以下、本発明を適用した実施例の説明をする。以下に本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。したがって、特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
[実施例1]
《画像形成装置例の説明》
図1は本発明に従う定着装置21を搭載した画像形成装置の一例であるカラー電子写真プリンタ1の概略構成を示す縦断面模式図である。プリンタ1は制御回路部(制御基板:CPU)100と通信可能に接続した外部ホスト装置200からの入力画像情報に応じて作像動作して、シート状の記録材Pにフルカラー画像を形成してハードコピーとして出力することができる。装置200はコンピュータ、イメージリーダー、ファクシミリ等である。制御回路部100は装置200と信号の授受をする。また、プリンタ1側の各種の作像機器と信号の授受をして作像シーケンス制御を司る。
記録材Pはトナー画像が形成されるものである。普通紙、樹脂製シート状物、厚紙、OHTシート(オーバーヘッドプロジェクター用シート)、封筒、はがき、ラベルなどが挙げられる。
プリンタ1内には図面上左側から右側にかけて、第1乃至第4の4つの画像形成部Y・M・C・Bkが水平方向に並べられて配設されている。各画像形成部はいずれもレーザ露光方式の電子写真プロセス機構であり、現像器に収容の現像剤(トナー)の色が異なるだけで、互いに同様な構成である。
即ち、各画像形成部は、それぞれ、矢印の反時計方向に所定の速度で回転駆動されるドラム型の電子写真感光体(像担持体:以下、ドラムと記す)2を有する。また、各ドラム2の周囲には、ドラム2に作用するプロセス手段としての、一次帯電器3、レーザスキャナ4、現像器5、一次転写ブレード6、クリーナ7が配置されている。
画像形成部Y・M・C・Bkの下側には中間転写ベルトユニット8が配設されている。ユニット8は、無端状でフレキシブルな中間転写ベルト(以下、ベルトと記す)9と、ベルト9を懸回張設している駆動ローラ10・テンションローラ11・二次転写対向ローラ12を有する。各画像形成部Y・M・C・Bkの一次転写ブレード6はベルト9の内側に配設されていて、ベルト9のローラ11とローラ10との間の上行側ベルト部分を介して対応するドラム2の下面に圧接している。各ドラム2とベルト9との当接部が一次転写部である。
ローラ12にはベルト9を介して二次転写ローラ13が圧接している。ベルト9とローラ13との当接部が二次転写部である。ベルト9はローラ10により矢印の時計方向にドラム2の回転速度に対応した速度にて循環移動される。
本実施例において、第1の画像形成部Yは現像器5にイエロー(Y)色の現像剤(有彩色カラートナー)が収容されていて、ドラム2にY色トナー画像を形成する。第2の画像形成部Mは現像器5にマゼンタ(M)色の現像剤が収容されていて、ドラム2にM色トナー画像を形成する。第3の画像形成部Cは現像器5にシアン(C)色の現像剤が収容されていて、ドラム2にC色トナー画像を形成する。第4の画像形成部Bkは現像器5にブラック(Bk)色の現像剤が収容されていて、ドラム2にBk色トナー画像を形成する。
制御回路部100は装置200から入力したカラー色分解画像信号に基づいて、各画像形成部Y・M・C・Bkを作像動作させる。これにより各画像形成部において回転するドラム2の面に対して所定の制御タイミングで、それぞれ、Y色、M色、C色、Bk色の色トナー画像が形成される。なお、ドラム2にトナー画像を形成する電子写真作像原理・プロセスは公知に属するからその説明は省略する。
各画像形成部のドラム2の面に形成される上記のトナー画像はそれぞれ一次転写部にて、各ドラム2の回転方向と順方向に、かつ各ドラム2の回転速度に対応した速度で回転駆動されているベルト9の外面に対して順次に重畳転写される。これにより、ベルト9の面に上記のY色、M色、C色、Bk色の4つのトナー画像の重ね合わせによる未定着のフルカラートナー画像が合成形成される。
一方、所定の給紙タイミングにて、それぞれ大小各種幅サイズの記録材Pを積載収容させた上下複数段のカセット給紙部14A・14Bのうちの選択された段位の給紙カセットの給紙ローラ15が駆動される。これにより、その段位の給紙カセットに積載収納されている記録材Pが1枚分離給紙されて搬送路16を通ってレジストローラ対18に搬送される。手差し給紙が選択されているときには、給紙ローラ19が駆動される。これにより、マルチ給紙トレイ20に積載セットされている記録材Pが1枚分離給紙されて搬送路16を通ってローラ対18に搬送される。
ローラ対18は、記録材Pを一旦受け止めて、記録材が斜行している場合、真っ直ぐに直す。そして、ローラ対18は、ベルト9上のトナー画像と同期を取って、記録材Pをベルト9とローラ13との圧接部である二次転写部に送り込む。これにより、二次転写部において、ベルト9上のフルカラーの合成トナー画像が一括して記録材Pの面に二次転写される。即ち、記録材Pの面に、複数の有彩色カラートナー画像の重畳画像である未定着トナー画像が形成される。
二次転写部を出た記録材Pはベルト9の面から分離されて、定着装置21に導入される。この装置21により、記録材P上の複数色のトナー画像が溶融混色されて記録材面に固着画像として定着される。二次転写部にて記録材分離後のベルト8の面はベルトクリーナ22により二次転写残トナー等の残留付着物の除去を受けて清掃され、繰り返して作像に供される。
フルカラー以外のモノ黒などの単色或いは2次色若しくは多次色のプリントモードの場合には対応する色の画像形成部が作像動作制御される。また、片面プリントモードの場合においては、装置21を出た記録材Pは、予めの指定に従って切り換えフラッパ23により進路切り換えされて、プリンタ側面に配置されているフェイスアップ排紙トレイ25に排出される。あるいは、プリンタ上面に配置されているフェイスダウン排紙トレイ28に排出される。
トレイ25への排紙の場合は、装置21を出た記録材Pは第1の姿勢に転換されているフラッパ23の下面側を通って直進し、第1の排紙ローラ24によりトレイ25上に画像面上向きで排出される。トレイ28への排紙の場合は、装置21を出た記録材Pは第2の姿勢に転換されているフラッパ23の上面側を通って上方に案内され、搬送路26により上方搬送される。そして、第2の排紙ローラ27によりトレイ28上に画像面下向きで排出される。
両面プリントモードの場合は、装置21を出た第1面に対する画像形成・定着済みの記録材Pが、第2の姿勢に転換されているフラッパ23の上面側を通って上方に案内され、搬送路26により上方搬送される。その記録材Pの搬送途中で後端が反転ポイントRに達したとき、搬送路26が逆搬送駆動に転換される。これにより、記録材Pがスイッチバック搬送されて両面搬送路29に入る。そして、搬送路29から再び搬送路16に入って、表裏反転された状態にて二次転写部に再搬送される。これにより、記録材Pは第2面に対する画像転写を受ける。
二次転写部を出た記録材Pは再び装置21に導入される。装置21を出た両面プリント済みの記録材Pが、片面プリントモードの場合と同様に予めの指定に従って切り換えフラッパ23により進路切り換えされてトレイ25又はトレイ28に排出される。フラッパ23、スイッチバック搬送路26等で構成される部分は反転手段の一例である。
《定着装置21》
本実施例の定着装置21はベルト加熱方式の定着装置であり、導電層を有し可撓性を有る無端状のベルトを、磁界発生手段によって外部からIH誘導加熱するように構成されている。即ち、記録材Pを加熱する加熱部材(定着部材)として、磁束の作用により発熱し、可撓性を有する回転可能な無端状のベルト(導電層(誘導発熱体)を有する薄肉の定着ベルト)を用いる。そして、このベルトをベルトの外側に配設した磁界発生手段(磁束発生手段)により電磁誘導加熱する、ベルト加熱方式、加圧回転体駆動方式(フリーベルト方式)の定着装置である。
以下の説明において、装置21又は装置21を構成している部材に関し、正面とは装置21を記録材(記録材)入口側からみた面、背面とはその反対側の面(記録材出口側)、左右とは装置を正面から見て左又は右である。また、長手方向とは、記録材搬送路面内において記録材搬送方向(記録材搬送方向)に直交する方向に平行な方向である。また短手方向とは長手方向に直交する方向である。上流側と下流側とは記録材搬送方向に関して上流側と下流側である。記録材の通紙幅とは、記録材面において記録材搬送方向に直交する方向の記録材寸法である。
図2は装置21の要部の拡大横断面模式図と制御系統のブロック図である。図3の(a)は装置21の正面模式図、(b)は装置21の縦断正面模式図である。図4の(a)は図3の(b)の部分的拡大図、(b)は定着ベルトの層構成模式図、(c)は定着パッド、ステイ、コア、キャップ部材の部分的な分解斜視図である。図5は、装置21を構成している、定着ベルトユニット31、加圧ローラ32、励磁コイルユニット33の部分を加圧ローラ32側から見た外観斜視図である。
装置21は、装置枠体(シャーシー、フレーム)50の左右の対向側板51L・51R間に長手方向両端部を保持させて配設されている定着ベルトユニット31を有する。また、側板51L・51R間に長手方向両端部を保持させて配設されている対向部材としての弾性加圧ローラ(弾性加圧回転体)32を有する。ユニット31とローラ32は側板51L・51R間において上下に並行に配列されている。そして、両者31・32が圧接されて、ユニット31側のベルト34とローラ32との間にベルト回転方向Xにおいて所定幅の定着ニップ部Nが形成されている。
また、ユニット31のローラ32側とは180°反対側には、枠体50に保持させて配設されている、磁束を発生する磁界発生手段としての励磁コイルユニット(誘導加熱装置)33を有する。ユニット33は、ベルト34の回転方向と直交する方向を長手方向とする横長に形成された部材であり、ベルト34の外側において、ベルト34に対して非接触にほぼ一定のギャップαを保持させて対向して設置されている。本実施例ではベルト34の回転最大軌跡を考慮してユニット33を設置している。
(1)ベルトユニット31
ユニット31において、ベルト34は、鉄等の強磁性の金属(透磁率の高い金属)を使うことで、ユニット33から発生する磁束を金属内部により多く拘束させることができる。即ち、磁束密度を高くすることができることにより、金属表面に渦電流を発生し、効率的にベルトを発熱させることができる。ユニット31は、ベルト34の内側に挿通して固定して配設された、バックアップ部材(圧力付与部材)としての定着パッド35と、剛性部材としてのステイ36を有する。
パッド35は記録材搬送方向Zに交差する方向を長手とする耐熱性・断熱性の部材である。フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、LCP樹脂等の絶縁性及び耐熱性の良い材料が用いられる。パッド35は、ベルト34のバックアップ、ニップ部Nの加圧、ニップ部内の記録材搬送方向Zにおける必要なプロファイル(加圧分布)の形成、ベルト34の回転時の搬送安定性を図る等の役目をする。
ステイ36は横断面下向きU字型のSUS等の剛性を有する型鋼材である。ステイ36はパッド35を支持している。また、ユニット31は、ステイ36の外側を覆って配設された、磁気遮蔽部材としての横断面下向きU字型の強磁性体などからなるベルト内磁性コア(磁気遮蔽コア)37を有する。パッド35とステイ36の長さはベルト34よりも長く、左右の両端部はそれぞれベルト34の左右の両端部から外方に突出している。そして、その左右の突出端部に対してそれぞれキャップ部材(端末部材)38L・38Rが嵌着されている。
図4の(b)の層構成模型図を参照して、ベルト34は熱を伝達する加熱部材としての円筒状(無端状、エンドレス)の耐熱性部材であり、内面側から外面側に順に、基層34a、導電層34b、弾性層34c、表面離型層34dの4層積層複合材ベルトである。ベルト34は全体に可撓性を有し、自由状態においてはほぼ円筒状の形態を保持する。
