JP2016113394A - アスコルビン酸誘導体又はその塩、及び化粧料。 - Google Patents

アスコルビン酸誘導体又はその塩、及び化粧料。 Download PDF

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正人 吉岡
徳久 平
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徳久 平
辰哉 壺井
Tatsuya Tsuboi
辰哉 壺井
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Abstract

【課題】美白作用、コラーゲン産生促進作用、保湿作用等のアスコルビン酸誘導体が元来有する優れた機能を有するとともに、長期間の保存でも安定で、変色、変臭、活性低下等が少ない、新規なアスコルビン酸誘導体又はその塩、並びにそれらの製造方法を提供する。【解決手段】アスコルビン酸の2位又は3位の水酸基の水素の少なくとも一方が、R−O−CH2−CH(OH)−CH2−、R−O−CH2−CH(CH2OH)−、R−CH(CH2OH)−、R−CH(OH)−CH2−(Rは、アルキル基、アルケニニル基又はフェニル基)、又はヒドロキシシクロヘキシル基で置換されているアスコルビン酸誘導体又はその塩。【選択図】 なし

Description

本発明は、化粧料の原料等として好適に用いられるアスコルビン酸誘導体又はその塩に関する。本発明は、又、前記アスコルビン酸誘導体又はその塩を配合した化粧料に関する。
アスコルビン酸は、安全かつ有用な抗酸化物質であり、優れた美白作用などを有する化合物として知られているが、一方、光、熱、酸化に対して不安定であり、化粧品分野での利用が妨げられていた。そこで、アスコルビン酸より経時安定性が向上したものとして、種々のアスコルビン酸誘導体又はその塩が提案されており、美白用の皮膚外用剤への配合(特許文献1、特許文献2)や、化粧料への配合(特許文献3)が提案されている。
しかしながら、前記のアスコルビン酸誘導体及びその塩の多くは、経時により着色や臭いを発生する等の問題があり、その経時安定性はなお不十分であり、また生体内での活性の持続も短期的でありその改善が望まれている。
経時安定性を更に改善するものとして、酵素の作用等により遊離のアスコルビン酸を生成するアスコルビン酸リン酸塩やアスコルビン酸グルコシド(特許文献4)などが提案されている。しかし、これらは、その製造が複雑であり価格的にも高価である。そこで、美白作用、コラーゲン産生促進作用など、アスコルビン酸誘導体が元来有する優れた機能を有するとともに、経時での安定性が良好であって、更に、安価で容易な製造方法により製造可能なアスコルビン酸誘導体が望まれている。
特開昭62−221611号公報 特開2005−60239号公報 特開平1−228978号公報 特許2926412号公報
本発明は、美白作用、コラーゲン産生促進作用等のアスコルビン酸が元来有する優れた機能を有するとともに、長期間の保存でも安定で、変色、変臭、活性低下等が少ない、新規なアスコルビン酸誘導体又はその塩を提供することを課題とする。本発明は、又、この新規なアスコルビン酸誘導体又はその塩を、容易に安価に製造することができる製造方法を提供することを課題とする。本発明は更に、この新規なアスコルビン酸誘導体又はその塩を配合した化粧料を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記実情に鑑みて鋭意検討した結果、下記式(I)で示される新規なアスコルビン酸誘導体又はその塩は、美白作用、保湿作用、コラーゲン産生促進作用などの優れた作用を有するとともに、長期間の保存でも安定で、変色、変臭、活性低下等が少ないことを見出した。本発明者らは、更に、下記式(I)で示される新規なアスコルビン酸誘導体は、アスコルビン酸と、エポキシド骨格を有するグリシドール、アルキルグリシジルエーテル、エポキシアルカン等を、単に反応させることにより容易に製造できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づき完成されたものである。
本発明は、下記の一般式(I)で表わされることを特徴とするアスコルビン酸誘導体又はその塩を提供する(請求項1)。
[式中、
は、H、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、ベンジル基、R−O−CH−CH(OH)−CH−、R−O−CH−CH(CHOH)−、R−CH(CHOH)−、R−CH(OH)−CH−、又はヒドロキシシクロヘキシル基であり、
