JP6002991B2 - 変性ナフトールノボラック樹脂の製造方法、エポキシ樹脂の製造方法 - Google Patents

変性ナフトールノボラック樹脂の製造方法、エポキシ樹脂の製造方法 Download PDF

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本発明は得られる硬化物の熱履歴後の耐熱性変化が少なく、低熱膨張性に優れ、プリント配線基板、半導体封止材、塗料、注型用途等に好適に用いる事が出来る変性ナフトール樹脂及びエポキシ樹脂を高い生産性で工業的に製造することが可能な変性ナフトールノボラック樹脂及びエポキシ樹脂の製造方法に関する。
エポキシ樹脂とフェノール性水酸基含有樹脂からなる硬化性樹脂組成物は、接着剤、成形材料、塗料、フォトレジスト材料、顕色材料等に用いられている他、得られる硬化物の優れた耐熱性や耐湿性などに優れる点から半導体封止材やプリント配線板用絶縁材料等の電気・電子分野で幅広く用いられている。
これらの各種用途のうち、プリント配線基板の分野では、電子機器の小型化・高性能化の流れに伴い、半導体装置の配線ピッチの狭小化による高密度化の傾向が著しく、これに対応した半導体実装方法として、はんだボールにより半導体装置と基板とを接合させるフリップチップ接続方式が広く用いられている。このフリップチップ接続方式では、配線板と半導体との間にはんだボールを配置、全体を加熱して溶融接合させる所謂リフロー方式による半導体実装方式であるため、はんだリフロー時に配線版自体が高熱環境に晒され、配線板の熱収縮により、配線板と半導体を接続するはんだボールに大きな応力が発生し、配線の接続不良を起こす場合があった。その為、プリント配線板に用いられる絶縁材料には、低熱膨張率の材料が求められている。
加えて、近年、環境問題に対する法規制等により、鉛を使用しない高融点はんだが主流となっており、リフロー温度が高くなっている。それに伴い、リフロー時の絶縁材料の耐熱性変化による、プリント配線基板の反りに起因する接続不良も深刻になってきている。すなわち、リフロー時の物性変化が少ない材料が求められている。
このような要求に対応するために、例えば、ナフトールとホルムアルデヒド反応させて得られるナフトールノボラック樹脂、及びこれをポリグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂を用いた熱硬化性樹脂組成物が、低熱膨張性等の技術課題を解決するものとして提案されている(下記特許文献1参照)。
然し乍ら、上記ナフトールノボラック樹脂及びエポキシ樹脂は一般的なフェノールノボラック型の樹脂と比較して剛直性の高い骨格を有することから、得られる硬化物の低熱膨張性を改良する効果は認められるものの、近年要求されるレベルを十分満足できるものではなかった。また、その硬化物は熱履歴により耐熱性変化が大きく変化するものであり、プリント配線基板用途においてリフロー後の耐熱性変化が大きく、前記したプリント配線基板の接続不良を生じやすいものであった。
その他のナフトール骨格含有樹脂の例として、ナフトールとビスフェノール化合物とエピクロルヒドリンを反応させて得られる変性ナフトールノボラック型エポキシ樹脂(下記特許文献2参照)や、パラクレゾールとホルムアルデヒドとを塩基性条件下にて反応させてパラクレゾールのジメチロール体を得、これを一度精製した後、これと2−ナフトールとを酸性条件下にて反応させて得られる変性ナフトールノボラック樹脂(下記特許文献3参照)、β−ナフトールとホルムアルデヒドとを塩基性条件下にて反応させてβ−ナフトールのメチロール体を得、これを一度精製した後、これとパラクレゾールとを酸性条件下反応させて得られる変性ナフトールノボラック樹脂等が知られている(下記特許文献4参照)。
しかしながら、前記特許文献2に記載の技術では適用できるビスフェノール化合物の種類が限られていることから樹脂設計の自由度が小さい上、得られる樹脂の性能は十分なものではなく、熱膨張性や熱履歴による耐熱性変化が大きいものであった。他方、前記特許文献3又は4に記載の変性ナフトールノボラック樹脂はその製造方法が非常に煩雑であり、フェノール性化合物とホルムアルデヒドとを塩基性条件下で反応させてフェノール性化合物のメチロール体を得た後、これを一度精製し、次いで酸性条件下に切り替えて他のフェノール性化合物と反応させるという、複数の工程を必要とするものであった。また、このような方法により得られる変性ナフトールノボラック樹脂は、耐熱性の高いナフトール骨格を含有することから一般的なフェノールノボラック型エポキシ樹脂と比較して耐熱性に優れる特徴を有するものの、副生成物として構造が制御されない高分子量成分を多く含有するため、熱膨張率や熱履歴による耐熱性変化が大きいものであった。
特公昭62−20206号公報 特開平4−198314号公報 特開平3−220219号公報 特許第3982659号公報
従って、本発明が解決しようとする課題は、硬化物の熱履歴後の耐熱性変化が少なく、低熱膨張性に優れる変性ナフトール樹脂及びエポキシ樹脂を高い生産性で工業的に製造することが可能な変性ナフトールノボラック樹脂及びエポキシ樹脂の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、フェノール性水酸基含有化合物(A)の間にその他のフェノール性水酸基含有化合物(B)を挟む形のオリゴマー(以下「(A)−(B)−(A)型オリゴマー」と略記する。)を高濃度で得ようとする場合、従来の方法においては、成分(A)又は成分(B)とホルムアルデヒドとをアルカリ触媒条件下で反応させて成分(A)又は成分(B)のメチロール化体を得た後、該メチロール体を一度精製し、次いで前記メチロール体と他方の反応成分とを酸触媒条件下で反応させて目的のオリゴマーを得るという最低3つの工程が必要であったところ、原料成分の一つとしてβ−ナフトール化合物(A)を選択し、かつ、アルカリ触媒を反応原料が有する水酸基の総数1モルに対し0.1〜2.0モルの範囲で用いることにより、(A)−(B)−(A)型オリゴマーを高濃度で含む変性ナフトールノボラック樹脂をワンポットで製造することが出来ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、β−ナフトール化合物(A)と、下記一般式(1)
Figure 0006002991
(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、水酸基、フェニル基、芳香核上の水素原子が炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、又は水酸基で置換されたフェニル基を表す。)
で表されるフェノール化合物(B)と、ホルムアルデヒドとを、アルカリ触媒の存在下で反応させる変性ナフトールノボラック樹脂(X)の製造方法であって、前記アルカリ触媒の使用量が、前記βナフトール化合物(A)と、前記フェノール化合物(B)とが有するフェノール性水酸基の総数1モルに対し、0.1〜2.0モルの範囲であることを特徴とする変性ナフトールノボラック樹脂(X)の製造方法に関する。
本発明は、更に、前記製造方法により得られる変性ナフトールノボラック樹脂(X)に関する。
本発明は、更に、前記変性ナフトールノボラック樹脂(X)を、更に、塩基性条件下でエピハロヒドリンと反応させるエポキシ樹脂(Y)の製造方法に関する。
本発明によれば、得られる硬化物の熱履歴後の耐熱性変化が少なく、低熱膨張性に優れる変性ナフトール樹脂及びエポキシ樹脂を高い生産性で工業的に製造することが可能な変性ナフトールノボラック樹脂及びエポキシ樹脂の製造方法を提供することが出来る。
図1は、実施例1で得られた変性ナフトールノボラック樹脂(X−1)のGPCチャートである。 図2は、実施例2で得られたエポキシ樹脂(Y−1)のGPCチャートである。 図3は、実施例3で得られた変性ナフトールノボラック樹脂(X−2)のGPCチャートである。 図4は、実施例4で得られたエポキシ樹脂(Y−2)のGPCチャートである。 図5は、実施例4で得られたエポキシ樹脂(Y−2)の13C−NMRチャートである。 図6は、実施例4で得られたエポキシ樹脂(Y−2)のMSスペクトルである。 図7は、実施例5で得られた変性ナフトールノボラック樹脂(X−3)のGPCチャートである。 図8は、実施例6で得られたエポキシ樹脂(Y−3)のGPCチャートである。 図9は、実施例6で得られたエポキシ樹脂(Y−3)の13C−NMRチャートである。 図10は、実施例6で得られたエポキシ樹脂(Y−3)のMSスペクトルである。 図11は、実施例7で得られた変性ナフトールノボラック樹脂(X−4)のGPCチャートである。 図12は、実施例8で得られたエポキシ樹脂(Y−4)のGPCチャートである。 図13は、実施例8で得られたエポキシ樹脂(Y−4)の13C−NMRチャートである。 図14は、実施例8で得られたエポキシ樹脂(Y−4)のMSスペクトルである。 図15は、比較製造例1で得られたナフトール樹脂(X’−1)のGPCチャートである。 図16は、比較製造例2で得られたエポキシ樹脂(Y’−1)のGPCチャートである。 図17は、比較製造例3で得られた変性ナフトール樹脂(X’−2)のGPCチャートである。 図18は、比較製造例4で得られた変性ナフトール樹脂(X’−3)のGPCチャートである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の変性ナフトールノボラック樹脂(X)の製造方法は、β−ナフトール化合物(A)と、下記一般式(1)
Figure 0006002991
(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、水酸基、フェニル基、芳香核上の水素原子が炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、又は水酸基で置換されたフェニル基を表す。)
で表されるフェノール化合物(B)と、ホルムアルデヒドとを、アルカリ触媒の存在下で反応させることを特徴とする。本発明の製造方法によれば、2つのβ−ナフトール化合物(A)の間に前記フェノール化合物(B)を挟む形のオリゴマー、所謂(A)−(B)−(A)型オリゴマーを高濃度で含有し、構造が制御されない高分子量の副生成物の少ない変性ナフトールノボラック樹脂(X)を非常に簡便に製造することが出来る。
