JP5106259B2 - 転写定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
転写定着装置及び画像形成装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5106259B2 JP5106259B2 JP2008156067A JP2008156067A JP5106259B2 JP 5106259 B2 JP5106259 B2 JP 5106259B2 JP 2008156067 A JP2008156067 A JP 2008156067A JP 2008156067 A JP2008156067 A JP 2008156067A JP 5106259 B2 JP5106259 B2 JP 5106259B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- transfer
- recording medium
- transfer fixing
- heat
- heat transfer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Fixing For Electrophotography (AREA)
- Combination Of More Than One Step In Electrophotography (AREA)
- Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)
Description
このような転写定着装置を備えた画像形成装置は、転写工程と定着工程とを別々におこなう画像形成装置に比べて、表面性の粗い記録媒体を使用しても画像品質の低下が起こり難いという利点がある。
これに対して、転写定着装置を備えた画像形成装置では、トナー像に対して転写と同時に熱を加えるため、トナーが軟化・溶融して粘弾性を帯びたブロック状の塊になる。そのため、表面性の粗い記録媒体を使用して定着部材と記録媒体との間に微小ギャップが形成されても、その部分に画像が塊として転写されてしまう。したがって、画像は、ボソボソにならずに、良好で高画質なものになる。
さらに、従来の転写定着装置は、上述した転写定着部材の加熱工程に加えて、作像部の熱的損傷を低減するために転写・定着工程後の転写定着部材を冷却する冷却工程がおこなわれている場合が多かった。このような加熱・冷却のサイクルが繰り返されるために、転写定着装置における消費エネルギが大きくなっていた。
図1〜図3にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのカラー複写機の装置本体、2は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部(露光部)、20Y、20M、20C、20BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応したプロセスカートリッジ、21は各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKにそれぞれ収容された感光体ドラム(像担持体)、22は感光体ドラム21上を帯電する帯電部、23Y、23M、23C、23BKは感光体ドラム21上に形成される静電潜像を現像する現像装置、24は感光体ドラム21上に形成されたトナー像を転写定着ベルト27に転写する転写バイアスローラ、25は感光体ドラム21上の未転写トナーを回収するクリーニング装置、を示す。
また、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKは、それぞれ、感光体ドラム21、帯電部22、クリーニング装置25が、一体化されたものである。そして、各プロセスカートリッジ20Y、20M、20C、20BKにおける感光体ドラム21上では、それぞれ、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の画像形成がおこなわれる。
まず、原稿Dは、原稿搬送部51の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部55のコンタクトガラス53上に載置される。そして、原稿読込部55で、コンタクトガラス53上に載置された原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
書込み部2において、光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応して射出される。レーザ光は、ポリゴンミラー3に入射して反射した後に、レンズ4、5を透過する。レンズ4、5を透過した後のレーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム21表面は、それぞれ、複数のローラ部材28A〜28C、85に張架・支持された転写定着ベルト27との対向位置に達する。ここで、それぞれの対向位置には、転写定着ベルト27の内周面に当接するように転写バイアスローラ24が設置されている。そして、転写バイアスローラ24の位置で、転写定着ベルト27上に、感光体ドラム21上に形成された各色の画像(トナー像)が、順次重ねて転写される(第1転写工程である。)。