は、H、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、ベンジル基、R−O−CH−CH(OH)−CH−、R−O−CH−CH(CHOH)−、R−CH(CHOH)−、R10−CH(OH)−CH−、又はヒドロキシシクロヘキシル基であり、ここで
及びRは、H、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、又はフェニル基であり、
及びRは、H、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又はフェニル基であり、
及びRは、H、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、又はフェニル基であり、
及びR10は、H、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又はフェニル基である。
但し、RがH又は炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基又はベンジル基のとき、Rは、H、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基及びベンジル基のいずれでもない。]
本発明は、前記式(I)で表わされるアスコルビン酸誘導体である。さらに、前記式(I)中のRがHの場合又はRがHの場合は、このHが解離した水素イオンを、金属イオンやアンモニウムイオン等の陽イオンで置換してなるアスコルビン酸誘導体の塩も本発明に含まれる。
後述のように、一般式(I)で表わされるアスコルビン酸誘導体又はその塩は、アスコルビン酸の2位及び/又は3位の水酸基に、グリシドール、特定構造のアルキルグリシジルエーテル、アルケニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、エチレンオキサイド、エポキシアルカン、エポキシアルケン、スチレンオキサイド及び脂環式エポキシから選ばれるエポキシ環を有する化合物(エポキシ化合物)を反応させる工程を有する方法により製造することができる。アスコルビン酸と、グリシドール、アルキルグリシジルエーテル、アルケニルグリシジルエーテル又はフェニルグリシジルエーテルとを反応させる際には、Rが、R−O−CH−CH(OH)−CH−であるものとR−O−CH−CH(CHOH)−であるものとの混合物、Rが、R−O−CH−CH(OH)−CH−であるものとR−O−CH−CH(CHOH)−であるものとの混合物が生じる場合もあり、又
アスコルビン酸と、エチレンオキサイド、エポキシアルカン、エポキシアルケン、又はスチレンオキサイドとを反応させる際には、Rが、R−CH(CHOH)−であるものとR−CH(OH)−CH−であるものとの混合物、Rが、R−CH(CHOH)−であるものとR10−CH(OH)−CH−であるものとの混合物が生じる場合もある。
しかし上記反応においては、エポキシ環は、1級水酸基又は2級水酸基が生じるように開環しこれらの混合物として得られるが、主に、2級水酸基が生じるように開環してアスコルビン酸の水酸基と結合する。従って、Rが、R−O−CH−CH(CHOH)−又はR−CH(CHOH)−であるものよりも、R−O−CH−CH(OH)−CH−又はR−CH(OH)−CH−であるものが生じやすく、Rが、R−O−CH−CH(CHOH)−又はR−CH(CHOH)−であるものよりも、R−O−CH−CH(OH)−CH−又はR10−CH(OH)−CH−であるものが生じやすい。即ち、請求項1に記載のアスコルビン酸誘導体又はその塩としては、式(I)中の、
は、H、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、ベンジル基、R−O−CH−CH(OH)−CH−、R−CH(OH)−CH−、又はヒドロキシシクロヘキシル基であり、
は、H、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、ベンジル基、R−O−CH−CH(OH)−CH−、R10−CH(OH)−CH−、又はヒドロキシシクロヘキシル基であるものが生じやすい。
一般式(I)で表されるアスコルビン酸誘導体の具体例としては、以下に示す化合物を挙げることができるが、本発明の範囲は以下に示すものに限定されるものではない。
なお、以下の例示において、
グリセリルとは、HOCH−CH(OH)−CH−又はHOCH−CH(CHOH)−を示し、
アルキルグリセリル基とは、R−O−CH−CH(OH)CH−又はR−O−CH−CH(CHOH)−(Rはアルキル基を示す。)を示し、
アルキル基とは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ベヘニル基等の直鎖炭化水素基、イソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,1,3,3−トリメチルブチル基、2−エチルヘキシル基、1−オクチルデシル基、メチルヘプタデシル基等の分岐鎖炭化水素基等を挙げることができる。