ここで、前記(A)−(B)−(A)型オリゴマーは、反応点であるフェノール性水酸基濃度が高く、かつ、分子の両端に配向性の高いβ−ナフトール骨格を有することから、樹脂の反応性を向上させ架橋密度を高めることにより熱履歴後の耐熱性変化を抑制する効果と、硬化物における熱膨張率を低減する効果との両方を有する。
前述の通り、従来の方法によりフェノール性水酸基を有する化合物(A)と(B)とを用いて(A)−(B)−(A)型のオリゴマーを得ようとする場合、成分(A)又は成分(B)とホルムアルデヒドとをアルカリ触媒条件下で反応させて成分(A)又は成分(B)のメチロール化体を得た後、該メチロール体を一度精製し、次いで前記メチロール体と他方の反応成分とを酸触媒条件下で反応させて目的のオリゴマーを得るという最低3つの工程が必要であった。更に、これをグリシジルエーテル化してエポキシ樹脂を得る場合には再度アルカリ触媒条件下に変えてエピハロヒドリンと反応させる必要があり、更に煩雑な製造工程となる。また、反応を制御することが難しいことから、目的物である(A)−(B)−(A)型オリゴマー以外にも構造が制御されない高分子量の副生成物が多く生成するため、このような方法により得られるノボラック樹脂を用いた硬化物は線膨張係数が高く、熱履歴後の耐熱性変化も大きいものであった。
これに対し本願発明の変性ナフトールノボラック樹脂の製造方法では、反応原料の全て、即ち、β−ナフトール化合物(A)と、前記一般式(1)で表されるフェノール化合物(B)と、ホルムアルデヒドとを、アルカリ触媒の存在下で反応させることから、ワンポットでの効率的な製造が可能となる。また、本発明の製造方法では得られる樹脂の構造を緻密に制御することが出来、構造が制御されない高分子量の副生成物の生成を抑制できる。従って、本発明の製造方法により得られる変性ナフトールノボラック樹脂(X)は前記(A)−(B)−(A)型オリゴマーの他、下記一般式(I)
Figure 0006002991
(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、水酸基、フェニル基、芳香核上の水素原子が炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、又は水酸基で置換されたフェニル基を表し、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、nは2以上の整数を表す。)
で表されるような多官能化合物や、下記構造式(II)
Figure 0006002991
(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基を示す。)
で表されるβ−ナフトール化合物(A)の2量体のような特定の化学構造を有する成分を高濃度で含有するものとなり、これを用いた硬化物は熱膨張係数が低く、熱履歴後の耐熱性変化も小さいものとなる。
本発明の変性ナフトールノボラック樹脂(X)の製造方法をより具体的に説明すると、下記方法1又は方法2が挙げられる。
方法1:アルカリ触媒の存在下、β−ナフトール化合物(A)とホルムアルデヒドとを反応させた後、反応系中に前記一般式(1)で表されるフェノール化合物(B)を加えて反応させ、目的とする変性ナフトールノボラック樹脂(X)を得る方法。
方法2:アルカリ触媒の存在下、β−ナフトール化合物(A)、前記一般式(1)で表されるフェノール化合物(B)及びホルムアルデヒドを反応させて、目的とする変性ナフトールノボラック樹脂(X)を得る方法。
本発明では、上記方法1又は2において、反応触媒として、反応原料が含有するフェノール性水酸基1モルに対し0.1〜2.0モルの範囲でアルカリ触媒を用いることにより、前記(A)−(B)−(A)型オリゴマーを高濃度で含有する変性ナフトールノボラック樹脂(X)を製造することが出来る。
本発明で用いるアルカリ触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、金属ナトリウム、金属リチウム、水素化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機アルカリ類などが挙げられる。その使用量は、原料成分であるβ−ナフトール化合物(A)と、前記フェノール化合物(B)とが含有するフェノール性水酸基の総数1モルに対して、モル基準で0.1〜2.0モルとなる範囲であることが好ましく、0.2〜1.0モルとなる範囲であることがより好ましい。0.1モルより少ない場合、β−ナフトール化合物(A)の2量体が反応系外に析出し、所望のノボラック化反応が進行し難くなる。
また、本発明の製造方法では、必要に応じて有機溶剤を用いてもよい。有機溶剤としては、メチルセロソルブ、イソプロピルアルコール、エチルセロソルブ、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらのなかでもとりわけ前記(A)−(B)−(A)型オリゴマーが効率的に生成することからイソプロピルアルコールが好ましい。本発明における有機溶剤の使用量は、原料成分であるβ−ナフトール化合物(A)と、前記一般式(1)で表されるフェノール化合物(B)との総質量100質量部あたり、5〜70質量部の範囲であることが、前記(A)−(B)−(A)型オリゴマーをより効率よく製造できることから好ましい。
本発明において必須の原料成分であるβ−ナフトール化合物(A)は、β−ナフトール及びこれらにメチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基が核置換した化合物等が挙げられる。これらの中でも置換基を有しないβ−ナフトールが、最終的に得られる変性ナフトールノボラック樹脂(X)及びこれをエポキシ化して得られるエポキシ樹脂(Y)の硬化物における熱履歴後の耐熱性変化が少なくなる点から好ましい。
本発明で用いるフェノール化合物(B)は、下記一般式(1)
Figure 0006002991
(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、水酸基、フェニル基、芳香核上の水素原子が炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、又は水酸基で置換されたフェニル基を表す。)
で表される化合物であり、これらは、βナフトールとの反応性が異なることから従来の方法では所望のノボラック化反応が進行しなかった、或いは、反応は進行するもののその分子構造を制御することが困難であった化合物である。
前記一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、水酸基、フェニル基、芳香核上の水素原子が炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、又は水酸基で置換されたフェニル基、アラルキル基の何れかであるが、より反応性の高い化合物であることから、Rが水素原子であることが好ましい。このようなフェノール化合物(B)は、具体的には、フェノール、ビフェノール、フェニルフェノール及びこれらにメチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基が核置換した化合物等が挙げられる。これらの中でも4,4’−ビフェノール、パラフェニルフェノール、パラクレゾール、オルソクレゾールが、最終的に得られる変性ナフトールノボラック樹脂(X)及びこれをエポキシ化して得られるエポキシ樹脂(Y)の硬化物における熱履歴後の耐熱性変化が少なくなる点から好ましい。
一方、ここで用いるホルムアルデヒドは、水溶液の状態であるホルマリン溶液でも、固形状態であるパラホルムアルデヒドでもよい。
前記方法1又は方法2における前記β−ナフトール化合物(A)と、前記フェノール化合物(B)との使用割合は、モル比[フェノール化合物(B)/β−ナフトール化合物(A)]が[1/0.4]〜[1/8]となる範囲であることが、最終的に得られる変性ナフトールノボラック樹脂(X)及びこれをグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂(Y)中における(A)−(B)−(A)型オリゴマーの含有率を調整し易くなることから好ましい。
ホルムアルデヒドの反応仕込み比率は、β−ナフトール化合物(A)と、前記フェノール化合物(B)との総モル数に対して、ホルムアルデヒドが、モル基準で0.6〜2.0倍量となる割合であること、特に、低熱膨張性に優れる硬化物が得られることから、0.6〜1.5倍量となる割合であることが好ましい。
前記方法1では、反応容器に、所定量のβ−ナフトール化合物(A)、ホルムアルデヒド、有機溶剤、及びアルカリ触媒と仕込み、40〜100℃にて反応させた後、反応系中に前記フェノール化合物(B)(必要に応じて、更にホルムアルデヒド)を加え、40〜100℃の温度条件下に反応させることにより、目的とする変性ナフトール樹脂(X)を製造することが出来る。
前記方法1の反応時間は、前記(A)−(B)−(A)型オリゴマーをより高濃度で含有する変性ナフトール樹脂が得られることから、合計で5〜20時間の範囲であることが好ましく、6〜18時間の範囲であることがより好ましい。
反応終了後は、反応混合物のpH値が4〜7になるまで中和あるいは水洗処理を行う。中和処理や水洗処理は常法にしたがって行えばよく、例えば酢酸、燐酸、燐酸ナトリウム等の酸性物質を中和剤として用いることができる。中和あるいは水洗処理を行った後、減圧加熱下で有機溶剤を留去し目的とする変性ナフトールノボラック樹脂(X)を得ることができる。
前記方法2では、反応容器に、所定量のβ−ナフトール化合物(A)、前記フェノール化合物(B)、ホルムアルデヒド、有機溶剤、及びアルカリ触媒を仕込み、40〜100℃にて反応させて目的とする変性ナフトールノボラック樹脂(X)を製造することができる。
