JP5512148B2 - グルコピラノシルアスコルビン酸誘導体又はその塩、その製造方法、及び化粧料 - Google Patents

グルコピラノシルアスコルビン酸誘導体又はその塩、その製造方法、及び化粧料 Download PDF

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Description

本発明は、化粧料の原料等として好適に用いられるグルコピラノシルアスコルビン酸の誘導体又はその塩に関する。又、前記グルコピラノシルアスコルビン酸誘導体の製造方法に関する。本発明は、更に、前記グルコピラノシルアスコルビン酸誘導体又はその塩を配合した化粧料に関する。
アスコルビン酸は、安全かつ有用な抗酸化物質であり、優れた美白作用、コラーゲン産生促進作用など多彩な生理活性作用を有する化合物として知られている。しかし、アスコルビン酸は、光、熱、酸素、金属イオンに対して不安定であり、分解や着色などの問題があり、化粧品分野での利用が妨げられていた。
そこで、アスコルビン酸の大きな欠点である経時安定性を向上させた物質として、グルコピラノシルアスコルビン酸やガラクトピラノシルアスコルビン酸などの、アスコルビン酸と糖を結合させたアスコルビン酸誘導体が開発されており、特許文献1ないし5などに記載されている。これらのアスコルビン酸誘導体は、生体内ではアスコルビン酸を遊離し、美白作用、コラーゲン産生促進作用などを示す。
又、熱、光、酸素及び金属イオンに対する安定性がアスコルビン酸より向上している。しかしながら、これらは、酸性水溶液中では不安定であり、油性原料には溶けにくく、イオン性化合物であるためなどから乳化を壊しやすいなどの問題を有し、美白効果、コラーゲン産生促進効果は未だ満足いくものには至っていない。
特開平3−139288号公報 特開平3−135992号公報 特開平3−183492号公報 特開平6−228183号公報 特開平6−263790号公報
本発明は、油性原料にも溶けやすく、酸性水溶液中でも安定であり、変色、変臭、活性低下等の問題が少ないとともに、美白作用、コラーゲン産生促進作用、しわ形成抑制作用、皮膚光老化防止作用、メイラード反応阻害作用、乾燥肌改善作用、皮膚弾力性改善作用、くすみ防止作用、グルタチオンの細胞内合成増強作用等をグルコピラノシルアスコルビン酸と同等以上に奏するアスコルビン酸配糖体の誘導体又はその塩を提供することを課題とする。本発明は、又、この新規なグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体又はその塩を、容易に安価に製造することができる製造方法を提供することを課題とする。本発明は更に、この新規なグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体又はその塩を配合した化粧料を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記実情に鑑みて鋭意検討した結果、下記一般式(I)で示される新規なグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体又はその塩は、グルコピラノシルアスコルビン酸と同等又はそれ以上の美白作用、保湿作用、コラーゲン産生促進作用などの優れた作用を有するとともに、酸性水溶液中で長期間の保存でも安定で、変色、変臭、活性低下等が少ないことを見出した。本発明者らは、更に、下記の一般式(I)で示される新規なグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体は、グルコピラノシルアスコルビン酸と、エポキシド骨格を有するグリシドール、アルキルグリシジルエーテル、エポキシアルカン等を、単に反応させることにより容易に製造できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づき完成されたものである。
本発明は、下記の一般式(I)で表されることを特徴とするアスコルビン酸誘導体又はその塩を提供する(請求項1)。
Figure 0005512148
[式中、
は、H、R−O−CH−CH(OH)−CH−、R−O−CH−CH(CHOH)−、R−CH(CHOH)−、R−CH(OH)−CH−、ヒドロキシシクロヘキシル基、炭素数1〜22のアルキル基、又は炭素数2〜22のアルケニル基であり、
は、H、R−O−CH−CH(OH)−CH−、R−O−CH−CH(CHOH)−、R10−CH(CHOH)−、R11−CH(OH)−CH−、又はヒドロキシシクロヘキシル基、炭素数1〜22のアルキル基、又は炭素数2〜22のアルケニル基であり、
は、H、R12−O−CH−CH(OH)−CH−、R13−O−CH−CH(CHOH)−、R14−CH(CHOH)−、R15−CH(OH)−CH−、又はヒドロキシシクロヘキシル基、炭素数1〜22のアルキル基、又は炭素数2〜22のアルケニル基であり、
、R、R、R、R12及びR13は、H、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又はフェニル基であり、
、R、R10、R11、R14及びR15は、H、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、又はフェニル基である。
但し、R、R、Rの少なくとも一つはHではない。]
なお、この構造式においては、炭素原子、及び該炭素原子に結合する水素原子は省略されている。例えば、この式におけるアスコルビン酸部の1〜4の位置は炭素であり、5の位置はCH基であり、6の位置はCH基であり、グルコース部の1’は炭素であり、2’〜5’の位置はCH基であり、6’の位置はCH基である。以下に記載のアスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体を表す構造式においても、この式と同様に、水素原子や炭素原子を省略して表す。
本発明は、前記式(I)で表されるグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体である。さらに、前記式(I)中のRがHの場合、このHが解離した水素イオンを、金属イオンやアンモニウムイオン等の陽イオンで置換してなるグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体の塩も本発明に含まれる。
後述のように、一般式(I)で表されるグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体又はその塩は、グルコピラノシルアスコルビン酸のアスコルビン酸部の3位及び/又は6位の水酸基/又はグルコース部の6’位の水酸基に、グリシドール、特定構造のアルキルグリシジルエーテル、アルケニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、エチレンオキサイド、エポキシアルカン、エポキシアルケン、スチレンオキサイド及び脂環式エポキシから選ばれるエポキシ環を有する化合物(エポキシ化合物)を反応させる工程を有する方法により製造することができる。グルコピラノシルアスコルビン酸と、グリシドール、アルキルグリシジルエーテル、アルケニルグリシジルエーテル又はフェニルグリシジルエーテルとを反応させる際には、エポキシ環は、1級水酸基又は2級水酸基が生じるように開環する。従って、反応生成物は、R、R、Rが、R−O−CH−CH(OH)−CH−であるものとR−O−CH−CH(CHOH)−であるものとの混合物となる場合もあり、又アスコルビン酸と、エチレンオキサイド、エポキシアルカン、エポキシアルケン、又はスチレンオキサイドとを反応させる際には、R、R、Rが、R−CH(CHOH)−であるものとR−CH(OH)−CH−であるものとの混合物となる場合もある。(前記式中、RはH、アルキル基、アルケニル基、フェニル基を表す。)
ただし、上記反応においては、主に、2級水酸基が生じるように開環してグルコピラノシルアスコルビン酸の水酸基と反応するので、R、R、Rが、R−O−CH−CH(CHOH)−又はR−CH(CHOH)−であるものよりも、R−O−CH−CH(OH)−CH−又はR−CH(OH)−CH−であるものが生じやすい。即ち、グルコピラノシルアスコルビン酸と、グリシドール、アルキルグリシジルエーテル、アルケニルグリシジルエーテル又はフェニルグリシジルエーテルとを反応させる際には、請求項1に記載のアスコルビン酸誘導体又はその塩としては、式(I)中の、R、R、Rが、R−O−CH−CH(OH)−CH−、又はR−CH(OH)−CH−であるものが生じやすい。
