JP2013044838A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低トナー載り量システムにおいて、高濃度部のグロスを向上させられる構造を実現する。
【解決手段】最大のトナー載り量のトナー像が転写された記録材の定着ニップ部Nの出口での、トナーの溶融粘度が次を満たすように、定着ベルト50の表面温度及び加圧ローラ53の表面温度などの定着条件を設定する。即ち、定着ベルト50に接触するトナーの溶融粘度が1500(Pa・s)以下、記録材に接触するトナーの溶融粘度が3000(Pa・s)以上となるように、定着装置500の定着条件を設定する。これにより、トナーの表面を適切に溶かし、且つ、トナーの記録材側が溶けすぎないようにでき、高濃度部のグロスを向上させることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、電子写真プロセス等を利用して記録材にトナー像を形成し、トナー像を記録材に定着させる定着装置を有する複写機、ファクシミリ、プリンタ、これらの複合機等の画像形成装置に関する。特に、トナー消費量が少ない低トナー載り量システムを有する画像形成装置に関する。
電子写真法など静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は、その技術の発展と市場要求の拡大に伴い、複写機・プリンタなど現在様々な分野で利用されている。特に近年においては、環境対応、低コスト化への要求が高まり、トナー消費量低減化技術が非常に重要となってきた。このトナー消費量を少なくする技術は、トナーを記録材に定着させる過程で発生するエネルギーを減少させるという観点からも重要である。特にオフィス系の電子写真方式を用いた画像形成装置においては、省エネルギー化という要求からも重要な役割を持つようになってきた。
一方で、デジタル化・カラー化の進展によって、電子写真方式の画像形成装置は、印刷領域の一部へ適用され始めている。そして、オンデマンドプリンテイングを初めとする写真やポスターなどのグラフィックアーツ、ショートラン印刷領域における実用化が顕著となり始めている。このPOD(Print On Demand)市場への参入を鑑みた場合、電子写真方式は無版印刷としてのオンデマンド性の特徴はある。但し、色再現領域、質感、画質安定性、メディア対応性等、出力成果物としての市場価値を訴求するには数多くの問題がある。
このような問題に対応しつつも、さらには同時に前述したような低コスト化への意識が高まり、出力物1枚あたりの価格を低く抑えるという観点からも、トナー消費量低減化技術が重要になってきている。
ここで、トナー消費量低減化技術である低トナー載り量システムに関して、例えば、以下のような提案がなされている(特許文献1参照)。即ち、感光体の帯電電位の絶対値を350〜550Vなる低めの条件に設定し、転写後の記録材上でのトナー量が定着後に必要な画像濃度が確保できるように0.3〜0.7mg/cmなる高着色力を有するトナーを用いる構造が提案されている。
また、定着ローラの耐久や記録材の素材の違いにより発生する画像のグロスを適宜コントロールするために、次のような構造が提案されている(特許文献2参照)。即ち、フルカラーセンサによって読み取った基準画像の濃度に基づいて、加熱部材の加熱温度を可変設定する。そして、このように設定された加熱部材の加熱温度により記録材を定着し、目標とするグロスを得る構成が提案されている。
特開2004−295144号公報 特開平9−305058号公報
しかしながら、トナー消費量が少ない低トナー載り量システムでは、繊維の凹凸がある記録材の高濃度部(ベタ部)の高グロス化が難しい。以下にトナー載り量が多い場合とトナー載り量が少ない場合で比較し、理由を説明する。もちろんトナー載り量が多い場合は、トナー載り量が少ない場合よりトナー高さは高くなっている。
ここで、前提としてトナーが記録材に定着するためには、トナーと記録材との界面温度が或る温度以上になっていることが必要である。また、トナー表面温度とは、記録材上のトナーが定着(加熱)ローラなどの加熱部材に接触する側の温度である。
まず、トナー載り量が多い場合と少ない場合とで定着性を同じとしたとき(即ち、トナーと記録材との界面温度を同じとした場合)、トナー載り量が少ない場合のトナー表面温度は、トナー載り量が多い場合のトナー表面温度より下がっている。これは、トナー載り量が少ない場合は、加熱部材の温度をトナー載り量が多い場合より下げるためである。このため、トナー載り量が少ない場合は、トナー載り量が多い場合に比べ、表面にあるトナーが溶けづらく、グロスが低くなってしまう。
これに対して、トナー載り量が少ない場合でもグロスを上げるべく、加熱部材の温度を上げると、表面上のトナーは溶けるようになるが、トナーと記録材との界面温度も上がり、界面にあるトナーも溶けすぎてしまう。この結果、記録材の繊維の奥にトナーが染み込み、トナーの表面性が低下する。即ち、トナー全体が記録材の繊維の凹凸に倣ってしまい、トナーの表面がこの繊維の凹凸の影響を大きく受けてしまう。このため、単純に加熱部材の温度を上げるだけでは、低トナー載り量システムでの高濃度部のグロスを上げることはできない。
本発明は、このような事情に鑑み、低トナー載り量システムにおいて、高濃度部のグロスを向上させられる構造を実現すべく発明したものである。
本発明は、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、前記像担持体上のトナー像を記録材に転写する転写手段と、加熱部材と前記加熱部材に当接して定着ニップ部を形成する加圧部材とを有し、設定された定着条件で、トナー像が転写された記録材が前記定着ニップ部を通過することにより、トナー像を記録材に定着させる定着装置と、を備えた画像形成装置において、トナーの体積平均粒径をL(μm)、トナーの密度をρ(g/cm)、前記トナー像形成手段により形成する単色のトナー像の記録材上での単位面積あたりの最大のトナー載り量をB(mg/cm)とした場合に、0<B<ρπL/(30√3)の関係を満たし、前記トナー像形成手段により形成する最大のトナー載り量のトナー像が転写された記録材の前記定着ニップ部の出口での、前記加熱部材に接触するトナーの溶融粘度が1500(Pa・s)以下、記録材に接触するトナーの溶融粘度が3000(Pa・s)以上となるように、前記定着装置の定着条件を設定している、ことを特徴とする画像形成装置にある。
本発明によれば、低トナー載り量システムで、トナーの表面を適切に溶かし、且つ、トナーの記録材側が溶けすぎないようにでき、高濃度部のグロスを向上させることができる。
本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成断面図。 トナーの理想配列状態を示す図。 第1の実施形態の定着装置の概略構成断面図。 上層トナーと下層トナーの温度計測方法を説明するためにそれぞれ模式的に示す、(a)は平面図、(b)は側面図。 図4に示した方法で定着ニップ部の温度を計測した結果を示す図。 土台効果を説明するために、(a)はトナーの未定着状態を、(b)は定着後に土台効果がある場合を、(c)は定着後に土台効果がない場合を、それぞれ示す模式図。 トナー層及び記録材の温度分布を計算するためのシミュレーションモデルを示す図。 トナー載り量が多い場合の各部の温度分布の計算結果を示す図。 トナー載り量が少ない場合の各部の温度分布の計算結果を示す図。 加圧ローラの表面温度を変更した場合の各部の温度分布の計算結果を示す図。 定着ベルトの表面温度を変更した場合の各部の温度分布の計算結果を示す図。 記録材の種類を変更した場合の各部の温度分布の計算結果を示す図。 温度に対するトナーの溶融粘度の計測結果を示す図。 上層トナーと下層トナーの溶融粘度の範囲を説明するための模式図。 第1の実施形態の定着装置の制御ブロック図。 第1の実施形態の制御の流れの1例を示すフローチャート。 本発明の第2の実施形態に係る定着装置の概略構成断面図。 通紙枚数に対する、定着ベルト、加圧ローラの表面温度推移を示す図。 第2の実施形態の定着装置の制御ブロック図。 第2の実施形態の制御の流れの1例を示すフローチャート。 本発明の第3の実施形態に係る定着装置の制御ブロック図。 プロセススピード(P.S)を変更した場合の上層トナーと下層トナーの温度を計測した結果を示す図。 第3の実施形態の制御の流れの1例を示すフローチャート。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。但し、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。従って、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について、図1ないし図16を用いて説明する。まず、図1を用いて画像形成装置の概略構成について説明する。
[画像形成装置]
画像形成装置は、電子写真方式のフルカラーの画像形成装置であり、各色の画像形成ステーション(画像形成部)Pa、Pb、Pc、Pdを中間転写ベルト30の回転方向に並べたタンデム型である。各画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdは、それぞれ像担持体である感光ドラム(感光体)3a、3b、3c、3dを有する。感光ドラム3a,3b,3c,3dの外周に、帯電器2a、2b、2c、2d、現像器1a,1b,1c,1d、1次転写装置24a,24b,24c,24d、クリーナー4a,4b,4c,4dを配置している。
また、装置の上方部には、光源装置、ポリゴンミラーを有する露光装置6a、6b、6c、6dが設置されている。そして、帯電器2a、2b、2c、2dにより帯電された感光ドラム3a、3b、3c、3dの表面にレーザ光を照射して静電潜像を形成できるようにしている。即ち、光源装置から発せられたレーザー光を、ポリゴンミラーを回転して走査し、その走査光の光束を反射ミラーによって偏向する。偏向した光束をfθレンズにより帯電された感光ドラム3a、3b、3c、3dの母線上に集光して露光することにより、感光ドラム3a、3b、3c、3d上に画像信号に応じた静電潜像が形成される。なお、図1では、このような露光装置を簡略化して記載している。