本実施例のベルト34において、基層34aは、電気鋳造法によって製造した、内径30mm・厚み40μmのニッケル層(金属層)である。基層34aは、その外側に形成される導電層34bが直接バックアップ部材としてのパッド35と摺擦して削れることを防止したり、あるいはベルト34の内面に配設された温度センサTH1との摺動摩擦を低減させるための摺動層として設けられている。
導電層43bはユニット33によって生じる磁界の電磁誘導作用により、誘導発熱する層であり、鉄・コバルト・ニッケル・銅・クロム等の金属層を1〜50μm程度の厚みで形成したものが用いられる。ベルト34の熱容量を下げ、ウォーミングアップ時間(WUT)を短縮する必要がるので、導電層43bは可能な限り薄層にすることが好ましい。本実施例では、発熱効率と熱容量を両立させるために、導電層34bとして導電率の高いニッケルで40μm程度の薄い厚さのものを用いる。
弾性層34cは、本実施例では、耐熱性シリコーンゴム層を用いている。シリコーンゴム層の厚さは100〜1000μmの範囲内で設定するのが好ましい。本実施例では、ベルト34の熱容量を小さくしてウォーミングアップタイムを短縮し、かつカラー画像を定着するときに好適な定着画像を得ることを考慮して厚みは300μmとしている。シリコーンゴムは、JIS−A20度の硬度を持ち、熱伝導率は0.8W/mKである。
離型層34dは記録材上に転写された未定着トナー画像と直接接する層であるため離型性の良い材料を使用する必要がある。離型層34dを構成する材料としては、例えば、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、シリコン共重合体、またはこれらの複合層等が挙げられる。離型層34dは、これらの材料のうちから適宜選択されたものを、1〜50μmの厚さでベルトの最上層に設けたものである。
離型層34dの厚さは、薄すぎると、耐磨耗性の面で耐久性が低下く、ベルト34の寿命が短くなってしまう。逆に、厚すぎると、ベルト34の表面硬度が硬くなり、ベルトと画像面の当接ムラが発生しやすく、画像不良となってしまうため、望ましくない。本実施例では、耐磨耗性と、ベルトの熱容量のバランスを考慮して、離型層34dとして、厚さ30μmのテトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル重合体(PFA)が使用されている。
コア37は、ベルト34の内側にあってユニット33と対向しており、ユニット33からベルト34へ作用する誘導磁場の大きさを調整する。コア37はベルト34の発熱効率を向上させる働きを有する。また、金属材であるステイ36の外面を覆うことで、ステイ36への磁束を遮断し、ステイ36が誘導加熱で温まることを抑制する働きもしている。コア37は高透磁率かつ低損失のものを用いる。コア37は磁気回路の効率を上げるためと、ステイ36に対する磁気遮蔽のために用いている。代表的なものとしてはフェライトコアが挙げられる。
左側のキャップ部材38Lと右側のキャップ部材38Rは耐熱性樹脂等の断熱性部材であり、同一形状の成型体である。図4の(c)は左側(又は右側)の部材38L(38R)と、パッド35を支持したステイ36の左端部(又は右端部)と、コア37の分解斜視図である。部材38L・38Rは、パッド35を支持したステイ36の左端部と右端部に対して被さって嵌着する受圧部38aを有する。また、受圧部38aと一体で、ベルト34の左端面と右端面に対向する円盤状のフランジ部38bを有する。
受圧部38aとフランジ部38bには、パッド35を支持したステイ36の端部を差し込むための穴部38cを有する。また、フランジ部38bの受圧部38aとは反対側の面にはベルト34の端部をベルト内側から支持してベルト34の回転軌跡を規定するベルト回転ガイド部38dを有する。
左側と右側の部材38L・38Rは、パッド35を支持したステイ36の左端部と右端部とに嵌着される。ベルト34は、部材38L・38Rの間において、パッド35、ステイ36、コア37の外回りに回転可能に外嵌されている。ベルト34の両端部の内側はそれぞれ部材38L・38Rのガイド部38dにより支持されている。
そして、ユニット31の左右の部材38L・38Rの受圧部38aが、それぞれ、枠体50の左右の対向側板51L・51Rのスリット部(嵌合溝部)52L・52Rに係合されている。これにより、左右の部材38L・38Rは、それぞれ、スリット部52L・52Rにガイドされて、左右の対向側板51L・51Rに対して加圧ローラ32に向かう方向とその逆の方向にスライド移動可能に配設されている。即ち、ユニット31が左右の対向側板51L・51Rに対して加圧ローラ32に向かう方向とその逆の方向にスライド移動可能に配設されている。
ベルト34の内側には、ベルト34の温度制御のためにベルト温度を検知する温度検知手段としてのサーミスタTHが配設されている。サーミスタTHは、基部をパッド35に保持させた弾性部材53の先端部に保持させて温度検知部をベルト34の内面に弾性部材53のバネ性により弾性的に接触させてある。サーミスタTHはベルト34の外側に配設し、温度検知部をベルト外面に弾性的に接触させた構成にすることもできる。
(2)加圧ローラ32
本実施例において、ローラ32は、芯金32aに、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴム、あるいはシリコーンゴムの発泡体からなる弾性層32bを設け、さらにその外周面に離型層32cを設けたものである。本実施例においては、長手方向中央部の径が20mmで両端部の径が19mmである鉄合金製の芯金32aに、弾性層32bとしてシリコーンゴム層が設けられている。さらにその外周面に離型層32cとしてフッ素樹脂層(例えばPFAやPTFE)が30μmの厚みで設けられる。ローラ32の外径は30mmである。
ローラ32の長手方向中央部における硬度はASK−C70℃である。ローラ32は、芯金32aの左右両端部を、それぞれ、枠体50の側板51L・51Rに軸受部材54L・54Rを介して回転可能に支持されて配設されている。また、芯金32aの右端部にはドライブギアGが固定されて配設されている。
上記のように枠体50に支持させたローラ32の上側に、ユニット31がパッド35側を下向きにして、左右の部材38L・38Rを枠体50の左右のスリット部52L・52Rに係合させて配置されている。そして、ユニット31の部材38L・38Rの各受圧部38aと、枠体50に設けられた左右のばね受け座55Lと55Rの間には、それぞれ、加圧ばね56Lと56Rが縮設されている。このばね56L・56Rの所定の突っ張り力Fが、部材38L・38Rの受圧部38a、ステイ36を介してパッド35に作用する。
これにより、パッド35がベルト34を挟んで弾性層32bの弾性に抗してローラ32に圧接して、ベルト34とローラ32との間に記録材搬送方向Zに関して所定幅の画像定着加熱部としての定着ニップ部Nを形成させている。即ち、ローラ32はベルト34の外側に配設されており、パッド35とベルト34を挟んで相互圧接してベルト34との間にベルト回転方向Xに関して所定幅のニップ部Nを形成する。
本実施例におけるベルト34とローラ32とは、600Nの加圧力が印加されており、ニップ部Nの記録材搬送方向Zの幅は、定着ニップ圧が同圧力においては、長手方向両端部で約9mm、中央部では約8.5mmである。これはニップ部Nにおける記録材Pの幅方向両端部での搬送速度が中央部と比べて速くなるので記録材にしわ(紙しわ)が発生しにくくなるという利点がある。
パッド35はニップ部の圧プロファイルの形成を補助する部材であり、ニップ部内の記録材搬送方向Zにおける圧プロファイル(加圧分布)を必要なプロファイルにするようにニップ形成面35Nの形状が成形されている(図6)。これについては(5)項で詳述する。
(3)励磁コイルユニット33
ユニット33は、横断面において、ほぼ円筒状のベルト34の外周面の略半周範囲に沿うように湾曲している湾曲部を有する。そして、ユニット31を中にしてローラ32側とは反対側において、長手方向をユニット31の長手方向に並行にして、ベルト34の外面との間に所定の隙間αをあけて対向させた状態にして配設されている。ユニット33は、ブラケット57L・57Rを介して枠体50に取り付けられることで、側板51L・51R間に配設されている。
本実施例では、ユニット33は、励磁コイル41と、コイル41の巻き中心部に設けられる第1の磁性コア42aと、コイル41のベルト34側とは反対側に設けられる第2の磁性コア42bを有する。コイル41とコア42a・42bは支持部材としてのホルダー(ケーシング)43に格納されている。コア42a・42b、及びコア37は、強磁性体からなる。フェライト等の高透磁率残留磁束密度の低いものを用いると良い。
コイル41は、長手方向に略楕円形状(横長舟形)をしており、ベルト34の外周面に沿うようにホルダー43の内部に配置されている。コイル41の芯線としては、φ0.1〜0.3mmの細線を略80〜160本程度束ねたリッツ線を用いている。細線には絶縁被覆電線を用いている。又、コア42a・42bを周回するように8〜12回巻回して、コイル41を構成したものが使われる。
コイル41には励磁回路(電磁誘導加熱駆動回路、高周波コンバータ)101が接続されており、交番電流をコイル41へ供給できるようになっている。コア42a・42bは、コイル41の巻き中心部と周囲を囲むように構成されていて、コイル41より発生した交流磁束を効率よくベルト34の導電層34bに導く役目をする。すなわち回路101の効率を上げるためと磁気遮蔽のために用いている。
(4)定着動作
制御回路部100は装置200から入力する画像形成開始信号に基づく所定の制御タイミングにおいて、装置21のベルト34の温度を、トナー画像を加熱溶融するのに適した温度まで立ち上げるいわゆるウォーミングアップを行う。プリンタ1は、ベルト34の表面温度が所定温度例えば180℃に達した後に画像形成可能な状態となる。装置21のウォーミングアップは、まずローラ32が駆動を開始し、ベルト34が従動して周回を開始するのとほぼ同時あるいは開始直後に、ユニット33のコイル41に回路101から交流電流が供給される。
ローラ32の駆動は、定着モータM(加圧回転体を回転駆動する駆動手段)がオンにされることでなされる。モータMの駆動力が動力伝達系(不図示)を介してギアGに伝達されて、加圧回転体であるローラ32が図2において矢印の反時計方向に所定の速度で回転駆動される。このローラ32の回転により、ニップ部Nにおけるローラ32の表面とベルト34の表面との摩擦力でベルト34に回転力が作用する。
これにより、ベルト34はその内面がニップ部Nにおいて、パッド35のニップ形成面35Nに密着して摺動しながら、パッド35、ステイ36、コア37の外回りを矢印の時計方向Xにローラ32の回転速度とほぼ同じ速度で従動回転する。ベルト34の回転に伴う長手方向への寄り移動は、左側キャップ部材38Lのフランジ部38bによりベルト左端面が受け止められる、或いは右側キャップ部材38Rのフランジ部38bによりベルト右端面が受け止められることで規制される。パッド35とベルト34の間に潤滑剤としてシリコンオイルやグリスを塗布して両者の摺動抵抗をより低減化させてもよい。
制御回路部100は、回路101をオンする。これによりAC電源102からコイル41に20〜50kHzの交流電流(高周波電流)が供給される。そうすると、コイル41の周囲に図2のHで示される磁束が生成消滅を繰り返す。そして、この磁束Hがコア42a・42bに導かれてベルト34の導電層34bを横切るとき、その磁界の変化を妨げる磁界を生じるように、導電層34bには渦電流が発生する。その渦電流は導電層34bの固有抵抗によってジュール熱を発生させる。