前記方法2の反応時間は、前記(A)−(B)−(A)型オリゴマーをより高濃度で含有する変性ナフトールノボラック樹脂(X)が得られることから、5〜20時間の範囲であることが好ましく、6〜18時間の範囲であることがより好ましい。
反応終了後は、反応混合物のpH値が4〜7になるまで中和あるいは水洗処理を行う。中和処理や水洗処理は常法にしたがって行えばよく、例えば酢酸、燐酸、燐酸ナトリウム等の酸性物質を中和剤として用いることができる。中和あるいは水洗処理を行った後、減圧加熱下で有機溶剤を留去し目的とする変性ナフトールノボラック樹脂(X)を得ることができる。
このような方法により得られる変性ナフトールノボラック樹脂(X)の水酸基当量は、前記フェノール化合物(B)としていずれの化合物を用いるかによってもその最適値が異なるが、100〜200g/eqの範囲であることが、硬化物の低熱膨張性が良好となる点から好ましく、特に110〜170g/eqの範囲であることが好ましい。
本発明の製造方法により得られる変性ナフトールノボラック樹脂(X)は、前述の通り、2つのβ−ナフトール化合物(A)の間に前記一般式(1)で表されるフェノール化合物(B)を挟む形のオリゴマー、所謂(A)−(B)−(A)型オリゴマーを高濃度で含有する。このような(A)−(B)−(A)型オリゴマーを高濃度で含有する。この
前記フェノール化合物(B)として4,4’−ビフェノールを用いた場合、(A)−(B)−(A)型オリゴマーは下記構造式(2)
Figure 0006002991
(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基を示す。)
で表されるものであり、より具体的には、下記構造式(2−1)〜(2−6)
Figure 0006002991
で表される化合物が挙げられる。これらの中でも特に前記構造式(2−1)で表されるもの、即ち、前記構造式(2)におけるR及びRが全て水素原子であるものが、硬化物における熱履歴後の耐熱性変化が小さくなることから好ましい。
前記フェノール化合物(B)としてパラフェニルフェノールを用いた場合、(A)−(B)−(A)型オリゴマーは下記構造式(3)
Figure 0006002991
(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基を示す。)
で表されるものであり、より具体的には、下記構造式(3−1)〜(3−6)
Figure 0006002991
で表される化合物が挙げられる。これらの中でも特に前記構造式(3−1)で表されるもの、即ち、前記構造式(3)におけるR及びRが全て水素原子であるものが、硬化物における熱履歴後の耐熱性変化が小さくなることから好ましい。
前記フェノール化合物(B)としてパラクレゾールを用いた場合、(A)−(B)−(A)型オリゴマーは下記構造式(4)
Figure 0006002991
(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基を示す。)
で表されるものであり、より具体的には、下記構造式(4−1)〜(4−6)
Figure 0006002991
で表される化合物が挙げられる。これらの中でも特に前記構造式(4−1)で表されるもの、即ち、前記構造式(4)におけるR及びRが全て水素原子であるものが、硬化物における熱履歴後の耐熱性変化が小さくなることから好ましい。
前記フェノール化合物(B)としてオルソクレゾールを用いた場合、(A)−(B)−(A)型オリゴマーは下記構造式(5)
Figure 0006002991
(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基を示す。)
で表されるものであり、より具体的には、下記構造式(5−1)〜(5−6)
Figure 0006002991
で表される化合物が挙げられる。これらの中でも特に前記構造式(5−1)で表されるもの、即ち、前記構造式(5)におけるR及びRが全て水素原子であるものが、硬化物における熱履歴後の耐熱性変化が小さくなることから好ましい。
また、前述の通り、本発明で得られる変性ナフトールノボラック樹脂(X)は、前記(A)−(B)−(A)型オリゴマーの他、下記一般式(I)
Figure 0006002991
(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、水酸基、フェニル基、芳香核上の水素原子が炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、又は水酸基で置換されたフェニル基を表し、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、nは2以上の整数を表す。)
で表されるような多官能化合物や、下記構造式(II)
Figure 0006002991
(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基を示す。)
で表されるβ−ナフトール化合物(A)の2量体を含有していても良い。前記多官能化合物は、反応点であるフェノール性水酸基の濃度と分子構造中の芳香環濃度とのバランスに優れることから、樹脂の反応性を向上させ架橋密度を高めることにより熱履歴後の耐熱性変化を抑制する効果が非常に高い特徴を有する。また、該2量体は配向性の高いβ−ナフトール骨格を高濃度で含有することから、低熱膨張性をより向上させる効果を奏する。
尚、本発明の製造方法により得られる変性ナフトールノボラック樹脂(X)は、その高分子量成分がランダムな構造を有するものではなく、前記構造式(I)で表される化学構造を瀬宅的に有する多官能化合物となる。かかる変性ナフトールノボラック樹脂(X)の化学構造は、GPC測定を行った場合に、高分子領域がブロードなピークを形成することなく、前記構造式(I)におけるnの値がそれぞれ異なる化合物に由来する独立したピークが観察されることから確認できる。
本発明の変性ナフトールノボラック樹脂(X)における前記(A)−(B)−(A)型オリゴマー、前記多官能化合物、及び前記β−ナフトール化合物の2量体の含有率は、前記フェノール化合物(B)としていずれの化合物を用いるかによってもその最適値が異なるが、本発明の製造方法に寄れば容易に所望の値に調整することが可能である。
例えば、前記フェノール性化合物(B)として4,4’−ビフェノールを用いる場合、前記構造式(2)で表される(A)−(B)−(A)型オリゴマーの含有率は、熱膨張性と熱履歴後の耐熱性変化とが共に小さい硬化物が得られ、且つ、溶剤溶解性にも優れる樹脂となることから、GPC測定における面積比率で25%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましい。
前記フェノール化合物(B)としてパラフェニルフェノールを用いる場合、前記構造式(3)で表される(A)−(B)−(A)型オリゴマーの含有率は、熱膨張性と熱履歴後の耐熱性変化とが共に小さい硬化物が得られ、且つ、溶剤溶解性にも優れる樹脂となることから、GPC測定における面積比率で50〜95%の範囲であることが好ましく、60〜90%の範囲であることがより好ましい。また、前記β−ナフトール化合物の2量体の含有率は、硬化物が優れた低熱膨張性を有し、且つ、溶剤溶解性にも優れる樹脂となることから、GPC測定における面積比率で1〜25%の範囲であることが好ましい。
前記フェノール化合物(B)としてパラクレゾールを用いる場合、前記構造式(4)で表される(A)−(B)−(A)型オリゴマーの含有率は、熱膨張性と熱履歴後の耐熱性変化とが共に小さい硬化物が得られ、且つ、溶剤溶解性にも優れる樹脂となることから、GPC測定における面積比率で55%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。また、前記β−ナフトール化合物の2量体の含有率は、硬化物が優れた低熱膨張性を有し、且つ、溶剤溶解性にも優れる樹脂となることから、GPC測定における面積比率で3〜20%の範囲であることが好ましい。
前記フェノール化合物(B)としてオルソクレゾールを用いる場合、前記構造式(5)で表される(A)−(B)−(A)型オリゴマーの含有率は、熱膨張性と熱履歴後の耐熱性変化とが共に小さい硬化物が得られ、且つ、溶剤溶解性にも優れる樹脂となることから、GPC測定における面積比率で35%以上の範囲であることが好ましい。また、前記β−ナフトール化合物の2量体の含有率は、硬化物が優れた低熱膨張性を有し、且つ、溶剤溶解性にも優れる樹脂となることから、GPC測定における面積比率で10〜30%の範囲であることが好ましい。
本発明において、得られる変性ナフトールノボラック樹脂(X)中の前記(A)−(B)−(A)型オリゴマー、前記多官能化合物、及び前記β−ナフトール化合物(A)の2量体の含有率とは、下記の条件によるGPC測定によって計算される、変性ナフトールノボラック樹脂(X)の全ピーク面積に対する前記各構造体のピーク面積の存在割合である。
<GPC測定条件>
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
検出器: RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)。
次に、本発明エポキシ樹脂(Y)の製造方法について説明する。本発明の製造方法では、前記方法1又は方法2で得られた変性ナフトールノボラック樹脂(X)と、エピハロヒドリンとを反応させることによって、前記変性ナフトールノボラック樹脂(X)のフェノール性水酸基をグリシジルエーテル化し、目的とするエポキシ樹脂(Y)を得る。
該方法は、具体的には、前記変性ナフトールノボラック樹脂(X)中のフェノール性水酸基のモル数に対し、エピハロヒドリンを2〜10倍量(モル基準)となる割合で添加し、更に、フェノール性水酸基のモル数に対し0.9〜2.0倍量(モル基準)の塩基性触媒を一括添加または徐々に添加しながら20〜120℃の温度で0.5〜10時間反応させる方法が挙げられる。この塩基性触媒は固形でもその水溶液を使用してもよく、水溶液を使用する場合は、連続的に添加すると共に、反応混合物中から減圧下、または常圧下、連続的に水及びエピハロヒドリン類を留出せしめ、更に分液して水は除去しエピハロヒドリンは反応混合物中に連続的に戻す方法でもよい。