現像器1a,1b,1c,1dには、現像剤としてそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーが磁性キャリアと混ざった状態で充填され、トナーとキャリアが現像器内を循環するようにしている。現像器1a,1b,1c,1dは、それぞれ感光ドラム3a,3b,3c,3d上の静電潜像を現像して、イエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像として可視化する。画像形成により消費された現像器内のトナーを補うため、トナー供給装置5a、5b、5c、5dにより新しいトナーが供給される。
像担持体である中間転写ベルト(中間転写体)30は、駆動ローラ13により回転駆動される。上述のように感光ドラム3a、3b、3c、3d上に形成されたトナー像は、1次転写装置24a、23b、23c、24dに電界または電荷が付与されることにより、中間転写ベルト30上に順次1次転写される。そして、複数色(本実施形態では4色)のトナー像が、中間転写ベルト30上に重ねられる。即ち、中間転写ベルト30上(像担持体上)に複数色のトナー像が重ねて形成される。本実施形態では、感光ドラム3a、3b、3c、3d、帯電器2a、2b、2c、2d、露光装置6a、6b、6c、6d、現像器1a、1b、1c、1d、1次転写装置24a、24b、24c、24dがトナー像形成手段を構成する。
4色のトナー像が転写された中間転写ベルト30は、2次転写部T2に搬送される。2次転写部T2には、2次転写外ローラ11と2次転写内ローラ14から構成される2次転写装置15が配置されている。2次転写外ローラ11と2次転写内ローラ14とは、中間転写ベルト30を挟持するように配置される。そして、両ローラ間に電界または電荷が付与されることにより、中間転写ベルト30上のトナー像が、次述するように2次転写部に搬送される記録材Pに転写される。本実施形態では、2次転写装置15が、像担持体上(中間転写ベルト30上)のトナー像を記録材に転写する転写手段に相当する。
一方、記録材Pは記録材カセット10a、10bに収容され、そこから複数の搬送ローラ及びレジストローラ12を経て、2次転写部T2に搬送される。そして、上述のように、2次転写部T2において4色のトナー画像が形成されている中間転写ベルト30から記録材上にトナー像が2次転写される。その後、トナー像が転写された記録材は後述する定着装置500に搬送され、トナー像が記録材に定着される。
[低トナー載り量システム]
このような本実施形態の画像形成装置の場合、記録材上のトナー量が少ない低トナー載り量システムを有する。本実施形態では、記録材上の単色トナーによるベタ画像(単色ベタ画像)のトナー載り量が所定の量よりも少なくなるように画像形成を行うシステムを、低トナー載り量システムとしている。
ここで、単色トナーとは、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーのいずれか一つのトナーのことを指す。また、ベタ画像とは、最大濃度信号のドット潜像を形成した状態で形成した画像である。つまり、単色トナーによるベタ画像のトナー載り量とは、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーのそれぞれで最大濃度が出るときのトナー載り量のことである。そして、各色の最大濃度が出るときのトナー像で、単色でのトナー載り量が最大となる。
上述のように、このときのトナー載り量が所定の量よりも少ない場合を低トナー載り量システムとしているため、この低トナー載り量システムで形成されるトナー像のトナー載り量は、通常のトナー載り量システムのトナー載り量よりも少なくなる。このため、本実施形態では、記録材上の単色ベタ画像のトナー載り量が少なくても画像の濃度が低下することを抑えるため、トナー中の顔料量を増やしたトナーを使用している。
次に、トナーを理想配列状態とした時の記録材上の単色ベタ画像のトナー載り量について説明する。図2に示す様に、六方最密充填構造でトナーが配列された場合を理想配列状態とする。ここで、トナーの体積平均粒径(トナー直径)をL(μm)とすると、トナーの体積はV(μm)、平面的なトナーの投影面積はS1(μm2)、トナー1つが含まれる単位面積S2(μm2)は、それぞれ以下のようになる。なお、トナー1つが含まれる単位面積S2は、図2に示す六方最密構造でトナー1個を含む最小面積とした。
Figure 2013044838
Figure 2013044838
Figure 2013044838
これらの式から、トナーが最密に並んだ時の単層(1色)のトナーの載り量H(μm)(単位面積あたりのトナーの体積(V/S2)=平均高さ)が以下のように算出される。
Figure 2013044838
上記では、トナーの配列状態を考えるために、記録材上の単色ベタトナー載り量については、「単位面積あたりのトナーの体積(μm)」(=平均高さ)で説明した。但し、通常、トナーの載り量を計測管理する際には、「単位面積あたりの重さ[mg/cm]」を用いている。これに準じて、先に説明した理想配列状態(真球形トナーの最密状態)を表す式は、以下のように、単色トナー像の記録材上での最大のトナー載り量(単色ベタ画像の記録材上でのトナー載り量)A(mg/cm)として変換される。なお、式中の「1/10」は単位を合わせるためのものである。また、トナーの密度をρ(g/cm3)とする。
Figure 2013044838
上記の式の単色ベタ画像の記録材上でのトナー載り量Aの測定は、次のように行う。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックトナー像を、100mm×10mmの帯び状に、かつ最大濃度が出るベタ画像で、記録材上にそれぞれ形成する。記録材上のトナー像を定着する前に画像形成装置を停止し、未定着状態で記録材上のトナー像を取得する。
次にトナーは通過しないが空気は通過する円筒濾紙(例えば東洋濾紙製No.86R等)を1cm程度の開口の吸い口を有する容器に固定する。そして、反対側の開口から掃除機等で吸引しながら、円筒濾紙を記録材上の100mm×10mmの帯び状の未定着トナー像に近づけ、この未定着トナー像を吸い取る。次に、吸い取った円筒濾紙上の未定着トナー像の重さを、精密天秤で計測する。そうすることにより記録材上の未定着トナー像の重さを計測できる。トナー像の作像面積は100mm×10mmなので、トナー像の重さを作像面積で割ることにより、上記のAを測定できる。
本実施形態の場合、トナー像形成手段により形成する単色トナー像の記録材上での最大のトナー載り量Bが、上記の数式のA(=ρπL/(30√3))より少なくなるようにしている。即ち、B<Aとなるように画像形成を行う低トナー載り量システムである。したがって、本実施形態の単色ベタ画像の記録材上のトナー載り量Bは、以下の式となる。
Figure 2013044838
具体的には、体積平均粒径Lが5.5(μm)、密度ρが1.1(g/cm)のトナーを使っており、単色ベタ画像の記録材上のトナー載り量Bは0.3(mg/cm)に設定している。このように記録材上の単色ベタ画像のトナー載り量Bを少なくしている理由は、上記で説明したように省エネ対応、低コスト化のために、トナー消費量を低減しているからである。
[トナー体積平均粒径の測定方法]
上述のトナー体積平均粒径の測定方法について説明する。トナーの体積平均粒径の測定では、コールターカウンターのマルチサイザーII(コールター社製)を用いた。電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて、約1%NaCl水溶液を調製した。電解液には、例えば、ISTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が好適に使用できる。
測定方法としては、電解液100ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1ml加え、更に測定試料を5mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、粒径2.00乃至40.30μmのトナーの体積及び個数を下記チャンネルごとに測定した。得られたトナーの体積分布から、トナー体積平均粒径を算出した。チャンネルとしては、2.00〜2.52μm;2.52〜3.17μm;3.17〜4.00μm;4.00〜5.04μm;5.04〜6.35μm;6.35〜8.00μm;8.00〜10.08μm;10.08〜12.70μm。また、12.70〜16.00μm;16.00〜20.20μm;20.20〜25.40μm;25.40〜32.00μm;32.00〜40.30μmの13チャンネルを用いた。
[密度の測定方法]
上述のトナーの密度の測定方法について説明する。本実施形態では、正確かつ簡便な方法としてヘリウムによるガス置換式の測定法を採用した。測定器はアキュピック1330(島津製作所社製)を用いた。測定法は、ステンレス製の内径18.5mm,長さ39.5mm,容量10cmのセルに、分級前のトナー粒子を4g入れる。次いで、試料セル中の磁性トナーの容積をヘリウムの圧力変化によって測定し、求められた容積とサンプルの重さから分級前のトナー粒子の密度が求められる。
[定着装置]
次に、定着装置500について説明する。本実施形態では、定着装置としてフィルム状の定着ベルトを用いた構造を使用している。図3に示すように、定着装置500は、加熱部材である定着ベルト50、IHコイル51、加圧パッド52、加圧部材である加圧ローラ53、サイドコア54、センターコア55、加圧パッド支持部材56を有する。なお、本実施形態では、IHコイルを熱源とするフィルム加熱定着方式を用いているが、熱源がハロゲンヒータであるフィルム加熱定着方式でも構わない。
