JP5512080B2 - アルカリ蓄電池 - Google Patents
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Description
(R1−a―bLaaCeb)1−cMgcNiZ−X−Y−d−eMnXAlYCodMe
c=(-0.025/a)+f
ただし、これらの式中、Rは、Yを含む希土類元素及びCaよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素(但し、LaとCeを除く)で、Mは、Fe,Ga,Zn,Sn,Cu,Si,B,Ti,Zr,Nb,W,Mo,V,Cr,Ta,Li,PおよびSからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、原子比a,b,c,d,e,f,X,Y及びZは、0<a≦0.45,0≦b≦0.2,0.1≦c≦0.24,0≦X≦0.1,0.02≦Y≦0.2,0≦d≦0.5,0≦e≦0.1,3.2≦Z≦3.8,0.2≦f≦0.29としてそれぞれ規定される。
本発明は、上述した事情に基づいてなされたものであって、その目的とするところは、希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金の結晶構造が安定であり、サイクル特性及び放電特性が改善されたアルカリ蓄電池を提供することにある。
前記希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金は、主たる結晶構造がCe2Ni7型構造又はその類似の構造であり、
一般式:
(AαLn1―α)1−βMgβNiγ−δ―εAlδTε
(式中、Aは、Pr,Nd,Sm及びGdよりなる群から選ばれた少なくともSmを含む1種以上の元素を表し、Lnは、La,Ce,Pm,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Sr,Sc,Y,Ti,Zr及
びHfよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、TはV,Nb,Ta,Cr,Mo,Mn,Fe,Co,Zn,Ga,Sn,In,Cu,Si,P及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、添字α,β,γ,δ,εは、それぞれ、0.4≦α,0.05<β<0.15,3.0≦γ≦4.2,0.15≦δ≦0.30,0≦ε≦0.20を満たす数を表し、A中のSm量はA全体に対し35%以上である)で示される組成を有することを特徴とするアルカリ蓄電池が提供される(請求項1)。
このニッケル水素蓄電池は、有底円筒形状の導電性を有する外装缶1を備え、外装缶1の中に電極群2が収容されている。電極群2は、正極3及び負極4を、セパレータ5を介して渦巻状に巻回してなる積層体であり、電極群2の最外周には、その渦巻き方向でみて負極4の外端側の部位が配置され、負極4が外装缶1の内周壁と電気的に接続されている。また、外装缶1の中には、図示しないアルカリ電解液が収容されている。
外装缶1の開口端には、中央にガス抜き孔6を有する円形の封ロ板7が配置されている。具体的には、封ロ板7の外周縁と外装缶1の開口端縁との間にはリング状の絶縁性ガスケット8が配置されている。そして、外装缶1の開口端縁を径方向内側に縮径するかしめ加工を行うことにより、外装缶1の開口端にガスケット8を介して封ロ板7が気密に固定されている。
また、外装缶1の開口端縁上には環状の押さえ板12が配置され、正極端子11の円筒部は押さえ板12の中央孔を貫通して突出している。符号13は、外装チューブに付されており、外装チューブ13は押さえ板12の外周縁、外装缶1の外周面及び底壁外周縁を被覆している。
正極合剤は、正極活物質としての水酸化ニッケルを主成分とする粉末(水酸化ニッケル粉末)、導電剤及び結着剤を含むが、水酸化ニッケル粉末としては、ニッケルの平均価数が2価よりも大きく且つ各粒子の表面の少なくとも一部若しくは全部がコバルト化合物で被覆されている粉末を用いるのが好ましい。また、水酸化ニッケル粉末は、コバルト及び亜鉛が固溶していてもよい。
上記した正極3は、例えば、水酸化ニッケル粉末、導電剤、結着剤、及び水を混練して正極用スラリを調製し、この正極用スラリが塗着・充填された正極基板を、正極用スラリの乾燥を経てから圧延・裁断して作製することができる。
負極合剤は、図1の円内に概略的に示したように、複数の水素吸蔵合金粒子14、結着剤16、及び必要に応じて導電剤から構成される。結着剤16としては、正極合剤と同じ結着剤の外に、更に例えばポリアクリル酸ナトリウムなどを併用してもよい。また、導電剤としては、例えばカーボン粉末などを用いることができる。なお図1の円内には、水素吸蔵合金粒子14及び結着剤16のみを概略的に示し、負極基板と導電剤を省略した。
AB3.5型(Ce2Ni7型)に類似する結晶構造の希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金としては、AB3.8型(Ce5Co19型)又はAB3.8型(Pr5Co19型)のものを用いることができる。
(AαLn1―α)1−βMgβNiγ−δ―εAlδTε
で示される。