アルケニル基とは、ビニル基、アリル基、ブテニル基、イソブテニル基、クロチル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基等を示し、
ヒドロキシアルキル基とは、R−CH−CH(OH)−又はR−CH(OH)−CH−(Rはアルキル基を示す。)を示し、例えば、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシヘプチル基、ヒドロキシオクチル基、ヒドロキシノニル基、ヒドロキシデシル基、ヒドロキシウンデシル基、ヒドロキシドデシル基、ヒドロキシトリデシル基、ヒドロキシテトラデシル基、ヒドロキシペンタデシル基、ヒドロキシヘキサデシル基、ヒドロキシヘプタデシル基、ヒドロキシオクタデシル基、ヒドロキシノナデシル基、ヒドロキシエイコシル基、ヒドロキシベヘニル基を挙げることができる。
(1)3−O−グリセリルアスコルビン酸、
3−O−アルキルグリセリルアスコルビン酸、例えば3−O−メチルグリセリルアスコルビン酸、3−O−エイコシルグリセリルアスコルビン酸、3−O−(2−エチルヘキシル)グリセリルアスコルビン酸
3−O−アルケニルグリセリルアスコルビン酸、例えば、3−O−アリルグリセリルアスコルビン酸、3−O−クロチルグリセリルアスコルビン酸、3−O−ビニルグリセリルアスコルビン酸、3−O−イソブテニルグリセリルアスコルビン酸、3−O−オクテニルグリセリルアスコルビン酸、3−O−デセニルグリセリルアスコルビン酸、3−O−ドデセニルグリセリルアスコルビン酸、
及び、3−O−フェニルグリセリルアスコルビン酸
(2)2−O−グリセリルアスコルビン酸、
2−O−アルキルグリセリルアスコルビン酸、例えば、2−O−メチルグリセリルアスコルビン酸、2−O−エイコシルグリセリルアスコルビン酸、2−O−(2−エチルヘキシル)グリセリルアスコルビン酸
2−O−アルケニルグリセリルアスコルビン酸、例えば、2−O−アリルグリセリルアスコルビン酸、2−O−ドデセニルグリセリルアスコルビン酸、
及び、2−O−フェニルグリセリルアスコルビン酸
(3)2,3−ジ−O−グリセリルアスコルビン酸、
2,3−ジ−O−アルキルグリセリルアスコルビン酸、2,3−ジ−O−アルケニルグリセリルアスコルビン酸、2,3−ジ−O−フェニルグリセリルアスコルビン酸、2,3−O−(2−エチルヘキシル)グリセリルアスコルビン酸
(4)3−O−ヒドロキシアルキルアスコルビン酸、3−O−ヒドロキシフェニルエチルアスコルビン酸、(5)2−O−ヒドロキシアルキルアスコルビン酸、2−O−ヒドロキシフェニルエチルアスコルビン酸
(6)2,3−ジ−O−ヒドロキシアルキルアスコルビン酸、2,3−ジ−O−ヒドロキシフェニルエチルアスコルビン酸
(7)3−O−グリセリル−2−O−アルキルグリセリルアスコルビン酸、3−O−グリセリル−2−O−アルケニルグリセリルアスコルビン酸、3−O−グリセリル−2−O−フェニルグリセリルアスコルビン酸
(8)3−O−グリセリル−2−O−ヒドロキシルアルキルアスコルビン酸、3−O−グリセリル−2−O−ヒドロキシフェニルエチルアスコルビン酸
(9)3−O−グリセリル−2−O−アルキルアスコルビン酸、3−O−グリセリル−2−O−アルケニルアスコルビン酸、
(10)3−O−アルキルグリセリル−2−O−アルキルグリセリルアスコルビン酸(但し、3−アルキルと2−アルキルは異なっている。)、3−O−アルキルグリセリル−2−O−アルケニルグリセリルアスコルビン酸、3−O−アルキルグリセリル−2−O−フェニルグリセリルアスコルビン酸、例えば、3−O−(2−エチルヘキシル)グリセリル−2−O−アリルグリセリルアスコルビン酸、3−O−(2−エチルヘキシル)グリセリル−2−O−フェニルグリセリルアスコルビン酸、
(11)3−O−アルキルグリセリル−2−O−ヒドロキシアルキルグリセリルアスコルビン酸、3−O−アルケニルグリセリル−2−O−ヒドロキシアルキルグリセリルアスコルビン酸、3−O−アルキルグリセリル−2−O−ヒドロキシアルケニルグリセリルアスコルビン酸、3−O−アルケニルグリセリル−2−O−ヒドロキシアルケニルグリセリルアスコルビン酸、3−O−アルキルグリセリル−2−O−フェニルグリセリルアスコルビン酸、例えば、3−O−(2−エチルヘキシル)グリセリル−2−O−ヒドロキシデシルアスコルビン酸
(12)3−O−アルキルグリセリル−2−O−アルキルアスコルビン酸、3−O−アルキルグリセリル−2−O−アルケニルアスコルビン酸、例えば、3−O−(2−エチルヘキシル)グリセリル−2−O−オクチルアスコルビン酸