請求項2に記載の発明は、一般式(I)中の、
が、R−O−CH−CH(OH)−CH−、R−O−CH−CH(CHOH)−、R−CH(CHOH)−、R−CH(OH)−CH−、炭素数1〜22のアルキル基、又は炭素数2〜22のアルケニル基であり、
及びRがHであることを特徴とする請求項1に記載のアスコルビン酸誘導体である。ここで、R〜Rは、請求項1に記載の発明についてした定義と同じ意味を表す。
前記一般式(I)で表されるグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体又はその塩は、グルコピラノシルアスコルビン酸より、酸性水溶液中で経時安定性が優れるが、中でも、この請求項2に記載の発明であるグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体は酸性水溶液中で経時安定性がより優れ、又乳化への安定性にも優れ、好ましい。
一般式(I)で表されるグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体の具体例を以下に例示するが、本発明の範囲は以下に示すものに限定されるものではない。
なお、以下の例示において、
グリセリルとは、HOCH−CH(OH)−CH−又はHOCH−CH(CHOH)−を示し、
アルキルグリセリル基とは、R−O−CH−CH(OH)CH−又はR−O−CH−CH(CHOH)−(Rはアルキル基を示す。)を示し、
アルキル基とは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ベヘニル基等を示し、
アルケニル基とは、ビニル基、アリル基、ブテニル基、イソブテニル基、クロチル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基等を示し、
ヒドロキシアルキル基とは、R−CH−CH(OH)−又はR−CH(OH)−CH−(Rはアルキル基を示す。)を示し、例えば、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシヘプチル基、ヒドロキシオクチル基、ヒドロキシノニル基、ヒドロキシデシル基、ヒドロキシウンデシル基、ヒドロキシドデシル基、ヒドロキシトリデシル基、ヒドロキシテトラデシル基、ヒドロキシペンタデシル基、ヒドロキシヘキサデシル基、ヒドロキシヘプタデシル基、ヒドロキシオクタデシル基、ヒドロキシノナデシル基、ヒドロキシエイコシル基、ヒドロキシベヘニル基等を挙げることができる。
(1)2−O−グルコピラノシル−3−O−グリセリルアスコルビン酸、
2−O−グルコピラノシル−3−O−アルキルグリセリルアスコルビン酸、例えば2−O−グルコピラノシル−3−O−メチルグリセリルアスコルビン酸、2−O−グルコピラノシル−3−O−エイコシルグリセリルアスコルビン酸、
2−O−グルコピラノシル−3−O−アルケニルグリセリルアスコルビン酸、例えば、2−O−グルコピラノシル−3−O−アリルグリセリルアスコルビン酸、2−O−グルコピラノシル−3−O−クロチルグリセリルアスコルビン酸、2−O−グルコピラノシル−3−O−ビニルグリセリルアスコルビン酸、2−O−グルコピラノシル−3−O−イソブテニルグリセリルアスコルビン酸、2−O−グルコピラノシル−3−O−オクテニルグリセリルアスコルビン酸、2−O−グルコピラノシル−3−O−デセニルグリセリルアスコルビン酸、2−O−グルコピラノシル−3−O−ドデセニルグリセリルアスコルビン酸、
2−O−グルコピラノシル−3−O−フェニルグリセリルアスコルビン酸、
2−O−グルコピラノシル−3−O−ヒドロキシアルキルアスコルビン酸、2−O−グルコピラノシル−3−O−ヒドロキシフェニルエチルアスコルビン酸
(2)2−O−グルコピラノシル−6−O−グリセリルアスコルビン酸、
2−O−グルコピラノシル−6−O−アルキルグリセリルアスコルビン酸、例えば2−O−グルコピラノシル−6−O−メチルグリセリルアスコルビン酸、2−O−グルコピラノシル−6−O−エイコシルグリセリルアスコルビン酸、
2−O−グルコピラノシル−6−O−アルケニルグリセリルアスコルビン酸、例えば、2−O−グルコピラノシル−6−O−アリルグリセリルアスコルビン酸、2−O−グルコピラノシル−6−O−クロチルグリセリルアスコルビン酸、2−O−グルコピラノシル−6−O−ビニルグリセリルアスコルビン酸、2−O−グルコピラノシル−6−O−イソブテニルグリセリルアスコルビン酸、2−O−グルコピラノシル−6−O−オクテニルグリセリルアスコルビン酸、2−O−グルコピラノシル−6−O−デセニルグリセリルアスコルビン酸、2−O−グルコピラノシル−6−O−ドデセニルグリセリルアスコルビン酸、
2−O−グルコピラノシル−6−O−フェニルグリセリルアスコルビン酸、
2−O−グルコピラノシル−6−O−ヒドロキシアルキルアスコルビン酸、2−O−グルコピラノシル−6−O−ヒドロキシフェニルエチルアスコルビン酸
(3)2−O−グルコピラノシル−3,6−ジ−O−アルキルグリセリルアスコルビン酸
(4)2−O−(6−O−グリセリルグルコピラノシル)アスコルビン酸、
2−O−(6−O−アルキルグリセリルグルコピラノシル)アスコルビン酸、例えば2−O−(6−O−メチルグリセリルグルコピラノシル)アスコルビン酸、2−O−(6−O−エイコシルグリセリルグルコピラノシル)アスコルビン酸、
2−O−(6−O−アルケニルグリセリルグルコピラノシル)アスコルビン酸、例えば、2−O−(6−O−アリルグリセリルグルコピラノシル)アスコルビン酸、2−O−(6−O−クロチルグリセリルグルコピラノシル)アスコルビン酸、2−O−(6−O−ビニルグリセリルグルコピラノシル)アスコルビン酸、2−O−(6−O−イソブテニルグリセリルグルコピラノシル)アスコルビン酸、2−O−(6−O−オクテニルグリセリルグルコピラノシル)アスコルビン酸、2−O−(6−O−デセニルグリセリルグルコピラノシル)アスコルビン酸、2−O−(6−O−ドデセニルグリセリルグルコピラノシル)アスコルビン酸、
2−O−(6−O−フェニルグリセリルグルコピラノシル)アスコルビン酸、
2−O−(6−O−ヒドロキシアルキルグルコピラノシル)アスコルビン酸、2−O−(6−ヒドロキシフェニルエチルグルコピラノシル)アスコルビン酸、
(5)2−O−グルコピラノシル−3−O−アルキルアスコルビン酸、例えば2−O−グルコピラノシル−3−O−メチルアスコルビン酸、2−O−グルコピラノシル−3−O−オクチルアスコルビン酸、2−O−グルコピラノシル−3−O−エイコシルアスコルビン酸、
2−O−グルコピラノシル−3−O−アルケニルアスコルビン酸、例えば2−O−グルコピラノシル−3−O−アリルアスコルビン酸、2−O−グルコピラノシル−3−O−クロチルアスコルビン酸、2−O−グルコピラノシル−3−O−イソブテニルアスコルビン酸、2−O−グルコピラノシル−3−O−オクテニルアスコルビン酸、2−O−グルコピラノシル−3−O−ドデセニルアスコルビン酸。
前記式(I)で表されるグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体、すなわちアスコルビン酸部の3位もしくは6位、又はグルコース部の6’位が位置特異的にエーテル化されたグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体又はその塩は、2−O−グルコピラノシルアスコルビン酸と、グリシドール、アルキルグリシジルエーテル、アルケニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、エチレンオキサイド、エポキシアルカン、エポキシアルケン、スチレンオキサイド及び脂環式エポキシから選ばれるエポキシ化合物を反応させることにより2−O−グルコピラノシルアスコルビン酸にある7つの水酸基の中で、アスコルビン酸部の3位もしくは6位、又はグルコース部の6’位を高い位置選択性でエーテル化する方法により製造することができる。又、アルキルハライドを使用した際においても位置選択的にエーテル化を行える。
