JP5515878B2 - 硬化性樹脂組成物、その硬化物、及びプリント配線基板 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、その硬化物、及びプリント配線基板 Download PDF

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本発明は得られる硬化物の耐熱性、低熱膨張性に優れ、プリント配線基板、半導体封止材、塗料、注型用途等に好適に用いる事が出来る硬化性樹脂組成物、その硬化物及びプリント配線基板に関する。
エポキシ樹脂を主剤とし、フェノール樹脂をその硬化剤とする硬化性樹脂組成物は、接着剤、成形材料、塗料、フォトレジスト材料、顕色材料等に用いられている他、得られる硬化物において優れた耐熱性や耐湿性などに優れる点から半導体封止材やプリント配線板用絶縁材料等の電気・電子分野で幅広く用いられている。
これらの各種用途のうち、プリント配線板の分野では、電子機器の小型化・高性能化の流れに伴い、半導体装置の配線ピッチの狭小化による高密度化の傾向が著しく、これに対応した半導体実装方法として、はんだボールにより半導体装置と基板とを接合させるフリップチップ接続方式が広く用いられている。このフリップチップ接続方式では、配線板と半導体との間にはんだボールを配置、全体を加熱して溶融接合させる所謂リフロー方式による半導体実装方式であるため、はんだリフロー時に配線版自体が高熱環境に晒され、配線板の熱収縮により、配線板と半導体を接続するはんだボールに大きな応力が発生し、配線の接続不良を起こす場合があった。その為、プリント配線板に用いられる絶縁材料には、低熱膨張率の材料が求められている。
また、プリント配線板の分野では、環境問題に対する法規制等により、鉛を使用しない高融点はんだが主流となっており、この鉛フリーはんだは従来の共晶はんだよりも使用温度が約20〜40℃高くなることから、硬化性樹脂組成物にはこれまで以上に高い耐熱性が要求されている。
このようにプリント配線板用の絶縁材料には、高度な耐熱性、低熱膨張性が求められており、かかる要求に対応できるエポキシ樹脂材料として、例えば、2,7−ジヒドロキシナフタレンとホルムアルデヒドとを反応させて得られるビス(2,7−ジヒドロキシナフチル)メタンを、グリシジルエーテル化した分子構造を有するナフタレン型エポキシ樹脂が知られている(下記、特許文献1参照)。
しかしながら、前記特許文献1に記載されたナフタレン型エポキシ樹脂は、一般的なフェノールノボラック型エポキシ樹脂と比較して、その化学骨格の剛直性のために、その硬化物における耐熱性改良効果は認められるものの、要求レベルを十分満足できるレベルには至っておらず、また熱膨張性に関しても、近年要求されるレベルに到達していないものであった。更に、前記特許文献1に記載のナフタレン型エポキシ樹脂は、プリント配線板製造に一般的に使用される溶剤への溶解性が低いことから、硬化物の特性が十分に発現されないものであった。
特許第3137202号公報
従って、本発明が解決しようとする課題は、硬化物における耐熱性に優れ、低熱膨張性を発現し、更に、良好な溶剤溶解性を実現する硬化性樹脂組成物、その硬化物、耐熱性及び低熱膨張性に優れるプリント配線基板を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、分子構造中にナフタレン構造とシクロヘキサジエノン構造とがメチレン基を介して結節した骨格と、グリシジルオキシ基とを有するエポキシ樹脂と、ナフトール類とホルムアルデヒドとを反応させて得られたナフトール樹脂と、特定量のフリーナフトール類との混合物を、エポキシ樹脂用硬化剤として用いた場合に、その硬化物において飛躍的に優れる耐熱性と低熱膨張性とを発現し、更に、該ナフトールノボラック樹脂とエポキシ樹脂とを配合してなる組成物が優れた溶剤溶解性を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、分子構造中にナフタレン構造とシクロヘキサジエノン構造とがメチレン基を介して結節した骨格と、グリシジルオキシ基とを有するエポキシ樹脂(A)、及びナフトールノボラック樹脂(B)を必須成分とすることを特徴とする硬化性樹脂組成物に関する。
本発明は、更に、前記硬化性樹脂組成物を硬化反応させてなることを特徴とする硬化物に関する。
本発明は、更に、前記硬化性樹脂組成物に、更に有機溶剤(C)を配合してワニス化した樹脂組成物を、補強基材に含浸し銅箔を重ねて加熱圧着させることにより得られたプリント配線基板に関する。
本発明によれば、硬化物における耐熱性に優れ、低熱膨張性を発現し、更に、良好な溶剤溶解性を実現する硬化性樹脂組成物、その硬化物、耐熱性及び低熱膨張性に優れるプリント配線基板を提供できる。
図1は、合成例3で得られたナフトールノボラック樹脂(B−1)のGPCチャート図である。 図2は、合成例4で得られたナフトールノボラック樹脂(B−2)のGPCチャート図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いるエポキシ樹脂(A)は、分子構造中にナフタレン構造とシクロヘキサジエノン構造とがメチレン基を介して結節した骨格と、グリシジルオキシ基とを有することを特徴としている。即ち、分子構造中にナフタレン構造とシクロヘキサジエノン構造とがメチレン基を介して結節した骨格を有することから、エポキシ樹脂(A)の化学構造的な非対称性から良好な溶剤溶解性を示すことができる。また、硬化反応において、エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基と、ナフトールノボラック樹脂(B)中のフェノール性水酸基との反応のみならず、エポキシ樹脂(A)中のシクロヘキサジエノン構造とナフトールノボラック樹脂(B)中のフェノール性水酸基との反応も効率的に硬化反応に寄与することから、より強固な硬化物が得られ、硬化物における耐熱性と低熱膨張性が飛躍的に向上するものである。
ここで、シクロヘキサジエノン構造とは、具体的には、下記構造式k1及びk2
Figure 0005515878

で表される2,4−シクロヘキサジエノン構造、及び下記構造式k3
Figure 0005515878

で表される2,5−シクロヘキサジエノン構造が挙げられる。
これらのなかでも、前記構造式k1及びk2で表される2,4−シクロヘキサジエノン構造が耐熱性、低熱膨張性に顕著に優れる点から好ましく、特に前記構造式k1で表される2−ナフタレノン構造であることが好ましい。
前記エポキシ樹脂(A)は、2,7−ジヒドロキシナフタレン類とホルムアルデヒドとをアルカリ触媒の存在下反応させ、次いで得られた反応物にエピハロヒドリンを反応させる方法(方法1)、或いは、2,7−ジヒドロキシナフタレン類とホルムアルデヒドとフェノール類とをアルカリ触媒の存在下反応させ、次いで得られた反応物にエピハロヒドリンを反応させる方法(方法2)によって製造することができ、種々の分子構造を有するエポキシ樹脂を含み得るが、具体的には、ナフタレン構造と、前記構造式k1又はk2で表されるシクロヘキサジエノン構造とがメチレン基を介して結節した構造を基本骨格とし、その芳香核上の置換基としてグリシジルオキシ基を有する化合物(a)を含有していることが好ましい。
かかる化合物(a)としては、具体的には、下記構造式(i)〜(iii)で表されるものが挙げられる。
Figure 0005515878

Figure 0005515878
Figure 0005515878
上記構造式(i)〜(iii)中、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜4の炭化水素基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基であり、具体的には、上記構造式(i)で表される化合物としては以下のi−1〜i−8で表されるものが挙げられる。
Figure 0005515878

また、上記構造式(ii)で表される化合物としては以下のii−1〜ii−8で表されるものが挙げられる。
Figure 0005515878