定着ベルト50は、第一の回転体であり、内面側から外面側に順に、基層、弾性層、離型層の3層複合構造である。定着ベルト50の直径は、例えば30(mm)である。基層は、IHコイル51によって発生した交番磁場により内部に渦電流を発生する金属発熱層であり、例えば鉄により構成される。鉄以外にステンレス、ニッケルなどの材質でもよい。その厚みは、10μm以上100μm以下が好ましく、本実施形態では、例えば50μmとしている。10μm以下であると定着ベルトとしての耐久性に劣り、ほとんどの電磁エネルギーが吸収しきれないため効率が良くない。100μm以上であるとフィルムの剛性が高くなり、また屈曲性が良くなく回転体として使用するには現実的でない。
弾性層は、シリコーンゴムであり、耐熱性がよく、熱伝導がよく低硬度な材質である。それ以外にフッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等でもよい。弾性層の厚さは10〜500μmが好ましく、200μmとしている。
離型層にはフッ素樹脂(PFA)であり、離型性かつ耐熱性に優れた材料を選択するのが好ましい。それ以外にPTFE、FEP、シリコーン樹脂、フッ素ゴム、シリコーンゴム等でもよい。その厚みは1μm以上100μm以下が望ましく、50μmとしている。1μm以下であると離型層の摩耗のためトナーオフセット現象が生じ、100μm以上であると発熱層で発生した熱を十分記録材及びトナーに伝えることができず定着不良が発生するという問題がある。
加圧ローラ53は、第二の回転体であり、芯金にシリコーンゴム等の弾性層を設けて硬度を下げたものである。表面性を向上させるために、外周にPFAのフッ素樹脂層を設けている。加圧ローラ53の内部には、ハロゲンヒータ57が配置されている。加圧ローラ53の直径は、例えば30(mm)である。このような加圧ローラ53は、定着ベルト50と当接して定着ニップ部Nを形成する。本実施形態では、定着ニップ部Nは、加圧ローラ53と定着ベルト50を介して加圧パッド52で押されることで形成される。トナー像が転写された記録材が定着ニップ部(圧接部)Nを通過することにより、この記録材に形成されたトナー像を加熱及び加圧して、記録材にトナー像を定着させる。
加圧パッド52は、耐熱エンジニアリングプラスチックからなり、定着ベルト50の基層金属との摺動性を高めるため、表面に摺動カバー処理が施されている。加圧パッド支持部材56は、ステンレス、アルミなどの金属からなり、加圧パッド52を定着ベルト50を介して加圧ローラ53に押付ける動作をする。
IHコイル51には励磁回路(不図示)が接続されており、この回路は20kHzから500kHzの高周波をスイッチング電源で発生できるようになっている。サイドコア54及びセンターコア55は、フェライトなどの強磁性体からなり、IHコイル51によって発生した磁場による磁気結合を行っている。特に、コイルの巻き中心にセンターコア、側面にサイドコアを配置することで、磁気的な結合を強めている。
なお、本実施形態ではIHコイルによるフィルム加熱手段を用いているが、フィルム外部から加熱部材を押し当ててフィルムを加熱する方法でも構わない。また、加熱部材として内部にヒータを有する定着ローラを使用しても良い。本実施形態の定着装置500の総圧は、例えば60(kgf)(588≒600N)とし、定着ニップ部Nの幅は例えば9(mm)とする。また、画像形成装置のプロセススピードは、例えば300(mm/s)とする。
また、本実施形態では、定着ベルト50、加圧ローラ53の各表面には、温度検出器としてサーミスタ58a、58bが設けられている。そして、サーミスタ58aにより定着ベルト50の表面温度を、サーミスタ58bにより加圧ローラ53の表面温度をそれぞれ検知し、この検知結果をもとに、IHコイル51やハロゲンヒータ57を制御し、温調を行っている。また、本実施形態では、後述するCPU102(図1、15参照)により、定着条件として、定着ベルト50の表面温度と、加圧ローラ53の表面温度を設定する。設定する定着条件に関しては後述する。
[定着ベルト及び加圧ローラの表面温度とグロスとの関係]
次に、低トナー量システムにおける、定着ベルト及び加圧ローラの表面温度とグロスとの関係について述べる。上述の本実施形態の画像形成装置を使用して、定着ベルト50の表面温度と加圧ローラ53の表面温度とをそれぞれ変更して、最大のトナー載り量のトナー像で形成した場合の画像のグロスを測定した実験について説明する。表1はこの実験結果である。
Figure 2013044838
実験で使用した記録材は、坪量81(g/m)であるCS814(キヤノン株式会社製)を使用した。また、表1の定着ベルト温度、加圧ローラ温度はそれぞれの部材の表面温度を表している。また、グロスは、日本電色工業社製を用いて、60°グロスを測定した。表の丸はグロス15以上の時を示し、バツはグロス15未満の時を示している。
[トナー表面温度及び界面温度とグロスとの関係]
この表1の条件において、定着ニップ部N内の定着ベルト50に接触するトナーの表面温度(上層トナー温度)と、記録材に接触する温度、即ち、トナーと記録材との界面温度(下層トナー温度)を推測する。
温度測定は、以下の方法で行った。上述の実験で使用した記録材と同じ記録材であるCS814(キヤノン株式会社製)に熱電対(株式会社アンベ エスエムティ、極細薄熱電対KFST−10−100−200)を貼り付ける。ここで、厚さが10(μm)のポリエステル(PES)のテープを、最大のトナー載り量を有するトナー像に見立て、図4に示す様に、熱電対を記録材に固定する。即ち、PESテープの上面の温度はトナーの表面温度に相当し、PESテープの下面と記録材のとの間の温度は界面温度に相当する。即ち、図4の(イ)がトナー表面温度を模擬している。また、図4の(ロ)がトナーと記録材との界面温度を模擬している。
このように、PESテープをトナーに見立てて熱電対を固定した記録材を、定着装置500の定着ニップ部Nに通紙することで、定着ニップ内での温度上昇カーブを測定した。データ解析には、HIOKI株式会社製のメモリハイコーダ8855を使用した。
定着ベルト50の表面温度が160℃、加圧ローラ53の表面温度が80℃の温調時の温度測定の結果を図5に示す。横軸は時間であり、縦軸が熱電対で測定した温度である。また、グラフの上側の実線がPESテープの上面の温度で、下側の破線がPESテープと記録材との間の温度である。また、横軸の時間0から30(ms)までが定着ニップ部Nである。
図5から明らかなように、測定温度は、定着ニップ部Nの出口に向かって上がっていき、定着ニップ部N内ではニップ出口で最高点となった。図5において、定着ニップ部Nの出口でのトナー表面温度は107℃、トナーと記録材との界面温度は97℃であった。
表2及び表3に、定着ベルト50、加圧ローラ53の表面温度をそれぞれ変更した場合における、定着ニップ部Nの出口でのトナー表面温度(上層トナー温度)と界面温度(下層トナー温度)を示す。
なお、トナー表面温度とは、図4で示したPESテープ上の熱電対温度、界面温度とは、図4で示した記録材とPESテープとの間の熱電対温度である。また、定着ニップ部Nの出口は、図5のPES上面の温度グラフにおいて、最高温度になる個所である。また、他の定着装置で定着ニップ部の出口でのトナー表面温度、界面温度を計測する場合も、図4で説明したようにPESテープと熱電対を固定した記録材定着装置に通紙する。そして、図5で示したPES上面の温度グラフにおいて、最高温度になる個所のトナー表面温度、トナー表面温度と同じ時間の界面温度を計測すればよい。
Figure 2013044838
Figure 2013044838
表2及び表3と表1の結果を見比べると、定着ニップ部Nの出口温度において、トナー表面温度が105℃より高く、界面温度が100℃より低いときにグロスが高いことがわかる。
トナー表面温度と界面温度とがこのような場合にグロスが高くなる理由を、以下で説明する。トナーの表面温度、及び、トナーと記録材との界面温度が上記の条件を満たす場合、トナーの上層面側(表面側、上層トナー)が溶けて、トナーの下層面側(記録材側、下層トナー)があまり溶けない状態である。この状態のことを土台効果と定義する。土台効果について、図6を用いて詳しく説明する。
[土台効果]
図6(a)のトナー未定着状態で示すように、下層トナーとは記録材表面からトナー1つ分である5〜6(μm)の高さまでのことであり、上層トナーとは、下層トナーより上のトナー層のことである。下層トナーは上流の画像形成部(例えばPa)で画像形成した1色目のトナー像であり、上層トナーは下流の画像形成部(例えばPb)で画像形成した2色目のトナー像である。即ち、本実施形態の低トナー量システムの場合、単色ベタ画像のトナー載り量は、ほぼトナー1つ分となる。したがって、2色をそれぞれ最大濃度で出力したとしても、形成されるトナー像の高さは、最大でほぼトナー2つ分の高さとなる。
なお、後述するように、本実施形態の画像形成装置では、3色或いは4色のトナー像を形成する場合でも、最大のトナー載り量は、単色ベタ画像のトナー載り量の2倍となるようにしている。したがって、3色以上の複数色のトナー像を形成した場合でも、そのトナー像の高さは、ほぼトナー2つ分、即ち、2層となり、図6(a)のようになる。
ここで、土台効果とは、下層のトナーはあまり溶融せず、下層トナーの粒塊が残っている状態において、上層トナーを溶かし、下層トナーの粒塊の間を上層トナーが埋めることによりトナー表面の表面性を高くでき、グロスを高くできる現象である。即ち、図6(b)に示す状態である。
これに対して、図6(c)に示す様に、土台効果が起きていない状態では、下層トナーの溶融が大きく進み、下層トナーが繊維の凹凸に追従し、上層のトナーは下層トナーに追従してしまう。この結果として、トナー表面の表面性が高くできずにグロスが低くなってしまう。
このような土台効果現象について、シミュレーションを使って更に説明する。シミュレーションは、図7に示したモデルを使用して、差分法による1次元の熱伝導解析ソルバを用いて計算した。