なお、工業生産を行う際、エポキシ樹脂生産の初バッチでは仕込みに用いるエピハロヒドリン類の全てが新しいものであるが、次バッチ以降は、粗反応生成物から回収されたエピハロヒドリン類と、反応で消費される分で消失する分に相当する新しいエピハロヒドリン類とを併用することが好ましい。この時、使用するエピハロヒドリンは特に限定されないが、例えばエピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン等が挙げられる。なかでも工業的入手が容易なことからエピクロルヒドリンが好ましい。
また、前記塩基性触媒は、具体的には、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属水酸化物等が挙げられる。特にエポキシ樹脂(Y)合成反応の触媒活性に優れる点からアルカリ金属水酸化物が好ましく、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。使用に際しては、これらの塩基性触媒を10〜55質量%程度の水溶液の形態で使用してもよいし、固形の形態で使用しても構わない。また、有機溶媒を併用することにより、エポキシ樹脂の合成における反応速度を高めることができる。このような有機溶媒としては特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、1−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール等のアルコール化合物、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン、1、3−ジオキサン、ジエトキシエタン等のエーテル化合物、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で使用してもよいし、また、極性を調整するために適宜2種以上を併用してもよい。
前述のエポキシ化反応の反応物を水洗後、加熱減圧下、蒸留によって未反応のエピハロヒドリンや併用する有機溶媒を留去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、得られたエポキシ樹脂を再びトルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンなどの有機溶媒に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えてさらに反応を行うこともできる。この際、反応速度の向上を目的として、4級アンモニウム塩やクラウンエーテル等の相関移動触媒を存在させてもよい。相関移動触媒を使用する場合のその使用量としては、用いるエポキシ樹脂100質量部に対して0.1〜3.0質量部となる割合であることが好ましい。反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に、加熱減圧下トルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤を留去することにより目的とする本発明のエポキシ樹脂(Y)を得ることができる。
このような方法により製造される本発明のエポキシ樹脂(Y)の軟化点は、前記その他のフェノール性水酸基含有化合物(B)としていずれの化合物を用いるかによってもその最適値が異なるが、70〜140℃の範囲であることが、エポキシ樹脂自体の溶剤溶解性に優れる点から好ましく75〜120℃の範囲であることが好ましい。
また、本発明のエポキシ樹脂(Y)のエポキシ当量は、前記その他のフェノール性水酸基含有化合物(B)としていずれの化合物を用いるかによってもその最適値が異なるが、170〜300g/eqの範囲であることが、硬化物の低熱膨張性が良好となる点から好ましく、特に190〜280g/eqの範囲であることが好ましい。
本発明の製造方法で得られる前記変性ナフトールノボラック樹脂(X)と前記エポキシ樹脂(Y)とは、それぞれエポキシ樹脂又はエポキシ樹脂用硬化剤と組み合わせて硬化性樹脂組成物として用いることが出来る。
前記変性ナフトールノボラック樹脂(X)をエポキシ樹脂の硬化剤として用いる場合、これと組み合わせて用いるエポキシ樹脂は、例えば、前記エポキシ樹脂(Y)の他、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂等のビフェニル型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノール化合物とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;トリフェニルメタン型エポキシ樹脂;テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂;フェノールアラルキル型エポキシ樹脂;ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ジグリシジルオキシナフタレン、1,1−ビス(2,7−ジグリシジルオキシ−1−ナフチル)アルカン等の分子構造中にナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂;リン原子含有エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらのなかでも、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂や、ナフタレン骨格を含有するナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂や、結晶性のビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、キサンテン型エポキシ樹脂や、アルコキシ基含有芳香環変性ノボラック型エポキシ樹脂(ホルムアルデヒドでグリシジル基含有芳香環及びアルコキシ基含有芳香環が連結された化合物)等が耐熱性に優れる硬化物が得られる点から特に好ましい。
また、前記エポキシ樹脂(Y)と組み合わせて用いるエポキシ樹脂用硬化剤は、例えば、前記変性ナフトールノボラック樹脂(X)の他、アミン系化合物、アミド系化合物、酸無水物系化合物、フェノ−ル系化合物などが挙げられる。具体的には、アミン系化合物としてはジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、イミダゾ−ル、BF−アミン錯体、グアニジン誘導体等が挙げられ、アミド系化合物としては、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂等が挙げられ、酸無水物系化合物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられ、フェノール系化合物としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(ザイロック樹脂)、レゾルシンノボラック樹脂に代表される多価ヒドロキシ化合物とホルムアルデヒドから合成される多価フェノールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価フェノール化合物)、ビフェニル変性ナフトール樹脂(ビスメチレン基でフェノール核が連結された多価ナフトール化合物)、アミノトリアジン変性フェノール樹脂(メラミン、ベンゾグアナミンなどでフェノール核が連結された多価フェノール化合物)やアルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂(ホルムアルデヒドでフェノール核及びアルコキシ基含有芳香環が連結された多価フェノール化合物)等の多価フェノール化合物、ポリフェニレンエーテル樹脂、前記各種フェノール系化合物のシアネートエステル、前記各種フェノール系化合物の活性エステル等が挙げられる。
これらの中でも、特に芳香族骨格を分子構造内に多く含むものが低熱膨張性の点から好ましく、具体的には、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、レゾルシンノボラック樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、ビフェニル変性ナフトール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂、アルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂(ホルムアルデヒドでフェノール核及びアルコキシ基含有芳香環が連結された多価フェノール化合物)が低熱膨張性に優れることから好ましい。
前記樹脂組成物においてエポキシ樹脂と硬化剤の配合量は特に制限されるものではないが、得られる硬化物特性が良好である点から、エポキシ樹脂のエポキシ基の合計1当量に対して、硬化剤中の活性基が0.7〜1.5当量になる量が好ましい。
前記硬化性樹脂組成物には、必要に応じて硬化促進剤を適宜併用することもできる。前記硬化促進剤としては種々のものが使用できるが、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。特に半導体封止材料用途として使用する場合には、硬化性、耐熱性、電気特性、耐湿信頼性等に優れる点から、リン系化合物ではトリフェニルフォスフィン、第3級アミンでは1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−ウンデセン(DBU)が好ましい。