位置特異的にエーテル化する方法は、特に限定されない。例えば、アスコルビン酸部の3位を位置特異的に反応させる場合は、アスコルビン酸部の5位及び6位、グルコース部の4’位及び6’位、2’位及び3’位の水酸基を保護基で保護した後に、エーテル化反応をさせる方法を挙げることができる。(アスコルビン酸部の5位及び6位、グルコース部の4’位及び6’位、2’位及び3’位の水酸基を保護基で保護する反応としては、例えば、特開平8−81462号公報に記載されている方法と同様に、即ち、触媒量の無水塩化水素又は塩化アセチル存在下で、2−O−グルコピラノシルアスコルビン酸をアセトン存在下室温下で反応させて、5,6−O−イソプロピリデン−2−O−(2,3−O−イソプロピリデン−4,6−O−イソプロピリデングルコピラノシル)アスコルビン酸等とする方法等を挙げることができる。)
しかし、本発明者は、検討の結果、2−O−グルコピラノシルアスコルビン酸と、グリシドール、アルキルグリシジルエーテル、アルケニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、エチレンオキサイド、エポキシアルカン、エポキシアルケン、スチレンオキサイド及び脂環式エポキシから選ばれるエポキシ化合物とを、アスコルビン酸部の3位を選択的に付加反応を行う場合は、アスコルビン酸部の5位及び6位の水酸基、グルコース部の4つの水酸基を保護基で保護しない場合でも、先ず、アスコルビン酸部の3位付加体が得られることを見出した。
このようにして得られた3位付加体に、更にグリシドール、アルキルグリシジルエーテル、アルケニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、エチレンオキサイド、エポキシアルカン、エポキシアルケン、スチレンオキサイド及び脂環式エポキシから選ばれるエポキシ化合物を反応させることにより、アスコルビン酸部の6位及び/又はグルコース部の6’位の水酸基をエーテル化することができ、3つの水酸基が位置特異的にエーテル化された化合物が得られることも見出した。
ここで、アスコルビン酸部の3位のエーテル化に用いるエポキシ化合物と、6位のエーテル化に用いるエポキシ化合物、グルコース部の6’位のエーテル化に用いるエポキシ化合物は、同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。この反応によれば、アスコルビン酸部の5位及び6位の水酸基、グルコース部の4’位及び6’位、2’位及び3’位の水酸基、を保護基で保護する工程が不要であるので、工程数が減少し反応も簡易なものとなる。従って、前記式(I)で表されるグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体等の、水酸基が位置特異的にエーテル化されたグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体又はその塩の製造方法として好ましい。
本発明は、請求項3において、この好ましい製造方法、即ち2−O−グルコピラノシルアスコルビン酸と、グリシドール、アルキルグリシジルエーテル、アルケニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、エチレンオキサイド、エポキシアルカン、エポキシアルケン、スチレンオキサイド及び脂環式エポキシから選ばれるエポキシ化合物を、2−O−グルコピラノシルアスコルビン酸を保護せずに反応させる工程を有することを特徴とするグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体又はその塩の製造方法を提供する。
請求項4に記載の発明は、前記エポキシ化合物が、下記式(II)で表される化合物、下記式(III)で表される化合物、及び1,2−エポキシシクロヘキサンから選ばれることを特徴とする2−O−グルコピラノシルアスコルビン酸誘導体又はその塩の製造方法である。前記エポキシ化合物の中でも、これらの特定のエポキシ化合物を用いた場合は、位置特異的なエーテル化がより顕著に達成される。
Figure 0005512148
[式中、R18は、H、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、又はフェニル基である。]
Figure 0005512148
[式中、R19は、H、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又はフェニル基である。]
この特定構造のエポキシ化合物を用いる方法によれば、前記の効果がより優れ、保護基形成反応等を必要とせずに、1回の反応のみで、アスコルビン酸部の3位水酸基を位置特異的にエーテル化することができ、高い生産効率で、前記本発明のアスコルビン酸誘導体又はその塩を製造することができる。
式(II)で表される化合物としては、
グリシドール、アルキルグリシジルエーテル、例えば、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ペンチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、ヘプチルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、ウンデシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、トリデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、ペンタデシルグリシジルエーテル、ヘキサデシルグリシジルエーテル、ヘプタデシルグリシジルエーテル、オクタデシルグリシジルエーテル、ノナデシルグリシジルエーテル、
アルケニルグリシジルエーテル、例えば、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブテニルグリシジルエーテル、イソブテニルグリシジルエーテル、クロチルグリシジルエーテル、オクテニルグリシジルエーテル、デセニルグリシジルエーテル、ドデセニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルが例示される。
式(III)で表されるエポキシアルカンとしては、エチレンオキサイド、アルキルオキシラン、例えば、メチルオキシラン、エチルオキシラン、プロピルオキシラン、イソプロピルオキシラン、ブチルオキシラン、ペンチルオキシラン、ヘキシルオキシラン、ヘプチルオキシラン、オクチルオキシラン、ノニルオキシラン、デシルオキシラン、ウンデシルオキシラン、ドデシルオキシラン、トリデシルオキシラン、テトラデシルオキシラン、ペンタデシルオキシラン、ヘキサデシルオキシラン、ヘプタデシルオキシラン、オクタデシルオキシラン、ノナデシルオキシランが、
式(III)で表されるエポキシアルケンとしては、イソプロピレンオキシラン、ブテンオキシラン、ペンテンオキシラン、ヘキセンオキシラン、ヘプテンオキシラン、オクテンオキシラン、ノネンオキシラン、デセンオキシラン、ウンデセンオキシラン、ドデセンオキシラン、トリデセンオキシラン、テトラデセンオキシラン、ペンタデセンオキシラン、ヘキサデセンオキシラン、ヘプタデセンオキシラン、オクタデセンオキシラン、ノナデセンオキシランが例示される。
アルキルグリシジルエーテルは、市販品を用いることができる。又、アルコール類にエピハロ(クロロ)ヒドリンを反応することによっても得ることができる。
本発明のグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体又はその塩の製造方法で用いられる2−O−グルコピラノシルアスコルビン酸は、アスコルビン酸部の4位、5位の炭素の立体がS配置、R配置のいずれでもよい。又、グリシドール、アルキルグリシジルエーテル、アルケニルグリシジルエーテル、又はエポキシアルカン、エポキシアルケン等のエポキシ化合物等も同様にS体、R体又はその混合物でもよい。
