JP5521637B2 - シート搬送装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置に搭載されるシート搬送装置、及びそれを備えた画像形成装置に関する。
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置において、両面印刷のため、あるいは用紙をページ順に揃えるために、画像形成後の用紙の前後を反転させて搬送する反転搬送経路を備えるものが知られている。
下記の特許文献1に記載の画像形成装置では、用紙の両面に画像形成時は、給紙カセットから画像形成部へ用紙を搬送するための供給路内で、用紙の前後を反転させるように構成されている。すなわち、ここでは、反転搬送経路を供給路と共用している。そして、用紙をページ順に揃えるために、画像形成後の用紙の前後を反転させて搬送する場合は、前記反転搬送経路に至る手前の両面搬送経路(第一搬送路)に用紙を取り込んだ後に、用紙の前後を反転させることで、用紙を再度画像形成部へ案内することなくそのまま排出可能に構成されている。
また、特許文献2に記載の画像形成装置は、複数の反転搬送経路を、画像形成部よりも用紙搬送方向の上流側に配設している。
また、特許文献3に記載の画像形成装置は、反転搬送経路を専用に有し、前後反転させた用紙は画像形成部へと案内されるようになっている。
また、特許文献4に記載の画像形成装置は、両面搬送経路の他に反転搬送経路を専用に有し、どちらかの経路で前後反転させた用紙を再度画像形成部へ案内することなくそのまま排出可能に構成されている。
以下、上記特許文献1〜4において、片面のみに画像が形成された用紙を、ページ順に揃えて排出する場合(=反転排紙)の動作について検討する。
まず、特許文献2〜3に記載の画像形成装置では、いずれも、前後反転させた用紙は再度画像形成部へ搬送される。従って、片面のみに画像が形成された用紙をページ順に揃えて排出する場合であっても、必ず画像形成部を通過させなければならないため、排出するまでの搬送経路が長くなり、生産性(ファーストコピ−タイムやPPM:Print Per Minute=1分間あたりの印刷枚数)が低下する欠点がある。また、搬送経路が長くなる分、ジャムになる可能性が高くなる。さらには、画像形成部よりも上流側に設けた搬送ローラやガイド板等が用紙の画像形成面と接触するので、搬送ローラやガイド板等がトナーで汚れやすくなると共に、画像が劣化しやすくなると言った欠点もある。
特許文献1に記載の画像形成装置では、片面のみに画像が形成された用紙をページ順に揃えて排出する場合に、両面に画像を形成すべく再び画像形成部へ戻す搬送経路と、給紙カセットからの供給路とを、兼ねた経路に用紙を一旦取り入れた後に、前後反転させてそのまま排出するものである。よって、特許文献1に記載の画像形成装置では、特許文献2〜3に記載の画像形成装置が有したような専用の反転搬送経路を持っていない。
しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置において、画像形成後の用紙を反転してから排紙するには、2箇所の分岐部(具体的には、特許文献1の図1における第2搬送路23から第3搬送路24に至る分岐部と、第3搬送路24から第4搬送路25に至る分岐部)に、それぞれ搬送経路切換用の切換手段(切換爪)を配設しなければならない。このため、それら2つの切換手段を駆動させるアクチェータ(例えばソレノイド又はモータ)が必要になっていた。また、片面のみに画像が形成された用紙をページ順に揃えて排出する場合には、給紙カセットから用紙を供給する供給路も兼ねた経路に用紙を一旦取り入れるため、給紙カセットの用紙を給紙するために設けた搬送ローラやガイド板等が用紙の画像形成面と接触して汚れやすくなると言った欠点もある。
特許文献4に記載の画像形成装置は、前後反転させた用紙を再度画像形成部へ案内することなく排出可能に構成されているため、上記特許文献2〜3の画像形成装置と比べて、搬送経路を短くすることができ生産性を向上させることができる。また、片面印刷の用紙をページ順に揃えて排出する場合には、上記特許文献1〜3の画像形成装置と比べて、画像形成部よりも上流側に設けた搬送ローラやガイド板等を汚す問題もない。
しかしながら、特許文献4に記載の画像形成装置は、両面搬送経路を兼ねた反転搬送経路の他に、専用の反転搬送経路を設けているため、専用の反転搬送経路のスペースを確保したり、搬送ローラやガイド板等を別途設けたりしなければならない。そのため、近年の画像形成装置の小型化及び低コスト化の要請に反する。
また、特許文献3と4に関しては、反転搬送ロ−ラのみでスイッチバック経路を搬送させるため、搬送方向に長くて薄い用紙などの進入時は、うまくスイッチバック経路に入らず、経路途中で座屈して用紙にダメ−ジが生じてしまう場合があった。また、スイッチバック経路に収納される用紙の搬送方向長さに対し、これを規制する上下の搬送ガイド板の搬送方向長さが不十分である場合には、用紙がスイッチバック経路に入って来る時に、用紙の先端面が暴れて別な部材に先端面が引っ掛かってしまい、スキュ−やジャム等の搬送不具合を引き起こす場合があった。これを防止するためには、スイッチバック経路中に複数のコロを設けたり、搬送ガイド板の長さを十分確保したりしなければならず、部品点数のUPやコストのUPを招くこととなっていた。また、両面搬送経路を兼ねた反転搬送経路を使って用紙を反転させたとしても、特許文献1に記載の画像形成装置と同じく、搬送経路切換用の切換手段(切換爪)を2箇所に配設しなければならず、その2つ分のアクチェータ(例えばソレノイド又はモータ)が必要となる。
また、特許文献4に記載の画像形成装置において、両面搬送経路で用紙をスイッチバックさせる場合、両面搬送経路内での用紙の画像形成面は下側を臨むのに対し、用紙を専用の反転搬送経路を経て両面搬送経路に進入させる場合は、両面搬送経路内での用紙の画像形成面は上側を臨む。すなわち、両面搬送経路内での画像面は、上側を臨む場合と下側を臨む場合の2パターンあることになる。ところで、画像形成方式として、例えばインクジェット方式の様なものを採用する場合、両搬送経路に画像面のインクが未乾燥の状態で用紙が進入した際に、その未乾燥の画像面に影響を与えないように、両面搬送経路に設けられた搬送ローラには、画像面との接触面積が小さいローラ(点接触ローラ)を採用するなどの対策が講じられている。しかし、特許文献4の画像形成装置のように、両面搬送経路において画像面が上側を臨む場合と下側を臨む場合は、両面搬送経路の上下両方の搬送ローラに、接触面積が小さいローラ(点接触ローラ)を使うことが必要となるので、低コスト化の要請に反する。
そこで、本発明は、斯かる事情に鑑み、前後反転されたシート材を画像形成部を経由せずに装置外へ排出することができ、小型化及び低コスト化を実現可能なシート搬送装置、及びそのシート搬送装置を備えた画像形成装置を提供しようとするものである。
請求項1の発明は、シート材に画像を形成するための画像形成部を備えた画像形成装置に搭載されるシート搬送装置であって、前記画像形成部で画像が形成されたシート材を装置外へ排出するための排出路としての機能と、前記画像が形成されたシート材を排出方向とは逆方向に搬送して前後反転させる反転路としての機能を兼ねる排出兼反転路と、前記排出兼反転路で前後反転されたシート材を前記画像形成部を経由せずに装置外へ排出するための反転後排出路とを有し、前記反転後排出路を、前記排出兼反転路の排出方向上流側で分岐すると共に下流側で合流するように配設し、前記排出兼反転路内で前後反転されたシート材を、前記反転後排出路の分岐位置で前記反転後排出路へ案内すると共に、前記反転後排出路の合流位置で反転後排出路から前記排出兼反転路へシート材を案内するように構成したものである。
排出兼反転路が、シート材を排出するための排出路と、シート材の前後を反転させる反転路としての機能を兼ねているので、排出路と反転路を別々に設ける必要がない。加えて、画像形成後にシート材の反転排出を実現するまでの搬送経路上で、搬送経路を切り換える切換手段の設置が1箇所のみで良くなる。さらには、排出兼反転路内でのシート材の画像面の向きが常に同じ向きとなるので、画像劣化防止及び汚れ防止のための点接触ローラ等を用いる場合は、その画像面に接触する片側の搬送ローラのみを点接触ローラ等にすれば良い。以上により、部品点数が減少し装置の小型化及び低コスト化を図ることができると共に、レイアウト等の設計の自由度が向上する。