即ち、導電層34bの表皮抵抗及び導電層34bを流れる電流の大きさに比例してジュール熱が発生する。この導電層34bの発熱により、回転するベルト34が昇温する。一方、ベルト34の導電層34bは表皮深さよりも薄い為に磁束は導電層34bを貫通し、貫通した磁束は、ベルト34の内部配置された磁性コア37に向かって閉じた経路を形成する。この際、磁性コア37はベルト34に一定の距離を保持し、最近接配置されている為、閉磁路としては最も閉じられた状態となり、効果的に磁束密度を高め、ベルト34を温度ムラなく、誘導加熱している。
本実施例において、ベルト34とコイル41は0.5mmのモールドにより電気絶縁の状態を保ち、ベルト34とコイル41との間隔は1.5mm(モールド表面とベルト表面の距離は1.0mm)で一定であり、ベルト41は均一に加熱される。
そして、ベルト34の温度がサーミスタTHで検知され、検知温度に関する電気的な情報がA/Dコンバータ103を介して制御回路部100へ入力する。制御回路部100はサーミスタTHからの検知温度情報に基づいてベルト34が所定の設定温度(定着温度)に昇温して維持されるように回路101を制御する。即ち、電源102からコイル41に対する供給電力を制御(通電制御)する。上記のようにして、ローラ32が駆動され、また、ベルト34が所定の定着温度に立ち上がって温調される。
この状態において、ニップ部Nに、未定着トナー画像tを担持した記録材Pがトナー画像担持面側をベルト34側にして導入される。記録材Pはニップ部Nにおいてベルト34の外面に密着し、ベルト34と一緒にニップ部Nを挟持搬送されていく。これにより、記録材Pにベルト34の熱が付与され、またニップ圧を受けて未定着トナー画像tが記録材Pの表面に固着画像として加熱加圧で定着される。
ニップ部Nを通った記録材Pはベルト34の外面から分離されて定着装置外へ搬送される。ここで、本実施例のプリンタ1及び定着装置21において、大小各種幅サイズの記録材Pの搬送は、記録材の幅中心を基準とするいわゆる中央基準搬送でなされる。Oはその中央基準線(仮想線)である。Wmaxは装置21に通紙使用可能な最大通紙幅の記録材Pの通紙領域幅である。
コイル41を含むユニット33が、高温になるベルト34の内部ではなく外部に配置されている。これにより、コイル41の温度が高温になりにくく、電気抵抗も上昇せず高周波電流を流してもジュール発熱による損失を軽減する事が可能となる。また、コイル41を外部に配置したことでベルト34の小径化(低熱容量化)にも寄与しており、ひいては省エネルギー性にも優れていると言える。
本実施例の装置21のウォーミングアップタイムは、非常に熱容量が低い構成であるため、例えばコイル41に1200W入力すると、約15秒で目標温度である180℃に到達できる。これにより、スタンバイ中の加熱動作が不要であるため、電力消費量を非常に低く抑える事が可能である。
(5)定着パッド35
図6はパッド35の拡大横断面模型図である。パッド35は、ニップ部N内の記録材搬送方向Zにおける圧プロファイルを必要なプロファイルにするようにニップ形成面35Nの形状が成形されている。
パッド35は、記録材搬送方向Zに交差する方向を長手とする耐熱性・断熱性の部材であり、ベルト34のバックアップ、ニップ部Nの加圧、ベルト34の回転時の搬送安定性を図る役目等をする。フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、LCP樹脂等の絶縁性及び耐熱性の良い材料が用いられる。
本実施例において、パッド35のニップ形成面35Nには、ニップ部N内の記録材搬送方向Zにおける圧プロファイルを必要なプロファイルにするように、凹凸形状部として、平面部a、段差部b、及び突起部cが設けられている。平面部a、段差部b、及び突起部cは、それぞれ、ニップ形成面35Nにおいて、記録材搬送方向Zに直交する方向に少なくとも最大通紙幅の記録材Pの通紙領域幅Wmaxの全長域にわたって切れ目なく延在している。
段差部bはニップ形成面35Nの記録材搬送方向Zの下流側に設けられている。段差部bは平面部aよりもローラ32側に突出している隆起部であり、A点は、段差部bの頂点位置を示している。この段差部bにより、ニップ部Nの記録材出口部におけるベルト34からの記録材Pの分離性、およびニップ幅拡大という効果が得られる。
段差部bの突出量qは、平面部aの面を基準に0.1mm以上1.0mm以下の程度が好ましい。突出量qが小さすぎると、ニップ部Nの記録材出口部におけるベルト34からの記録材Pの分離性が不十分となり、装置21において記録材Pの巻き付きジャムが発生してしまうことがある。逆に、突出量qが大きすぎると、画像定着された記録材Pのカール量が非常に大きくなってしまうことがある。さらに、突出量qが大きいほどベルト34への屈曲応力が増大するため、ベルト34の疲労破壊が発生しやすくなる。本実施例において、突出量qは0.5mmとしている。
突起部cは、ニップ形成面35Nにおいて、ローラ32側に突出しており、ニップ部N内の記録材搬送方向Zにおける圧プロファイルを必要なプロファイルにするために必要である。突起部cの高さrと、記録材搬送方向Zにおける幅sは、それぞれ平面部aの面を基準に、0.1mm以上、1.0mm以下程度の高さ、及び、0.1mm以上、1.0mm以下程度の幅を持った突起形状であることが好ましい。
突起高さrは、高すぎると圧の集中が大きく、必要な圧分布形成が困難になる。また、突起高さrが小さすぎると、圧が分散しすぎて同様に必要な圧分布形成が困難になる。同様に、突起幅sは、広すぎると圧が分散しすぎ、狭すぎると圧が集中しすぎるため、必要な圧分布形成が困難になる。本実施例において、突起高さr、突起幅sは、0.5mmとしている。また、突起部cの個数は3個とし、位置は段差部bの頂点位置Aより、記録材搬送方向Zの上流側に、3mm、5mm及び7mmの位置に設けて圧分布を作成した。
上記の突起物の個数及び配置については、圧分布形状とトナー像の濃度及び彩度の変化と併せて後述する。
《トナー特性と溶融状態の関係》
ここで、本実施例において用いているトナーの特性と、定着工程におけるトナーの溶融状態について説明する。まず、本実施例におけるトナーは、ポリエステル系の樹脂を使用したトナーを用いた。トナーを製造する方法としては、粉砕法や、懸濁重合法・界面重合法・分散重合法等の媒体中で直接トナーを製造する方法(重合法)が挙げられるが、本実施例においては粉砕法によって製造したトナーを用いた。なお、トナーの成分、製造方法はこれに限定されるものではない。
各色のトナーとしては、各色の色素を含有した透明な熱可塑性樹脂で構成されたものを用いることができる。本実施例においては、図7に示すような温度―粘度特性(以下溶融粘度特性)を有するポリエステルをバインダとした着色トナーを用いた。ここで、本実施例で用いた溶融粘度特性の算出には、フローテスターCFT−500D(島津製作所製)を使用した。測定条件は、以下のように設定した。
(測定条件)
試験モード:昇温法、ダイ穴径:1[mm]、ダイ長さ:1[mm]、試験荷重:10[kg]、シリンダー圧力:9.807E+5[Pa]、昇温速度:4[℃/min.]、予熱時間:300[s]。
上記のような条件において、本実施例におけるトナーを昇温法により測定することで、流動曲線、及び軟化温度、流出開始温度を得る。得られた流動曲線から、図7に示すような溶融粘度特性を算出することができる。このとき、軟化温度Ts、流出開始温度Tfbは、以下のように定義される。
軟化温度Ts;内部空隙が消失し、不均一な応力の分布をもったまま外観均一な一個の透明体あるいは相になる温度。
流出開始温度Tfb;試料の熱膨張によるピストンのわずかな上昇が行われた後、再びピストンが明らかに降下し始める温度。
《記録材上のトナー量が少ない場合の現象》
ここで、本実施例での記録材上での未定着トナーの積層状態についての説明をする。発明が解決しようとする課題の項において説明したように、単色トナーの透けは、主に記録材上での未定着トナーが少ない時に発生しやすい。透けが発生しやすい時の積層状態がどのようになっているのかを説明する。
(1)記録材(記録材:紙)をトナーで隠蔽できなくなる現象
まず、記録材をトナーで隠蔽できなくなる現象について説明する。最初に、単色時のトナー量と記録材の隠蔽状態について説明する。図8は、トナー量と記録材の隠蔽状態についての関係図である。記録材602上に単色時のトナー601の量が多い時から少ない時までの、各々のトナー層形成状態の違いを示したものである。トナーの重なりを見るために、トナー層を横から見た側面図と斜観図、トナーによる紙の隠蔽状態を見るための平面図を示した。(a)→(b)→(c)→(d)の順に、トナー量がだんだんと減っていく状態の変化を表している。
トナー量が多い状態を示した(a)および(b)においては、溶融後の平面図を見てわかるとおり、トナーによって紙が十分に隠蔽されていることがわかる。これは、未定着(溶融前)の状態においても、隣り合うトナー同士に隙間が無いことによって、そもそも記録材がしっかりと隠蔽されているということがわかる。
一方、トナー量が少ない(c)においては、トナーが重なり合ったり、平面的に隣通しのトナーが接している部分は、溶融後に紙が隠蔽されているものの、隙間がある部分については、溶融後も紙が見えてしまっていることがわかる。さらに、トナーが少ない状態の(d)においては、トナーの重なりが無いため、溶融後にトナーによる紙の隠蔽がさらに低下していることがわかる。
その中でも、トナー間の隙間が小さい部分においてはトナーが単層であるため、未定着時には隙間があっても溶融後の溶け拡がりによって、若干紙の隠蔽が進んでいる部分もあることがわかる。しか記録材ナー間の隙間が大きければ大きいほど、トナーによる記録材の隠蔽状態が低下している。
ここで、より少ないトナー量で隙間の少ないトナー層を形成するための理想状態について説明する。図9は、トナー量が少ない時(隙間がある時)と1層で隙間無く並んでいる時のトナー層形成状態を示した図である。
(a)は平面に対してトナー量が極く少ない場合であり、隙間が多く存在してしまうことは避けられない。(b)のように、(a)に対記録材ナー量が若干増えた場合においても、トナー同士が立体的に重なる部分と隙間が生じる部分があると、紙の隠蔽も低下して、2次色形成時にも良好な重なりを得ることが難しくなる。
そこで、(e)に示すようにトナー粒子を平面的に理想的に配列した場合について見てみると、(b)の配列状態に比べ、隙間は減少しているものの、トナー粒子が異形である。そのために、トナー同士がすべて接していても、隙間が大きくなってしまう部分があることがわかる。
同様に、(d)に示すように真球体のトナー粒子で粒度分布を持つ場合においても、大きい粒径の粒子の下に入り込んで配列してしまう分などを考慮すると隙間が増えてしまう方向にある。
つまり、(c)に示すように、同一粒径の真球体トナー粒子を最密に並べた場合が、平面に対して最も効率よくトナーを配列することができる。また、この状態においては、隣り合うすべてのトナー同士が接することにより、同一体積の粒子においてはもっとも紙を隠蔽することが出来ることは言うまでも無い。
例えば、楕円状の球形トナーなどは長径方向がうまく配列した場合には、(c)よりも高い隠蔽を達成できることも考えられる。しかし、短径方向で配列してしまうと、(c)よりも低い隠蔽になってしまう。そのため、楕円状の球形トナーの平均的な配列を考えた場合、真球体のトナーに比較すると結局は低い隠蔽率になってしまうこともいうまでもない。
次に、この理想配列状態を形成できる同一粒径の真球体トナーのトナー量(トナー密度)に対するトナー層の形成状態について説明する。
図10は、同一体積の真球体トナーのトナー量(トナー密度)に対するトナー層の形成状態について示したものである。単色の層形成状態を比較すると、(a)に示すように、最密状態時にはすべての隣同士のトナーが接する状態であるため、隙間が最小になっているのに対し、(b)→(c)→(d)と、トナー量が減るにつれ隙間が増大していることがわかる。