請求項3又は請求項4に記載の発明を構成する反応は、溶媒中で行うことができる。溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、又はそれらの混合溶媒等を挙げることができ、特に制限はない。ただし、前記エポキシ化合物として、式(II)で表され、かつR18が、H、炭素数1〜8のアルキル基もしくは炭素数2〜8のアルケニル基である化合物、又は式(III)で表され、かつR19が、H、炭素数1〜8のアルキル基もしくは炭素数2〜8のアルケニル基である化合物が用いられる場合は、環境への負荷を低減し、かつコスト、安全性の点から水系溶媒が好ましい(請求項5)。水系溶媒としては、水の他、水を主体とし水と相溶する溶媒との混合溶媒を挙げることができる。
反応温度は特に制限ないが、より好ましくは30〜100℃、更に好ましくは40〜90℃である。反応溶媒のpHは特に制限はないが、エポキシ化合物をアスコルビン酸部のの3位水酸基に反応させる場合は、酸性条件下、特にpH2〜6が好ましい。
この反応は、反応系内をアルゴン、窒素、ヘリウムなどの不活性ガスで置換して行うことが好ましく、不活性ガス下で反応を行うことにより、着色、着臭などを低減することができる。触媒としては、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ触媒、硫酸等の酸触媒を使用することが可能である。臭化テトラブチルアンモニウム等の相間移動触媒を使用することも可能である。反応を行うときは、十分に混ざるように、触媒を少量の水に溶解させて添加してもよい。又、グルコピラノシルアスコルビン酸とエポキシ化合物等の原料の混合方法は特に限定されないが、エポキシ化合物を反応系中に滴下することもできる。
グルコピラノシルアスコルビン酸に対するエポキシ化合物の使用量は、特に制限はないが、グルコピラノシルアスコルビン酸の1モルに対して0.5〜5モルが好ましい。一つの水酸基にのみ付加させる場合は、0.5〜1.5モル程度の範囲が好ましい。グルコピラノシルアスコルビン酸に対するエポキシ化合物の使用量が少ない程、付加反応の位置特異性、即ち、アスコルビン酸部の3位への選択的付加が明白になる。
アスコルビン酸部の3位又は6位、グルコース部の6’位にエポキシ化合物を2つ以上付加させた化合物は、例えば、前記の条件(0.5〜1.5モル程度)にてアスコルビン酸部の3位の水酸基のみに付加した付加体を得た後、後述の方法等により精製を行ってアスコルビン酸部の3位水酸基のみに付加した付加体のみを取り出し、その後、その付加体に、エポキシ化合物を0.5〜1.5モル程度反応させる方法により、アスコルビン酸部の6位水酸基、又は、グルコース部の6’位水酸基にエポキシ化合物を付加したものを得ることができ、さらに、同様の反応を行うことで、アスコルビン酸部の6位水酸基、又は、グルコース部の6’位水酸基の残りの水酸基に付加した化合物を得る。精製前と精製後の反応で使用するエポキシ化合物を変えることにより、アスコルビン酸部の3位又は6位、グルコース部の6’位に異なるエポキシ化合物が付加された化合物を得ることができる。
前記一般式(I)のグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体又はその塩であって、R又はR、Rのいずれかが、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基であるものは、例えばハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル等との反応により行うことができる。なお、ハロゲン化アリル、ハロゲン化クロチルの場合は水溶媒で反応を行うこともできる。
前記のようにして製造されるアスコルビン酸誘導体又はその塩はシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィー、イオン交換樹脂等の樹脂を用いたカラムクロマトグラフィー、活性炭処理、抽出、蒸留、結晶化等の手段により精製することができる。
前記のように、本発明のグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体又はその塩は、グルコピラノシルアスコルビン酸が元来有する美白作用、コラーゲン産生促進作用などの優れた作用を有するとともに、保湿作用を有し、かつ長期間の保存でも安定で、変色、変臭、活性低下等が少ない。そこで、このグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体又はその塩を成分として含有させることにより、優れた美白作用、コラーゲン産生促進作用、保湿作用、皮膚光老化防止作用、メイラード反応阻害作用、乾燥肌改善作用、皮膚弾力性改善作用、くすみ防止作用、グルタチオンの細胞内合成増強作用等を有するとともに、経時安定性にも優れた皮膚外用剤、毛髪化粧料等の各種化粧料を得ることができる。又、食品の添加剤、飼料等としても利用できる。
請求項6は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体又はその塩を配合したことを特徴とする化粧料を提供するものである。
本発明のグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体又はその塩を、優れた保湿作用を付与するために化粧料に配合する場合は、各種化粧料への配合量は、1から20重量%が好ましい。他の作用を付与するために配合する場合、その配合量の範囲は、化粧料の用途により異なり、特に限定できないが、通常、0.01%〜20重量%の範囲である。0.01%重量未満の場合は、美白効果等、本発明のアスコルビン酸誘導体又はその塩が有する効果を十分示せない場合が多い。一方、20重量%を超える場合は、配合量に見合った効果が望めない場合が多い、又剤系を壊す恐れがある。
本発明の化粧料には、この必須成分の他に、通常、用いられる成分、例えば、油性原料、界面活性剤、高分子化合物、紫外線吸収剤、薬剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤などを適宜配合することができる。又、本発明のアスコルビン酸誘導体又はその塩は、保湿剤としても作用するが、本発明の化粧料には、他の保湿剤を適宜配合することができる。
油性原料としては、オリーブ油、椿油、マカデミアナッツ油、茶実油、ヒマシ油、トリ(カプリン/カプリル)グリセリルなどの油脂類、ホホバ油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ラノリン、ミツロウなどのロウ類、流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワランなどの炭化水素類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸などの脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコールなどの高級アルコール類、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸−2−オクチルドデシル、2−エチルへキサン酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリ−2−エチルヘキサノイン、などのエステル類、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンなどのシリコーン類などが挙げられる。
界面活性剤としては、高級脂肪酸石鹸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アシル−N−メチルタウリン塩、N−アシルアミノ酸塩、アルキルリン酸エステル塩などのアニオン性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシ−N−ヒドロキシイミダゾリニウムベタインなどの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリエーテル変性シリコーンなどの非イオン性界面活性剤などが挙げられる。
他の保湿剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、マルチトール、ソルビトール、1,3−ブチレングリコール、乳酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウムなどが挙げられる。