ただし、式(I)中、Aは、Pr,Nd,Sm及びGdよりなる群から選ばれた少なくともSmを含む1種以上の元素を表し、Lnは、La,Ce,Pm,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Sr,Sc,Y,Ti,Zr及びHfよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、TはV,Nb,Ta,Cr,Mo,Mn,Fe,Co,Zn,Ga,Sn,In,Cu,Si,P及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、添字α,β,γ,δ,εは、それぞれ、0.4≦α,0.05<β<0.15,3.0≦γ≦4.2,0.15≦δ≦0.30,0≦ε≦0.20を満たす数を表し、A中のSm量はA全体に対し35%以上である。
水素吸蔵合金粒子14は、例えば以下のようにして得られる。
まず、所定の組成となるよう金属原材料を秤量して混合し、この混合物を例えば高周波溶解炉で溶解してインゴットにする。得られたインゴットに、900〜1200℃の温度の不活性ガス雰囲気下にて5〜24時間加熱する熱処理を施し、インゴットの金属組織をCe2Ni7型若しくはこれに類似した結晶構造にする。この後、インゴットを粉砕し、篩分けにより所望粒径に分級して、水素吸蔵合金粒子14が得られる。
なお、例えばLnとしてのLaを多量に含み、添字αが0.40未満の場合、水素平衡圧が低下するとともに、充放電サイクルの進行に伴い希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金の結晶構造が変化し、希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金が吸蔵又は放出する水素量、即ち電気化学容量が低下する。これにより、正極の容量に対する負極の容量の比(容量比)が減少し、ニッケル水素蓄電池の内圧が上昇し易くなり、サイクル特性が低下する。
なお、上述したニッケル水素蓄電池において、一般式(I)中、添字βが0.15以下に設定されることにより、Mgを主成分とする不所望の相の析出が防止され、この点からも、電池のサイクル特性が向上する。すなわち、添字βが0.15以下であることにより、充放電サイクルに伴う水素吸蔵合金粉末の微粒子化が抑制され、もって、サイクル特性が向上する。一方、添字βが0.05以上に設定されることにより、水素吸蔵合金は多量の水素を吸蔵可能である。
表1に示した実施例1〜7及び比較例1〜6の各組成になるように金属原料を秤量して混合し、混合物を高周波溶解炉で溶解して複数のインゴットを得た。これらのインゴットを、温度1000℃のアルゴン雰囲気下にて10時間加熱し、各インゴットにおける結晶構造をCe2Ni7型構造若しくはその類似構造にした。この後、各インゴットを不活性雰囲気中で機械的に粉砕して篩分けし、表1の組成を有する希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金粒子の粉末を得た。なお、得られた粉末は、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した重量積分50%にあたる平均粒径が50μmであった。
各粒子の全部若しくは一部がコバルト化合物で被覆された水酸化ニッケル粉末を用意し、この水酸化ニッケル粉末100質量部に対し、40質量%のHPCディスパージョンを混合して正極用スラリを調製し、この正極用スラリが塗着・充填されたシート状のニッケル多孔体を、乾燥を経てから、圧延・裁断して正極を作製した。
得られた負極と正極とを、ポリプロピレン繊維製不織布からなり、厚さが0.1mmで目付量が40g/m2のセパレータを介して渦巻状に巻回し、電極群を作製した。得られた電極群を外装缶内に収納して所定の取付工程を行った後、外装缶内に、7Nの水酸化カリウム水溶液と1Nの水酸化リチウム水溶液とからなるアルカリ電解液を注液した。そして、外装缶の開口端を蓋板等を用いて封口し、定格容量が2500mAhでAAサイズの密閉円筒形ニッケル水素蓄電池を組立てた。
そして、組立てた各電池に、温度25℃の環境において、0.1Itの充電電流で15時間充電した後、0.2Itの放電電流で終止電圧1.0Vまで放電させる初期活性化処理を施した。
初期活性化処理を施した実施例1〜7及び比較例1〜6の各ニッケル水素蓄電池について以下の試験を行った。ただし、比較例3の電池については、初期活性化処理時にアルカリ電解液が漏出したため、サイクル特性及び放電特性の測定ができなかった。
(1)サイクル特性
各電池について、温度25℃の環境において、1.0Itの充電電流でのdV制御による充電、60分間の休止、及び、1.0Itの放電電流での1.0Vの終止電圧までの放電からなる充放電サイクルを300サイクル繰り返した。この際、1サイクル目及び300サイクル目での放電容量を測定し、1サイクル目の放電容量(P)に対する300サイクル目の放電容量(Q)の百分率(Q/P×100)を求めた。この結果を表1に示す。
各電池について、温度25℃の環境において、1.0Itの充電電流でdV制御により充電してから、60分間の休止時間をとった後、1.0Itの放電電流で0.5Vの終止電圧まで放電させた。また、各電池について同様に充電及び休止した後、3.0Itの放電電流で1.0Vの終止電圧まで放電させた。これらの放電時放電容量を測定し、1.0Itの放電電流での放電容量(R)に対する3.0Itの放電電流での放電容量(S)の百分率(S/Rx100)を求めた。この結果を放電特性として表1に示すが、この値が大きいほど放電特性が優れている。
初期活性化直後のニッケル水素蓄電池、及び、上記サイクル特性試験にて300サイクル充放電後のニッケル水素蓄電池より水素吸蔵合金粒子を取り出して、XRD(X線回折)測定を行った。測定条件は以下の通りである。