(13)3−O−ヒドロキシアルキル−2−O−アルキルアスコルビン酸、3−O−ヒドロキシアルキル−2−O−アルケニルアスコルビン酸
(14)3−O−ヒドロキシアルキル−2−O−アルキルグリセリルアスコルビン酸、3−O−ヒドロキシアルキル−2−O−アルケニルグリセリルアスコルビン酸、例えば、3−O−ヒドロキシオクチル−2−O−(2−エチルヘキシル)グリセリルアスコルビン酸
(15)3−O−ヒドロキシアルキル−2−O−ヒドロキシアルキルアスコルビン酸、3−O−ヒドロキシアルキル−2−O−ヒドロキシフェニルエチルアスコルビン酸
(16)3−O−ヒドロキシシクロヘキシルアスコルビン酸、2−O−ヒドロキシシクロヘキシルアスコルビン酸、3−O−グリセリル−2−O−ベンジルアスコルビン酸、2−O−グリセリル−3−O−ベンジルアスコルビン酸。
さらに本発明は、前記一般式(I)中の、
及びRがそれぞれ独立して、水素又はR−O−CH−CH(OH)−CH−であることを特徴とする請求項1記載のアスコルビン酸誘導体を提供する(請求項2)。これらのアスコルビン酸誘導体は、特に安定性に優れており好適である。
とりわけ特に好適であるものとして、下記式(A)で表されることを特徴とする請求項1に記載のアスコルビン酸誘導体(請求項3)、下記式(B)で表されることを特徴とする請求項1に記載のアスコルビン酸誘導体(請求項4)、下記式(C)で表されることを特徴とする請求項1に記載のアスコルビン酸誘導体(請求項5)を提供する。
前記式(I)で表わされるアスコルビン酸誘導体等、2位及び3位が位置特異的にエーテル化されたアスコルビン酸誘導体又はその塩は、アスコルビン酸と、グリシドール、アルキルグリシジルエーテル、アルケニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、エチレンオキサイド、エポキシアルカン、エポキシアルケン、スチレンオキサイド及び脂環式エポキシから選ばれるエポキシ化合物を反応させることにより、アスコルビン酸の2位、3位、5位、6位にある4つの水酸基の中で、2位及び/又は3位のみを、位置特異的にエーテル化する方法により製造することができる。位置特異的にエーテル化する方法は、特に限定されず、例えば、5位及び6位の水酸基を保護基で保護した後に、エーテル化反応をさせる方法を挙げることができる。5位及び6位の水酸基を保護基で保護する反応としては、例えば、特開平8−81462号公報の段落0017や段落0029に記載されている方法、即ち、触媒量の無水塩化水素又は塩化アセチル存在下で、アスコルビン酸をアセトン存在下室温下で反応させて、5,6−O−イソプロピリデン−L−アスコルビン酸とする方法を挙げることができる。
本発明のアスコルビン酸誘導体又はその塩は、皮膚外用剤や毛髪化粧料等の各種化粧料の成分として好適に用いられる。請求項6は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のアスコルビン酸誘導体又はその塩を配合したことを特徴とする化粧料を提供するものである。
前記のように、本発明のアスコルビン酸誘導体又はその塩は、アスコルビン酸が元来有する美白作用などの優れた作用を有するとともに、グリセリル基由来の保湿作用を有していると考えられ、長期間の保存でも安定で、変色、変臭、活性低下等が少ない。そこで、このアスコルビン酸誘導体又はその塩を成分として含有させることにより、優れた美白作用、保湿作用等を有するとともに、経時安定性にも優れた皮膚外用剤、毛髪化粧料等の各種化粧料を得ることができる。又、食品の添加剤、飼料等としても利用できる。
本発明のアスコルビン酸誘導体又はその塩を、保湿剤として用いる場合は、各種化粧料への配合量は、前記のように1から20重量%が好ましいが、他の用途の場合、その配合量の範囲は、化粧料の用途により異なり、特に限定できないが、通常、0.01%〜20重量%の範囲が好ましい。0.01%重量未満の場合は、美白効果等、本発明のアスコルビン酸誘導体又はその塩が有する効果を十分示せない場合が多い。一方、20重量%を超える場合は、配合量に見合った効果が望めない場合が多い、また剤系を壊す恐れがある。
本発明の化粧料には、この必須成分の他に、通常、用いられる成分、例えば、油性原料、界面活性剤、高分子化合物、紫外線吸収剤、薬剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤などを適宜配合することができる。又、本発明のアスコルビン酸誘導体又はその塩は、保湿剤としても作用するが、本発明の化粧料には、他の保湿剤を適宜配合することができる。