次に、理想配列状態時の各種パラメータについて説明する。図11は、理想配列状態の各種パラメータを示したものである。粒径(トナー直径)をL[μm]とすると、トナーの体積はV○[μm3]、平面的なトナーの投影面積はS○[μm2]、トナー1つ分が含まれる単位面積はSp[μm2]であり、それぞれ以下のようになる。これらから、トナーが最密に並んだ時の単層(1色)の載り量H[μm](単位面積あたりの体積=平均高さ)が以下のように算出される。
これらから、トナーが最密に並んだ時の単層(1色)の載り量H[μm](単位面積あたりの体積=平均高さ)が以下のように算出される。
図12は、上記関係式から理想配列状態のトナー粒径およびトナー載り量(平均高さ)の関係を示したグラフである。図中、実線610が理想配列状態を表し、Aゾーンは単位面積あたりのトナー量が理想状態より多くある範囲であり、Bゾーンは単位面積あたりのトナー量が理想状態より少ない範囲を示す。つまり、Bゾーンにおいては、記録材に対してのトナー量が不足し、隙間が生じてしまう範囲を示しているものである。
ここで、理想配列状態時に生じる隙間、すなわち、トナーが細密に並んだ時の隙間の割合T[%](単位面積あたりの隙間の量)(図11)を算出したものが、以下のようになる。
これは、図12に示した理想配列状態となるトナー粒径およびトナー載り量(平均高さ)(グラフの実線610)において、常に9.31[%]となることを意味する。言い換えると、トナー量によらず、理想配列状態時に生じる隙間は9.31[%]であるということである。
ここまで、トナーの配列状態を考えるために、トナーの載り量については、「単位面積あたりのトナー体積[μm]」(=平均高さ)で説明したが、通常、トナーの載り量を計測管理する際には、「単位面積あたりの重さ[mg/cm2]」を用いている。これに準じて、先に説明した理想配列状態(真球形トナーの最密状態)を表す式が、密度ρ[g/cm3]を考慮すると、以下のように、トナー載り量A[mg/cm2]として変換される。式中、1/10は単位合わせるためのものである。
ところで、上記ではトナーの積層状態、配列状態は、記録材表面が均一である場合について説明した。しかし、記録材上に画像形成される場合、その記録材の表面には凹凸が存在する。この凹凸状態は、記録材の種類によって様々で、例えば上記で説明した、トナー載り量A(真球形トナーの理想配列最密状態での最小トナー載り量)に関しても、記録材の表面性によって変化する。
例えば、コート紙のように記録材の表面性が比較的平滑な場合、上記したAに近い値になるし、あるいは逆に、再生紙のように記録材の表面性が良くない場合は、上記したAよりもかなり大きな値になる。すなわち、色の重なり度合い(2次色、多次色の発色性)についても、記録材の表面性が良くないと減少してしまう。
《記録材の表面性と単色ベタトナー量の関係》
次に、記録材の表面性と単色ベタトナー量の関係について説明する。先述したが、トナーの積層状態、配列状態が理想的な状態であれば、記録材を隠蔽するためのトナー積層配列状態は、トナー同士が隣接しあう最密状態における状態であり、その状態が単層のトナーで記録材を最大に隠蔽するための最小のトナー量ということになる。
このとき、未定着トナーの比重をρ(g/cm3)、重量平均粒径をL(μm)、トナー載り量A(mg/cm2)とすると、A=(ρπL)/30√3、で表される。また、このとき単層のトナーで記録材を最大に隠蔽できる割合Q(%)は、
Q=100−9.31=90.69(%)
ということになる。
ここで、重量平均粒径の測定方法について説明する。トナーの平均粒径はコールターカウンターTA−II型あるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)等種々の方法で測定可能である。本発明においてはコールターマルチサイザー(コールター社製)を用い、個数分布,体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)を接続する。電解液は1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。
たとえば、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない前記コールターマルチサイザーによりアパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、2μm以上のトナーの体積,個数を測定して体積分布と個数分布とを算出した。
それから、本発明に係わる体積分布から求めた重量基準の重量平均粒径(各チャンネルの中央値をチャンネルの代表値とする)を求めた。
ところが、上記関係は、記録材の表面が均一である場合で、記録材の表面性が変化すると、この表面性に応じて記録材を隠蔽するために必要なトナー量は変化する。図13に表面性が異なる2種類の記録材に対して、トナーを配列した時の断面方向模式図を示す。(a)は、記録材(紙)の表面性が平滑な場合で、この場合はトナー同士が隣接しあい、記録材を隠蔽している状態が見て取れる。一方、(b)は、記録材の表面性が良くなく(凹凸があり)、この場合はトナー同士が隣接しておらず、従って記録材を隠蔽できていない。
即ち、コート紙のように記録材の表面性が比較的平滑な場合、記録材を隠蔽するために必要なトナー量は、上記したAに近い値になるし、逆に、再生紙のように記録材の表面性が良くない場合は、上記したAよりも大きな値になる。
ここで、実際に記録材の表面性とトナーが記録材を90.69%隠蔽するために必要な量との関係は、図14のようになる。図14は、記録材表面の凹凸形状から算出したRa(算術平均粗さ)やRz(十点平均粗さ)、凹凸の線長、表面積と、その記録材を90.69%隠蔽するために必要なトナー量との関係を示した図である。
図14の(a)は、記録材表面の凹凸の線長とその記録材を90.69%隠蔽するために必要なトナー量との関係を示したものである。(b)は、記録材表面の表面積とその記録材を90.69%隠蔽するために必要なトナー量との関係を示したものである。(c)は、記録材表面のRaとその記録材を90.69%隠蔽するために必要なトナー量との関係を示したものである。(d)は、記録材表面のRzとその記録材を90.69%隠蔽するために必要なトナー量との関係を示したものである。
今回用いた記録材としては、グロスフィルムとしてGF2(166g/m2;3M製)である。コート紙としてOKトップコートN(128g/m2;王子製紙製)である。普通紙としてCS814用紙(80g/m2;日本製紙製)である。再生紙としてオフィスプランナー(64g/m2;日本製紙製)である。記録材は、上記記録材に限定されるものではない。
図14を見ると、Ra(算術平均粗さ)やRz(十点平均粗さ)、凹凸の線長、表面積のそれぞれと、それに対する必要トナー量が高い相関関係が有ることが分かる。その中でも、最も相関があるのが、記録材の表面積であるため、本実施例において記録材の表面性としては記録材の表面積を採用した。なお、前記した表面性は各々必要トナー量に対して高い相関関係があるのでいうまでもないが、その他の記録材の表面性についても、必要トナー量に対して高い相関関係が示すことができれば表面性として採用してもよい。本実施例において、記録材の表面性として記録材の表面積を採用した。
《記録材表面性と単色ベタトナー量の関係》
次に、本実施例において用いたトナー[比重ρが1.1(g/cm3)、重量平均粒径Lが6.0(μm)のもの]について、各記録材の表面性と、記録材を隠蔽するために必要な単色ベタトナー量について説明する。まず、記録材表面が均一である場合(基準面)に必要となるトナー量を基準とする。この基準トナー量をA0(mg/cm2)とすると、[A0<(ρπL)/30√3]の範囲であれば限定されるものではない。本実施例においては[A0=0.3(mg/cm2)]とした。
図15は、前記トナー条件において、各記録材に対するトナー載り量と隠蔽率の関係を示したグラフである。基準面に対するトナー載り量を[A0=0.3(mg/cm2)]とした時、基準面に対するトナーの隠蔽率は約68%であることが分かる。
次に、各記録材に対する隠蔽率が68%になるトナーの載り量が、グロスフィルムの場合は0.31(mg/cm2)となる。コート紙の場合は0.32(mg/cm2)となる。普通紙の場合は0.35(mg/cm2)となる。再生紙の場合は0.41(mg/cm2)となる。なお、上記値は、本実施例で用いたトナー条件、記録材の場合であり、これに限定されるものではない。
次に、上記のようにして求められたトナー載り量と、各記録材の表面積との関係を図16に示す。先述したが、記録材の表面積と各々必要トナー量に対しては、高い相関関係を示す。従って、各記録材の表面積X(μm2)と各記録材に載せる単色ベタトナー量Y(mg/cm2)との関係は、[Y=4*10^(−8)X+0.26]、で表すことができる。
ここで、記録材Pの面に形成される未定着トナー画像tが複数の有彩色カラートナー画像の重畳画像である場合において、各単色の最大トナー載り量は次のような載り量とすることが好ましい。即ち、未定着トナーの比重をρ(g/cm3)とする。重量平均粒径をL(μm)とする。記録材表面の単位長をT0(mm)とする。記録材表面の単位長辺りの表面長さをT1(mm)とする。記録材表面の単位長がT0の時の記録材上のトナー載り量をA0(mg/cm2)とする。記録材表面の単位長がT1の時の記録材上のトナー載り量をA1(mg/cm2)とする。
A0<(ρπL)/30√3
A1=T1*A0/T0
A1<(T0/T1)*(ρπL)/30√3
となるトナー載り量を各単色の最大トナー載り量とする。
《加圧力とトナー溶融の関係》
次に、加圧力とトナー溶融の関係について説明する。トナー溶融状態は、定着温度や定着スピード、加圧力等の定着条件と、その条件下におけるトナー粘度特性によって決まる。ところが、発明が解決しようとする課題の項で説明したように、トナーの積層状態が単層か多層かで、その加圧力による影響が大きく変わる。一般的に、トナーが記録材上に多層に形成されている場合は、トナーの粘度を低くし、その状態において高い加圧力をかけることで、より良好な定着性能を得ることができる。
ところが、単層系の場合は、粘度が低い状態で高い圧力をかけると、図36で示したとおり、トナーが溶融しすぎて、記録材表面の繊維上からトナーが脱落してしまう。その結果、記録材(紙)の地合が露出する「透け」と言われる現象や、トナー画像の表面性を損なうといった現象が発生してしまう。また、「透け」が発生しないように温調温度や加圧力を制御した場合、多層系の2次色の溶融が不十分になり、2次色の彩度低下や定着不良が発生する。
従って、トナーが記録材上に単層で形成される場合、及び単層で形成された状態と多層で形成された状態が混合して形成される場合においては、トナー溶融状態に対して的確なポイントで加圧する必要が出てくる。
ここで、トナー溶融状態を確認する方法として、単色トナーの広がり率、2次色トナーの重なり率を算出する方法について説明する。単色トナーの広がり率とは、記録材上に単色トナー層を形成し、場合によっては、さらにその後定着を行った時に、記録材上にどの程度単色に見える領域が存在するかを示す割合である。2次色トナーの重なり率とは、記録材上に2次色トナー層を形成し、場合によっては、さらにその後定着を行った時に、記録材上にどの程度2次色に見える領域が存在するかを示す割合である。
以下の説明においては、有彩色カラートナーとして、単色トナーの広がり率算出時はシアン、2次色トナーの重なり率算出時はイエローとシアンを用いて検証する。そして、単色に見える領域、及び色が重なった領域、すなわちグリーンに見える領域の算出方法および算出結果を例として示す。しかし、その他の色についても同様で、これに限定されるものではない。