その後、感光体ドラム21表面は、不図示の除電部を通過して、感光体ドラム21における一連の作像プロセスが終了する。
転写定着ベルト27に担持されたトナー像は、転写定着ベルト27と加圧ローラ68とのニップ部にて、記録媒体Pの転写定着面(おもて面)に転写されるとともに定着される(転写・定着工程である。)。詳しくは、記録媒体Pの転写定着面がニップ部の直前で加熱装置67によって加熱されて、ニップ部にて転写定着面の熱によってトナー像が加熱・溶融されるとともに、ニップ部の圧力によってトナー像が転写定着面に定着される。なお、転写定着装置66の構成・動作については、後で図2及び図3を用いてさらに詳しく説明する。
その後、転写定着ベルト27表面は、ベルトクリーニング部29の位置に達する。そして、転写定着ベルト27上の残トナー等の付着物がベルトクリーニング装置29に回収されて、転写定着ベルト27上の一連の転写定着プロセスが完了する。
詳しくは、記録媒体Pを収納する給紙部61から、給紙ローラ62により給送された転写紙Pが、搬送ガイド63を通過した後に、レジストローラ64に導かれる。レジストローラ64に達した記録媒体Pは、転写定着ベルト27上のトナー像とタイミングを合わせて、転写定着ベルト27と加圧ローラ68とのニップ部に向けて搬送される。このとき、記録媒体Pの転写定着面のみが加熱装置67によって加熱される。
その後、フルカラー画像が転写・定着された記録媒体Pは、排紙搬送経路を通過して、排紙ローラ80によって装置本体1外に出力画像として排出されて、一連の画像形成プロセスが完了する。
トナー結着樹脂としては、以下の組成のものを使用することができる。
例えば、ポリエステル、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、 スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレンーイソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体が挙げられる。
また、以下の樹脂を混合して使用することもできる。ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられる。この中で特に、ポリエステル樹脂を含有しているものは充分な定着性を得るために、好ましい。特に結晶性ポリエステル樹脂は、紙接触時に充分に軟化溶融し、定着強度とともに色再現性の高い画像形成が可能となる。ポリエステル樹脂は、アルコールとカルボン酸との縮重合によって得られるが、用いられるアルコールとはポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等のジオール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリエキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のエーテル化ビスフェノル類、これらを炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した2価のアルコール単体、その他の2価のアルコール単体を挙げることができる。
また、ポリエステル樹脂を得るために用いられるカルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、これらを炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した2価の有機酸単量体、これらの酸無水物、低級アルキルエステルとリノレイン酸の2量体、その他の2価の有機酸単量体を挙げることができる。
バインダー樹脂として用いるポリエステル樹脂を得るためには、以上の2官能性単量体のみによる重合体のみでなく、3官能以上の多官能性単量体による成分を含有する重合体を用いることも好適である。かかる多官能性単量体である3価以上の多価アルコール単量体としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−サルビタン、ペンタエスリトール、ジペンタエスリトール、トリペンタエスリトール、蔗糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1.3.5−トリヒドロキシメチルベンゼン、その他を挙げることができる。
また3価以上の多価カルボン酸単量体としては、例えば1,2,4−ペンゼントリカルボン酸、1,2,5−ペンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンボール3量体酸、これらの酸無水物、その他を挙げることができる。
また、外添加剤として、トナーの流動性を向上させる目的で、シリカ、酸化チタン、アルミナ等、さらに必要に応じて脂肪酸金属塩類やポリフッ化ビニリデン等を添加しても良い。