また、上記構造式(iii)で表される化合物としては以下のiii−1〜iii−8で表されるものが挙げられる。
Figure 0005515878

これらの中でも特に下記構造式(i)
Figure 0005515878

(式中、Rは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4の炭化水素基、又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を示す。)
で表される化合物が、特に耐熱性、低熱膨張性に顕著に優れる点から好ましい。上記構造式(i)で表される化合物は、前記した通り、その分子構造中にシクロヘキサジエノン構造を有することから、化学構造的に非対称となって優れた溶剤溶解性を示すことができ、また、シクロヘキサジエノン構造自体がナフトールノボラック樹脂(B)との硬化反応に寄与することになるので、上記構造式(i)で表される化合物は、3官能のエポキシ樹脂であるにも拘わらず、優れた耐熱性と低熱膨張性を発現することができる。
本発明では、これらの中でも特に耐熱性が高い点から構造式(1)におけるRが全て水素原子である下記構造式(i−α)
Figure 0005515878

で表される構造を有することが好ましい。
以上詳述したエポキシ樹脂(A)を前記した方法1又は方法2によって、製造する場合、通常、前記化合物(a)の他、下記構造式(iv)
Figure 0005515878

で表される化合物(b)や、或いは、前記構造式(i)、前記構造式(ii)又は前記構造式(iii)における芳香核に更に、下記部分構造式(v)
Figure 0005515878

で表される構造部位が結合したエポキシ樹脂オリゴマー(c)、更に、前記方法1又は方法2において、エピハロヒドリンを反応させる際に生成するオリゴマー(d)も生成するため、前記エポキシ樹脂(A)は、これらの混合物として使用してもよい。
この際、エポキシ樹脂(A)中、前記化合物(a)を5.0〜20.0質量%となる割合で含有することが好ましく、具体的には、前記化合物(a)を5.0〜20.0質量%、前記化合物(b)を15.0〜50.0質量%、その他前記オリゴマー(c)又はオリゴマー(d)に代表されるオリゴマー成分を30〜80質量%となる割合で含有することが溶剤溶解性に優れる点から好ましい。
また、エポキシ樹脂(A)は、該エポキシ樹脂(A)中のエポキシ当量は150〜300g/eqの範囲であることが耐熱性、低熱膨張率が良好となる点から好ましく、特に155〜250g/eq.の範囲であることが好ましい。
前記した通り、前記エポキシ樹脂(A)は、前記方法1又は方法2によって製造することができるが、本発明では従来に比べてアルカリ触媒量が多いことに特徴があり、具体的には、2,7−ジヒドロキシナフタレン類に対して、又は、2,7−ジヒドロキシナフタレン類とフェノール類との合計モル数に対して、アルカリ触媒をモル基準で0.2〜2.0倍量となる割合で用いることにより、分子構造中にナフタレン構造とシクロヘキサジエノン構造とがメチレン基を介して結節した骨格を生成させることができる。これに対して、公知の化合物である下記構造式(2)
Figure 0005515878
で表される化合物は、2,7−ジヒドロキシナフタレンとホルムアルデヒドとを該2,7−ジヒドロキシナフタレンに対して、モル基準で0.01〜0.1倍量となる割合でアルカリ触媒を使用することによって製造することができるが、このような触媒量では、製造工程中、該構造式(2)で表される化合物が選択的に生成、析出して反応が停止する為、本発明の如くシクロヘキサジエノン構造が生成することはない。
ここで、方法1又は方法2で用いる2,7−ジヒドロキシナフタレン類は、2,7−ジヒドロキシナフタレン、メチル−2,7−ジヒドロキシナフタレン、エチル−2,7−ジヒドロキシナフタレン、t−ブチル−2,7−ジヒドロキシナフタレン、メトキシ−2,7−ジヒドロキシナフタレン、エトキシ−2,7−ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
方法1又は方法2で用いるホルムアルデヒドは、ホルムアルデヒドは、水溶液の状態であるホルマリン溶液でも、固形状態であるパラホルムアルデヒドでもよい。
また、方法2で用いるフェノール類は、フェノール、o−クレゾール、p−クレゾール、2,4−キシレノール等が挙げられる。
また、方法1又は方法2で用いるアルカリ触媒は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、金属ナトリウム、金属リチウム、水素化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機アルカリ類などが挙げられる。
前記したとおり、本発明では前記化合物(a)のうち上記構造式(i)で表される化合物が好ましく、よって、前記各方法のうち方法1の製造方法が好ましい。以下、方法1について詳述する。
前記方法1は、具体的には、2,7−ジヒドロキシナフタレン類とホルムアルデヒドとを実質的に同時に仕込み、適当な触媒の存在下で加熱撹拌して反応を行う方法、また、2,7−ジヒドロキシナフタレン類と適当な触媒の混合液に、ホルムアルデヒドを連続的乃至断続的に系内に加えることによって、反応を行う方法などが挙げられる。尚、ここで実質的に同時とは、加熱によって反応が加速されるまでの間に全ての原料を仕込むことを意味する。
ここで用いるアルカリ触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、金属ナトリウム、金属リチウム、水素化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機アルカリ類などが挙げられる。その使用量は、前記した通り2,7−ジヒドロキシナフタレン類のモル数に対して、モル基準で0.2〜2.0倍量となる範囲であることが好ましい。
2,7−ジヒドロキシナフタレン類とホルムアルデヒドとの反応仕込み比率としては、特に限定されないが、2,7−ジヒドロキシナフタレン類に対してホルムアルデヒドが、モル基準で0.6〜2.0倍量となる割合であること、特に、耐熱性とエポキシ樹脂の粘度のバランスに優れる点から、0.6〜1.5倍量となる割合であることが好ましい。
この反応を行う際、必要に応じて有機溶剤を使用することができる。使用できる有機溶剤は、具体的には、メチルセロソルブ、イソプロピルアルコール、エチルセロソルブ、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。有機溶剤の使用量としては仕込み原料の総質量に対して通常0.1倍量〜5倍量の範囲であり、特に0.3倍量〜2.5倍量の範囲であることが効率的に構造式(i)の構造が得られる点から好ましい。また反応温度としては20〜150℃の範囲であることが好ましく、特に60〜100℃の範囲であることがより好ましい。また反応時間は、特に制限されないが、通常、1〜10時間の範囲である。
反応終了後、反応混合物のpH値が4〜7になるまで中和あるいは水洗処理を行う。中和処理や水洗処理は常法にしたがって行えばよい。例えばアルカリ触媒を用いた場合は酢酸、燐酸、燐酸ナトリウム等の酸性物質を中和剤として用いることができる。中和あるいは水洗処理を行った後、減圧加熱下で有機溶剤を留去し生成物の濃縮を行い、カルボニル基含有フェノール化合物を得ることが出来る。また、反応終了後の処理操作のなかに、精密濾過工程を導入することが無機塩や異物類を精製除去することができる点から、より好ましい。
次いで、得られたフェノール化合物と、エピハロヒドリンとを反応させることによって目的とするエポキシ樹脂(A)が得られる。具体的には、例えばフェノール化合物中のフェノール性水酸基のモル数に対し、エピハロヒドリンを2〜10倍量(モル基準)となる割合で添加し、更に、フェノール性水酸基のモル数に対し0.9〜2.0倍量(モル基準)の塩基性触媒を一括添加または徐々に添加しながら20〜120℃の温度で0.5〜10時間反応させる方法が挙げられる。この塩基性触媒は固形でもその水溶液を使用してもよく、水溶液を使用する場合は、連続的に添加すると共に、反応混合物中から減圧下、または常圧下、連続的に水及びエピハロヒドリン類を留出せしめ、更に分液して水は除去しエピハロヒドリンは反応混合物中に連続的に戻す方法でもよい。