(1)2次色トナー重なり率の算出方法
得られた画像を光学顕微鏡(OLYMPUS製;STM6−LM測定顕微鏡)で透過画像観察を行うと、シアン、イエロー、グリーン色及び背景色に見える顕微鏡画像を得ることができる。各色トナーが重なっていない領域では、シアン、イエローの単色で見え、重なっている領域はグリーン色に見える。このときの顕微鏡画像取得条件は、以下のような設定で行った。
接眼レンズ:倍率10×、対物レンズ:倍率5×、実視野領域:4.4mm、開口数:0.13、光源フィルタ:透過用MM6−LBD、出力光量:MAX。
また、上記条件で取得した画像を、画像ファイリングソフトウェア;FLVFS−FIS(OLYMPUS製)にて取り込み、保存を行った。このときのカメラプロパティは以下のような設定で行った。
[シャッターグループ]
モード:スロー
シャッタースピード:0.17[s]
[レベルグループ]
ゲイン R=2.13 G=1.00 B=1.74
オフセット R/G/B=±0
ホワイトバランス 画面中央にて
ガンマ R/G/B=0.67
シャープネス なし
[Gain(Camera PGA−AMP)]
R/G/B=1.34
次に、得られた顕微鏡画像において、観察領域内の光量が安定している中央部分をトリミングした。トリミングは、フォトショップ(アドビシステムズ社)で行い、画像中央部の2mm四方を選択した。なお、このトリミング作業は、観察領域内の光量が安定している領域について作業を行うためで、トリミングではなく観察領域内光量バランスのキャリブレーション等を行ってもよい。
次に、得られたトリミング画像から、2次色部分とそれ以外の部分で2値化処理ができ、2値化した部分の領域の大きさを算出できる画像処理ソフト(Image−Pro Plus;(株)プラネトロン製)を用いて、観察領域内における、G領域を算出する。
得られた顕微鏡透過画像のトリミング画像を、2次色とそれ以外の単色の部分あるいは背景色の部分、すなわち、グリーン色領域と、シアン・イエロー色・背景色領域で2値化を行う。ここではグリーン色に見える部分を取得画像内で閾値を設けて抽出し、この部分を白部として変換し、その他の色に見える部分を黒部として変換する。この2値化された画像に対して、白部の領域の個数カウント、及び、各白部の面積をカウントファイルにて保存する。得られた2値化画像の白部分の面積を、例えばエクセル(マイクロソフト社製)にて積算し、白部分の面積比率をG領域として算出した。
例えば、図17の(a)のように見える画像に対して、上記の2値化処理を行うと、(b)のような黒部分/白部分の2値化画像を得る。この2値化画像において、白部分の割合を算出すると、G領域の割合が算出される。
G領域割合(%)={(白部分の面積)/(白部分+黒部分の面積)}×100
={0.3×0.4/1.0×1.0}×100
=12%
となる。
(2)単色広がり率の算出方法
まず上記で説明した測定条件、測定方法にて顕微鏡画像を得る。このとき、単色トナーはシャッタースピードを0.08[s]程度に設定する。これは、トナー量が2次色に比較して少ないため、シャッタースピードを落としたほうが、トナー像を観察しやすいためである。次に、トリミングあるいはキャリブレーションを行った画像に対して、2値化処理を行う。この2値化処理において、所望の色と背景色とで2値化を行う。
例えば、シアントナーを用いて単色トナー広がり率を測定する場合は、シアン色領域と背景色領域で2値化を行い、シアンに見える部分を取得画像内で閾値を設けて抽出し、この部分を白部として変換する。その他の色に見える部分、すなわち背景色部分を黒部として変換する。この2値化された画像に対して、白部の領域の個数カウント、及び、各白部の面積をカウントファイルにて保存する。得られた2値化画像の白部分の面積を、例えばエクセル(マイクロソフト社製)にて積算し、白部分の面積比率を隠蔽率として算出した。
《トナー特性とトナー溶融状態についての検証》
次に、本実施例で用いたトナーが、記録材上に溶融した場合に、どのように単色広がり率、2次色重なり率が変化するのかについて、検証を行ったので説明する。本検証においては、記録材上のトナーを定着する方法として、図18に示すように、オーブン定着装置(恒温槽)1000内において行った。
まず、金属プレート1001上に、前記した定着ベルトと同じ構成の定着部材1002を貼付し、任意の圧力をかけることができるようにした。また、記録材1003上には、未定着のトナー画像1004を載せ、上下の金属プレートを挟み込むことによって、トナー画像を記録材に定着させることによって、単色トナーの広がり率、2次色トナーの重なり率の変化度合いを検証した。また、その時の温度は、記録媒体上に熱電対1005((株)アンベ エスエムティ、極細薄熱電対KFST−10−100−200)を貼り付けて計測した。
図19は、記録材上に単色トナーをトナー量(以下載り量)が0.3(mg/cm2)になるように画像形成し、前述した定着方式でオーブン定着した時の単色トナーの広がり率を測定したものである。任意の温度になった時にオーブンから取り出し、前述した測定系で単色トナーの広がり率を算出したものである。
実線、破線、一点鎖線は、それぞれ、無加圧、低圧(0.15MPa)、高圧(0.5MPa)にてプレートを加圧したものである。横軸はトナー温度、縦軸は単色トナーの広がり率を示している。なお、記録材としては、坪量81[g/m2]であるCS814用紙(81g/m2;日本製紙製)を用いた。
図19から分かるように、まず、加圧した状態で加熱した場合には、70℃付近で急激に広がり率が大きくなっていることが分かる。これは、本実施例で用いたトナーの軟化点温度Tsが70℃付近であるためである。トナーが軟化点温度に到達すると、トナーは固体域から遷移域、ゴム状弾性域に移る。このとき、トナーは加圧力に応じて弾性変形をするため、加圧状態であるとその加圧力に応じて広がりが増大する。従って、図19に示すように加圧力が高圧の方がトナーの広がり率が大きくなっている。
一方、無加圧状態で加熱した場合には、90℃付近で急激に広がり率が大きくなっていることが分かる。これは、本実施例で用いたトナーの流出開始温度Tfbが90℃付近であるためである。トナーが流出開始温度に到達すると、トナーはゴム状弾性域から流動域に移る。このとき、トナーは自重でも変形する程度の粘度になり、従って無加圧状態でもトナーの広がりが増大する。
ところで、加圧状態にあるトナーの広がりは、急激に増大した後はほとんど増加しないことが分かる。これについて、顕微鏡を用いてトナーの広がりの様子を観察した結果を図20に示す。
トナーは流出開始温度以降急激に粘度が低下し、加圧力に応じてトナーの広がりが増大する。従って、粘度が低下した時に高加圧力をかければ、トナーの広がりが急激に大きくなるはずである。ところが、記録材に凹凸がある場合は、トナーの広がりは記録材表面の凹凸によって阻害される。従って、トナー量が記録材表面全体を覆えない程度に少ない場合は、単色トナーの広がり率としては、記録材の表面性に応じた一定の値以上にはならない。
また、[発明が解決しようとする課題]の項で説明したように、凹凸のある記録材上にトナーを形成した場合、トナーの粘度が大きく下がった時に、高圧力を印加すると、記録材表面の凸部にあるトナーは繊維表面から脱落してしまう。そのため、記録材表面が露出し、透けと呼ばれる現象が発生する。図20は、高圧を印加した場合の単色トナーの広がり率(一点鎖線)に対して、トナーが透ける量(長破線)と、トナーが広がる量(二点鎖線)を示している。
前記したように、トナーは過定着により記録材の凸部から脱落した場合、その部分の記録材は露出し、紙繊維が透ける量となる。一方、その脱落したトナーは、記録材の凹部に流入し、その部分の記録材を隠蔽する。また、流出開始温度以降は、自重で広がる分もあるため、凹部への流入分と、自重で広がる分が、トナーの広がる量となる。
従って、表面に凹凸のある記録材上の単色トナーの広がり率は、そのトナーの流出開始温度以降はトナーが広がる量とトナーが透ける量が合わさって広がり率となるために、広がり率自体は大きく変化しないことになる。
ここで、トナーの広がり率の変化と、単色の記録材上での反射濃度の関係について図21にて説明する。本検証における広がり率は、前記したようなトナー溶融状態変化をしているため、広がり率の増減と、反射濃度の増減が同様にはならない。図21を見ると、広がり率はトナー温度が70℃程度から、ほぼ同等、もしくは微増している一方で、反射濃度は、90℃〜100℃を境に120℃では減少している。これは、広がり率自体は大きくなっているが、透けの発生により、記録材表面の凸部が露出したことによる表面性の減少、さらには白地部が多くなることによる濃度低下である。
図22は、記録材上に2次色トナー、ここではシアントナーとイエロートナーを、それぞれトナー載り量が0.3(mg/cm2)になるように画像形成し、前述した定着方式でオーブン定着した時の単色トナーの広がり率を測定したものである。任意の温度になった時にオーブンから取り出し、前述した測定系で2次色トナーの広がり率を算出したものである。
図22から分かるように、まず、加圧、無加圧に関わらず、70℃付近においては、2次色トナーの重なり率はほとんど変化が無いことが分かる。これは、トナーが軟化点温度付近に到達しても、トナーはゴム状弾性域にあるため、加圧した状態でトナー自体は広がる。しかし、本実施例のように、もともとトナーの載り量が少なく、未定着トナーの状態での重なりが小さい場合は、加圧しても色が重なって2次色に見える領域はほとんど増えない。
一方、加圧した状態では、トナーが流出開始温度付近である90℃になると、急激に2次色重なり率が大きくなる。これは、流出開始温度になると、トナーの粘度は急激に低下し、加圧力によって急激にトナーの広がりが増えるため、もともとトナーの載り量が少ない状態であっても色が重なって2次色に見える領域が増える。無加圧の状態では、流出開始温度付近になると自重でもトナーの広がりが大きくなるが、加圧した状態に比べてトナーの広がりは小さく、色の重なる割合も小さく、従って、2次色トナーの重なり率は上昇するものの大きくはない。
ところで、図22から、加圧力が高い場合と低い場合を比較して、高い場合の方が2次色重なり率は大きいことが分かる。トナーが十分に溶融した高温側では、ほぼ同等の値になるものの、特に低温側から加圧力による影響が出ている。2次色重なり率を定着工程後最終的に同じにするためには、前半に低圧をかけて後半で高圧をかける方法か、もしくは、前半に高圧をかけて後半で低圧をかける方法が考えられる。
ところが、[発明が解決しようとする課題]の項、あるいは、単色のトナー広がり率の説明において記述したように、後半で高圧を印加した場合は、単色トナーの透けが発生しやすいという弊害が生じる。一方、前半で高圧を印加した場合においては、トナーの粘度が低くないため、記録材上でトナーが透けてしまう現象は発生しない。従って、前半、ここではトナーの軟化点温度付近で十分な加圧力をかけることによって、定着ニップ後半側での加圧力をより小さくすることができる。
次に、トナーの流出開始温度以降における変形について説明する。前記したように、トナーは流出開始温度以降、急激に粘度が低下する。このとき、トナー温度t(℃)に達した時の、トナーの溶融粘度をη(t)(Pa・s)、その時にかかる圧力をP(t)(kgfcm^2)としたとき、トナーの変形量は、P(t)/η(t)と表すことができる。即ち、トナーの粘度が低ければトナーの変形量は大きく、加圧力が大きければトナーの変形量は大きくなる。
記録材上に未定着トナーを固着させる定着工程において、ニップ内ではニップ出口に近づく程トナー温度は上昇する。従って、トナーはニップ出口に近づくほど粘度が低下していく。特にトナー温度が流出開始温度以降になると急激に粘度低下が進行するため、ニップの後半側ではトナーが変形しやすい状態になっている。このとき、加圧力が高すぎると前記したようなトナー溶融が進みすぎて記録材表面が露出してしまう透けが発生してしまう。従って、流出開始温度以降の加圧力を必要以上にかけないことが重要になってくる。