また、反転後排出路は、排出兼反転路で前後反転されたシート材を画像形成部を経由せずに装置外へ排出することができるので、シート材を排出するまでの搬送経路が短くなり、生産性(反転排出時のファ−ストコピ−タイムやPPM)を向上させることができ、かつジャム発生率を低減でき、搬送品質も良好にできる。また、画像形成部よりも上流側に設けた搬送ローラやガイド板等がシート材の画像形成面と接触する頻度を低減することができ、搬送ローラやガイド板等が汚れにくくなると共に、搬送するシート材の汚れや画質劣化を低減することができる。
請求項2の発明は、請求項1に記載のシート搬送装置において、装置本体に対して引出可能な引出ユニットを設け、前記排出兼反転路内でシート材を前後反転させる前に当該シート材を一旦停止させるシート停止領域の全体を、少なくとも前記引出ユニット内に配設したものである。
これにより、シート材がシート停止領域内にある状態で引出ユニットを引き出しても、引出操作に伴ってシート材が折れたり破れたりするなどの虞がない。このため、ユニット引出時のシート材の折れや破れ等を防止するための装置等を設ける必要がないので、構造を簡素化することができると共に、部品点数の増加を防止して低コスト化を図れる。また、引出ユニットを配設した部分の投影面積が小さくなるため、装置のデザイン上の自由度を上げることができる。さらに、引出ユニットの引き出しに伴い、装置の重心が引き出した方向へ移動して倒れやすくなるのを防ぐことができる。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のシート搬送装置において、前記排出兼反転路と前記反転後排出路の少なくとも一方が、曲げ搬送部を有する構成であって、その曲げ搬送部をシート材が通過する際、シート材の画像形成面が前記曲げ搬送部の内周側に面して搬送されるように構成したものである。
これにより、画像形成面が曲げ搬送部の外周側に設けたガイド板等に擦れて画像が乱れる等の不具合を防止できる。また、前記排出兼反転路と反転後排出路の少なくとも一方が、曲げ搬送部を有することで、種々の装置に合わせた搬送レイアウトにすることができ、装置の小型化を図れる。
請求項の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載のシート搬送装置において、前記反転後排出路内で、当該シート材の画像形成面が前記排出兼反転路とは反対側に面して搬送されるように構成したものである。
このように構成することにより、前後反転させて搬送されるシート材の前端が、排出兼反転路と反転後排出路との合流位置でそのシート材の後端に接触したとしても、前端及び後端における画像形成面は互いに反対側を向いているので、画像形成面同士が擦れることはない。これにより、シート材同士が接触することによる画像の乱れやシート材の汚れ等の不具合を防止することができる。
請求項の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載のシート搬送装置において、前後反転後のシート材の前端が前記合流位置に到達する前に、当該シート材の後端が前記合流位置を通過するように構成したものである。
これにより、合流位置でのシート材の前端と後端との接触を回避することができる。
請求項の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載のシート搬送装置において、最大搬送方向長さのシート材を前記排出兼反転路内で前後反転させるために停止させた状態で、そのシート材の前後反転後の後端よりも前記合流位置を排出方向の下流側に配設したものである。
このように構成することにより、シート材を前後反転させて搬送する際、合流位置よりも排出方向の下流側に配設された搬送ローラ等の回転方向を切り換えなくてもよいので、スムーズにシート材を搬送することが可能となる。
請求項の発明は、請求項1からのいずれか1項に記載のシート搬送装置において、前記排出兼反転路に正逆回転可能な反転搬送ローラ対を設け、当該反転搬送ローラ対を正回転させることによりシート材を排出する方向へ搬送し、反転搬送ローラ対を逆回転させることによりシート材を前後反転させて搬送するように構成されたシート搬送装置であって、前記反転搬送ローラ対を互いに接離可能に構成し、互いに離間した前記反転搬送ローラ対の間で、前後反転されたシート材の後端側とその次に搬送されるシート材の前端側とがすれ違って搬送されるように構成したものである。
互いに離間した反転搬送ローラ対の間で、前後反転されたシート材の後端側とその次に搬送されるシート材の前端側とをすれ違い可能とすることで、シート材間を狭くして搬送することができ、生産性(PPM)が向上する。
請求項の発明は、請求項に記載のシート搬送装置において、前記反転搬送ローラ対とそれよりも少なくとも1つ排出方向下流側の搬送ローラ対を互いに接離可能に構成し、互いに離間した前記反転搬送ローラ対の間及び互いに離間した前記搬送ローラ対の間で、前後反転されたシート材の後端側とその次に搬送されるシート材の前端側とがすれ違って搬送されるように構成したものである。
これにより、シート材間をより狭くして搬送することができ、生産性を一層向上させることができる。また、この場合、長尺なシート材であっても、シート材間を狭くして搬送することが可能となり、生産性を向上させることができる。
請求項の発明は、請求項1からのいずれか1項に記載のシート搬送装置において、前記排出兼反転路内でシート材を前後反転させずに排出する場合は、シート材の搬送を一旦停止しないように制御するものである。
シート材を前後反転させずに排出する場合は、シート材の搬送を一旦停止しないように制御することにより、シート材を排出する時間を短縮することができ、生産性を向上させることができる。
請求項10の発明は、請求項1からのいずれか1項に記載のシート搬送装置において、前記排出兼反転路内でシート材を前後反転させずに排出するときの搬送速度よりも前後反転させた後の搬送速度を大きく設定したものである。
排出兼反転路内でシート材を前後反転させずに排出するときの搬送速度よりも前後反転させた後の搬送速度を大きく設定することにより、反転排出時の生産性を向上させることが可能である。
請求項11の発明は、請求項1から10のいずれか1項に記載のシート搬送装置において、シート材上にインクを吐出して画像を形成するインクジェット式の画像形成部を備えた画像形成装置に搭載されるシート搬送装置であって、前記排出兼反転路と前記反転後排出路の経路長を、シート材を排出するまでにシート材上のインクが乾燥するような長さに設定したものである。
排出兼反転路と反転後排出路の経路長を、シート材を排出するまでにシート材上のインクが乾燥するような長さに設定しておくことで、排出後のシート材のインクが十分に乾いてないことによるシート材間の汚れの発生を防止できる。
請求項12の発明は、請求項1から11のいずれか1項に記載のシート搬送装置において、前記排出兼反転路及び前記反転後排出路に配設する搬送ローラを、シート材の画像形成面との接触面積が小さいローラで構成したものである。
これにより、搬送ローラが画像形成面と接触することによる画像の乱れを生じにくくすることができる。
請求項13の発明は、請求項1から12のいずれか1項に記載のシート搬送装置において、前記排出兼反転路又は前記反転後排出路を通過したシート材のカールを除去するデカーラ部を設けたものである。
これにより、デカーラ部でシート材のカールを除去して排出することができる。
請求項14の発明は、請求項1から13のいずれか1項に記載のシート搬送装置を備えた画像形成装置である。
画像形成装置が、請求項1から13のいずれか1項に記載のシート搬送装置を備えているので、これらのシート搬送装置による上記効果が得られる。
請求項16の発明は、請求項1から13のいずれか1項に記載のシート搬送装置を備えた両面画像形成装置である。
両面画像形成装置が、請求項1から13のいずれか1項に記載のシート搬送装置を備えているので、これらのシート搬送装置による上記効果が得られる。
本発明は、排出兼反転路を有していることにより、シート材を排出するための排出路と、シート材の前後を反転させる反転路とを、1つの搬送経路で共用することができる。これにより、反転路を専用に設ける必要がないので、部品点数が減少し装置の小型化及び低コスト化を図ることができると共に、レイアウト等の設計の自由度が向上する。また、本発明の構成は、反転路を両面搬送経路と共用して1つにしていないので、搬送するシート材の画像面の向きは常に同じ向きとなり、画像劣化防止及び汚れ防止のための点接触ローラを用いる場合に低コスト化を図ることができる。