油性原料としては、オリーブ油、椿油、マカデミアナッツ油、茶実油、ヒマシ油、トリ(カプリン/カプリル)グリセリルなどの油脂類、ホホバ油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ラノリン、ミツロウなどのロウ類、流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワランなどの炭化水素類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸などの脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコールなどの高級アルコール類、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸−2−オクチルドデシル、2−エチルへキサン酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリ−2−エチルヘキサノイン、などのエステル類、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンなどのシリコーン類などが挙げられる。
界面活性剤としては、高級脂肪酸石鹸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アシル−N−メチルタウリン塩、N−アシルアミノ酸塩、アルキルリン酸エステル塩などのアニオン性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシ−N−ヒドロキシイミダゾリニウムベタインなどの両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリエーテル変性シリコーンなどの非イオン性界面活性剤などが挙げられる。
他の保湿剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、マルチトール、ソルビトール、1,3-ブチレングリコール、乳酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウムなどが挙げられる。
高分子化合物としては、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、高分子のジメチルポリシロキサンなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、ビタミンEやタンニン、BHT(ブチルヒドロキシトルエン)等を挙げることができる。
本発明の化粧料の剤系は任意であり、溶液系、可溶化系、乳化系、ゲル系、粉末分散系、水−油二層系等いずれも可能であり、目的とする製品に応じて上記一般式で表されるアスコルビン酸誘導体又はその塩と上記任意配合成分とを配合して製造することができる。
本発明の、前記一般式(I)で示されるアスコルビン酸誘導体又はその塩は、美白作用等のアスコルビン酸誘導体が元来有する優れた機能を有するとともに、保湿作用を有し、長期間の保存でも安定で、変色、変臭、活性低下等が少ないものである。従って、この化合物を皮膚外用剤や毛髪化粧料などの化粧料に配合することにより、美白作用や保湿作用などに優れかつ長期間の保存でも安定した化粧料を得る事ができる。本発明の化粧料は、この美白作用や保湿作用などに優れかつ長期間の保存でも安定した化粧料(美白化粧料や保湿化粧料など)である。
次に、本発明を実施するための具体的な形態を実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例により限定されるものではない。
実施例1 3−O−(2−エチルヘキシル)グリセリルアスコルビン酸の合成
L−アスコルビン酸(100g)に、炭酸水素ナトリウム(14.3g)及びDMSO200mlを加え、さらに2−エチルヘキシルグリシジルエーテル(127g)を加えた。80℃に加温し24時間攪拌した後、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮を行った。得られた残渣180gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。その後、クロロホルム/メタノール/水=30/3/0.3混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行い、3−O−(2−エチルヘキシル)グリセリルアスコルビン酸(34.0g)を得た。
得られた生成物について、質量分析、1H−NMR、13C−NMR測定を行った。これら下記の測定結果より、この生成物は、前記構造式(A)で表される3−O−(2−エチルヘキシル)グリセリルアスコルビン酸であることが確認された。
[MASS分析条件]
移動相 :0.1%ギ酸水溶液/メタノール=30/70
流量 :0.2mL/min
検出器電圧 :1.15kV
インターフェイス電圧:4.5kV
ヒートブロック温度 :200℃
インターフェイス温度:300℃