ここで、シミュレーション用の値として、以下のように各数値を設定した。即ち、トナー層の熱伝導率は1.5×10−4(W/mmK)、比熱は1.0(J/gK)、記録材の熱伝導率は1.5×10−4(W/mmK)、比熱は1500(J/kgK)、接触熱抵抗は3.1×10−3(W/mmK)とした。記録材、トナー層の初期温度は23℃とした。紙(記録材)の熱容量は、キヤノン株式会社製CS−814の値を採用した。
トナー載り量が少ない、低トナー載り量システムでは、トナー高さを12(μm)、トナー載り量が多い、通常のトナー載り量システムでは、トナー高さを24(μm)として計算している。それぞれ、そのシステムの最大のトナー載り量のトナー像が転写された記録材上でのトナーの高さに相当する。
本実施形態の画像形成装置の低トナー載り量システムでは、トナー体積平均粒径5.5(μm)、密度1.1(g/cm)のトナーを使っている。また、単色のトナー像の記録材上での単位面積あたりの最大のトナー載り量(単色ベタ画像のトナー載り量)は0.3(mg/cm)で、複数色のトナー像の記録材上での単位面積あたりの最大のトナー載り量は0.6(mg/cm)相当である。即ち、本実施形態の場合、トナー像形成手段により形成する複数色のトナー像の記録材上での単位面積あたりの最大のトナー載り量は、単色のトナー像の記録材上での単位面積あたりの最大のトナー載り量の2倍に設定している。言い換えれば、記録材上に形成できるトナー像の最大トナー載り量は、単色ベタ画像のトナー載り量の2倍に設定している。したがって、3色カラー、4色カラーの画像を出力した場合でも、記録材上の最大のトナー載り量は、0.6(mg/cm)となるように設計している。
一方、通常の画像形成装置のトナー載り量システムでも、トナー体積平均粒径5.5(μm)、密度1.1(g/cm)のトナーを使っている。但し、単色のトナー像の記録材上での単位面積あたりの最大のトナー載り量は0.6(mg/cm)で、複数色のトナー像の記録材上での単位面積あたりの最大のトナー載り量は1.2(mg/cm)相当である。即ち、通常のトナー載り量システムの場合、単色ベタ画像のトナー載り量と複数色のトナー像の最大のトナー載り量は、それぞれ低トナー載り量システムの場合の2倍である。このような通常のトナー載り量システムの場合も、記録材上に形成できる最大トナー載り量は、単色ベタ画像のトナー載り量の2倍に設定している。したがって、3色カラー、4色カラーの画像を出力した場合でも、記録材上の最大のトナー載り量は、1.2(mg/cm)となるように設計している。
図8に、トナー載り量が多い通常のトナー載り量システムで、定着ベルトの表面温度を170℃、加圧ローラの表面温度を100℃に設定した場合の、定着ベルトから加圧ローラまでの定着ニップ部の出口での温度分布を示す。図8の縦軸は温度の計算結果であり、横軸は各部材の位置を示している。左側から定着ベルト部、トナー部、記録材部、加圧ローラ部となっている。トナー部は温度の計算精度を高めるため、3μmピッチで計算を行った。記録材部は25μmピッチで計算を行った。
図8に示したように、上層トナー(定着ベルト近傍)では、温度は110℃であり、下層トナー(記録材近傍)では温度は94℃であった。このため、上層トナーではトナーが融け、下層ではトナーが融けづらくなっており、土台効果が生じている。したがって、通常のトナー載り量システムの場合、定着ベルトと加圧ローラの温度が上述のような設定で、グロスを高めることができる。
一方、図9に、トナー載り量が少ない低トナー載り量システムで、定着ベルトの表面温度を170℃、加圧ローラの表面温度を100℃に設定した場合の、定着ベルトから加圧ローラまでの定着ニップ部の出口での温度分布を示す。図9の縦軸は温度の計算結果であり、横軸は各部材の位置を示している。左側から定着ベルト部、トナー部、記録材部、加圧ローラ部となっている。トナー部は温度の計算精度を高めるため、3μmピッチで計算を行った。記録材部は25μmピッチで計算を行った。
図9のトナー部の面積(横軸の幅)が図8に比べて小さいのはトナー載り量によるものである。図9の結果より、上層トナー(定着ベルト近傍)では、温度は110℃であり、下層トナー(記録材近傍)では温度は100℃であった。このため、前述の表1及び表3から、下層にあるトナーが溶融しすぎて土台効果が起きず、グロスを高めることができない。
次に、図10に、トナー載り量が少ない低トナー載り量システムで、定着ベルトの表面温度を170℃とし、加圧ローラの表面温度を90℃と100℃とに変更した場合の、定着ベルトから加圧ローラまでの定着ニップ部の出口での温度分布を示す。図10の縦軸は温度の計算結果であり、横軸は各部材の位置を示している。左側から定着ベルト部、トナー部、記録材部、加圧ローラ部となっている。トナー部は温度の計算精度を高めるため、3μmピッチで計算を行った。記録材部は25μmピッチで計算を行った。
図10の結果より、上層トナー(定着ベルト近傍)では、温度は110℃であった。一方、下層トナー(記録材近傍)では、温度は加圧ローラ表面温度が100℃のときは100℃、加圧ローラ表面温度が90℃のときは、100℃より低くなった。このため、表1及び表3から、加圧ローラ表面温度が100℃のときは下層トナーが溶融しすぎて土台効果が起きず、グロスを高めることができない。しかし、加圧ローラ表面温度が90℃のときは、下層トナー温度が100℃より低くなり、下層トナーが溶融しすぎず、土台効果が起こり、グロスを高めることができる。
次に、図11に、トナー載り量が少ない低トナー載り量システムで、定着ベルトの表面温度を160℃と170℃とに変更し、加圧ローラの表面温度を100℃とした場合の、定着ベルトから加圧ローラまでの定着ニップ部の出口での温度分布を示す。図11の縦軸は温度の計算結果であり、横軸は各部材の位置を示している。左側から定着ベルト部、トナー部、記録材部、加圧ローラ部となっている。トナー部は温度の計算精度を高めるため、3μmピッチで計算を行った。記録材部は25μmピッチで計算を行った。
図11の結果より、上層トナー(定着ベルト近傍)では、定着ベルト表面温度が170℃のときは、温度は110℃であり、定着ベルト表面温度が160℃のときは、温度は107℃であった。下層トナー(記録材近傍)では、定着ベルト表面温度が170℃のときは、100℃であり、定着ベルト表面温度が160℃の時は、温度は100℃より低くなった。このため、表1及び表3から、定着ベルト表面温度が170℃温調時は下層トナーが溶融しすぎて土台効果が起きず、グロスを高めることができない。しかし、定着ベルト表面温度が160℃のときは、下層トナー温度が100℃より低くなっており、下層トナーが溶融しすぎず、土台効果が起こり、グロスを高めることができる。なお、定着ベルト表面が160℃のときでも上層トナー温度は105℃より高いので、トナーが溶融している。
次に記録材の坪量を変更したときの、計算結果を示す。坪量が68(g/m)の記録材の計算条件は、熱伝導率は、1.5×10−4(W/mmK)、比熱は1500(J/kgK)、記録材厚さを68(μm)とした。坪量が80(g/m)の記録材の計算条件は、熱伝導率は、1.5×10−4(W/mmK)、比熱は1500(J/kgK)、記録材厚みを80(μm)とした。坪量が105(g/m)の記録材の計算条件は、熱伝導率は、1.5×10−4[W/mmK]、比熱は1500(J/kgK)、記録材厚みを105(μm)とした。
図12に、低トナー載り量システムで、定着ベルトの表面温度を170℃、加圧ローラの表面温度を90℃に設定し、それぞれ坪量が異なる記録材を使用した場合の、定着ベルトから加圧ローラまでの定着ニップ部の出口での温度分布を示す。図12の縦軸は温度の計算結果であり、横軸は各部材の位置を示している。左側から定着ベルト部、トナー部、記録材部、加圧ローラ部となっている。トナー部は温度の計算精度を高めるため、3μmピッチで計算を行った。記録材部は坪量が68(g/m)のときは20μmピッチ、坪量が80(g/m)のときは25μmピッチ、坪量が105(g/m)のときは35μmピッチで計算を行った。
図12の結果より、上層トナー(定着ベルト近傍)での温度は、どの記録材でも105℃より高かった。一方、下層トナー(記録材近傍)での温度は、記録材の坪量が80(g/m)以上であれば、100℃より低かった。しかし、記録材の坪量が68(g/m)では、下層トナーの温度は104℃となった。このため、上述の定着条件で、記録材の坪量が80(g/m)以上であれば、下層トナーが溶けすぎず土台効果が発生し、グロスを高めることができる。しかし記録材の坪量が68(g/m)では、下層トナーが溶融しすぎて土台効果が起きず、グロスを高めることができない。
ここで、坪量が68(g/m)であるCS−680(キヤノン株式会社製)の薄紙を使用し、定着ベルトの表面温度及び加圧ローラの表面温度を変更したときのグロスの関係を表4に示す。
Figure 2013044838
グロスは、日本電色工業社製を用いて、60°グロスを測定した。表の丸はグロス15以上の時を示し、バツはグロス15以下のときを示す。
[温度とトナーの溶融粘度との関係]
次に、温度とトナーの溶融粘度との関係について説明する。図13は本実施形態のトナーをフローテスターで測定した溶融粘度特性のグラフである。フローテスターによるトナーの溶融粘度の測定は、フローテスターCFT−500D(株式会社島津製作所製)を用い、この装置の操作マニュアルに従い、下記の条件で測定を行った。
・サンプル:トナーを1.0g秤量し、これを直径1cmの加圧成型器により荷重20kNで1分間加圧することで成型してサンプルとする
・ダイ穴径:1.0mm
・ダイ長さ:1.0mm
・シリンダ圧力:9.807×105(Pa)
・測定モード:昇温法・昇温速度:4.0℃/min
上記の方法により、50℃ないし200℃におけるトナーの粘度(Pa・s)を測定した。図13のグラフより、温度を高くすることによりトナーの溶融粘度が低下することが分かる。溶融粘度が低下すると、トナーが変形し易くなる。
