第1無線通信デバイス520と対向した状態を保てるようにされている。
第1及び第2無線通信デバイス520、530には、それぞれアンテナ配置領域540が存在する。そして、アンテナ配置領域540には、前記図18で示されているように、スライドの前後において、第1無線通信デバイス520と第2無線通信デバイス530との間で、送信アンテナと受信アンテナ群とが対向するように配置されている。
図22に、携帯電話機500における第1無線通信デバイス520と第2無線通信デバイス520と、それらの周辺部分との関係を示す。第1筐体501には、表示パネル504に表示させる画像信号を生成する画像信号生成部550が設けられている。その画像信号生成部550は、第1無線通信デバイス520の外部端子に接続されている。第2筐体502には、表示パネル504と、表示パネル504を制御して画像を表示させる表示制御部551が設けられている。その表示制御部551は、第2無線通信デバイス520の外部端子に接続されている。
上記構成により、画像信号生成部550から出力された画像信号が、第1及び第2無線通信デバイス520、530を介して表示制御部551に入力される。その結果、表示パネル504に画像が表示される。
このように、携帯電話機500の少なくとも一部のケーブル(信号線)を2つの無線通信デバイスに置き換えることができる。
なお、回路基板間を無線通信インタフェースにより通信する技術は、スライド式携帯電話のみならず、折りたたみ式の携帯電話、ロボットなど可動部のある機器の可動部分に対する無線通信コネクタなどの用途にも応用できる。
[変形例2]
図23に、上記実施の形態5の無線通信デバイスをディスプレイ装置600に応用した例を示す。
ディスプレイ装置600は、表示部601と、スタンド602と、表示部601とスタンド602とを延直軸線周りに相対回転自在に連結する連結部610とを備えている。連結部610は、表示部601に取り付けられた第1部材611と、スタンド602に取り付けられた第2部材612とを含む。スタンド602には、画像信号を送信する信号線605などが接続されている。
図24は、連結部610の主要部の断面を示す図である。
第1部材611の底板には、円筒状の回転軸621が設けられている。回転軸621の先端(図において下側の部分)はフランジ状に広がっている。一方、第2部材612の天板には、回転軸621が挿入される孔622が形成されている。連結部610は、回転軸621と孔622とで連結されることで相対回転自在にされている。
第1部材611の底面には、回転軸621の中心線上に第1無線通信デバイス630が設置されている。一方、第2部材612には、回転軸621内に挿入される円柱状の支持部材623が設けられている。支持部材623の上面には第2無線通信デバイス640が設置されている。なお、図24では、支持部材623が回転軸621と離間している状態を示しているが、連結部610が組み立てられた状態では、二点鎖線で示すように、支持部材623が回転軸621に挿入された状態で第2部材612に固定される。そして、第1無線通信デバイス630と第2無線通信デバイス640とが密着させられ、密着型の無線通信を行うことができる状態にされている。なお、第1部材611と第2部材612とが相対回転する場合、回転軸621と支持部材623とが相対回転させられる。このように、第1無線通信デバイス630と第2無線通信デバイス640とは、互いに相対回転自在に連結された2つの部材に取り付けられている。
支持部材623の外周および孔622の内周には電極625,626が設けられている。一方、回転軸621の内周および外周には電極627,628が設けられている。これら電極625,626と電極627,628との間で、表示部601に供給する電力が伝えられる。
図25は、第1及び第2無線通信デバイス630、640のアンテナの配置パターンを模式的に示す図である。なお、図25は、第2無線通信デバイス640側から第1無線通信デバイス630を眺めた図である。また、図25において、第1無線通信デバイス630のアンテナ50,51を実線で、第2無線通信デバイス640のアンテナ60,61を鎖線で示す。
第1無線通信デバイス630は、中央の送信アンテナ50と、送信アンテナ50を中心とする円周状に配置された複数の受信アンテナ51とを含む。一方、第2無線通信デバイス640は、送信アンテナ50を中心とする円周上に配置された複数の送信アンテナ60と、送信アンテナ50と対向する位置及び周辺位置に配置された複数の受信アンテナ61とを含む。
このような構成により、送信アンテナ50を中心とする相対回転において、第1無線通信デバイス630に対する第2無線通信デバイス640の角度がいくらであっても、密着型の無線通信を行うことができる。
なお、本変形例において、前記実施の形態5の通信接続更新処理3と同様の処理によって、アンテナとモジュールとの接続が切替えられる。また、第1及び第2無線通信デバイス630、640の角度が変わると、位置ずれ検知処理によって位置ずれが検知され、通信接続更新処理3が実行される。