本発明の製造方法で得られる変性ナフトールノボラック樹脂(X)及びエポキシ樹脂(Y)は溶剤溶解性を発現することを特徴としており、上記各成分の他に有機溶剤を配合することができる。ここで使用し得る前記有機溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、エチルジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられ、その選択や適正な使用量は用途によって適宜選択し得るが、例えば、プリント配線板用途では、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド等の沸点が160℃以下の極性溶剤であることが好ましく、また、不揮発分40〜80質量%となる割合で使用することが好ましい。一方、ビルドアップ用接着フィルム用途では、有機溶剤として、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を用いることが好ましく、また、不揮発分30〜60質量%となる割合で使用することが好ましい。
また、前記熱硬化性樹脂組成物は、難燃性を発揮させるために、例えばプリント配線板の分野においては、信頼性を低下させない範囲で、実質的にハロゲン原子を含有しない非ハロゲン系難燃剤を配合してもよい。
前記非ハロゲン系難燃剤としては、例えば、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、無機系難燃剤、有機金属塩系難燃剤等が挙げられ、それらの使用に際しても何等制限されるものではなく、単独で使用しても、同一系の難燃剤を複数用いても良く、また、異なる系の難燃剤を組み合わせて用いることも可能である。
前記リン系難燃剤としては、無機系、有機系のいずれも使用することができる。無機系化合物としては、例えば、赤リン、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム類、リン酸アミド等の無機系含窒素リン化合物が挙げられる。
また、前記赤リンは、加水分解等の防止を目的として表面処理が施されていることが好ましく、表面処理方法としては、例えば、(i)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、硝酸ビスマス又はこれらの混合物等の無機化合物で被覆処理する方法、(ii)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等の無機化合物、及びフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂の混合物で被覆処理する方法、(iii)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等の無機化合物の被膜の上にフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂で二重に被覆処理する方法等が挙げられる。
前記有機リン系化合物としては、例えば、リン酸エステル化合物、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物、有機系含窒素リン化合物等の汎用有機リン系化合物の他、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン=10−オキシド、10−(2,5―ジヒドロオキシフェニル)―10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン=10−オキシド、10―(2,7−ジヒドロオキシナフチル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン=10−オキシド等の環状有機リン化合物、及びそれをエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の化合物と反応させた誘導体等が挙げられる。
それらの配合量としては、リン系難燃剤の種類、硬化性樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合した硬化性樹脂組成物100質量部中、赤リンを非ハロゲン系難燃剤として使用する場合は0.1〜2.0質量部の範囲で配合することが好ましく、有機リン化合物を使用する場合は同様に0.1〜10.0質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.5〜6.0質量部の範囲で配合することが好ましい。
また前記リン系難燃剤を使用する場合、該リン系難燃剤にハイドロタルサイト、水酸化マグネシウム、ホウ化合物、酸化ジルコニウム、黒色染料、炭酸カルシウム、ゼオライト、モリブデン酸亜鉛、活性炭等を併用してもよい。
前記窒素系難燃剤としては、例えば、トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物、フェノチアジン等が挙げられ、トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物が好ましい。
前記トリアジン化合物としては、例えば、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メロン、メラム、サクシノグアナミン、エチレンジメラミン、ポリリン酸メラミン、トリグアナミン等の他、例えば、(i)硫酸グアニルメラミン、硫酸メレム、硫酸メラムなどの硫酸アミノトリアジン化合物、(ii)フェノール、クレゾール、キシレノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール等のフェノール類と、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ホルムグアナミン等のメラミン類およびホルムアルデヒドとの共縮合物、(iii)前記(ii)の共縮合物とフェノールホルムアルデヒド縮合物等のフェノール樹脂類との混合物、(iv)前記(ii)、(iii)を更に桐油、異性化アマニ油等で変性したもの等が挙げられる。
前記シアヌル酸化合物の具体例としては、例えば、シアヌル酸、シアヌル酸メラミン等を挙げることができる。
前記窒素系難燃剤の配合量としては、窒素系難燃剤の種類、硬化性樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合した硬化性樹脂組成物100質量部中、0.05〜10質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.1〜5質量部の範囲で配合することが好ましい。
また前記窒素系難燃剤を使用する際、金属水酸化物、モリブデン化合物等を併用してもよい。
前記シリコーン系難燃剤としては、ケイ素原子を含有する有機化合物であれば特に制限がなく使用でき、例えば、シリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーン樹脂等が挙げられる。
前記シリコーン系難燃剤の配合量としては、シリコーン系難燃剤の種類、硬化性樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合した硬化性樹脂組成物100質量部中、0.05〜20質量部の範囲で配合することが好ましい。また前記シリコーン系難燃剤を使用する際、モリブデン化合物、アルミナ等を併用してもよい。
前記無機系難燃剤としては、例えば、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属粉、ホウ素化合物、低融点ガラス等が挙げられる。
前記金属水酸化物の具体例としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ジルコニウム等を挙げることができる。
前記金属酸化物の具体例としては、例えば、モリブデン酸亜鉛、三酸化モリブデン、スズ酸亜鉛、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングステン等を挙げることができる。
前記金属炭酸塩化合物の具体例としては、例えば、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸鉄、炭酸コバルト、炭酸チタン等を挙げることができる。
前記金属粉の具体例としては、例えば、アルミニウム、鉄、チタン、マンガン、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマス、クロム、ニッケル、銅、タングステン、スズ等を挙げることができる。
前記ホウ素化合物の具体例としては、例えば、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸、ホウ砂等を挙げることができる。
前記低融点ガラスの具体例としては、例えば、シープリー(ボクスイ・ブラウン社)、水和ガラスSiO−MgO−HO、PbO−B系、ZnO−P−MgO系、P−B−PbO−MgO系、P−Sn−O−F系、PbO−V−TeO系、Al−HO系、ホウ珪酸鉛系等のガラス状化合物を挙げることができる。
前記無機系難燃剤の配合量としては、無機系難燃剤の種類、硬化性樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合した硬化性樹脂組成物100質量部中、0.05〜20質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.5〜15質量部の範囲で配合することが好ましい。
前記有機金属塩系難燃剤としては、例えば、フェロセン、アセチルアセトナート金属錯体、有機金属カルボニル化合物、有機コバルト塩化合物、有機スルホン酸金属塩、金属原子と芳香族化合物又は複素環化合物がイオン結合又は配位結合した化合物等が挙げられる。
前記有機金属塩系難燃剤の配合量としては、有機金属塩系難燃剤の種類、硬化性樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合した硬化性樹脂組成物100質量部中、0.005〜10質量部の範囲で配合することが好ましい。