前述の表1ないし表3で述べたように、本実施形態の低トナー載り量システムにおいて、最大のトナー載り量のトナー像で形成した場合の画像のグロスが高い条件は、次のようになる。即ち、定着ニップ部Nの出口温度において、トナー表面温度が105℃より高く、界面温度が100℃より低いときにグロスが高くなる。
ここで、図13に示したフローテスターの測定結果から、温度が105℃よりも高いときは、トナー溶融粘度が1500(Pa・s)以下となることが分かる。一方、温度が100℃よりも低いときは、トナー溶融粘度が3000(Pa・s)以上となることが分かる。したがって、グロスが高くなる条件は、定着ベルトに接触するトナーの溶融粘度が1500(Pa・s)以下、記録材に接触するトナーの溶融粘度が3000(Pa・s)以上を満たせば良いことがわかる。
即ち、表1ないし表3より、トナー表面温度が105℃以下であるとグロスが低くなるので、定着ベルトに接触する上層トナーの溶融粘度が1500(Pa・s)より高いとグロスが低くなる。一方、表1ないし表3より、トナー界面温度が100℃以上であるとグロスが低くなるので、記録材に接触するトナーの溶融粘度が3000(Pa・s)より低いとグロスが低くなる。このため、グロスを高くするためには、上記のようなトナー溶融粘度の範囲となる。
トナーの溶融粘度は、トナーの溶融のし易さを表す指標であるので、上記の値はトナーの種類が変っても、成り立つ値である。即ち、どのようなトナーであっても、上述の条件を満たす限り、グロスを高くできる。また、トナー像の厚さも、上述の2層に限定されるものではない。即ち、低トナー載り量システムでトナー載り量が最大となるトナー像を形成した場合に、トナーの溶融粘度が上述の範囲内となるように、そのトナー像の厚さによって定着条件を設定すれば良い。
図14により、トナーの溶融粘度の範囲を詳しく説明する。図14は、トナーの溶融粘度を軸に、上層トナーと下層トナーの溶融粘度の範囲を説明するための図である。下層トナーとは記録材表面からトナー1つ分である5〜6(μm)の高さまでのことであり、上層トナーとは、下層トナーより上のトナー層のことである。記録材上のトナー高さは、株式会社キーエンス(KEYENCE)製の超深度カラー3D形状測定顕微鏡を使用し、トナー層を観察し求めた。
下層トナーの溶融粘度の下限は、土台効果である。下層トナーの溶融粘度が下限を下回ると、下層トナーが溶融しすぎて記録材の繊維に倣ってしまい、図6で説明した土台効果が起きず、グロスを高くできない。一方、上層トナーの溶融粘度の上限は、トナーの溶融である。上層トナーの溶融粘度が上限以上になると、トナーの溶融が不足して、上層トナー表面をフラットにすることができずグロスが上がらない。
実際には、定着装置500の定着性及びホットオフセットを考慮して、上層トナーと下層トナーの溶融粘度の範囲が規定される。具体的には、定着ベルトと接触するトナーの溶融粘度は、ホットオフセットを考慮して100(Pa・s)以上とすることが好ましい。また、記録材と接触するトナーの溶融粘度は、定着性を考慮して100000(Pa・s)以下とすることが好ましい。したがって、好ましいトナーの溶融粘度の範囲は、定着ベルトと接触するトナーの場合は、100(Pa・s)以上、1500(Pa・s)以下、記録材と接触するトナーの場合は、3000(Pa・s)以上、100000(Pa・s)以下となる。このようにグロスを高めることができ、且つ、定着性が良好でホットオフセットが生じにくい、上層トナーと下層トナーとの溶融粘度の範囲は、トナーの種類が変っても同じである。
[定着装置の制御]
次に、上述のような本実施形態における定着装置500の制御の流れについて、より具体的に説明する。上述したように、体積平均粒径5.5(μm)、密度1.1(g/cm)のトナーを使っている。また、記録材上の単色ベタ画像のトナー載り量は0.3(mg/cm)であり、記録材上の最大のトナー載り量は0.6(mg/cm)である。記録材上の最大トナー載り量は単色ベタ画像のトナー載り量の2倍に設定している。3色カラー、4色カラーの画像を出力した場合でも最大トナー載り量は、0.6(mg/cm)に設定している。
上層トナーと下層トナーの溶融粘度を上記の範囲にするために、坪量が80(g/m)以上の記録材では、定着ベルトの表面温度を160℃、加圧ローラの表面温度を80℃に、それぞれ温調制御(定着条件を設定)している。一方、坪量が80(g/m)未満の記録材では、定着ベルトの表面温度を150℃、加圧ローラの表面温度を70℃に、それぞれ温調制御(定着条件を設定)している。
このような温調制御について、図1及び図3を参照しつつ、図15を用いて説明する。まず、ユーザが操作部101において、出力する画像の記録材の種類を指定する。その情報が、CPU102に転送され、出力する記録材の坪量が80(g/m)以上なのか、未満なのか、メモリ103を参照して判別する。
定着ベルト用のサーミスタ58a、加圧ローラ用のサーミスタ58bにより定着ベルト50、加圧ローラ53の表面温度を検出し、その検出結果をCPU102に転送する。そして、坪量が80(g/m)以上の記録材の場合、定着ベルト50の表面温度が160℃未満であれば、IHコイル51に電流を流し、定着ベルト50の表面温度が160℃になるまで、定着ベルト50を発熱させる。一方、定着ベルト50の表面温度が160℃以上であれば、IHコイル51に電流を流さず発熱させていない。また、定着ベルト50の表面温度が170℃以上になった(設定温度よりも10℃以上高くなった)場合は、定着ベルト50の表面温度が170℃未満(例えば設定温度である160℃)になるまで定着ベルト50を空回転させ、冷却させる。
また、加圧ローラ53の表面温度が80℃未満であれば、加圧ローラ53の表面温度が80℃になるまでハロゲンヒータ57を点灯させ、加圧ローラ53を加熱する。加圧ローラ53の表面温度が80℃以上であれば、ハロゲンヒータ57を点灯しない。また、加圧ローラ53の表面温度が90℃以上になった(設定温度よりも10℃以上高くなった)場合は、加圧ローラ53の表面温度が90℃未満(例えば設定温度である80℃)になるまで加圧ローラ53を空回転させ、冷却させる。
一方、坪量が80(g/m)未満の記録材の場合、定着ベルト50の表面温度が150℃未満であれば、IHコイル51に電流を流し、定着ベルト50の表面温度が150℃になるまで、定着ベルト50を発熱させる。一方、定着ベルト50の表面温度が150℃以上であれば、IHコイル51に電流を流さず発熱させていない。また、定着ベルト50の表面温度が160℃以上になった(設定温度よりも10℃以上高くなった)場合は、定着ベルト50の表面温度が160℃未満(例えば設定温度である150℃)になるまで定着ベルト50を空回転させ、冷却させる。
また、加圧ローラ53の表面温度が70℃未満であれば、加圧ローラ53の表面温度が70℃になるまでハロゲンヒータ57を点灯させ、加圧ローラ53を加熱する。加圧ローラ53の表面温度が70℃以上であれば、ハロゲンヒータ57を点灯しない。また、加圧ローラ53の表面温度が80℃以上になった(設定温度よりも10℃以上高くなった)場合は、加圧ローラ53の表面温度が80℃未満(例えば設定温度である70℃)になるまで加圧ローラ53を空回転させ、冷却させる。
上述の制御を図16のフローチャートを使って説明する。ユーザが画像形成装置の操作部101で記録材の種類を設定(S11)すると、その情報がCPU(制御部)102に送信(S12)される。その情報に基づいて、CPU102はメモリ103を参照して、記録材が、薄紙か、普通紙以上の厚さの紙であるかを判断する(S13)。具体的には、S13にて記録材の坪量が80g/m以上であるかを判断する。S13にて記録材の坪量が80g/m以上であると判断された場合には、定着ベルト50の表面温度を160℃、加圧ローラ53の表面温度を80℃に温調する(S111)。定着ベルト50、加圧ローラ53の表面温度をサーミスタ58a、58bで検出し(S112)、その検出結果をCPU102に転送する(S113)。CPU102では定着ベルト50の表面温度が160℃以上170℃未満、加圧ローラ53の表面温度が80℃以上90℃未満であるか否かを判断する(S114、S115)。
S114で定着ベルト50の表面温度が160℃以上170℃未満であれば、フラグAを1にする(S116)。S115で加圧ローラ53の表面温度が80℃以上90℃未満であれば、フラグBを1にする(S117)。S114で定着ベルト50の表面温度が160℃未満であれば、IHコイル51に電流を流して定着ベルト50を発熱させる(S118)。S115で加圧ローラ53の表面温度が80℃未満であれば、ハロゲンヒータ57を点灯して加圧ローラ53を加熱する(S119)。S114で定着ベルト表面温度が170℃以上であれば、定着ベルト50を空回転させて冷却する(S118)。S115で加圧ローラ53の表面温度が90℃以上であれば、加圧ローラ53を空回転させて冷却させる(S119)。つまり、S118、S119では、定着ベルト50と加圧ローラ53を温調している。
S116、S117で、フラグA=フラグB=1であれば(S120)、画像形成動作を行い(S121)、その後、定着動作を行う(S122)。即ち、トナー像形成手段によりトナー像を形成して記録材に転写し、トナー像が転写された記録材を定着装置の定着ニップ部に通紙して、トナー像を記録材に画像として定着させる。画像形成が終了でなければ(S123)、S11に戻る。一方、画像形成が終了であれば、フラグをリセットし(S124)、画像形成動作を終了させる。
S13にて、記録材の坪量が80g/m未満であると判断された場合には、定着ベルト50の表面温度を150℃、加圧ローラ53の表面温度を70℃に温調する(S211)。定着ベルト50、加圧ローラ53の表面温度をサーミスタ58a、58bで検出し(S212)、その検出結果をCPU102に転送する(S213)。CPU102では定着ベルト50の表面温度が150℃以上160℃未満、加圧ローラ53の表面温度が70℃以上80℃未満かを判断する(S214、S215)。