図2は、転写定着装置66の一部を示す拡大図である。図3は、加熱装置67を図2のX方向から幅方向にみた図である。
図2に示すように、転写定着装置66は、転写定着部材としての転写定着ベルト27、加熱手段としての加熱装置67、加圧部材としての加圧ローラ68、低摩擦部材としてのフッ素樹脂フィルム91、移動手段としての巻取り機構92、93、等で構成される。
加圧ローラ68の表面層としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(4フッ化エチレンバーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、等を用いることができる。
加熱体67aは、伝熱板67bと電極67cとに挟持されている。本実施の形態1では、加熱体67aとして、所定のキューリー点に達すると抵抗が急激に上昇する抵抗発熱体を用いている。具体的に、加熱体67aとして、チタン酸バリウム系半導体磁器素体からなる正特性サーミスタを用いている。また、本実施の形態1では、図3に示すように、加熱体67a(正特性サーミスタ)を幅方向に10個並設している。
伝熱部材としての伝熱板67bは、板厚が0.1mmのステンレス鋼板と板厚が0.2mmの銅板とが積層されたものであって、伝熱板67bの銅板側がニップ部に向けて搬送される記録媒体Pの転写定着面(おもて面)にフッ素樹脂フィルム91を介して接触するように配設されている。すなわち、伝熱板67bは、加熱体67aで発生した熱をフッ素樹脂フィルム91を介して記録媒体P(転写定着面)に伝熱する機能を有する。さらに、伝熱板67bには交流電源71が接続されていて、一方の電極としても機能することになる。
なお、本実施の形態1では、伝熱板67bの材料として、熱伝導率が高く、同体積における熱容量が低く、比較的安価な銅を用いているために、加熱効率が高く比較的安価な加熱装置67を提供することができる。
具体的に、本実施の形態1では、加熱体67aのキューリー点を200℃に設定している。これにより、加熱体67aの温度が200℃を超えたときに、電極67cと伝熱板67bとの間の抵抗が急激に上昇して、加熱体67a内に流れる電流が低下する。詳しくは、加熱体67aの温度が210℃のとき加熱体67a内に流れる電流は1/2に低下して、加熱体67aの温度が220℃のとき加熱体67a内に流れる電流は1/4に低下する。
このように構成された加熱体67aは、1200ワットの電力で6秒後に190〜200℃にまで昇温して、その後は自己温度制御機能により210℃以上に昇温することはない。また、本実施の形態1では、幅方向に複数の加熱体67aを並設しているために、複数の加熱体67aによってそれぞれの自己温度制御がおこなわれて、幅方向の温度ムラを10℃以下にすることができる。
なお、本実施の形態1では、記録媒体Pが伝熱板67b(フッ素樹脂フィルム91)に接触する時間を10〜20msに設定し、記録媒体Pと加熱装置67との接触から2〜5ms後に記録媒体Pがニップ部に達するように設定している。
このような構成により、転写定着ベルト27を積極的に加熱しなくても定着性及び発色性が充分な出力画像(定着画像)を得ることができる。
本実施の形態1では、記録媒体Pの転写定着面を加熱していて、出力画像上にて充分な光沢を得るための温度を独立して設定できるので、転写定着ベルト27の温度(定着設定温度)を低くできる。また、記録媒体Pは転写・定着工程の直前に加熱されるので、過剰に加熱されずに、トナーTと記録媒体Pとの密着性も必要以上に高められることはない。
すなわち、本実施の形態1の構成によれば、低温定着が可能であって、装置のウォームアップ時間を短縮できて、省エネルギ化を向上させることができる。また、転写定着ベルト27への熱移動を抑制できるので、転写定着ベルト27の耐久性を向上させることができる。さらに、転写定着ベルト27の加熱温度が低減されるために、転写定着ベルト27の熱劣化を抑制できる。
ここで、本実施の形態1では伝熱板67bを加圧ローラ68に接触させたが、ニップ部の直前に加圧ローラ68とは別に小径のローラを配置して、その小径ローラに伝熱板67bを当接させるように構成することもできる。ただし、本実施の形態1のように板状の伝熱板67bを用いる場合には、ニップ部に近接した位置まで伝熱板67bを近づけて記録媒体Pを加熱することができるため、小径ローラを別に設ける構成とする必要がなく、構成部材を減らすことができる。
これに対して、本実施の形態1では、図2に示すように、ニップ部を通過した後の転写定着ベルト27の表面の幅方向の温度分布を均一化する均しローラ85を設置している。
均しローラ85は、ニップ部に対して転写定着ベルト27の走行方向下流側に配設されたローラ部材であって、3つのローラ部材28A〜28Cとともに転写定着ベルト27を張架・支持する。均しローラ85は、ヒートパイプであって、その内部で熱を効率的に対流させることで、転写定着ベルト27表面の幅方向の温度分布を均一化する。これにより、転写定着ベルト27の加熱を最小限に抑えてニップ部に搬送される直前の記録媒体Pを加熱装置67によって加熱する場合であっても、定着ムラやオフセット等の定着不良が発生するのを抑止することができる。