前記硬化性樹脂組成物には、必要に応じて無機質充填材を配合することができる。前記無機質充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ等が挙げられる。前記無機充填材の配合量を特に大きくする場合は溶融シリカを用いることが好ましい。前記溶融シリカは破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高め且つ成形材料の溶融粘度の上昇を抑制するためには、球状のものを主に用いる方が好ましい。更に球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布を適当に調整することが好ましい。その充填率は難燃性を考慮して、高い方が好ましく、硬化性樹脂組成物の全体量に対して20質量%以上が特に好ましい。また導電ペーストなどの用途に使用する場合は、銀粉や銅粉等の導電性充填剤を用いることができる。
前記硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、シランカップリング剤、離型剤、顔料、乳化剤等の種々の配合剤を添加することができる。
前記硬化性樹脂組成物は、上記した各成分を均一に混合することにより得られる。更に、前記変性フェノールノボラック樹脂(X)又はエポキシ樹脂(X)、及びその他の成分が配合された硬化性樹脂組成物は、従来知られている方法と同様の方法で容易に硬化物とすることができる。該硬化物としては積層物、注型物、接着層、塗膜、フィルム等の成形硬化物が挙げられる。
前記変性フェノールノボラック樹脂(X)又はエポキシ樹脂(X)を含有する硬化性樹脂組成物が用いられる用途としては、プリント配線板材料、樹脂注型材料、接着剤、ビルドアップ基板用層間絶縁材料、ビルドアップ用接着フィルム等が挙げられる。また、これら各種用途のうち、プリント配線板や電子回路基板用絶縁材料、ビルドアップ用接着フィルム用途では、コンデンサ等の受動部品やICチップ等の能動部品を基板内に埋め込んだ所謂電子部品内蔵用基板用の絶縁材料として用いることができる。これらの中でも、熱履歴後の耐熱性変化が小さい、低熱膨張性、及び溶剤溶解性といった特性からプリント配線板材料やビルドアップ用接着フィルムに用いることが好ましい。
ここで、前記硬化性樹脂組成物からプリント回路基板を製造するには、有機溶剤を含むワニス状の硬化性樹脂組成物を、補強基材に含浸し銅箔を重ねて加熱圧着させる方法が挙げられる。ここで使用し得る補強基材は、紙、ガラス布、ガラス不織布、アラミド紙、アラミド布、ガラスマット、ガラスロービング布などが挙げられる。かかる方法を更に詳述すれば、先ず、前記したワニス状の硬化性樹脂組成物を、用いた溶剤種に応じた加熱温度、好ましくは50〜170℃で加熱することによって、硬化物であるプリプレグを得る。この時用いる樹脂組成物と補強基材の質量割合としては、特に限定されないが、通常、プリプレグ中の樹脂分が20〜60質量%となるように調製することが好ましい。次いで、上記のようにして得られたプリプレグを、常法により積層し、適宜銅箔を重ねて、1〜10MPaの加圧下に170〜250℃で10分〜3時間、加熱圧着させることにより、目的とするプリント回路基板を得ることができる。
前記硬化性樹脂組成物をレジストインキとして使用する場合には、例えば該硬化性樹脂組成物の硬化剤としてカチオン重合触媒を用い、更に、顔料、タルク、及びフィラーを加えてレジストインキ用組成物とした後、スクリーン印刷方式にてプリント基板上に塗布した後、レジストインキ硬化物とする方法が挙げられる。
前記硬化性樹脂組成物を導電ペーストとして使用する場合には、例えば、微細導電性粒子を該硬化性樹脂組成物中に分散させ異方性導電膜用組成物とする方法、室温で液状である回路接続用ペースト樹脂組成物や異方性導電接着剤とする方法が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物からビルドアップ基板用層間絶縁材料を得る方法としては例えば、ゴム、フィラーなどを適宜配合した当該硬化性樹脂組成物を、回路を形成した配線基板にスプレーコーティング法、カーテンコーティング法等を用いて塗布した後、硬化させる。その後、必要に応じて所定のスルーホール部等の穴あけを行った後、粗化剤により処理し、その表面を湯洗することによって、凹凸を形成させ、銅などの金属をめっき処理する。前記めっき方法としては、無電解めっき、電解めっき処理が好ましく、また前記粗化剤としては酸化剤、アルカリ、有機溶剤等が挙げられる。このような操作を所望に応じて順次繰り返し、樹脂絶縁層及び所定の回路パターンの導体層を交互にビルドアップして形成することにより、ビルドアップ基盤を得ることができる。但し、スルーホール部の穴あけは、最外層の樹脂絶縁層の形成後に行う。また、銅箔上で当該樹脂組成物を半硬化させた樹脂付き銅箔を、回路を形成した配線基板上に、170〜250℃で加熱圧着することで、粗化面を形成、メッキ処理の工程を省き、ビルドアップ基板を作製することも可能である。
前記硬化性樹脂組成物からビルドアップ用接着フィルムを製造する方法は、例えば、本発明の硬化性樹脂組成物を、支持フィルム上に塗布し樹脂組成物層を形成させて多層プリント配線板用の接着フィルムとする方法が挙げられる。
前記硬化性樹脂組成物をビルドアップ用接着フィルムに用いる場合、該接着フィルムは、真空ラミネート法におけるラミネートの温度条件(通常70℃〜140℃)で軟化し、回路基板のラミネートと同時に、回路基板に存在するビアホール或いはスルーホール内の樹脂充填が可能な流動性(樹脂流れ)を示すことが肝要であり、このような特性を発現するよう上記各成分を配合することが好ましい。
ここで、多層プリント配線板のスルーホールの直径は通常0.1〜0.5mm、深さは通常0.1〜1.2mmであり、通常この範囲で樹脂充填を可能とするのが好ましい。なお回路基板の両面をラミネートする場合はスルーホールの1/2程度充填されることが望ましい。
上記した接着フィルムを製造する方法は、具体的には、ワニス状の本発明の硬化性樹脂組成物を調製した後、支持フィルム(Y)の表面に、このワニス状の組成物を塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて硬化性樹脂組成物の層(X)を形成させることにより製造することができる。
形成される層(X)の厚さは、通常、導体層の厚さ以上とする。回路基板が有する導体層の厚さは通常5〜70μmの範囲であるので、樹脂組成物層の厚さは10〜100μmの厚みを有するのが好ましい。
なお、本発明における層(X)は、後述する保護フィルムで保護されていてもよい。保護フィルムで保護することにより、樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。
前記した支持フィルム及び保護フィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、更には離型紙や銅箔、アルミニウム箔等の金属箔などを挙げることができる。なお、支持フィルム及び保護フィルムはマッド処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。
支持フィルムの厚さは特に限定されないが、通常10〜150μmであり、好ましくは25〜50μmの範囲で用いられる。また保護フィルムの厚さは1〜40μmとするのが好ましい。
上記した支持フィルム(Y)は、回路基板にラミネートした後に、或いは加熱硬化することにより絶縁層を形成した後に、剥離される。接着フィルムを加熱硬化した後に支持フィルム(Y)を剥離すれば、硬化工程でのゴミ等の付着を防ぐことができる。硬化後に剥離する場合、通常、支持フィルムには予め離型処理が施される。
次に、上記のようして得られた接着フィルムを用いて多層プリント配線板を製造する方法は、例えば、層(X)が保護フィルムで保護されている場合はこれらを剥離した後、層(X)を回路基板に直接接するように、回路基板の片面又は両面に、例えば真空ラミネート法によりラミネートする。ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。またラミネートを行う前に接着フィルム及び回路基板を必要により加熱(プレヒート)しておいてもよい。
ラミネートの条件は、圧着温度(ラミネート温度)を好ましくは70〜140℃、圧着圧力を好ましくは1〜11kgf/cm(9.8×104〜107.9×10N/m2)とし、空気圧20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートすることが好ましい。
本発明の硬化物を得る方法としては、一般的な硬化性樹脂組成物の硬化方法に準拠すればよいが、例えば加熱温度条件は、組み合わせる硬化剤の種類や用途等によって、適宜選択すればよいが、上記方法によって得られた組成物を、20〜250℃程度の温度範囲で加熱すればよい。
従って、前記変性ナフトールノボラック樹脂(X)、或いは、前記エポキシ樹脂(Y)を用いることによって、硬化物とした際、熱履歴後の耐熱性変化が少なく、低熱膨張率を発現でき、最先端のプリント配線板材料に適用できる。また、該エポキシ樹脂は、本発明の製造方法にて容易に効率よく製造する事が出来、目的とする前述の性能のレベルに応じた分子設計が可能となる。
次に本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において「部」及び「%」は特に断わりのない限り質量基準である。尚、軟化点及びGPC、NMR、MSスペクトルは以下の条件にて測定した。
1)軟化点測定法:JIS K7234
2)GPC:測定条件は以下の通り。
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
検出器: RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)。
3)13C−NMR:測定条件は以下の通り。
装置:日本電子(株)製「JNM−ECA500」
測定モード:SGNNE(NOE消去の1H完全デカップリング法)
溶媒:ジメチルスルホキシド
パルス角度:45℃パルス
試料濃度:30wt%
積算回数:10000回
4)MS :日本電子株式会社製 JMS−T100GC
実施例1 変性ナフトールノボラック樹脂(X−1)の製造