高分子化合物としては、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、高分子のジメチルポリシロキサンなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、ビタミンEやタンニン、BHT(ブチルヒドロキシトルエン)等を挙げることができる。
本発明の化粧料の剤系は任意であり、溶液系、可溶化系、乳化系、ゲル系、粉末分散系、水−油二層系等いずれも可能であり、目的とする製品に応じて上記一般式で表されるアスコルビン酸誘導体又はその塩と上記任意配合成分とを配合して製造することができる。
本発明の、前記一般式(I)で示されるグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体又はその塩は、美白作用、コラーゲン産生促進作用等のアスコルビン酸誘導体が元来有する優れた機能を有するとともに、保湿作用を有し、長期間の保存でも安定で、変色、変臭、活性低下等が少ないものである。従って、この化合物を皮膚外用剤や毛髪化粧料などの化粧料に配合することにより、美白作用や保湿作用、皮膚光老化防止作用、メイラード反応阻害作用、乾燥肌改善作用、皮膚弾力性改善作用、くすみ防止作用、グルタチオンの細胞内合成増強作用等などに優れかつ長期間の保存でも安定した化粧料を得ることができる。本発明の化粧料は、この美白作用や保湿作用などに優れかつ長期間の保存でも安定した化粧料(美白化粧料や保湿化粧料など)である。
本発明の製造方法によれば、保護基の形成工程を経ずに、グルコピラノシルアスコルビン酸とエポキシ化合物等を単に反応するのみで、前記一般式(I)で示されるグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体又はその塩を製造することができ、従って、本発明のグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体又はその塩を、容易に安価に製造することができる。
次に、本発明を実施するための具体的な形態を実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例により限定されるものではない。
実施例1 2−O−グルコピラノシル−3−O−グリセリルアスコルビン酸の合成
アルゴン雰囲気下、2−O−グルコピラノシルアスコルビン酸(3.00g)に、炭酸水素ナトリウム(0.30g)及び水1.5mlを加え、さらにグリシドール(0.99g)を加えた。50℃に加温し8時間攪拌した後、陽イオン交換樹脂(IR120B)を用いてpHを3.0に調節し、減圧下に濃縮して得られた残渣4.12gをアルミナカラムクロマトグラフィーに付した。その後、クロロホルム/メタノール/水=10/10/3混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行い、2−O−グルコピラノシル−3−O−グリセリルアスコルビン酸(0.35g)を得た。この化合物について、NMR及びIR測定を行った結果を示す。実施例2〜7及び9についても同様である。
Figure 0005512148
H−NMR (400MHz, CDOD): δ ppm 3.49(2H,m),3.63(2H,m),3.75(4H,m),3.96(4H,m),4.57/4.60(1H,dd),4.69/4.70(1H,dd),4.94(1H,d),5.59/5.63(1H,d)
13C−NMR (100MHz, CDOD): δ ppm 62.03,63.09,63.47,70.48,70.52,70.88,71.65,71.71,73.27,74.56,74.66,75.26,76.97,102.12,102.43,121.28,121.43,160.45,160.65,172.03,172.11
赤外吸収スペクトル [ATR] (波数 cm−1) 3462,1751,1670,1038,970
実施例2 2−O−グルコピラノシル−3−O−ブチルグリセリルアスコルビン酸の合成
アルゴン雰囲気下、2−O−グルコピラノシルアスコルビン酸(3.00g)に、炭酸水素ナトリウム(0.30g)及びDMSO3.0mL、水0.5mlを加え、さらにブチルグリシジルエーテル(2.31g)を加えた。100℃に加温し8時間攪拌した後、水を加えn−へキサンで洗浄後、n−ブタノールで抽出した。抽出液を、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮して得られた残渣3.58gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。その後、クロロホルム/メタノール/水=10/3/0.3混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行い、2−O−グルコピラノシル−3−O−ブチルグリセリルアスコルビン酸(0.73g)を得た。
Figure 0005512148
H−NMR (400MHz, CDOD): δ ppm 0.93(3H,t),1.38(2H,m),1.57(2H,m),3.47(6H,m),3.66(2H,m),3.74(2H,m),3.96(3H,m),4.03(1H,m),4.56/4.60(1H,dd),4.67/4.68(1H,dd),4.929/4.933(1H,d),5.57/5.60(1H,d)
13C−NMR (100MHz, CDOD): δ ppm 14.26,20.28,32.77,62.10,63.24,70.14,70.25,70.53,70.57,70.94,72.27,72.33,72.46,73.34,74.68,74.92,75.28,75.31,76.97,102.28,102.57,121.38,121.53,160.56,160.67,172.07,172.12
赤外吸収スペクトル [ATR] (波数 cm−1) 3343,2932,2872,1749,1667,1078,1020,989
実施例3 2−O−グルコピラノシル−3−O−オクチルグリセリルアスコルビン酸の合成
アルゴン雰囲気下、2−O−グルコピラノシルアスコルビン酸(3.00g)に、炭酸水素ナトリウム(0.30g)及びDMSO3.0mL、水0.5mlを加え、さらにオクチルグリシジルエーテル(2.47g)を加えた。100℃に加温し8時間攪拌した後、水を加えn−へキサンで洗浄後、n−ブタノールで抽出した。抽出液を、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮して得られた残渣3.78gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。その後、クロロホルム/メタノール/水=10/3/0.3混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行い、2−O−グルコピラノシル−3−O−オクチルグリセリルアスコルビン酸(0.24g)を得た。
Figure 0005512148
H−NMR (400MHz, CDOD): δ ppm 0.89(3H,t),1.29(10H,brs),1.57(2H,m),3.47(6H,m),3.66(2H,m),3.74(2H,m),3.95(3H,m),4.02(1H,m),4.56/4.60(1H,dd),4.67/4.68(1H,dd),4.929/4.933(1H,d),5.57/5.60(1H,d)
13C−NMR (100MHz, CDOD): δ ppm 14.42,23.70,27.19,30.42,30.58,30.67,33.00,62.10,63.19,70.13,70.24,70.53,70.56,70.93,72.26,72.34,72.79,73.34,74.68,74.89,75.27,75.31,76.96,102.32,102.58,121.39,121.53,160.56,160.67,172.07,172.12
赤外吸収スペクトル [ATR] (波数 cm−1) 3363,2924,2857,1751,1668,1078,1020,991
実施例4 2−O−グルコピラノシル−3−O−ヘキサデシルグリセリルアスコルビン酸の合成