なお、工業生産を行う際、エポキシ樹脂生産の初バッチでは仕込みに用いるエピハロヒドリン類の全てが新しいものであるが、次バッチ以降は、粗反応生成物から回収されたエピハロヒドリン類と、反応で消費される分で消失する分に相当する新しいエピハロヒドリン類とを併用することが好ましい。この時、使用するエピハロヒドリンは特に限定されないが、例えばエピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン等が挙げられる。なかでも工業的入手が容易なことからエピクロルヒドリンが好ましい。
また、前記塩基性触媒は、具体的には、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属水酸化物等が挙げられる。特にエポキシ樹脂合成反応の触媒活性に優れる点からアルカリ金属水酸化物が好ましく、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。使用に際しては、これらの塩基性触媒を10〜55質量%程度の水溶液の形態で使用してもよいし、固形の形態で使用しても構わない。また、有機溶媒を併用することにより、エポキシ樹脂の合成における反応速度を高めることができる。このような有機溶媒としては特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、1−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン、1、3−ジオキサン、ジエトキシエタン等のエーテル類、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で使用してもよいし、また、極性を調整するために適宜2種以上を併用してもよい。
前述のエポキシ化反応の反応物を水洗後、加熱減圧下、蒸留によって未反応のエピハロヒドリンや併用する有機溶媒を留去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、得られたエポキシ樹脂を再びトルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンなどの有機溶媒に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えてさらに反応を行うこともできる。この際、反応速度の向上を目的として、4級アンモニウム塩やクラウンエーテル等の相関移動触媒を存在させてもよい。相関移動触媒を使用する場合のその使用量としては、用いるエポキシ樹脂100質量部に対して0.1〜3.0質量部となる割合であることが好ましい。反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に、加熱減圧下トルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤を留去することにより目的とする化合物(a)を含有するエポキシ樹脂(A)を得ることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物において、前記エポキシ樹脂(A)を単独で用いてもよいが、または本発明の効果を損なわない範囲で他のエポキシ樹脂を使用してもよい。具体的には、エポキシ樹脂の全質量に対して前記エポキシ樹脂(A)が30質量%以上、好ましくは40質量%以上となる範囲で他のエポキシ樹脂を併用することができる。
前記エポキシ樹脂(A)と併用され得る他のエポキシ樹脂としては、種々のエポキシ樹脂を用いることができるが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、
ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのなかでもフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂や、ナフタレン骨格を含有するナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂や、結晶性のビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、キサンテン型エポキシ樹脂や、アルコキシ基含有芳香環変性ノボラック型エポキシ樹脂(ホルムアルデヒドでグリシジル基含有芳香環及びアルコキシ基含有芳香環が連結された化合物)等が耐熱性に優れる硬化物が得られる点から特に好ましい。
次に、本発明で用いるナフトールノボラック樹脂(B)は、前記エポキシ樹脂(A)の硬化剤として用いられるものである。本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化剤としてナフトールノボラック樹脂(B)を用いることにより、前記した通り、硬化反応において、エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基と、ナフトールノボラック樹脂(B)中のフェノール性水酸基との反応のみならず、エポキシ樹脂(A)中のシクロヘキサジエノン構造とナフトールノボラック樹脂(B)中のフェノール性水酸基との反応が効率的に進行し、より強固な硬化物が得られ、飛躍的に優れた高耐熱性と低熱膨張性を得ることができる。
ここでナフトールノボラック樹脂(B)は、ナフトール類とホルムアルデヒドとを重縮合してなる重縮合体を主たる成分とするものであるが、本発明ではナフトール類とホルムアルデヒドとの重縮合体(b1)とナフトール類(b2)とを必須成分として含有し、かつ、該ナフトールノボラック樹脂(B)中のナフトール類(b2)のGPC測定におけるピーク面積基準での含有率が1〜6%となる割合であるものが、低熱膨張性が向上するため好ましい。即ち、一般に、ノボラック樹脂中に残存する未反応フェノール成分は、耐熱性の低下を招く為、除去されるのが通常であるが、本発明では、ナフトール類(b2)を特定の割合で残存、あるいは添加させることにより、ナフトールノボラック樹脂(B)自体の粘度が低減することに起因して硬化性が増し、その結果、耐熱性の著しい低下を招くことなく、低熱膨張性が著しく向上するものである。
ここで、ナフトール類(b2)のGPC測定におけるピーク面積基準での含有率とは、GPC測定によって計算される、ナフトール類とホルムアルデヒドとの重縮合体(b1)とナフトール類(b2)との混合物の全ピーク面積に対する、ナフトール類(b2)のピーク面積の存在割合であり、具体的には下記の方法にて測定及び算出される値である。
<GPC測定条件>
3)GPC:測定条件は以下の通り。
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
検出器: RI(示差屈折径)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)。
<含有率の算出方法>
ナフトール類(b2)のピーク面積基準での含有率の算出方法は、ナフトールノボラック樹脂を上記のGPC測定条件で測定し、検出されたナフトールノボラック樹脂の全てのピーク面積に対するナフトール類(b2)のピーク面積の割合で算出される値である。
ここで、ナフトール類(b2)は、具体的には、α−ナフトール、β−ナフトール、及びこれらにメチル基、エチル基、メトキシ基等のアルキル基が核置換した化合物等が挙げられる。これらのなかでも特に反応性に優れ、本発明の効果が顕著なものとなる点からα−ナフトールが好ましい。
一方、ナフトール類とホルムアルデヒドとの重縮合体(b1)は、α−ナフトールノボラック樹脂、β−ナフトールノボラック樹脂、これらにメチル基、エチル基、メトキシ基等のアルキル基が核置換した分子構造を有する各種のノボラック樹脂、1,6−ジヒドロキシナフタレンのノボラック化物、2,7−ジヒドロキシナフタレンのジヒドロキシ化物などが挙げられるが、本発明では前記ナフトール類(b2)と同一化合物を原料として用いたナフトールノボラック樹脂であることが溶剤溶解性、硬化物の耐熱性に優れる点から好ましい。かかる重縮合体(b1)は、ナフトール類の平均核体数が3〜7となる範囲であることが低熱膨張性に優れる点から好ましい。ここで、ナフトール類の平均核体数とは前記したGPCの測定によって導出される値である。