[実施の形態6]
前記実施の形態1〜4において、第1デバイスのアンテナの縦方向及び横方向の間隔は、第2デバイスのアンテナの間隔の整数倍にされていた。なお、第1デバイスは、第1電子回路デバイス又は第1無線通信デバイスを意味し、第2デバイスは、第1電子回路デバイス又は第1無線通信デバイスを意味する。
それに対して、第1デバイスのアンテナの縦方向及び横方向の間隔を、第2デバイスのアンテナの間隔の整数倍よりもわずかに大きくしたり、僅かに小さくしたりすることもできる。
なお、後述する第1デバイス117,118,119は、それぞれ前記実施の形態1の第1デバイス100と同様の構成を備え、アンテナの数と配置に関する事項が異なっている。また、後述する第2デバイス112は、前記実施の形態1の第1デバイス100と同様の構成を備えている。
まず、比較のため、第1デバイスのアンテナの縦方向及び横方向の間隔を、第2デバイスのアンテナの間隔の整数倍にした場合について説明する。
図26では、第1デバイス117と第2デバイス112との接続状態を模式的に示した図である。図26(a)は、第1デバイス117のアンテナ71と第2デバイス112のアンテナ72との位置関係が最適な状態を示し、図26(b)は、位置が少しずれた状態を示している。電子回路デバイス間の無線通信は、アンテナ間距離と通信感度と2つのアンテナの対向面積に密接に関係する。なお、2つのアンテナの対向面積は、コイルの中心線方向の正射影において2つのコイルがオーバーラップしている領域の面積ということもできる。
ここで、第1デバイス117と第2デバイス112とのように、一方のアンテナの配置間隔が他方の整数倍の関係であると、アンテナの中心が一致する場合は、最大性能を発揮する。ところが、アンテナの中心がずれた場合、どの方向に移動させれば、より感度が向上するかの検出が難しくなる。
図27に、アンテナの縦方向及び横方向の間隔を、第2デバイス112のアンテナの間隔の整数倍よりもわずかに大きくした第1デバイス118と、第2デバイス112とのアンテナの位置関係を模式的に示す。
図27(a)において、中央のアンテナ73を除く周囲の4つのアンテナ73(7301,7302,7304,7305)の受信強度は互いに等しくなる。一方、第1デバイス118と第2デバイス112とのアンテナの位置関係が、図27(a)から(b)にずれると、第1デバイス118のアンテナ7301〜7305において受信信号の強度の違いが現れる。単純には、アンテナ7301の受信強度が最も低く、アンテナ7305の受信強度が最も高くなる。この場合、第1デバイス118を、アンテナ73の受信強度が低い方から高い方へ向って移動させればよい。なお、第2デバイス112の移動方向は第1デバイス118の移動方向の逆になる。
図28に、アンテナの縦方向及び横方向の間隔を、第2デバイス112のアンテナの間隔の整数倍よりも僅かに小さくした第1デバイス119と、第2デバイス112とのアンテナの位置関係を模式的に示す。
図28(a)において、周囲の4つのアンテナ75の受信強度は互いに等しくなる。一方、第1デバイス119と第2デバイス112とのアンテナの位置関係が、図28(a)から(b)にずれると、第1デバイス119のアンテナ7501〜7505において受信信号の強度の違いが現れる。単純には、アンテナ7501の受信強度が最も高く、アンテナ7505の受信強度が最も低くなる。この場合、第1デバイス119を、アンテナ75の受信強度が低い方から高い方へ向って移動させればよい。
ここで、図27(a)、図28(a)のいずれにおいても、第1デバイス118,119のアンテナと、第2デバイス112のアンテナ72との対向面積が、アンテナ72の外形線(アンテナ72を四角形と見た場合の輪郭)によって囲まれる領域の面積の半分より大きくなるようにされている。つまり、第1デバイス118,119のアンテナと、第2デバイス112のアンテナ72とが対向した状態を保てる範囲内にされている。なお、第1デバイス118,119のアンテナと、第2デバイス112のアンテナ74とのサイズが異なる場合は小さい方のアンテナを基準とする。
よって、第1デバイス118のアンテナ73の縦方向及び横方向の間隔D1は、第2デバイス112のアンテナ72の縦方向及び横方向の間隔D2のN倍(Nは自然数)の「N・D2」より大きく、N・D2にアンテナ74の縦方向及び横方向の長さ寸法Lを加えた「N・D2+L」よりも小さくされる。
N・D2<D1<N・D2+L ・・・(1)
一方、第1デバイス119のアンテナ75の縦方向及び横方向の間隔D3は、同様に次式で表わされる。
N・D2−L<D3<N・D2 ・・・(2)
なお、間隔D1〜D3は、縦方向又は横方向における2つのアンテナの中心間距離を意味する。