S214で定着ベルト50の表面温度が150℃以上160℃未満であれば、フラグAを1にする(S216)。S215で加圧ローラ53の表面温度が70℃以上80℃未満であれば、フラグBを1にする(S217)。S214で定着ベルト50の表面温度が150℃未満であれば、IHコイル51に電流を流して定着ベルト50を発熱させる(S218)。S215で加圧ローラ53の表面温度が70℃未満であれば、ハロゲンヒータ57を点灯して加圧ローラ53を加熱する(S219)。S214で定着ベルト表面温度が160℃以上であれば、定着ベルト50を空回転させて冷却する(S218)。S215で加圧ローラ53の表面温度が80℃以上であれば、加圧ローラ53を空回転させて冷却させる(S219)。つまり、S218、S219では、定着ベルト50と加圧ローラ53を温調している。
S216、S217で、フラグA=フラグB=1であれば(S220)、画像形成動作を行い(S121)、その後、定着動作を行う(S122)。画像形成が終了でなければ(S123)、S11に戻る。一方、画像形成が終了であれば、フラグをリセットし(S124)、画像形成動作を終了させる。
上述のように、本実施形態では、定着ニップ部の出口において、上層トナーの溶融粘度が1500(Pa・s)以下、下層トナーの溶融粘度が3000(Pa・s)以上となるように、定着装置500の定着条件を設定する。そして、定着条件として、加熱部材である定着ベルト50及び加圧部材である加圧ローラ53のそれぞれの表面温度を、上述のトナーの溶融粘度を満たすように設定している。
本実施形態のトナーの場合、定着ニップ部の出口において、トナー表面温度が105℃より高く、トナー界面温度が100℃より低くなるように、記録材種に応じて、定着ベルト50の表面温度、加圧ローラ53の表面温度を制御している。具体的には、記録材の坪量が80g/m以上であれば、定着ベルト50の表面温度を160℃、加圧ローラ53の表面温度を80℃に温調する。一方、記録材の坪量が80g/m以下であれば、定着ベルト50の表面温度を150℃、加圧ローラ53の表面温度を70℃に温調している。なお、このような設定温度は、画像形成装置や使用するトナーによって変わる。
また、このような設定温度は、画像の濃度に拘らず一定である。即ち、低トナー載り量システムの場合、特に、高濃度部のグロスの低下が著しく、ハーフトーン部ではそれ程グロスの低下は目立たない。したがって、最大のトナー載り量で形成されるトナー像が上述の定着条件の定着装置500に通紙されたときに、このトナー像の定着ベルト50に接触する部分の溶融粘度と、記録材に接触する部分の溶融粘度とが、それぞれ上述の範囲を満たせば良い。これにより、低トナー載り量システムで、トナーの表面を適切に溶かし、且つ、トナーの記録材側が溶けすぎないようにでき、高濃度部のグロスを向上させることができる。
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について、図17ないし図20を用いて説明する。本実施形態では、連続通紙時において、上層トナーと下層トナーの溶融粘度の差を、通紙枚数に拘らず適切にすることを目的としている。
本実施形態の画像形成装置及び定着装置500の基本的な構成は、第1の実施形態と同様なので、重複する説明は省略する。また、本実施形態の場合も、低トナー載り量システムであり、単色ベタ画像のトナー載り量は0.3(mg/cm)であり、最大のトナー載り量は0.6(mg/cm)である。記録材上の最大トナー載り量は単色ベタ画像のトナー載り量の2倍に設定している。3色カラー、4色カラーの画像を出力した場合でも最大トナー載り量は、0.6(mg/cm)に設定している。また、本実施形態での初期の定着ベルト50の表面温度は160℃であり、加圧ローラ53の表面温度は80℃であり、プロセススピードは300(mm/s)である。
図18に、坪量81(g/m)であるCS−814(キヤノン株式会社製)の記録材を連続通紙した時の定着ベルト50と加圧ローラ53の表面温度の推移を示す。図18の横軸は通紙枚数であり、縦軸は各部材の表面温度である。
図18に示したように、通紙枚数が60枚目には、定着ベルト50の表面温度は160℃になり、加圧ローラ53の表面温度は、定着ベルト50から熱を吸収して、110℃に上がってしまう。このため、トナー上面と下面との温度差がつきずらくなり、土台効果が起こらずグロスが上がらなくなってしまう(表1参照)。
このために本実施形態では、図17に示すように、加圧ローラ53の定着ベルト50と反対側に、加圧ローラ冷却用の冷却手段であるファン59が設けられている。定着ベルト50、加圧ローラ53の各表面には、それぞれ温度検出器としてサーミスタ58a、58bが設けられている。そして、サーミスタ58a、58bによりそれぞれ定着ベルト50、加圧ローラ53の表面温度を検知し、その検知結果に応じて、加圧ローラ冷却用のファン59を駆動している。本実施形態では、加圧ローラ53の表面温度が所定の温度以上の場合に、ファン59を駆動して、空気を加圧ローラ53の表面に当てることにより、この加圧ローラ53を冷却する。
以下、具体的に説明する。本実施形態の場合も、第1の実施形態と同様に、上層トナーの溶融粘度が1500(Pa・s)以下、下層トナーの溶融粘度が3000(Pa・s)以上となるように、定着装置500の定着条件を設定している。具体的には、坪量が80(g/m)未満の記録材では、定着ベルト50の表面温度を160℃、加圧ローラ53の表面温度を80℃に温調制御している。坪量が80(g/m)以下の記録材では、定着ベルト50の表面温度を150℃、加圧ローラ53の表面温度を70℃に温調制御している。
本実施形態の制御について、図19を用いて説明する。ユーザが操作部101において、出力する画像の記録材の種類を指定する。その情報が、CPU102に転送され、出力する紙種の坪量が80(g/m)以上なのか、未満なのか、メモリ103を参照して判別する。
定着ベルト用のサーミスタ58a、加圧ローラ用のサーミスタ58bにより定着ベルト50、加圧ローラ53の表面温度をそれぞれ検出する。その検出結果をCPU102に転送し、定着ベルト50の表面温度及び加圧ローラ53の表面温度がそれぞれ規定内か否かをCPU102が判断する。
坪量が80(g/m)以上の記録材の場合、定着ベルト50の表面温度が160℃未満であれば、IHコイル51に電流を流し、定着ベルト50の表面温度が160℃になるまで、定着ベルト50を発熱させる。一方、定着ベルト50の表面温度が160℃以上であれば、IHコイル51に電流を流さず発熱させていない。また、定着ベルト50の表面温度が170℃以上になった(設定温度よりも10℃以上高くなった)場合は、定着ベルト50の表面温度が170℃未満(例えば設定温度である160℃)になるまで定着ベルト50を空回転させ、冷却させる。
また、加圧ローラ53の表面温度が80℃未満であれば、加圧ローラ53の表面温度が80℃になるまでハロゲンヒータ57を点灯させ、加圧ローラ53を加熱する。加圧ローラ53の表面温度が80℃以上であれば、ハロゲンヒータ57を点灯しない。また、連続通紙により、加圧ローラ53の表面温度が90℃(所定の温度)以上になった(設定温度よりも10℃以上高くなった)場合は、CPU102から冷却ファン制御部131に信号をおくり、ファン59を駆動させる。そして、加圧ローラ53の表面温度が90℃未満(例えば設定温度である80℃)になるまで、ファン59を駆動しつづけ、加圧ローラ53を冷却させる。
一方、坪量が80(g/m)未満の記録材の場合、定着ベルト50の表面温度が150℃未満であれば、IHコイル51に電流を流し、定着ベルト50の表面温度が150℃になるまで、定着ベルト50を発熱させる。一方、定着ベルト50の表面温度が150℃以上であれば、IHコイル51に電流を流さず発熱させていない。また、定着ベルト50の表面温度が160℃以上になった(設定温度よりも10℃以上高くなった)場合は、定着ベルト50の表面温度が160℃未満(例えば設定温度である150℃)になるまで定着ベルト50を空回転させ、冷却させる。
また、加圧ローラ53の表面温度が70℃未満であれば、加圧ローラ53の表面温度が70℃になるまでハロゲンヒータ57を点灯させ、加圧ローラ53を加熱する。加圧ローラ53の表面温度が70℃以上であれば、ハロゲンヒータ57を点灯しない。また、連続通紙により、加圧ローラ53の表面温度が80℃(所定の温度)以上になった(設定温度よりも10℃以上高くなった)場合は、CPU102から冷却ファン制御部131に信号をおくり、ファン59を駆動させる。そして、加圧ローラ53の表面温度が80℃未満(例えば設定温度である70℃)になるまで、ファン59を駆動しつづけ、加圧ローラ53を冷却させる。
上述の制御を図20のフローチャートを使って説明する。ユーザが画像形成装置の操作部101で記録材の種類を設定(S31)すると、その情報がCPU(制御部)102に送信(S32)される。その情報に基づいて、CPU102はメモリ103を参照して、記録材が、薄紙か、普通紙以上であるかを判断する(S33)。具体的には、S33にて記録材の坪量が80g/m以上であるかを判断する。S33にて記録材の坪量が80g/m以上であると判断された場合には、定着ベルト50の表面温度を160℃、加圧ローラ53の表面温度を80℃に温調する(S311)。定着ベルト50、加圧ローラ53の表面温度をサーミスタ58a、58bで検出し(S312)、その検出結果をCPU102に転送する(S313)。CPU102では定着ベルト50の表面温度が160℃以上170℃未満、加圧ローラ53の表面温度が80℃以上であるか否かを判断する(S314、S315)。
S314で定着ベルト50の表面温度が160℃以上170℃未満であれば、フラグAを1にする(S316)。S314で定着ベルト50の表面温度が160℃未満であれば、IHコイル51に電流を流して定着ベルト50を発熱させる(S317)。S314で定着ベルト表面温度が170℃以上であれば、定着ベルト50を空回転させて冷却する(S317)。