ネプライザガス :1.5L/min
ドライングガス :15L/min
イオン化モード :ESI−ポジティブ又はネガティブ
測定モード :スキャンモード
[ESIマススペクトル測定結果:検出されたピーク]
ポジティブイオン:363[M+H],385[M+Na],747[2M+H]
ネガティブイオン:361[M−H],723[2M−H]
1H−NMR(400MHz,CDOD): δppm 0.88(6H,brt),1.36(8H,m),1.50(1H,m),3.37(2H,brd),3.49(2H,m),3.62(2H,m),3.89(1H,m),4.03(1H,m),4.46(1H,m),4.60/4.62(1H,dd),4.81(1H,d)
13C−NMR(100MHz,CDOD): δppm 11.4,14.4,24.1,24.9,30.2,31.6,40.9,63.3,63.4,70.2,70.4,70.5,70.6,72.7,72.8,73.9,74.0,75.4,76.8,121.05,121.12,151.7,172.91,172.95
実施例2 2−O−(2−エチルヘキシル)グリセリルアスコルビン酸の合成
L−アスコルビン酸ナトリウム(20.0g)に、水酸化ナトリウム(1.41g)及びDMSO70ml、水40gを加え、さらに2−エチルヘキシルグリシジルエーテル(22.5g)を加えた。80℃に加温し24時間攪拌した後、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮を行った。得られた残渣34.5gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。その後、クロロホルム/メタノール/水=10/3/0.3混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行い、2−O−(2−エチルヘキシル)グリセリルアスコルビン酸(3.96g)を得た。
得られた生成物について、質量分析、1H−NMR、13C−NMR測定を行った。これら下記の測定結果より、この生成物は、前記構造式(B)で表される2−O−(2−エチルヘキシル)グリセリルアスコルビン酸であることが確認された。
[ESIマススペクトル測定結果:検出されたピーク]
ポジティブイオン:363[M+H]
ネガティブイオン:361[M−H]
1H−NMR(400MHz,CDOD): δppm 0.88(3H,t),0.90(3H,t),1.29(8H,m),1.51(1H,m),3.35(2H,d),3.47(2H,m),3.67(2H,m),3.92(3H,m),3.99(1H,m),4.78(1H,d)
13C−NMR(100MHz,CDOD): δppm 11.4,14.5,24.1,24.8,30.2,31.6,40.9,63.2,70.60,70.62,72.9,75.15,75.22,75.37,77.2,114.3,128.0,140.5,156.4
実施例3 2,3−ジ−O−(2−エチルヘキシル)グリセリルアスコルビン酸の合成
L−アスコルビン酸(100g)に、炭酸水素ナトリウム(14.3g)及びDMSO300mlを加え、さらに2−エチルヘキシルグリシジルエーテル(254g)を加えた。80℃に加温し24時間攪拌した後、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮を行った。得られた残渣289gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。その後、クロロホルム/メタノール/水=30/3/0.3混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行い、2,3−ジ−O−(2−エチルヘキシル)グリセリルアスコルビン酸(43.0g)を得た。
得られた生成物について、質量分析を行った。これら下記の測定結果より、この生成物は、前記構造式(C)で表される2,3−ジ−O−(2−エチルヘキシル)グリセリルアスコルビン酸であることが確認された。
[ESIマススペクトル測定結果:検出されたピーク]
ポジティブイオン:549[M+H]
ネガティブイオン:547[M−H]
試験例1
美白効果の試験として、B16メラノーマ4A5細胞のテオフィリン誘発メラニン産生に対する作用の評価を、下記の手順により、本発明のアスコルビン酸誘導体について行った。同様な評価を、比較として、アスコルビン酸や、公知化合物であるアスコルビン酸塩、アスコルビン酸誘導体についても行った。その結果を表1に示す。
(1)B16マウス メラノーマ4A5株を、2.0×10cells/wellの細胞密度で48穴プレートに播種した。