また、本発明は、反転後排出路を有していることにより、排出兼反転路で前後反転されたシート材を画像形成部を経由せずに装置外へ排出することができる。これにより、排出するまでの搬送経路が短くなるのでジャムの発生率を低減しつつ、生産性(ファーストプリントタイムやPPM)を向上させることができる。また、画像形成部よりも上流側に設けた搬送ローラやガイド板等がシート材の画像形成面と接触する頻度を低減することができ、搬送ローラやガイド板等を汚れにくくすることができる。
本発明のシート搬送装置を搭載したインクジェットプリンタの概略構成図である。 本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンタの特徴部分の構成を示す簡略図である。 前記シート搬送装置が有する搬送経路内で最大搬送方向長さの用紙を反転搬送する場合の様子を示す図である。 前記搬送経路を上下方向に短く形成した変形例である。 本発明の第2実施形態に係るインクジェットプリンタの特徴部分の構成を示す簡略図である。 本発明の第3実施形態に係るインクジェットプリンタの特徴部分の構成を示す簡略図である。 本発明の第4実施形態に係るインクジェットプリンタの特徴部分の構成を示す簡略図である。 比較例のインクジェットプリンタの構成を示す簡略図である。
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
まず、図1に基づいて、本発明のシート搬送装置を搭載した画像形成装置の全体構成について説明する。
図1において、符号1は、本発明に係る画像形成装置としてのインクジェットプリンタの装置本体である。当該装置本体1には、画像読取部2と、画像形成部3と、給紙部4等が配設されている。
画像読取部2は、原稿台上に置かれた原稿を、密着イメージセンサー(図示せず)を配した読み取り位置に給紙し、当該密着イメージセンサーによる画像読み取り後に、原稿排出トレイ(図示せず)に原稿を排紙するように構成されている。画像形成部3は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色のライン型インクジェットヘッド10K、10C,10M,10Yを有する画像形成ヘッドユニット11を備えている。給紙部4には、シート材としての用紙Pを収容した複数の給紙カセット12が配設されている。各給紙カセット12には、収容されている用紙Pを送り出すための供給ローラ13が設けてある。各供給ローラ13の用紙搬送方向下流側には、用紙Pを一枚ずつ分離するためのフィードリバースローラ対50a,50b,51a,51bが配設されている。また、本実施形態では、装置本体1の図の右側に、別の給紙部としての給紙装置6が配設されている。給紙装置6又は給紙カセット12から供給された用紙は、画像形成部3で画像が形成された後、最終的に装置本体1の図の左側に設けられた排紙トレイ20に排出されるようになっている。また、画像形成後の用紙に、ステイプル処理、折り処理、穿孔処理及び製本処理等のいわゆる後処理を施す後処理装置(フィニッシャ)を設けてもよい。
図1において、二点鎖線は用紙が搬送される搬送経路である。また、その二点鎖線に付された矢印の方向は、用紙の搬送方向を示す。本実施形態では、搬送経路は、第1〜第5搬送経路A〜Eによって構成されている。
第1搬送経路Aは、上記給紙カセット12又は給紙装置6から供給された用紙を画像形成部3へ案内するための搬送経路である。詳しくは、第1搬送経路Aは、給紙カセット12から給紙された用紙を画像形成部3へ案内するための横方向及び縦方向の搬送経路と、給紙装置6から給紙された用紙を画像形成部3へ案内するための横方向の搬送経路とが、途中で合流して構成されている。また、第1搬送経路Aにおいて、合流位置の搬送方向上流側には、用紙のスキュー補正と搬送タイミングの調整を行うレジストローラ対25a,25bが配設されている。
第2搬送経路Bは、画像形成後の用紙を機外へ排出するための搬送経路であり、第1搬送経路Aから水平方向に直進するように配設されている。第2搬送経路Bの搬送方向下流端側には、用紙を機外に排出するための排出ローラ対26a,26bが配設されている。また、排出ローラ対26a,26bよりも、搬送方向上流側には、用紙のカールを除去するためのデカーラ部90が設けられている。デカーラ部90としては、例えば、3つのコロを対向させてそれらの間にカール矯正のための湾曲経路を形成したものや、ソフトローラにハードローラを当接させてその当接部にカール矯正のための湾曲経路を形成したものなど、既存の従来技術を採用可能である。
第3搬送経路Cは、第1搬送経路Aの搬送方向下流側から下方へ伸び、装置本体1の下部で上方へ引き返して、第2搬送経路Bのデカーラ部90の上流側で合流している。また、第3搬送経路Cの搬送方向上流側で、第2搬送経路Bと分かれている箇所には、用紙を第2搬送経路Bと第3搬送経路Cのいずれかに選択して案内するための搬送経路切換手段としての切換爪28が配設されている。また、第3搬送経路Cの途中には、正逆回転可能な反転搬送ローラ対27a,27bが配設されている。反転搬送ローラ対27a,27bが正回転する場合は、用紙は図の下方の排出方向へと搬送され、反転搬送ローラ対27a,27bが逆回転する場合は、用紙は前記排出方向とは逆方向(図の上方)へ搬送されるようになっている。また、反転搬送ローラ対27a,27bの正回転時の搬送方向(排出方向)の上流側には、用紙の後端を検知する検知センサ95が配設されている。
第4搬送経路Dは、第3搬送経路Cの反転搬送ローラ対27a,27bよりも正回転時の搬送方向(排出方向)の上流側で分岐し、第1搬送経路Aに合流するように配設されている。また、第4搬送経路Dが第3搬送経路Cから分岐する箇所には、第3搬送経路Cから逆送される用紙を第4搬送経路Dへ案内するための搬送経路切換手段としての切換爪29が配設されている。
第5搬送経路Eは、第3搬送経路Cの反転搬送ローラ対27a,27bよりも正回転時の搬送方向(排出方向)の上流側で分岐し、第3搬送経路Cの下流側で合流するように配設されている。また、第5搬送経路Eが第3搬送経路Cから分岐する箇所には、第3搬送経路Cから逆送される用紙を第5搬送経路Eへ案内するための搬送経路切換手段としての切換爪30が配設されている。
また、装置本体1には、上記搬送経路に沿って用紙を搬送するための各種搬送手段を備えたシート搬送装置が搭載されている。このシート搬送装置は、搬送手段の1つとして、画像形成部3の下方に配設された搬送ベルト18を備える。搬送ベルト18は、無端状のベルトで構成されており、1つの駆動ローラ14と3つの従動ローラ15,16,17によって張架されている。また、搬送ベルト18には、テンションローラ19によって所定の張力が付与されている。駆動ローラ14は図示しない駆動装置によって回転駆動可能となっており、駆動ローラ14が回転することによって、搬送ベルト18は図の矢印方向に回転するようになっている。また、従動ローラ15と従動ローラ17の用紙搬送方向の下流側には、それぞれ用紙を検知する用紙検知センサ35,36が設けてある。
ここで、搬送ベルト18上で用紙を担持して搬送する搬送面(搬送経路)は、水平状に配設された第1ストレート搬送部S1と、その搬送方向下流側に連設された円弧状の第1曲げ搬送部M1と、その搬送方向下流側に傾斜して連設された第2ストレート搬送部S2と、その搬送方向下流側に連設された円弧状の第2曲げ搬送部M2と、その搬送方向下流側に傾斜して連設された第3ストレート搬送部S3とによって構成されている。
また、シート搬送装置は、搬送ベルト18の裏面側からエアを吸引して用紙を搬送ベルト18に吸着させるエア吸着手段を備えている。このエア吸着手段は、搬送ベルト18の裏面側に配設された導風路としての第1〜第4吸引ダクト21〜24と、各吸引ダクト21〜24からそれぞれ独立してエア吸引するエア吸引手段としての吸引用ファン(図示省略)を有している。上記搬送ベルト18には、エアを吸引するための多数の小孔が形成されており、これら小孔から各吸引ダクト21,22,23,24を介してエアを吸引することにより、搬送ベルト18上に用紙を吸着させる仕組みとなっている。
各吸引ダクトの配設位置について詳しく説明すると、第1吸引ダクト21は、画像形成部3の下方で第1ストレート搬送部S1に対向して配設されている。第2吸引ダクト22は、第1曲げ搬送部M1の用紙搬送方向上流側近傍で第1ストレート搬送部S1に対向して配設されている。第3吸引ダクト23は、第2ストレート搬送部S2に対向した位置に配設されている。また、第4吸引ダクト24は、第3ストレート搬送部S3に対向した位置に配設されている。