前記したナフトール類とホルムアルデヒドとの重縮合体(b1)とナフトール類(b2)とは、後者のGPC測定における面積比が1〜6%となるように配合することによって前記ナフトールノボラック樹脂(B)とすることができるが、前記したとおり、ナフトール類(a2)と同一化合物を原料として用いたナフトールノボラック樹脂を前記重縮合体(a1)として用いることが好ましい。この場合、ナフトール類(b2)とホルムアルデヒド(f)とを酸触媒下で、組成物中の未反応ナフトール類(b2)のGPC測定における面積比が1〜6%となるように反応させる方法(以下、これを「方法3」と略記する。)によって前記ナフトールノボラック樹脂を製造することが、工業的な生産性に優れると共に、混合物の均一性に優れ、低熱膨張性の改善効果がより顕著なものとなる点から好ましい。
斯かる方法3において、ナフトール類(b2)とホルムアルデヒド(f)との反応割合は、これらのモル比[ホルムアルデヒド(f)/ナフトール類(b2)]が0.6〜0.8となる割合であることが低熱膨張性に優れる点から好ましい。
上記反応で用いられるホルムアルデヒド(f)のホルムアルデヒド源としては、例えば、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサン等が挙げられる。ここで、ホルマリンは水希釈性や製造時の作業性の点から30〜60質量%のホルマリンであることが好ましい。
上記反応で用いられる酸触媒としては塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸などの有機酸、三弗化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛などのルイス酸などが挙げられる。その使用量は仕込み原料の総重量に対して、0.1〜5重量%の範囲が好ましい。
また、方法3における反応温度は80〜150℃の範囲であることが反応性に優れる点から好ましい。
このようにして得られる重縮合体(b1)とナフトール類(b2)とを含有するナフトールノボラック樹脂(B)は、その軟化点が110〜150℃の範囲であることが組成物における流動性と硬化物における耐熱性とのバランスに優れる点から好ましい。
前記ナフトールノボラック樹脂(B)は、ナフトール類とホルムアルデヒドとの重縮合体(b1)とナフトール類(b2)に加え、フェノールノボラック又はアルキルフェノールノボラック成分(b3)を含有することが、硬化物の耐熱性を低下させることなく、低熱膨張性を一層改善できる点から好ましい。
ここで、フェノールノボラック又はアルキルフェノールノボラック成分(b3)(以下、「ノボラック成分(b3)」と略記する。)とは、フェノールノボラック又はアルキルフェノールノボラック(n)、該フェノールノボラック又はアルキルフェノールノボラック(n)とナフトール類とホルムアルデヒドとの重縮合体(b3’)、或いはこれらの混合物が挙げられるが、特に、前記ノボラック(n)と前記重縮合体(b3’)とが渾然一体となった混合物であることが低熱膨張性の改善効果に優れる点から好ましい。
ここで、前記ナフトールノボラック樹脂(B)中のノボラック成分(b3)の存在割合は、前記重縮合体(b1)及びナフトール類(b2)中の全ナフトール骨格に対する前記ノボラック成分(b3)中の全フェノール骨格の割合として、ナフトール骨格1モルあたり、フェノール骨格が0.2〜0.01モルとなる割合であることが、硬化物における低熱膨張性の改善効果が顕著なものとなる点から好ましい。
ここで、上記のナフトール骨格1モルあたり、フェノール骨格のモルの割合は13C−NMR測定によって計算され、具体的には下記の方法にて測定及び算出される値である。
13C−NMR測定条件>
13C−NMR:測定条件は以下の通り。
装置:日本電子(株)製 AL−400
測定モード:SGNNE(NOE消去の1H完全デカップリング法)
溶媒 :ジメチルスルホキシド
パルス角度:45℃パルス
試料濃度 :30wt%
積算回数 :10000回
<ナフトール骨格1モルあたりのフェノール骨格のモルの割合の算出方法>
前記ナフトールノボラック樹脂(B)を上記の13C−NMR測定条件で測定した場合、145ppmから160ppmの間に検出される水酸基が結合する炭素原子のピークの積算値(α)と100ppmから140ppmの間に検出される水酸基が結合していない炭素原子のピークの積算値(β)の関係は、下記式(1)及び下記式(2)を充足する。ここで(X)はナフトール骨格のモル数、(Y)はフェノール骨格のモル数を示す。
Figure 0005515878
よって、上記式(1)及び式(2)から、ナフトール骨格1モルあたりのフェノール骨格のモルの割合(Y/X)は、下記式(3)により算出することができる。
Figure 0005515878
前記ナフトールノボラック樹脂(B)中に、ノボラック成分(b3)を配合する方法としては、具体的には、該ナフトールノボラック樹脂を製造する際に、フェノールノボラック又はアルキルフェノールノボラック(n)と、ナフトール類(b2)と、ホルムアルデヒド(f)とを酸触媒下で、組成物中の未反応ナフトール類(b2)のGPC測定における面積比が1〜6%となるように反応させる方法(以下、これを「方法4」と略記する。)が挙げられる。本発明では、かかる方法4により、ノボラック成分(b3)を含有するナフトールノボラック樹脂(B)を製造する場合、該ナフトールノボラック樹脂(B)の工業的な生産性が良好なものとなると共に、該ナフトールノボラック樹脂(B)の均一性に優れ、低熱膨張性の改善効果がより顕著なものとなる点から好ましい。
ここで、前記方法4で用いるフェノールノボラック又はアルキルフェノールノボラック(n)は、具体的には、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、t−ブチルフェノールノボラックなどが挙げられる。本発明では低熱膨張性に優れる点からクレゾールノボラックであることが好ましい。また、かかるフェノールノボラック又はアルキルフェノールノボラック(n)は、軟化点が60〜120℃の範囲にあるもの、更に、前記条件でのGPC測定による平均核体数が3〜10の範囲にあるものが最終的に得られるナフトールノボラック樹脂(B)の流動性を高く保持しつつ、低熱膨張性の改善効果が良好なものとなる点から好ましい。
前記方法4における、フェノールノボラック又はアルキルフェノールノボラック(n)使用量は、原料成分中、0.5〜10質量%となる割合であることが好ましい。ここで述べる原料成分とは、ナフトール類(b2)、ホルムアルデヒド(f)及びフェノールノボラック又はアルキルフェノールノボラック(n)の総量の事を示す。一方、ナフトール類(b2)とホルムアルデヒド(f)との反応割合は、方法3の場合と同様に、モル比[ホルムアルデヒド(f)/ナフトール類(b2)]が0.6〜0.8となる割合であることが低熱膨張性に優れる点から好ましい。
また、方法4で用いられる酸触媒は、方法3の場合と同様に、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸などの有機酸、三弗化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛などのルイス酸などが挙げられる。その使用量は仕込み原料の総重量に対して、0.1〜5重量%の範囲が好ましい。
方法4における反応温度は80〜150℃の範囲であることが反応性に優れる点から好ましい。
このようにして方法4により製造されたナフトールノボラック樹脂(B)は、その軟化点が110〜150の範囲であることがナフトールノボラック樹脂(B)自体の流動性と硬化物における耐熱性とのバランスに優れる点から好ましい。
以上詳述したエポキシ樹脂(A)とナフトールノボラック樹脂(B)との配合量は、特に制限されるものではないが、得られる硬化物特性が良好である点から、エポキシ樹脂(A)のエポキシ基の合計1当量に対して、ナフトールノボラック樹脂(B)中のフェノール性水酸基が0.7〜1.5当量になる量が好ましい。