(2)10%ウシ胎児血清(Roshe Diagnostics社製)含有ダルベッコ変法イーグル培地(SIGMA社製、以下D−MEMと略記する。)にて24時間培養後、0.2mMテオフィリン、及び所定の濃度の試料を含有した10%ウシ胎児血清含有D−MEMに交換した。
(3)試料共存下で3日間培養後、アスピレーターを用いて培地を除去し、蒸留水を添加後超音波により細胞を破砕した。
(4)その後、タンパク量を、BCA protein assay kit(PIERCE社製)を用いて定量し、又、メラニンの生成量を、アルカリ可溶化法にて測定した。細胞破砕液に終濃度2mol/Lとなるように水酸化ナトリウムを添加して加熱溶解(60℃、15分)後、マイクロプレートリーダーを用いて450nmの吸光度を測定した。メラニン量は、合成メラニン(SIGMA)を標準品として作成した検量線から算出した。タンパク量でメラニン量を除することにより単位タンパクあたりのメラニン量を算出した。
(5)メラニン生成抑制率は、次式から算出した。
メラニン生成抑制率(%)=[1−(A−B)/(C−B)]×100
[式中、Aは、試料添加時の単位タンパクあたりのメラニン量(g/g)、Bは、normal群の単位タンパクあたりのメラニン量(g/g)、Cはcontrol群の単位タンパクあたりのメラニン量(g/g)を示す。]
試料を100μmol/Lで適用したときのメラニン生成抑制率に基づき、美白効果を下記のように表記し、その結果を表1に示す。
30%未満 :△
30%以上−50%未満 :○
50%以上 :◎
表1の結果は本発明のアスコルビン酸誘導体は、公知のアスコルビン酸誘導体又はその塩、即ち、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウムより優れた美白効果を有することを示している。
試験例2 [安定性試験1]
各種試験サンプルの2%水溶液を希水酸化ナトリウム水溶液でそれぞれpH7に調製し、50mLのスクリュー管に入れ密栓し、室温にて4週間保管し、臭い及び着色度を下記の方法、基準に基づき評価し結果を表2に示す。
臭い:
10人のパネラーにより、次の基準で評価した。
3: ほとんど無臭。
2: 少し異臭が感じられる。
1: 強い異臭が感じられる。
この評価結果に基づき、下記の様に分類した。
○:10人の総合点が25以上
△:10人の総合点が16〜24
×:15以下
着色:
10人のパネラーにより、次の基準で評価した。
3: 調製直後と比較しほとんど変化なし。
2: 調製直後と比較し着色する。
1: 調製直後と比較し強く着色。
この評価結果に基づき、下記の様に分類した。
○:10人の総合点が25以上
△:10人の総合点が16〜24
×:15以下
試験例3 [安定性試験2]
室温にて4週間保管する代わりに、50℃にて4週間保管した以外は試験例2と同様の試験を行った。その結果を表3に示す。
表2及び3の結果は、本発明のアスコルビン酸誘導体は、アスコルビン酸より、室温〜50℃で保存した場合の経時安定性に優れており、臭いの発生や着色等がほとんど見られないことを示している。すなわち、本発明のアスコルビン酸誘導体が、優れた美白効果等のアスコルビン酸が元来有する優れた性質を有するとともに、アスコルビン酸の問題であった経時安定性が向上しており、化粧料の配合材料としてより好適であることを示している。
実施例4 クリーム
表4に示す組成の(1)〜(5)の油相部の原料、および(6)〜(10)の水相部の原料をそれぞれ70℃に加温し溶解して、油相および水相をそれぞれ調製した。その後、水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よく攪拌しながら室温まで冷却することにより、美白効果に優れたクリームを調製する。なお、表4以後の表中、配合量は質量%を表す。
実施例5 乳液
表5に示す組成の(1)〜(9)の油相部の原料、および(10)〜(13)の水相部の原料をそれぞれ70℃に加温し溶解して、油相および水相をそれぞれ調製した。その後、水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よく攪拌しながら室温まで冷却することにより、美白効果に優れた乳液を調製する。
実施例6 乳液
表6に示す組成の(5)〜(10)の油相部の原料、および(1)〜(4)、(11)〜(12)の水相部の原料をそれぞれ70℃に加温し溶解して、油相および水相をそれぞれ調製した。その後、水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よく攪拌しながら室温まで冷却することにより、美白効果に優れた乳液を調製することができる。
実施例7 クリーム