また、シート搬送装置は、搬送ベルト18に用紙を静電吸着させる静電吸着手段を備える。静電吸着手段は、搬送ベルト18上で用紙を帯電させる帯電手段としての帯電器33によって構成されている。図1に示すように、帯電器33は、画像形成部3よりも用紙搬送方向の下流側に配設されている。一方、搬送ベルト18は、その表面に絶縁層、裏面に導電層を有する多層構造となっている。また、搬送ベルト18を張架する駆動ローラ14、従動ローラ15,16,17、テンションローラ19のうちの少なくとも1つが、表面を導電性の金属で構成したローラで構成され、それが図示しないアースに接続されている。帯電器33によって用紙を帯電させると、用紙の表面に蓄えられた電荷と、アース接続された搬送ベルト18の逆極性の電荷とによって発生する電気的な引力で、用紙が搬送ベルト18に吸着される仕組みとなっている。
上記帯電器33としては、非接触型のコロナ帯電器、特に用紙表面電位を制御しやすいスコロトロン型帯電器を採用することが望ましい。接触型の帯電器を適用することも可能であるが、帯電器が用紙の画像形成面と接触することで汚れると、その汚れが次に通過する用紙に付着して画質が低下する虞がある。
また、搬送ベルト18上の用紙担持領域の下流側、つまり第3ストレート搬送部S3の用紙搬送方向下流側には、用紙に溜まった電荷を除電する除電手段としての除電器34が配設されている。除電器34としては、例えば、除電ブラシ等の接触型のものを使用することができるが、除電ブロア等の非接触型のものを使用した方が、用紙上の画像を乱す虞がないため望ましい。
また、搬送ベルト18の外周側には、搬送ベルト18で搬送される用紙にエアを吹き付けるエア吹き付け手段としての第1エア吹き付け装置31と第2エア吹き付け装置32が設けてある。第1エア吹き付け装置31は、第1曲げ搬送部M1(又は従動ローラ16の位置)よりも用紙搬送方向の下流側に配設されている。第2エア吹き付け装置32は、第2曲げ搬送部M2(又は従動ローラ17の位置)よりも用紙搬送方向の下流側に配設されている。
また、別の搬送手段としての搬送ベルト39が、第2搬送経路Bに配設されている。この搬送ベルト39も、多数の小孔が形成された無端状のベルトで構成され、駆動ローラ37及び従動ローラ38によって張架されている。また、その搬送ベルト39の下方には、搬送ベルト39に形成された小孔からエアを吸引するための吸引ダクト40が配設されている。この吸引ダクト40にも、図示しない吸引用ファンが設けられている。そして、その吸引用ファンを駆動させることによって、搬送ベルト39の小孔からエアを吸引して、用紙を搬送ベルト39上に吸着できるようになっている。
また、その他の搬送手段として、複数の搬送ローラ52a,52b〜61a,61bが配設されている。各搬送ローラの中で、用紙の画像形成面側に接触する方のローラ(図1の符号56a,57a,58a,59a,60a,61a,61bで示すローラ)には、画像形成面との接触面積が小さいローラを採用している。具体的には、それらのローラは、プラスチック製又はゴム製のローラ部材の表面にセラミック等の砥粒を多数接着して構成されている。これにより、ローラは画像形成面に対して点接触することができ、画像形成面の乱れが生じにくくなる。また、用紙の画像形成面側に接触するローラを、薄肉の金属等で形成した拍車ローラで構成してもよい。この場合も、ローラが画像形成面に対して点接触となるため、同様に画像形成面の乱れが生じにくくなる。また、同様に、上記排出ローラ対26a,26bの両方のローラと、上記反転搬送ローラ対27a,27bの用紙の画像形成面側に接触する方のローラ27aも、画像形成面との接触面積が小さいローラで構成されおり、画像形成面の乱れを生じにくくしている。
さらに、本実施形態では、用紙の画像形成面の乱れを防止するために、上流側と下流側のローラ間の線速差を極力無くすようにしている。これにより、上流側と下流側のローラ間で、用紙が撓むことによって画像形成面が搬送ガイド板に当接したり、反対に用紙が引っ張られることによって画像形成面がローラと擦れたりするのを防止することが可能となる。上流側と下流側のローラ間の線速をほぼ一定にするには、例えば、上流側のローラにワンウェイクラッチを設けたり、上流側と下流側のローラを同じ駆動モータで駆動させたりすることによって可能である。
以下、図1を参照しつつ、本発明に係るインクジェットプリンタの基本動作について説明する。
印刷開始の指示があると、給紙カセット12又は給紙装置6から用紙Pが送り出される。送り出された用紙Pは、レジストローラ対25a,25bに突き当たって一時停止される。これにより、用紙のスキューが補正される。その後、所定のタイミングでレジストローラ対25a,25bの回転を開始し、用紙Pが搬送ベルト18上へ搬送される。用紙Pは、第1吸引ダクト21のエア吸引によって搬送ベルト18上に吸着され、その状態で搬送ベルト18が回転することにより、用紙Pは画像形成ヘッドユニット11の下方へ搬送される。また、このとき、用紙検知センサ35によって用紙Pの先端が検知される。そして、この用紙検知センサ35の検知に基づいて、画像形成ヘッドユニット11が所定のタイミングで駆動され、画像読取部2で読み取った原稿の画像情報に基づいて、各色のインクジェットヘッド10K、10C,10M,10Yのノズルから用紙Pにインクが吐出される。かくして、用紙P上にフルカラー画像が形成される。
また、4つのインクジェットヘッド10K、10C,10M,10Yのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのインクジェットヘッドを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。また、この間の搬送ベルト18の速度は極力変動しないように制御されているが、実際はその速度変動を図示しない検知装置によって検知することにより、用紙位置に合わせた正確なタイミングでインクの吐出が行われる。
上記画像形成部3で画像が形成された用紙Pをそのまま機外に排出する場合は、切換爪28を図の点線で示す位置に配設して、用紙Pを水平方向に直進させる。そして、用紙Pは第2搬送経路Bに配設した搬送ベルト39上へと搬送され、吸引ダクト40のエア吸引によって用紙Pは搬送ベルト39上に吸着される。その状態で搬送ベルト39が回転することにより、用紙Pは下流へと搬送され、デカーラ部90で用紙のカールが除去された後、排出ローラ対26a,26bによって用紙Pは機外へと排出される。
また、上記画像形成後の用紙Pを、第3搬送経路Cを通過させてから機外に排出する場合は、切換爪28を図の実線で示す位置に配設し、用紙Pを第1搬送経路Aから第3搬送経路Cへと案内できるようにする。この状態で搬送ベルト18が回転することにより、用紙Pは第1〜第4吸引ダクト21〜24のエア吸引によって搬送ベルト18に吸着されつつ第3搬送経路Cへと搬送されるが、搬送ベルト18上の第1曲げ搬送部M1と第2曲げ搬送部M2の位置ではそれぞれ従動ローラ16,17が存在するため、その箇所においてエア吸着力を発揮することができない。そのため、この場合は、帯電器33によって用紙Pを帯電させ、用紙Pと搬送ベルト18との間に静電吸着力を発生させることにより、第1曲げ搬送部M1と第2曲げ搬送部M2の位置においても吸着力が発揮されるようにする。
しかし、第1曲げ搬送部M1では搬送経路(又は搬送ベルト18)が曲がっているため、上記のように静電吸着力を作用させても、用紙Pを搬送ベルト18に確実に吸着させにくく、用紙の厚さや剛性、その他の条件によっては、用紙Pの前端が第1曲げ搬送部M1の搬送方向下流側において浮き上がって、画像形成面が切換爪28等の周辺部材に強く当接する可能性がある。
そこで、第1曲げ搬送部M1の搬送方向下流側に配設した第1エア吹き付け装置31によって、用紙Pにエアを吹き付けて、用紙Pを搬送ベルト18(又は搬送経路)に沿う方向へ曲げるようにしている。これにより、用紙Pの先端を切換爪28等に強く当接させることなく搬送することができる。そして、エアによって曲げられた用紙Pは、第3吸引ダクト23のエア吸引によって搬送ベルト18に吸着される。また、特に用紙Pの剛性が大きい場合は、第1エア吹き付け装置31によって用紙Pの先端を曲げると、反対に用紙Pの後端が第1曲げ搬送部M1の搬送方向上流側で搬送ベルト18から浮き上がることがある。このような場合は、第2吸引ダクト22によってエア吸引を行い、用紙Pの後端が浮き上がらないようにする。なお、上述のように、各吸引ダクトは独立して吸引可能に構成されているため、第2吸引ダクト22のエア吸引動作は、他の吸引ダクトの動作の影響を受けずに制御することができる。
用紙Pが第2曲げ搬送部M2の位置に搬送されると、この位置でも搬送経路(又は搬送ベルト18)が曲がっているため、上記第1曲げ搬送部M1と同様に用紙Pが搬送ベルト18から浮き上がる可能性ある。そのため、ここでは、第2エア吹き付け装置32によって、用紙Pにエアを吹き付けて、用紙Pを搬送ベルト18(又は搬送経路)に沿う方向へ曲げるようにする。こうして、吹き付けエアによって曲げられた用紙Pは、第4吸引ダクト24のエア吸引によって搬送ベルト18に吸着される。