このように、フッ素樹脂フィルム91を介して伝熱板67bを記録媒体Pの転写定着面に接触させることで、伝熱板67bから記録媒体Pの転写定着面への伝熱性を確保したまま、記録媒体Pの摺接による紙粉の発生や伝熱板67bの磨耗を低減することができる。
詳しくは、図2に示すように、移動手段としての巻取り機構は、主として、ロール状に巻回されたフッ素樹脂フィルム91を転写定着面と伝熱板67bとの間に向けて巻き出す巻出し部92と、転写定着面と伝熱板67bとの間を通過したフッ素樹脂フィルム91をロール状に巻き取る巻取り部93と、で構成されている。そして、ロール状に巻回されたフッ素樹脂フィルム91が巻出し部92から矢印方向に巻き出されて、伝熱板67bの先端部を経て、巻取り部93に矢印方向に巻き取られることで、薄膜で機械的強度が充分ではないフッ素樹脂フィルム91が記録媒体Pとの摺接によって局所的に磨耗して破断する不具合が抑止される。すなわち、記録媒体Pに摺接するフッ素樹脂フィルム91の当接位置(摺接位置)は、巻取り機構92、93によって固定させることなく移動するために、フッ素樹脂フィルム91の同じ箇所が記録媒体Pに摺接され続けて磨耗する不具合が抑止される。
さらに、本願発明者は、本実施の形態1の転写定着装置66を用いて、膜厚が30μmのフッ素樹脂フィルム91を伝熱板67bの先端を覆うように移動させて、記録媒体Pを連続的に通紙して紙粉の発生量を実験的に確認した。その結果、上述した紙粉の発生量を低減する効果を維持しつつ、1000枚以上の通紙をおこなってもフッ素樹脂フィルム91の破断はまったく生じることなく、記録媒体Pの加熱を安定的におこなえることを確認した。
また、本願発明者が、膜厚が20μmのフッ素樹脂フィルム91を用いて同じ実験をおこなったところ、膜厚が30μmのフッ素樹脂フィルム91を用いた場合に比べて、記録媒体Pの加熱温度を10℃上昇できることも確認した。
放射線架橋PTFEは、工学技術研究誌「日立電線(2001.1 No.20) 架橋ふっ素樹脂材料および応用製品」に開示されているように、フッ素樹脂の中でも特に摺動性に優れた材料である。したがって、上述したフッ素樹脂フィルム91を設置することによる効果がさらに確実なものになる。
本願発明者は、膜厚が30μmの放射線架橋PTFEからなるフッ素樹脂フィルム91を伝熱板67bの先端を覆うように移動させずに固定して、記録媒体Pを連続的に通紙して紙粉の発生量を実験的に確認した。その結果、紙粉の発生量は通常のフッ素樹脂を用いた場合に比べて半減するとともに、フッ素樹脂フィルム91の破断についても3000枚程度の通紙に耐えうることを確認した。
まず、加熱装置67が組み付けられる前に伝熱板67bにフッ素コーティングを施す場合には、コーティング後の加熱焼き付けにより伝熱板67bの平面度にばらつきが生じるため、その後の組み付け工程において加熱体67aと伝熱板67bとの接触不良が生じて、伝熱板67bの伝熱効率にバラツキが生じてしまう。したがって、記録媒体Pにおける転写定着面において温度ムラが発生して、定着不良画像や光沢ムラ画像が生じてしまう。
また、加熱装置67が組み付けられた後に伝熱板67bにフッ素コーティングを施す場合には、コーティング処理時に伝熱板67bが高温(320℃程度である。)に達してしまうため、加熱装置67を構成する電極67c等の他の構成部品が熱変形してしまう可能性があり、加熱装置67としての安定した性能を確保することが困難となる。
したがって、ニップ部の直前において記録媒体Pを安定的に確実に加熱するためには、伝熱板67bの表面にフッ素コーティングを施すのではなく、移動可能な(巻取り可能な)フッ素樹脂フィルム91を用いる本実施の形態1の構成が好適である。
具体的に、加熱装置は、ニッケル、鉄等の整磁合金からなる板厚0.3mm程度の板バネ部材と、板バネ部材に対向する誘導コイルと、等で構成される。板バネ部材の先端は、伝熱板67bと同様に、ニップ部に向けて搬送される記録媒体Pにフッ素樹脂フィルム91を介して接触するように配設される。このような構成により、誘導コイルに20kHzの高周波電圧が印加されると、板バネ部材が電磁誘導加熱されて、記録媒体Pの転写定着面にフッ素樹脂フィルム91を介して熱を伝えることになる。なお、板バネ部材は、整磁合金中のニッケル成分の比率が40%程度に設定されていて、その温度が200℃(キューリー点)に達すると透磁率が急激に低下して電磁誘導加熱されなくなる。具体的に、このように構成された加熱体は、1200ワットの電力で3秒後に190〜200℃にまで昇温して、その後は自己温度制御機能により210℃以上に昇温することはない。
図4にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図4は、実施の形態2における転写定着装置に設置される加熱手段を幅方向にみた図であって、前記実施の形態1における図3に相当する図である。本実施の形態2における転写定着装置は、加熱手段によって記録媒体における転写定着面の画像領域のみを加熱する点が、前記実施の形態1のものと相違する。