表7に示す組成の(1)〜(2)の油相部の原料、および(3)〜(10)の水相部の原料をそれぞれ70℃に加温し溶解して、油相および水相をそれぞれ調製した後、水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よく攪拌しながら室温まで冷却することにより、クリームを調製することができる。このクリームは、美白効果に優れた皮膚用化粧料として用いられる。
実施例8 化粧水
表8に示す組成の(1)〜(6)の原料を、よく攪拌しながら混合することにより化粧水を調製することができる。この化粧水は、3−O−(2−エチルヘキシル)グリセリルアスコルビン酸を7質量%含んでいるので、優れた美白効果を有する。
実施例9 クリーム
表9に示す組成の(1)〜(5)の油相部を、および(6)〜(10)の水相部をそれぞれ70℃に加温溶解する。水相部に油相部を加え予備乳化を行い、ついでホモミキサーで乳化した後、よく攪拌しながら室温まで冷却してクリームを調製することができる。このクリームは、3−O−(2−エチルヘキシル)グリセリルアスコルビン酸を3質量%含んでいるので、優れた美白効果を与え、このクリームは、美白効果に優れた皮膚用化粧料として用いることができる。

Claims (6)

  1. 下記の一般式(I)で表わされることを特徴とするアスコルビン酸誘導体又はその塩。
    [式中、
    は、H、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、ベンジル基、R−O−CH−CH(OH)−CH−、R−O−CH−CH(CHOH)−、R−CH(CHOH)−、R−CH(OH)−CH−、又はヒドロキシシクロヘキシル基であり、
    は、H、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、ベンジル基、R−O−CH−CH(OH)−CH−、R−O−CH−CH(CHOH)−、R−CH(CHOH)−、R10−CH(OH)−CH−、又はヒドロキシシクロヘキシル基であり、ここで
    及びRは、H、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、又はフェニル基であり、
    及びRは、H、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又はフェニル基であり、
    及びRは、H、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基、又はフェニル基であり、
    及びR10は、H、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又はフェニル基である。
    但し、RがH又は炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基又はベンジル基のとき、Rは、H、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22のアルケニル基及びベンジル基のいずれでもない。]
  2. 前記一般式(I)中の、
    及びRはそれぞれ独立して、水素又はR−O−CH−CH(OH)−CH−であることを特徴とする請求項1に記載のアスコルビン酸誘導体又はその塩。
  3. 下記構造式(A)で表されるアスコルビン酸誘導体化合物であることを特徴とする請求項ないし2いずれかのいずれか1項に記載のアスコルビン酸誘導体又はその塩。
  4. 下記構造式(B)で表されるアスコルビン酸誘導体化合物であることを特徴とする請求項ないし2いずれかのいずれか1項に記載のアスコルビン酸誘導体又はその塩。
  5. 下記構造式(C)で表されるアスコルビン酸誘導体化合物であることを特徴とする請求項ないし2いずれかのいずれか1項に記載のアスコルビン酸誘導体。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のアスコルビン酸誘導体又はその塩を配合したことを特徴とする化粧料。
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JP2018070508A (ja) * 2016-10-28 2018-05-10 株式会社成和化成 コラーゲン産生促進効果に優れる化粧料又は皮膚外用剤
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WO2024111142A1 (ja) * 2022-11-25 2024-05-30 株式会社成和化成 アスコルビン酸誘導体又はその塩及びその化粧料
WO2024167198A1 (ko) * 2023-02-06 2024-08-15 주식회사 카파바이오사이언스 폴리아민이 결합된 아스코르브산 유도체 및 그 제조방법

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