アルゴン雰囲気下、2−O−グルコピラノシルアスコルビン酸(3.00g)に、DMF10mLを加え、さらにヘキサデシルグリシジルエーテル(3.98g)を加えた。100℃に加温し12時間攪拌した後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮して得られた残渣7.56gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。その後、クロロホルム/メタノール/水=20/3/0.3混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行い、2−O−グルコピラノシル−3−O−ヘキサデシルグリセリルアスコルビン酸(1.76g)を得た。
Figure 0005512148
H−NMR (400MHz, CDOD): δ ppm 0.89(3H,t−like),1.28(26H,brs),1.58(2H,m),3.48(6H,m),3.66(2H,m),3.74(2H,m),3.95(3H,m),4.03(1H,m),4.56/4.60(1H,dd),4.67/4.68(1H,dd),4.929/4.933(1H,d),5.57/5.60(1H,d)
13C−NMR (100MHz, CDOD): δ ppm 14.44,23.71,27.19,30.46,30.65,30.67,30.78,33.06,62.11,63.18,63.22,70.12,70.24,70.52,70.56,70.94,72.26,72.34,72.80,73.33,74.67,74.89,75.30,76.96,102.31,102.57,121.38,121.52,160.55,160.66,172.07
赤外吸収スペクトル [ATR] (波数 cm−1) 3343,2916,2851,1751,1670,1078,1022,991
実施例5 2−O−グルコピラノシル−3−O−(2−ヒドロキシブチル)アスコルビン酸の合成
アルゴン雰囲気下、2−O−グルコピラノシルアスコルビン酸(3.00g)に、炭酸水素ナトリウム(0.22g)及び水1.5mlを加え、さらにブチレンオキサイド(1.92g)を加えた。50℃に加温し24時間攪拌した後、陽イオン交換樹脂(IR120B)を用いてpHを3.0に調節し、減圧下に濃縮して得られた残渣3.56gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。その後、クロロホルム/メタノール/水=65/35/5混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行い、2−O−グルコピラノシル−3−O−(2−ヒドロキシブチル)アスコルビン酸(1.16g)を得た。
Figure 0005512148
H−NMR (400MHz, CDOD): δ ppm 1.00(3H,t−like),1.61(2H,m),3.43(1H,dd−like),3.51(1H,dd),3.65(2H,m),3.73(3H,m),3.95(2H,m),4.47/4.49(1H,dd),4.61(1H,m),4.92(1H,d),5.57/5.59(1H,d)
13C−NMR (100MHz, CDOD): δ ppm 10.24,10.29,26.84,26.92,62.07,63.42,70.54,70.60,70.93,72.40,72.53,73.31,74.70,75.19,75.25,76.97,76.99,77.25,102.30,102.49,121.27,121.38,160.72,160.82,172.14
赤外吸収スペクトル [ATR] (波数 cm−1) 3336,2922,2851,1748,1663,1076,1020,989
実施例6 2−O−グルコピラノシル−3−O−(2−ヒドロキシデシル)アスコルビン酸の合成
アルゴン雰囲気下、2−O−グルコピラノシルアスコルビン酸(5.00g)に、炭酸水素ナトリウム(0.38g)及びDMSO6.0mL、水1.0mlを加え、さらに1,2−エポキシデカン(3.47g)を加えた。80℃に加温し12時間攪拌した後、水を加え、n−ブタノールで抽出した。抽出液を、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮して得られた残渣6.51gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。その後、クロロホルム/メタノール/水=7/3/0.5混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行い、2−O−グルコピラノシル−3−O−(2−ヒドロキシデシル)アスコルビン酸(1.69g)を得た。
Figure 0005512148
H−NMR (400MHz, CDOD): δ ppm 0.89(3H,t−like),1.30(12H,m),1.52(2H,m),3.43(1H,dd−like),3.51(1H,dd),3.66(2H,d−like),3.74(3H,m),3.85(1H,m),3.93(2H,m),4.46/4.48(1H,dd),4.59(1H,m),4.92(1H,d),5.57/5.59(1H,d)
13C−NMR (100MHz, CDOD): δ ppm 14.43,23.71,26.62,26.65,30.44,30.56,30.67,30.73,33.04,33.84,33.93,62.07,63.22,70.56,70.61,70.92,71.01,71.18,73.31,74.71,75.24,75.26,76.97,77.00,77.58,102.30,102.48,121.25,121.36,160.76,160.84,172.16
赤外吸収スペクトル [ATR] (波数 cm−1) 3341,2924,2855,1749,1665,1078,1020,989
実施例7 2−O−グルコピラノシル−3−O−(2−ヒドロキシヘキサデシル)アスコルビン酸の合成
アルゴン雰囲気下、2−O−グルコピラノシルアスコルビン酸(3.00g)に、DMF10mLを加え、さらにヘキサデシルグリシジルエーテル(3.20g)を加えた。100℃に加温し12時間攪拌した後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮して得られた残渣7.23gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。その後、クロロホルム/メタノール/水=10/3/0.3混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行い、2−O−グルコピラノシル−3−O−(2−ヒドロキシヘキサデシル)アスコルビン酸(1.35g)を得た。
Figure 0005512148
H−NMR (400MHz, CDOD): δ ppm 0.89(3H,t−like),1.30(12H,m),1.52(2H,m),3.43(1H,dd−like),3.51(1H,dd),3.66(2H,d−like),3.74(3H,m),3.85(1H,m),3.93(2H,m),4.46/4.48(1H,dd),4.59(1H,m),4.92(1H,d),5.57/5.59(1H,d)
13C−NMR (100MHz, CDOD): δ ppm 14.45,23.69,26.64,30.44,30.61,30.73,30.77,33.03,33.79,33.89,62.04,63.19,70.51,70.56,70.87,70.96,71.14,73.25,74.65,75.19,76.95,76.97,77.52,77.58,102.27,102.43,121.21,121.30,160.74,160.81,172.12
赤外吸収スペクトル [ATR] (波数 cm−1) 3343,2922,2853,1751,1667,1078,1022,991
実施例8 3−O−ブチル−2−O−グルコピラノシルアスコルビン酸の合成
アルゴン雰囲気下、2−O−グルコピラノシルアスコルビン酸(5.00g)に、炭酸水素ナトリウム(1.24g)及びDMSO10mLを加え、さらにブチルブロマイド(2.43g)を加える。100℃に加温し5時間攪拌した後、水を加え、n−ブタノールで抽出し、抽出液を、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮して得られた残渣6.13gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、その後、クロロホルム/メタノール/水=10/3/0.5混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行うことにより、3−O−ブチル−2−O−グルコピラノシルアスコルビン酸を得ることができる。
実施例9 2−O−グルコピラノシル−3−O−オクチルアスコルビン酸の合成
アルゴン雰囲気下、2−O−グルコピラノシルアスコルビン酸(5.00g)に、炭酸水素ナトリウム(1.24g)及びDMSO10mLを加え、さらにオクチルブロマイド(2.86g)を加えた。100℃に加温し5時間攪拌した後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮して得られた残渣6.54gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。その後、クロロホルム/メタノール/水=20/3/0.3混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行い、2−O−グルコピラノシル−3−O−オクチルアスコルビン酸(2.13g)を得た。
H−NMR (400MHz, CDOD): δ ppm 0.90(3H,t),1.32(8H,m),1.46(2H,m),1.75(2H,m),3.42(1H,dd),3.50(1H,dd),3.64(2H,d−like),3.70(2H,m),3.77(1H,dd),3.89(1H,dt−like),3.93(1H,ddd)4.59(2H,m),4.87(1H,m),5.57(1H,d)
13C−NMR (100MHz, CDOD): δ ppm 14.43,23.72,26.71,30.35,30.45,30.74,32.96,62.13,63.29,70.64,70.95,73.31,74.30,74.70,75.34,76.84,102.40,120.95,160.87,172.43
赤外吸収スペクトル [ATR] (波数 cm−1) 3360,2926,2857,1749,1663,1331,1078,1020,989
実施例10 2−O−グルコピラノシル−3−O−ヘキサデシルアスコルビン酸の合成
アルゴン雰囲気下、2−O−グルコピラノシルアスコルビン酸(5.00g)に、炭酸水素ナトリウム(1.24g)及びDMSO10mLを加え、さらにヘキサデシルブロマイド(5.41g)を加え、100℃に加温し5時間攪拌した後、水を加え、酢酸エチルで抽出し、抽出液を、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮して得られた残渣9.23gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、その後、クロロホルム/メタノール/水=20/3/0.3混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行うことにより、2−O−グルコピラノシル−3−O−ヘキサデシルアスコルビン酸を得ることができる。
試験例1
美白効果の試験として、B16メラノーマ4A5細胞のテオフィリン誘発メラニン産生に対する作用の評価を、下記の手順により、本発明のアスコルビン酸誘導体について行った。
(1)B16マウス メラノーマ4A5株を、2.0×10cells/wellの細胞密度で48穴プレートに播種した。
(2)10%ウシ胎児血清(Invitrogen社製)含有ダルベッコ変法イーグル培地(SIGMA社製、以下D−MEMと略記する。)にて24時間培養後、0.2mMテオフィリン、及び所定の濃度の試料を含有した10%ウシ胎児血清含有D−MEMに交換した。
(3)試料共存下で3日間培養後、アスピレーターを用いて培地を除去し、蒸留水を添加後超音波により細胞を破砕した。
(4)その後、タンパク量を、BCA protein assay kit(PIERCE社製)を用いて定量し、又、メラニンの生成量を、後述のアルカリ可溶化法にて測定した。細胞破砕液に終濃度2Nとなるように水酸化ナトリウムを添加して加熱溶解(60℃、15分)後、マイクロプレートリーダーを用いて450nmの吸光度を測定した。メラニン量は、合成メラニン(SIGMA)を標準品として作成した検量線から算出した。タンパク量でメラニン量を除することにより単位タンパクあたりのメラニン量を算出した。
(5)メラニン生成抑制率は、次式から算出した。
メラニン生成抑制率(%)=[1−(A−B)/(C−B)]×100
[式中、Aは、試料添加時の単位タンパクあたりのメラニン量(g/g)、Bは、normal群の単位タンパクあたりのメラニン量(g/g)、Cはcontrol群の単位タンパクあたりのメラニン量(g/g)を示す。]
なお、normal、controlは以下のように定義した。
・normalは、テオフィリン(−),試料(−)
・controlは、テオフィリン(+),試料(−)
試料を100μM以下の濃度で測定したときのメラニン生成抑制率に基づき、美白効果を下記のように表記した。なお、測定はN=4で行った。
<20% :△
20−40% :○
40%以上 :◎
Figure 0005512148
表1の結果は、本発明のグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体は、公知のアスコルビン酸誘導体又はその塩、即ち、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、グルコピラノシルアスコルビン酸より優れる美白効果を有することを示している。
試験例2 [コラーゲン産生評価試験]
正常ヒト皮膚繊維芽細胞を、2.5×10cells/wellの細胞密度になるように10%(v/v)のウシ胎児血清(Invitrogen社製)含有D−MEMで調整し、96穴プレートに播種した。24時間の培養後、培地を除去、試験試料含有5%(v/v)ウシ胎児血清含有D−MEMを各穴に添加し、試料共存下48時間培養した。培養終了後、遊離コラーゲン量をSircol collagen assay kit(Biocolor社製)を用いて測定した。測定された各吸光度から、下記式に基づいてコラーゲン量増加率(%)を算出した。なお、測定はN=4で行った。
コラーゲン量増加率(%)=A/B×100
[式中、Aは、試料溶液添加時の吸光度、Bは、試料溶液無添加時の吸光度を示す。]
Figure 0005512148
表2の結果は、本発明のグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体は、グルコピラノシルアスコルビン酸と比較して、低濃度でより優れるコラーゲン産生促進効果を有することを示している。
試験例3 [繊維芽細胞増殖作用試験]
正常ヒト皮膚繊維芽細胞を、2.5×10cells/wellの細胞密度になるように10%(v/v)のウシ胎児血清(Invitrogen社製)含有D−MEMで調整し、96穴プレートに播種した。24時間の培養後、培地を除去、試験試料含有5%(v/v)ウシ胎児血清含有D−MEMを各ウェルに添加し、試料共存下48時間培養した。培養終了後、MTT試薬(3−(4,5−dimethyl−2−thiazolyl)−2,5−diphenyl−2H tetrazolium bromide, 5mg/mLのPBS(−)溶液)10μLを各ウェル中に添加し、4時間インキュベートした(増殖した細胞中のミトコンドリア由来の細胞内脱水素酵素活性に応じて、青色を有するホルマザンを生成する)。その後、各ウェル中の培地を除去し、0.04NHCl含有イソプロピルアルコールを100μLずつ分注し、生成したホルマザンを溶解した。マイクロプレートリーダーを用いて測定波長570nmの吸光度を測定した。
又、各吸光度測定値は、同時に測定した655nmの吸光度を差し引いて、増殖した細胞による濁度の影響を補正した。補正後の各吸光度より下記式に基づいて繊維芽細胞増殖促進率(%)を求めた。測定は、N=4で行った。
繊維芽細胞増殖促進率(%)=A/B×100
[式中、Aは、試料溶液添加時の吸光度、Bは、試料溶液無添加時の吸光度を示す。]
Figure 0005512148
表3に示すように、グルコピラノシルアスコルビン酸と比較して本発明のグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体は、低濃度で優れた繊維芽細胞増殖促進作用を有することが確認された。
試験例4 [安定性試験]
各種試験サンプルの2%水溶液を希水酸化ナトリウム水溶液、又は希塩酸水溶液でそれぞれpH3に調製し、50mLのスクリュー管に入れ密栓し、室温にて4週間保管し、HPLC測定(東ソ−社製液体クロマトグラフィーを用いた。)を行いピーク面積より残存率を求めた。残存率、臭い及び着色度を下記の方法、基準に基づき評価し結果を表4に示す。
残存率:
○ : 80%以上
△ : 40%以上、80%未満
× : 40%未満
臭い:
10人のパネラーにより、次の基準で評価した。
3: ほとんど無臭。
2: 少し異臭が感じられる。
1: 強い異臭が感じられる。
この評価結果に基づき、下記の様に分類した。
○:10人の総合点が25以上
△:10人の総合点が16〜24
×:10人の総合点が15以下
着色:
10人のパネラーにより、次の基準で評価した。
3: 調製直後と比較しほとんど変化なし。
2: 調製直後と比較し着色する。
1: 調製直後と比較し強く着色。
この評価結果に基づき、下記の様に分類した。
○:10人の総合点が25以上
△:10人の総合点が16〜24
×:10人の総合点が15以下
Figure 0005512148
表4に示すように、本発明のグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体は、残存率、臭い、着色の全ての面で安定性に優れていることが確認された。
実施例11 クリーム
表5に示す組成の(1)〜(5)の油相部の原料、および(6)〜(10)の水相部の原料をそれぞれ70℃に加温し溶解して、油相および水相をそれぞれ調製した。その後、水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よく攪拌しながら室温まで冷却することにより、乳化を壊すことなく美白効果に優れたクリームを調製する。なお、表5以後の表中、配合量は質量部を表す。
Figure 0005512148
実施例12 乳液
表6に示す組成の(1)〜(9)の油相部の原料、および(10)〜(13)の水相部の原料をそれぞれ70℃に加温し溶解して、油相および水相をそれぞれ調製した。その後、水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よく攪拌しながら室温まで冷却することにより、乳化を壊すことなく美白効果に優れた乳液を調製する。
Figure 0005512148
実施例13 乳液
表7に示す組成の(5)〜(10)の油相部の原料、および(1)〜(4)、(11)〜(12)の水相部の原料をそれぞれ70℃に加温し溶解して、油相および水相をそれぞれ調製した。その後、水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よく攪拌しながら室温まで冷却することにより、乳化を壊すことなく美白効果に優れた乳液を調製することができる。
Figure 0005512148
実施例14 クリーム
表8に示す組成の(1)〜(2)の油相部の原料、および(3)〜(10)の水相部の原料をそれぞれ70℃に加温し溶解して、油相および水相をそれぞれ調製した後、水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よく攪拌しながら室温まで冷却することにより、クリームを調製することができる。このクリームは、乳化を壊すことなく美白効果に優れた皮膚用化粧料として用いられる。
Figure 0005512148
実施例15 化粧水
表9に示す組成の(1)〜(6)の原料を、よく攪拌しながら混合することにより化粧水を調製することができる。この化粧水は、2−O−グルコピラノシル−3−O−(2−ヒドロキシブチル)アスコルビン酸を7重量%含んでいるので、乳化を壊すことなく優れた保湿効果を有する。
Figure 0005512148
実施例16 クリーム
表10に示す組成の(1)〜(6)の油相部、および(7)〜(10)の水相部をそれぞれ70℃に加温溶解する。水相部に油相部を加え予備乳化を行い、ついでホモミキサーで乳化した後、よく攪拌しながら室温まで冷却してクリームを調製することができる。このクリームは、2−O−グルコピラノシル−3−O−ヘキサデシルグリセリルアスコルビン酸を3重量%含んでいるので、優れたコラーゲン産生促進効果を有し、特にその効果の持続性に優れたものである。又、2−O−グルコピラノシル−3−O−ヘキサデシルグリセリルアスコルビン酸は、優れた美白効果を与えるので、このクリームは、乳化を壊すことなく美白効果に優れた皮膚用化粧料として用いることができる。
Figure 0005512148

Claims (6)

  1. 下記の一般式(I)で表わされることを特徴とするアスコルビン酸誘導体。
    Figure 0005512148
    [式中、
    は、R−O−CH−CH(OH)−CH−、R−O−CH−CH(CHOH)−、R−CH(CHOH)−、R−CH(OH)−CH−、ヒドロキシシクロヘキシル基、炭素数1〜22のアルキル基、又は炭素数2〜22のアルケニル基であり、
    は、H、R−O−CH−CH(OH)−CH−、R−O−CH−CH(CHOH)−、R10−CH(CHOH)−、R11−CH(OH)−CH−、又はヒドロキシシクロヘキシル基、炭素数1〜22のアルキル基、又は炭素数2〜22のアルケニル基であり、
    は、H、R12−O−CH−CH(OH)−CH−、R13−O−CH−CH(CHOH)−、R14−CH(CHOH)−、R15−CH(OH)−CH−、又はヒドロキシシクロヘキシル基、炭素数1〜22のアルキル基、又は炭素数2〜22のアルケニル基であり、
    、R、R、R、R12及びR13は、H、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又はフェニル基であり、
    、R、R10、R11、R14、及びR15は、H、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、又はフェニル基である。]
  2. 前記一般式(I)中の、
    が、R−O−CH−CH(OH)−CH−、R−O−CH−CH(CHOH)−、R−CH(CHOH)−、 −CH(OH)−CH −、炭素数1〜22のアルキル基、又は炭素数2〜22のアルケニル基であり、
    及びR がHである
    ことを特徴とする請求項1に記載のアスコルビン酸誘導体。
  3. グルコピラノシルアスコルビン酸と、グリシドール、アルキルグリシジルエーテル、アルケニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、エチレンオキサイド、エポキシアルカン、エポキシアルケン、スチレンオキサイド及び脂環式エポキシから選ばれるエポキシ化合物を反応させる工程を有することを特徴とするグルコピラノシルアスコルビン酸誘導体の製造方法。
  4. 前記エポキシ化合物が、下記式(II)で表される化合物、下記式(III)で表される化合物、及び1,2−エポキシシクロヘキサンから選ばれることを特徴とする請求項3に記載のアスコルビン酸誘導体の製造方法。
    Figure 0005512148
    [式中、R18は、H、炭素数1〜22のアルキル基である。]
    Figure 0005512148
    [式中、R19は、H、炭素数1〜20のアルキル基である。]
  5. 前記エポキシ化合物が、式(II)で表され、かつR18が、H、炭素数1〜8のアルキル基である化合物、又は式(III)で表されかつR19が、H、炭素数1〜8のアルキル基である化合物であり、かつ、前記アスコルビン酸と、前記エポキシ化合物との反応が、水系溶媒中で行われることを特徴とする請求項3に記載のアスコルビン酸誘導体の製造方法。
  6. 請求項1ないし請求項2のいずれか1項に記載のアスコルビン酸誘導体を配合したことを特徴とする化粧料。
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