また、前記エポキシ樹脂(A)に他のエポキシ樹脂を使用する場合には、全エポキシ樹脂成分のエポキシ基の合計1当量に対して、ナフトールノボラック樹脂(B)中のフェノール性水酸基が0.7〜1.5当量となる量であることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、前記したナフトールノボラック樹脂(B)をエポキシ樹脂用硬化剤として用いるものであるが、必要に応じて、適宜、その他のエポキシ樹脂用硬化剤(B’)を併用してもよい。ここで使用し得るその他のエポキシ樹脂用硬化剤としては、アミン系化合物、アミド系化合物、酸無水物系化合物、フェノ−ル系化合物などの各種の公知の硬化剤が挙げられる。具体的には、アミン系化合物としてはジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、イミダゾ−ル、BF−アミン錯体、グアニジン誘導体等が挙げられ、アミド系化合物としては、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂等が挙げられ、酸無水物系化合物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられ、フェノール系化合物としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(ザイロック樹脂)、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価フェノール化合物)、ビフェニル変性ナフトール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価ナフトール化合物)、アミノトリアジン変性フェノール樹脂(メラミン、ベンゾグアナミンなどでフェノール核が連結された多価フェノール化合物)やアルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂(ホルムアルデヒドでフェノール核及びアルコキシ基含有芳香環が連結された多価フェノール化合物)等の多価フェノール化合物が挙げられる。
前記したその他のエポキシ樹脂用硬化剤(B’)を用いる場合、その使用量は、エポキシ樹脂用硬化剤(B’)中の活性水素と、ナフトールノボラック樹脂(B)中のフェノール性水酸基との当量比(活性水素/水酸基)が1/10〜5/1となる範囲であることが好ましい。
また必要に応じて本発明の硬化性樹脂組成物に硬化促進剤を適宜併用することもできる。前記硬化促進剤としては種々のものが使用できるが、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。特に半導体封止材料用途として使用する場合には、硬化性、耐熱性、電気特性、耐湿信頼性等に優れる点から、イミダゾール化合物では2−エチル−4−メチルイミダゾール、リン系化合物ではトリフェニルフォスフィン、第3級アミンでは1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−ウンデセン(DBU)が好ましい。
以上詳述した本発明の硬化性樹脂組成物をプリント配線基板用ワニスに調整する場合、上記各成分に他に有機溶剤(C)を配合することが好ましい。ここで使用し得る前記有機溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられ、その選択や適正な使用量は用途によって適宜選択し得るが、例えば、プリント配線板用途では、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド等の沸点が160℃以下の極性溶剤であることが好ましく、また、不揮発分40〜80質量%となる割合で使用することが好ましい。一方、ビルドアップ用接着フィルム用途では、有機溶剤として、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を用いることが好ましく、また、不揮発分30〜60質量%となる割合で使用することが好ましい。
また、上記熱硬化性樹脂組成物は、難燃性を高めるために、例えばプリント配線板の分野においては、実質的にハロゲン原子を含有しない非ハロゲン系難燃剤を配合してもよい。
前記非ハロゲン系難燃剤としては、例えば、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、無機系難燃剤、有機金属塩系難燃剤等が挙げられ、それらの使用に際しても何等制限されるものではなく、単独で使用しても、同一系の難燃剤を複数用いても良く、また、異なる系の難燃剤を組み合わせて用いることも可能である。
前記リン系難燃剤としては、無機系、有機系のいずれも使用することができる。無機系化合物としては、例えば、赤リン、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム類、リン酸アミド等の無機系含窒素リン化合物が挙げられる。
また、前記赤リンは、加水分解等の防止を目的として表面処理が施されていることが好ましく、表面処理方法としては、例えば、(i)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、硝酸ビスマス又はこれらの混合物等の無機化合物で被覆処理する方法、(ii)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等の無機化合物、及びフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂の混合物で被覆処理する方法、(iii)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等の無機化合物の被膜の上にフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂で二重に被覆処理する方法等が挙げられる。
前記有機リン系化合物としては、例えば、リン酸エステル化合物、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物、有機系含窒素リン化合物等の汎用有機リン系化合物の他、9,10−ジヒドロ−9−オキサー10−ホスファフェナントレン=10−オキシド、10−(2,5―ジヒドロオキシフェニル)―10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン=10−オキシド、10―(2,7−ジヒドロオキシナフチル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン=10−オキシド等の環状有機リン化合物、及びそれをエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の化合物と反応させた誘導体等が挙げられる。
それらの配合量としては、リン系難燃剤の種類、硬化性樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合した硬化性樹脂組成物100質量部中、赤リンを非ハロゲン系難燃剤として使用する場合は0.1〜2.0質量部の範囲で配合することが好ましく、有機リン化合物を使用する場合は同様に0.1〜10.0質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.5〜6.0質量部の範囲で配合することが好ましい。
また前記リン系難燃剤を使用する場合、該リン系難燃剤にハイドロタルサイト、水酸化マグネシウム、ホウ化合物、酸化ジルコニウム、黒色染料、炭酸カルシウム、ゼオライト、モリブデン酸亜鉛、活性炭等を併用してもよい。
前記窒素系難燃剤としては、例えば、トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物、フェノチアジン等が挙げられ、トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物が好ましい。