S315で加圧ローラ53の表面温度が80℃未満であれば、ハロゲンヒータ57を点灯して加圧ローラ53を加熱する(S318)。そして、S312に戻る。S315で加圧ローラ53の表面温度が80℃以上であれば、加圧ローラ53の表面温度が90℃未満であるかを判断する(S319)。S319で加圧ローラ53の表面温度が90℃以上であれば、ファン59を駆動して加圧ローラ53を冷却する(S320)。一方、S319で加圧ローラ53の表面温度が90℃未満であれば、ファン59が駆動していればファン59を停止し(S321)、フラグBを1にする(S322)。
S316、S322で、フラグA=フラグB=1であれば(S323)、画像形成動作を行い(S324)、その後、定着動作を行う(S325)。即ち、トナー像形成手段によりトナー像を形成して記録材に転写し、トナー像が転写された記録材を定着装置の定着ニップ部に通紙して、トナー像を記録材に画像として定着させる。画像形成が終了でなければ(S326)、S31に戻る。一方、画像形成が終了であれば、フラグをリセットし(S327)、画像形成動作を終了させる。
S33にて、記録材の坪量が80g/m未満であると判断された場合には、定着ベルト50の表面温度を150℃、加圧ローラ53の表面温度を70℃に温調する(S411)。定着ベルト50、加圧ローラ53の表面温度をサーミスタ58a、58bで検出し(S412)、その検出結果をCPU102に転送する(S413)。CPU102では定着ベルト50の表面温度が150℃以上160℃未満、加圧ローラ53の表面温度が70℃以上かを判断する(S414、S415)。
S414で定着ベルト50の表面温度が150℃以上160℃未満であれば、フラグAを1にする(S416)。S414で定着ベルト50の表面温度が150℃未満であれば、IHコイル51に電流を流して定着ベルト50を発熱させる(S417)。S414で定着ベルト表面温度が160℃以上であれば、定着ベルト50を空回転させて冷却する(S417)。
S415で加圧ローラ53の表面温度が70℃未満であれば、ハロゲンヒータ57を点灯して加圧ローラ53を加熱する(S418)。そして、S412に戻る。S415で加圧ローラ53の表面温度が70℃以上であれば、加圧ローラ53の表面温度が80℃未満であるかを判断する(S419)。S419で加圧ローラ53の表面温度が80℃以上であれば、ファン59を駆動して加圧ローラ53を冷却する(S420)。一方、S419で加圧ローラ53の表面温度が80℃未満であれば、ファン59が駆動していればファン59を停止し(S421)、フラグBを1にする(S422)。
S416、S422で、フラグA=フラグB=1であれば(S423)、画像形成動作を行い(S324)、その後、定着動作を行う(S325)。画像形成が終了でなければ(S326)、S31に戻る。一方、画像形成が終了であれば、フラグをリセットし(S327)、画像形成動作を終了させる。
このような本実施形態の場合、加圧部材である加圧ローラ53を冷却するファン59を設けているため、連続通紙により加圧ローラ53の表面温度が高くなっても、ファン59により素早く冷却できる。このため、ダウンタイムが少ない構造で、連続通紙時において、上層トナーと下層トナーの溶融粘度の差を、通紙枚数に拘らず適切にすることができる。
なお、本実施形態では、加圧ローラの冷却をファンによる風冷を用いたが、それに限る物ではない。例えば、ペルチェ素子などの冷却素子を用いても良い。その他の構造及び作用は、上述の第1の実施形態と同様である。
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態について、図21ないし図23を用いて説明する。前述の第1の実施形態では、上層トナーと下層トナーとの溶融粘度差をつけるために、定着ベルトと加圧ローラとの表面温度を制御した。即ち、設定する定着条件は、定着ベルトの表面温度と加圧ローラとの表面温度である。これに対して本実施形態では、上層トナーと下層トナーとの溶融粘度差をつける定着条件は、記録材が定着ニップ部を通過する定着時間である。即ち、本実施形態では、定着時間を、上層トナーの溶融粘度が1500(Pa・s)以下、下層トナーの溶融粘度が3000(Pa・s)以上となるように設定している。
本実施形態の画像形成装置及び定着装置の基本的な構成は、第1の実施形態と同様なので、重複する説明は省略する。また、本実施形態の場合も、低トナー載り量システムであり、単色ベタ画像のトナー載り量は0.3(mg/cm)であり、最大のトナー載り量は0.6(mg/cm)である。記録材上の最大トナー載り量は単色ベタ画像のトナー載り量の2倍に設定している。3色カラー、4色カラーの画像を出力した場合でも最大トナー載り量は、0.6(mg/cm)に設定している。
本実施形態の場合、上述のように定着時間を設定するために、画像形成装置のプロセススピードを可変にしている。具体的には、図22に示す様に、加圧ローラを回転駆動するモータ133の回転速度を制御する。なお、本実施形態の場合、定着ベルトが加圧ローラに従動して回転するため、加圧ローラを回転駆動しているが、定着ローラのように定着ローラが回転して加圧ローラが従動回転する場合には、定着ローラの回転速度を制御する。
モータ133の回転速度は、感光ドラムや中間転写ベルト、更には、記録材を搬送するローラなどの搬送部材を駆動するモータの回転速度と連動している。したがって、モータ制御部132は、モータ133だけではなく、各部材を駆動するモータの回転速度も制御し、画像形成のプロセススピードを制御する。
ここで、図22に、定着ベルトの表面温度が160℃、加圧ローラの表面温度が100℃で、プロセススピード(P.S)を変更したときの上層トナーと下層トナーの温度計測した結果を示す。図22は定着ニップ部の出口での温度である。また、プロセススピードは、加圧ローラ及び定着ベルトの回転速度と同じである。
温度計測の方法は、第1の実施形態と同様に行った。即ち、前述の図4に示したように、厚さ10(μm)のPESテープをトナーに見立て、CS−814の記録材に熱電対(株式会社アンベ エスエムティ、極細薄熱電対KFST−10−100−200)を貼り付けて測定した。
図22の温度計測結果より、上層トナー温度はどのプロセススピードにおいても、105℃より高いので、トナーが溶融し、下層トナーの間を埋めることができる。一方、下層トナー温度は、プロセススピードが300(mm/s)以上であれば、100℃より低いので、下層トナーが溶融しすぎず、土台効果が起こり、グロスを高めることができる。しかし、プロセススピードが300(mm/s)未満のときは、下層トナーの温度が100℃を超えているので、下層トナーが溶融しすぎて、土台効果が起きず、グロスが低くなってしまう。
本実施形態の場合も、上層トナーと下層トナーの溶融粘度を上記の範囲にするために、坪量が80(g/m)以上の記録材では、定着ベルトの表面温度を160℃、加圧ローラの表面温度を80℃に温調制御している。また、坪量が80(g/m)未満の記録材では、定着ベルトの表面温度を150℃、加圧ローラの表面温度を70℃に温調制御している。
本実施形態の制御を図21を用いて説明する。ユーザが操作部101において、出力する画像の記録材の種類を指定する。その情報が、CPU102に転送され、出力する記録材の坪量が80(g/m)以上なのか、未満なのか、メモリ103を参照して判別する。
定着ベルト用のサーミスタ58a、加圧ローラ用のサーミスタ58bにより定着ベルト、加圧ローラの表面温度を検出する。その検出結果をCPU102に転送し、定着ベルト表面温度、加圧ローラ表面温度が規定内かをCPU102が判断する。また、初期設定のプロセススピードは300(mm/s)である。
坪量が80(g/m)以上の記録材の場合、定着ベルトの表面温度が160℃未満であれば、IHコイル51に電流を流し、定着ベルトの表面温度が160℃になるまで、定着ベルトを発熱させる。一方、定着ベルトの表面温度が160℃以上であれば、IHコイル51に電流を流さず発熱させていない。また、定着ベルトの表面温度が170℃以上であれば、定着ベルトの表面温度が170℃未満になるまで空回転させ冷却させる。
また、加圧ローラの表面温度が80℃未満であれば、加圧ローラの表面温度が80℃になるまでハロゲンヒータ57を点灯させ、加圧ローラを加熱する。加圧ローラの表面温度が80℃以上であれば、ハロゲンヒータ57を点灯しない。そして、連続通紙により、加圧ローラの表面温度が90℃以上になった場合は、CPU102からモータ制御部132に信号をおくり、プロセススピードを350(mm/s)に変更する。
一方、坪量が80(g/m)未満の記録材の場合、定着ベルトの表面温度が150℃未満であれば、IHコイル51に電流を流し、定着ベルトの表面温度が150℃になるまで、定着ベルトを発熱させる。一方、定着ベルトの表面温度が150℃以上であれば、IHコイル51に電流を流さず発熱させていない。また、定着ベルトの表面温度が160℃以上であれば、定着ベルトの表面温度が160℃未満になるまで空回転させ冷却させる。
また、加圧ローラの表面温度が70℃未満であれば、加圧ローラの表面温度が70℃になるまでハロゲンヒータ57を点灯させ、加圧ローラを加熱する。加圧ローラの表面温度が70℃以上であれば、ハロゲンヒータ57を点灯しない。そして、連続通紙により、加圧ローラの表面温度が80℃以上になった場合は、CPU102からモータ制御部132に信号をおくり、プロセススピードを350(mm/s)に変更する。
このような本実施形態の制御の流れを図23を用いて説明する。ユーザが画像形成装置の操作部101で記録材の種類を設定(S51)すると、その情報がCPU(制御部)102に送信(S52)される。その情報に基づいて、CPU102はメモリ103を参照して、記録材が、薄紙か、普通紙以上であるかを判断する(S53)。具体的には、S53にて記録材の坪量が80g/m以上であるかを判断する。S53にて記録材の坪量が80g/m以上であると判断された場合には、定着ベルトの表面温度を160℃、加圧ローラの表面温度を80℃に温調する(S511)。定着ベルト、加圧ローラの表面温度をサーミスタ58a、58bで検出し(S512)、その検出結果をCPU102に転送する(S513)。CPU102では定着ベルトの表面温度が160℃以上170℃未満、加圧ローラの表面温度が80℃以上であるか否かを判断する(S514、S515)。