このように、第1デバイス118,119のアンテナの配置間隔と第2デバイス112のアンテナの配置間隔とを僅かに異なる長さにする。すなわち、第1デバイス118,119のアンテナの配置パターンが、第2デバイス112のアンテナの配置パターンと僅かに異なる構成としている。
このような構成とすることで、アンテナの位置がずれたときに、アンテナの感度が不均一な値になり、第1デバイス118,119と第2デバイス112の位置関係について最適な修正方向をユーザに通知することが可能となる。
なお、上記アンテナの対向面積が70%より大きくなるようにすることもできる。この場合、上記式(1)、(2)において、それぞれ「L」を、「0.6・L」とすればよい。
[実施の形態7]
図29は、無線通信システムの構成を示す図である。
本実施の形態において、無線通信システムは、第1無線通信デバイス801と、第2無線通信デバイス802とを備えている。第1無線通信デバイス801は、アンテナ135と、アンテナ135に接続された無線通信用IF281とを備えている。無線通信用IF281は、外部デバイス236と接続されている。第2無線通信デバイス802は、前述の第2無線通信デバイス113と同様の構成である。
上記構成により、第1無線通信デバイス801のアンテナ135が、第2無線通信デバイス802の複数のアンテナ136のいずれか1つと対向する位置関係で密着型の無線通信を行うことができる。また、第2無線通信デバイス802は、無線通信に使用するアンテナ136を、接続情報生成部223によって選択し、接続切替部224によって無線通信用IF281に接続することができる。その結果、デバイス236とデバイス237との間で無線通信を行うことができる。
なお、通信接続更新処理を行う場合、外部デバイス236の信号が第1無線通信デバイス801から送信される。
[実施の形態8]
上記実施の形態1〜3において、2つのメモリ221,222の各々に、1つずつのアンテナ12が接続されていた。これに対し、2つのメモリ221,222の各々に、2つずつのアンテナ12を接続することもできる。
本変形例の構成は、接続切替部210,223に接続される各IF以外は、上記実施の形態2と同じであるため、図13と同じ構成には同じ符号を付す。なお、実施の形態2と同じ符号が付された構成で異なる部分を有している場合は、以下に説明する。
図30は、本変形例の電子回路システムの構成を示すブロック図である。
第1デバイス901のメモリIF247、及びデバッグIF248、並びに、第2デバイス902のメモリIF231,232は、前記実施の形態1のIF217と同様に、それぞれ2つのシリアルインタフェース回路を備えている。そして、上記IF247,248,231,232の各々は、2つのシリアルインタフェース回路が別個の信号線を介して接続切替部209,223に接続されている。その結果、各IF247等には、2つずつのアンテナを接続することができる。
また、デバッグ補助部206は、2つの入出力部を備えており、各入出力部がデバッグIF248のシリアルインタフェース回路とパラレル接続されている。これにより、デバッグ補助部206は、2つのシリアルインタフェース回路を介して個別の信号(例えば、一方に制御信号、他方にデータ)を送受信することができる。なお、CPU202,外部IF242,及びコア処理部241については、特に図示をしていないが、デバッグ補助部206と同様に、2つの入出力部を介してメモリIF247と接続されている。
ここで、通信接続更新処理1又は2の実行によって、以下の接続関係が設定されるものとする。なお、デバッグIF248aは、デバッグIF248のうち、第1のシリアルインタフェース回路を有する部分を示し、デバッグIF248bは、第2のシリアルインタフェース回路を有する部分を示す。なお、その他のメモリIF231等についても同様である。
(a)デバッグIF248a−アンテナ1100・・・アンテナ1200−メモリIF231a
(b)デバッグIF248b−アンテナ1101・・・アンテナ1208−メモリIF231b
(c)メモリIF247a−アンテナ1102・・・アンテナ1202−メモリIF232a
(d)メモリIF247b−アンテナ1103・・・アンテナ1206−メモリIF232b
このように、第1デバイス901のデバッグIF248と、第2デバイス902のメモリIF231とが2組のアンテナのペア(アンテナ1100−1200、アンテナ1101−1208)を介して接続されている。メモリIF247とメモリIF232とについても同様である。
そして、2組のアンテナのペアのうちの一方のペア(例えば、アンテナ1100−1200)が、第1デバイス901から第2デバイス902への制御信号(コマンド及びアドレス)の送信用に用いられる。また、2組のアンテナのペアのうちの他方のペア(例えば、アンテナ1101−1208)が、データの送受信用に用いられる。
ここで、デバッグ補助部206によるメモリ221からのデータ読出し処理において行われる半二重通信について説明する。
データ読出し処理を行う場合、デバッグ補助部206は、デバッグIF207aを介してリードコマンドと読出しアドレスとをシリアル送信する。また、デバッグIF207bを受信待ち状態にし、メモリ221からデータが送られて来るのに備える。具体的には、デバッグIF207bは、信号線とは別の制御線、及びスイッチ210aと同様のスイッチを介して、アンテナ1101のドライバ151に接続されており、制御線を介してドライバ151を受信状態に切換える制御信号を送信する。
一方、メモリIF231aは、リードコマンドと読出しアドレスとをパラレル変換した後、メモリ221に転送する。メモリ221は、メモリIF231aからリードコマンドとアドレスとを受け取ると、指定されたアドレスからデータを読み出してメモリIF231bに送る。
メモリIF231bは、デバッグIF207bと同様に、アンテナ1208を駆動するドライバ161に、制御線等を介して接続されている。そして、メモリIF231bは、アンテナ1208を介してデータ送信する場合に、制御線を介してドライバ161に制御信号を送り、ドライバ161を送信状態に切換える。その後、メモリIF231bは、メモリ221から受け取ったデータをバッファに一時蓄積しつつ、バッファのデータをアンテナ1208を駆動するドライバ161に送る。その結果、アンテナ1208からアンテナ1101にデータが無線送信される。
なお、デバッグIF207bは、メモリ221へのデータ書込み処理において、データを送信する場合にはドライバ151を送信状態にする。また、メモリIF231bは、メモリ221へのデータ書込み処理において、データを受信する場合にはドライバ161を受信状態にする。
このようにして、アンテナ1101及びアンテナ1208を介した半二重通信が行われる。
本変形例では、1組のアンテナのペアをコマンド専用にしていたが、2組のアンテナのペアでデータを送受信してもよい。
本変形例では、通信接続更新処理の後、接続情報生成部209,223にアンテナが接続されていないが、第1デバイス901のアンテナ数を増やしてアンテナのペア数を増やし、接続情報生成部209,223にアンテナを接続してもよい。
[補足]
(a)前記実施形態および変形例の説明は本発明の例示にすぎず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができる。
(b)前記各実施の形態では、第1電子回路デバイスおよび第2電子回路デバイスのそれぞれが複数のアンテナを有する一例を挙げて説明したが、第1電子回路デバイスおよび第2電子回路デバイスの一方が1つのアンテナを有し、他方が複数のアンテナを有した構成であってもよい。このような構成であっても、1つのアンテナを複数のアンテナのいずれかと最適配置関係とすることができるため、配置関係やデバイスのサイズなどに影響されず容易にデバイス間でデータ通信ができる。
(c)前記実施の形態1〜6では、第1電子回路デバイスがデバッガ装置によりデバッグされる電子回路デバイスであり、第2電子回路デバイスがデバッガ装置であるような電子回路システムの一例を挙げて説明した。しかし、電子回路システムは、デバッグを行うデバッグシステムに限定されず、電子回路デバイスどうしで密着型の無線通信を行うシステムであれば本発明を適用することができる。
(d)前記実施の形態1において、アンテナを第1電子回路デバイス100および第2電子回路デバイス101内に搭載した一例を挙げて説明した。しかしながら、第1電子回路デバイス100および第2電子回路デバイス101のアンテナをパッケージ基板や、電子回路基板などの外部基板上に構成してもよい。
(e)前記各実施の形態において、アンテナを介して通信する手法として、近傍磁界による磁界結合を利用した無線通信が行われていたが、電磁波を利用した無線通信に加えて、近傍電界による電界結合を利用した無線通信でもよい。
(f)前記実施の形態1の通信接続更新処理において、S11、S23で送信される試験信号を、全てのアンテナから送信してもよい。
(g)前記実施の形態1の通信接続更新処理において、S11、S23で送信される試験信号を、各アンテナの識別情報にしてもよい。この場合、S12,S21において、各アンテナの識別情報を受信することができる。
(h)接続情報生成部209は、バス201を介さずに(あるいは、バス201接続に加えて)、CPU202、デバッグ補助部206等と信号線によって直接的に接続されていてもよい。その場合、CPU202、デバッグ補助部206等から、信号線を介して通信接続更新処理の開始指令などを受け取ることができる。また、接続情報生成部209は、信号線を介して通信接続更新処理が終了したことを、CPU202、デバッグ補助部206等に通知することができる(この通知はバス201を介して行うこともできる)。接続情報生成部213や、その他の接続情報生成部についても同様に、バスを介してモジュールと接続されていてもよいし、信号線によって直接的に接続されていてもよい。
(j)前記各実施の形態及び変形例では、通信接続更新処理の後において、電子回路に含まれるモジュールだけでなく接続情報生成部にもアンテナが接続されていたが必須の事項ではない。ペアに選択したアンテナ全てをモジュールに接続してもよい。その場合、位置ずれの検知は、電子回路に含まれるモジュール(例えば、CPU、デバッグ処理部、デバッグ補助部)や、外部デバイスによって行うことができる。
(k)前記各実施の形態及び変形例では、アンテナと接続切替部との間にドライバが設けられていたが、必須の事項ではない。例えば、IF(無線通信用IF205、IF231等)がドライバの機能を有していてもよいし、ドライバを省略してもよい。
また、例えば、IF(無線通信用IF205、IF231等)が、通信対象のデバイスのIFと通信開始のネゴシエーションを行う機能や、信号に同期信号を追加して送信するとともに同期信号を含む受信信号との同期を行う機能などを有していてもよい。
(m)前記実施の形態1〜7及びそれらの変形例において、電子回路モジュール(無線通信用IF205等)と接続切替部とがシリアル接続されていたが、パラレル接続にすることもできる。なお、パラレル接続の場合は、一のモジュールに複数のアンテナによって信号が伝送されることとなる。
さらに、各モジュールと接続切替部とを複数の信号線によって接続しておき、通信可能なアンテナ数が多い場合にパラレル接続を行い、通信可能なアンテナ数が少ない場合にシリアル接続を行うこともできる。この場合、IF205,217等にシリアルインタフェース機能と、パラレルインタフェース機能とを持たせることができる。
さらにまた、IF205,217等に複数のシリアルインタフェース回路を設け、各シリアルインタフェース回路にアンテナを接続してもよい。この場合、複数のアンテナによって、より多くのデータを送受信することができる。
(n)前記実施の形態1〜7及びそれらの変形例において、第1デバイスのモジュール(無線通信用IF205等)と第2デバイスのモジュール(メモリ221)とが、半二重通信を行っていたが、全二重通信を行うこともできる。この場合、例えば、モジュール(無線通信用IF205、IF231等)に送信用シリアルインタフェースと受信用シリアルインタフェースとを設け、2組のアンテナのペアを送信用と受信用に使い分けることで全二重通信を行うことができる。
(p)また、前記実施の形態1〜7及びそれらの変形例において、第1デバイスと第2デバイスとの間で通信する信号の本数が多い場合は、メモリIF247、デバッグIF248内部で、伝送対象の信号をパラレルからシリアルに変換することなどにより、アンテナの使用数を抑制することができる。さらに、アンテナ11とアンテナ12とのペアの通信での伝送レートを高くするとともに、多重化などを利用することができる。
逆に、伝送対象の信号の本数(接続対象のモジュールの数)に比べて、一方のアンテナの個数が多い場合には、いわゆるダイバーシティ技術を利用して、例えば複数のアンテナのペアを利用して同一の信号を伝送し通信品質のよい信号を選択したり、伝送レートを落として1つの信号を複数のアンテナのペアを利用して伝送したりする構成としてもよい。
(q)前記実施の形態1〜6及びそれらの変形例において、第1電子回路デバイス(第1無線通信デバイス)がマスタ側、第2電子回路デバイス(第2無線通信デバイス)がスレーブ側であったが、逆にしてもよい。
(r)前記各実施の形態及び変形例では、通信接続更新処理は、外部デバイス301、ホストPC228等による開始指令を受けた場合、位置ずれ検知処理によって位置ずれが検知された場合に実行されていたが、それ以外のタイミングで実行することもできる。例えば、接続情報生成部に電源が供給された場合、接続情報生成部は最初に通信接続更新処理を実行することとしてもよい。また、接続情報生成部に外部から信号を入力する信号線を接続し、信号線を介して指令が入力された場合に通信接続更新処理を実行することとしてもよい。
(s)前記各実施の形態及び変形例では、通信接続更新処理において試験通信処理の結果によって接続情報が生成されていた。それに対し、接続情報生成部を、各アンテナを介した通信結果などの通信に関する情報を取得するものとしてもよい。この場合、接続情報生成部は、取得した通信に関する情報から、未通信なども含め、アンテナが通信できる通信間の接続を示す接続情報を生成することができる。
この場合、アンテナの出力(あるいは、ドライバの出力)を2つに分岐し、一方の出力を接続情報生成部に接続し、他方の出力をIF231等に接続することができる。接続情報生成部は、アンテナの個数分のシリアルインタフェース回路を備え、各インタフェース回路に接続されたアンテナを介して送受信される信号を個別に取得するものとすることができる。
(t)前記各実施の形態及び変形例では、試験通信処理において、試験信号が送信されていた。この試験信号は、対向する2つのアンテナ間で信号の送受信が可能であることを確認できるものであればよく、特定の信号列(例えば、110の繰り返し)に限られない。また、試験信号に、各アンテナの識別情報を示す信号を用いてもよいし、通信データを用いてもよい。なお、1と0との一方が多く含まれている特定の信号列を用いた場合、例えば110の繰り返しであれば、受信信号が反転しているか否かを確認し得る。
(u)前記各実施の形態及び変形例では、通信接続更新処理において、第1デバイスから各アンテナ11の識別情報が送信されていたが、各アンテナ11の識別情報に代えて、例えば、各アンテナ11に接続されるモジュールの識別情報を送信してもよい。第2デバイスは、自装置の各アンテナ12が、第1デバイスのアンテナ11を介していずれのモジュールと接続されるかが分かれば接続情報を生成することができる。
この場合、第2デバイスの接続情報生成部213は、第1デバイスのモジュールの識別情報と、自装置のモジュールの識別情報とを対応付けるモジュール対応情報を記憶部に記憶しているものとすることができる。そして、第2デバイスは、モジュール対応情報に従い、第1デバイスのモジュールに自装置のモジュールが適切に対応するように、自装置のアンテナ及びモジュールの接続関係を設定する(接続情報を生成する)ものとすることができる。
(v)以下に、実施形態に係る各種の携帯情報端末における構成及び効果について説明する。
(1)実施形態に係る電子回路システムは、アンテナとそのアンテナに接続される電子回路とを備えている第1電子回路デバイスと、複数のアンテナとそれら複数のアンテナの一部のものに接続される電子回路とを備えている第2電子回路デバイスとを含み、それら2つの電子回路デバイスは、互いを通信対象とし、互いのアンテナが配置された部分を対向させた状態で密着型の無線通信を行う電子回路システムであって、前記第2電子回路デバイスは、さらに、無線通信において前記第1電子回路デバイスのアンテナとペアにして使用するアンテナを選択し、前記複数のアンテナのうち、当該選択されたアンテナと前記電子回路とを接続することを示す接続情報を生成する接続情報生成部と、前記接続情報に従い、前記複数のアンテナと前記電子回路との接続を切替える接続切替部とを備えていることを特徴とする。
本項の電子回路システムにおいて、第2電子回路デバイス(以後、第2デバイスという)は、複数のアンテナ、接続情報生成部、および接続切替部を備えており、複数のアンテナのうち、無線通信に使用するアンテナを電子回路に接続することができる。また、第2デバイスは複数のアンテナのいずれか1つを、第1電子回路デバイス(以後、第1デバイスという)のアンテナと対向させて無線通信を行うことができる。よって、第1デバイスと第2デバイスとの位置関係を、無線通信可能な複数の位置関係から選択することができ、第1デバイスと第2デバイスとの位置関係の制約を受けにくくなる。以後、第1デバイスと第2デバイスとを、2つのデバイスということがある。
なお、接続情報において、選択されたアンテナを接続する対象は、第2デバイス自身が備えている電子回路である。また、接続切替部による接続切替えの対象は、複数のアンテナと、第2デバイス自身が備えている電子回路との接続である。
(2)実施形態に係る電子回路システムは、複数のアンテナとそれら複数のアンテナの少なくとも一部のものに接続される電子回路とを備えている第1及び第2電子回路デバイスを含み、それら2つの電子回路デバイスは、互いを通信対象とし、互いの複数のアンテナが配置された部分を対向させた状態で無線通信を行う電子回路システムであって、前記第1及び第2電子回路デバイスの各々は、さらに、無線通信において前記通信対象の電子回路デバイスのアンテナとペアにして使用するアンテナを選択し、前記複数のアンテナのうち、当該選択されたアンテナと前記電子回路とを接続することを示す接続情報を生成する接続情報生成部と、前記接続情報に従い、前記複数のアンテナと前記電子回路との接続を切替える接続切替部とを備え、前記第1及び第2電子回路デバイスの各々の前記接続情報生成部は、前記接続切替部を介して前記複数のアンテナに接続され、前記通信対象の電子回路デバイスの接続情報生成部との間で、前記複数のアンテナを介して試験的に信号を送受信する処理である試験通信処理を行うとともに、その試験通信処理によって得られた結果に基づいて前記接続情報を生成する、こととしてもよい。
本項の電子回路システムでは、第1デバイスおよび第2デバイスの両方が、複数のアンテナ、接続情報生成部、及び接続切替部を備えている。この場合、2つのデバイスは、無線通信に使用できるアンテナを知る必要がある。そこで、第2デバイスは、接続情報生成部によって試験通信を行うことで、無線通信に使用できるアンテナを知ることができる。よって、第1デバイスと第2デバイスとの位置関係を、無線通信可能な複数の位置関係から選択した場合に、アンテナと電子回路との接続が容易になる。
(3)実施形態に係る電子回路システムは、前記第1電子回路デバイス及び前記第2電子回路デバイスの各々において、接続切替部は、前記電子回路に接続されている複数の信号線と前記複数のアンテナとの接続を切替えるものであり、接続情報生成部は、前記通信対象の電子回路デバイスの2以上のアンテナとともに2以上のペアを形成する2以上のアンテナを選択し、前記複数のアンテナのうち、当該選択された2以上のアンテナを前記複数の信号線に接続することを示す接続情報を生成し、前記第1電子回路デバイスにおいて、前記接続情報生成部は、前記試験通信処理において前記複数のアンテナの各々を介してアンテナ毎に異なる識別情報を送信するものであり、前記第2電子回路デバイスにおいて、前記接続情報生成部は、前記第1電子回路デバイスから送信された前記識別情報を受信した場合、その識別情報に基づき、前記複数の信号線のうち、前記選択された2以上のアンテナの各々を接続する信号線を決定する、こととしてもよい。
本項の電子回路システムでは、電子回路に複数の信号線が接続されている。そして、少なくとも第2デバイスは、接続切替部によって、無線通信に使用するアンテナを適切な信号線に接続する必要がある。そこで、第2デバイスは、例えば、第1デバイスが送信する各アンテナの識別情報を受信することで、受信に用いた第2デバイスのアンテナとペアになる第1デバイスのアンテナを識別することが可能になる。
ここで、第1デバイスのアンテナを識別した後は、以下のような方法によってアンテナと信号線とを適切に接続することができる。
例えば、第1デバイスにおける複数のアンテナと信号線との接続関係が定まっている場合、第1デバイスのアンテナを識別することで、第2デバイスのアンテナと信号線とを適切に接続することができる。このような場合は、第2デバイスは、第1デバイスのアンテナの識別情報と、自機の信号線との対応を、記憶部に記憶しているものとすることができる。
また、例えば、第2デバイスの接続情報生成部が第1デバイスの複数の信号線の情報を記憶している場合は、第1デバイスにおけるアンテナと信号線との接続情報を生成し、第1デバイスに送信することができる。そして、第1デバイスに送信した接続情報に合わせて第2デバイスにおける複数のアンテナと信号線との接続関係を設定することができる。
なお、第1デバイスが送信する識別情報は、第1デバイスのアンテナが接続される信号線(あるいは電子回路モジュール)の識別情報としてもよい。第2デバイスは、自装置の各アンテナが、第1デバイスのアンテナを介していずれのモジュールと接続されるかが分かれば接続情報を生成することが可能である。
(4)実施形態に係る電子回路システムは、前記第2電子回路デバイスにおいて、前記複数のアンテナの個数は、前記2以上のペアに選択されるアンテナの数よりも多い、こととしてもよい。
本項の電子回路システムでは、第2デバイスのアンテナの数が、無線通信に使用するアンテナ数よりも多くされている。よって、無線通信可能な2つのデバイスの位置関係の選択肢を増やすことと、第1デバイスが使用するアンテナの数や配置の違いに適応することとの少なくとも一方が可能である。
(5)実施形態に係る電子回路システムは、前記第1電子回路デバイス及び前記第2電子回路デバイスの各々は、前記アンテナとして機能するコイルが形成された基板を備え、前記第1電子回路デバイスの基板と、前記第2電子回路デバイスの基板とは、前記コイルが形成された面が対向した状態で近接配置されている、こととしてもよい。
本項の電子回路システムでは、コイルによって誘導結合(あるいは磁界結合)を利用する無線通信を行う場合、誘導結合を利用する無線通信は、通信距離が非常に短いため、2つのデバイスのアンテナを互いに近接させることが必要である(例えば、5mm以下)。そこで、本項の電子回路システムでは、複数のコイルを基板上に形成することで、2つのデバイス間においてアンテナとなるコイルどうしを近接させやすくなり、取り扱いが容易になる。
(6)実施形態に係る電子回路システムは、前記ペアとなる2つのアンテナは、一方のアンテナとして機能する第2のコイルの中心線方向の正射影において、前記第2のコイルに囲まれた領域のうちの半分を超える部分が他方のアンテナとして機能する第1のコイルに囲まれた領域に含まれている、こととしてもよい。
誘導結合を利用する無線通信では、アンテナとして機能するコイルを対向させることが重要である。この場合、第1のコイルの中心線に沿って2つのコイルを眺めた場合に、第1のコイルの50%を超える部分が第2のコイルに重なっていれば(オーバーラップしていれば)、無線通信を行うことができる。なお、2つのコイルの大きさが異なる場合、小さい方のコイルが第1のコイルとなる。さらに、第1のコイルの70%を超える部分を第2のコイルに重なる状態としてもよい。
(7)実施形態に係る電子回路システムは、前記第1電子回路デバイス及び前記第2電子回路デバイスは、それぞれの前記接続情報生成部によって、無線通信のペアになるアンテナを介して間欠的に信号を送受信し、前記信号の強度が閾値以下となる場合に、前記試験通信処理を行い前記接続情報を生成する、こととしてもよい。
ペアとなるアンテナ間で信号の送受信が出来なくなった場合、2つのデバイスの位置ずれが生じたと判断することができる。よって、試験通信を行えば、位置ずれ後の状態で無線通信可能なアンテナを選択し直すことが可能になる。信号強度の閾値は、例えば、前項で述べたのと逆に、第1のコイルの半分以上が第2のコイルに重なっていない状態の信号強度の値とすることができる。なお、送信アンテナと受信アンテナとを用いる場合は、例えば、2つのペアで信号の送受信を行うことができる。
(8)実施形態に係る電子回路システムは、前記接続情報生成部は、前記試験通信処理時における各アンテナの通信品質に基づき、前記ペアとして使用するアンテナを選択する、こととしてもよい。
本項の電子回路システムでは、1つのアンテナから送信された信号を2つのアンテナで受信できる場合、例えば、受信信号の強度の高いアンテナ、ノイズの少ない方のアンテナなどの選択基準に基づいて通信品質の高いアンテナを選択できる。
(9)実施形態に係る電子回路システムは、前記第2電子回路デバイスのアンテナの配置パターンは、前記第1電子回路デバイスのアンテナの配置パターンの鏡像となるパターンが複数配置されたパターンである、こととしてもよい。
本項の電子回路システムでは、無線通信が可能な2つのデバイス間の位置関係が複数存在する。なお、鏡像となるパターンには、2つのデバイスを相対回転させた後に鏡像となるパターンも含まれる。
(10)実施形態に係る電子回路システムは、前記第2電子回路デバイスのアンテナの配置パターンは、前記第1電子回路デバイスのアンテナの第1パターンの鏡像に類似する第2パターンを含み、前記第2パターンを前記第1パターンに対向させた場合、少なくとも一の方向において、前記第1パターンにおける2つの第1アンテナの配置間隔が、前記第1パターンにおける前記2つの第1アンテナと対向する2つの第2アンテナの配置間隔よりも、大きく、又は、小さくされている、こととしてもよい。
本項の電子回路システムでは、一の方向において、2つのアンテナの配置間隔が2つのデバイス間で僅かに異なっている。これにより、2つのデバイスの位置関係が最適な状態から僅かにずれている場合、上記2つのアンテナを介した信号の受信強度が異なる。よって、受信強度の違いに基づいて、2つのデバイスの位置関係を修正する方向を知ることができる。なお、2つのデバイス間における2つのアンテナの配置間隔の違いは、ペアとなるアンテナが対向して無線通信できる範囲内となる。
(11)実施形態に係る電子回路システムは、前記第1電子回路デバイスと前記第2電子回路デバイスとの少なくとも一方において、前記電子回路は、前記複数の信号線に接続されている複数の電子回路モジュールを含み、前記接続切替部は、前記複数の電子回路モジュールの各々に接続されている個々の信号線と、各アンテナとの接続を切替えるものである、こととしてもよい。
本項の電子回路システムでは、電子回路に複数の電子回路モジュールが含まれている。そして、接続情報生成部によって適切な接続情報を生成することで、電子回路モジュールとアンテナとが適切に接続される。
(12)実施形態に係る電子回路デバイスは、複数のアンテナとそれら複数のアンテナの一部のものに接続される電子回路とを備え、アンテナとそのアンテナに接続される電子回路とを備えている通信対象の電子回路デバイスとの間で、互いのアンテナが配置された部分を対向させた状態で密着型の無線通信を行う電子回路デバイスであって、無線通信において前記通信対象の電子回路デバイスのアンテナとペアにして使用するアンテナを選択し、前記複数のアンテナのうち、当該選択されたアンテナと前記電子回路とを接続することを示す接続情報を生成する接続情報生成部と、前記接続情報に従い、前記複数のアンテナと前記電子回路との接続を切替える接続切替部とを備えていることを特徴とする、こととしてもよい。
本項の電子回路デバイスは、(1)項の電子回路システムと同様の効果を奏する。
(13)実施形態に係る無線通信デバイスは、一部のものが電子回路に接続される複数のアンテナを備え、電子回路に接続されるアンテナを備えている通信対象の無線通信デバイスとの間で、互いのアンテナが配置された部分を対向させた状態で密着型の無線通信を行う無線通信デバイスであって、無線通信において前記通信対象の無線通信デバイスのアンテナとペアにして使用するアンテナを選択し、前記複数のアンテナのうち、当該選択されたアンテナと前記電子回路とを接続することを示す接続情報を生成する接続情報生成部と、前記接続情報に従い、前記複数のアンテナと前記電子回路との接続を切替える接続切替部とを備えていることを特徴とする、こととしてもよい。
本項の無線通信デバイスは、(1)項の電子回路システムと同様の効果を奏する。