前記トリアジン化合物としては、例えば、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メロン、メラム、サクシノグアナミン、エチレンジメラミン、ポリリン酸メラミン、トリグアナミン等の他、例えば、(i)硫酸グアニルメラミン、硫酸メレム、硫酸メラムなどの硫酸アミノトリアジン化合物、(ii)フェノール、クレゾール、キシレノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール等のフェノール類と、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ホルムグアナミン等のメラミン類およびホルムアルデヒドとの共縮合物、(iii)前記(ii)の共縮合物とフェノールホルムアルデヒド縮合物等のフェノール樹脂類との混合物、(iv)前記(ii)、(iii)を更に桐油、異性化アマニ油等で変性したもの等が挙げられる。
前記シアヌル酸化合物の具体例としては、例えば、シアヌル酸、シアヌル酸メラミン等を挙げることができる。
前記窒素系難燃剤の配合量としては、窒素系難燃剤の種類、硬化性樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合した硬化性樹脂組成物100質量部中、0.05〜10質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.1〜5質量部の範囲で配合することが好ましい。
また前記窒素系難燃剤を使用する際、金属水酸化物、モリブデン化合物等を併用してもよい。
前記シリコーン系難燃剤としては、ケイ素原子を含有する有機化合物であれば特に制限がなく使用でき、例えば、シリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーン樹脂等が挙げられる。
前記シリコーン系難燃剤の配合量としては、シリコーン系難燃剤の種類、硬化性樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合した硬化性樹脂組成物100質量部中、0.05〜20質量部の範囲で配合することが好ましい。また前記シリコーン系難燃剤を使用する際、モリブデン化合物、アルミナ等を併用してもよい。
前記無機系難燃剤としては、例えば、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属粉、ホウ素化合物、低融点ガラス等が挙げられる。
前記金属水酸化物の具体例としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ジルコニウム等を挙げることができる。
前記金属酸化物の具体例としては、例えば、モリブデン酸亜鉛、三酸化モリブデン、スズ酸亜鉛、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングステン等を挙げることができる。
前記金属炭酸塩化合物の具体例としては、例えば、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸鉄、炭酸コバルト、炭酸チタン等を挙げることができる。
前記金属粉の具体例としては、例えば、アルミニウム、鉄、チタン、マンガン、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマス、クロム、ニッケル、銅、タングステン、スズ等を挙げることができる。
前記ホウ素化合物の具体例としては、例えば、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸、ホウ砂等を挙げることができる。
前記低融点ガラスの具体例としては、例えば、シープリー(ボクスイ・ブラウン社)、水和ガラスSiO−MgO−HO、PbO−B系、ZnO−P−MgO系、P−B−PbO−MgO系、P−Sn−O−F系、PbO−V−TeO系、Al−HO系、ホウ珪酸鉛系等のガラス状化合物を挙げることができる。
前記無機系難燃剤の配合量としては、無機系難燃剤の種類、硬化性樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合した硬化性樹脂組成物100質量部中、0.5〜50質量部の範囲で配合することが好ましく、特に5〜30質量部の範囲で配合することが好ましい。
前記有機金属塩系難燃剤としては、例えば、フェロセン、アセチルアセトナート金属錯体、有機金属カルボニル化合物、有機コバルト塩化合物、有機スルホン酸金属塩、金属原子と芳香族化合物又は複素環化合物がイオン結合又は配位結合した化合物等が挙げられる。
前記有機金属塩系難燃剤の配合量としては、有機金属塩系難燃剤の種類、硬化性樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合した硬化性樹脂組成物100質量部中、0.005〜10質量部の範囲で配合することが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて無機質充填材を配合することができる。前記無機質充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ等が挙げられる。前記無機充填材の配合量を特に大きくする場合は溶融シリカを用いることが好ましい。前記溶融シリカは破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高め且つ成形材料の溶融粘度の上昇を抑制するためには、球状のものを主に用いる方が好ましい。更に球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布を適当に調整することが好ましい。その充填率は硬化性樹脂組成物100質量部中、0.5〜100質量部の範囲で配合することが好ましい。また導電ペーストなどの用途に使用する場合は、銀粉や銅粉等の導電性充填剤を用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、シランカップリング剤、離型剤、顔料、乳化剤等の種々の配合剤を添加することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記した各成分を均一に混合することにより得られる。本発明のエポキシ樹脂、硬化剤、更に必要により硬化促進剤の配合された本発明の硬化性樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易に硬化物とすることができる。該硬化物としては積層物、注型物、接着層、塗膜、フィルム等の成形硬化物が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物が用いられる用途としては、プリント配線板材料、樹脂注型材料、接着剤、ビルドアップ基板用層間絶縁材料、ビルドアップ用接着フィルム等が挙げられる。また、これら各種用途のうち、プリント配線板や電子回路基板用絶縁材料、ビルドアップ用接着フィルム用途では、コンデンサ等の受動部品やICチップ等の能動部品を基板内に埋め込んだ所謂電子部品内蔵用基板用の絶縁材料として用いることができる。これらの中でも、高耐熱性及び低熱膨張性といった特性からプリント配線板材料やビルドアップ用接着フィルムに用いることが好ましい。