一方、流出開始温度以降での加圧力を低くしすぎた場合、トナーの溶融が進みきらず、定着不良を起こす場合や、あるいは2次色重なり率が低下する現象が起こる。これは、流出開始温度以降においては、前述したように急激に粘度が低下する。そのために、加圧力をかけすぎると単色トナーの透けが発生する。しかし、トナーの変形量はそもそもP(t)/η(t)と表すことができ、そのためトナーが低粘度の時に加圧力をかけることによってトナー変形量が急激に増え、記録材に定着しやすくなるためである。また同時に、トナー変形量が小さくなりすぎて、結果2次色の重なり率が低下してしまう。
定着ニップ内でのトナーの溶融粘度変化に関しては、その一例として図23を用いて説明する。図23は定着ニップ部内の搬送方向の位置と、その位置におけるトナー温度、そのトナー温度におけるトナーの溶融粘度の関係を示している。なお、トナー温度は記録媒体上に熱電対((株)アンベ エスエムティ、極細薄熱電対KFST−10−100−200)を貼り付けて計測し、圧力分布はタクタイルセンサ(ニッタ(株)、シーラー)を用いて計測した。トナーの溶融粘度の測定は、前記したフローテスターCFT−500D(島津製作所製)を使用した。
図23から分かるように、定着ニップ部内においては、トナー温度は徐々に上昇し、定着ニップ出口にて最も高い温度になる。例えば、定着ニップ内において、トナー温度が105℃に到達した時点では、それに対応するトナー粘度、ここでは、1×105Pa・sとなり、ニップ出口においては、トナー温度は135℃に達し、この時点でトナー粘度は、1×103Pa・sになっている。このようにトナー粘度はニップ内において変化し、その粘度が高いか低いかによってトナー溶融の進行度合いが変化し、また定着装置によって加圧されたときの記録材に対する濡れ広がり性も変わってくる。
以上のことより、トナーの溶融状態に対して、適正な加圧を行うことによって、単色のトナーの広がり率を上げ、2次色トナーの重なり率を上げることができる。必要な機能としては、以下の1)〜3)の3点である。
1)トナーの軟化点温度において、単色トナーの広がりを促進するに十分な加圧力を印加する。
2)トナーの流出開始温度において、2次色トナーの重なり率を促進するに十分な加圧力を印加する。
3)流出開始温度以降は、単色トナーの透けが発生しやすい領域であるため、必要以上の加圧力を印加しない。ただし、2次色トナーの重なり率が低下しない程度の加圧力を印加する必要がある。
《P1、P2、P3の算出方法》
トナーが軟化点温度T1(℃)に達した時にかかる圧力をP1(kgf/cm2)とする。前記トナーが流出開始温度T2(℃)に達した時にかかる圧力をP2(kgf/cm2)とする。流出開始温度より高い温度t(℃)に達した時の、トナーの溶融粘度をη(t)(Pa・s)とする。その時にかかる圧力をP(t)(kgfcm2)とする。P(t)/η(t)が最大となる時のトナー温度をT3(℃)とする。トナー温度がT3(℃)に達した時にかかる圧力をP3(kgf/cm2)とする。このようにしたときの、P1、P2、P3の算出方法について説明する。
例えば、図7に示すような溶融粘度特性を持つトナーを用いて、図24の(a)に示すような圧分布を持った定着構成を用いて定着工程を行った時に、定着ニップ内のトナー温度が図24の(b)に示すように変化した場合において説明する。
まず、前記したフローテスターで求められる使用するトナーの軟化温度、流出開始温度、及び溶融粘度特性を得ておく。定着ニップ内の温度は、図24の(b)に示すように変化するので、この定着ニップ内における軟化温度T1到達位置を割り出す。この割り出した位置と、取得した圧分布データから、トナー温度がT1に到達した時に印加されている圧力P1を算出する。なお、定着ニップ内の圧分布や、定着ニップ内の温度上昇変化は、必要に応じて得られたデータの間の点を必要数補完しておくことが望ましい。
同様に、定着ニップ内における流出開始温度T2到達位置を割り出す。この割り出した位置と、取得した圧分布データから、トナー温度がT2に到達した時に印加されている圧力P2を算出する。
一方、上記のように、定着ニップ内の温度がt(℃)に到達した時に印加される圧力は、P(t)と算出される。また、図7の溶融粘度特性から、トナー温度がt(℃)の時のトナー粘度はη(t)となる。このとき、各温度に対するP(t)/η(t)は図25のように表すことができる。この時P(t)/η(t)が最大になる時の温度をT3とし、図24から、トナー温度がT3に到達した時に印加されている圧力P3を算出する。
《トナー軟化点温度における加圧力と単色トナー濃度の検証》
次に、トナーの軟化点温度においてかかる圧力と単色トナー濃度の関係についての検証を行った。まず、定着ニップ内での温度変化については、前記したトナー温度は記録媒体上に熱電対((株)アンベ エスエムティ、極細薄熱電対KFST−10−100−200)を貼り付けて計測した。また、定着ニップ内の圧力分布はタクタイルセンサ(ニッタ(株)、シーラー)を用いて計測した。トナーの溶融粘度の測定は、前記したフローテスターCFT−500D(島津製作所製)を使用した。
また、本実施例のおけるトナーは、図7に示すような溶融粘度特性をもつトナーを使用した。なお、前記フローテスターで測定した本トナーの軟化点温度Ts、及び流出開始温度Tfbはそれぞれ以下のようになった。
軟化点温度Ts;73.9℃
流出開始温度Tfb;91.0℃
また、本実施例におけるトナーは、比重ρが1.1(g/cm3)、重量平均粒径Lが6.0(μm)のものを使用した。記録材としては、坪量81[g/m3]であるCS814用紙(81g/m3;日本製紙製)を用いた。また、単色トナー載り量は、0.3(mg/cm2)とした。なお、前記載り量は、記録材を隠蔽するために必要な単色ベタトナー量よりも少ない量に設定した。
本実施例において用いたトナーは、比重ρが1.1(g/cm3)、重量平均粒径Lが6.0(μm)のものであるため、基準面に対するトナー載り量をA0=0.3と設定した場合、図15から分かるように、基準面に対するトナーの隠蔽率は、約68%である。本実施例で用いた記録材は、普通紙であるため、同一の隠蔽率になるトナー載り量は0.35(mg/cm2)となり、本実施例で用いた載り量は、記録材を隠蔽するために必要な載り量よりも少ない量ということになる。
また、本実施例における定着装置は、前記した定着装置構成を用い、定着スピードを300(mm/s)に設定した。定着ベルトの表面温度は170℃から200℃の範囲で、適正になるように温調温度を設定した。本実施例においては、図6で示すような定着パッドの突起物の個数と間隔を様々に変化させ、その時の単色トナー濃度を測定した。なお、突起物の突起高さ、突起幅は0.5mmに設定した。
本実施例で用いた定着装置による定着ニップにおける圧分布は、例えば図26乃至図32で示すようになる。
図26、図27は、圧力分布のピークが、定着ニップ前半に偏っており、この圧分布は、例えば突起物を定着ニップ前半側に配置することで作成することができる。詳しくは、図26中、実線で示す圧分布は、図6中のA点より上流側に1mm及び5mmの位置に突起物を設けて作成することができる。破線で示す圧分布はA点より上流側に1mm及び6mmの位置に突起物を設けて作成することができる。一点鎖線で示す圧分布は、A点より上流側に2mm及び6mmの位置に突起物を設けて作成することができる。
また、図27中、実線で示す圧分布は、図6中のA点より上流側に突起物を設けないで作成することができる。破線で示す圧分布は、A点より上流側に1mm及び4mmの位置に突起物を設けて作成することができる。一点鎖線で示す圧分布は、A点より上流側に6mm及び8mmの位置に突起物を設けて作成することができる。また、点線で示す圧分布は、A点より上流側に6mm及び9mmの位置に突起物を設けて作成することができる。二点鎖線で示す圧分布は、A点より上流側に7mm及び9mmの位置に突起物を設けて作成することができる。
図28は、圧力分布のピークが、定着ニップ後半に偏っており、この圧分布は、例えば突起物を定着ニップ後半側に配置することで作成することができる。詳しくは、実線で示す圧分布は、図6中のA点より上流側に5mm及び8mmの位置に突起物を設けて作成することができる。破線で示す圧分布は、A点より上流側に5mm及び9mmの位置に突起物を設けて作成することができる。一点鎖線で示す圧分布は、A点より上流側に4mm及び9mmの位置に突起物を設けて作成することができる。点線で示す圧分布は、図6中のA点より、上流側に1mm及び3mmの位置に突起物を設けて作成することができる。
図29は、圧力分布のピークが、定着ニップ前半、及び後半に偏り、さらに中間部では圧力の落ち込みが見られる。この圧分布は、例えば突起物を定着ニップ前半と後半に配置することで作成することができる。
詳しくは、図29中、実線で示す圧分布は、図6中のA点より上流側に4mm及び8mmの位置に突起物を設けて作成することができる。破線で示す圧分布は、A点より上流側に3mm及び7mmの位置に突起物を設けて作成することができる。一点鎖線で示す圧分布は、A点より上流側に2mm及び9mmの位置に突起物を設けて作成することができる。点線で示す圧分布は、A点より上流側に1mm及び8mmの位置に突起物を設けて作成することができる。二点差線で示す圧分布は、A点より上流側に1mm及び9mmの位置に突起物を設けて作成することができる。
図30は、圧力分布のピークが中央部に偏っており、この圧分布は、例えば突起物を定着ニップの中央部に主に配置することで作成することができる。詳しくは、図30中、実線で示す圧分布は、図6中のA点より上流側に1mm、3mm及び5mmの位置に突起物を設けて作成することができる。破線で示す圧分布は、A点より上流側に5mm、7mm及び9mmの位置に突起物を設けて作成することができる。点線で示す圧分布は、A点より上流側に2mm、4mm及び6mmの位置に突起物を設けて作成することができる。
図31、図32は、圧力分布の形状が中央部近辺でフラットになっており、この圧分布は、例えば突起物を定着ニップ前半、中央、後半に配置し、その間隔を適宜調整することによって作成することができる。
詳しくは、図31中、実線で示す圧分布は、図6中のA点より上流側に1mm、3mm、5mm及び7mmの位置に突起物を設けて作成することができる。破線で示す圧分布は、A点より上流側に4mm、6mm及び8mmの位置に突起物を設けて作成することができる。一点鎖線で示す圧分布は、A点より上流側に3mm、5mm及び7mmの位置に突起物を設けて作成することができる。点線で示す圧分布は、A点より上流側に1mm、4mm及び7mmの位置に突起物を設けて作成することができる。
また、図32中、実線で示す圧分布は、図6中のA点より上流側に1mm、5mm及び9mmの位置に突起物を設けて作成することができる。破線で示す圧分布は、A点より上流側に3mm、6mm及び9mmの位置に突起物を設けて作成することができる。
なお、上記の作成方法は本実施例で用いた定着部圧力分布の一部であり、これに限定されるものではない。さらに、図で示した圧分布は本実施例の検証の中での代表的なものであり、本数、配置を変更することで、さらに様々な圧分布によって検証を行った。
次に、前記した方法において、各圧力分布に対するP1、P2、P3を算出した。このとき、トナーの軟化点温度においてかかる圧力の影響として、P1の(P1+P2+P3)に対する割合として算出した値Q1と、画像濃度の関係は、表1のようになった。また、あわせてP2、P3の(P1+P2+P3)に対する割合として算出したQ2、Q3についても表記した。なお、表1において、画像の彩度については、適宜温調温度を設定することによって、画像上問題ないレベルにおいて比較してある。
