JP5522469B2 - コネクタ、端子金具付き電線、および端子金具 - Google Patents
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Description
本発明は、コネクタ、端子金具付き電線、および端子金具に関する。
従来、端子金具付き電線として特許文献1に記載のものが知られている。この端子金具付き電線は、芯線の外周を絶縁被覆で被覆してなる電線と、絶縁被覆から露出する芯線に接続された端子金具と、を備える。端子金具は、芯線が載置された平板状の基板部と、この基板部から突出されると共に芯線に圧着されたワイヤーバレルと、を備える。
基板部から絶縁被覆の端部に至る領域には、熱収縮チューブが被せられている。熱収縮チューブの一端側はワイヤーバレルで圧着された芯線を被覆していると共に他端側は絶縁被覆に密着している。
しかしながら上記の構成によると、基板部は平板状をなしているので、熱収縮チューブの一端側と、基板部との間に隙間が形成されることが懸念される。すると、この隙間から水が熱収縮チューブ内に浸入し、この水が芯線及びワイヤーバレルと接触することが懸念される。すると、芯線又はワイヤーバレルの表面が酸化される等の不具合が発生することが懸念される。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、防水性に優れたコネクタ、端子金具付き電線、および端子金具を提供することを目的とする。
本発明は、芯線の外周を絶縁被覆で被覆してなる電線に端子金具が接続され、キャビティが形成されたハウジングの前記キャビティに前記端子金具が収容されたコネクタであって、前記端子金具が、導電部材と接続される接続部と、前記絶縁被覆の端部から露出された前記芯線に圧着されたワイヤーバレルと、前記接続部と前記ワイヤーバレルを接続する繋ぎ部と、を備えて構成され、前記繋ぎ部に合成樹脂をモールド成形してなる止水壁が設けられ、この止水壁の外面と前記絶縁被覆の端部の外面とに密着して前記止水壁と前記絶縁被覆の端部との間に亘って前記芯線を覆う筒状の止水被覆が設けられており、前記電線における前記止水壁とは反対側に引き出された電線引出部は、前記止水被覆に覆われることでその遊動が規制されている。
また、本発明は、芯線の外周を絶縁被覆で被覆してなる電線から露出した前記芯線に端子金具が接続された端子金具付き電線であって、前記端子金具が、導電部材と接続される接続部と、前記絶縁被覆の端部から露出された前記芯線に圧着されたワイヤーバレルと、前記接続部と前記ワイヤーバレルを接続する繋ぎ部と、を備えて構成され、前記繋ぎ部に合成樹脂をモールド成形してなる止水壁が設けられ、この止水壁の外面と前記絶縁被覆の端部の外面とに密着して前記止水壁と前記絶縁被覆の端部との間に亘って前記芯線を覆う筒状の止水被覆が設けられており、前記電線における前記止水壁とは反対側に引き出された電線引出部は、前記止水被覆に覆われることでその遊動が規制されている。
また、本発明は、芯線の外周を絶縁被覆で被覆してなる電線から露出する前記芯線に接続される端子金具であって、前記端子金具が、導電部材と接続される接続部と、前記絶縁被覆の端部から露出された前記芯線に圧着されたワイヤーバレルと、前記接続部と前記ワイヤーバレルを接続する繋ぎ部と、を備えて構成され、前記繋ぎ部に合成樹脂をモールド成形してなる止水壁が設けられ、この止水壁の外面と前記絶縁被覆の端部の外面とに密着して前記止水壁と前記絶縁被覆の端部との間に亘って前記芯線を覆う筒状の止水被覆が設けられるようになっており、前記電線における前記止水壁とは反対側に引き出された電線引出部は、前記止水被覆に覆われることでその遊動が規制される。
本発明によれば、繋ぎ部に止水壁が成形されているので、繋ぎ部と止水壁との間から水が浸入することを抑制できる。更に、止水被覆は止水壁の外面と密着しているので、止水被覆と止水壁の外面との間から水が浸入することも抑制される。これにより、止水壁から絶縁被覆の端部に至る領域は、止水被覆によって防水されるので、芯線及びワイヤーバレルに水が付着することを抑制できる。
また、本発明では絶縁被覆を端子金具に固着するインシュレーションバレルが設けられていないため、端子金具を小型化できる。しかしながら、インシュレーションバレルをなくしてしまうと、電線引出部がワイヤーバレルに対して曲がりやすくなり、曲げ応力が電線引出部におけるワイヤーバレル側の端部に集中することにより、芯線が破断するおそれがある。その点、本発明によれば、電線引出部を止水被覆で覆うことにより電線引出部の遊動を規制できるため、電線引出部におけるワイヤーバレル側の端部において芯線の破断を防ぐことができる。
本発明の実施態様としては以下の構成が好ましい。
前記電線引出部は、更に前記キャビティに収容されることでその遊動が規制されている構成としてもよい。
前記電線引出部は、更に前記キャビティに収容されることでその遊動が規制されている構成としてもよい。
このような構成によると、電線引出部を覆う止水被覆がキャビティに収容され、止水被覆の外面がキャビティの内壁に接触することで電線引出部の遊動を規制しやすくなる。
前記止水被覆における前記キャビティに収容された部分の外径が前記キャビティの内径と同じに設定されることで前記電線引出部の遊動が規制されている構成としてもよい。ここで、「同じ」とは、止水被覆の外径がキャビティの内径と同一である場合の他、止水被覆の外径がキャビティの内径よりもやや小さめである場合を含む意味である。
このような構成によると、キャビティに収容された止水被覆の外面がキャビティの内壁にほぼ接触した状態となることで電線引出部の遊動を防ぐことができる。