ここで、本発明の硬化性樹脂組成物からプリント回路基板を製造するには、前記有機溶剤(C)を含むワニス状の硬化性樹脂組成物を、補強基材に含浸し銅箔を重ねて加熱圧着させる方法が挙げられる。ここで使用し得る補強基材は、紙、ガラス布、ガラス不織布、アラミド紙、アラミド布、ガラスマット、ガラスロービング布などが挙げられる。かかる方法を更に詳述すれば、先ず、前記したワニス状の硬化性樹脂組成物を、用いた溶剤種に応じた加熱温度、好ましくは50〜170℃で加熱することによって、硬化物であるプリプレグを得る。この時用いる樹脂組成物と補強基材の質量割合としては、特に限定されないが、通常、プリプレグ中の樹脂分が20〜60質量%となるように調製することが好ましい。次いで、上記のようにして得られたプリプレグを、常法により積層し、適宜銅箔を重ねて、1〜10MPaの加圧下に170〜250℃で10分〜3時間、加熱圧着させることにより、目的とするプリント回路基板を得ることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物をレジストインキとして使用する場合には、例えば該硬化性樹脂組成物の触媒としてカチオン重合触媒を用い、更に、顔料、タルク、及びフィラーを加えてレジストインキ用組成物とした後、スクリーン印刷方式にてプリント基板上に塗布した後、レジストインキ硬化物とする方法が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物を導電ペーストとして使用する場合には、例えば、微細導電性粒子を該硬化性樹脂組成物中に分散させ異方性導電膜用組成物とする方法、室温で液状である回路接続用ペースト樹脂組成物や異方性導電接着剤とする方法が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物からビルドアップ基板用層間絶縁材料を得る方法としては例えば、ゴム、フィラーなどを適宜配合した当該硬化性樹脂組成物を、回路を形成した配線基板にスプレーコーティング法、カーテンコーティング法等を用いて塗布した後、硬化させる。その後、必要に応じて所定のスルーホール部等の穴あけを行った後、粗化剤により処理し、その表面を湯洗することによって、凹凸を形成させ、銅などの金属をめっき処理する。前記めっき方法としては、無電解めっき、電解めっき処理が好ましく、また前記粗化剤としては酸化剤、アルカリ、有機溶剤等が挙げられる。このような操作を所望に応じて順次繰り返し、樹脂絶縁層及び所定の回路パターンの導体層を交互にビルドアップして形成することにより、ビルドアップ基盤を得ることができる。但し、スルーホール部の穴あけは、最外層の樹脂絶縁層の形成後に行う。また、銅箔上で当該樹脂組成物を半硬化させた樹脂付き銅箔を、回路を形成した配線基板上に、170〜250℃で加熱圧着することで、粗化面を形成、メッキ処理の工程を省き、ビルドアップ基板を作製することも可能である。
本発明の硬化性樹脂組成物からビルドアップ用接着フィルムを製造する方法は、例えば、本発明の硬化性樹脂組成物を、支持フィルム上に塗布し樹脂組成物層を形成させて多層プリント配線板用の接着フィルムとする方法が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物をビルドアップ用接着フィルムに用いる場合、該接着フィルムは、真空ラミネート法におけるラミネートの温度条件(通常70℃〜140℃)で軟化し、回路基板のラミネートと同時に、回路基板に存在するビアホール或いはスルーホール内の樹脂充填が可能な流動性(樹脂流れ)を示すことが肝要であり、このような特性を発現するよう上記各成分を配合することが好ましい。
ここで、多層プリント配線板のスルーホールの直径は通常0.1〜0.5mm、深さは通常0.1〜1.2mmであり、通常この範囲で樹脂充填を可能とするのが好ましい。なお回路基板の両面をラミネートする場合はスルーホールの1/2程度充填されることが望ましい。
上記した接着フィルムを製造する方法は、具体的には、ワニス状の本発明の硬化性樹脂組成物を調製した後、支持フィルム(y)の表面に、このワニス状の組成物を塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて硬化性樹脂組成物の層(x)を形成させることにより製造することができる。
形成される層(x)の厚さは、通常、導体層の厚さ以上とする。回路基板が有する導体層の厚さは通常5〜70μmの範囲であるので、樹脂組成物層の厚さは10〜100μmの厚みを有するのが好ましい。
なお、本発明における層(x)は、後述する保護フィルムで保護されていてもよい。保護フィルムで保護することにより、樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。
前記した支持フィルム及び保護フィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、更には離型紙や銅箔、アルミニウム箔等の金属箔などを挙げることができる。なお、支持フィルム及び保護フィルムはマッド処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。
支持フィルムの厚さは特に限定されないが、通常10〜150μmであり、好ましくは25〜50μmの範囲で用いられる。また保護フィルムの厚さは1〜40μmとするのが好ましい。
上記した支持フィルム(y)は、回路基板にラミネートした後に、或いは加熱硬化することにより絶縁層を形成した後に、剥離される。接着フィルムを加熱硬化した後に支持フィルム(y)を剥離すれば、硬化工程でのゴミ等の付着を防ぐことができる。硬化後に剥離する場合、通常、支持フィルムには予め離型処理が施される。
次に、上記のようして得られた接着フィルムを用いて多層プリント配線板を製造する方法は、例えば、層(x)が保護フィルムで保護されている場合はこれらを剥離した後、層(x)を回路基板に直接接するように、回路基板の片面又は両面に、例えば真空ラミネート法によりラミネートする。ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。またラミネートを行う前に接着フィルム及び回路基板を必要により加熱(プレヒート)しておいてもよい。
ラミネートの条件は、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70〜140℃、圧着圧力を好ましくは1〜11kgf/cm(9.8×10〜107.9×10N/m)とし、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートすることが好ましい。
本発明の硬化物を得る方法としては、一般的な硬化性樹脂組成物の硬化方法に準拠すればよいが、例えば加熱温度条件は、組み合わせる硬化剤の種類や用途等によって、適宜選択すればよいが、上記方法によって得られた組成物を、20〜250℃程度の温度範囲で加熱すればよい。
次に本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において「部」及び「%」は特に断わりのない限り質量基準である。尚、GPCは以下の条件にて測定した。
[GPCの測定条件]
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
検出器: RI(示差屈折径)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)。
合成例1
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、2,7−ジヒドロキシナフタレンを240質量部(1.50モル)、37質量%ホルムアルデヒド水溶液85質量部(1.05モル)、イソプロピルアルコール376質量部、48%水酸化カリウム水溶液88質量部(0.75モル)を仕込み、室温下、窒素を吹き込みながら撹拌した。その後、75℃に昇温し2時間攪拌した。反応終了後、第1リン酸ソーダ108質量部を添加して中和した後、イソプロピルアルコールを減圧下除去し、メチルイソブチルケトン480質量部を加えた。得られた有機層を水200質量部で3回水洗を繰り返した後に、メチルイソブチルケトンを加熱減圧下に除去してフェノール化合物(A−1)245質量部得た。得られた化合物(A−1)の水酸基当量は84グラム/当量であった。
次いで、温度計、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら上記反応で得られたフェノール化合物(A−1)84質量部(水酸基1.0当量)、エピクロルヒドリン463質量部(5.0モル)、n−ブタノール53質量部を仕込み溶解させた。50℃に昇温した後に、20%水酸化ナトリウム水溶液220質量部(1.10モル)を3時間要して添加し、その後更に50℃で1時間反応させた。反応終了後、150℃減圧下で未反応エピクロルヒドリンを留去した。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン300質量部とn−ブタノール50質量部とを加え溶解した。更にこの溶液に10質量%水酸化ナトリウム水溶液15質量部を添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のpHが中性となるまで水100質量部で水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し、精密濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去して、下記構造式(i−α)で示されるシクロヘキサジエノン構造を有するエポキシ樹脂(A−2)126質量部を得た。得られたエポキシ樹脂(A−2)のエポキシ当量は170グラム/当量であった。