その後、用紙Pが除電器34を通過するとき、用紙Pに溜まった電荷が除電され、静電吸着力が解除される。そして、用紙Pは、駆動ローラ14の位置で搬送ベルト18から離脱して、反転搬送ローラ対27a,27bへと搬送される。また、切換爪29と切換爪30は、用紙Pの通過を妨げないように、それぞれ図の実線に示す位置に配設されている。反転搬送ローラ対27a,27bへ到達した用紙Pは、正回転する反転搬送ローラ対27a,27bと、その搬送方向下流側に配設した複数の搬送ローラによって第2搬送経路Bへと搬送される。そして、用紙Pは、デカーラ部90でカールが除去された後、排出ローラ対26a,26bによって機外へと排出される。
以上のように、第3搬送経路Cは、反転搬送ローラ対27a,27bを正回転させた場合は、用紙を排出する方向へと案内する排出路として機能する。また、この場合、用紙は第3搬送経路Cを通過することによって、下方へ迂回してから第2搬送経路Bへ案内されるため、用紙Pを排出までの搬送経路を長くすることができ、十分にインクを乾かしてから用紙Pを排出することが可能となる。これにより、排出後の用紙のインクが十分に乾いてないことによる用紙の汚れの発生を防止できる。
また、両面印刷を行う場合は、画像形成部3において画像が形成された用紙Pを、第1搬送経路Aから第3搬送経路Cへ搬送する。この場合も、用紙Pは、搬送ベルト18によって斜め下方へと搬送されるが、ここでの搬送動作は、上記第3搬送経路Cを通過させて用紙Pを排出する場合と同様に行われる。そして、この場合は、用紙Pの後端が検知センサ95で検知されたとき、その検知信号に基づいて、反転搬送ローラ対27a,27bの正回転が停止される。その後、第4搬送経路Dの分岐箇所にある切換爪29を図の点線の位置に切り換え、用紙Pを第4搬送経路Dへ案内できる状態にする。この状態で、反転搬送ローラ対27a,27bを逆回転させることにより、用紙Pを逆送して第4搬送経路Dへ案内する。これにより、用紙Pは前後が反転された状態で第4搬送経路Dへと搬送される。この場合、第3搬送経路Cは、用紙を前後反転させて搬送する反転路として機能する。
そして、用紙Pは、第4搬送経路Dを通って第1搬送経路Aへ案内され、表裏が反転された状態で再度画像形成部3へと搬送される。このように、第4搬送経路Dは、第3搬送経路Cから逆送された用紙Pを、両面印刷を行うために再度第1搬送経路Aへと案内する両面搬送経路として機能する。そして、画像形成部3において用紙Pの裏面に表側の場合と同様にして画像が形成される。
両面に画像が形成された用紙Pは、第1搬送経路Aから第2搬送経路Bへ水平方向に搬送される。このとき、第1搬送経路Aと第2搬送経路Bとの間の切換爪28は、図の点線の位置に切り換えられている。また、第1搬送経路Aから第2搬送経路Bへと用紙Pを搬送する際、第1エア吹き付け装置31からのエア吹き付け、及び帯電器33による用紙Pの帯電は行わない。そして、用紙Pは、第2搬送経路Bに配設した搬送ベルト39によって上記と同様に下流へ搬送され、デカーラ部90で用紙のカールが除去された後、排出ローラ対26a,26bによって機外へと排出される。
また、片面印刷でページ順積載を行う場合は、画像形成部3において画像が形成された用紙Pを、第1搬送経路Aから第3搬送経路Cへ搬送する。ここでの搬送ベルト18による搬送動作も、上記第3搬送経路Cを通過させて用紙Pを排出する場合と同様である。そして、この場合、用紙Pの後端が検知センサ95の位置に到達したとき、反転搬送ローラ対27a,27bの正回転を停止する。その後、第5搬送経路Eの分岐箇所にある切換爪30を図の点線の位置に切り換え、用紙Pを第5搬送経路Eへ案内できる状態にする。この状態で、反転搬送ローラ対27a,27bを逆回転させることにより用紙Pを逆送させ、用紙Pは第5搬送経路Eへと搬送される。そして、用紙Pは、第5搬送経路Eを通って第2搬送経路Bへと送られる。このように、第5搬送経路Eは、第3搬送経路Cで逆送される用紙Pを、画像形成部3へと案内せずにそのまま第2搬送経路Bへと案内するための搬送経路として機能する。
その後、用紙Pは、デカーラ部90でカールが除去された後、排出ローラ対26a,26bによって機外へと排出される。これにより、用紙Pは、前後及び表裏が反転された状態で排出され、ページ順に揃えた状態で排紙トレイ20上に積載される。また、第3搬送経路Cと第5搬送経路Eの経路長を、用紙Pを排出するまでに用紙P上のインクが乾燥するような長さに設定しておくことで、排出後の用紙のインクが十分に乾いてないことによる用紙の汚れの発生を防止できる。
なお、本実施形態において、キロ連量210kg紙以上の特に剛性の大きい用紙は、第1曲げ搬送部M1を通過しにくい。このため、キロ連量210kg紙以上の用紙に対しては、両面印刷や反転処理は行わず、水平に配設された第2搬送経路Bを通過させて排出するようにしている。また、キロ連量210kg紙未満の用紙は、第1曲げ搬送部M1を通過することができるので、第3搬送経路Cを通して両面印刷や反転処理、及び用紙上のインクを十分に乾燥させることが可能である。
また、第3搬送経路C内で用紙を前後反転させずに排出する場合は、反転搬送ローラ対27a,27bの正回転を一旦停止しないように制御することにより、用紙を排出する時間を短縮することができ、生産性(PPM)を向上させることができる。また、反転搬送ローラ対27a,27bの正回転時の線速よりも逆回転時の線速を大きく設定してもよい。この場合は、両面印刷時又は反転排出時の生産性を向上させることが可能である。
ここで用紙が第3搬送経路Cを通ってそのまま排紙される場合と、反転排紙される場合とで考えてみる。
本発明にて反転排紙される場合は、用紙Pの後端が検知センサ95にて検知されて用紙Pが停止された後、用紙Pを第3搬送経路C内で前後反転させ、その用紙Pを第5搬送経路Eを通して再び第3搬送経路Cに案内するために必要な、分岐箇所にある切換爪は、切換爪30のみである。すなわち、従来(例えば、特許文献3と4)では、画像形成後に用紙反転排紙を実現するまで少なくとも2つ必要だった切換爪を、本発明では1つにすることができるので、従来に比べて、切換爪及びそれを駆動させるアクチュエータ(駆動手段)の設置数を少なくすることができる。
図8は、本発明に対する比較例のインクジェットプリンタの構成を示す簡略図である。
図8に示すように、比較例のインクジェットプリンタは、上記本発明の実施形態と同様に形成された第1〜第5搬送経路A〜Eを有している。しかし、比較例では、本発明の実施形態と異なり、用紙を前後反転させるための反転路Fが第3搬送経路Cから分岐して設けられている。詳しくは、反転路Fは、第3搬送経路Cに設けた反転搬送ローラ対27a,27bの正回転時の搬送方向下流側で分岐しており、装置本体1の下部で水平方向に延伸するように配設されている。反転路Fが第3搬送経路Cから分岐する箇所には、切換爪91や用紙検知センサ92が配設されている。また、反転路Fには、搬送ローラ対93a,93b,94a,94bが配設されている。それ以外は、基本的に上記本発明の実施形態と同様の構成となっている。
上記比較例のインクジェットプリンタにおいて、用紙を前後反転させる場合は、第3搬送経路Cの上流から搬送されてきた用紙を、正回転する反転搬送ローラ対27a,27bによって下流へと搬送する。このとき、切換爪91は図の点線の位置に配設されており、用紙は切換爪91によって反転路Fへと案内される。そして、用紙の後端が検知センサ95で検知されたとき、その検知信号に基づいて、反転搬送ローラ対27a,27bの正回転が停止される。その後、反転搬送ローラ対27a,27bを逆回転させ、用紙を前後反転させて搬送し、第4搬送経路D又は第5搬送経路Eへ案内する。
また、比較例のインクジェットプリンタは、装置本体1に対して手前側(紙面の手前側)に引出可能な引出ユニット43(図の点線部)を有する。この引出ユニット43には、第2搬送経路Bと、第3搬送経路Cの上流側の一部を除く部分と、第5搬送経路E等が配設されている。このように、装置の一部を引出ユニット43によって引出可能に構成することにより、メンテナンス作業や用紙のジャム処理等を行いやすくしている。ところが、用紙が第3搬送経路Cから反転路Fに渡って配設された状態で引出ユニット43を引き出すと、引出操作に伴って用紙が折れたり破れたりするなどの不具合が発生する虞がある。そのため、反転搬送ローラ対27a,27bのうち、一方の反転搬送ローラ27bの駆動軸端部には、ワンウェイクラッチを有するノブ(図示省略)が設けてあり、これを回すことによって反転搬送ローラ対27a,27bを逆回転させ、用紙を反転路Fから抜き出すことができるようになっている。そして、用紙を反転路Fから完全に抜き出した状態で引出ユニット43を引き出すことにより、用紙の破れ等を発生させずに除去することができる。