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、β−ナフトール144質量部(1.0モル)、イソプロピルアルコール167質量部、37%ホルマリン水溶液122質量部(1.50モル)、49%水酸化ナトリウム20質量部(0.25モル)を仕込み、室温から75℃まで攪拌しながら昇温し、75℃で1時間撹拌した。続いて、4,4’−ビフェノール47質量部(0.25モル)を仕込み、さらに75℃で8時間攪拌した。反応終了後、第1リン酸ソーダ30質量部を添加して中和した後、メチルイソブチルケトン417質量部加え、水104質量部で3回洗浄を繰り返した後に、加熱減圧下乾燥して変性ナフトールノボラック樹脂(X−1)198質量部得た。得られた変性ナフトールノボラック樹脂(X−1)のGPCチャートを図1に示す。変性ナフトールノボラック樹脂(X−1)の水酸基当量は135グラム/当量であり、GPCチャートから算出される下記構造式(x−1)で表される(A)−(B)−(A)型オリゴマーの含有率は76.9%であった。
Figure 0006002991
実施例2 エポキシ樹脂(Y−1)の製造
温度計、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら前記実施例1で得られた変性ナフトールノボラック樹脂(X−1)135質量部(水酸基1.0当量)、エピクロルヒドリン463質量部(5.0モル)、n−ブタノール53質量部を仕込み攪拌しながら溶解させた。50℃に昇温した後に、20%水酸化ナトリウム水溶液220質量部(1.10モル)を3時間要して添加し、その後更に50℃で1時間反応させた。反応終了後、攪拌を停止し、下層に溜まった水層を除去し、攪拌を再開し150℃減圧下で未反応エピクロルヒドリンを留去した。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン300質量部とn−ブタノール50質量部とを加え溶解した。更にこの溶液に10質量%水酸化ナトリウム水溶液15質量部を添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のpHが中性となるまで水100質量部で水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し、精密濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去して目的のエポキシ樹脂(Y−1)180質量部を得た。得られたエポキシ樹脂(Y−1)のGPCチャートを図2に示す。エポキシ樹脂(Y−1)のエポキシ当量は232グラム/当量であり、軟化点は134℃であった。GPCチャートから算出される下記構造式(y−1)で表される(A)−(B)−(A)型オリゴマーの含有率は54.6%であった。
Figure 0006002991
実施例3 変性ナフトールノボラック樹脂(X−2)の製造
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、β−ナフトール216質量部(1.5モル)、イソプロピルアルコール250質量部、37%ホルマリン水溶液183質量部(2.25モル)、49%水酸化ナトリウム31質量部(0.38モル)を仕込み、室温から75℃まで攪拌しながら昇温し、75℃で1時間撹拌した。続いて、パラフェニルフェノール128質量部(0.75モル)を仕込み、さらに75℃で8時間攪拌した。反応終了後、第1リン酸ソーダ45質量部を添加して中和した後、メチルイソブチルケトン724質量部加え、水181質量部で3回洗浄を繰り返した後に、加熱減圧下乾燥して変性ナフトールノボラック樹脂(X−2)340質量部得た。得られた変性ナフトールノボラック樹脂(X−2)のGPCチャートを図3に示す。変性ナフトールノボラック(X−2)の水酸基当量は160グラム/当量であり、GPCチャートから算出される下記構造式(x−2)で表される(A)−(B)−(A)型オリゴマーの含有率は83.1%であった。
Figure 0006002991
実施例4 エポキシ樹脂(Y−2)の製造
温度計、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら、前記実施例3で得られた変性ナフトール樹脂(X−2)160質量部(水酸基1.0当量)、エピクロルヒドリン463質量部(5.0モル)、n−ブタノール53質量部を仕込み攪拌しながら溶解させた。50℃に昇温した後に、20%水酸化ナトリウム水溶液220質量部(1.10モル)を3時間要して添加し、その後更に50℃で1時間反応させた。反応終了後、攪拌を停止し、下層に溜まった水層を除去し、攪拌を再開し150℃減圧下で未反応エピクロルヒドリンを留去した。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン300質量部とn−ブタノール50質量部とを加え溶解した。更にこの溶液に10質量%水酸化ナトリウム水溶液15質量部を添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のpHが中性となるまで水100質量部で水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し、精密濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去して目的のエポキシ樹脂(Y−2)194質量部を得た。得られたエポキシ樹脂(Y−2)のGPCチャートを図4に、13C−NMRチャートを図5に、MSスペクトルを図6に示す。エポキシ樹脂(Y−2)のエポキシ当量は262グラム/当量であり、軟化点は103℃であり、GPCチャートから算出される下記構造式(y−2)で表される(A)−(B)−(A)型オリゴマーの含有率は63.8%であり、β−ナフトール2量体の含有率は2.9%であった。またMSスペクトルから下記構造式(y−2)で表される(A)−(B)−(A)型オリゴマーを示す650のピークが検出された。
Figure 0006002991
実施例5 変性ナフトールノボラック樹脂(X−3)の製造
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、β−ナフトール216部(1.5モル)、イソプロピルアルコール250部、37%ホルマリン水溶液122部(1.50モル)、49%水酸化ナトリウム31部(0.38モル)を仕込み、室温から75℃まで攪拌しながら昇温し、75℃で1時間撹拌した。続いて、パラクレゾール81部(0.75モル)を仕込み、さらに75℃で8時間攪拌した。反応終了後、第1リン酸ソーダ45質量部を添加して中和した後、メチルイソブチルケトン630部加え、水158量部で3回洗浄を繰り返した後に、加熱減圧下乾燥して変性ナフトールノボラック樹脂(X−3)290質量部得た。得られた変性ナフトールノボラック樹脂(X−3)のGPCチャートを図7に示す。変性ナフトールノボラック樹脂(X−3)の水酸基当量は140グラム/当量であり、GPCチャートから算出される下記構造式(x−3)で表される(A)−(B)−(A)型オリゴマーの含有率は83.5%であった。
Figure 0006002991
実施例6 エポキシ樹脂(Y−3)の製造
温度計、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら前記実施例5で得られた変性ナフトールノボラック樹脂(X−3)140質量部(水酸基1.0当量)、エピクロルヒドリン463質量部(5.0モル)、n−ブタノール53質量部を仕込み攪拌しながら溶解させた。50℃に昇温した後に、20%水酸化ナトリウム水溶液220質量部(1.10モル)を3時間要して添加し、その後更に50℃で1時間反応させた。反応終了後、攪拌を停止し、下層に溜まった水層を除去し、攪拌を再開し150℃減圧下で未反応エピクロルヒドリンを留去した。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン300質量部とn−ブタノール50質量部とを加え溶解した。更にこの溶液に10質量%水酸化ナトリウム水溶液15質量部を添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のpHが中性となるまで水100質量部で水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し、精密濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去して目的のエポキシ樹脂(Y−3)190質量部を得た。得られたエポキシ樹脂(Y−3)のGPCチャートを図8、NMRチャートを図9、MSスペクトルを図10に示す。エポキシ樹脂(Y−3)のエポキシ当量は240グラム/当量、軟化点は97℃であった。また、GPCチャートから算出される下記構造式(y−3)で表される(A)−(B)−(A)型オリゴマーの含有率は63.3%であり、β−ナフトール2量体の含有率は4.8%であった。またMSスペクトルから下記構造式(y−3)で表される3官能体を示す588のピークが検出された。
Figure 0006002991
実施例7 変性ナフトールノボラック樹脂(X−4)の製造
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、β−ナフトール216部(1.5モル)、オルソクレゾール81部(0.75モル)、37%ホルマリン水溶液122部(1.50モル)、49%水酸化ナトリウム31部(0.38モル)を仕込み、室温から75℃まで攪拌しながら昇温し、75℃で8時間攪拌した。反応終了後、第1リン酸ソーダ45質量部を添加して中和した後、メチルイソブチルケトン630部加え、水158量部で3回洗浄を繰り返した後に、加熱減圧下乾燥して変性ナフトールノボラック樹脂(X−4)292質量部得た。得られた変性ナフトールノボラック樹脂(X−4)のGPCチャートを図11に示す。得られた変性ナフトールノボラック樹脂(X−4)の水酸基当量は140グラム/当量であり、GPCチャートから算出される下記構造式(x−4)で表される(A)−(B)−(A)型オリゴマーの含有率は51.4%であった。
Figure 0006002991
実施例8 エポキシ樹脂(Y−4)の製造