ここで、実施例において、定着されたトナー画像の反射濃度はX−rite520(X−rite社製)で測定し、彩度はスペクトロリノ(グレタグマクベス社製)で測定した。
濃度×;実用上薄いレベル
濃度△;実用上問題ないレベル
濃度○;実用上良好なレベル
ここで、Q1と画像濃度の関係について注目すると、Q1が30%以下では、Q2、Q3の値に関わらず、実用上薄いレベルであるという結果が得られていることがわかる。これは、先述したように、トナーの軟化点温度において、単色トナーの広がりを促進するに十分な加圧力を印加することができていない。さらに、ニップ後半側での圧力の割合が増え、結果溶融過多状態になり、記録材上凸部のトナーが透けて、記録材表面が露出してしまう現象が発生しているためである。
Q1が30%よりも大きくても、画像濃度が実用上薄いレベルであるという結果になっている場合もある。これは、濃度がQ1のみの値で決まるのではなく、その他の条件も相互に作用しているためである。従って、少なくとも実用上問題ないレベルでの画像濃度を達成するためには、Q1の値が30%よりも大きいことが必要になってくる。
《トナー流出開始温度における加圧力と2次色トナー彩度の検証》
次に、トナーの流出開始温度においてかかる圧力と2次色トナーの彩度の関係についての検証を行った。なお、本検証で用いたトナー、定着装置構成、定着スピード等は、軟化点温度における加圧力と単色トナー濃度の検証時に用いたものと同様の条件で行った。
各条件での各圧力分布に対するP1、P2、P3を算出した。このときのトナーの流出開始温度においてかかる圧力の影響として、P2の(P1+P2+P3)に対する割合として算出したQ2の値と、画像彩度の関係は、表2のようになった。また、あわせてP1、P3の(P1+P2+P3)に対する割合として算出したQ1、Q3についても表記した。表2において、画像の濃度については、適宜温調温度を設定することによって、画像上問題ないレベルにおいて比較してある。
彩度×;実用上鮮やかさが足りないレベル
彩度△;実用上問題ないレベル
彩度○;実用上良好なレベル
ここで、Q2と画像彩度の関係について注目すると、Q2が30%以下では、Q1、Q3の値に関わらず、実用上鮮やかさが足りないと感じてしまう結果が得られていることがわかる。これは、先述したように、トナーの流出開始温度において、2次色トナーの重なり率を促進するに十分な加圧力を印加することができておらず、結果、色の重なりが十分ではなく鮮やかさが足りなくなってしまったためである。
Q2が30%よりも大きくても、画像彩度に実用上鮮やかさが足りないと感じてしまう結果になっている場合もある。これは、彩度がQ2のみの値で決まるのではなく、その他の条件も相互に作用しているためである。従って、少なくとも実用上問題ないレベルでの画像彩度を達成するためには、Q2の値が30%よりも大きいことが必要になってくる。
《トナー流出開始温度以降における加圧力と単色トナー濃度、2次色トナー彩度の検証》
次に、トナーの流出開始温度以降で、トナー変形量が最大となる時にかかる圧力と、単色トナーの濃度及び2次色トナーの彩度の関係についての検証を行った。なお、本検証で用いたトナー、定着装置構成、定着スピード等は、軟化点温度における加圧力と単色トナー濃度の検証時に用いたものと同様の条件で行った。
各条件での各圧力分布に対するP1、P2、P3を算出した。このときのトナーの流出開始温度以降において、トナーの変形量が最大となる時の圧力の影響として、P3の(P1+P2+P3)に対する割合として算出したQ3の値と、画像濃度の関係は、表3のようになった。
また、同様にQ3の値と、画像彩度の関係は、表4のようになった。また、あわせてP1、P2の(P1+P2+P3)に対する割合として算出したQ1、Q2についても表記した。
濃度×;実用上薄いレベル
濃度△;実用上問題ないレベル
濃度○;実用上良好なレベル
ここで、Q3と画像濃度の関係について注目すると、Q3が30%以上では、Q2、Q3の値に関わらず、実用上薄いレベルであるという結果が得られていることがわかる。これは、先述したように、流出開始温度以降においては、トナーの粘度は急激に低下するため、定着ニップの後半側で必要以上に高い圧力をかけると、トナーの溶融過多から記録材上凸部のトナーが透けて、記録材表面が露出してしまう現象が発生しているためである。
Q3が30%よりも小さくても、画像濃度が実用上薄いレベルであるという結果になっている場合もある。これは、濃度がQ3のみの値で決まるのではなく、その他の条件も相互に作用しているためである。従って、少なくとも実用上問題ないレベルでの画像濃度を達成するためには、Q3の値が30%よりも小さいことが必要になってくる。
彩度×;実用上鮮やかさが足りないレベル
彩度△;実用上問題ないレベル
彩度○;実用上良好なレベル
ここで、Q3と画像彩度の関係について注目すると、Q2が20%以下では、Q1、Q2の値に関わらず、実用上鮮やかさが足りないと感じてしまう結果が得られていることがわかる。これは、先述したように、流出開始温度以降においては、トナーは急激に粘度が低下するために、単色トナーが透けやすい領域である一方で、印加する圧力が低すぎると、トナーの変形量が小さすぎて、結果2次色の重なり率が低下してしまうためである。
Q3が20%よりも大きくても、画像彩度に実用上鮮やかさが足りないと感じてしまう結果になっている場合もある。これは、彩度がQ3のみの値で決まるのではなく、その他の条件も相互に作用しているためである。従って、少なくとも実用上問題ないレベルでの画像彩度を達成するためには、Q3の値が20%よりも大きいことが必要になってくる。
以上のことより、トナーの溶融状態に対して、適正な加圧を行うことによって、単色のトナーの広がり率を上げ、2次色トナーの重なり率を上げることができる。必要な機能としては、以下の3点である。
1)トナーの軟化点温度において、単色トナーの広がりを促進するに十分な加圧力を印加する。
2)トナーの流出開始温度において、2次色トナーの重なり率を促進するに十分な加圧力を印加する。
3)流出開始温度以降は、単色トナーの透けが発生しやすい領域であるため、必要以上の加圧力を印加しない。ただし、2次色トナーの重なり率が低下しない程度の加圧力を印加する必要がある。
即ち、トナーが軟化点温度T1(℃)に達した時にかかる圧力をP1(kgf/cm2)とする。前記トナーが流出開始温度T2(℃)に達した時にかかる圧力をP2(kgf/cm2)とする。流出開始温度より高い温度t(℃)に達した時の、トナーの溶融粘度をη(t)(Pa・s)とし、その時にかかる圧力をP(t)(kgfcm2)とする。P(t)/η(t)が最大となる時のトナー温度をT3(℃)、トナー温度がT3(℃)に達した時にかかる圧力をP3(kgf/cm2)とする。そして、下記の関係式1)、2)、3)を満たす。
関係式1):0.3<P1/(P1+P2+P3)
関係式2):0.3<P2/(P1+P2+P3)
関係式3):0.2<P3/(P1+P2+P3)<0.3
この関係式1)、2)、3)を満たすことによって、単色のトナーの広がり率と、2次色トナーの重なり率を同時に適正にすることが可能になる。そして、トナーが記録材上に単層で形成された場合と、多層で形成された場合とのどちらに対しても、良好な定着状態を得ることができ、省エネルギー化と高品質画像を同時に満たすことが可能である。
[実施例2]
本実施例2においては、図33に示すような溶融粘度特性を有するトナーを用いて、実施例1と同様に加圧力と単色トナー濃度及び2次色トナー彩度の関係について検証を行った。前記フローテスターで測定した本トナーの軟化点温度Ts、及び流出開始温度Tfbはそれぞれ以下のようになった。
軟化点温度Ts;65.0℃
流出開始温度Tfb;82.3℃
また、本実施例におけるトナーは、比重ρが1.1(g/cm3)、重量平均粒径Lが6.0(μm)のものを使用した。記録材としては、坪量81[g/m2]であるCS814用紙(81g/m2;日本製紙製)を用いた。また、単色トナー載り量は、0.3(mg/cm2)とした。前記載り量は、記録材を隠蔽するために必要な単色ベタトナー量よりも少ない量に設定した。
また、本実施例における定着装置は、前記した定着装置構成を用い、定着スピードを300(mm/s)に設定した。定着ベルトの表面温度は150℃から170℃の範囲で、適正になるように温調温度を設定した。本実施例においては、図6で示すような定着パッドの突起物の個数と間隔を様々に変化させ、その時の単色トナー濃度を測定した。突起物の突起高さ、突起幅は0.5mmに設定した。
本実施例においては、実施例1と比較して定着ベルトの表面温度が低く設定してある。これは、本実施例で用いるトナーが、実施例1と比較して低温側で定着するトナーであるためである。上記設定温度以上での定着も可能であるが、この場合、ホットオフセット等の画像不良が発生しやすい状態になってしまうため、画像比較には不適切である。
《トナー軟化点温度における加圧力と単色トナー濃度の検証》
まず、トナーの軟化点温度においてかかる圧力と単色トナー濃度の関係についての検証を行った。実施例1にて説明した方法において、各圧力分布に対するP1、P2、P3を算出した。このとき、トナーの軟化点温度においてかかる圧力の影響として、P1の(P1+P2+P3)に対する割合として算出した値Q1と、画像濃度の関係は、表5のようになった。また、あわせてP2、P3の(P1+P2+P3)に対する割合として算出したQ2、Q3についても表記した。表5において、画像の彩度については、適宜温調温度を設定することによって、画像上問題ないレベルにおいて比較してある。
濃度×;実用上薄いレベル
濃度△;実用上問題ないレベル
濃度○;実用上良好なレベル
ここで、Q1と画像濃度の関係について注目すると、Q1が30%以下では、Q2、Q3の値に関わらず、実用上薄いレベルであるという結果が得られていることがわかる。これは、先述したように、トナーの軟化点温度において、単色トナーの広がりを促進するに十分な加圧力を印加することができていない。さらに、ニップ後半側での圧力の割合が増え、結果溶融過多状態になり、記録材上凸部のトナーが透けて、記録材表面が露出してしまう現象が発生しているためである。
Q1が30%よりも大きくても、画像濃度が実用上薄いレベルであるという結果になっている場合もある。これは、濃度がQ1のみの値で決まるのではなく、その他の条件も相互に作用しているためである。従って、少なくとも実用上問題ないレベルでの画像濃度を達成するためには、Q1の値が30%よりも大きいことが必要になってくる。
《トナー流出開始温度における加圧力と2次色トナー彩度の検証》
次に、トナーの流出開始温度においてかかる圧力と2次色トナーの彩度の関係についての検証を行った。本検証で用いたトナー、定着装置構成、定着スピード等は、軟化点温度における加圧力と単色トナー濃度の検証時に用いたものと同様の条件で行った。
各条件での各圧力分布に対するP1、P2、P3を算出した。このときのトナーの流出開始温度においてかかる圧力の影響として、P2の(P1+P2+P3)に対する割合として算出したQ2の値と、画像彩度の関係は、表6のようになった。また、あわせてP1、P3の(P1+P2+P3)に対する割合として算出したQ1、Q3についても表記した。表6において、画像の濃度については、適宜温調温度を設定することによって、画像上問題ないレベルにおいて比較してある。
彩度×;実用上鮮やかさが足りないレベル
彩度△;実用上問題ないレベル
彩度○;実用上良好なレベル
ここで、Q2と画像彩度の関係について注目すると、Q2が30%以下では、Q1、Q3の値に関わらず、実用上鮮やかさが足りないと感じてしまう結果が得られていることがわかる。これは、先述したように、トナーの流出開始温度において、2次色トナーの重なり率を促進するに十分な加圧力を印加することができておらず、結果、色の重なりが十分ではなく鮮やかさが足りなくなってしまったためである。