さらに、上記ノブを回す操作をし忘れた場合は、引出ユニット43を引き出せないようにするために、引出ユニット43をロックする図示しないロック機構を設けている。このロック機構は、反転路Fの分岐箇所に設けた用紙検知センサ92が用紙を検知している場合は、引出ユニット43のロックを解除しないようになっている。これにより、用紙が第3搬送経路Cから反転路Fに渡って存在する場合は、引出ユニット43を引き出すことができないので、上記ノブの操作をし忘れることがない。
しかし、比較例のインクジェットプリンタには、以下の欠点がある。
(1)引出操作に伴う用紙の折れや破れ等を防止するために、上記用紙検知センサ92やロック機構等を設けなければならないため、構造が複雑化する上、部品点数が増えて高コストとなる。
(2)反転路Fでの搬送性を確保するために、搬送ローラ対93a,93b,94a,94bやガイド板(図示省略)等を別途設けなければならないので、部品点数が増えコスト増加を招く。
(3)反転路Fが第3搬送経路Cから分岐して水平方向に伸びているので、占有スペースが大きくなり、装置の小型化に反する。
(4)比較例の構成において、反転路Fを含めて引出可能な引出ユニット43とした場合、引出操作に伴うの用紙の破損を防止することは可能であるが、引出ユニット43を前面から見たときの面積が大きくなるため、装置前面のデザイン上の自由度がなくなる。また、その場合、引出ユニット43を引き出すと、前方へ重心が移動して装置の設置状態が不安定になる虞がある。
一方、図2は、図1に示す本発明に係るインクジェットプリンタの特徴部分を簡略化して示す図である。以下、本発明の特徴部分について、上記比較例と対比しつつ説明する。
図2に示すように、本発明のインクジェットプリンタは、装置本体1に対して手前側(紙面の手前側)に引出可能な引出ユニット43(図の点線部)を有する。この引出ユニット43には、第2搬送経路Bと、第3搬送経路Cの上流側の一部を除く部分と、第5搬送経路E等が配設されている。
第3搬送経路Cのうち、引出ユニット43内に配設されている部分は、用紙の後端を検知する検知センサ95の上流側近傍から下流側の部分となっている。このため、図2に示すように、本発明のインクジェットプリンタにおいて、用紙Pの後端が反転搬送ローラ対27a,27bに保持された状態で停止した場合は、その用紙Pは引出ユニット43内に存在することとなる。言い換えれば、第3搬送経路Cのうち、用紙を前後反転させる前に反転搬送ローラ対27a,27bによって用紙を一旦停止させる用紙停止領域(シート停止領域)の全体を、少なくとも引出ユニット43内に配設している。
このように、本発明の実施形態では、用紙の後端が反転搬送ローラ対27a,27bに保持された状態で停止した場合、その用紙は引出ユニット43内に存在するので、引出ユニット43を引き出した際に上記比較例のように用紙の折れや破れ等が発生する虞がない。このため、本実施形態では、ユニット引出時の用紙の破損を防止するための上記用紙検知センサ92やロック機構等を設ける必要がなく、構造を簡素化することができると共に、部品点数の増加を防止して低コスト化を図れる。
また、本実施形態において、第3搬送経路Cは、画像形成部3で画像が形成された用紙を装置外へ排出するための排出路としての機能と、画像が形成された用紙を排出方向とは逆方向に搬送して前後反転させる反転路としての機能を兼ねている。このため、反転路を別途形成する必要がなく、搬送経路の占有スペースを小さくすることができ、小型化を図れる。また、搬送路専用の搬送ローラやガイド板等を設けなくてもよいので、不品点数が少なくなり低コスト化も図れる。
また、本実施形態のように、第3搬送経路Cを上下方向に伸びたU字状に配設することで、さらに占有スペースを小さくすることができる。これにより、引出ユニット43を前面から見たときの面積が小さくなり、装置前面のデザイン上の自由度が向上する。また、引出ユニット43の小型化も図れるため、引出ユニット43を引き出した際に重心が移動して装置が不安定となるのを防止できる。
以上のように、本発明の実施形態の構成によれば、比較例の上記(1)〜(4)の欠点を解消することが可能である。
また、図3は、本実施形態おける第3搬送経路C内で、最大搬送方向長さの用紙Pを反転搬送する場合の様子を示す図である。図3に示すように、第5搬送経路Eの第3搬送経路Cとの合流位置Xは、最大搬送方向長さの用紙Pを反転搬送ローラ対27a,27bで保持して停止させた状態で、その用紙Pの前後反転後の後端e2よりも用紙排出方向(正回転時の搬送方向)の下流側に配設されている。
これに対し、図4は、第3搬送経路Cを上下方向に短く形成した変形例である。
図4に示すように、この変形例では、第3搬送経路Cを短くした結果、最大搬送方向長さの用紙Pの後端e2は、合流位置Xよりも排出方向(正回転時の搬送方向)の下流側に配設されている。また、用紙Pの後端e2は、搬送ローラ対61a,61bによって保持されている。この場合、用紙Pを第3搬送経路C内で前後反転させた後、第5搬送経路Eを通して排出するには、まず、反転搬送ローラ対27a,27b等と一緒に、搬送ローラ59a,59b,59c,60a,60b,61a,61bも逆回転して、用紙Pを第5搬送経路Eへと搬送する。そして、その用紙Pの前端e1が合流位置Xよりも排出方向(正回転時の搬送方向)の下流側の搬送ローラ対61a,61bに達するまでに、当該搬送ローラ対61a,61bを逆回転から正回転するように切り換える。そして、正回転する搬送ローラ対61a,61bによって用紙Pを排出方向に搬送する。このように、第3搬送経路Cを上下方向に短く形成した場合は、合流位置Xよりも排出方向の下流側にある搬送ローラ対61a,61bの回転を、逆回転から正回転へ切り換えなければならない。
これに対し、図3に示す構成の場合は、用紙Pを一旦停止した時点で、その用紙Pの後端e2が、合流位置Xよりも排出方向下流側にある搬送ローラ対61a,61bに保持されていない。このため、図3に示す構成では、用紙Pを排出する際に当該搬送ローラ対61a,61bの回転方向を切り換える必要がなく、図4に示す構成に比べて、スムーズに用紙を搬送することが可能である。また、この場合、合流位置Xで用紙Pの前端e1が後端e2に接触する虞も全くないので、用紙の端部同士が接触することによる画像の乱れや用紙の汚れ等の不具合を防止することができる。なお、図4に示す構成においても、用紙Pの前端e1が合流位置Xに到達する前に、用紙Pの後端e2が合流位置Xを通過するような搬送経路長にしていれば、合流位置Xでの前端e1と後端e2の接触を回避することが可能である。また、図3又は図4を用いた説明では、合流位置Xよりも上流側の各搬送ローラ59a,59b,59c,60a,60bを全て駆動させているが、これらの搬送ローラの駆動を用紙の長さに合わせて必要最低限の箇所のみ動かすようにしても良いことは言うまでもない。
また、本実施形態では、第3搬送経路Cの下部に曲げ搬送部があるが、この曲げ搬送部を用紙が通過する際、用紙の画像形成面Gは曲げ搬送部の内周側に面して搬送されるようになっている(図3又は図4参照)。これにより、画像形成面Gが曲げ搬送部の外周側に設けたガイド板等に擦れて画像が乱れる等の不具合を防止できる。図3又は図4では、最大搬送方向長さの用紙Pを搬送する場合の図であるが、図2に示すような長さの短い用紙Pの場合も、同様に画像が乱れる等の不具合を防止できる。
図5は、本発明の第2実施形態に係るインクジェットプリンタの特徴部分の構成を示す簡略図である。
図5に示すように、この実施形態に係るインクジェットプリンタは、水平方向に伸びる搬送経路C1と、その搬送経路C1の用紙搬送方向上流側の位置Yで分岐して下流側の位置Xで合流する搬送経路E1を有する。また、図5において、符号44a,44b〜47a,47bは搬送ローラであり、符号48はガイド板である。
搬送経路C1には、正逆回転可能な反転搬送ローラ対27a,27bが配設されている。反転搬送ローラ対27a,27bが正回転した場合は、用紙Pは搬送経路C1を通過して図の左側の機外へと排出され、反転搬送ローラ対27a,27bが逆回転した場合は、搬送経路C1内で用紙Pが前後反転されて搬送される。すなわち、この搬送経路C1は、上記第3搬送経路Cと同様に、用紙を装置外へ排出するための排出路としての機能と、用紙の前後反転させる反転路としての機能を兼ねる搬送経路である。以下、同様の搬送経路を排出兼反転路と呼ぶ。
上記排出兼反転路C1で前後反転された用紙Pは、分岐位置Yでもう一方の搬送経路E1に案内され、合流位置Xで排出兼反転路C1に戻されるようになっている。すなわち、もう一方の搬送経路E1は、上記第5搬送経路Eと同様に、排出兼反転路C1で前後反転された用紙Pを画像形成部3を経由せずに装置外へ排出するための搬送経路である。以下、同様の搬送経路を反転後排出路と呼ぶことする。なお、分岐位置Yには、用紙Pを反転後排出路E1へ案内するための図示しない切換爪が配設されている。
また、この実施形態では、反転後排出路E1に、ガイド板48を設けた曲げ搬送部があるが、用紙Pがこの曲げ搬送部を通過する際、用紙の画像形成面Gは曲げ搬送部の内周側に面して搬送されるようになっている。これにより、上記第1実施形態と同様に、画像形成面Gが曲げ搬送部の外周側に設けたガイド板48に擦れて画像が乱れる等の不具合を防止することが可能である。また、反転搬送ローラ対27a,27b及び各搬送ローラの中で、用紙Pの画像形成面Gに接触するローラ(図5の符号27a,44a,45a,45b,46a,47aで示すローラ)には、上記実施形態と同様に、画像形成面との接触面積が小さいローラを採用されており、各ローラの画像形成面Gとの接触による画像の乱れを生じにくくしている。
図6(a)(b)は、本発明の第3実施形態に係るインクジェットプリンタの特徴部分の構成を示す簡略図である。
この実施形態においても、排出路と反転路の両機能を兼ねる排出兼反転路C2と、前後反転された用紙Pを画像形成部3を経由せずに装置外へ排出するための反転後排出路E2が設けられている。ただし、この実施形態では上記図5に示す実施形態と比べて、反転後排出路E2を用紙Pが通過する際、用紙Pの画像形成面Gが向く方向が異なる。具体的には、図6に示す実施形態では、用紙Pの画像形成面Gは、排出兼反転路C2とは反対側に面して搬送されるように構成されている。さらに詳しく説明すると、反転後排出路E2を通過する用紙Pの画像形成面Gは、排出兼反転路C2内の特に用紙を前後反転させる前に一旦停止させる用紙停止領域(シート停止領域)とは反対側に面して搬送されるようになっている。それ以外は、図5に示す実施形態と同様に構成されている。
このように構成することにより、特に長尺の用紙Pを前後反転させて排出する場合(図6(b)参照)において、合流位置Xで用紙Pの前端e1が後端e2に接触しても、前端e1及び後端e2における画像形成面Gは互いに反対側を向いているので、画像形成面G同士が擦れることはない。これにより、用紙の端部同士が接触することによる画像の乱れや用紙の汚れ等の不具合を防止することができる。
以上のように、図5に示す実施形態と図6に示す実施形態とでは、搬送経路内での画像形成面の向きを異ならせることで、それぞれ異なるメリットがある。これらのうち、いずれの構成を採用するかは、レイアウトの制約やその他の条件を鑑み決定すればよい。
図7(a)〜(d)は、本発明の第4実施形態に係るインクジェットプリンタの特徴部分の構成を示す簡略図である。
この実施形態においても、排出路と反転路の両機能を兼ねる排出兼反転路C3と、前後反転された用紙Pを画像形成部3を経由せずに装置外へ排出するための反転後排出路E3が設けられている。また、同図において、符号68は画像形成部3の下方で用紙を搬送するための搬送ベルトであり、符号62a,62b〜67a,67bは搬送ローラである。また、これら搬送ローラ、及び排出兼反転路C3に設けた反転搬送ローラ対27a,27bの中で、用紙Pの画像形成面Gに接触するローラ(図7(a)の符号27a,62a,63a,64a,64b,65a,66a,67aで示すローラ)には、上記実施形態と同様に、画像形成面との接触面積が小さいローラを採用されており、各ローラの画像形成面Gとの接触による画像の乱れを生じにくくしている。また、この実施形態では、上記各実施形態と異なり、反転搬送ローラ対27a,27bは互いに接離可能に構成されている(図7(b)参照)。詳しくは、反転搬送ローラ対27a,27bのうち、図の下側のローラ27bが駆動ローラ、図の上側のローラ27aが従動ローラであり、従動側のローラ27aが駆動側のローラ27bに対して接離するように構成されている。
以下、図7(a)〜(d)に基づいて、本実施形態における用紙の搬送動作について説明する。
図7(a)は、排出兼反転路C3内に搬送された長尺の用紙P1が、反転搬送ローラ対27a,27bによって保持され停止した状態を示す。また、搬送ベルト68上には、次の用紙P2が担持されている。この状態で、反転搬送ローラ対27a,27bを逆回転させ用紙P1を反転後排出路E3へ搬送する。
そして、図7(b)に示すように、用紙P1の搬送方向の前端e1が、反転後排出路E3の最上流側の搬送ローラ対67a,67bに保持されたタイミングで、従動側の反転搬送ローラ27aを移動させて、反転搬送ローラ対27a,27bを互いに離間させる。また、反転搬送ローラ対27a,27bを互いに離間させたタイミングで、駆動側の反転搬送ローラ27bの回転方向を切り換えて正回転させる。この状態で反転搬送ローラ27bは、用紙P1を搬送する搬送ローラ対67a,67bによる搬送方向とは逆方向に送るように回転しているが、反転搬送ローラ対27a,27bは互いに離間しているため、搬送力はほとんど作用しない。このため、用紙P1は、反転搬送ローラ27bの回転に妨げられることなく搬送される。
そして、図7(c)に示すように、前後反転された用紙P1の後端e2側が、互いに離間した反転搬送ローラ対27a,27bの間を通過する前に、次の用紙P2の前端e3側が、互いに離間した反転搬送ローラ対27a,27bの間に搬入される。このようにして、互いに離間した反転搬送ローラ対27a,27bの間で、前後反転された用紙P1の後端e2側とその次に搬送される用紙P2の前端e3側とがすれ違って搬送される。
そして、図7(d)に示すように、前後反転された用紙P1の後端e2が反転搬送ローラ対27a,27bの間を通過した後、従動側の反転搬送ローラ27aを駆動側の反転搬送ローラ27bに接近するように移動させる。これにより、次の用紙P2が反転搬送ローラ対27a,27bによって挟まれ下流側へ搬送され、その後、所定のタイミングでその搬送が一旦停止される。また、前後反転された用紙P1は、合流位置Xで排出兼反転路C3へ搬入され、その後、機外に排出される。以後、同様の動作を繰り返し行う。
以上のように、本発明の第4実施形態では、反転搬送ローラ対27a,27bを互いに接離可能に構成することより、反転搬送ローラ対27a,27bの間での用紙のすれ違いが可能となっている。これにより、用紙間を狭くして搬送することができるようになり、生産性を向上させることができる。
また、図7において、搬送ローラ対27a,27bと、それよりも少なくとも1つ排出方向下流側の搬送ローラ対(図7で言えば、62a,62b)を接離可能に構成することにより、用紙間をより狭くして搬送することができ、生産性を一層向上させることができる。また、この場合、より長尺な用紙であっても、用紙間を狭くして搬送することが可能となり、生産性を向上させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。また、本発明に係るシート搬送装置は、図1に示す、インクジェットプリンタ以外に、電子写真方式の画像形成部を備えたプリンタや、それ以外の複写機、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置にも搭載可能である。
以上のように、本発明は、排出兼反転路を有していることにより、シート材を排出するための排出路と、シート材の前後を反転させる反転路とを、1つの搬送経路で共用することができる。これにより、反転路を専用に設ける必要がないので、部品点数が減少し装置の小型化及び低コスト化を図ることができると共に、レイアウト等の設計の自由度が向上する。
また、本発明は、反転後排出路を有していることにより、排出兼反転路で前後反転されたシート材を画像形成部を経由せずに装置外へ排出することができる。これにより、排出するまでの搬送経路が短くなり、生産性を向上させることができる。また、画像形成部よりも上流側に設けた搬送ローラやガイド板等がシート材の画像形成面と接触する頻度を低減することができ、搬送ローラやガイド板等が汚れにくくすることができる。