Figure 0005515878
合成例2
37質量%ホルムアルデヒド水溶液を122質量部(1.50モル)にした以外は合成例1と同様にして、目的のエポキシ樹脂(A−3)128質量部を得た。得られたエポキシ樹脂(A−3)のエポキシ当量は178グラム/当量であった。
合成例3
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、α−ナフトール505質量部(3.50モル)、水158質量部、蓚酸5質量部を仕込み、室温から100℃まで45分で昇温しながら撹拌した。続いて、42%ホルマリン水溶液177質量部(2.45モル)を1時間要して滴下した。滴下終了後、さらに100℃で1時間攪拌し、その後180℃まで3時間で昇温した。反応終了後、反応系内に残った水分を加熱減圧下に除去してナフトールノボラック樹脂(B−1)498質量部を得た。得られたナフトールノボラック樹脂(B−1)の水酸基当量は154グラム/当量であった。ナフトールノボラック樹脂(B−1)のGPCチャートを図1に示す。GPC測定によるα−ナフトールモノマーのGPC測定におけるピーク面積基準での含有率は3.0%であった。
合成例4
原料成分として、α−ナフトール505質量部(3.50モル)、軟化点75℃(B&R法)のクレゾールノボラック樹脂21質量部、42質量%ホルマリン水溶液186質量部(2.57モル)に変更した以外は合成例3と同様にしてナフトールノボラック樹脂(B−2)521質量部を得た。得られたナフトールノボラック樹脂(B−2)の水酸基当量は152グラム/当量であった。ナフトールノボラック樹脂(B−2)のGPCチャートを図2に示す。GPC測定によるα−ナフトールモノマーのGPC測定におけるピーク面積基準での含有率は3.8%であり、ナフトール骨格1モルあたりのフェノール骨格のモルの割合は0.05であった。
実施例1〜4、及び比較例1
下記表1記載の配合に従い、エポキシ樹脂として、前記エポキシ樹脂(A−2)、(A−3)及び比較用として下記構造式
Figure 0005515878
で表される4官能型ナフタレン系エポキシ樹脂(DIC(株)製「エピクロンHP−4700」エポキシ当量165グラム/当量)、硬化剤として前記ナフトールノボラック樹脂(B−1)、前記ナフトールノボラック樹脂(B−2)及びフェノールノボラック型フェノール樹脂(DIC(株)製「TD−2090」、水酸基当量:105g/eq)、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)を配合し、最終的に各組成物の不揮発分(N.V.)が58質量%となるようにメチルエチルケトンを配合して調整した。
次いで、下記の如き条件で硬化させて積層板を試作し、下記の方法で耐熱性及び熱膨張係数を評価した。結果を表1に示す。
<積層板作製条件>
基材:日東紡績株式会社製 ガラスクロス「#2116」(210×280mm)
プライ数:6 プリプレグ化条件:160℃
硬化条件:200℃、40kg/cmで1.5時間、成型後板厚:0.8mm
<耐熱性(ガラス転移温度)>
積層板を5mm×54mm×0.8mmのサイズに切り出し、これを試験片として粘弾性測定装置(DMA:レオメトリック社製固体粘弾性測定装置「RSAII」、レクタンギュラーテンション法:周波数1Hz、昇温速度3℃/分)を用いて、弾性率変化が最大となる(tanδ変化率が最も大きい)温度をガラス転移温度として評価した。
<低膨張係性(積層板の縦方向の線膨張係数)>
積層板を5mm×5mm×0.8mmのサイズに切り出し、これを試験片として熱機械分析装置(TMA:セイコーインスツルメント社製「SS−6100」)を用いて、圧縮モードで熱機械分析を行った。
測定条件
測定架重:88.8mN
昇温速度:3℃/分で2回
測定温度範囲:−50℃から300℃
上記条件での測定を同一サンプルにつき2回実施し、2回目の測定における、240℃から280℃の温度範囲における平均膨張係数を線膨張係数として評価した。
Figure 0005515878
実施例5〜8、及び比較例2(溶剤溶解性)
表2に記載の各評価対象樹脂10質量部とメチルエチルケトン4.3質量部をサンプル瓶中、密閉状態60℃で溶解させた。その後、25℃まで冷却し、結晶が析出するか評価した。結晶が析出しない場合は○、結晶が析出した場合は×として判定した。結果を表2に示す。
Figure 0005515878

表1及び表2中の略号は以下の通りである。
「A−2」:合成例1で得られたエポキシ樹脂(A−2)
「A−3」:合成例2で得られたエポキシ樹脂(A−3)
「HP−4700」:4官能型ナフタレン系エポキシ樹脂(DIC(株)製「エピクロンHP−4700」エポキシ当量165グラム/当量)
「B−1」:合成例3で得られたナフトールノボラック樹脂(B−1)
「B−2」:合成例4で得られたナフトールノボラック樹脂(B−2)
「TD−2090」:フェノールノボラック型フェノール樹脂(DIC(株)製「TD−2090」、水酸基当量:105g/eq)
「2E4MZ」:2−エチル−4−メチルイミダゾール

Claims (7)

  1. 分子構造中にナフタレン構造とシクロヘキサジエノン構造とがメチレン基を介して結節した骨格と、グリシジルオキシ基とを有するエポキシ樹脂(A)、及び硬化剤を必須成分とし、前記エポキシ樹脂(A)が、下記構造式(i)
    Figure 0005515878
    (式中、R は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4の炭化水素基、又は炭素原子数1〜2のアルコキシ基を示す。)
    で表される骨格を有する化合物(a)を含有するものであり、前記硬化剤がナフトールノボラック樹脂(B)であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 前記エポキシ樹脂(A)が、エポキシ当量150〜300g/eqのものである請求項記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記硬化剤がナフトールノボラック樹脂(B)に加え、ナフトール類(b2)を必須成分として含有するものであり、前記ナフトールノボラック樹脂(B)がナフトール類とホルムアルデヒドとの重縮合体(b1)であり、ナフトール類とホルムアルデヒドとの重縮合体(b1)とナフトール類(b2)との合計における前記ナフトール類(b2)の含有率が、GPC測定におけるピーク面積基準で1〜6%の範囲となるものである請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 前記硬化剤が、ナフトール類とホルムアルデヒドとの重縮合体(1)及びナフトール類(b2)に加え、更に、フェノールノボラック又はアルキルフェノールノボラック成分(3)を含有するものである請求項記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 前記ナフトールノボラック樹脂(B)が、その軟化点が110〜150℃の範囲にあるものである請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜の何れか1つに記載の硬化性樹脂組成物を硬化反応させてなることを特徴とする硬化物。
  7. 請求項1〜の何れか1つに記載の組成物に、更に有機溶剤(C)を配合してワニス化した樹脂組成物を、補強基材に含浸し銅箔を重ねて加熱圧着させることにより得られたプリント配線基板。
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