<測定条件>
装置:平行ビームX線回折装置(Rigaku製,Rint2200システム),X線源:CuKα線,管電圧:50kV,管電流:300mA,スキャンスピード:1°/min,試料の回転速度60rpm
取り出した水素吸蔵合金粒子毎に粉末X線回折パターンを測定し、サイクル評価試験による変化が大きかった2θが33°付近の回折点についてθ-2θ測定を行った。当該回折点の測定の結果を、初期活性化直後のニッケル水素蓄電池から取り出した水素吸蔵合金粒子の回折点の半値幅に対する、300サイクル充放電後のニッケル水素蓄電池より取り出した水素吸蔵合金粒子の回折点の半値幅の比(300サイクル後/初期活性化直後)として表1に示す。
表1から次のことが明らかである。
(i)一般式(I)で示される組成を有する希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金を用いた実施例1及び実施例2は、比較例1及び比較例2に比べて、サイクル特性及び放電特性ともに優れている。また、実施例1及び実施例2では、比較例1及び比較例2に比べて、表1に示した半値幅の比が小さく、サイクル特性試験の前後での希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金の結晶構造の変化も抑制されている。
(iii)同様に、実施例1に比べてLaの含有量が多い実施例4及び5も、サイクル特性及び放電特性ともに優れている。また、実施例4及び5も、表1に示した半値幅の比が小さく、サイクル特性試験の前後で希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金の結晶構造の変化が抑制されている。
(v)実施例1に比べてAlの添字δが大きい実施例7も、サイクル特性及び放電特性ともに優れている。また、実施例7では、表1に示した半値幅の比が特に小さく、サイクル特性試験の前後での希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金の結晶構造の変化が特に抑制されている。
また、比較例1及び比較例2において、実施例1〜7に比べて放電特性が低いのは、比較例1及び2で用いた希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金の水素平衡圧が低いことに起因している。
(vii)Mgの添字βが0.03と小さい比較例3は、電池として成り立たなくなっている。これは、希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金の水素吸蔵能力が不足しているためと考えられる。
一方、Mgの添字βが0.25である比較例4では、放電特性は良好であるものの、サイクル特性が著しく低下している。これは比較例4では希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金の微粉化が進行し、微粉化により現れた新鮮な面がアルカリ電解液との接触により腐食し、希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金が劣化したためと考えられる。
(viii)Alの添字δが0.35の比較例5では、サイクル特性が低下している。これは、希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金の母相に固溶しきれないAlが析出することにより耐食性が低下するとともに、微粉化が進行したためと考えられる。
本発明は上記した一実施形態及び実施例に限定されることはなく、種々変形が可能である。例えば、一実施形態のアルカリ蓄電池は円筒形であったけれども、角形であってもよいのは勿論である。また、電池の形状及び寸法、安全弁の仕組み、及び、電極と電極端子との間の接続方法等も上述の記載に限定されることはない。
2 電極群
3 正極
4 負極板
5 セパレータ
14 水素吸蔵合金粒子
16 結着剤
Claims (1)
- 正極、希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金を含む負極、セパレータ及び電解液を備えるアルカリ蓄電池において、
前記希土類-Mg-Ni系水素吸蔵合金は、主たる結晶構造がCe2Ni7型構造又はその類似の構造であり、
一般式:
(AαLn1―α)1−β Mg β Ni γ−δ―ε Al δ T ε
(式中、Aは、Pr,Nd,Sm及びGdよりなる群から選ばれた少なくともSmを含む1種以上の元素を表し、Lnは、La,Ce,Pm,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Sr,Sc,Y,Ti,Zr及びHfよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、TはV,Nb,Ta,Cr,Mo,Mn,Fe,Co,Zn,Ga,Sn,In,Cu,Si,P及びBよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を表し、添字α,β,γ,δ,εは、それぞれ、0.4≦α,0.05<β<0.15,3.0≦γ≦4.2,0.15≦δ≦0.30,0≦ε≦0.20を満たす数を表し、A中のSm量はA全体に対し35%以上である)で示される組成を有することを特徴とするアルカリ蓄電池。
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