加えて、シート材への画像形成後にシート材の反転排出を実現するまでの搬送経路上で、搬送経路を切り換える切換手段の設置が1箇所のみで良くなる。図7で言えば分岐位置Yのみに切換手段を設置すればよい。このため、本発明では、従来に比べて、切換手段及びそれを駆動させる駆動手段の設置数を少なくすることができ、低コスト化を図れる。さらには、排出兼反転路内でのシート材の画像面の向きが常に同じ向きとなるので、画像劣化防止及び汚れ防止のための点接触ローラ等を用いる場合は、その画像面に接触する片側の搬送ローラのみを点接触ローラ等にすれば良い。このように、本発明では、搬送ローラ対の両方に画像劣化防止及び汚れ防止のための対策を講じなくても良いため、低コスト化を図ることができる。
また、図2に示すように、排出兼反転路内(第3搬送経路C)でシート材(用紙P)を前後反転させる前に一旦停止させるシート停止領域の全体を、少なくとも引出ユニット43内に配設することにより、シート材がシート停止領域内にある状態で引出ユニット43を引き出しても、引出操作に伴ってシート材が折れたり破れたりするなどの不具合を防止することが可能である。
また、図3又は図5に示すように、排出兼反転路(第3搬送経路C)又は反転後排出路E1の曲げ搬送部をシート材(用紙P)が通過する際、シート材の画像形成面Gが曲げ搬送部の内周側に面して搬送されるように構成した場合は、画像が乱れる等の不具合を防止することが可能である。
これに対し、図6(a)に示すように、反転後排出路E2内で、シート材(用紙P)の画像形成面Gが排出兼反転路C2とは反対側に面して搬送されるように構成した場合は、図6(b)に示すように、前後反転させて搬送されるシート材の前端e1が、合流位置Xでそのシート材の後端e2に接触したとしても、シート材の画像面同士が接触することによる画像の乱れやシート材の汚れ等の不具合を防止することができる。
また、前後反転後のシート材の前端が上記合流位置Xに到達する前に、当該シート材の後端が合流位置Xを通過するように構成した場合は、合流位置Xでのシート材の前端と後端との接触を回避することができ、シート材の端部同士が接触することによる画像の乱れやシート材の汚れ等を防止することが可能である。
また、図3に示すように、最大搬送方向長さのシート材(用紙P)を排出兼反転路内(第3搬送経路C)で前後反転させるために停止させた状態で、そのシート材の前後反転後の後端e2よりも合流位置Xを排出方向の下流側に配設することにより、シート材を前後反転させて搬送する際、合流位置Xよりも排出方向の下流側に配設された搬送ローラ対61a,61bの回転方向を切り換えなくても良くなる。これにより、スムーズにシート材を搬送することが可能となる。
また、図7(a)〜(d)で説明したように、反転搬送ローラ対27a,27bを互いに接離可能に構成した場合は、互いに離間した反転搬送ローラ対27a,27bの間で、反転されたシート材(用紙P1)の後端e2側とその次に搬送されるシート材(用紙P2)の前端e3側とがすれ違って搬送することが可能となる。これにより、シート材間を狭くして搬送することができるようになり、生産性を向上させることが可能となる。
3 画像形成部
27a 反転搬送ローラ
27b 反転搬送ローラ
43 引出ユニット
C 第3搬送経路(排出兼反転路)
C1〜C3 排出兼反転路
E 第5搬送経路(反転後排出路)
E1〜E3 反転後排出路
G 画像形成面
P 用紙(シート材)
X 合流位置
Y 分岐位置
特開2004−155553号公報 特開2006−213480号公報 特開2009−86506号公報 特開2009−40550号公報

Claims (15)

  1. シート材に画像を形成するための画像形成部を備えた画像形成装置に搭載されるシート搬送装置であって、
    前記画像形成部で画像が形成されたシート材を装置外へ排出するための排出路としての機能と、前記画像が形成されたシート材を排出方向とは逆方向に搬送して前後反転させる反転路としての機能を兼ねる排出兼反転路と、
    前記排出兼反転路で前後反転されたシート材を前記画像形成部を経由せずに装置外へ排出するための反転後排出路とを有し、
    前記反転後排出路を、前記排出兼反転路の排出方向上流側で分岐すると共に下流側で合流するように配設し、前記排出兼反転路内で前後反転されたシート材を、前記反転後排出路の分岐位置で前記反転後排出路へ案内すると共に、前記反転後排出路の合流位置で反転後排出路から前記排出兼反転路へシート材を案内するように構成したことを特徴とするシート搬送装置。
  2. 装置本体に対して引出可能な引出ユニットを設け、前記排出兼反転路内でシート材を前後反転させる前に当該シート材を一旦停止させるシート停止領域の全体を、少なくとも前記引出ユニット内に配設した請求項1に記載のシート搬送装置。
  3. 前記排出兼反転路と前記反転後排出路の少なくとも一方が、曲げ搬送部を有する構成であって、その曲げ搬送部をシート材が通過する際、シート材の画像形成面が前記曲げ搬送部の内周側に面して搬送されるように構成した請求項1又は2に記載のシート搬送装置。
  4. 前記反転後排出路内で、当該シート材の画像形成面が前記排出兼反転路とは反対側に面して搬送されるように構成した請求項1から3のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
  5. 前後反転後のシート材の前端が前記合流位置に到達する前に、当該シート材の後端が前記合流位置を通過するように構成した請求項1から3のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
  6. 最大搬送方向長さのシート材を前記排出兼反転路内で前後反転させるために停止させた状態で、そのシート材の前後反転後の後端よりも前記合流位置を排出方向の下流側に配設した請求項1から3のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
  7. 前記排出兼反転路に正逆回転可能な反転搬送ローラ対を設け、当該反転搬送ローラ対を正回転させることによりシート材を排出する方向へ搬送し、反転搬送ローラ対を逆回転させることによりシート材を前後反転させて搬送するように構成されたシート搬送装置であって、
    前記反転搬送ローラ対を互いに接離可能に構成し、互いに離間した前記反転搬送ローラ対の間で、前後反転されたシート材の後端側とその次に搬送されるシート材の前端側とがすれ違って搬送されるように構成した請求項1から6のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
  8. 前記反転搬送ローラ対とそれよりも少なくとも1つ排出方向下流側の搬送ローラ対を互いに接離可能に構成し、
    互いに離間した前記反転搬送ローラ対の間及び互いに離間した前記搬送ローラ対の間で、前後反転されたシート材の後端側とその次に搬送されるシート材の前端側とがすれ違って搬送されるように構成した請求項に記載のシート搬送装置。
  9. 前記排出兼反転路内でシート材を前後反転させずに排出する場合は、シート材の搬送を一旦 停止しないように制御する請求項1から8のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
  10. 前記排出兼反転路内でシート材を前後反転させずに排出するときの搬送速度よりも前後反転させた後の搬送速度を大きく設定した請求項1から9のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
  11. シート材上にインクを吐出して画像を形成するインクジェット式の画像形成部を備えた画像形成装置に搭載されるシート搬送装置であって、
    前記排出兼反転路と前記反転後排出路の経路長を、シート材を排出するまでにシート材上のインクが乾燥するような長さに設定した請求項1から10のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
  12. 前記排出兼反転路及び前記反転後排出路に配設する搬送ローラを、シート材の画像形成面との接触面積が小さいローラで構成した請求項1から11のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
  13. 前記排出兼反転路又は前記反転後排出路を通過したシート材のカールを除去するデカーラ部を設けた請求項1から12のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
  14. 請求項1から13のいずれか1項に記載のシート搬送装置を備えたことを特徴とする画像形成装置
  15. 請求項1から13のいずれか1項に記載のシート搬送装置を備えたことを特徴とする両面画像形成装置
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