S514で定着ベルトの表面温度が160℃以上170℃未満であれば、フラグAを1にする(S516)。S514で定着ベルトの表面温度が160℃未満であれば、IHコイル51に電流を流して定着ベルトを発熱させる(S517)。S514で定着ベルト表面温度が170℃以上であれば、定着ベルトを空回転させて冷却する(S517)。
S515で加圧ローラの表面温度が80℃未満であれば、ハロゲンヒータ57を点灯して加圧ローラを加熱する(S518)。そして、S512に戻る。S515で加圧ローラ53の表面温度が80℃以上であれば、加圧ローラの表面温度が90℃未満であるかを判断する(S519)。S519で加圧ローラの表面温度が90℃未満であれば、プロセススピードを300(mm/s)にする(S520)。一方、S519で加圧ローラの表面温度が90℃以上であれば、プロセススピードを350(mm/s)にする(S521)。その後、フラグBを1にする(S522)。
S516、S522で、フラグA=フラグB=1であれば(S523)、画像形成動作を行い(S524)、その後、定着動作を行う(S525)。即ち、トナー像形成手段によりトナー像を形成して記録材に転写し、トナー像が転写された記録材を定着装置の定着ニップ部に通紙して、トナー像を記録材に画像として定着させる。画像形成が終了でなければ(S526)、S51に戻る。一方、画像形成が終了であれば、フラグをリセットし(S527)、画像形成動作を終了させる。
S53にて、記録材の坪量が80g/m未満であると判断された場合には、定着ベルトの表面温度を150℃、加圧ローラの表面温度を70℃に温調する(S611)。定着ベルト、加圧ローラの表面温度をサーミスタ58a、58bで検出し(S612)、その検出結果をCPU102に転送する(S613)。CPU102では定着ベルトの表面温度が150℃以上160℃未満、加圧ローラの表面温度が70℃以上かを判断する(S614、S615)。
S614で定着ベルトの表面温度が150℃以上160℃未満であれば、フラグAを1にする(S616)。S614で定着ベルトの表面温度が150℃未満であれば、IHコイル51に電流を流して定着ベルトを発熱させる(S617)。S614で定着ベルト表面温度が160℃以上であれば、定着ベルトを空回転させて冷却する(S617)。
S615で加圧ローラの表面温度が70℃未満であれば、ハロゲンヒータ57を点灯して加圧ローラを加熱する(S618)。そして、S612に戻る。S615で加圧ローラの表面温度が70℃以上であれば、加圧ローラ53の表面温度が80℃未満であるかを判断する(S619)。S619で加圧ローラの表面温度が80℃未満であれば、プロセススピードを300(mm/s)にする(S620)。一方、S619で加圧ローラの表面温度が80℃以上であれば、プロセススピードを350(mm/s)にする(S621)。その後、フラグBを1にする(S622)。
S616、S622で、フラグA=フラグB=1であれば(S623)、画像形成動作を行い(S524)、その後、定着動作を行う(S525)。画像形成が終了でなければ(S526)、S51に戻る。一方、画像形成が終了であれば、フラグをリセットし(S527)、画像形成動作を終了させる。
このように構成される本実施形態の場合、定着時間を適切に制御することにより、上層トナーと下層トナーとの溶融粘度差を適切にして、高濃度部のグロスを向上させることができる。また、加圧ローラの表面温度に応じて定着時間を制御することにより、連続通紙時において、上層トナーと下層トナーの溶融粘度の差を、通紙枚数に拘らず適切にすることができる。
なお、定着時間は、定着ニップ部の記録材搬送方向の幅をプロセススピードで割った値で決まるが、本実施形態では、上述のようにプロセススピードを変更して、定着時間を変更している。但し、定着時間を変更するためには、定着ニップ部の記録材搬送方向の幅を変更しても良い。例えば、加圧ローラを定着ベルトに向けて加圧する圧力を変えることにより、この定着ニップ部の幅を変更する。加圧ローラの圧力を変える構造としては、例えば、加圧ローラを定着ベルトに対してカム機構により遠近動させる構造がある。その他の構造及び作用は、上述の第2の実施形態と同様である。
<他の実施形態>
上述の各実施形態は、適宜組み合わせて実施可能である。例えば、第1の実施形態のように定着ベルト及び加圧ローラの温度制御を行いつつ、第3の実施形態のようにプロセススピードや加圧ローラの圧力を変更するようにしても良い。更に、第2の実施形態と第3の実施形態とを組み合わせれば、連続通紙による加圧ローラの昇温に対して、より効果を発揮できる。
また、上述の各実施形態では、加熱部材及び加圧部材として、一方がフィルム(ベルト)、他方がローラの場合を例示したが、これに限定されるものでない。これら加熱部材及び加圧部材としては、互いに圧接する回転体とすることが好ましく、例えば、ローラに張架されたベルトを回転体として用い、ベルトとベルトを圧接させた構成、ベルトとローラを圧接させた構成など、その他の構成であっても良い。
また前述した実施の形態では、画像形成装置が1つの定着装置(画像加熱加圧装置)を有する構成を例示して説明した。但し、画像形成装置が複数の定着装置を有する構成であっても、これら複数の定着装置のそれぞれに、本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
また、前述した実施の形態では、画像形成部を4つ使用した構成を例示したが、この使用個数はこれに限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定すれば良い。また、画像形成装置としては、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置等の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であっても良い。これらの画像形成装置に用いられる定着装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
1a、1b、1c、1d・・・現像器、2a、2b、2c、2d・・・帯電器、3a、3b、3c、3d・・・感光ドラム、6a、6b、6c、6d・・・露光装置、15・・・2次転写装置(転写手段)、24a、24b、24c、24d・・・1次転写装置、30・・・中間転写ベルト(像担持体)、50・・・定着ベルト(加熱部材)、53・・・加圧ローラ(加圧部材)、58a、58b・・・サーミスタ、59・・・ファン(冷却手段)、500・・・定着装置、N・・・定着ニップ部、P・・・記録材、Pa、Pb、Pc、Pd・・・画像形成部

Claims (6)

  1. トナー像を担持する像担持体と、
    前記像担持体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、
    前記像担持体上のトナー像を記録材に転写する転写手段と、
    加熱部材と前記加熱部材に当接して定着ニップ部を形成する加圧部材とを有し、設定された定着条件で、トナー像が転写された記録材が前記定着ニップ部を通過することにより、トナー像を記録材に定着させる定着装置と、を備えた画像形成装置において、
    トナーの体積平均粒径をL(μm)、トナーの密度をρ(g/cm)、前記トナー像形成手段により形成する単色のトナー像の記録材上での単位面積あたりの最大のトナー載り量をB(mg/cm)とした場合に、
    0<B<ρπL/(30√3)の関係を満たし、
    前記トナー像形成手段により形成する最大のトナー載り量のトナー像が転写された記録材の前記定着ニップ部の出口での、前記加熱部材に接触するトナーの溶融粘度が1500(Pa・s)以下、記録材に接触するトナーの溶融粘度が3000(Pa・s)以上となるように、前記定着装置の定着条件を設定している、
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記トナー像形成手段は、前記像担持体上に複数色のトナー像を重ねて形成し、
    前記トナー像形成手段により形成する複数色のトナー像の記録材上での単位面積あたりの最大のトナー載り量は、単色のトナー像の記録材上での単位面積あたりの最大のトナー載り量の2倍である、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記トナー像形成手段により形成する最大のトナー載り量のトナー像が転写された記録材の前記定着ニップ部の出口での、前記加熱部材に接触するトナーの溶融粘度が100(Pa・s)以上、記録材に接触するトナーの溶融粘度が100000(Pa・s)以下となるように、前記定着装置の定着条件を設定している、
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 設定する前記定着条件は、前記加熱部材の表面温度と、前記加圧部材の表面温度である、
    ことを特徴とする、請求項1ないし3のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記加圧部材を冷却する冷却手段を有し、
    前記冷却手段は、前記加圧部材の表面温度が所定の温度以上の場合に、前記加圧部材を冷却する、
    ことを特徴とする、請求項1ないし4のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
  6. 設定する前記定着条件は、記録材が前記定着ニップ部を通過する定着時間である、
    ことを特徴とする、請求項1ないし5のうちの何れか1項に記載の画像形成装置。
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