そして、装置本体1の制御部に送られる画像情報に基いて、記録媒体Pの画像面(転写定着面)における画像領域のみを加熱して、非画像領域を加熱しないように制御する。具体的に、転写定着面において画像が形成される領域に対応した加熱体のみスイッチを接続して加熱させて、画像が形成されない領域に対応した加熱体のスイッチを切断して加熱停止させる。
なお、本実施の形態2における装置を用いて、均しローラ85を通過する前後の転写定着ベルト27表面の幅方向温度ムラをサーモグラフィで測定したところ、均しローラ通過前の転写定着ベルト27表面の幅方向温度ムラが30〜40℃であったのに対して、均しローラ通過後の転写定着ベルト27表面の幅方向温度ムラは10℃以下であった。また、連続通紙をおこなっても、光沢ムラ、定着不良等の異常画像の発生はなく、安定的に高画質の出力画像を得ることができた。
図5にて、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図5は、実施の形態3における転写定着装置の一部を示す拡大図であって、前記実施の形態1における図2に相当する図である。本実施の形態2における転写定着装置は、加熱手段にブラシ状部材が設置されている点が、前記実施の形態1のものと相違する。
なお、記録媒体(紙)の表面凹凸性をあらわす「平滑度」は、紙パルプ技術協会の紙パルプ試験法No.5−74に基くものであり、その単位は秒であらわされる。平滑度が高い値であるほど、表面の凹凸性が少なく平滑性に優れた紙となる。日本国内において電子写真方式の画像形成装置で用いられる普通紙としては、おおよそ平滑度30秒以上のものが市販されている。上質紙では100秒を超える。30秒を下回るものは稀であって、海外で流通する一部の紙種や、冊子の表紙に用いられる特殊紙等がある。
特に、本実施の形態3では、加熱装置67の伝熱部材としてブラシ状部材67bを用いているために、凹凸が大きく平滑性の低い記録媒体Pに対しても、その転写定着面をムラなく確実に加熱することができる。
また、ブラシ状部材67bは、フッ素樹脂フィルム91で覆われているために、ブラシ状部材67bのブラシ毛が抜けて記録媒体Pに付着する不具合も抑止することができる。
図6にて、この発明の実施の形態4について詳細に説明する。
図6は、実施の形態4における画像形成装置の一部を示す構成図である。本実施の形態4における画像形成装置は、1つの感光体ドラム21が設置されている点が、4つの感光体ドラム21が設置されている前記実施の形態1のものと相違する。
その後、転写定着ベルト27上に担持されたトナー像Tは、加圧ローラ68とのニップ部の位置で、前記各実施の形態と同様に、加熱装置67によって加熱された記録媒体P上に転写・定着される。
図7にて、この発明の実施の形態5について詳細に説明する。
図7は、実施の形態5における転写定着装置の一部を示す拡大図であって、前記実施の形態1における図2に相当する図である。本実施の形態5における転写定着装置は、主として、フッ素樹脂フィルム91が無端状に形成されて回転駆動される点と、ニップ部に搬送される記録媒体Pが輻射熱源95によっても加熱される点と、が前記実施の形態1のものと相違する。
ここで、本実施の形態5では、図7に示すように、加熱装置の伝熱板94(伝熱部材)が略周状に形成されている(一部に開口94aが設けられている。)。図示は省略するが、伝熱板94には、前記各実施の形態と同様に、加熱体が接触していて、加熱体の熱が伝熱板94、フッ素樹脂フィルム91を介して記録媒体Pの転写定着面に伝えられることになる。
また、低摩擦部材としてのフッ素樹脂フィルム91は、伝熱板94を覆うように無端状(環状)に形成されている。なお、図7では、理解の容易のため、伝熱板94とフッ素樹脂フィルム91とを隙間をあけて図示している。そして、図示は省略するが、移動手段として、無端状に形成されたフッ素樹脂フィルム91を回転駆動する回転駆動機構(例えば、フッ素樹脂フィルム91を環状に保持する保持部材、保持部材に連結された駆動モータ、等で構成される。)が設置されている。このように記録媒体Pと伝熱板67bとの間にフッ素樹脂フィルム91を回転駆動機構によって移動可能に配設することで、前記各実施の形態と同様に、フッ素樹脂フィルム91の同じ箇所が記録媒体Pに摺接され続けて磨耗・破断する不具合が生じることなく、紙粉の発生量も低減されることになる。
このような構成により、ヒータ95の輻射熱が、伝熱板94の開口94aからフッ素樹脂フィルム91を透過して記録媒体Pの転写定着面に達して、記録媒体Pの加熱を補助することになる。さらには、ヒータ95の輻射熱は伝熱板94をも加熱するために、伝熱板94の加熱効率がさらに高められて、記録媒体Pに対する加熱効率がさらに高められる。
なお、フッ素樹脂フィルム91は、一般的なPFAで形成されたものであっても、波長3μm程度の赤外線に対する透過率が高いために、ヒータ95から射出された輻射熱を充分に透過して記録媒体Pにとどけることができる。また、フッ素樹脂フィルム91を放射線架橋PTFEで形成した場合には、さらに赤外線に対する透過率が高められて、記録媒体Pに対する加熱効率を向上させることができる。