前記止水被覆における前記電線引出部を覆う小径部の外径は、前記キャビティの内径と同じに設定され、前記止水被覆における前記絶縁被覆の端部を覆う大径部の外径は、前記小径部の外径よりも大きく設定され、かつ前記大径部は、前記キャビティの外部に配置されている構成としてもよい。ここで、「同じ」とは、小径部の外径がキャビティの内径と同一である場合の他、小径部の外径がキャビティの内径よりもやや小さめである場合を含む意味である。
このような構成によると、電線引出部を延長して形成し大径部をキャビティの外部に配置することでキャビティの内径を小さくすることができ、ハウジングを小型化できる。また、大径部同士をより近づけて配置することでキャビティ間の隔壁を小さくすることができ、ハウジングをさらに小型化できる。
前記止水被覆における前記絶縁被覆の端部を覆う大径部の外径は、前記キャビティの内径と同じに設定され、かつ前記大径部は、前記キャビティに収容されている構成としてもよい。ここで、「同じ」とは、大径部の外径がキャビティの内径と同一である場合の他、大径部の外径がキャビティの内径よりもやや小さめである場合を含む意味である。
このような構成によると、大径部をキャビティに収容することで大径部の遊動を防ぐことができるため、電線引出部における絶縁被覆の端部側においても芯線の破断を防ぐことができる。
前記止水壁は、更に、前記繋ぎ部の外周を全周に亘って包囲するように形成されていることが好ましい。
上記の態様によれば、止水壁は、止水被覆の内面と、全周に亘って密着することができるので、防水性を一層向上させることができる。
芯線を構成する金属と、端子金具を構成する金属とが異なる場合、芯線とワイヤーバレルとの双方に亘って水が付着すると、芯線又はワイヤーバレルに電食が発生することが懸念される。上記の態様によれば、芯線とワイヤーバレルとは止水材によって確実に防水されるので、芯線又はワイヤーバレルが電食により溶解することを抑制できる。このため、前記芯線を構成する金属と、前記端子金具を構成する金属とが異なる時に特に有効である。
前記芯線がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる態様において特に有効である。
アルミニウム又はアルミニウム合金は比重が比較的に小さいので、電線を軽量化できる。一方、アルミニウム又はアルミニウム合金は比較的にイオン化傾向が高いので、電食が発生した場合に溶解しやすい。上記の態様によれば、芯線とワイヤーバレルとは止水被覆によって確実に止水されるので、芯線がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる場合に特に有効である。
前記止水被覆の内周面には接着層または粘着層が形成されていることが好ましい。
上記の態様によれば、止水被覆の内周面と、止水壁から絶縁被覆の端部に至るまでの領域とを隙間なく密着させることができる。
前記止水被覆が熱収縮チューブであることが好ましい。
上記の態様によれば、加熱前の状態においては、熱収縮チューブの内径は比較的に大きいので、上記の領域の外周に容易に配置することができる。その後、加熱により収縮させることで、熱収縮チューブの内面を、止水壁及び絶縁被覆の端部と密着させることができる。このように、止水被覆として熱収縮チューブを用いることにより、止水壁から絶縁被覆の端部に至るまでの領域の外周に熱収縮チューブを配置する工程の作業効率を向上させることができる。
前記止水被覆がゴム弾性を有する弾性チューブであることが好ましい。
上記の態様によれば、弾性チューブを拡径させた状態で、この弾性チューブを、止水壁から絶縁被覆の端部に至るまでの領域の外周に配置し、その後、弾性チューブを復帰変形させる。すると、弾性チューブの内面は、止水壁及び絶縁被覆の端部と密着する。このように本態様によれば、簡易な工程により、弾性チューブを止水壁から絶縁被覆の端部に至るまでの領域に被覆できる。
本発明によれば、コネクタ、端子金具付き電線、および端子金具の防水性を向上させることができる。
<実施形態1>
本発明の実施形態1に係るコネクタ30を図1ないし図9の図面を参照しながら説明する。本実施形態に係るコネクタ30は、図8に示すように、複数のキャビティ32が内部に形成された合成樹脂製のハウジング31を有している。キャビティ32は、ハウジング31の前後両側に開口する形態をなし、キャビティ32の後端開口から端子金具付き電線10がキャビティ32に収容されるようになっている。端子金具付き電線10は、電線11と、この電線11に接続された雌端子金具12と、を備えて構成されている。
本発明の実施形態1に係るコネクタ30を図1ないし図9の図面を参照しながら説明する。本実施形態に係るコネクタ30は、図8に示すように、複数のキャビティ32が内部に形成された合成樹脂製のハウジング31を有している。キャビティ32は、ハウジング31の前後両側に開口する形態をなし、キャビティ32の後端開口から端子金具付き電線10がキャビティ32に収容されるようになっている。端子金具付き電線10は、電線11と、この電線11に接続された雌端子金具12と、を備えて構成されている。
(電線11)
電線11は、複数の金属細線を撚り合せてなる芯線13と、芯線13の外周を被覆する合成樹脂製の絶縁被覆14と、を備える。芯線13は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属から構成される。本実施形態においては、アルミニウム又はアルミニウム合金が用いられている。電線11の端末においては、絶縁被覆14が剥離されることにより、芯線13が露出している。なお、芯線13は単芯線でもよい。
電線11は、複数の金属細線を撚り合せてなる芯線13と、芯線13の外周を被覆する合成樹脂製の絶縁被覆14と、を備える。芯線13は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属から構成される。本実施形態においては、アルミニウム又はアルミニウム合金が用いられている。電線11の端末においては、絶縁被覆14が剥離されることにより、芯線13が露出している。なお、芯線13は単芯線でもよい。
(雌端子金具12)
雌端子金具12は、相手側端子金具(図示せず)と接続される接続筒部20と、電線11の端部において絶縁被覆14を皮剥きすることで露出された芯線13に圧着されるワイヤーバレル16と、接続筒部20とワイヤーバレル16を接続する溝状の繋ぎ部19と、を備えて構成されている。接続筒部20は角筒状をなす角筒部を有し、その角筒部の内部には相手側端子金具と弾性的に接触する弾性接触片21が設けられている。この雌端子金具12は、接続筒部20、繋ぎ部19、及びワイヤーバレル16に共通する底板15を有している。この底板15に電線11の絶縁被覆14及び芯線13が載置されている。
雌端子金具12は、相手側端子金具(図示せず)と接続される接続筒部20と、電線11の端部において絶縁被覆14を皮剥きすることで露出された芯線13に圧着されるワイヤーバレル16と、接続筒部20とワイヤーバレル16を接続する溝状の繋ぎ部19と、を備えて構成されている。接続筒部20は角筒状をなす角筒部を有し、その角筒部の内部には相手側端子金具と弾性的に接触する弾性接触片21が設けられている。この雌端子金具12は、接続筒部20、繋ぎ部19、及びワイヤーバレル16に共通する底板15を有している。この底板15に電線11の絶縁被覆14及び芯線13が載置されている。
ところで、本実施形態の雌端子金具12には、絶縁被覆14を固着するためのインシュレーションバレルが設けられておらず、ワイヤーバレル16の後端が雌端子金具12の後端とされている。また、ワイヤーバレル16の後端から絶縁被覆14の前端に至るまでの領域には、絶縁被覆14が除去されることで芯線13が所定の長さだけ後方に引き出された電線引出部23が形成されている。この電線引出部23は、通常よりも長めに形成されており、電線引出部23の前後長さは、繋ぎ部19の前後長さとワイヤーバレル16の前後長さとの合計にほぼ等しくなっている。
雌端子金具12は金属板材を所定形状にプレス加工して形成されている。雌端子金具12を構成する金属としては、銅、銅合金等、必要に応じて任意の金属を採用しうる。また、金属板材の表面には図示しないメッキ層が形成されている。メッキ層を構成する金属としては、スズ、ニッケル等、必要に応じて任意の金属を採用しうる。本実施形態においては、銅又は銅合金の表面にスズメッキ層が形成されている。なお、金属板材の表面にメッキ層を形成しない構成としてもよい。
ワイヤーバレル16は、底板15と、この底板15の両側縁から対向状態をなして上方に立ち上がる一対のバレル片17,17とから構成されている。ワイヤーバレル16は、電線11の芯線13が底板15に載置された状態で、両バレル片17,17と底板15との間で芯線13をかしめ付けることでワイヤーバレル16が芯線13に圧着されている。
図4に示すように、ワイヤーバレル16のうち両バレル片17によって圧着される圧着面、すなわち圧着に伴って芯線13と接触する側の面に、複数の凹部18が形成されている。凹部18は、略四角形状をなしており、詳細には略平行四辺形状をなしている。また、芯線13の延びる方向(前後方向)に隣り合う一対の凹部18は、前後方向にオーバーラップする態様で配されているので、芯線13の延びる方向と直交する方向(幅方向)における全域で芯線13を圧着できる。したがって、芯線13とワイヤーバレル16との固着力を向上させることができる。
また、圧着に伴って複数の凹部18の口縁が芯線13の表面に摺接するので、凹部18の口縁が芯線13の表面に形成された絶縁性の酸化被膜等を突き破って芯線13に接触することになる。したがって、凹部18の口縁と芯線13との接触面積が大きくなる結果、雌端子金具12と芯線13との電気抵抗値を低くすることができる。
繋ぎ部19は、断面が略U字形状をなして上方に開口しており、底板15と、底板15の両側縁から上方に立ち上がる一対の側板とから構成されている。両側板は、それぞれ両バレル片17に連設されている。なお、繋ぎ部19の断面形状としては、例えば半円形状としてもよく、必要に応じて任意の形状を採用しうる。また、繋ぎ部19は、底板15における芯線13が載置された側の面を凹形状に曲げ加工して形成されている。
(モールド部22)
繋ぎ部19には、合成樹脂をモールド成形してなるモールド部22が設けられている。モールド部22を構成する合成樹脂としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用いてもよく、また、エポキシ樹脂等の熱硬化製樹脂を用いてもよく、必要に応じて任意の合成樹脂を用いることができる。上記の合成樹脂は、1種類のみを用いてもよく、また、複数種類の合成樹脂を混合して用いてもよい。本実施形態においては、ポリアミド系熱可塑性樹脂が用いられている。
繋ぎ部19には、合成樹脂をモールド成形してなるモールド部22が設けられている。モールド部22を構成する合成樹脂としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用いてもよく、また、エポキシ樹脂等の熱硬化製樹脂を用いてもよく、必要に応じて任意の合成樹脂を用いることができる。上記の合成樹脂は、1種類のみを用いてもよく、また、複数種類の合成樹脂を混合して用いてもよい。本実施形態においては、ポリアミド系熱可塑性樹脂が用いられている。
モールド部22は、図3に示すように、繋ぎ部19の外周を全周に亘って包囲して形成されている。換言すると、繋ぎ部19は、モールド部22の内部に埋設されている。本実施形態においては、モールド部22の断面は横長の略方形状をなし、四隅の角部が丸められた形状とされている。
(熱収縮チューブ24)
図2に示すように、モールド部22からワイヤーバレル16、電線引出部23を通って絶縁被覆14の端部25に至るまでの領域は、合成樹脂材からなる筒状の熱収縮チューブ24によって被覆されている。本実施形態においては、熱収縮チューブ24の内面には、図示しない接着層又は粘着層が形成されている。接着層又は粘着層は、加熱されて軟化又は溶融することにより、接着性又は粘着性が発現するようになっている。なお、熱収縮チューブ24の内面に接着層又は粘着層を設けない構成としてもよい。熱収縮チューブ24の前後長さは、モールド部22の後端から絶縁被覆14の前端に至るまでの領域の前後長さよりも長く設定されている。
図2に示すように、モールド部22からワイヤーバレル16、電線引出部23を通って絶縁被覆14の端部25に至るまでの領域は、合成樹脂材からなる筒状の熱収縮チューブ24によって被覆されている。本実施形態においては、熱収縮チューブ24の内面には、図示しない接着層又は粘着層が形成されている。接着層又は粘着層は、加熱されて軟化又は溶融することにより、接着性又は粘着性が発現するようになっている。なお、熱収縮チューブ24の内面に接着層又は粘着層を設けない構成としてもよい。熱収縮チューブ24の前後長さは、モールド部22の後端から絶縁被覆14の前端に至るまでの領域の前後長さよりも長く設定されている。
熱収縮チューブ24の内面は、熱収縮チューブ24が加熱されて収縮した状態において、モールド部22の外周面と全周に亘って隙間なく密着している。また、熱収縮チューブ24の内面は、絶縁被覆14の端部25の外周面と全周に亘って隙間なく密着している。
モールド部22を構成する合成樹脂材として、加熱によって軟化又は溶融することにより接着性を発現するものを用いてもよい。この場合には、熱収縮チューブ24を加熱する工程において、モールド部22を軟化又は溶融させ、熱収縮チューブ24の内面とモールド部22とを接着する構成とすることができる。
熱硬化された状態の熱収縮チューブ24は、電線引出部23がワイヤーバレル16に対して遊動することを規制できる程度の硬さを有している。このため、端子金具付き電線10をキャビティ32に挿入する前に、電線引出部23が曲がることにより、電線引出部23におけるワイヤーバレル16側の端部23Aに曲げ応力が集中して芯線13が破断する事態を未然に回避できるようになっている。すなわち、予め電線引出部23が熱収縮チューブ24で覆われた状態としておくことで電線引出部23が曲がりにくくなり、ワイヤーバレル16側の端部23Aにおける芯線13の破断を規制することができる。
(ハウジング31)
さて、本実施形態では図8に示すように、電線引出部23を長めに形成することにより、熱収縮チューブ24において絶縁被覆14の端部25を覆う大径部33がキャビティ32の外部にはみ出た状態とされている。一方、熱収縮チューブ24において電線引出部23を覆う小径部34がキャビティ32に収容されている。より具体的に説明すると、キャビティ32の内径は、小径部34を収容できるように小径部34の外径とほぼ同じかこれよりやや大きめに設定されているものの、大径部33の外径よりも小さめに設定されている。また、隣り合うキャビティ32間の隔壁35の寸法は、隣り合う大径部33が干渉しない程度に設定されている。これらによって、ハウジング31の小型化が図られている。
さて、本実施形態では図8に示すように、電線引出部23を長めに形成することにより、熱収縮チューブ24において絶縁被覆14の端部25を覆う大径部33がキャビティ32の外部にはみ出た状態とされている。一方、熱収縮チューブ24において電線引出部23を覆う小径部34がキャビティ32に収容されている。より具体的に説明すると、キャビティ32の内径は、小径部34を収容できるように小径部34の外径とほぼ同じかこれよりやや大きめに設定されているものの、大径部33の外径よりも小さめに設定されている。また、隣り合うキャビティ32間の隔壁35の寸法は、隣り合う大径部33が干渉しない程度に設定されている。これらによって、ハウジング31の小型化が図られている。
ハウジング31を小型化できる理由は、キャビティ32の内径を小さくした上で、キャビティ32間の隔壁35の寸法を小さくできるからである。まず、キャビティ32の内径を小さくできる理由は、大径部33が小径部34よりも一回り大きく形成されているものの、大径部33をキャビティ32の外部に配置したことにより、キャビティ32の内径を大径部33の外径よりも小さめに設定できるからである。次に、キャビティ32間の隔壁35の寸法を小さくできる理由は、大径部33同士を干渉しない程度に近づけて配置しているからである。
更に、キャビティ32の内壁を小径部34の外径とほぼ同じに設定したことにより、小径部34が、キャビティ32の内部において芯線13の延びる方向と直交する方向に移動することが規制されている。この結果、電線引出部23の遊動を防ぐことができ、電線引出部23におけるワイヤーバレル16側の端部23Aにおいて芯線13が破断することもない。
(製造工程)
続いて、本実施形態に係るコネクタ30の製造工程の一例を示す。まず、金属板材に打ち抜き工程(図示せず)を実行することにより、帯状をなすキャリア26と、このキャリア26の側縁に連結された複数の端子金具片27と、を形成する。キャリア26には、長手方向に沿って略等間隔に並ぶ送り孔28が形成されている。この送り孔28には、加工機に設けられた図示しない送り爪が係合するようになっている。なお、打ち抜き工程において、ワイヤーバレル16の圧着面に複数の凹部18を形成してもよく、あるいは打ち抜き工程とは別の工程において、上記の凹部18を形成してもよい。
続いて、本実施形態に係るコネクタ30の製造工程の一例を示す。まず、金属板材に打ち抜き工程(図示せず)を実行することにより、帯状をなすキャリア26と、このキャリア26の側縁に連結された複数の端子金具片27と、を形成する。キャリア26には、長手方向に沿って略等間隔に並ぶ送り孔28が形成されている。この送り孔28には、加工機に設けられた図示しない送り爪が係合するようになっている。なお、打ち抜き工程において、ワイヤーバレル16の圧着面に複数の凹部18を形成してもよく、あるいは打ち抜き工程とは別の工程において、上記の凹部18を形成してもよい。
次に、図4に示すように、打ち抜き工程が実行された端子金具片27に対して曲げ工程を実行する。この曲げ工程において端子金具片27に曲げ加工を施すと、端子金具片27が芯線13の延びる方向に長めに成形されると共に繋ぎ部19と接続筒部20とが成形される。
続いて、図5に示すように、キャリア26に形成された送り孔28を送り爪に係合させることで、順次、端子金具片27を送りながら、端子金具片27の繋ぎ部19にモールド部22をモールド成形する。詳細に説明すると、まず、図示しない一対の金型によって、繋ぎ部19のうちモールド部22を形成すべき部分を上下方向から挟み付ける。次いで、金型の内部に形成された成形空間に、溶融状態の合成樹脂を射出する。合成樹脂が金型内で固化した後、一対の金型を開き、モールド部22が形成された端子金具片27を金型から離脱させる。上記の工程を、略一定の間隔で、キャリア26に連結された複数の端子金具片27に対して順次実行する。
続いて端子金具片27に対して圧着工程を実行する。詳細に説明すると、電線11の端末にて絶縁被覆14を皮剥きして芯線13を露出させておき、電線11から露出する芯線13及び絶縁被覆14を、端子金具片27の底板15に載置する。その後、図示しない金型によって両バレル片17を芯線13の外側から抱くようにかしめる。これにより、ワイヤーバレル16を芯線13に圧着する。
本実施形態においては、上記の圧着工程と同時に、キャリア26から端子金具片27を切断する切断工程を実行する。これにより、図6に示すように、各端子金具片27はキャリア26から切断されて、電線11に接続された状態の雌端子金具12とされる。なお、図9に示すように、キャリア26から切断された雌端子金具12に対して電線11を圧着接続することにより、電線11に接続された雌端子金具12を形成してもよい。
続いて、被覆工程を実行する。詳細に説明すると、熱収縮チューブ24を接続筒部20側から挿通し、モールド部22から絶縁被覆14の端部25に至るまでの領域に被せる。熱収縮チューブ24の内径は、加熱前の状態において、接続筒部20の外形よりも大きくなるように設定することにより、比較的容易に、接続筒部20側から挿通させることができる。なお、電線11側から挿通させる場合には、圧着工程を実行する前に、予め電線11に熱収縮チューブ24を先通ししておけばよい。
熱収縮チューブ24を挿通させた後、図示しない加熱装置で加熱する加熱工程を実行することにより、熱収縮チューブ24を収縮させる。これにより、熱収縮チューブ24の内面を、モールド部22の外面及び絶縁被覆14の端部25の外面に対して隙間なく密着させる。このとき、電線引出部23の外面に対しても熱収縮チューブ24の内面が密着し、電線引出部23がワイヤーバレル16に対して遊動することが規制される。以上により、端子金具付き電線10が完成する。
なお、上記の加熱工程において、接続筒部20を上方に向けた姿勢で加熱することにより、加熱工程においてモールド部22が溶融した場合でも、モールド部22を構成する合成樹脂が接続筒部20内に流入することを抑制することができる。これにより、接続筒部20における相手側端子金具との電気的な接続信頼性を向上させることができる。
この後、図8に示すように、端子金具付き電線10をキャビティ32に対して後方から順次挿入していき、キャビティ32の内部に形成されたランス(図示せず)によって端子金具付き電線10を抜け止め状態に保持する。こうして、全てのキャビティ32に端子金具付き電線10が挿入されると、コネクタ30が完成する。
(作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態によれば、繋ぎ部19にはモールド部22が設けられているので、繋ぎ部19から水が浸入して、芯線13及びワイヤーバレル16に水が付着することを抑制できる。更に、モールド部22の外周面は、熱収縮チューブ24の内面と、全周に亘って隙間なく密着しているので、モールド部22と熱収縮チューブ24との間から水が浸入することも抑制される。これにより、繋ぎ部19のうちモールド部22が形成された部分から、ワイヤーバレル16、電線引出部23、更に、絶縁被覆14の端部25に至るまでの領域は、熱収縮チューブ24によって止水されるので、芯線13及びワイヤーバレル16に水が付着することを確実に抑制できる。
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態によれば、繋ぎ部19にはモールド部22が設けられているので、繋ぎ部19から水が浸入して、芯線13及びワイヤーバレル16に水が付着することを抑制できる。更に、モールド部22の外周面は、熱収縮チューブ24の内面と、全周に亘って隙間なく密着しているので、モールド部22と熱収縮チューブ24との間から水が浸入することも抑制される。これにより、繋ぎ部19のうちモールド部22が形成された部分から、ワイヤーバレル16、電線引出部23、更に、絶縁被覆14の端部25に至るまでの領域は、熱収縮チューブ24によって止水されるので、芯線13及びワイヤーバレル16に水が付着することを確実に抑制できる。
芯線13を構成する金属と、雌端子金具12を構成する金属とが異なる場合、芯線13とワイヤーバレル16との双方に亘って水が付着すると、芯線13又はワイヤーバレル16に電食が発生することが懸念される。本実施形態によれば、芯線13とワイヤーバレル16とは熱収縮チューブ24によって確実に防水されるので、芯線13又はワイヤーバレル16が電食により溶解することを抑制できる。
特に、本実施形態のように、芯線13がアルミニウム又はアルミニウム合金からなり、雌端子金具12が銅又は銅合金の表面にスズメッキ層が形成されてなる場合には、比較的にイオン化傾向の大きなアルミニウム又はアルミニウム合金からなる芯線13が電食により溶解するおそれがあるので、特に有効である。なお、アルミニウム又はアルミニウム合金は比重が比較的に小さいので、電線11を軽量化できる。
また、本実施形態では、インシュレーションバレルを設けていないため、雌端子金具12を小型化でき、ハウジング31の小型化に寄与しうる。その上、大径部33をキャビティ32の外部に配置したから、キャビティ32の内径を小さくでき、ハウジング31を小型化できる。これらに加えて、大径部33同士を干渉しない程度に近づけて配置したから、キャビティ32間の隔壁35の寸法を小さくでき、ハウジング31を更に小型化できる。
また、本実施形態では、熱収縮チューブ24を装着することによって電線引出部23を曲がりにくくしている。これにより、電線引出部23の遊動が規制され、電線引出部23におけるワイヤーバレル16側の端部23Aに曲げ応力が集中することを回避できる。したがって、ワイヤーバレル16側の端部23Aにおける芯線13の破断を規制しやすくなる。
更に、端子金具付き電線10をキャビティ32に挿入した状態では、小径部34がキャビティ32の内壁によって全周に亘って覆われた状態となるため、電線引出部23がワイヤーバレル16に対して曲がることはない。したがって、ワイヤーバレル16側の端部23Aに曲げ応力が集中して芯線13が破断することを防ぐことができる。
また、本実施形態によれば、止水被覆が熱収縮チューブ24からなる。加熱前の状態においては、熱収縮チューブ24の内径は比較的に大きいので、上記の領域の外周に容易に配置することができる。その後、加熱により収縮させることで、熱収縮チューブ24の内面を、モールド部22及び絶縁被覆14の端部25と隙間なく密着させることができる。このように、止水被覆として熱収縮チューブ24を用いることにより、モールド部22から絶縁被覆14の端部25に至るまでの領域の外周に熱収縮チューブ24を配置する工程の作業効率を向上させることができる。
更に、熱収縮チューブ24の内周面には接着層又は粘着層が形成されているので、熱収縮チューブ24を収縮させるための加熱工程を実行することにより、熱収縮チューブ24の内面とモールド部22の外面とを隙間なく密着させることができると共に、熱収縮チューブ24の内面と絶縁被覆14の端部25の外面とを隙間なく密着させることができる。
このように、止水被覆として内周面に接着層又は粘着層が形成された熱収縮チューブ24を用いることにより、モールド部22から絶縁被覆14の端部に至るまでの領域の外周に熱収縮チューブ24を配置する工程の作業効率を向上させることができると共に、熱収縮チューブ24と、モールド部22及び絶縁被覆14の端部25との密着性を向上させることができる。
また、一般に、合成樹脂を射出成形する場合、複数の成形品を一定の間隔で連続的に射出成形する方が、不規則な間隔で射出成形を行うよりも効率がいい。これは、溶融状態の合成樹脂を成形空間に射出した後、固化させ、金型から成形品を離脱させるという一連の工程を連続的に実行することにより、金型の温度条件、合成樹脂の射出条件等を安定させることができるからである。本実施形態によると、モールド部22は、キャリア26に連結された複数の端子金具片27に対してモールド工程を連続的に実行することにより形成される。この結果、モールド工程の作業効率を向上させることができる。
また、本実施形態においては、切断工程は、圧着工程と同一の工程において実行される。これにより、切断工程と圧着工程とを異なる工程で実行する場合に比べて、作業効率を向上させることができる。
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図10の図面を参照しながら説明する。本実施形態のコネクタ40は、実施形態1の電線引出部23及びハウジング31の形状を変更したものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
次に、本発明の実施形態2を図10の図面を参照しながら説明する。本実施形態のコネクタ40は、実施形態1の電線引出部23及びハウジング31の形状を変更したものであって、実施形態1と共通する構成、作用、および効果については重複するため、その説明を省略する。また、実施形態1と同じ構成については同一の符号を用いるものとする。
ハウジング41の内部には、キャビティ42が前後両側に開口して形成されている。本実施形態の端子金具付き電線44は、実施形態1の電線引出部23よりも短めに形成された電線引出部43を備えて構成されており、これに伴って大径部33がキャビティ42に収容されている点で実施形態1と異なっている。また、本実施形態のキャビティ42の内径は、大径部33の外径とほぼ同じかこれよりもやや大きめに設定されている。これにより、大径部33が、キャビティ32の内部において芯線13の延びる方向と直交する方向に移動することが規制されている。このため、電線引出部43におけるワイヤーバレル15側の端部43Aのみならず絶縁被覆14側の端部43Bにおいても芯線13が破断することはない。
<実施形態3>
本実施形態においては、図示はしないものの、止水被覆として、ゴム弾性を有する弾性チューブを用いている。自然状態における弾性チューブの内径は、モールド部22の外径及び絶縁被覆14の外径よりも小さくなるように設定されている。上記以外の構成については、実施形態1と同じであるため、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態においては、図示はしないものの、止水被覆として、ゴム弾性を有する弾性チューブを用いている。自然状態における弾性チューブの内径は、モールド部22の外径及び絶縁被覆14の外径よりも小さくなるように設定されている。上記以外の構成については、実施形態1と同じであるため、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
弾性チューブを雌端子金具12に被覆する被覆工程においては、まず、弾性チューブを拡径させた状態で、雌端子金具12側から挿通し、モールド部22から絶縁被覆14の端部25に至るまでの領域に配置する。その後、弾性チューブを復帰変形させる。すると、弾性チューブの内面は、モールド部22から絶縁被覆14の端部25に至るまでの領域と密着する。なお、電線11側から挿通させる場合には、圧着工程を実行する前に、予め電線11に弾性チューブを先通ししておけばよい。
このように本態様によれば、弾性チューブを所定の位置に配置した後、復帰変形させるという簡易な工程により、弾性チューブと、モールド部22及び絶縁被覆14との境界からの浸水を抑制できる。このため、止水被覆として熱収縮チューブ24を用いた場合に必要であった加熱工程が、不要となるので、製造コストの低減を図ることができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態においては、端子金具は雌端子金具12であったが、これに限られず、繋ぎ部19から芯線13の延びる方向に、更に延びて形成された雄タブを備えた雄端子金具であってもよく、また、繋ぎ部19に連なって円板状の接続部を形成し、この接続部に貫通孔が形成された、いわゆるLA端子であってもよい。また、導電部材を相手側電線とし、接続部を相手側電線の芯線が圧着接続されたワイヤーバレルとしてもよい。すなわち、繋ぎ部19の両側に一対のワイヤーバレルが形成されたスプライス端子としてもよく、必要に応じて任意の形状の端子金具とすることができる。
(2)実施形態1においては、モールド部22の断面は略四角形状をなしていたが、これに限られず、円形状、楕円形状、長円形状等でもよく、また、三角形状等の多角形状であってもよく、必要に応じて任意の形状とすることができる。
(3)止水被覆は、シート状をなす止水テープを、モールド部22から絶縁被覆14の端部25に至るまでの領域にテープ巻きする構成としてもよい。
(4)上記実施形態においては、モールド部22は、芯線13にワイヤーバレル16を圧着する工程の前に形成する構成としたが、これに限られず、モールド部22は、芯線13にワイヤーバレル16を圧着した後に形成する構成としてもよい。
(5)上記実施形態においては、芯線13がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる構成としたが、これに限られず、芯線13は銅又は銅合金からなる構成としてもよく、必要に応じて任意の金属により形成される構成としてもよい。また、上記実施形態においては、端子金具が銅又は銅合金からなると共に表面にスズメッキ層が形成される構成としたが、これに限られず、端子金具は必要に応じて任意の金属からなる構成としてもよい。
(6)上記実施形態においては、圧着工程と切断工程とを同一の工程で実行する態様としたが、これに限られず、圧着工程を実行した後に、切断工程を実行する構成としてもよいし、切断工程を実行した後に、個片の状態で圧着工程を実行してもよい。
(7)上記実施形態においては、電線引出部がキャビティに収容されているものの、本発明によると、電線引出部がキャビティの外部に配置されているものでもよい。
(8)上記実施形態においては、止水被覆(熱収縮チューブ24、弾性チューブ)における絶縁被覆14の端部25を覆う部分を大径部としているものの、本発明によると、止水被覆における最大外径の部分の大径部としてもよい。同様に、止水被覆における最小外径の部分を小径部としてもよい。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態においては、端子金具は雌端子金具12であったが、これに限られず、繋ぎ部19から芯線13の延びる方向に、更に延びて形成された雄タブを備えた雄端子金具であってもよく、また、繋ぎ部19に連なって円板状の接続部を形成し、この接続部に貫通孔が形成された、いわゆるLA端子であってもよい。また、導電部材を相手側電線とし、接続部を相手側電線の芯線が圧着接続されたワイヤーバレルとしてもよい。すなわち、繋ぎ部19の両側に一対のワイヤーバレルが形成されたスプライス端子としてもよく、必要に応じて任意の形状の端子金具とすることができる。
(2)実施形態1においては、モールド部22の断面は略四角形状をなしていたが、これに限られず、円形状、楕円形状、長円形状等でもよく、また、三角形状等の多角形状であってもよく、必要に応じて任意の形状とすることができる。
(3)止水被覆は、シート状をなす止水テープを、モールド部22から絶縁被覆14の端部25に至るまでの領域にテープ巻きする構成としてもよい。
(4)上記実施形態においては、モールド部22は、芯線13にワイヤーバレル16を圧着する工程の前に形成する構成としたが、これに限られず、モールド部22は、芯線13にワイヤーバレル16を圧着した後に形成する構成としてもよい。
(5)上記実施形態においては、芯線13がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる構成としたが、これに限られず、芯線13は銅又は銅合金からなる構成としてもよく、必要に応じて任意の金属により形成される構成としてもよい。また、上記実施形態においては、端子金具が銅又は銅合金からなると共に表面にスズメッキ層が形成される構成としたが、これに限られず、端子金具は必要に応じて任意の金属からなる構成としてもよい。
(6)上記実施形態においては、圧着工程と切断工程とを同一の工程で実行する態様としたが、これに限られず、圧着工程を実行した後に、切断工程を実行する構成としてもよいし、切断工程を実行した後に、個片の状態で圧着工程を実行してもよい。
(7)上記実施形態においては、電線引出部がキャビティに収容されているものの、本発明によると、電線引出部がキャビティの外部に配置されているものでもよい。