Q2が30%よりも大きくても、画像彩度に実用上鮮やかさが足りないと感じてしまう結果になっている場合もある。これは、彩度がQ2のみの値で決まるのではなく、その他の条件も相互に作用しているためである。従って、少なくとも実用上問題ないレベルでの画像彩度を達成するためには、Q2の値が30%よりも大きいことが必要になってくる。
《トナー流出開始温度以降における加圧力と単色トナー濃度、2次色トナー彩度の検証》
次に、トナーの流出開始温度以降で、トナー変形量が最大となる時にかかる圧力と、単色トナーの濃度及び2次色トナーの彩度の関係についての検証を行った。本検証で用いたトナー、定着装置構成、定着スピード等は、軟化点温度における加圧力と単色トナー濃度の検証時に用いたものと同様の条件で行った。
各条件での各圧力分布に対するP1、P2、P3を算出した。このときのトナーの流出開始温度以降において、トナーの変形量が最大となる時の圧力の影響として、P3の(P1+P2+P3)に対する割合として算出したQ3の値と、画像濃度の関係は、表7のようになった。また、同様にQ3の値と、画像彩度の関係は、表8のようになった。また、あわせてP1、P2の(P1+P2+P3)に対する割合として算出したQ1、Q2についても表記した。
濃度×;実用上薄いレベル
濃度△;実用上問題ないレベル
濃度○;実用上良好なレベル
ここで、Q3と画像濃度の関係について注目すると、Q3が30%以上では、Q2、Q3の値に関わらず、実用上薄いレベルであるという結果が得られていることがわかる。これは、先述したように、流出開始温度以降においては、トナーの粘度は急激に低下する。そのため、定着ニップの後半側で必要以上に高い圧力をかけると、トナーの溶融過多から記録材上凸部のトナーが透けて、記録材表面が露出してしまう現象が発生しているためである。
Q3が30%よりも小さくても、画像濃度が実用上薄いレベルであるという結果になっている場合もある。これは、濃度がQ3のみの値で決まるのではなく、その他の条件も相互に作用しているためである。従って、少なくとも実用上問題ないレベルでの画像濃度を達成するためには、Q3の値が30%よりも小さいことが必要になってくる。
彩度×;実用上鮮やかさが足りないレベル
彩度△;実用上問題ないレベル
彩度○;実用上良好なレベル
ここで、Q3と画像彩度の関係について注目すると、Q2が20%以下では、Q1、Q2の値に関わらず、実用上鮮やかさが足りないと感じてしまう結果が得られていることがわかる。これは、先述したように、流出開始温度以降においては、トナーは急激に粘度が低下するために、単色トナーが透けやすい領域である一方で、印加する圧力が低すぎると、トナーの変形量が小さすぎて、結果2次色の重なり率が低下してしまうためである。
Q3が20%よりも大きくても、画像彩度に実用上鮮やかさが足りないと感じてしまう結果になっている場合もある。これは、彩度がQ3のみの値で決まるのではなく、その他の条件も相互に作用しているためである。従って、少なくとも実用上問題ないレベルでの画像彩度を達成するためには、Q3の値が20%よりも大きいことが必要になってくる。
以上のことより、トナーが軟化点温度T1(℃)に達した時にかかる圧力をP1(kgf/cm2)とする。前記トナーが流出開始温度T2(℃)に達した時にかかる圧力をP2(kgf/cm2)とする。流出開始温度より高い温度t(℃)に達した時の、トナーの溶融粘度をη(t)(Pa・s)とする。その溶融粘度の時にかかる圧力をP(t)(kgfcm2)としたとき、P(t)/η(t)が最大となる時のトナー温度をT3(℃)、トナー温度がT3(℃)に達した時にかかる圧力をP3(kgf/cm2)とする。そして、下記の関係式1)、2)、3)を満たす。
関係式1):0.3<P1/(P1+P2+P3)
関係式2):0.3<P2/(P1+P2+P3)
関係式3):0.2<P3/(P1+P2+P3)<0.3
この関係式1)、2)、3)を満たすことによって、単色のトナーの広がり率と、2次色トナーの重なり率を同時に適正にすることが可能になる。そして、トナーが記録材上に単層で形成された場合と、多層で形成された場合とのどちらに対しても、良好な定着状態を得ることができ、省エネルギー化と高品質画像を同時に満たすことが可能である。
また、この関係式は用いるトナーによらないことを検証した。これは、用いるトナーによって、必要となる定着部の温度は異なり、適正な範囲での定着状態を得るためには、上記関係式を満たす範囲で温度を設定しなければならないためである。
[実施例3]
本実施例3においては、定着ニップ内での圧力分布において、圧力の落ち込む度合いと画像性について説明する。
《加圧力の落ち込みの影響》
定着ニップ部内においては、トナー温度は徐々に上昇し、定着ニップ出口にて最も高い温度になる。このトナー温度に対し、各部位で適正な圧力を印加することによって、良好な定着画像を得ることができる。
ところが、定着ニップ部内で圧力の大きく落ち込む部位があると、トナーの適正な溶融を阻害してしまい、画像性を乱してしまう。実施例1における《トナー特性とトナー溶融状態についての検証》の項においても説明したが、例えば図19や図22に示したグラフのように、加圧力が高い場合と低い場合を比較した場合、加圧力の高い方が単色トナーの広がり量や2次色重なり率大きい。
これは、トナーの変形量は加圧力をP、トナー粘度をηとした時に、P/ηと表されるためである。ところが、定着ニップ部内において加圧力が大きく落ち込む部位が存在した場合、この落ち込んだ部分では、加圧力が高い場所から低い場所に一旦移行した後に、再度加圧力を印加するということになる。特に、トナーの粘度がそれほど低くない流出開始温度以前においては、トナーの溶融促進は加圧力に依存する割合が大きく、この部位で大きく加圧力が落ち込むと、トナーの適正な溶融を大きく阻害してしまうことになる。
本実施例3においては、この圧力の落ち込み度合いをP4とし、画像性との関係について、検証を行った。
《加圧力の落ち込み度合いP4の算出》
トナーが軟化点温度T1(℃)に達した時にかかる圧力をP1(kgf/cm2)とする。前記トナーが流出開始温度T2(℃)に達した時にかかる圧力をP2(kgf/cm2)とする。流出開始温度より高い温度t(℃)に達した時の、トナーの溶融粘度をη(t)(Pa・s)、その時にかかる圧力をP(t)(kgfcm2)としたとき、P(t)/η(t)が最大となる時のトナー温度をT3(℃)とする。トナー温度がT3(℃)に達した時にかかる圧力をP3(kgf/cm2)とする。P1とP2の間における加圧力の最小値をP4(kgf/cm2)とする。
例えば、図7に示すような溶融粘度特性を持つトナーを用いて、図34の(a)に示すような圧分布を持った定着構成を用いて定着工程を行った時に、定着ニップ内のトナー温度が(b)に示すように変化した場合において説明する。なお、P1、P2、P3の算出方法については、実施例1で説明したものと同様である。
図34のように、使用するトナーの軟化点温度、流出開始温度に対応した位置における加圧力P1及びP2を算出する。このとき、P1とP2の間の加圧力において、最小となる圧力を算出し、P4とする。
《加圧力の落ち込み度合いと画像性の検証》
本実施例3においては、図7、及び図33に示すようなトナーを用いて、加圧力の落ち込み度合いと画像性の検証を行った。それぞれのトナーは、実施例1及び実施例2で用いたものと同様で、トナーの軟化点温度、流出開始温度、比重、重量平均粒径は同様である。ここでいう画像性とは、単色トナー濃度及び2次色トナー彩度の両方の観点からの性能である。
また、本実施例における記録材としては、坪量81[g/m2]であるCS814用紙(81g/m2;日本製紙製)を用いた。また、単色トナー載り量は、0.3(mg/cm2)とした。前記載り量は、記録材を隠蔽するために必要な単色ベタトナー量よりも少ない量に設定した。
また、本実施例における定着装置は、前記した定着装置構成を用い、定着スピードを300(mm/s)に設定した。定着ベルトの表面温度は150℃から190℃の範囲で、適正になるように温調温度を設定した。本実施例においては、図6で示すような定着パッドの突起物の個数と間隔を様々に変化させ、その時の単色トナー濃度を測定した。なお、突起物の突起高さ、突起幅は0.5mmに設定した。
各条件での各圧力分布に対するP1、P2、P3、及びP4を算出した。このときのP1とP2の間における加圧力の最小値としてP4の(P1+P2+P3)に対する割合として算出したQ4の値と、画像性の関係は、表9のようになった。また、あわせてP1、P2、P3の(P1+P2+P3)に対する割合として算出したQ1、Q2、Q3についても表記した。
画像性×;実用上濃度あるいは彩度が問題になるレベル
画像性△;実用上濃度及び彩度が問題ないレベルだが、良好ではないレベル
画像性○;実用上濃度及び彩度が良好なレベル
ここで、Q4と画像性の関係について注目する。Q4が30%以下では、Q1、Q2、Q3の値に関わらず、実用上濃度あるいは彩度が問題になるレベルか、または実用上濃度及び彩度が問題ないレベルだが、良好ではないレベルと感じてしまう結果が得られていることが分かる。これは、先述したように、定着ニップ内で加圧力の落ち込みが発生すると、トナーの適正な溶融を阻害してしまうためである。
一方、Q1、Q2が30%よりも大きく、Q3が20%から30%の範囲であり、さらにQ4が30%より大きい場合は、どの場合も実用上濃度および彩度が良好なレベルになる結果が得られている。
以上のことより、トナーが軟化点温度T1(℃)に達した時にかかる圧力をP1(kgf/cm2)とする。前記トナーが流出開始温度T2(℃)に達した時にかかる圧力をP2(kgf/cm2)とする。流出開始温度より高い温度t(℃)に達した時の、トナーの溶融粘度をη(t)(Pa・s)とする。
その溶融粘度の時にかかる圧力をP(t)(kgfcm2)としたとき、P(t)/η(t)が最大となる時のトナー温度をT3(℃)とする。トナー温度がT3(℃)に達した時にかかる圧力をP3(kgf/cm2)とする。P1(kgf/cm2)とP2(kgf/cm2)の間における加圧力の最小値をP4(kgf/cm2)とする。
関係式1):0.3<P1/(P1+P2+P3)
関係式2):0.3<P2/(P1+P2+P3)
関係式3):0.2<P3/(P1+P2+P3)<0.3
関係式4):0.3<P4/(P1+P2+P3)
の関係式1)、2)、3)、4)を満たすことによって、単色のトナーの広がり率と、2次色トナーの重なり率を同時により適正にすることが可能になる。そして、トナーが記録材上に単層で形成された場合と、多層で形成された場合とのどちらに対しても、非常に良好な定着状態を得ることができ、省エネルギー化と高品質画像を同時に満たすことが可能である。
[その他]
(1)上記の実施例では、突起部を複数設けたが、この突起部を設ける以外の方法でニップ部内領域の圧分布を形成する構成であっても、本発明の圧分布を形成することにより、本発明と同様の効果を得ることができる。
(2)ベルト34の加熱は実施例の電磁誘導加熱方式に限られるものではない。ベルト34の内面側または外面側にヒータを接触させて設けてベルトの加熱を行う構成であってもよい。赤外線ランプを用いてベルトを非接触で加熱する構成であってもよい。
(3)ベルト34は複数の懸架部材に懸回張設して駆動用の懸架部材により回転駆動する装置構成にすることもできる。
(4)対向部材32はローラ体に限られない。内側にバックアップ部材を配設した可撓性を有する回転可能な無端状のベルト体にした装置構成にすることもできる。また、対向部材32は非回転(固定)のパッド部材とすることもできる。
(5)画像形成装置は実施例の転写式電子写真プロセスを用いた装置に限られない。転写方式あるいは直接方式の静電記録プロセスや磁気記録プロセス等の他の画像形成プロセスを用いた、モノカラーの装置或いは多色の装置であってもよい。