27 転写定着ベルト(転写定着部材)、
28A〜28C ローラ部材、
66 転写定着装置、
67 加熱装置(加熱手段)、
67a、67a1〜67a10 加熱体、
67b、94 伝熱板(伝熱部材)、
67c、67c1〜67c10 電極、
68 加圧ローラ(加圧部材)、
91 フッ素樹脂フィルム(低摩擦部材)、
92 巻出し部(移動手段、巻取り機構)、
93 巻取り部(移動手段、巻取り機構)、
95 ヒータ(輻射熱源)、 P 記録媒体。
Claims (9)
- 記録媒体の転写定着面にトナー像を転写するとともに定着する転写定着装置であって、
トナー像を担持する転写定着部材と、
前記転写定着部材に圧接して記録媒体が搬送されるニップ部を形成する加圧部材と、
前記ニップ部に向けて搬送される記録媒体の前記転写定着面を当該記録媒体が前記ニップ部に搬送される前に加熱する加熱手段と、
前記加熱手段の伝熱部材が前記記録媒体の前記転写定着面に間接的に接触して前記伝熱部材から前記転写定着面に熱が伝えられるように前記転写定着面と前記伝熱部材との間に介在されるとともに、前記伝熱部材の摩擦係数よりも低い摩擦係数を有するフィルム状の低摩擦部材と、
前記転写定着面と前記伝熱部材との間に介在される前記低摩擦部材の当接位置を移動させる移動手段と、
を備え、
前記移動手段は、ロール状に巻回された前記低摩擦部材を前記転写定着面と前記伝熱部材との間に向けて巻き出すとともに前記転写定着面と前記伝熱部材との間を通過した前記低摩擦部材をロール状に巻き取る巻取り機構であることを特徴とする転写定着装置。 - 前記巻取り機構は、記録媒体の搬送方向に沿って前記低摩擦部材を巻き出すことを特徴とする請求項1に記載の転写定着装置。
- 記録媒体の転写定着面にトナー像を転写するとともに定着する転写定着装置であって、
トナー像を担持する転写定着部材と、
前記転写定着部材に圧接して記録媒体が搬送されるニップ部を形成する加圧部材と、
前記ニップ部に向けて搬送される記録媒体の前記転写定着面を当該記録媒体が前記ニップ部に搬送される前に加熱する加熱手段と、
前記加熱手段の伝熱部材が前記記録媒体の前記転写定着面に間接的に接触して前記伝熱部材から前記転写定着面に熱が伝えられるように前記転写定着面と前記伝熱部材との間に介在されるとともに、前記伝熱部材の摩擦係数よりも低い摩擦係数を有するフィルム状の低摩擦部材と、
前記転写定着面と前記伝熱部材との間に介在される前記低摩擦部材の当接位置を移動させる移動手段と、
を備え、
前記伝熱部材は、板状に形成され、その先端部が前記低摩擦部材を介して前記記録媒体の前記転写定着面に接触することを特徴とする転写定着装置。 - 前記低摩擦部材は、フッ素樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の転写定着装置。
- 前記フッ素樹脂フィルムは、放射線架橋ポリテトラフルオロエチレンで形成されたことを特徴とする請求項4に記載の転写定着装置。
- 前記加熱手段の前記伝熱部材は、前記低摩擦部材を介して前記転写定着面に接触する接触面が銅で形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の転写定着装置。
- 記録媒体が前記ニップ部に搬送される前に当該記録媒体の前記転写定着面を前記低摩擦部材を介して輻射熱によって加熱する輻射熱源をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の転写定着装置。
- 前記輻射熱源は、前記伝熱部材をも輻射熱によって加熱するように前記伝熱部材に対向する位置に配設されたことを特徴とする請求項7に記載の転写定着装置。
- 請求項1〜請求項8のいずれかに記載の転写定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008156067A JP5106259B2 (ja) | 2008-06-16 | 2008-06-16 | 転写定着装置及び画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008156067A JP5106259B2 (ja) | 2008-06-16 | 2008-06-16 | 転写定着装置及び画像形成装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009300803A JP2009300803A (ja) | 2009-12-24 |
JP5106259B2 true JP5106259B2 (ja) | 2012-12-26 |
Family
ID=41547758