温度計、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら前記実施例7で得られた変性ナフトールノボラック樹脂(X−4)140質量部(水酸基1.0当量)、エピクロルヒドリン463質量部(5.0モル)、n−ブタノール53質量部を仕込み攪拌しながら溶解させた。50℃に昇温した後に、20%水酸化ナトリウム水溶液220質量部(1.10モル)を3時間要して添加し、その後更に50℃で1時間反応させた。反応終了後、攪拌を停止し、下層に溜まった水層を除去し、攪拌を再開し150℃減圧下で未反応エピクロルヒドリンを留去した。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン300質量部とn−ブタノール50質量部とを加え溶解した。更にこの溶液に10質量%水酸化ナトリウム水溶液15質量部を添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のpHが中性となるまで水100質量部で水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し、精密濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去して目的のエポキシ樹脂(A−1)192質量部を得た。得られたエポキシ樹脂(Y−4)のGPCチャートを図12、NMRチャートを図13、MSスペクトルを図14に示す。エポキシ樹脂(Y−4)のエポキシ当量は227グラム/当量、軟化点は78℃であった。また、GPCチャートから算出される下記構造式(y−4)で表される(A)−(B)−(A)型オリゴマーの含有率は42.0%であり、β−ナフトール2量体の含有率は16.1%であった。またMSスペクトルから下記構造式(y−4)で表される3官能体を示す588のピークが検出された。
Figure 0006002991
比較製造例1
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、α−ナフトール505質量部(3.50モル)、水158質量部、蓚酸5質量部を仕込み、室温から100℃まで45分で昇温しながら撹拌した。続いて、42質量%ホルマリン水溶液186質量部(2.45モル)を1時間要して滴下した。滴下終了後、さらに100℃で1時間攪拌し、その後180℃まで3時間で昇温した。反応終了後、200℃に昇温し加熱減圧下、水蒸気を吹き込むことによってフリーのα−ナフトールを除去してナフトール樹脂(X’−1)475質量部を得た。得られたナフトール樹脂(X’−1)の水酸基当量は157グラム/当量であった。得られたナフトール樹脂のGPCチャートを図15に示す。
比較製造例2
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、α−ナフトール505質量部(3.50モル)、水158質量部、蓚酸5質量部を仕込み、室温から100℃まで45分で昇温しながら撹拌した。続いて、42質量%ホルマリン水溶液177質量部(2.45モル)を1時間要して滴下した。滴下終了後、さらに100℃で1時間攪拌し、その後180℃まで3時間で昇温した。反応終了後、反応系内に残った水分を加熱減圧下に除去しナフトール樹脂(x’−1)498質量部を得た。得られたナフトール樹脂(x’−1)の水酸基当量は154グラム/当量であった。
次いで、温度計、冷却管、撹拌器を取り付けたフラスコに窒素ガスパージを施しながら上記反応で得られたナフトール樹脂(x’−1)154質量部(水酸基1.0当量)を実施例1と同様にして、エポキシ樹脂(Y’−1)202質量部を得た。得られたエポキシ樹脂(Y’−1)のGPCチャートを図16に示す。エポキシ樹脂(Y’−1)のエポキシ当量は237グラム/当量であった。
比較製造例3
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、β−ナフトール144質量部(1.00モル)、4,4’−ビフェノール93質量部(0.50モル)、メチルイソブチルケトン237質量部、蓚酸5質量部を仕込み、室温から80℃まで45分で昇温しながら撹拌した。続いて、37%ホルマリン水溶液81質量部(1.00モル)を1時間要して滴下した。滴下終了後、さらに80℃で1時間攪拌し、その後180℃まで昇温を試みたが、結晶が析出し攪拌が困難だった為、反応を停止した。得られた変性ナフトール樹脂(X’−2)のGPCチャートを図17に示す。GPCチャートから、前記構造式(x−1)で表される(A)−(B)−(A)型オリゴマーの生成は確認できなかった。
比較製造例4
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、β−ナフトール216質量部(1.5モル)、オルソクレゾール81質量部(0.75モル)、37%ホルマリン水溶液122質量部(1.50モル)、49%水酸化ナトリウム6質量部(0.07モル)を仕込み、室温から75℃まで攪拌しながら昇温した。75℃到達時点で、結晶が析出し攪拌が困難だった為、反応を停止した。得られた変性ナフトール樹脂(X’−3)のGPCチャートを図18に示す。GPCチャートから、前記構造式(x−4)で表される(A)−(B)−(A)型オリゴマーの生成は確認できなかった。
応用例9−16、比較応用例1−2
下記表1又は2記載の配合に従い、硬化剤として前記変性ナフトールノボラック樹脂(X−1)、〜(X−4)、ナフトール樹脂(X’−1)又はDIC(株)製TD−2090(フェノールノボラック樹脂、水酸基当量:105g/eq)を、エポキシ樹脂として前記エポキシ樹脂(Y−1)〜(Y−4)、(Y’−1)又はDIC株式会社製「N−770」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量183グラム/当量)を、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)を配合し、最終的に各組成物の不揮発分(N.V.)が58質量%となるようにメチルエチルケトンを配合して調整した。次いで、下記の如き条件で硬化させて積層板を試作し、下記の方法で熱膨張率及び物性変化を評価した。結果を表1又は2に示す。
<積層板作製条件>
基材:日東紡績株式会社製 ガラスクロス「#2116」(210×280mm)
プライ数:6 プリプレグ化条件:160℃
硬化条件:200℃、40kg/cmで1.5時間、成型後板厚:0.8mm
<熱履歴による耐熱性変化(耐熱性の変化量:ΔTg):DMA(第1回測定、第2回測定のTg差)>
粘弾性測定装置(DMA:レオメトリック社製固体粘弾性測定装置「RSAII」、レクタンギュラーテンション法;周波数1Hz、昇温速度3℃/min)を用いて、以下の温度条件で2回、弾性率変化が最大となる(tanδ変化率が最も大きい)温度(Tg)を測定した。
温度条件
第1回測定:35℃から275℃まで3℃/minで昇温
第2回測定:35℃から330℃まで3℃/minで昇温
それぞれ得られた温度差をΔTgとして評価した。
<熱膨張率>
積層板を5mm×5mm×0.8mmのサイズに切り出し、これを試験片として熱機械分析装置(TMA:セイコーインスツルメント社製SS−6100)を用いて、圧縮モードで熱機械分析を行った。
測定条件
測定架重:88.8mN
昇温速度:10℃/分で2回
測定温度範囲:−50℃から300℃
上記条件での測定を同一サンプルにつき2回実施し、2回目の測定における、40℃から60℃の温度範囲における平均線膨張率を熱膨張係数として評価した。
Figure 0006002991
表1中の略号は以下の通りである。
N−770:フェノールノボラック型エポキシ樹脂(DIC(株)製「N−770」、エポキシ当量:183g/eq)
2E4MZ:硬化促進剤(2−エチル−4−メチルイミダゾール)
Figure 0006002991
表2中の略号は以下の通りである。
TD−2090:フェノールノボラック型フェノール樹脂(DIC(株)製「TD−2090」、水酸基当量:105g/eq)
2E4MZ:硬化促進剤(2−エチル−4−メチルイミダゾール)

Claims (4)

  1. β−ナフトール化合物(A)と、下記一般式(1)
    Figure 0006002991
    (式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、水酸基、フェニル基、芳香核上の水素原子が炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、又は水酸基で置換されたフェニル基を表す。)
    で表されるフェノール化合物(B)と、ホルムアルデヒドとを、アルカリ触媒の存在下、40〜100℃で反応させる変性ナフトールノボラック樹脂(X)の製造方法であって、前記アルカリ触媒の使用量が、前記βナフトール化合物(A)と前記フェノール化合物(B)とが有するフェノール性水酸基の総数1モルに対し、0.1〜2.0モルの範囲であり、前記フェノール化合物(B)と前記β−ナフトール化合物(A)との使用割合が、両者のモル比[フェノール化合物(B)/β−ナフトール化合物(A)]が[1/0.4]〜[1/8]となる範囲であり、ホルムアルデヒドの反応仕込み比率が、前記β−ナフトール化合物(A)と前記フェノール化合物(B)との総モル数に対して0.6〜2.0倍量となる割合であることを特徴とする変性ナフトールノボラック樹脂(X)の製造方法。
  2. 前記β−ナフトール化合物(A)とホルムアルデヒドとを、アルカリ触媒の存在下で反応させた後、前記フェノール化合物(B)加えて反応させる請求項1記載の製造方法。
  3. 前記一般式(1)で表されるフェノール化合物(B)が、4,4’−ビフェノール、パラフェニルフェノール、クレゾールからなる群から選ばれる1種類以上の化合物である請求項1記載の製造方法。
  4. 請求項1〜3の何れか1つに記載の製造方法により製造される変性ナフトールノボラック樹脂(X)を、更に、塩基性条件下でエピハロヒドリンと反応させるエポキシ樹脂(Y)の製造方法。
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