(8)上記実施形態においては、止水被覆(熱収縮チューブ24、弾性チューブ)における絶縁被覆14の端部25を覆う部分を大径部としているものの、本発明によると、止水被覆における最大外径の部分の大径部としてもよい。同様に、止水被覆における最小外径の部分を小径部としてもよい。
10…端子金具付き電線
11…電線
12…雌端子金具(端子金具)
13…芯線
14…絶縁被覆
16…ワイヤーバレル
19…繋ぎ部
20…接続筒部(接続部)
22…モールド部(止水壁)
23…電線引出部
24…熱収縮チューブ(止水被覆)
25…絶縁被覆の端部
30…コネクタ
31…ハウジング
32…キャビティ
33…大径部
34…小径部
40…コネクタ
41…ハウジング
42…キャビティ
43…電線引出部
11…電線
12…雌端子金具(端子金具)
13…芯線
14…絶縁被覆
16…ワイヤーバレル
19…繋ぎ部
20…接続筒部(接続部)
22…モールド部(止水壁)
23…電線引出部
24…熱収縮チューブ(止水被覆)
25…絶縁被覆の端部
30…コネクタ
31…ハウジング
32…キャビティ
33…大径部
34…小径部
40…コネクタ
41…ハウジング
42…キャビティ
43…電線引出部
Claims (13)
- 芯線の外周を絶縁被覆で被覆してなる電線に端子金具が接続され、キャビティが形成されたハウジングの前記キャビティに前記端子金具が収容されたコネクタであって、
前記端子金具が、導電部材と接続される接続部と、前記絶縁被覆の端部から露出された前記芯線に圧着されたワイヤーバレルと、前記接続部と前記ワイヤーバレルを接続する繋ぎ部と、を備えて構成され、
前記繋ぎ部に合成樹脂をモールド成形してなる止水壁が設けられ、この止水壁の外面と前記絶縁被覆の端部の外面とに密着して前記止水壁と前記絶縁被覆の端部との間に亘って前記芯線を覆う筒状の止水被覆が設けられており、
前記電線における前記止水壁とは反対側に引き出された電線引出部は、前記止水被覆に覆われることでその遊動が規制されているコネクタ。 - 前記電線引出部は、更に前記キャビティに収容されることでその遊動が規制されている請求項1に記載のコネクタ。
- 前記止水被覆における前記キャビティに収容された部分の外径が前記キャビティの内径と同じに設定されることで前記電線引出部の遊動が規制されている請求項2に記載のコネクタ。
- 前記止水被覆における前記電線引出部を覆う小径部の外径は、前記キャビティの内径と同じに設定され、前記止水被覆における前記絶縁被覆の端部を覆う大径部の外径は、前記小径部の外径よりも大きく設定され、かつ前記大径部は、前記キャビティの外部に配置されている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のコネクタ。
- 前記止水被覆における前記絶縁被覆の端部を覆う大径部の外径は、前記キャビティの内径と同じに設定され、かつ前記大径部は、前記キャビティに収容されている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のコネクタ。
- 前記止水壁は、更に、前記繋ぎ部の外周を全周に亘って包囲するように形成されている請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のコネクタ。
- 前記芯線を構成する金属と、前記端子金具を構成する金属とが異なる請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のコネクタ。
- 前記芯線がアルミニウム又はアルミニウム合金からなる請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のコネクタ。
- 前記止水被覆の内周面には接着層又は粘着層が形成されている請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載のコネクタ。
- 前記止水被覆が熱収縮チューブである請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載のコネクタ。
- 前記止水被覆がゴム弾性を有する弾性チューブである請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載のコネクタ。
- 芯線の外周を絶縁被覆で被覆してなる電線から露出した前記芯線に端子金具が接続された端子金具付き電線であって、
前記端子金具が、導電部材と接続される接続部と、前記絶縁被覆の端部から露出された前記芯線に圧着されたワイヤーバレルと、前記接続部と前記ワイヤーバレルを接続する繋ぎ部と、を備えて構成され、
前記繋ぎ部に合成樹脂をモールドしてなる止水壁が設けられ、この止水壁の外面と前記絶縁被覆の端部の外面とに密着して前記止水壁と前記絶縁被覆の端部との間に亘って前記芯線を覆う筒状の止水被覆が設けられており、
前記電線における前記止水壁とは反対側に引き出された電線引出部は、前記止水被覆に覆われることでその遊動が規制されている端子金具付き電線。 - 芯線の外周を絶縁被覆で被覆してなる電線から露出する前記芯線に接続される端子金具であって、
前記端子金具が、導電部材と接続される接続部と、前記絶縁被覆の端部から露出された前記芯線に圧着されたワイヤーバレルと、前記接続部と前記ワイヤーバレルを接続する繋ぎ部と、を備えて構成され、
前記繋ぎ部に合成樹脂をモールドしてなる止水壁が設けられ、この止水壁の外面と前記絶縁被覆の端部の外面とに密着して前記止水壁と前記絶縁被覆の端部との間に亘って前記芯線を覆う筒状の止水被覆が設けられるようになっており、
前記電線における前記止水壁とは反対側に引き出された電線引出部は、前記止水被覆に覆われることでその遊動が規制される端子金具。
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