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008156067A Expired - Fee Related JP5106259B2 (ja) | 2008-06-16 | 2008-06-16 | 転写定着装置及び画像形成装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5106259B2 (ja) |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5741673A (en) * | 1980-08-25 | 1982-03-08 | Konishiroku Photo Ind Co Ltd | Copying device |
JPS57164773A (en) * | 1981-04-03 | 1982-10-09 | Konishiroku Photo Ind Co Ltd | Method and device for transferring and fixing of toner image |
JPH05113731A (ja) * | 1991-10-22 | 1993-05-07 | Minolta Camera Co Ltd | 定着装置 |
JP2002023539A (ja) * | 2000-07-11 | 2002-01-23 | Fuji Xerox Co Ltd | 定着部材、定着部材の製造方法、及び定着装置 |
-
2008
- 2008-06-16 JP JP2008156067A patent/JP5106259B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2009300803A (ja) | 2009-12-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5257848B2 (ja) | 転写定着装置及び画像形成装置 | |
JP4877803B2 (ja) | 転写定着装置及び画像形成装置 | |
JP4889028B2 (ja) | 転写定着装置及び画像形成装置 | |
US9971289B2 (en) | Image forming apparatus | |
US8422925B2 (en) | Transfer-fixing device and image forming apparatus incorporating same | |
JP3634679B2 (ja) | 加熱装置 | |
JP2008065264A (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JPH10104975A (ja) | 像加熱装置 | |
JP5305104B2 (ja) | ベルト駆動装置、及び、画像形成装置 | |
JP2003098895A (ja) | 像加熱装置及び画像形成装置 | |
JP2002025759A (ja) | 加熱装置および画像形成装置 | |
JP2011039328A (ja) | 転写定着装置及び画像形成装置 | |
JP5190795B2 (ja) | 転写定着装置及び画像形成装置 | |
JP5106259B2 (ja) | 転写定着装置及び画像形成装置 | |
JP5459588B2 (ja) | 転写定着装置及び画像形成装置 | |
JP5516310B2 (ja) | 定着処理のための加熱制御方法と当該加熱制御方法を実施する定着装置並びに画像形成装置 | |
JP2010181505A (ja) | 転写定着装置及び画像形成装置 | |
JP2001228732A (ja) | 加熱装置、像加熱装置および画像形成装置 | |
JP5446347B2 (ja) | 転写定着装置及び画像形成装置 | |
JP5369788B2 (ja) | 転写定着装置及び画像形成装置 | |
JP2011008064A (ja) | 転写定着装置及び画像形成装置 | |
JP5009730B2 (ja) | 転写定着装置及び画像形成装置 | |
JP2022066948A (ja) | 定着装置 | |
JP2009031472A (ja) | 転写定着装置及び画像形成装置 | |
JP2010204503A (ja) | 転写定着装置及び画像形成装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20110112 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120710 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20120711 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120905 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120925 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20121002 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151012 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |